「株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案」 「郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案」 本会議代表質問 2015年5月15日 民主党・無所属クラブ 武正公一 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました「株式 会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案」及び「郵便法及び民間事業者に よる信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案」につきまして、質問い たします。 昨日の安全保障法制の閣議決定は、昨年 7 月 1 日集団的自衛権行使容認へ憲 法解釈を変更して行われたものです。そもそも、一内閣が恣意的に自らの内閣 に都合のいいように憲法解釈を変更することは、独裁国家でなければ起こりえ ないことが起きていると言わざるを得ません。 NHK アーカイブスでは 5 月 10 日に、戦後 70 年 日本人はなぜ戦争へと向かっ たのか〜メディアと民衆〜の番組を再放送しました。NHK ラジオ放送がナチスヒ ットラーゲッベルス宣伝相の方法を真似して国民を戦争に駆り立てたことを NHK によって検証された番組です。 このように、放送と政治、TV と政治をめぐる関係について、まず、菅官房長官 に伺います。 3月27日夜、テレビ朝日系列「報道ステーション」で古賀茂明氏が、菅官 房長官を初め官邸の皆さんからバッシング、非難を受けてきたというようなこ とを言っております。 3月30日、官房長官からは、事実無根、また、放送法という法律があるの で、テレビ局がどう対応するか、しばらく見守りたいという記者会見がありま したが、改めてバッシング、非難を加えたのでしょうか? また、 「放送法という法律があるので、テレビ局がどう対応するか、しばらく 見守りたいと」言ったことですが、この「放送法という法律があるので」とい うのはどういう意味ですか。免許の停波という意味での放送法という言及では ないということでよろしいでしょうか。 安保法制の審議時間は十分とる必要があります。それは、安全保障の議論は 専門用語が飛び交い、またその安全保障技術の検証には時間を要するからです。 特に、国民主権のもと国民への説明責任を果たすことが欠かせません。その時、 メディア、とりわけ放送の果たす役割は大きいと考えます。いたずらに、政府 与党が放送や報道に圧力を加えていると受け止められることは、こうした安保 法制の審議、そして国民の理解への阻害要因になりかねません。 あらためて、官邸からの放送、報道への圧力はかけていない、かけないこと を放送法1条の放送の自律独立の担保という視点から官房長官に確認をします。 郵政民営化法改正から丸3年、施行から2年半が経過しました。 平成23年8月から民主党自民党公明党で郵政3党協議会を立ち上げ12回の 開催を通じ、平成24年3月政府提出の郵政改革法案を取り下げ、私が筆頭提 出者として郵政民営化法改正案提出となり衆参両院の審議を経て4月27日に 成立をみました。与野党で合意をし、法改正ができたのは行き過ぎた民営化の 見直しを求める動きが、4年前の震災復興財源として日本郵政株式売却益を見 込むことが背中を押したと考えます。あわせて、国民の生活の利便性に欠かせ ない郵政事業を郵便、貯金、簡易保険を一体として捉えユニバーサルサービス を守ることを基本に民営化を進めることに停滞は許されないとする与野党並び に郵政関係者の強い熱意と取り組みがあったからです。 同年10月1日から5社体制が4社体制に見直された日本郵政グループの経 営状況をどう判断しているのかを総務大臣に伺います。 連結決算は経常収益が減少し経常費用を削減することにより経常利益を確保 するという縮小均衡に陥っています。郵便等引き受物数等については平成23 年度から3年度は横ばいながら、平成13年度からは3割減です。ゆうちょ銀 行の預貯金残高は近年横ばい。しかしこれもピーク時から100兆円近く減少 する一方、他の民間金融機関は130兆円以上増加。かんぽ生命は総保有契約 数は過去10年で半減。新契約数は緩やかな回復となっています。。 日本郵政グループ各社は預入限度額や簡保の加入限度額の引き上げを求めて いますが、その見通しについて総務大臣、金融担当大臣に伺います。民主党政 権時代も預入限度額2000万円へ、簡易保険の受け入れ限度額2500万円 への引き上げを談話で発表した経緯もあります。しかし、国会状況のもと議論 が進まないまま、その後民間金融機関からの懸念もあり民営化法改正付帯決議 では当分の間引き上げないとしました。 一方、日本郵政株を上場して売却益を復興財源に4兆円を充てることについ ては昨年末にこの秋の日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の同時上場売 却方針が日本郵政グループが財務省と協議の上発表に至りました。法案審議時 には日本郵政の売却が念頭にありましたが、なぜ3社同時となったのか?財務 大臣に伺います。 また、ユニバーサルサービス確保のもと市場価値を上げるためには市場が受 け入れるビジネスモデルをどのように作ろうとしてきたのか、またしているの か総務大臣に伺います。 次に、海外通信・放送・郵便事業支援機構の運営についてお聞きします。 支援機構は、海外において、民主党政権下からも取り組んできた地デジ放送日 本方式も含め、通信・放送・郵便事業を行う日本の現地事業体に対して、出資 をはじめ、相手国政府との交渉、専門家の派遣など、事業への参画や運営支援 を行うこととしています。これらを行うためには、現地の政治情勢や社会状況 を熟知し、また、技術ノウハウをも熟知する専門家の活躍が重要な位置付けを 占めます。そうした人材の確保を支援機構は官民どの分野から準備し、どのよ うな身分で派遣するのでしょうか。派遣する専門家の確保と派遣実施の方法に ついて、また機構の役割を20年と区切ったことについて、総務大臣にお聞き します。 支援基準についてお聞きします。 この支援機構が支援の対象となる事業者や事業内容を決定するにあたって、 従うべき支援基準を総務大臣が定めることとしています。また、その支援基準 に従って、機構が支援内容を決定するためには、あらかじめ総務大臣の認可を 受けることとされており、総務大臣の判断が大変重要なものとなっています。 支援基準の策定と支援内容の決定の認可が公正、公正に行われるための客観的 な指標、担保が肝心となりますが、総務大臣の所見を問います。 次に他の政府出資支援組織との関係についてお伺いします。 今回の海外通信・放送・郵便事業支援機構のように、海外展開する企業を支 援する官民ファンドは他にも存在します。交通や都市開発の事業者の海外展開 を支援する「株式会社海外交通・都市開発事業支援機構」があります。出資支 援としては、日本企業による機械・設備や船舶等の輸出に対する支援、及び、 日本企業の海外でのインフラ事業参画への支援を業務の一つとするJBIC・ 株式会社国際協力銀行があります。さらに、開発途上地域への支援を行うJI CA・独立行政法人国際協力機構なども存在しています。今回、この新しい機 構を動かすにあたり、既存の支援機構とはどのようにすみわけ、あるいは連携 していくのか、今回なにゆえに通信・放送・郵便の三分野に限った支援機構を 改めて設置するに至ったのか、総務大臣に伺います。 特に、財務大臣には過去 JICA の海外投資が失敗した検証と、2011 年から再開 に至ってどのような再発防止策を講じているのかを伺います。 日本の海外で評判の高い税関業務については多くの海外からの研修生を受け 入れています。郵便貯金についても新興国のインフラ整備のためには欠かせな いノウハウがあると考えますが、支援機構に郵便貯金業務も加えることはどう でしょうか?総務大臣に伺います。 次に、 「郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正す る法律案」に関連してお聞きします。 安倍内閣が進める規制緩和議論のひとつとして規制改革会議において特定信 書便の業務範囲の見直しが取り上げられ、総務省情報通信審議会で「ユニバー サルサービス確保方策と特定信書便の業務範囲の見直し」として議論されてき た経過にあり、本法律案は、その一部「特定信書便の業務範囲の見直し」のみ を先行して法案化したものであります。 郵便事業におけるユニバーサルサービスは、国民・利用者があまねく公平に 享受できるインフラであり、国民生活に極めて重要なものとして、郵政民営化 法において、日本郵政グループに郵便に加えて貯金および保険のユニバーサル サービスを提供する責務を課しており、そのため、株主たる国としても確保の ための措置を講じる必要があるものと考えます。 法案策定の議論では、業務範囲の見直しがユニバーサルサービス確保に与え る影響を、日本郵便㈱の収益全体と比べて僅少であることから支障がないとの 説明がされていますが、売上高利益率から見れば決して少ない額ではなく、ユ ニバーサルサービス確保への影響を懸念する声があります。本法案がユニバー サルサービスに与える影響について、総務大臣にお聞きいたします。 信書の取り扱いについては、通信の秘密と信書送達のユニバーサルサービス 確保のため、一定のルールが必要と考えますが、総務大臣の見解をお伺いしま す。 また、本法案は、特定信書便の業務範囲の見直しを行うものでありますが、 ユニバーサルサービスが今後も安定的に提供されるためには、業務範囲のさら なる拡大が軽々に行われることのないよう、一定の歯止めをかけるべきと言わ れますが、総務大臣の見解をお伺いいたします。 ユニバーサルサービス確保の重要性から、総務省情報通信審議会において「ユ ニバーサルサービス確保方策」が議論されていますが、取りまとめには一定の 時間を要するものと想定され、本法案による規制緩和の方向性のみが先行する こととなります。 ユニバーサルサービスをきちんと確保していく方策についても、政府の責任 として明確に示すべきと考えますが、総務大臣の見解をお伺いいたします。 郵便事業、信書便事業は、国が国民に保障すべき重要なユニバーサルサービ スです。このサービス水準を堅持していく仕組みと民間による様々なサービス を工夫する視点の両面が、国民生活の向上に重要な視点であることを申し上げ、 私の質問を終わります。
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