クラウドの価格に関する451調査レポート: 成熟期を迎え高騰するクラウド

アドバイザリ
クラウドに関するお金の話
成熟期を迎え高騰するクラウドのコスト
Hewlett Packard Enterprise の委託により実施された調査に基づくレポート
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2015 年 11 月
I
451 RESEARCH
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II
クラウドに関するお金の話
目次
はじめに
1
IT に支払っているコスト
2
調査方法
3
プライベートとパブリックのコストの比較
3
パブリックとプライベート仮想マシンのコストシナリオの例 . . . . . . . . . . . . . 4
パブリックとプライベート TCO シナリオの例 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
何が分かったのか。
6
さまざまなレベルの使用率
7
アプリケーション需要のデータの例 ( 使用率 (%) を含む ) . . . . . . . . . . . . . . . 8
集約後の需要の例 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
10
ハイブリッドクラウド
集約後の需要の例 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10
その他のアプリケーション
11
パフォーマンス
11
Cassandra のクラウドコスト性能比評価 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12
予測可能性
12
それぞれのクラウドのメリット
13
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III
451 RESEARCH
Hewlett Packard Enterprise の見解
14
サービスプロバイダーの IT ニーズの評価 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14
柔軟な稼動方法の継続性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14
IT 投資の見直しと計画. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14
クラウドバースト機能によるコスト効率の向上. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 15
パブリッククラウドプラットフォームのもう 1 つの選択肢 . . . . . . . . . . . . . . . 15
瞬時に発揮される高い拡張性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 15
柔軟な移行サポート . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16
重要ポイント . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16
次のステップ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16
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1
451 RESEARCH
はじめに
IT インフラストラクチャの提供と利用の分野で強烈なトレンドが誕生してから、約 10 年が
経過し、その革命も完成間近です。その間、ほぼすべての利用者が IT に抱く期待や利用方法
は根本的に変化しました。そして、( コンピューティング、ストレージ、ネットワーキング
の各リソースへのインスタントアクセスをオンデマンド、セルフサービス方式でプログラム
的に可能にする 「クラウドコンピューティング」
)
と呼ばれる IT サービスデリバリの技術は今、
成熟の岐路に立たされています。
あらゆる種類、中でもソフトウェア主導型のハイテクサービスプロバイダーの IT 組織では、
クラウドコンピューティングの新たな利用方法が生まれています。SaaS プロバイダー、ソー
シャルおよびコンシューマークリエイティブメディア企業、およびあらゆるオンラインビジ
ネスにとって、数十あるパブリッククラウド環境の 1 つを選択して、事業を「クラウドで」
開始するのが当然になっています。
それが理にかなっているのは、クラウドコンピューティングに次のような特性があるため
です。
• 最小限の初期投資しか必要ありません。
• 従量課金制でリソースを使用できます。
• 従来型の初期費用モデルではなく、運用費用モデルを利用できます。
• ビジネスの成長に合わせて容易にスケーリングできます。
• 通常高い接続性と可用性をエンドユーザーに提供します。
• ドメインネームシステム、コンテンツデリバリネットワーク、ロードバランシング、統合
済みまたは近隣のその他サービスの組み合わせなど、オンラインアクティビティに必要な
数多くの補助サービスへのアクセスが組み込まれています。
しかし、どの IT 中心型企業も、パブリッククラウド利用が増加し始めるタイミングで、「プ
ライベートクラウドを構築・運用すべきか」という判断を慎重に下さなくてはなりません。
クラウドモデルはすでに成熟し、独自のクラウドを運用するテクノロジーは非常に入手しや
すくなっています。今や、無料のオープンソースの DIY (Do It Yourself) 型実装から、コンセン
トを差し込んで電源をオンにするだけの完全統合型・事前構成済みラックにいたるまで、幅
広いハードウェア、ソフトウェア、オーケストレーション、およびインターフェイスが利用
可能です。
パブリッククラウドのプロバイダーは俊敏性とスピードをもたら
パブリッククラウ
さむことが予測され、償却額が加味される場合はその傾向が特に ドに仮想マシン (VM)
をプロビジョニング
顕著です。また、プライベートクラウドプラットフォームとパブ
するコストは 1 時間
リッククラウドのどちらにも容易にアクセスできるようになった
あたり数セントです
ことで、プライベートクラウドへの移行と運用コスト構造の劇的 が、プライベートク
な改善が比較的簡単になりました。パブリッククラウドに仮想マ ラウドに VM をプロ
シン (VM) をプロビジョニングするコストは 1 時間あたり数セント ビジョニングするコ
ですが、プライベートクラウドに VM をプロビジョニングするコ ストは 1 か月で数セ
ストは 1 か月で数セントです。その犠牲になるのが、投資、時間、 ントです。
してはくれますが、その分割増料金が請求されます。コストがか
およびビジネス成果です。
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2
クラウドに関するお金の話
本レポートは、これまでにもクラウドであれば実現していたかもしれないビジネス効率の
革新的向上を今後達成できるかどうか、その可能性について探ります。目標は、Google、
eBay、Facebook など多くの企業が採用しているのと同じサービスデリバリモデルに移行し
て、基本的なインフラストラクチャへの過剰な支払いを止めることです。
IT に支払っているコスト
IT リソースのオンデマンド調達は、企業だけでなく個人にも真に革命的な影響力を及ぼし
ます。先行投資をしなくても潜在的に無限のストレージやコンピュートなどのパブリック
クラウドサービスを購入できるということは、ティーンエイジャーから CEO まで、あるい
は新興企業からサービスプロバイダーまで、誰もが財務リスクを背負うことなく簡単かつ
安価に強力なテクノロジーを利用できるということです。10 年前、世界のどこからでもア
クセス可能な場所にファイルを保存したければ、相応の資本と運用費用をかけて専用イン
フラストラクチャを使用しなければなりませんでした。それが今では、スマートフォンの
ボタンを 1 つ押すだけです。
パブリッククラウドは IT 業界に透明性とアクセス性をもたらしまし
たが、プライベートクラウドの調達は今なお古いスタイルの IT で
行われています。古いスタイルの IT とは、プラットフォームは RFP
や仕様書に基づいたカスタム設計で、見積りは顧客ごとに交渉に基
づいて作成され、詳細はほとんど公開されず、支払いは予測可能で
請求ベースで、初期投資かプロジェクトの資金調達が必要なスタイ
ルです。興味深いことに、このプロセスを複雑で難しいものにして
オンデマンド IT 調達
は 魅 力 的 だ が、 予 測
可 能 性、 可 変 性、 拡
張性を手に入れる代
わりに、予算、管理、
適法性の面で新たな
問題が発生します。
いる犯人はベンダーではありません。サービスプロバイダーと企業
の両方から、「オンデマンド IT 調達は魅力的だが、予測可能性、可変性、拡張性を手に入
れる代わりに、予算、管理、適法性の面で新たな問題が発生する」という話しはよく耳に
します。
確かに、パブリッククラウドの導入によって需要に対応したスケーリングは可能になりま
すが、誰がそのコストを支払い、そのお金はどこからやって来るのでしょうか。また、拡
張 / 縮小の機能を誰が管理し、そのコストを誰がコントロールするのでしょうか。固定予算、
RFP プロセス、インボイスなどは時代遅れのように思われますが、こうしたもののおかげ
で支出が超過することがなくなり、企業のリスクや法的責任が回避されています。柔軟性
を求める声と管理の必要性の両方が高まったことがきっかけとなり、顧客に両者のメリッ
トを提供する革新的な価格モデルと財務モデルが誕生しました。
451 Research が発表した調査結果『Voice of the Enterprise Q4 2014』で、調査対象となった
全ユースケース ( ビッグデータ、Web アプリケーション、エンタープライズアプリケーショ
ンなど ) において、主流の配備方法がプライベートクラウドであることが明らかになって
います。451 Research の Market Monitor は、2018 年までにクラウド実現テクノロジー市場 ( プ
ライベートクラウド構築のためのソフトウェアを販売するベンダー ) の規模がクラウドコ
ンピューティング市場の規模よりも 30% 大きくなると推定しています。つまり、市場で求
められているのはプライベートクラウドであり、多くのユーザーが多くの用途 ( 特に使用
率が高い場合やセキュリティとガバナンスの完全管理が必要な場合 ) でパブリッククラウ
ドより優れていると考えています。
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3
451 RESEARCH
購入する企業はプロバイダーやベンダーと話したいと思っており、またプライベートクラ
ウドを最大限活用できるよう「信頼できるアドバイザー」を必要としていますが、プライ
ベートとパブリックをどのように使い分ければよいのか分からずにいます。大半の企業は
両方のメリットを享受したいと考えています。求めているのは、パフォーマンス、コスト、
契約などそれぞれの要件を満たす最高の環境です。選択肢を比較検討するのは、技術力の
面だけでなく、財務の面においても容易ではありません。それぞれの選択肢は、価格設定
も宣伝内容も請求方法も全く異なります。この問題に直面するのは企業に限ったことでは
ありません。システムインテグレーター、販売代理店、およびサービスプロバイダーは、
パブリッククラウドプロバイダーと提携するタイミングや自社のプライベートクラウドに
投資すべきタイミングを判断しなければなりません。
451 Research の Cloud Price Index (CPI: クラウド価格指数 ) Private Edition は、さまざまな選
択肢 (OpenStack® ディストリビューション、マネージドサービス、独自配備など ) の平均価
格を示すベンチマーク指標です。さまざまな方法でさまざまなプロバイダーから提供され
るホスティングサービス、インフラストラクチャ、ソフトウェア、およびオペレーティン
グシステムの組み合わせ ( バスケット ) の TCO ( 総所有コスト ) を検討することで、仮想マ
シン (VM) 1 台の 1 時間あたりの平均市場価格が分かります。長期的にバスケットのコスト
の変化を測定すれば、業界がどのように変化しているかや、その変化がサービスプロバイ
ダーと購入する企業に及ぼす影響が明らかになります。重要なのは、パブリッククラウド
とプライベートクラウドの財務面の違いの分析が可能になる点です。
調査方法
プライベートとパブリックのコストの比較
451 Research では CPI 指標を導出するため、プライベートクラウドの導入を希望している
架空の企業を想定しました。この企業 ( クラウドサービスの販売を検討しているサービス
プロバイダーと仮定 ) は、36 か月間の支出の評価を受ける必要があり、次の 2 つの要件セッ
トに基づいてプライベートクラウドの仕様書を作成しました。
• 仮想化の要件 – VM x 500 台。各 VM の大まかな構成は、Intel E2670v2 2.5GHz コア x 1、
4GB メモリ、200GB SAN ストレージ ( シンプロビジョニング機能なし )、ピーク時帯域幅
0.5GB/sec。任意の仮想化とオーケストレーションのプラットフォームを使用できるが、
リソース競合は可能な限りゼロに近い必要があります。プライベートクラウドであるた
め、リソースのセルフサービスおよび必要に応じたキャパシティの再スケーリングと再
配布を可能にするツールと使用状況の追跡 / 監視をするツールを搭載していなければな
りません。
• インフラストラクチャの要件 – 451 Research は、上記の仮想化要件を満たすと考えられ
るハードウェアインフラストラクチャの定価に基づいて、独自のプライベートクラウド
を設計しました。このアーキテクチャーは 25 台のサーバーで構成されており、各サー
バーには 500GB ローカルストレージ、96GB RAM、Intel E2670v2 10-core CPU x 2 基、耐障
害性のある電源、100TB iSCSI SAN、耐障害性のあるロードバランサーとファイアウォー
ル、および補助ネットワークファブリックが搭載されています。
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クラウドに関するお金の話
上記 2 つの要件をさまざまなクラウドオーケストレーションベンダーに送り、仮想化と
クラウドオーケストレーションのソフトウェアおよび 24 時間 365 日体制のサポートの見
積りを提出するよう要請しました。 ベンダーが提案要求に回答しなかった場合には、451
Research が公開されている価格に基づいて見積りを作成しました。パブリッククラウドの
価格は、同様の規模の仮想マシンについて同様の手順を踏んで入手しました。
資本コストを年率 4% と見なし、その比較に関係するのはクラウドの直接コストのみであ
り、内部コストや貯蓄は考慮に入れないものとします。また、この比較で得られる結果は、
必ずしも別のシナリオにも該当する訳ではありません。シナリオ、コストモデルの選択、
および人材要件に応じてコストは変化しますが、これが適切なベースラインシナリオです。
以下の前提条件によって分析のリアリズムは若干損なわれますが、問題を明示するという
目的に適った前提です。
前提条件
• 次の図は、24 時間 365 日サポートが付帯したパッケージ済み OpenStack ディストリビュー
ションの CPI 平均価格に基づいた、仮想化要件をパブリッククラウドおよびプライベー
トクラウドで運用した場合の総コストを示しています。
• すべてのコストには、インフラストラクチャ、ハードウェア、オーケストレーション、
仮想化、およびプレミアムオペレーティングシステムが含まれます。
• また、プライベートクラウドはそのライフサイクルを通じてフル活用され、フルタイム
勤務で年棒 126,000 ドル ( 第三者の求人サイトを参照 ) の OpenStack エンジニア 1 名がサ
ポートを担当すると仮定します。
パブリックとプライベート仮想マシンのコストシナリオの例
0.30
プライベートクラウドディストリビューション
( 常勤スタッフを含む )
オンデマンド型パブリッククラウド
0.25
時あたりの価格
VM
0.20
0.15
0.10
0.05
0.0
50%
60%
70%
80%
90%
100%
36 か月にわたるクラウドの使用率
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451 RESEARCH
この図を見る限り、非常に明確な違いがあります。しかし、この比較では、すべての VM
が常時使用されていることが大前提になっています 。 この前提が妥当であるシナリオもあ
ります。たとえば、タスクがキューに入れられるバッチ処理では、常にジョブストリーム
が存在していて、使用可能になったキャパシティから使用していきます。多種多様なアプ
リケーションの変動性を集約して、高需要を平均化するクラウド環境のように、スケーリ
ングが考慮されていないアプリケーションも常に一定のキャパシティを使用することがあ
ります。しかし、大半のクラウドアプリケーションは、需要の変化に応じて拡張 / 縮小が
可能であるべきです。なぜなら、そのようなアプリケーションでは長期的に見てキャパシ
ティの使用率が変化するからです。
クラウド展開のためのビジネスケースを構築するうえで、
コストをより構成に評価す
るには、使用される個々の
境がどのように使用されるかは考慮に入れられていません。 VM のコストを知る必要が
コストをより構成に評価するには、使用される個々の VM あります。VM1 台あたりの
のコストを知る必要があります。VM1 台あたりの価格が使 価格が使用率に応じてどの
ように変化するのかを見て
用率に応じてどのように変化するのかを見てみましょう。
みましょう。
総コストは重要な検討事項の 1 つですが、そのクラウド環
パブリックとプライベート TCO シナリオの例
オンデマンド型
パブリッククラウド
プライベートクラウド
ディストリビューション
( 常勤スタッフを含む )
0 ドル
0.5 ドル
1.0 ドル
1.5 ドル
2.0 ドル
2.5 ドル
36 か月間の TCO ( 単位 : 百万ドル )
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クラウドに関するお金の話
何が分かったのか。
このシナリオのプライベートクラウドでは、最初に初期費用と毎月固定の運用費用を支払
う必要があります。その後何台の VM が使用されたとしても、このプライベートクラウドの
TCO は変わりません。仮想マシンの台数 (n) が使用されるのに伴って、マシン 1 台あたりの
価格で 1/n の関係が成立します (n の値が大きければ大きいほど、マシン 1 台あたりのコス
トは小さくなります。また、その逆の場合もあります )。オンデマンドのコスト設定には初
期費用は含まれないため、VM1 台あたりのコストは使用率にかかわらず変化しません。
典型的な小規模ユースケースであるこのシナリオの場合、プライベートクラウドの方が約
76% のしきい値で価値が高くなります。つまり、プライベートクラウドのキャパシティの
76% がライフタイムを通じて使用され、TCO が低くなるということです。
また、このシナリオでは、パブリッククラウドに決定した場合に値引きが受けられるといっ
た別のコスト設定や、プライベートクラウドの運用費用が重要に応じて変化するといった
従運何なモデルについては検討していません。この点と、特定の要件 ( 人材を含む ) を併せ
て踏まえると、使用率の損益分岐点は変わりますが、これは一般的な結論を導出するのに
適した例です。
実際には、このシナリオの購入者はリスクアセスメントを実施しなければなりません。高
い使用率を達成できると判断した場合には、プライベートクラウドを使用してコストを削
減することができます。しかし、このような値引きの代償として、リスクを負うことにな
ります。需要予測が間違っていれば、VM1 台あたりのコストは増加します。使用率予測が
正確であれば、最もコストパフォーマンスの高いオプションを実装前に選択できます。オ
ンデマンド価格に予測は不要であるため、リスクがないうえに、購入者はスケールアップ /
ダウンを自発的に行えます。このモデルではリスクを負うのはパブリッククラウドプロバ
イダーですが、このメリットのために割増料金を支払うことになるのは購入者です。
つまり、問題は サービスプロバイダーはどうすれば
パブリッククラウドよりも低コストで高い使用率を
達成できるか、ということです。
つまり、問題は サービスプロ
バイダーはどうすればパブリッ
ククラウドよりも低コストで高
い使用率を達成できるか、とい
うことです。
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7
451 RESEARCH
さまざまなレベルの使用率
次の図は、さまざまなアプリケーションの VM 需要の変化を表わしたものです。分かりやす
さを重視し、意図的に数値を小さくしてあります。1 週間にわたり、これらのクラウドネイ
ティブアプリケーションは異なるサイクルで VM を使用します。
• 1 つ目のアプリケーションは、昼間にある程度のキャパシティが必要とされるエンター
プライズアプリケーションのようです。
• 2 つ目のアプリケーションは、1 つ目と全く同じアプリケーションですが、別の時間帯
に使用しているようです。
• 3 つ目のアプリケーションは、バックアップまたはアーカイブを処理しているようです。
• 4 つ目のアプリケーションは、夜間にデータを処理しているようです。
これらのアプリケーションがそれぞれ、ピークキャパシティに対応するよう設計された独
自のプライベートクラウドを使用している場合、青枠に表示される使用率に反映されます。
パフォーマンスを維持できるようキャパシティプランニングを行うことは、アプリケーショ
ンのスケーリングと同様、エンドユーザーエクスペリエンスにとって重要です。しかし、
使用されないリソースはサンクコストになるため、キャパシティが無駄にならないよう出
来るだけ小さくしておく必要もあります。
作成した価格シナリオの中で、いずれのアプリケーションもパブリッククラウドではなく
プライベートクラウドを使用して TCO のメリットを得られませんでした。純粋に財務的見
地から言えば、これらのアプリケーションはパブリッククラウドに配備するのに向いてい
ます。
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8
クラウドに関するお金の話
アプリケーション需要のデータの例 ( 使用率 (%) を含む )
4
3
2
56%
1
4
3
62%
1
0
5
4
3
2
0
5
4
3
2
64%
0
D
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
1
C
アプリケーション
69%
1
B
アプリケーション
仮想マシンの台数
2
A
アプリケーション
0
5
アプリケーション
5
月
火
水
木
金
土
日
しかし、サービスプロバイダーがホスティングと管理をしているプライベートクラウドであ
れば、これらのアプリケーションをすべてサポートできるので、単一インフラストラクチャ
として運用すればよいのではないでしょうか ? その場合、使用率にどのような影響があるで
しょうか ? 全体の VM 需要はどれくらいになるでしょうか ?
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9
451 RESEARCH
集約後の需要の例
14
12
10
仮想マシンの台数
8
6
4
0
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
2
月
火
水
木
金
土
日
ごまかしは一切していません。いずれのアプリケーションも以前必要としていたのと同じ台
数の仮想マシンを使用しており、搭載されているリソースも全く同じです。違っているのは、
ワークロードを集約したことで、使用率が向上した点です。価格が CPI プライベートクラウ
ド仕様と似ていたのであれば、すでに TCO のしきい値を超えていたはずで、プライベートク
ラウドはパブリッククラウドよりも安価になっていたでしょう。このようにワークロードを
重ね合わせることで、プライベートクラウドに必要なキャパシティは、それを構成している
要素の合計よりも少なくて済みます。
事実、より多くのランダムに影響を受ける独立したアプリケーションがプライベートクラウ
ド上に集約されていれば、それだけ固定キャパシティぎりぎりまでプライベートクラウドは
利用されることになります。また、キャパシティが固定であれば、最大使用率を制御できる
ため、コストが手に負えない状況に陥ることはありません。また、競合やオーバープロビジョ
ニングを管理できます。パブリッククラウドリソースが役に立たなくなっても無効にできな
いために、何も価値を生まないものにコストがかかっている、というのはよく聞く話です。
このプライベートクラウドモデルでは、使用されていないキャパシティを自動的に別のアプ
リケーションに割り当てることができます。
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クラウドに関するお金の話
ハイブリッドクラウド
使用率をさらに向上させる方法はあるでしょうか。ハイブリッ
ドクラウドモデルであれば、安定した継続的なキャパシティを
提供するのにプライベートクラウドを、そしてキャパシティの
上限を拡大するのにパブリッククラウドを使用できます。次の
図では、プライベートクラウドで提供される最小限のキャパシ
ティは 8 台の VM で、使用率は 100% です。キャパシティが追
加で必要になった場合には、アプリケーションはパブリックク
ラウドの VM を使用します。このハイブリッドアプローチであ
れば、効率を最大化できます。つまり、サンクコストは排除さ
れ、パフォーマンスやリソースの制約がなくなり、最も安価な
リソースが必要に応じて使用されます。
ハイブリッドクラウ
ド モ デ ル で あ れ ば、
安定した継続的な
キャパシティを提供
するのにプライベー
トクラウドを、そし
てバースト機能に
よってキャパシティ
の上限を拡大するの
にパブリッククラウ
ドを使用できます。
集約後の需要の例
14
12
10
6
4
2
0
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
12am
6am
12pm
6pm
仮想マシンの台数
8
月
火
水
木
金
土
日
需要 パブリックのキャパシティ プライベートのキャパシティ
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451 RESEARCH
その他のアプリケーション
時間的制約のないワークロードや任意のスケジューリングが可能なワークロードが存在する
場合、プライベートクラウドの使用率のしきい値はより高くなる可能性があります。この方
法を採用すれば、余剰リソースをすでに実行中のアプリケーションに割り当てて迅速化した
り、新しいアプリケーションに再割り当てしたりできるため、プライベートクラウドを常に
フル活用できます。このアプローチが適しているのは、ビッグデータ、短時間での成果達成
が必要な処理、バッチ処理、経済 / 財務 / 科学分析、夜間のアーカイブ / インデックス作成
などです。
プライベートクラウドを運用するサービスプロバイダーは、リアルタイムの要件に応じて
VM の提供を終了し、全額支払う別の顧客に割り当てるという条件付きで、余っているキャ
パシティを値引きして提供する可能性があります。この場合、インフラストラクチャの使用
率は高くなりますが、事前発生的に多くのキャパシティを必要とする顧客は順番待ちをする
必要がありません。
すべてのアプリケーションが数時間おきに拡張性を変更したり、数日おきにサイクルしたり
する必要がある訳ではありません。ユーザー数やアカウント数が固定されていて、各ユーザー
/ アカウントが一定量のリソースしか必要としないアプリケーションの場合、その使用率は
ほぼ一定です。たとえば、一般的に企業の従業員数は短期間では変化しないか、するとして
も限られた範囲内での変化です。
全従業員 ( あるいはチーム ) で広く使用されているエンタープライズアプリケーションは通
常使用率が高いため、適切なキャパシティプランニングが必要です。入社する人もいれば退
職する人もいるのは当然ですが、一晩で急激に人数が増加することはまずありません。大規
模採用や合併などで多数の従業員を追加する必要がある場合、プライベートクラウドでは大
量のキャパシティを追加することによってスケーリングが可能です。通常そのような採用の
前には通知があるため、事前にキャパシティの増加を計画できます。需要の増加に応えて追
加のハードウェアを迅速に提供できるプライベートクラウドパートナーであれば、パフォー
マンスレベルを保ったまま、高い使用率の維持が可能です。
パフォーマンス
スケーラブルアプリケーションの設計で直面する課題の 1 つは、一貫したパフォーマンスで
す。エンドユーザーエクスペリエンスを保持しながら、アプリケーションを拡張 / 縮小する
にはどうすればよいのか、という問題です。その原因の大半は、コンポーネントを切り離す
アプリケーションのアーキテクチャーにありますが、インフラストラクチャも関係していま
す。次の図は、パフォーマンスベンチマークツール Perfkit と CPI データを使用して、Azure、
Google、および Amazon Web Services (AWS) の同じサイズのインスタンスから取得した匿名の
Cassandra トランザクションの 100 万オペレーションあたりのコストを示しています。図中
のエラーバーは、評価対象の各仮想マシンで実行された 5 つのテストでの最高および最低の
コスト性能比を表わします。
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クラウドに関するお金の話
Cassandra のクラウドコスト性能比評価
0.012
0.010
万オペレーションのコスト
100
0.008
0.006
0.004
0.002
クラウド A
クラウド B
クラウド C
「中規模」のインスタンス
クラウド A
クラウド B
クラウド C
「大規模」のインスタンス
予測可能性
この図で注目していただきたいのは、一貫性のなさです。コスト性能比がクラウドプロバイ
ダーごとに異なっているだけでなく、同じプロバイダーでも時間帯によって変化しています。
ノードごとにパフォーマンスが異なる場合、一貫したパフォーマンスを提供するアプリケー
ションを構築するのは容易ではありません。プライベートクラウドでもこの問題は存在しま
すが、コントロールは遥かに容易です。なぜなら、プライベートクラウドのオーナーはハイ
パーバイザーおよびオーケストレーション層にアクセスでき、よってリソースの割り当てを
コントロールできるからです。プライベートクラウドはその性質から、エンドユーザーへの
対応方法が異なります。
パブリッククラウドは汎用的なインフラストラクチャとサービスを提供するため、パフォー
マンス偏差が大きくなります。一方、プライベートクラウドはその点において敏捷性に優れ
ているため、アプリケーションに特化したリソースを提供し、効率性の向上とパフォーマン
ス偏差の削減を達成します。したがって、優れた価値と一貫したプライベートクラウドを提
供できるサービスプロバイダーが、市場における差別化要因を有します。
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451 RESEARCH
それぞれのクラウドのメリット
では一体、プライベートとパブリックのどちらのクラウドが安価なのでしょうか。
一言で言ってしまえば、プラットフォームの使用方法と購入方法によって異なります。故に、
プライベートクラウドユーザーとパブリッククラウドユーザーでは、それぞれのクラウドの
コスト効果に対する意見が異なっています。財務面で大まかに言うと、オンデマンドパブリッ
ククラウドは需要が急増する予測不可能なアプリケーションに適しています ( 未使用のキャ
パシティを原因とするサンクコストやキャパシティの上限を原因とするパフォーマンス低下
が発生することなく、オンデマンドでアプリケーションのスケーリングが可能なため )。
ここで明言しておかなければならないのは、この拡張性は具体的なメリットがあってこそ、
という点です。たとえば、アプリケーションコストの増加が収益の増加につながっていなけ
れば、それは支出が増えているだけです。プライベートクラウドと専用で利用できるモデル
は、予測可能で集約型 のキャパシティ要件に適しています。ここで重要な言葉は「集約型」
です。
アプリケーションは需要が急増したり予測不可能であったりします。しかし、重要の急増が
同じプライベートクラウドで稼働中の別のアプリケーションによって相殺されるのであれば
( キャパシティ要件の統合によって安定したり、より直線的になったりする場合など )、一般
的にプライベートクラウドはコスト面で優位です。これは、とりわけアプリケーションを集
約するサービスプロバイダーで顕著です。バッチ処理、ビッグデータ、または拡張性が低い ( ま
たはゼロの ) アプリケーションは、需要が予測可能である可能性があります。
パブリッククラウドのバースト機能とプライベートクラウドの保証されたキャパシティを結
合することによって、エンドユーザーは両方のクラウドのメリットを享受できます。しかし、
パブリックとプライベートの相違点は、財務面だけではありません。制御、セキュリティ、
コンプライアンス、および統合は、購入者の決定を左右する要素の一部に過ぎません。
パブリック、プライベートどちらのクラウドも、ユースケースによっては優れた選択肢であ
り、購入者がそれぞれのメリットとデメリットを比較検討する必要があります。本書のアド
バイスがそのプロセスのお役に立つことを願っています。
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クラウドに関するお金の話
Hewlett Packard Enterprise 提供のコンテンツ
Hewlett Packard Enterprise の見解
サービスプロバイダーの IT ニーズの評価
パフォーマンスと予測可能性が一貫していないことを踏まえて、サービスプロバイダーの IT
ニーズを満たす最もコスト効果の高い方法を決定するのは簡単な作業ではありません。アセ
スメントを正確に行うためには、次のような数多くの要素を検討しなければなりません。
• パフォーマンスと可用性の要件
• アプリケーションとシステムの依存関係
• 財務上の要件と希望
• 事業の成長とワークロードの予測
• コンプライアンスとセキュリティの要件
• 予測されるその他の変更
Hewlett Packard Enterprise は、この課題に対してコンサルティングのアプローチを採用し、サー
ビスプロバイダーとの緊密な連携の中でどのようにクラウドサービスを活用しているのかを
理解してから、詳細な評価と提案を行います。このプロセスでの目標の 1 つは、パブリック
クラウドのコスト効果が低下するポイントを見定めると共に、パブリッククラウド上のワー
クロードを別のプラットフォーム ( プライベートクラウド、コロケーション、ハイブリッド
など ) に移行することでどれだけのコストが削減されるのかを判断することです。
柔軟な稼動方法の継続性
HPE は、近年の資金調達モデルや利用モデルのイノベーションを活用し、サービスプロバイ
ダーによる柔軟なキャパシティの導入を支援しています。キャパシティの柔軟性が高まるこ
とで、オンサイトの資産、データ、および管理機能の制御が可能となります。コストは、プ
ロバイダーがニーズに応じてキャパシティを調整できる変動型です。サービスプロバイダー
はこの方法を採ることで、コストの抑制、アジリティの向上、およびリスクの最小化が可能
になります。キャパシティの柔軟性が高ければプライベートとパブリックのバランスは保た
れ、プライベートクラウドの制御、セキュリティ、パフォーマンスとパブリッククラウドの
伸縮性と運用費用モデルのメリットが共存します。
IT 投資の見直しと計画
サービスプロバイダーが価格性能比の観点からインフラストラクチャのニーズを見直す際に
は、IT 投資のフィルタを通してシステムを検証してみることをお勧めします。HPE フィナン
シャルサービスは、変動的な利用モデル、従来型の資本投資と収益に沿ったコストの比較、
従量課金制の検討、運用費用と初期費用の比較、ハードウェア / ソフトウェアの適合性など、
さまざまな問題をメーカーにかかわらず評価します。HPE は、サービスプロバイダーごとに
異なるニーズに合わせて投資ソリューションをカスタマイズします。
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451 RESEARCH
クラウドバースト機能によるコスト効率の向上
多くのサービスプロバイダーはすでに、自社のデータ処理のニーズに最適なコスト効果の高
い選択肢は、必要に応じてパブリッククラウドへのバーストが可能なハイブリッドであると
いう決定を下しています。ハイブリッドクラウドのメリットの 1 つは、必要なときだけ追
加のコンピューティングリソースのコストがかかるという点です。月末処理での使用率の増
加やホリデーシーズンの事業拡大など、季節性で使用率が変化するサービスプロバイダーに
とって、これは重要な機能です。
パブリッククラウドプラットフォームのもう 1 つの選択肢
サービスプロバイダーに提供されている重要な HPE ツールの 1 つが、HPE Helion Eucalyptus
です。Eucalyptus は数少ない AWS API 対応のオープンソースクラウドプラットフォームの 1
つで、パブリッククラウドのワークロードをファイアウォール内に容易に移行できます。結
果としてコスト削減、データガバナンス、アプリケーションパフォーマンス、およびワーク
ロードモビリティが向上します。
サービスプロバイダーは、引き続き AWS の設計パターンを活用してクラウドアプリケーショ
ンを開発し、アプリケーションをファイアウォール内で安全に稼働させることで、顧客デー
タを保護し、その地域の規制に準拠できます。Eucalyptus は、既存のアプリケーションに変
更を加えることなく、レイテンシの影響を受けやすいアプリケーションやスケールアップ機
能が不可欠なアプリケーションのニーズに合わせてクラウドインフラストラクチャをチュー
ニングする機能を IT 組織にもたらします。
また、Eucalyptus を使用するサービスプロバイダーは、現行のツールセットをそのまま使
用し、パフォーマンスレベルも維持しながら、コスト効果を高めることができます。実際、
Eucalyptus ユーザーの中には、パブリッククラウドのコストを最大 50% 削減し、年間数十万
ドルの節約に成功している企業も存在します 1。サービスプロバイダーが事前設定した使用率
の上限を超えた場合には、パブリッククラウドへのバーストが可能です。この時、アプリケー
ションプログラムインターフェイスおよびエコシステムはそのままに、シームレスな拡張性
が約束されます。
瞬時に発揮される高い拡張性
先日発表の HPE お客様事例に記載されているとおり、ある新興サービスプロバイダーはわず
か 1 年の間に 3 社のパブリッククラウドプロバイダーを試してみましたが、その後 HPE と連
携して、ビジネスニーズの変化に応じて拡張し、進化し、地理的に移動できるハイブリッド
ソリューションの導入を進めました。このサービスプロバイダーの CEO は次のように語って
います。「既存のアプリケーションに適していて、瞬時に大規模なスケーリングが可能なプ
ラットフォームを探していました。ハイブリッドアプローチを採用したことで、地理的ニー
ズやビジネスニーズに対応して即座にスケーリングする機能を獲得できました。」このお客様
の場合、HPE はコストの削減とパフォーマンスの倍増を同時に達成するワークロード最適化
ソリューションを導入しました。
1. こちらをご覧ください。https://www.eucalyptus.com/customers/case-studies
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クラウドに関するお金の話
柔軟な移行サポート
システム変更が必要な場合には、HPE は無停止移行サポート ( サービスプロバイダーの
ファイアウォール内への再配備、本番稼働前のカットオーバーテストなど ) を提供しま
す。HPE ワークロード移行サービスでは、コンサルティングサービスやワークロード移
行プロセスを自動化するクラウド移行 SaaS プラットフォームなどを提供しています。移
行先として、サービスプロバイダーの内部リソースまたはリモートロケーションを選択
できます。また HPE は、ストレージ、移動、および移行に要するコストを把握し、計画
を策定するお手伝いもします。
高速移行サービスという形での移行サポートもご用意しています。これらの機能の活用
によって、サービスプロバイダーは既存のインフラストラクチャの柔軟性を高め、トラ
ンスフォーメーションを加速させ、既存のインフラストラクチャに新たなテクノロジー
を迅速に組み込むことができます。
重要ポイント
ソリューションおよび専門知識に基づいたコンサルティングの提供において幅広いリ
ソースと豊富な経験を持つ HPE が、特定のサービスに最適な配備モデルの決定をサポー
トします。HPE のワークロードを評価し、移行し、連携させる機能によって、コスト、
パフォーマンス、およびセキュリティ / コンプライアンスの要件を達成します。
次のステップ
HPE はサービスプロバイダーのお客様を対象に、以下のものを提供しています。
• 移行に成功したサービスプロバイダーのお客様の事例紹介
• ワークロード移行アセスメントサービス
• サービスプロバイダーに特化して設計されたソリューション
詳細については、次のコンテンツにアクセスしてください。hpe.com/info/sp
OpenStack® ワードマークと OpenStack ロゴは、米国およびその他の国における OpenStack Foundation
の登録商標 / サービスマークないしは商標 / サービスマークであり、OpenStack Foundation の許可を
得て使用されています。 当社は、OpenStack Foundation あるいは OpenStack コミュニティと提携した
り、推奨や資金提供を受けたりしていません。
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