開弦の場の理論における BV 形式について 岸本 功∗ 京都大学基礎物理学研究所 Abstract ボゾニックな開弦の場の理論の Batalin-Vilkovisky(BV) 形式の枠組みでの記述をレ ビューする。従来知られている線形なゲージ固定条件は、場-反場とゲージ固定フェル ミオンをうまく選ぶことで再現できる。また従来の他の流儀との関係や超弦の場合へ の拡張も議論する。 Contents 1 はじめに 1 2 BV 形式による記述 2.1 field-antifield と master 方程式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.2 gauge fixing fermion と trivial pair . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.3 gauge fixing fermion の consistency について . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 2 5 10 3 別の convention について 11 4 超弦の場の理論への拡張 13 A Wn 等について 20 B Gauge invariant overlap と BRST 不変性 22 C LPP vertex と conformal factor 23 はじめに 1 通常、Yang-Mills 理論などゲージ理論の量子化を行う際、BRST 形式を用いることが多いが、よ り一般のゲージ理論を扱う処方箋としては Batalin-Vilkovisky(BV) 形式 [1] が知られている。弦の 場の理論 (String Field Theory, SFT) は、相互作用を含めるとゲージ対称性の構造が複雑(次の 節でみるように運動方程式を満たすところではゲージ変換が独立でない)になっており、特に BV 形式を適用するのにちょうど良い例となっている。 弦の場の理論に BV 形式を適用するということは、古くから議論されていることであるが、 「BV 形式」自身にも一見異なって見える流儀があるため、弦の場の理論の専門家の間でもときどき互 いに誤解を生じることがある。そこで、ここでは主に [2] に従って BV 形式をボゾニックな開弦の ∗ ikishimo アットマーク yukawa.kyoto-u.ac.jp 1 場の理論に適用する方法を紹介した後、弦の場の理論の文脈で用いられている BV 形式の別の流 儀との関係についても述べる。(§3) また、近年 Siegel ゲージ以外の consistent なゲージ固定条件として a-ゲージ [3] と呼ばれるか なり違う形のゲージ固定条件も提唱されており、これを(一般には弦場について線形なゲージ条 件を)BV 形式の言葉で記述するとどうなるかということも議論する。さらに §4 では cubic な超 弦の場の理論への拡張についても議論する。1 BV 形式による記述 2 ここでは [2] の convention2 に従って、BV 形式をボゾニックな開弦の場の理論に適用する。 2.1 field-antifield と master 方程式 元々のゲージ不変な action を S0 [A] とおく: ( ) 1 1 1 S0 [A] = − 2 hA, QAi + hA, A ∗ Ai ; g 2 3 g(A) = 1, s(A) = 1. (1) g( ) は worldsheet ghost 数、s( )(mod 2) は total の Grassmann 性を表すことにする。S0 [A] はゲー ジ変換: δΛ0 A = QΛ0 + A ∗ Λ0 − Λ0 ∗ A; g(Λ0 ) = 0, s(Λ0 ) = 0, (2) のもとで不変であり、これは交換関係のもとで閉じている [δΛ(1) , δΛ(2) ]A = δ[Λ(1) , Λ(2) ] A 0 0 0 0 (3) ∗ ものであるが、A のゲージ変換のゲージパラメータ Λ0 の「ゲージ変換」 δΛ−1 Λ0 = QΛ−1 + A ∗ Λ−1 + Λ−1 ∗ A; g(Λ−1 ) = −1, s(Λ−1 ) = 1, (4) を考えると、A のゲージ変換の式は δΛ−1 (δΛ0 A) = (QA + A ∗ A) ∗ Λ−1 − Λ−1 ∗ (QA + A ∗ A) (5) より A が S0 [A] から導かれる運動方程式: QA + A ∗ A = 0 を満たしているなら不変である。つまり Λ0 による A のゲージ変換には up to がある。同様に負の worldsheet ghost 数の場に対するゲージ変換 (6) ∂ ∂A S0 [A] δΛ−n−1 Λ−n = QΛ−n−1 + A ∗ Λ−n−1 + (−1)n Λ−n−1 ∗ A, g(Λ−n ) = −n, s(Λ−n ) ≡ −n (mod 2), で不定性 (7) (8) (n = 0, 1, 2, · · · ) を考えると、それぞれ δΛ−n−1 (δΛ−n Λ−n+1 ) = (QA + A ∗ A) ∗ Λ−n−1 − Λ−n−1 ∗ (QA + A ∗ A) 1 (9) 文献によっては BV 形式を bosonic の場合と同様に適用できる、と簡単に言葉で済ませている場合もあるが、具体 的なことは書かれていないように思われるので、ここで少し丁寧に書いておく。 2 これは元々の [1] の convention に近い。 2 ∂ となることから、Λ−n によるゲージ変換にはいつも up to ∂A S0 [A] で不定性がある。以上より、 S0 [A] のゲージ変換は既約でなく、“∞-stage-reducible” である。このようなゲージ理論を BV 形 式で考えるとき、各段階でのゲージ変換に対応して、ゲージパラメータ Λ−n (n = 0, 1, 2, ...) に対 しゴースト場 Cn を導入する: gh(Cn ) = 1 + n, (Cn ) ≡ 1 + n (mod 2), g(Cn ) = −n, s(Cn ) = 1 . (10) ここで gh( ) は BV 形式の spacetime のゴースト数を表し、( ) は BV 形式の statistics (Z2 -grading) である。元々の場 A については gh(A) = 0, (A) ≡ 0 (mod 2), g(A) = 1, s(A) = 1 . (11) とする。形式的に n = −1 つまり A = C−1 と思ってもよい。ただし Grassmann 性については注意 ∑ が必要である。具体的には Λ−n = α λα −n |αi−n (|αi−n ∑は worldsheet ghost 数 −n の基底。以下 では添え字 α は運動量 pµ も含んでいるとし、従って、 α は pµ の積分も含めているとみなす。) の形であり、λα Grassmann 性 −n は Grassmann even な spacetime の場であるが、これに対応して ∑ α α 1 + n (mod 2) な spacetime の場:C−n を導入して Cn = C−n |αi−n としている。 さらに ΦA = (A, Cn ) (n = 0, 1, 2, · · · ) に対応してそれぞれの反場 (antifield) Φ∗A = (A∗ , Cn∗ ) (n = 0, 1, 2, · · · ) を導入する: gh(Cn∗ ) = −2 − n, (Cn∗ ) ≡ n (mod 2), g(Cn∗ ) = −n, s(Cn∗ ) = 0 . (12) ∗ := A∗ とした。) そして反括弧 (anti-bracket) ( , ) (n = −1, 0, 1, 2, · · · , ここで C−1 a.b. を以下のよ うに定義する: ) ∑ ( ∂r X ∂l Y ∂r X ∂l Y − (X, Y )a.b. = (13) ∂ΦA ∂Φ∗A ∂Φ∗A ∂ΦA A はそれぞれ右微分、左微分を表す。このとき場と反場の汎関数としての action S[ΦA , Φ∗A ] に対する master 方程式は3 ∂r ∂l ∂φ , ∂φ (S, S)a.b. = 2 ∂r S ∂l S =0 ∂ΦA ∂Φ∗A (14) であり、“proper solution” の境界条件としては S[ΦA , Φ∗A ]|Φ∗A =0 = S0 [A] (15) が課される。つまり、antifield を全部ゼロにすると、元のゲージ不変な作用に戻るという条件で ある。このような master 方程式の解が形式的には元の作用 (1) と同じ形で弦場 A を worldsheet ghost 数の制限を外したもの Ψ に置き換えた ( ) 1 1 1 A ∗ S[Φ , ΦA ] = − 2 hΨ, QΨi + hΨ, Ψ ∗ Ψi , (16) g 2 3 ∞ ∞ ∑ ∑ ∑ ∑ ∗ ∗ ∗ Ψ= Cn + Cn = Cnα |αi−n + Cn,α |α̃in+3 (−1)n (17) n=−1 n=−1 n≥−1,α n≥−1,α ∗ ≡ A∗ であり、∗ C ∗ は C ∗ の基底を BPZ で与えられることを確かめよう。ただし、C−1 ≡ A, C−1 −1 −1 内積に関する dual な基底に変えたものを意味する。つまり前者の基底を |αi−n とするとその dual 3 ここでは classical master 方程式のみ考えることにする。 3 は h|α̃i3+n , |βi−n i = δα,β となる |α̃in+3 で定義する。このような基底を {|αig , |α̃i3−g }g≤1 と定め たとき、一般に Ψ の “string Hodge dual” を ∑ ∗ Ψ = (|αig g hα| + |α̃i3−g 3−g hα̃|)Ψ (18) g≤1,α のように定義しよう。左から作用させていることに注意する。また、∗ の作用は Grassmann odd である。ここで bra は ket の BPZ 共役で定義している、つまり g hα| ≡ bpz(|αig ), 3−g hα̃| ≡ bpz(|α̃i3−g ) , bpz(|ψi)|φi = hR(1, 2)|ψi2 |φi1 = hψ, φi (19) (20) であり、今の bosonic open SFT の場合 reflector hR(1, 2)| = hR(2, 1)| は Grassmann odd である ことに注意する。さらに、完全性関係が ∑ 1 = (|αig 3−g hα̃| + |α̃i3−g g hα|) (21) g≤1,α とかけることから、string Hodge dual を続けて 2 回やると元に戻る:∗∗ Ψ = Ψ こともわかる。 (17) のようにかける Ψ のうち antifield に関する部分は gh(∗ Cn∗ ) = −2 − n, (∗ Cn∗ ) ≡ n (mod 2), g(∗ Cn∗ ) = 3 + n, s(∗ Cn∗ ) = 1 . (22) (n = −1, 0, 1, 2, · · · ) となり特に Ψ は Grassmann odd: s(Ψ) = 1 である。また (21) を使うと (S, S)a.b. = 2 ∑ ∂r S ∂l S 1 = 4 hQΨ + Ψ ∗ Ψ, QΨ + Ψ ∗ Ψi = 0 α ∗ ∂Cn ∂Cn,α g (23) n≥−1,α となり、master 方程式を満たすことがわかる。最後の等式は (A ∗ B) ∗ C = A ∗ (B ∗ C), Q2 = 0, Q(A ∗ B) = QA ∗ B + (−1)s(A) A ∗ QB, (24) hQA, Bi = −(−1) (25) s(A) hA, QBi, hA, Bi = (−1) s(A)s(B) hB, Ai, ∑ を使った。さらに worldsheet ghost 数の保存を考慮すると S[ΦA , Φ∗A = 0] = S0 [ n Cn ] = S0 [C−1 ] となり (16) は proper solution の境界条件 (15) を満たしている。またこの S[ΦA , Φ∗A ] は δB Ψ ≡ (Ψ, S)a.b. = − 1 (QΨ + Ψ ∗ Ψ) g2 (26) で与えられる offshell nilpotent な BRST 変換で不変である。成分場で書くとこの BRST 変換は δB Cnα = ∂l S 1 = − 2 h|α̃in+3 , (QΨ + Ψ ∗ Ψ)i, ∗ ∂Cn,α g ∗ δB Cn,α = − ∂l S (−1)n h|αi−n , (QΨ + Ψ ∗ Ψ)i, = − ∂Cnα g2 で与えられる。 4 (27) (28) 2.2 gauge fixing fermion と trivial pair 前節では元々のゲージ不変な作用 S0 [A] にそのゲージ変換の構造に従って field-antifield を追加し、 BV master 方程式の解である作用を求めた。次にその作用のゲージ固定を考えよう。そのために BV 形式の gauge fixing fermion Υ を用いて ∂Υ[ΦA ] ∂ΦA Φ∗A = (29) とう条件により antifield を消去することを考えよう。Υ[ΦA ] は field(antifield ではない)の汎関 数であり Grassmann odd なものである: gh(Υ) = −1, (Υ) = 1. (30) この条件を満たす Υ を構成するためには、前節で導入した field-antifield に加えてさらに負の spacetime ghost 数をもつ field(antifield ではない)を導入する必要がある。今の場合、∞-stage-reducible なゲージ理論だったので、その各段階に応じて (C¯sk , π̄sk ), (s = 0, 1, 2, · · · ; k : even, 0 ≤ k ≤ s), (31) (Csk , πsk ), (s = 1, 2, 3, · · · ; k : odd, 1 ≤ k ≤ s), (32) (s は各段階を表す添字、つまりは元々のゲージパラメータ Λ−s によるゲージ変換に対応する) だ け trivial pair を導入し4 proper solution である作用に Saux : ∞ ∞ ∑ ∞ ∞ ∑ ∑ ∑ h∗ πsk , Csk∗ i h∗ π̄sk , C¯sk∗ i + Saux = k=0 k:even s=k k=1 k:odd (33) s=k を付け加える。ここで C¯sk∗ , Csk∗ はそれぞれ C¯sk , Csk の antifield であり、ゴースト数等は Table 1 の ようになっている。各弦場は gh( ) ( )(mod 2) g( ) s( ) C¯sk k−s−1 s+1 1+k−s 0 π̄sk k−s s 1+k−s 1 Csk s−k s+1 1+k−s 1 πsk s−k+1 s 1+k−s 0 C¯sk∗ s−k s 1+k−s 1 Csk∗ k−s−1 s 1+k−s 0 Table 1: trivial pair. s = 0, 1, 2, · · · であり bar(¯) のついたものの添字 k は k : even, (0 ≤ k ≤ s),bar(¯) のついていないものの添字 k は k : odd, (1 ≤ k ≤ s) である。action には π̄sk∗ , πsk∗ は含 まれていないので省いた。また、action に付け加えた部分 Saux に含まれる ∗ π̄sk , ∗ πsk はそれぞれ π̄sk , πsk の基底の string Hodge dual をとったものであり、 g(∗ π̄sk ) = 3 − g(π̄sk ), g(∗ πsk ) = 3 − g(πsk ) および s(∗ π̄sk ) = 0, s(∗ πsk ) = 1 となる。なお、この表において形式的に k = −1 の場合を考えて Cs−1 ≡ Cs , Cs−1∗ ≡ Cs∗ (s = −1, 0, 1, 2, · · · ) と書いても consistent になっている。 Csk = ∑ Csk,α |αi1+k−s = α ∑ |αi1+k−s Csk,α , (34) α 4 一般に master 方程式の proper solution に対し、gh(Π) = gh(Λ)+1, (Π) = (Λ)+1(mod 2) を満たす field (Λ, Π) (とそれらの antifield (Λ∗ , Π∗ ): gh(Λ∗ ) = −gh(Λ) − 1, (Λ∗ ) = (Λ) + 1(mod 2), gh(Π∗ ) = −gh(Π) − 1, (Π∗ ) = R (Π) + 1(mod 2) )をさらに導入し、作用に dxΠΛ∗ を加えてもまた master 方程式と antifield をゼロにすると元に 戻るという境界条件を満たすので、(Λ, Π) は trivial pair と呼ばれる。 5 Csk∗ = ∑ α πsk = ∑ ∑ πsk,α |αi1+k−s = ∑ ∑ ∑ |αi1+k−s (−1)s πsk,α , (36) ∑ k |αi1+k−s (−1)s+1 C¯s,α , (37) α C¯sk∗,α |αi1+k−s = α π̄sk = (35) α k C¯s,α |αi1+k−s = α C¯sk∗ = k∗ |αi1+k−s (−1)s Cs,α , α α C¯sk = ∑ k∗ Cs,α |αi1+k−s = ∑ |αi1+k−s C¯sk∗,α , (38) α k π̄s,α |αi1+k−s = ∑ α k |αi1+k−s π̄s,α (39) α のように展開されるとする。(この展開は Csk , Csk∗ に対しては k = −1 のときも consistent である。) このとき、作用に付け加わる部分 Saux (33) は ∞ ∑ ∞ ∑ ∑ Saux = k=0 k:even k ¯k∗,α π̄s,α Cs + s=k α ∞ ∑ ∞ ∑ ∑ k=1 k:odd k∗ k,α Cs,α πs (40) s=k α となる。(作り方から当然であるがこの部分には k = −1 の場は入ってないことに注意しておく。) 以上のセットアップで、ここでは gauge fixing fermion Υ を π̄sk , πsk を含まないようにして、特に Υ = ∞ ∞ ∑ ∑ k=0 k:even k−1 h∗ C¯sk , P1+k−s Cs−1 i s=k + ∞ ∞ ∑ ∑ k=1 k:odd k−1 i h∗ Csk , P̃1+k−s C¯s−1 (41) s=k の形をとることにする。 (BV 形式の δ-function gauge fixing に対応。)ただし Pn , P̃n は worldsheet ghost 数 n の基底に作用する operator で g(Pn ) = g(P̃n ) = 0 のものであり bpz(Pn ) = P̃3−n , Pn + P̃n = 1, (Pn )2 = Pn , (P̃n )2 = P̃n (42) を満たす projection であると仮定する。さらに各 worldsheet ghost 数の基底を Pn の固有状態に とったとする。つまり {|αig } = {|βig , |γig }, {|α̃i3−g } = {|β̃i3−g , |γ̃i3−g }, 0 (g ≤ 1), 0 h|β̃i3−g , |β ig i = δβ,β 0 , h|γ̃i3−g , |γ ig i = δγ,γ 0 , Pg |βig = |βig , P̃g |γig = |γig , (43) (44) P̃3−g |β̃i3−g = |β̃i3−g , P3−g |γ̃i3−g = |γ̃i3−g . (45) このとき Pg = ∑ β P̃3−g = |βig 3−g hβ̃|, ∑ P̃g = ∑ |γig 3−g hγ̃|, γ |β̃i3−g g hβ|, P3−g = ∑ |γ̃i3−g g hγ| (46) (47) γ β と表すことができ ∗ (Pn |αin ) = P̃3−n ∗ (|αin ) となることに注意しておく。ゲージ固定条件 (29) よ り antifield は k−1 k+1 C¯sk∗ = P1+k−s Cs−1 + (−1)s+1 P̃1+k−s Cs+1 , (k = 0, 2, 4, · · · ; s ≥ k) k−1 k+1 k∗ s Cs = (−1) P̃1+k−s C¯s−1 + P1+k−s C¯s+1 , (k = 1, 3, 5, · · · ; s ≥ k) C ∗ = P−s C¯0 , (s ≥ −1) s s+1 6 (48) (49) (50) と表せる。今考えている total action である (16) と (33) の和:S + Saux にゲージ固定条件 (29) を 代入し、π̄sk , πsk を integrate out すると k−1 k+1 P1+k−s Cs−1 + (−1)s+1 P̃1+k−s Cs+1 = 0, k+1 k−1 s (−1) P̃1+k−s C¯ + P1+k−s C¯ = 0, s−1 s+1 (k = 0, 2, 4, · · · ; s ≥ k) (51) (k = 1, 3, 5, · · · ; s ≥ k) (52) が課されるが projection の性質から Csk = 0 , (k = 1, 3, 5, · · · ; s ≥ k), C¯sk = 0 , (k = 2, 4, 6 · · · ; s ≥ k), 0 0 Cs∗ = C¯s+1 , P−s Cs = 0, P̃−s C¯s+1 = 0, (53) (54) (s ≥ −1) , (55) となる。結局、ゲージ固定した作用は π̄sk , πsk を 消去後、Saux は消えるので (16) の部分だけになり ( ) 1 1 1 Sfix = − 2 hΨf , QΨf i + hΨf , Ψf ∗ Ψf i , (56) g 2 3 ∞ ∞ ∑ ∑ ∗ ¯0 0 Ψf = Cn + Cn+1 , P−n Cn = 0, P3+n ∗ C¯n+1 = 0, (n ≥ −1) (57) n=−1 n=−1 となる。つまり、これで弦場について線形なゲージ固定条件を再現できたことになる。 具体的に知られているゲージ固定条件の場合を以下で見ていこう。最もよく使われている Siegel ゲージ (b0 Ψ = 0) の場合は gauge fixing fermion Υ (41) を指定する projection を Pn = c0 b0 , ととった場合である。 より一般に linear b-gauge [6] つまり ∑ (2k+1) ( vm bm )|Φi2k+1 = 0, n∈Z (58) ∑ (2k+1) bpz( vm bm )|Φi2−2k = 0 m (59) m の場合 (ここで |Φin は worldsheet ghost 数 n の部分である。)、v0 6= 0 ならば P2k+1 = ∑ 1 (2k+1) c0 ( vm bm ), v0 m P2−2k = ∑ 1 (2k+1) c0 bpz( vm bm ) v0 m (60) ∑ (2k+1) ∑ (2k+1) ととった場合と等価になる。このとき ( m vm bm )P2k = ( m vm bm ), bpz(P2k+1 ) = 1 − P2−2k などに注意しておく。 もっと複雑な式で与えられる Asano-Kato の a-ゲージの場合を考えよう。a = ∞ の場合も含 めて(ただし摂動的に ill defined な a = 1 を除いて)ゲージ固定条件は [4] の SGF の補助場 B−n+4 を integrate out すると得られ bpz(Oah−n+4i )|Φin = 0 , 1 bpz(Oahn+4i ) = (b0 + ab0 c0 Wn+2 M n+1 Q̃), (n ≥ −1) , 1−a 1 bpz(Oah1−ni ) = b0 (1 − Pn+1 ) + (b0 Pn+1 + ab0 c0 Q̃M n+1 Wn+2 ), 1−a (61) (62) (n ≥ −1) (63) となる。(M, Q̃, Wn , Pn については §A 参照。)このとき [4] にある propagator を含む関係式を使 うと、projection として P−n = Q bpz(Oahn+4i ), L0 7 n∈Z (64) と選ぶことができる。ここで、L0 が分母に現れるのが微妙かもしれないのでとりあえず L0 6= 0 の hn+4i 場合に限ると b0 P−n = bpz(Oa ) より、(57) は a-ゲージ条件と等価であり、BV 形式により得 られたゲージ固定作用 (56) は [4] の SGF の補助場 B−n+4 を integrate out した作用に他ならない。 なお、(64) を Siegel ゲージの場合の projection c0 b0 (58) とは次のように関係づけることがで きる。まず、 Q̃ − LQ̃ b0 b e L0 0 c 0 e 0 = Q L0 (65) とかけることに注意する。このとき、 P−n = Q̃ Q b − Q̃ b 0 bpz(Oahn+4i ) = e L0 0 P−n e L0 0 L0 (66) とすると { 0 P−n = { ϕ−n = c0 b0 + c0 b0 + a 0 n+1 Q̃ 1−a c0 Wn+2 M a −n−2 W −n−1 1−a c0 Q̃M (n ≥ −1) = eϕ−n c0 b0 e−ϕ−n , (n ≤ −2) a 0 c0 Wn+2 (n ≥ −1) − 1−a M n+1 Q̃ , a −n−2 − 1−a c0 Q̃M W−n−1 (n ≤ −2) (67) (68) 0 0 P−n + bpz(Pn+3 )=1 (69) が(worldsheet ghost 数 −n の状態の上で)成り立つ。なお、 ϕ−n = −bpz(ϕn+3 ) (n ∈ Z) (70) に注意しておく。まとめると Q̃ − LQ̃ b0 P−n = e L0 0 eϕ−n c0 b0 e−ϕ−n e b (71) 0 のように similarity 変換で Siegel ゲージの場合とつながっており、 − LQ̃ b0 P−n = bpz(e−ϕn+3 e 0 − LQ̃ b0 )c0 b0 e−ϕ−n e (72) 0 とも書き直せる。また、 − LQ̃ b0 e−ϕ−n e 0 − LQ̃ b0 P−n = c0 b0 e−ϕ−n e 0 = c0 bpz(Oahn+4i ) (n ∈ Z) (73) という関係もある。 以上の BV 形式による記述で Υ (41) でゲージ固定した場合 (antifield を (48),(49),(50) で消去 した場合で (π̄sk , πsk を消去する前)) の BRST 変換 δBΥ を一般に δBΥ X = (X, S + Saux )a.b. |Φ∗ = A ∂Υ ∂ΦA (74) とした場合、5 ゲージ固定作用はこの変換のもとで不変であり: δBΥ SΥ = (SΥ , S + Saux )a.b. |Φ∗ = A SΥ ≡ (S + Saux )|Φ∗ = A 5 ∂Υ ∂ΦA = 0, ∂Υ ∂ΦA ここでの anti-bracket ( , )a.b. は ΦA , Φ∗A として trivial pair も全部含めて定義した (13) である。 8 (75) ( ) 1 1 1 = − 2 hΨΥ , QΨΥ i + hΨΥ , ΨΥ ∗ ΨΥ i g 2 3 ∞ ∞ ∑ ∑ k−1 k+1 + h∗ π̄sk , (P1+k−s Cs−1 + (−1)s+1 P̃1+k−s Cs+1 )i + k=0 s=k k:even ∞ ∑ ∞ ∑ k+1 k−1 )i, h∗ πsk , ((−1)s P̃1+k−s C¯s−1 + P1+k−s C¯s+1 k=1 k:odd ∑ ΨΥ ≡ (76) s=k Cn−1 + ∑ 0 P̃n+3 ∗ C¯n+1 , (77) n≥−1 n≥−1 場に対しては次のように変換する: 1 h|α̃in+3 , (QΨΥ + ΨΥ ∗ ΨΥ )i, (n ≥ −1), g2 = πnk,α , (k = 1, 3, 5, · · · ; k ≤ n), δBΥ Cn−1,α = − δBΥ Cnk,α δBΥ πnk,α k δBΥ C¯n,α k δBΥ π̄n,α = 0, n = (−1) k π̄n,α , = 0, (78) (79) (k = 1, 3, 5, · · · ; k ≤ n), (80) (k = 0, 2, 4, · · · ; k ≤ n), (81) (k = 0, 2, 4, · · · ; k ≤ n). (82) ここで、 δ B Υ ΨΥ = − ∑ 1 ∂ r SΥ (QΨΥ + ΨΥ ∗ ΨΥ ) − |α̃in+3 −1,α 2 g ∂Cn (83) n≥−1,α となることに注意してこの BRST 変換を 2 回やると 2 C −1,α = δB Υ n 1 g2 ∑ h|α̃in+3 , (ΨΥ ∗ |α̃0 im+3 + (−1)m |α̃0 im+3 ∗ ΨΥ )i m≥−1,α0 ∂ r SΥ −1,α ∂Cm 0 , (84) 2 C k,α = 0, δB Υ n (k = 1, 3, 5, · · · ; k ≤ n), (85) 2 π k,α δB Υ n 2 ¯k C δB Υ n,α 2 δB π̄ k Υ n,α (k = 1, 3, 5, · · · ; k ≤ n), (86) = 0, = 0, = 0, (k = 0, 2, 4, · · · ; k ≤ n), (87) (k = 0, 2, 4, · · · ; k ≤ n). (88) つまり、up to gauge fixed action の運動方程式: ∂r SΥ ∂Cn−1,α = 1 0 h|αi−n , (QΨΥ + ΨΥ ∗ ΨΥ )i + h|αi−n , P̃n+3 ∗ π̄n+1 i, g2 (n ≥ −1) (89) で nilpotent (つまり onshell nilpotent) である。 ここで比較のため、Asano-Kato [3] のゲージ固定作用: SGF = − ∞ 1 ∑ g hΦn , QΦ2−n i − 2 n=−∞ 3 ∑ l+n+m=3 hΦl , Φm ∗ Φn i + ∞ ∑ h(OB)3−n , Φn i (90) n=−∞ を考えよう。これは ηδB Φn = η(OB)n (n > 1), 9 (91) ∞ ∑ ηδB Φn = η(QΦn−1 + g Φn−k ∗ Φk ), (n ≤ 1), (92) k=−∞ ηδB Bn = 0 (93) という BRST 変換のもとで h(OB)n , (OB)3−n i = 0 なら不変である。この BRST 変換を 2 回や ると 2 δB Φn = 0 2 δB Φn = g (n > 1), ∑ ( ∂SGF k>1 ∂SGF ∂Φ3−k ∂Φ3−k ∗ Φn−k − Φn−k ∗ ∞ ∑ ≡ −QΦk−1 − g ∂SGF ∂Φ3−k (94) ) , (n ≤ 1), Φk−m ∗ Φm + (OB)k , (95) (96) m=−∞ 2 δB Bn = 0 (97) となり、やはり onshell nilpotent である。 2.3 gauge fixing fermion の consistency について ここでは前節で与えた gauge fixing fermion Υ (41) によるゲージ固定に関して、BV 形式におけ る rank の条件を考えよう。 antifield は (48),(49),(50) により消去されるが、今 Saux (33) の形からゲージ条件としては (51),(52) が課されることになり、結局 (53),(54),(55) に帰着する。つまり、(53),(54) の部分は完 全に消去される。残る部分 (55) に関して考えるために、元々のゲージ理論 S0 [A](1) の(運動方 程式 QA + A ∗ A = 0 のある解 A0 のまわりの)ゲージ変換の独立な自由度を考えよう。Csαs (s = −1, 0, 1, 2, · · · ) の場の数つまりそれぞれの αs の数を(形式的に)ms と書く。(今 SFT なの で一般には通常の時空の場の無限個分あるが。)§2.1 にあるようにそれぞれゲージ変換による不定 性があるので、Csαs の独立な場の数 ns は ms より少なく、 ns = ∞ ∑ (−1)t−s mt (98) t=s で与えられる。この数とゲージ条件のうち (55) の P−s Cs = 0 の consistency から rank(P−s ) = ms − ns = ns+1 , rank(P−s QA0 P̃−s−1 ) = ns+1 , QA0 Φ ≡ QΦ + A0 ∗ Φ − (−1) s(Φ) (99) (s = −1, 0, 1, 2, · · · ), (100) Φ ∗ A0 (101) という条件になる。2番目の rank の条件はゲージ変換で unique にゲージ条件をみたすようにで きる、ということからくる。つまり、これは δCs = QA0 Cs+1 , (s = −1, 0, 1, 2, · · · ) (102) というそれぞれの場の「ゲージ変換」の自由度を固定する条件、ということになり (少なくとも L0 6= 0 に限れば) a-ゲージの場合の P−n で A0 = 0 のまわりでは consistency が満たされること 0 は [3] で示されているゲージ条件の consistency よりわかる。このとき (55) より P̃−s C¯s+1 = 0 から 0 C¯s+1 の独立な場の数は ms − rank(P̃−s ) = rank(P−s ) = ns+1 個になる。 このとき古典解 A0 まわりの作用で (53),(54),(55) の条件を課したものの運動項は ( ) ∑ 1 1 0 hC−1 , (P2 QA0 P̃1 )C−1 i + − 2 h∗ C¯s+1 , (P−s QA0 P̃−s−1 )C1+s i (103) g 2 s≥−1 という形をしていて、残った独立な自由度が propagate する。 10 3 別の convention について 前節までのようなゲージ条件、つまり projection Pn , bpz(Pn ) = 1 − P3−n ≡ P̃3−n で定まる線形 ゲージ条件 Pn |Φin = 0, ∀n ∈ Z (104) が consistent なゲージ条件を与えているとしよう。このとき trivial pair を導入する前の proper solution S[ΦA , Φ∗A ] (16) における弦場 Ψ (17) の成分場を (43) の基底を用いて次のように書き換 えてみる: ) ∑ (∑ 0γ m 0∗ Ψ = (Cm |γi−m + (−1) Cm,γ |γ̃i3+m ) γ m≥−1 ∑ (∑ + m≥−1 0β (Cm |β̃i3+m ) + 0∗ (−1)m+1 Cm,β |βi−m ) . (105) β つまり、(17) の成分場と比べると、 0γ Cm = ∑ α 3+m hγ̃|αi−m Cm , (106) ∗ −m hγ|α̃i3+m Cm,α , (107) α 0∗ Cm,γ = ∑ α 0β Cm = (−1)m ∑ α 0∗ Cm,β = (−1)m+1 ∗ −m hβ|α̃i3+m Cm,α , ∑ α 3+m hβ̃|αi−m Cm , (108) (109) α という線形な変換をしていることになる。前節で定義した時空のゴースト数 gh と Grassmann 性 の関係をみると 0γ 0∗ gh(Cm ) + gh(Cm,γ ) = −1, 0β 0∗ gh(Cm ) + gh(Cm,β ) = −1, 0γ 0∗ (Cm ) + (Cm,γ ) ≡ 1 (mod 2), 0γ 0β 0∗ (Cm ) + (Cm,β ) ≡ 1 (mod 2) (110) (111) 0β 0∗ , C 0∗ ) をそれぞれに対応する antifield という形をしているので、(Cm , Cm ) を field とみなし、(Cm,γ m,β とみなすことにしよう。このとき (108),(109) においては元の場と比べて field-antifield が逆になっ ていることに注意しておく。するとこの線形変換 (106),(107),(108),(109) は anti-bracket を保つ正 準変換になっている: ) ∑ ( ∂r X ∂l Y ∂r X ∂l Y (X, Y )a.b. ≡ − ∗ ∗ ∂C α ∂Cnα ∂Cn,α ∂Cn,α n n≥−1,α ( ) ) ( ∑ ∑ ∂r X ∂l Y ∂r X ∂l Y ∂r X ∂l Y ∂r X ∂l Y + = − 0∗ − ∂C 0∗ 0∗ 0∗ 0β ∂Cn,γ ∂Cn0γ ∂Cn,γ ∂Cn0γ ∂Cn0β ∂Cn,β n,β ∂Cn n≥−1,γ ≡ (X, Y n≥−1,β )0a.b. . (112) プライム (0 ) のついた field-antifield を基準としても、ゲージ固定する前の BRST 変換を δB X = (X, S)a.b. で定義する限り、作用 S (16) は master 方程式を満たし、Ψ は同じ変換になる: (S, S)a.b. = 1 hQΨ + Ψ ∗ Ψ, QΨ + Ψ ∗ Ψi = 0, g4 11 (113) δB Ψ = − 1 (QΨ + Ψ ∗ Ψ). g2 (114) つまり、作用は BRST 不変で δB は offshell nilpotent になる: δB S = 0, 2 Ψ = 0. δB (115) さて、このとき (弦場の worldsheet ghost 数の制限を外した) 作用 S (16) に対し、次のような ゲージ変換を考えよう: ∑ ∂l ∂r S ∂l ∂r S B Λ + Λ∗ , ∂Φ∗A ∂ΦB ∂Φ∗A ∂Φ∗B B B B ∑ ∂l ∂r S ∑ ∂l ∂r S ΛB − Λ∗ . = − B ∂ΦA ∂Φ ∂ΦA ∂Φ∗B B δ Λ ΦA = δΛ Φ∗A ∑ (116) (117) B B 0γ 0β 0∗ , C 0∗ )) すると作用 S (16) は master 方程式よりこのゲージ変換の (ΦA = (Cm , Cm ), Φ∗A = (Cm,γ m,β もとで不変である: ← − ← − 1∑ 1∑ ∂ ∂ B δΛ S = − (S, S)a.b. B Λ − (S, S)a.b. ∗ Λ∗B = 0. 2 ∂Φ 2 ∂ΦB B (118) B このとき Ψ のゲージ変換の式は δΛ Ψ = ∑ A ) ( ← − ← − ∂ ∂ ∗ A = QΛ + Ψ ∗ Λ − Λ ∗ Ψ (δB Ψ) Λ Λ + ∂ΦA ∂Φ∗A A (119) と書ける。ただし、最後の等号で ΦA と ΛA , Φ∗A と Λ∗A はそれぞれ Grassmann 性が逆であるとし、 ) ( ← − ← − 1 ∑ ∂ ∂ ∗ A Λ = − 2 (120) Λ Ψ Λ + g ∂ΦA ∂Φ∗A A A とおいた。 次にこの convention におけるゲージ固定を考える。gauge fixing fermion Υ0 を用いて antifield 0∗ 0∗ ) を消去しよう。ここでは Υ0 ≡ 0 とする。つまり、ゲージ固定条件は単に antifield の (Cm,γ , Cm,β 0∗ = 0, C 0∗ = 0). すると、ゲージ固定作用 S 0 は ほうをゼロにとる:(Cm,γ Υ m,β SΥ0 ΨΥ0 ) ( 1 1 1 0 0 0 0 0 hΨ , QΨ i + hΨ , Ψ ∗ Ψ i , Υ Υ Υ Υ Υ g2 2 3 ) ∑ ∑ (∑ ∑ 0γ 0β = P̃n Ψ = Cm |γi−m + Cm |β̃i3+m . = − n∈Z m≥−1 γ (121) (122) β ここで projection P̃n は (46), (47) の意味で書いている。(項別に各 worldsheet ghost 数の部分に ∑ 作用する。)ΨΥ0 はゲージ固定条件 n∈Z Pn ΨΥ0 = 0 を満たす。これは、(56) の Sfix に他ならな い。6 ゲージ固定したあとでの BRST 変換 δBΥ0 は δBΥ0 ΨΥ0 = (ΨΥ0 , S)a.b. |Φ0∗ =− A =0 1 ∑ P̃n (QΨΥ0 + ΨΥ0 ∗ ΨΥ0 ). g2 (123) n∈Z 6 この SΥ0 は master 方程式の解 S において antifield を全部ゼロにして得られたものなので、表面上は (15) と違う 境界条件を満たすことになるが、こうして得られた作用 SΥ0 は前節までのやり方で最終的に得た Sfix と同じである。 この節でのプライムつきの field-antifield は BV 形式において gauge fixed basis と呼ばれるものである。 12 ∑ 特に、Siegel ゲージの場合 n∈Z P̃n = b0 c0 であり、この式は Hata-Shinohara [5] に書いてある BRST 変換の式と等価である。この変換の元で、ゲージ固定した作用は不変である: = δBΥ0 SΥ0 = (SΥ0 , S)a.b. |Φ0∗ A =0 (bpz ∑ n∈Z P̃n = ∑ n∈Z Pn 2 δB ΨΥ0 Υ0 ∂SΥ0 ∂ΨΥ0 =1− 1 hQΨΥ0 + ΨΥ0 ∗ ΨΥ0 , QΨΥ0 + ΨΥ0 ∗ ΨΥ0 i = 0. (124) 2g 4 ∑ n∈Z P̃n に注意する。) また、場に対し 2 回変換すると ) ( 1 ∑ ∂SΥ0 ∂SΥ0 ∂SΥ0 = − 2 P̃n Q + ΨΥ0 ∗ − ∗ ΨΥ0 , (125) g n ∂ΨΥ0 ∂ΨΥ0 ∂ΨΥ0 1 ∑ ≡ − 2 Pn (QΨΥ0 + ΨΥ0 ∗ ΨΥ0 ) (126) g n となり onshell nilpotent である。 超弦の場の理論への拡張 4 以下では cubic な超弦の場の理論の場合に BV 形式を適用することを考える。ここで扱う理論は modified cubic superstring field theory (SSFT) である。スター積と「積分」の定義を少し変える と、見た目は bosonic のときとほとんど同じものになる。弦場を NS sector の弦場 A と R sector の弦場 Ψ をまとめて A = (A, Ψ) と書き、それらのスター積 (? 積) を A1 ? A2 = (A1 ∗ A2 + X̄Ψ1 ∗ Ψ2 , A1 ∗ Ψ2 + Ψ1 ∗ A2 ) (127) と定義する。X̄ ≡ X(−i) は z = −i においた picture changing operator X であり X(z) = {Q, ξ(z)} (128) で与えられる。これは Q と可換で picture 数 1 をもつ。 (Q は NSR 定式化の BRST operator であ る。)∗ 積は bosonic の場合と全く同様に、(つまり何も挿入しない LPP vertex で)定義されるも のである: ∑ ∑ |αi ∗ |βi = |γih|γ̃i, |αi ∗ |βii = |γihf(1) [Oγ̃ ]f(2) [Oα ]f(3) [Oβ ]i, (129) γ γ f(r) (z) = h−1 (e i (1−r) 2π 3 2 3 h(z) ), h(z) = 1 + iz . 1 − iz (130) ここで {|γi} は完全系であり、|γ̃i はその BPZ 内積に関する dual:h|γ̃i, |γ 0 ii = δγ,γ 0 であり、conformal vacuumH |0i に対して |αi = Oα |0i のように書いている。また、作用を書き下すため、A = (A, Ψ) の「積分」 を以下のように定義しよう: I A = hI|Y−2 |Ai. (131) ここで hI| は identity state であり、Y−2 ≡ Y (i)Y (−i) は double step inverse picture changing operator である。7 これは Y−2 X̄ = X̄Y−2 = Y ≡ Y (i) (132) という性質をもつ、Q と可換で picture 数 −2 のものとする。また Y (z) は inverse picture changing operator であり、 Y (z) = c∂ξe−2φ (z) 7 (133) 実は Y−2 の取り方として chiral なものも知られているが、よく用いられている non-chiral なものを挙げた。 13 で与えられ Q と可換で picture 数 −1 をもつ。また上記の積分について、 I A1 ? A2 = hI|Y−2 |A1 ∗ A2 i + hI|Y |Ψ1 ∗ Ψ2 i = hA1 , Y−2 A2 i + hΨ1 , Y Ψ2 i が成り立つことにも注意しておく。 以上の準備のもと、modified cubic SSFT の作用は ) I ( 1 1 S0 [A] = A ? QA + A ? A ? A 2 3 1 1 1 hA, Y−2 QAi + hA, Y−2 A ∗ Ai + hΨ, Y Ψi + hA, Y Ψ ∗ Ψi = 2 3 2 (134) (135) (136) と書かれるものであり、これはゲージ変換 δΛ0 A = QΛ0 + A ? Λ0 − Λ0 ? A (137) δΛ0 A = Qλ0 + A ∗ λ0 − λ0 ∗ A + X̄(Ψ ∗ χ0 − χ0 ∗ Ψ), (138) δΛ0 Ψ = Qχ0 + A ∗ χ0 − χ0 ∗ A + Ψ ∗ λ0 − λ0 ∗ Ψ, (139) あるいは NS, R 成分で書くと の元で不変である。ここで S0 の中に入っている、弦場 A = (A, Ψ) は worldsheet ghost 数は 1 を もち、Grassmann 性は odd であるとする。(ゲージ変換の弦場 Λ0 = (λ0 , χ0 ) は worldsheet ghost 数 0 Grassmann even である。)また、picture 数は NS sector は 0, R sector は −1/2 に限ってい る。bosonic の場合と同様に Λ0 のゲージ変換を考えよう。ghost 数 −1, Grassmann odd の弦場 Λ−1 = (λ−1 , χ−1 ) を用いて δΛ−1 Λ0 = QΛ−1 + A ? Λ−1 + Λ−1 ? A (140) あるいは NS, R 成分で書くと、 δΛ−1 λ0 = Qλ−1 + A ∗ λ−1 + λ−1 ∗ A + X̄(Ψ ∗ χ−1 + χ−1 ∗ Ψ), (141) δΛ−1 χ0 = Qχ−1 + A ∗ χ−1 + χ−1 ∗ A + Ψ ∗ λ−1 + λ−1 ∗ Ψ, (142) という変換を (137) に施すと δΛ−1 (δΛ0 A) = (QA + A ? A) ? Λ−1 − Λ−1 ? (QA + A ? A) (143) あるいは NS, R 成分で書くと、それぞれ δΛ−1 (δΛ0 A) = (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) ∗ λ−1 − λ−1 ∗ (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) +X̄[(QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A) ∗ χ−1 − χ−1 ∗ (QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A)], (144) δΛ−1 (δΛ0 Ψ) = (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) ∗ χ−1 − χ−1 ∗ (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) +(QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A) ∗ λ−1 − λ−1 ∗ (QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A), (145) となる。相互作用がなければ、Q2 = 0 より、δΛ−1 (δΛ0 A) は恒等的にゼロであるが相互作用があ る場合、QA + A ? A = 0 ならゼロである。素朴にはこれは運動方程式に見えるが、作用の積分の 定義に Y−2 が入っているので作用の変分は δS0 = Y−2 (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ), δA 14 δS0 = Y (QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A), δΨ (146) となることに注意する。つまり、運動方程式は NS, R 成分でそれぞれ書くと Y−2 (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) = 0, Y (QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A) = 0 (147) である。従って、worldsheet ghost 数 2 の部分で NS sector の Y−2 の kernel, R sector の Y の kernel の部分だけ、運動方程式は QA+A?A = 0 とは異なることになる。これは (144),(145) は、ゲージ変 換 δΛ0 に(up to KerNS (Y−2 ), KerR (Y ) で)onshell で不定性があることになる。同様に worldsheet ghost 数 −n − 1 をもつ弦場 Λ−n−1 = (λ−n−1 , χ−n−1 ) による Λ−n = (λ−n , χ−n ) のゲージ変換を δΛ−n−1 Λ−n = QΛ−n−1 + A ? Λ−n−1 − (−1)n+1 Λ−n−1 ? A (148) δΛ−n−1 (δΛ−n Λ−n+1 ) = (QA + A ? A) ? Λ−n−1 − Λ−n−1 ? (QA + A ? A). (149) で定義すると あるいは NS, R 成分で書くと、 δΛ−n−1 (δΛ−n λ−n+1 ) = (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) ∗ λ−n−1 − λ−n−1 ∗ (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) +X̄[(QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A) ∗ χ−n−1 − χ−n−1 ∗ (QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A)], (150) δΛ−n−1 (δΛ−n χ−n+1 ) = (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) ∗ χ−n−1 − χ−n−1 ∗ (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) +(QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A) ∗ λ−n−1 − λ−n−1 ∗ (QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A), (151) となり、やはりゲージ変換 δΛ−n に(up to KerNS (Y−2 ), KerR (Y ) で)onshell で不定性があること になる。よって KerNS (Y−2 ), KerR (Y ) が無視できるとすると、bosonic のときと全く同様にゲー ジ変換が onshell で ∞-stage reducible ということになる。そこで以下では Y−2 , Y の kernel を除く projection をそれぞれ ℘Y−2 , ℘Y と書くことにしよう。( ℘2Y−2 = ℘Y−2 , ℘2Y = ℘Y が成り立つとす る。)すると、運動方程式は ℘Y−2 (QA + A ∗ A + X̄Ψ ∗ Ψ) = 0, ℘Y (QΨ + A ∗ Ψ + Ψ ∗ A) = 0 (152) と等価である。ここで、Y (z) = c(z)δ 0 (γ(z)) とも書けることから Ker(Y (±i)) が c(±i)|φi, (γ(±i))2 |φi (153) の形だけである (|φi は任意の「適切な」状態) とすると何も挿入しない 3 弦 LPP vertex hV3 | は (r) hV3 (1, 2, 3)|℘Y−2 = hV3 (1, 2, 3)|, (r) hV3 (1, 2, 3)|℘Y = hV3 (1, 2, 3)|, (154) (r = 1, 2, 3) を満たす。([7] あるいは (231) 参照。)よって (℘Y−2 A) ∗ B = A ∗ (℘Y−2 B) = A ∗ B, (155) (℘Y A) ∗ B = A ∗ (℘Y B) = A ∗ B (156) が成り立つことがわかる。従って、(150), (151) において ∗ 積のところに ℘Y−2 , ℘Y が挟まってい ると思えることになり、この意味で bosonic のときと同様に onshell で ∞-stage reducible という ことになる。 各 stage のゲージ変換の弦場 Λ−n = (λ−n , χ−n ) (n = 0, 1, 2, 3, · · · ) に対応して spacetime の ghost 場 C−n = (c−n , d−n ) を導入しよう。より具体的には弦場の ket 表示でゲージ変換の弦場 Λ−n = (λ−n , χ−n ) をそれぞれ ∑ ∑ (0) (−1/2) |λ−n i = λα−n |αi−n , |χ−n i = χα−n |αi−n (157) α α 15 のように展開したとき(ここで R sector の χn の添字 α は spacetime spinor の足も含んでいる)、 worldsheet ghost 数 g, picture 数 pic, spacetime(係数場) の Grassmann 性 , total(弦場全体) の Grassmann 性 s はそれぞれ g(λ−n ) = −n, pic(λ−n ) = 0, g(χ−n ) = −n, 1 pic(χ−n ) = − , 2 (λ−n ) = 0 (mod 2), (χ−n ) = 1 (mod 2), s(λ−n ) = n (mod 2), (158) s(χ−n ) = n (mod 2), (159) である。これらに対応して spacetime の Grassmann 性を n-stage の n に応じて変えた場 Cn = (cn , dn ) を導入する。ket 表示では ∑ ∑ (0) (−1/2) |cn i = cnα |αi−n , |dn i = dnα |αi−n , (160) α α のように展開したとき、spacetime ghost 数 gh は gh(cn ) = gh(dn ) = n + 1 (161) とし、 g(cn ) = −n, pic(cn ) = 0, (cn ) = n + 1 (mod 2), g(dn ) = −n, 1 pic(dn ) = − , 2 (dn ) = n (mod 2), s(cn ) = 1 (mod 2), (162) s(dn ) = 1 (mod 2), (163) となる。また、もともとの場も形式的に n = −1 の場合とみなして、A = C−1 = (c−1 , d−1 ) と書く ことにする。これら Cn (n ≥ −1) の (spacetime) field それぞれに対して、antifield Cn∗ = (cn∗ , dn∗ ) を導入する。つまりそれぞれ ∑ ∑ (0) (−1/2) ∗ ∗ |cn∗ i = cn,α |αi−n , |dn∗ i = dn,α |αi−n , (164) α α のように展開したとすると、spacetime の ghost 数、Grassmann 性、を BV 形式に則って割り当て て、spacetime ghost 数 gh は gh(cn∗ ) = gh(dn∗ ) = −n − 2 (165) とし、 g(cn∗ ) = −n, pic(cn∗ ) = 0, (cn∗ ) = n (mod 2), g(dn∗ ) = −n, 1 pic(dn∗ ) = − , 2 (dn∗ ) = n + 1 (mod 2), s(cn∗ ) = 0 (mod 2), (166) s(dn∗ ) = 0 (mod 2), (167) となる。 bosonic の場合と全く同様に「一つの弦場」で field-antifield を worldsheet ghost 数の制限を外 したものとしてまとめて表したいと思うと、Cn∗ = (cn∗ , dn∗ ) の “string Hodge dual” をとるとよい と思われるが、NS,HR sector の picture はそれぞれ 0, −1/2 という制限は保ちたいので、単なる BPZ 内積ではなく A ? B つまり、NS sector は hA, Y−2 Bi, R sector は hA, Y Bi に関する dual をとることにする。そうすれば dual を取ったあとも picture 数を変えない。 ここで注意すべきことは、Y−2 あるいは Y が BPZ 内積に挟まっているために、それらの kernel は自明に落ちてしまうことである。dual を一意に定義するためには、これらの kernel の部分を除 (0) いておかねばならない。NS sector については worldsheet state の基底 {|αig } のかわりに、Y−2 (0) の kernel を除く ℘Y−2 をかけた空間を張る worldsheet state の基底を {|α̂ig } と書くことにし、R (−1/2) sector については worldsheet state の基底 {|αig 16 } のかわりに、Y の kernel を除く ℘Y をかけた (−1/2) 空間を張る worldsheet state の基底を {|α̂ig (g ≤ 1) の string Hodge dual をそれぞれ 0 (0) ˜ h|α̂i 3−g , Y−2 |α̂ ig i = δα̂,α̂0 , (0) (0) (−1/2) } と書くことにしよう。そして、|α̂ig , |α̂ig (−1/2) ˜ h|α̂i 3−g , Y |α̂0 i(−1/2) i = δα̂,α̂0 , g , (168) ˜ ˜ を満たす |α̂i であるとする。一般には弦場 Φ = (φ, ψ) の string Hodge dual ∗ Φ = 3−g , |α̂i3−g (∗ φ, ∗ ψ) は (∑ ( (0) (0) ) ∗ ˜ (0) (0) hα̂|Y ˜ −2 φ, Φ ≡ |α̂ig g hα̂|Y−2 + |α̂i 3−g 3−g (0) (−1/2) g≤1,α̂ ∑( + (−1/2) |α̂i(−1/2) g g hα̂|Y + ˜ (−1/2) (−1/2) hα̂|Y ˜ |α̂i 3−g 3−g ) ) ψ (169) g≤1,α̂ で定義することにする。ここで、bra はそれぞれ対応する ket の BPZ 共役で定義している。今、 small Hilbert space を考えているため、BPZ 内積は h0|e−2φ ∂ 2 c∂cc(0)|0i 6= 0 で、Y−2 , Y は Grassmann even とする。ここで conformal vacuum |0i も Grassmann even とすると、その bra h0| は Grassmann odd である。従って、BPZ 共役をとると偶奇性が逆になるので、この左から作用させ る、上記の string Hodge dual は bosonic のときと同様に Grassmann odd である。 この string Hodge dual を 2 回続けてやると、一般に (∑ ) ( (0) (0) ∗∗ ˜ −2 + |α̂i ˜ (0) (0) hα̂|Y−2 φ, Φ = |α̂ig 3−g hα̂|Y 3−g g g≤1,α̂ + ∑( (−1/2) ˜ |α̂ig(−1/2) 3−g hα̂|Y ) ˜ (−1/2) (−1/2) hα̂|Y ψ + |α̂i g 3−g ) (170) g≤1,α̂ = (℘Y−2 φ, ℘Y ψ), (171) となる。初めから projection をかけておくと、string Hodge dual 2 回で元に戻る、つまり ∗∗ (℘Y−2 φ, ℘Y ψ) = (℘Y−2 φ, ℘Y ψ). (172) さらに projection ℘Y−2 , ℘Y はそれそれ kernel を落とすという定義から Y−2 ℘Y−2 = Y−2 , Y ℘Y = Y (173) bpz(℘Y )Y ℘Y = Y (174) であるが、これらの BPZ 共役をとることで bpz(℘Y−2 )Y−2 ℘Y−2 = Y−2 , を満たすことがわかる。さらに、Y−2 , Y は Q と可換であることから、 bpz(℘Y−2 )Y−2 Q℘Y−2 = Y−2 Q, bpz(℘Y )Y Q℘Y = Y Q (175) となる。このことと、(154) より元のゲージ不変な作用 S0 [A = (A, Ψ)] (136) の中の弦場は projection が初めからかかっている Â = (℘Y−2 A, ℘Y Ψ)] とみなしてよい: S0 [A] = S0 [Â]. (176) さらに projection について (173) より ℘Y−2 Q℘Y−2 = ℘Y−2 Q, 17 ℘Y Q℘Y = ℘Y Q, (177) が成り立つことにも注意すると、8 ゲージ変換や n-stage ゲージ変換の弦場 Λn についても NS sector には ℘Y−2 , R sector には ℘Y をかけておくことにすれば、onshell で ∞-stage reducible というこ とになる。したがって、対応する ghost およびそれらの antifield たちについても弦場に projection がかかっていると考えればよい。つまり、field としては Cˆn = (ĉn , d̂n ) (n ≥ −1): ∑ ∑ (0) (−1/2) cnα̂ |α̂i−n , |d̂n i = ℘Y |dn i = dnα̂ |α̂i−n , (178) |ĉn i = ℘Y−2 |cn i = α̂ α̂ ∗ antifield としては Cˆn∗ = (ĉ∗n , d̂n ) (n ≥ −1): ∑ (0) ∗ |ĉ∗n i = ℘Y−2 |cn∗ i = cn, α̂ |α̂i−n , ∗ |d̂n i = ℘Y |dn∗ i = α̂ ∑ ∗ dn, α̂ |α̂i−n (−1/2) , (179) α̂ ∗ を取ることにしよう。そして antifield のほうを string Hodge dual で 1 対 1 に ∗ Cˆn∗ = (∗ ĉn∗ , ∗ d̂n ): ∑ ∑ ∗ ∗ ∗ ˜ (0) n ∗ ∗ ∗ ˜ (−1/2) n+1 |ĉn i = cn, |d̂n i = dn, , (180) α̂ |α̂in+3 (−1) , α̂ |α̂in+3 (−1) α̂ α̂ に map し、まとめて Ψ̂ = (φ̂, ψ̂): ∑ ∑ ∗ ˆ∗ Cˆn + Cn ; Ψ̂ = φ̂ = n≥−1 n≥−1 ∑ ĉn + n≥−1 ∑ ∗ ∗ ĉn , n≥−1 ∑ ψ̂ = n≥−1 d̂n + ∑ ∗ ∗ d̂n , (181) n≥−1 を考えよう。これは NS sector, R sector にそれぞれ projection ℘Y−2 , ℘Y をかけた picture 数 0, −1/2 の、worldsheet ghost 数の制限をはずした worldsheet の state に total の Grassmann 性が odd にな るように spacetime の係数場をかけた弦場である。anti-bracket は (13) において、ΦA = (cnα̂ , dnα̂ ), ∗ , d ∗ ) と見なすことで定義する。さて、この anti-bracket を用いた master 方程式 Φ∗A = (cn, α̂ n,α̂ (S, S)a.b. = 0 を考えよう。bosonic の場合と全く同様になっている、と期待して (176) において、 Â を ghost 数の制限を外した上記の Ψ̂ で置き換えた作用 ) I ( 1 1 S[Ψ̂] ≡ S0 [Ψ̂] = Ψ̂ ? QΨ̂ + Ψ̂ ? Ψ̂ ? Ψ̂ (182) 2 3 1 1 1 = hφ̂, Y−2 Qφ̂i + hφ̂, Y−2 φ̂ ∗ φ̂i + hψ̂, Y ψ̂i + hφ̂, Y ψ̂ ∗ ψ̂i (183) 2 3 2 を考えその anti-bracket を計算しよう。まず、 ∂r S ∂cnα̂ ∂r S ∂dnα̂ ∂l S ∗ ∂cn, α̂ = h|α̂i−n ∂l S ∗ ∂dn, α̂ ˜ = h|α̂i n+3 , Y (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i, (0) = h|α̂i−n , Y−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i, (−1/2) , Y (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i, (184) (185) (0) (186) (−1/2) (187) ˜ = h|α̂i n+3 , Y−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i, と (171) に注意すると、 (S, S)a.b. = 2 ∑ ∂r S ∂l S ∑ ∂r S ∂l S +2 ∗ ∗ α̂ ∂cn ∂cn,α̂ ∂dnα̂ ∂dn,α̂ n≥−1,α̂ n≥−1,α̂ 8 (188) 実際、 (より強い条件を満たす)Q と可換である projection の具体形は R sector については [7] で NS sector につ いては [8] で与えられている。 18 = ∑ ( (0) (0) ˜ hY−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂), |α̂i−n ihY−2 |α̂i n+3 , (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i n≥−1,α̂ ) ˜ (0) ihY−2 |α̂i(0) , (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i +hY−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂), |α̂i −n n+3 ∑ ( (−1/2) ˜ (−1/2) , (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i + hY (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂), |α̂i−n ihY |α̂i n+3 n≥−1,α̂ ) ˜ (−1/2) ihY |α̂i(−1/2) , (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i +hY (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂), |α̂i −n n+3 = hY−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂), ℘Y−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i +hY (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂), ℘Y (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i = h(Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂), Y−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i +h(Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂), Y (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i I = (QΨ̂ + Ψ̂ ? Ψ̂) ? (QΨ̂ + Ψ̂ ? Ψ̂) = 0. (189) と計算される。ここで最後の等式では bosonic の場合と同様の公式 (A ? B) ? C = A ? (B ? C), Q2 = 0, Q(A ? B) = QA ? B + (−1)s(A) A ? QB, (190) I I I QA = 0, A ? B = (−1)s(A)s(B) B ? A, (191) を用いた。つまり、(183) の作用は master 方程式の解である。また、これは antifield をゼロにす ると worldsheet ghost 数の保存より元に戻る: ∗ =0,d ∗ =0 = S0 [Â] S[Ψ̂]|cn, n,α̂ α̂ (192) という境界条件を満たすことにも注意しておこう。 このとき、(184), (185), (186), (187) を用いると、BV 形式における BRST 変換は anti-bracket で δB Ψ̂ = (Ψ̂, S)a.b. ( ∑ ) ( (0) α̂ ˜ (0) (c ∗ , S)a.b. , = |α̂i−n (cn , S)a.b. + |α̂i n+3 n,α̂ n≥−1,α̂ ∑ ( (−1/2) |α̂i−n (dnα̂ , S)a.b. ˜ (−1/2) (d ∗ , S)a.b. + |α̂i n,α̂ n+3 ) ) n≥−1,α̂ = ( ∑ ( (0) ˜ (0) , (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i |α̂i−n hY−2 |α̂i n+3 n≥−1,α̂ ) ˜ (0) hY−2 |α̂i(0) , (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂)i , +|α̂i −n n+3 ∑ ( (−1/2) ˜ (−1/2) , (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i |α̂i−n hY |α̂i n+3 n≥−1,α̂ ) ) (−1/2) (−1/2) ˜ +|α̂in+3 hY |α̂i−n , (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂)i ( ) = ℘Y−2 (Qφ̂ + φ̂ ∗ φ̂ + X̄ ψ̂ ∗ ψ̂), ℘Y (Qψ̂ + φ̂ ∗ ψ̂ + ψ̂ ∗ φ̂) (193) のように計算される。これは off-shell nilpotent である。また、もし projection が Q と可換、つま り ℘Y−2 Q = Q℘Y−2 , ℘Y Q = Q℘Y ならば δB Ψ̂ = QΨ̂ + Ψ̂ ? Ψ̂ となる。 謝辞 いろいろと議論し重要なコメントをくださった畑浩之氏、九後汰一郎氏、国友浩氏、高橋智彦氏 に感謝します。 19 Wn 等について A ここでは a-ゲージ条件を考える際に使う M, Q̃, Wn , Pn の定義・性質を挙げておく。([3], [4]) Kato-Ogawa の BRST 演算子 Q を ghost zeromode b0 , c0 に関して展開すると (b0 c0 あるいは c0 b0 を含む項は含まれていないので) Q = Q̃ + c0 L0 + b0 M (194) となる。L0 = {Q, b0 } は total Virasoro generator の zeromode であり、 M = −2 ∞ ∑ nc−n cn , Q̃ = n=1 ∑ c−n Lmat + n n6=0 1 2 ∑ (m − n)cm cn b−m−n , (195) m,n,m+n6=0 である。Q の nilpotency Q2 = 0 から Q̃2 = −L0 M, [L0 , M ] = [Q̃, M ] = [L0 , M ] = 0, (196) が成り立つことがわかる。また、 M− = − ∞ ∑ 1 b−n bn , 2n (197) n=1 とおくと ghost charge から b0 , c0 部分を除いて作れる9 ∞ Mz = 1∑ (c−n bn − b−n cn ) 2 (198) n=1 とともに、su(1, 1) 代数を成す: [M, M − ] = 2Mz , [Mz , M ] = M, [Mz , M − ] = −M − . (199) これらを用いて Wn ≡ Wn0 ≡ ∞ ∑ i=0 ∞ ∑ i=0 ( (ただし a b (−1)i ((n + i)!)2 (−1)i ((n + i)!)2 ( ( n+i−1 i n+i−1 i ) ) M i (M − )n+i , (200) (M − )n+i M i (201) ) = a! b!(a−b)! .) と定義すると、M と M − の順序が違うが BPZ 共役の関係式 bpz(M ) = −M, bpz(M − ) = −M − , bpz(Mz ) = −Mz , (202) から Wn0 = (−1)n bpz(Wn ) (203) という関係にある。ここで eλM M − e−λM = M − + 2λMz − λ2 M, [M m , M − ] = M m−1 m(2Mz + m − 1), (204) 通常の ghost charge N g は conformal vacuum |0i を ghost 数ゼロ、つまり N g |0i = 0 とした場合は N g = Ñ + c0 b0 + 1 = 2Mz + c0 b0 + 1 という関係にある。 9 g 20 を使うと数学的帰納法により ∑ Min(m,k) − k m [M , (M ) ] = − k−l (M ) M m−l l−1 ∏ m!k! (2Mz + m − k − n) l!(m − l)!(k − l)! (205) n=0 l=1 (m, k = 1, 2, 3, · · · ) となることを示せる。この両辺の BPZ 共役をとって整理すると ∑ Min(m,k) − k m [(M ) , M ] = M m−l − k−l (M ) l−1 ∏ m!k! (−2Mz + k − m − n) l!(m − l)!(k − l)! (206) n=0 l=1 となる。2Mz = N g − c0 b0 − 1 (N g は worldsheet ghost charge) であることを思い出すと b0 c0 |g = n + 1i, c0 b0 |g = n + 2i ∈ FMz =n/2 (207) (|gi は N g = g の固有状態、FMz =n/2 は Mz = n/2 の固有空間とする。) の上では (205) より [M i , (M − )n+i ]FMz =n/2 = 0 (208) となる。したがって (200),(201) より Wn FMz =n/2 = Wn0 FMz =n/2 (209) となるので、結局 b0 c0 |g = n + 1i, c0 b0 |g = n + 2i ∈ FMz =n/2 に作用する場合だけを考えるとき は Wn と Wn0 は等価である。さらに (205) を使うと、 M n Wn FMz =n/2 = M n Wn0 FMz =n/2 ( )( ) ∞ ∑ n ∑ (−1)i n+i−1 n = (M − )n+i−l M n+i−l FMz =n/2 i l ((n + i − l)!)2 i=0 l=0 ( )( ) ∞ ∑ n ∑ (−1)i n+i−1 n = (M − )l+i M l+i FMz =n/2 i l ((l + i)!)2 i=0 l=0 ( n k ) ( )( ) ∞ k ∑∑ ∑ ∑ (−1)i n+i−1 n (M − )k M k FMz =n/2 = + i k−i (k!)2 k=0 i=0 k=n+1 i=k−n = FMz =n/2 . (210) 最後の等式は )( ) n+i−1 n (−1) = δk,0 , i k−i i=0 ( )( ) k ∑ n+i−1 n (−1)i = 0, i k−i k ∑ ( i (k = 0, 1, 2, · · · , n) (211) (k = n + 1, n + 2, · · · ) (212) i=k−n を使った。同様に、(206) を使うと Wn M n FMz =−n/2 = Wn0 M n FMz =−n/2 ( )( ) ∞ ∑ n ∑ (−1)i n+i−1 n M n+i−l (M − )n+i−l FMz =−n/2 = i l ((n + i − l)!)2 i=0 l=0 21 = ∞ ∑ n ∑ (−1)i ((l + i)!)2 i=0 l=0 n ∑ k ∑ ( = )( ) n+i−1 n M l+i (M − )l+i FMz =−n/2 i l ) )( ) ( k ∑ (−1)i n+i−1 n M k (M − )k FMz =−n/2 i k−i (k!)2 ∞ ∑ + k=0 i=0 ( k=n+1 i=k−n = FMz =−n/2 . (213) となる。 ここで b0 c0 |g = n + 1i, c0 b0 |g = n + 2i ∈ FMz =n/2 (n = 0, 1, 2, · · · ) に作用する operator と して Pn = − 1 Q̃M n Wn+1 Q̃ L0 (214) を考えると、(210), (213) よりこれは Pn2 = Pn Q̃Pn = Q̃, (215) という projection になっている。 B Gauge invariant overlap と BRST 不変性 ここでは gauge invariant overlap OV (Ψ)10 を作用に付け足すことを考える。(Shapiro-Thorn の open-closed vertex hγ̂| を用いて OV (Ψ) = hγ̂(1c , 2)|φV i1c |Ψi2 などと書くことにする。) つまり ゲージ不変な作用 SV として S0 [A] (1) にこの gauge invariant overlap を付け加えた SV [A] = S0 [A] + OV (A) (216) を考えよう。これはゲージ変換 δΛ A = QΛ + A ∗ Λ − Λ ∗ A, (g(Λ) = 0) の元で不変である。運動 方程式は “closed string state” |ΦV i1 ≡ hγ̂(1c , 2)|φV i1c |R(2, 1)i (217) QA + A ∗ A = g 2 ΦV (218) の分だけ変更を受け となるが、on-shell closed state |φV i1c が local であるつまり φV (0)|0i1c の形である限り V (i)|Ii とい う形をしているので、(中点の微妙さを除くと) 形式的にはスター積の元で可換つまり (V (i)|Ii)∗Λ = Λ ∗ (V (i)|Ii) が成り立つ。すると、(9) からわかるように同じゲージ変換の形のままで up to 運動 ∂ 方程式 ∂A SV [A] で ∞-stage reducible という状況になる。したがって、この作用においても全く 同様に ghost for ghost... などとして field Cn とその antifield Cn∗ を入れることにして、 Ψ= ∞ ∑ n=−1 Cn + ∞ ∑ n=−1 ∗ ∗ Cn = ∑ n≥−1,α Cnα |αi−n + ∑ ∗ Cn,α |α̃in+3 (−1)n (219) n≥−1,α とおくと、 ∂r SV ∂Cnα 10 = − 1 h(QΨ + Ψ ∗ Ψ), |αi−n i + OV (|αi−n ), g2 詳細はたとえば [9] 参照。 22 (220) ∂l SV ∗ ∂Cn,α = − 1 h|α̃in+3 , (QΨ + Ψ ∗ Ψ)i + OV (|α̃in+3 ), g2 (221) と g(ΦV ) = 2, QΦV = 0, hΦV , ΦV i = 0 および OV (ψ ∗ φ) = (−1)s(ψ)s(φ) OV (φ ∗ ψ) (222) となることに注意すると (SV , SV )a.b. = 2 ∑ ∂r SV ∂l SV ∗ ∂Cnα ∂Cn,α n≥−1,α 1 2 = h(QΨ + Ψ ∗ Ψ), (QΨ + Ψ ∗ Ψ)i − 2 OV (QΨ + Ψ ∗ Ψ) + hΦV , ΦV i 4 g g 2 = − 2 OV (Ψ ∗ Ψ) = 0 (223) g となり、master 方程式を満たす。この作用 SV のもとで BRST 変換 δBV X ≡ (X, SV )a.b. は δBV Ψ = − 1 (QΨ + Ψ ∗ Ψ) + ΦV g2 (224) となる。master 方程式より δBV SV = 0 であるが δBV OV (Ψ) = δB OV (Ψ) = OV (δB Ψ) = 0 (225) となり V = 0 の BRST 変換 δB (26) のもとで gauge invariant overlap は不変であり、したがって 作用 (216) も不変になっている:δB SV = 0. C LPP vertex と conformal factor canonical な上半面を 1 + iz 1 − iz h(z) = (226) により単位円に map したときに対称になる n-string LPP vertex hVn |: hVn |A1 i1 |A2 i2 · · · |An in = hfn,(1) [OA1 ]fn,(2) [OA2 ] · · · fn,(n) [OAn ]i (227) を考える。ここで fn,(r) (z) = h−1 (e− 2πr i n 2 h(z) n ), (r = 0, 1, · · · , n − 1) (228) である。conformal factor はこの map の微分 d f (z) = dz n,(r) 2 2πr ) 2 −2 8 e− n i h(z) n ( − 2πr i n h(z) n 1 + e n 1 + z2 (229) により与えられる。もし、conformal weight h の場 φ を用いて |Ar i = φ(±i)|ai となるものを 0 (227) に代入したとすると、conformal factor として (fn,(r) (±i))h がかかることになる。ここで z − (±i) ≡ としたとき || 1 では 0 fn,(r) (z)|z∼±i ∝ n −1 2 23 (230) と評価されるので、3 弦バーテックス以上の場合発散する 0 fn,(r) (±i) = ∞, (n > 2). (231) つまり、負の conformal weight をもつ φ(±i) (たとえば c(±i) や γ(±i))が前にかかっていると |Ar i = φ(±i)|ai のとき hVn |A1 i1 |A2 i2 · · · |Ar ir · · · |An in 0 = (fn,(r) (±i))h hfn,(1) [OA1 ]fn,(2) [OA2 ] · · · fn,(r) [Oa ] · · · fn,(n) [OAn ]i (232) となり、(右辺の CFT correlator が発散しなければ)3 弦バーテックス以上に寄与しないことに なる。 References [1] I. A. Batalin and G. A. Vilkovisky, Phys. Rev. D 28, 2567 (1983) [Erratum-ibid. D 30, 508 (1984)]. [2] J. Gomis, J. Paris and S. Samuel, Phys. Rept. 259, 1 (1995) [arXiv:hep-th/9412228]. [3] M. Asano and M. Kato, Prog. Theor. Phys. 117, 569 (2007) [arXiv:hep-th/0611189]. [4] M. Asano and M. Kato, Nucl. Phys. B 807, 348 (2009) [arXiv:0807.5010 [hep-th]]. [5] H. Hata and S. Shinohara, JHEP 0009, 035 (2000) [arXiv:hep-th/0009105]. [6] M. Kiermaier, A. Sen and B. Zwiebach, JHEP 0803, 050 (2008) [arXiv:0712.0627 [hep-th]]. [7] T. Kugo and H. Terao, Phys. Lett. B 208, 416 (1988). [8] C. R. Preitschopf, C. B. Thorn and S. A. Yost, Nucl. Phys. B 337, 363 (1990). [9] T. Kawano, I. Kishimoto and T. Takahashi, Nucl. Phys. B 803, 135 (2008) [arXiv:0804.1541 [hep-th]]. 24
© Copyright 2024 Paperzz