研究報告要旨 道路将来政策研究 Study on a road future Policy 急速な少子高齢化の進行、中国の経済的台頭などによる世界的な経済枠組みの変化等を背景とし、国内の各分野の 政策が転換点を迎えつつある中で、地方財政改革などの推進により、行政組織、手法自体も変貌する可能性が高い。こ れらを踏まえると当社が、将来に渡り安定した技術力と生産性を保持し、より信頼させるコンサルタントとして地位を確保し てゆくためには、公共政策の動向を的確に把握し適宜必要な技術を習得してゆくことが不可欠である。本研究では、これ らを踏まえ、記の背景の元、「交通経済」、「物流」、「観光」、「地域経営」というキーワードに着目し、それぞれの研究会を 通して知識と技術の移植を図るとともに、当社の商品技術として育成することとした。 水政策研究 Research report of a world water policy 日本は水に関する高い技術を有していると言われているが、それらを、将来どのように利用すべきか、どう国際的に活用 できるか、世界水フォーラムにおける日本の発信、水の安全保障戦略機構における官民の取り組みなどが要点と言われて いる。本研究は、水ビジネスなどへの日本の取り組み方、特に建設コンサルタントとしての取組み方法などについて国内外 の有識者へのインタビューと議論を通して、新しい水分野のビジネス展開の可能性を研究したもので、当社の将来の事業 展開に資するものである。 公共事業民営化研究 ― 土木インフラ分野への民間活力導入局面におけるビジネスモデルに関する研究 Research on privatization of public works ― 本研究において、道路分野及び下水道分野のインフラを対象とした民間活力導入の動向を把握するとともに道路事業 においては、具体の事例を通して、事業の組み立て、民間事業者が実施する維持管理業務の留意点、リスク分担の定量 化を試みた。リスク分析においては、モンテカルロシミュレーションによる計量分析を行い、この結果、被害の量的な把握が なされることとなり、定性分析ではできない意志決定情報が提供できることを確認することができた。 地域課題の発掘と解決に関する自治体との実証的研究 Corroborative research with Local Governments on exhumation and resolution of Regional issues これまで根拠としていた常識や慣習が揺らぐ変化の時代において,それまでの価値観を転換して新たな価値の形成を 図ろうとする時,多様な状況の経験と失敗が必要となり,それらを経た中から、その時代に適合した価値観が生まれてくる. この研究は,これまでの“与えられたテーマに対するコンサルティング手法”を転換し,“日常の中からの問題の発掘と解決 策の提示”といった“無形的な業務(シンクタンク業務)”に価値が形成されるか,また,それによって成功報酬を受けるよう な新たな事業モデルは構築可能なのかについて模索するものである.本年は,研究条件に適合し,かつ研究合意の取れ た①兵庫県篠山市における財政再建を背景とする将来まちづくり,②広島県福山市鞆の浦における道路景観・環境・地 域活性化に関わる紛争処理,③神奈川県横須賀市における市街化区域内限界集落と積極的活用策,その実施概要を報 告する。 医療福祉支援システム開発・活用研究 心理社会情報の開発と活用に関する疫学的研究 Epidemiological study on the development and utilization of Psycho-Societal Information based on the SAT Theory 市民の生活実感を客観的に評価し活力ある地域づくりを進めていくことは、財政難の中にあって行政施策の効果を高 めて持続可能な社会を構築するうえにおいて極めて重要である。筆者はこれまでに、カウンセリング理論であるSAT法(宗 像 1997)を援用し,個々人が想起するエピソードと背後にある健康心理に関する情報の収集・分析システムを考案し,個 人・集団の両面から心理をモニタリングする手法を開発してきた。本稿は,従前の研究成果をふまえ、疫学的方法を用い -1- て手法の実効性についての裏付けを行うと共に,それらの根拠から適合する社会調査法・評価法について検討した。また, 自治体への実際に適用し,実用化への知見を得た。 CHALLENGES IN DESIGN OF MODERN UNDERGROUND RAPID TRANSIT STATIONS IN JAPAN AND EUROPE Subways have almost 150 years tradition in Europe and a little bit more than 80 years in Japan. They are one of the most popular and most efficient means of urban transportation. Connected with other railways and extending out from the inner city, they are basic infrastructure of the rapid transit. Like railway stations above the ground, underground subway stations are important elements of the urbanscape that are determining the image of the city. Therefore already in the past, aesthetic design of subway stations has been recognized at historical European stations. However, only recently subway station design has been getting more challenging and totally-oriented. Station form depends on several aesthetic visual and image-based factors. These factors include space, light, color, scale, and details, as well as image-based elements related to design context, landmarks features, representation of the image of subways, of a brand of train operators, inclusion of artistic elements, relation of station design to commercial function and advertisements. Nowadays, subway stations are being renovated and also new stations are being built. This paper examines current trends in design of subway stations in Japan and Europe on the example of Tokyo, Paris, London and Berlin. The conclusion is that design depends very much on the circumstances such as natural conditions, organization and funding of subways, design process, tradition and culture. While in Japan subway stations tend to be economical with only some design elements, in Europe design is more holistic and involves world famous architects. Many stations in Japan have been renovated and design has improved but there is still need to develop a total approach to station architecture and design. 公共施設の計画・維持管理にかかる防犯環境設計の研究開発 Research and development of CPTED(Crime Prevention Through Environmental Design) for planning, operation and maintenance of communal facilities 近年、犯罪発生の抑止と犯罪発生への不安感を低減していくことが、重要な課題となっている。ここでは、防犯環境設 計に係る研究開発として、公共施設における利用実態に係る情報と犯罪発生への不安感について分析し、周囲からの見 守り状況、地域内の情報、公共施設周りの土地利用現況が、利用実態や不安感発生に繋がる要因となることを明らかにし た。 国際人材ネットワーク基盤研究 Study on Development of International Human Resources Network 本研究は、河川再生分野の人・情報循環を核としたアジアネットワークの運営をケーススタディと位置付け、建設コンサ ルタント企業としての新業態の展開や社会貢献活動などを視野に、本ネットワークの安定基盤構築と持続的発展のあり方 を検討し、今後のネットワーク事業展開像を示した。 価値形成基礎研究合意形成および景観形成に関する研究 Basic Study on Value creation from view point of Consensus building and landscape Design 社会資本整備のあり方が問われている今日、公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン(2008年)等が 制定され、合意形成技術は事業者、コンサルタントが備えるべき必須の技術になっている。また、国民の価値観が多様化 している中、道路、河川、都市事業などにおける景観形成ガイドラインが制定され、景観デザインの重要性は高まってい る。 こうした価値形成にかかわる計画立案手法の確立が強く求められているものの、体系的な技術として確立されていると は言い難い状況にある。当社の技術部門においても、『合意形成(PI)』『景観形成(景観デザイン)』など価値形成にかか わる技術について、横断的な展開が重要視されている。こうした、価値形成に係わる計画立案技術を横断的な共通の技 術として体系的に取りまとめるとともに、他分野との技術ツールの統合などに取り組むことで、技術の向上とイメージ形成に よるビジネスチャンスの拡大を目指す。 天然ガス輸送パイプライン及びガス発電の事業化研究 Feasibility Study on the Tohoku Natural-Gas-Pipeline and Distributed Gas-power-plant 本研究は、東北地区における天然ガス幹線パイプライン及び分散型ガス発電事業構築に係わる事業化研究である。本 論文では、東北地区におけるガスパイプライン事業化可能性調査と、天然ガスパイプライン事業立上のためのコンソーシ -2- アム組織化に関する検討、分散型ガス発電事業については沖縄地区をケーススタディとして取り上げ事業化可能性の検 討調査の検討状況を記述した。 他省庁系の地域振興政策に関連する事業展開の開発研究 本研究では、CTIにおける新規顧客開拓の一環として、これまで当社が手つかずであった産業分野を中心に業務獲得 のための知見・ノウハウ等の蓄積、及び、業務獲得の試行等を3年間にわたって実施することにより、他省庁系業務開拓の 可能性や展開戦略等を明らかにするものである。本報告は、研究開始から1年9ヶ月を終えての第2回中間報告であり、こ れまでの取組内容や問題点、今後の進め方等を整理したものである。今年はJVによる業務営業やモデル地域での民間と のパートナーシップによる事業開発の準備等を進め、来年はモデル地域において他地域への横展開が可能な事業モデ ルの構築を行うこととした。 日本橋再生研究 Research for Nihombashi Area Restoration 日本橋地域は江戸時代から続く東京の賑わいの街で、日本の行政・商業・文化の中心である。この日本橋地域の賑わ いの再生は地域全体の要望である。本研究は、地域の一員として日本橋地域再生案の議論に参加し、河川再生や舟運 計画の案を研究した結果と、日本橋地域をはじめ、港区、千代田区を含む広域の観光資源開発に取組んだ結果を示した ものである。 -3-
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