すいせん保育所の教育 - 社会福祉法人 幸生会

このたび、この「すいせん保育所の教育」を上梓しました。
今、我々の保育所では制度改正のうねりの中で教育の方向性を模索しています。しかし、
時代の要請によりこれからの幼児教育のあり方がどのように変化しようとも、
「子どものよ
り良い成長」を願う保育者としての我々の思いに変わることはありません。
本書は誠に小さな冊子ですが、現在の我々の教育の起点を改めて確認する貴重なものと、
ささやかな自負を得たところです。
社会福祉法人
理事長
保育所の保育教育は
幸生会
金森
従雄
∼発達の連続性を踏まえた体験からの学び∼
保育所に長年勤め、0歳児から小学校入学前のお子さんの育つ姿を見てきました。子ど
もは「ほっといても大きくなる」と言う人もいますが、子どもは自然に育つものではなく、
子どもを取り巻く環境に刺激を受けて「たのしい」
「くやしい」気持ちや「あんなふうにな
りたい」という思いを膨らませ、様々なことに挑戦し、
「失敗を乗り越える力」や「生きる
力」の基礎がこの幼児期に育ちます。
また、就学前の幼児教育は「学ぶ土台づくり」とも言われています。保育所では0歳児
からの発達の連続性を踏まえた様々な経験(運動・自然に触れる・音楽・造形活動・人と
関わる体験など)をする機会を作っています。集団でのこれらの体験を通して「これはな
んだろう?」「やってみたいな」という気持ちや「すごいね!」「やったね」と自分を認め
られる経験が、
「もっと・・したい」という学びへの意欲につながっていきます。
幸生会の保育所では、共通の保育理念と保育目標を持ち保育しています。保育の方法に
おいては、各地域や子ども、保護者の実情に合わせた保育を展開しており、今回はその一
部をまとめましたので、ご覧いただければ幸いです。
社会福祉法人
幸生会
児童福祉担当常勤理事
− 1 −
京極
久子
寺岡すいせん保育所の教育
保育所の保育は、保育所保育指針をガイドラインとして運営されています。
その内容は、養護及び教育を一体的に行うものです。では、
「養護」
「教育」はどのようなことな
のかです。養護とは、生命の保持(子どもの健康や安全を守ること)と情緒の安定(子どもが心か
ら安心できる関わりをすること)のふたつがあります。そして教育とは、子どもが保育所の生活で、
様々な活動や体験を通して、豊かな心情、意欲、態度を身に着けていくために、保育士が「健康」
「人間関係」「環境」「言語」「表現」の5つの領域でとらえ保育士が行う援助です。この援助は大
人が一方的に働きかけるものではなく、子どもが様々な活動や物事に興味を持ち、体験しようとす
る意欲や主体性が育つように環境を作っていくことが大切です。子どもの意欲や主体性が、将来を
作り出す基礎となる力です。その力をつけていくのが、保育です。
上記のことを踏まえて、寺岡すいせん保育所では今年度の保育を幸生会の理念に基づき次の計画
を立て保育を展開しています。
≪保育理念≫ 豊かな愛情と信頼関係の中で共に育ちあう
∼今を最もよく生き、未来を作り出す力を培う∼
≪保育内容≫
① 異年齢交流・・・交流の中で遊びの広がりを図り、他者への憧れいたわりの気持ち(優しさ)を育み
ます。
② リズム・わらべうた遊び・・・リズムで全身を使った表現遊びをして様々な動きを経験し、わらべうた
あそびでは保育士や友だちとの関係を深めていきます。
③ 運動遊び・・・様々な運動遊びを取り入れ、自分の体の使い方を知り、丈夫な体作りを目指します。
④ 食育・・・野菜作りの体験、伝統食の伝承、クッキング、食材への興味を持ち実際に触れてみます。
⑤ 造形遊び・・・自由に表現することの楽しさを味わいます。
≪子どもの姿≫
○5歳児クラスでは4月、前年から引き継いだ「ザリガニ」を
大事に育ててきました。
7月の夏祭りに向けてお神輿のテーマを話し合うと、
クラスの大事な『ざーり』(ザリガニの名前)に決まり
力を合わせての造形活動、お祭りへの参加になりました。
○3歳未満児の小さいクラスでの交流保育で
す。ホールに運動用具を様々に並べ、各年
齢の成長に合わせ、体を動かしています
2歳でも、自分より小さい子どもに優しくし、
0歳でも、大きい子どもの真似をしようとし
ています。
○畑にたくさんの夏野菜が育ちました。収穫までの間、
芽が大きくなった、花が咲いた、昨日より大きくなったと
野菜の変化に気付き、3歳児が収穫したキュウリを塩も
みクッキングをしました。緑の野菜が苦手な子どもも、
「おいしいね」と言いながら、おかわりして食べていました。
− 2 −
保育の中の教育
新田すいせん保育所
保育所では、保育所保育指針・幼稚園教育要領・認定子ども園教育保育要領に基づき、養護と教育を一体化した
保育を行っています。
保育所の教育は「発達の連続性を考慮し、遊びや自然、人との関わりを通して豊かな心を育て、さまざまな環境
を通した実体験から、子どもが主体的に行動する力を育む、いわば『生きる力の基礎作り』
『学ぶ土台の基礎作り』
につながっています。
保育目標から見る教育
☆丈夫な子ども
① 健康習慣を身につける
② 安全の為のルールを学ぶ
③ 健康な体づくり
(交通安全教室)
(マットの坂登り)
(鉄棒でぶらさがり遊び) (跳び箱に挑戦)
☆人の気持ちがわかる子ども
0歳児では、愛着関係を作ること。一人一人の子どもの思いを大事に、
「嫌なこと」
「嬉しいこと」
など言葉で伝える力を伸ばしています。また集団の中で友達と関わり、一緒に遊ぶ楽しさを味わい、
時には『喧嘩』して互いの思いを伝えあい、相手の気持ちを知る機会も大事にします。
みんなと一緒に力を合わせ、集団で活動する中で達成感や満足感を味わえるようにします。
(お年寄りとの交流)
(こころひとつによさこい踊り)
☆自分で考えて行動する子ども
自分の思いと違う人がいることに気づき、相手のことに自分の身
に置きかえて考える。「どうしたらいいか」を考え合う機会を大
切にします。また、色々なことに挑戦し、失敗を乗り越える力を育て
ていきます。子どもの発見・努力・工夫・感動を認め、共感し、時に
は励まし見守り、子どもが主体的に行動する力を育みます。
(話し合い活動)
☆友達と力を合わせる子ども
共通の目的に向かって話し合い、活動や遊び
を工夫する。友達と力を合わせ、やり遂げる
達成感や充実感や満足感・達成感を共有する
機会を作ります
(
「おおきくなーれ!」と苗植え)
(みんなで植えたピーマン収穫)
☆創造性豊かな子ども
自然や音楽・造形活動・物語に触れる機会を作り、見る・聞く・嗅ぐ・触れる・味わうなど五感
で感じられる様々な体験を工夫します。その中で子どもの感性を大事に、創造性を豊かにします。
(音楽に合わせてだんごむしを体で表現)
(畑の野菜、生長をスケッチ)
− 3 −
(虫いたよ! みんなで観察)
原町すいせん保育所の教育
1. 保育所は 0 歳児から就学前までの乳幼児を長時間保育にあたるという特性から、保育所にある環境(人・物・時
間・・)を通して養護と教育が一体となった保育が保育所保育指針で謳われています。養護は、子どもの生命の保
持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであり、安全で安心な環境のもと、子どもは自分自身
をさらけ出し、ありのままを受容してもらう中で情緒が安定し、自己肯定感を持ちながら生活しています。養護が
ゆきとどいた中でこそ教育は成立すると考えます。
教育は、年齢や個々の発達に合った遊びや生活を通して、
「健康」
「人間関係」
「環境」
「言葉」
「表現」が総合的に
展開されながら子どもの健やかな成長につながるものでなければなりません。そのためには、年齢の発達段階や
個々の発達をしっかり把握し、5領域のねらい及び内容に鑑みながら、各年齢への連続性を持った遊びや生活を提
供する事が大切です。又、保育士等は、常に子どもの興味関心をキャッチしながら、子ども自らが遊びたい、試し
たいと思える環境を整える事が重要だと考えます。この事は取りも直さず、子どもが物事に主体的に取り組む事に
つながり、心情・意欲・態度が培われ、感性や探究心、コミュニケーション力、自己有能感を育むこととなり、ま
さに生きる力の基礎を培う事そのものと確信しています。
しかし、保育所における教育への社会的な理解が乏しいのも事実です。幼児教育と称し、ドリルで漢字等の文字
指導を特色とする園もあるなか、
「保育所の子は入学時に勉強の遅れがある・・」との声も聞かれます。保育所で
はドリルの使用は無いものの、生活や遊びを通して文字や数字に親しみがもてるような環境を作り、興味を引き出
しています。それは 0 歳児からの優しい応答や語りかけから始まり、他の子とのやり取りの場面を通してお互いの
気持ちを丁寧に紡いであげながら、それぞれの感情を言葉に換えて関わる力を獲得できるようにしたり、絵本や詩
の読み聞かせ、言葉集めやカルタ遊び、手紙のやり取り、物と数との対応・・・年齢に応じた様々な経験を通して、
言葉や文字で伝える楽しさを味わえるようにしています。
上記は文字の獲得を例にしましたが、
「教育」は生活や遊びを通して年齢に応じた環境の中、5 領域が総合的に展開
していることを理解していただけたものと思います。
2.原町すいせん保育所における教育
◎養護と教育を一体にした取り組み「わらべうたあそび」
平成 21 年 10 月開所以来“わらべうたの心地よい響きを通して、愛される喜びや人に対する安心感を持ち関わ
り合いながら生きる力の基礎を培う”を目的に取り組んでいます。0∼1 歳児の「わらべうた」は、真似る、
応える、意志を表す、人を褒める、恥かしい、おいしい、うれしい気持ちを
起こし、人を意識する力を身に付けます。2∼3 歳児はわらべうたの独特なリズム
や音を好み、繰り返し楽しみながら言葉の獲得につながり、一対一でのにらめっこあそびでは、
保育士と目をしっかり合わせることや人の表情を真剣に見るようになります。
4∼5歳児では集団で楽しむわらべうたを通して、ルールや順番を守る大切さを知り、社会性が
育つようにと願いながら取り組んでいます。
「かっぱかっぱらった・・」My河童でうたいます。
◎5 領域につながる「感覚統合と運動あそび」
社会や子どもを取り巻く環境の変化から、全国的にも子どもの体や動きが育ちきれていないと言われて久しくなり
ますが、平成 24 年 3 月、文科省より「幼児期運動指針」が出され、就学前の幼児期から意図的に体を動かす事の重
要性が示されました。当保育所においても転倒や衝突、姿勢保持ができず、話を聞き続けられない等の子どもの姿
があり、0 歳児からの体と動き作りに取り組んでいます。
0∼2 歳児はいろいろな感覚遊びを通して苦手な感触を軽減したり、バランスや
ボディーイメージが育つような遊びを積極的に取り入れています。
3 歳以上児はリズム遊びや運動遊具を使った遊び、ルールを守りながらの集団
遊び等で楽しく体を動かし、体と動き作りを目指しています。その遊びは、体
作りの「健康」に留まらず、
「人間関係」
「環境」
「言葉」
「表現」をも意識した楽
しい遊びが工夫され、総合的な教育の展開が行われています。
− 4 −
力と息を合わせてマット運び競争
事業所内保育施設(保育所型)南中山すいせん保育園
南中山すいせん保育園では保育理念「豊かな愛情と信頼関係の中で共に育ち合う」のもと、
教育への取り組みとして、4つの柱を大切に教育の土台づくりを行っています。
安心できるよう寄り添って、温かなくつろげる
食育を通して食を育む力を!!
場であると共に、一人あそびや少人数のあそびに
野菜やくだものを育てたり、制作あ
集中できる環境を整えています。
そびを取り入れたりして、食材への
また、快活な異年齢児が家族のように関わること
興味を育てています。食べる楽しみを、
もコミュニケーションの基になります。
味わうことが、心や身体の成長につなが
っていきます。
「中はどうなっているのかな?」 「自分で収穫おいしいね」
人は人との関わりによって育っていきます。
自分で見て!感じて!驚いたり、発見したり、
お散歩に行き近所の方に挨拶をしたり、異年齢児
の子どもとの交遊、地域の人
との関わりなど、人とのふれあ
いを大切にしています。
地域の方のボランティアで
読み聞かせ会を行っています。
絵本、紙芝居の他わらべうた
や感触あそびも!!
− 5 −
感性豊かな心を育てています。
河原町すいせん保育所の「教育」について
1.保育所における「教育」とは
≪今まで伝統的に大切にしてきたもの≫
保育所保育指針・幼稚園教育要領等に基づき、養護と教育を一体化した保育を行っています。
養護面では子どもの気持ちを受け止め、安心して過ごせるよう、情緒の安定化を図るようにしてきま
した。教育面では年間の重点目標を中心に、音楽活動やごっこ遊びを取り入れ、日々の生活を通して、
表現力・創造性・人間関係を育むようにしてきました。
≪保育所と幼稚園の違いは≫
3歳以上児の保育に関しては幼稚園と似通った部分があるとは思いますが、保育所は0歳児から5
歳児まで保育を行っていることで、発達の連続性をもって教育を行っています。3歳未満児保育は養
護面が中心とはなっていますが、それ以外にも、生きる事への基礎を培うために人との関わり方を知
らせること、言葉を聞こうとする意欲・態度を育てること、経験や感じたことを表現する力を伸ばす
ことなど様々な面で5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)を踏まえて低年齢児から教育的要
素を取り入れています。
≪保育所の教育、これからの在り方について≫
5領域でこれまで行ってきたことを見直し、年齢毎にカリキュラムに入れていきます。さらに、各
クラスでどのような取り組みをし、保育に生かしているかを明確にし、子ども達の生きる力と学ぶ土
台作りの基礎を作ることに繋げていくようにします。
2.河原町すいせん保育所の教育、各年齢の取り組み
≪具体例と実践の説明≫
音楽活動では歌、手遊び、わらべうた、リズム遊び、体操などをクラス毎に検討するとともに、3
歳未満児と 3 歳以上児の担任同士で話し合い、年齢毎・月毎に計画を立案し、実践してきました。
また、月に一回ある誕生会の行事では、各ク
ラスからの歌や発表を聞く機会を設けるよう
にしてきました。音楽に触れる機会を多く設
けたことで子ども達が音楽をより身近に感じ
るようになり、友達と歌や踊りを繰り返した
り、自分を表現する自信になり協調性が育っ
てきました。夏まつりや運動会では、踊りや
体操を積極的に取り入れることで、友達と 1
つのものを作り上げる楽しさや達成感を得ら
れるようになってきました。
− 6 −
新田東すいせん保育所の教育
1.保育所の教育とは
保育所はその目的を達成するために保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子ども
の状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、「養護」および「教育」を一体的に行うことを特
性としている。
(保育所保育指針より抜粋)
(※「養護とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士が行う援助や関わり
「教育とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達であり「健康」
「人間関係」
「環境」
「言葉」及び「表現」の5領域から構成される。
)
○保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場所で
す。子どもが健やかに成長していくために「早寝、早起き、朝ご飯」が土台になると思います。夜更かしせず
十分睡眠をとり、朝は元気に目覚め、朝ご飯を食べて登所することで毎日、お友達と楽しく遊べます。
次に大切なのは、人との関わりです。私たち職員は下記のことを大切にして保育しています。情緒が安定し、
保育所で楽しく友達と遊ぶことで「教育」の活動に意欲的に取り組む子どもに育っていくと思います。
<子どもと接するとき職員で大切にしたいこと>
・親子、職員で朝夕の挨拶を元気にする。(挨拶は人との関わりの第一歩です。)
・特定の保育士等との愛着(アタッチメント)関係ができるように接する。
・スキンシップを十分にとることを大切にし、子ども達に安心感をもってもらう。
・子どもの気持ちに寄り添い共感し、子どもの気持ちや甘えを受け止める。
・子どもの良いところを褒め、保育士との信頼関係を築く。
・子どもの話に十分に耳を傾けて受けとめ、お互いの話を十分に聴く。特に3歳以上児に対しては、子ども自
身が考えていくことができるような声がけを行い、自ら自分の気持ちを言えるようにする。
2.新田東すいせん保育所での取り組み(実践例)
子どもの絵画活動や造形活動は、豊かな人間として育つために大切な活動の一つです。子ども達が絵画活動
や造形活動を好きになることで、表現力が豊かになり、自分から描きたい、作りたいと思えるようになってほ
しい…そのためには3歳未満児からの積み重ねが大切です。保育士が絵画活動についての知識や発達段階を身
につけ、発達時期に合わせた活動を取り入れ、子ども達に関しては自由な表現が出来るようになることを目的
としました。これまでの 3 ヵ年度の重点目標を「創造性豊かな子どもをめざして」として年度ごとにサブテー
マをもうけ、全年齢で取り組んできました。そして年度末に作品展を行い、作品を通して子どもの中に育った
成長を保護者の方と一緒に見守っていく機会としています。
(指導者 聖和学園短期大学保育福祉学科教授 小野真喜子氏)
昨年度の
作品展より
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「保育所の教育とは」
南光台北保育所
保育士が乳幼児期の子どもの発達を見通し、保育所の環境や様々な活動によりその発達の援助をしていくこ
とが保育所における「教育」です。乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期です。特に身体
感覚を伴う多様な経験が積み重なることにより、豊かな感性とともに好奇心、探究心や思考力が養われます。
それらが生活や学びの基礎となっていきます。
幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考と主体的な生活などの基礎を培うことは、保育所における
教育の視点といえます。小学校の教科学習の前倒しのようなものではなく、保育所の環境、すなわち保育室、
園庭、遊具などの物的環境や保育士、友達などの人的環境、さらに自然や地域の環境など通して子どもの生活
や遊びが豊かに展開していくようにしています。
☆
子どもたちの心情・意欲・態度を育てる保育所の教育
4 歳児の実践例
【枝豆の栽培を通して】
枝豆の種まきをしたところ、鳥に食べられてしまいました。子どもたちは「なぜ?」「どうしてだろ
う?」と、疑問を持ち、図鑑で調べたり、どのようにしたら食べられないのか、意見を出し合いました。
畑にネットを張り、食べられないようにして、種をまくことにしました。
①
クラスで枝豆の種をまいたが鳥に食べられた。
②
なぜ失敗したのかクラスで考える。
→失敗する経験
→友だちと考える(なぜ失敗したのか調べたり、興味、
関心を広げる)
。
③
友だちと意見を出し合う。
→人前で話をする、人の話を聞くことの大切さを知る。
④
畑にネットを張り、食べられないようにして
→友だちと協力して行動する(協調性)。
種をまく。
⑤
水やりをしたり、雑草を抜く。
→思いやりの心を持ち、野菜の生長を観察する
(継続性)
。
⑥
発芽を観察する。
→科学の芽が育つ。
⑦
収穫する。
→成功体験
⑥
食べ物を友だちと分け合って食べる。
→数を数え、何個ずつ食べられるか考える
(数の認識、友だちを思いやる心)
。
食べ物と体の関係が分かる、達成感を味わう。
「種をまきました!!」
「水をあげて大きくなーれ!」
「枝豆、こんなに大きくなりました♪」
このように保育所における教育は、特定の知識や技能の習得に偏ることなく、子どもの生活や遊びを通して子
どもが楽しく充実感を味わうことができるように配慮して行われています。また、子どもの主体性を重視し、保
育所の生活全体を通して、様々な習慣や関心、意欲、態度、心もちといったものが育つようしたり、子どもたち
が自ら考えて、仲間と協力する力を身に付けられるように保育をしています。
− 8 −
保育所の教育
2・幼稚園との違い
2・幼稚園との違い
1.保育所の教育とは・・・
・一番のポイントは、幼稚園は文部科学省
保育所は、0歳児から5歳児まで、6学年という幅広い年齢の子
・一番のポイントは、幼稚園は文部科学省
の管轄であること。
どもたちが生活する場であり、学ぶ場です。
の管轄であること。
・基本的な保育(教育)時間が4時間であること。
保育所では、信頼のおける職員とともに、子ども達が心から安心
・基本的な保育(教育)時間が4時間であること。
(早朝・夕方の預り保育は行われています)
して生活できるための『養護』を基盤としています。その基盤と (早朝・夕方の預り保育は行われています)
となる『養護』のもと、各年齢・発達に合わせた『教育』を保育
時間の中で取り組んでいます。
保育所の『教育』とは、学力を身につけるという内容ではありま ・仙台市の歴史として、私立幼稚園が多く
せん。その年齢にふさわしい、心情・意欲・態度を遊びの中で 設立された経緯があり、内容も環境も様々
身につけることを目的としています。乳幼児期に身につけていく です。その幼稚園ごとに教育の内容に特
「人間力」 「生きる力」が、子ども達が学童期、社会人になって 色(独自性)があります。
その力を存分に発揮し、自分に自信を持った生き生きとした
大人へと成長していきます。
3・幼稚園のこと
4.幼稚園と同じこと
平成20年3月に幼稚園教育要領が改定された
と同時に、保育所保育指針も改訂されました。
3歳以上児の保育内容、「健康」「人間関係」
「環境」「言葉」「表現」の5領域は、小学校
入学を考慮して「幼稚園」も「保育所」もほぼ
同じ内容で、統一的につくられています。
POINT
心情:心の中にあって、まだ言葉として発せられて
いない感情。心の中で思っていること。
意欲:進んで何かをしようとすること。
態度:事に臨むときの構え方。その立場などに基づく
心構え。身構え。
太子堂すいせん保育所での取り組み
平成26年4月に開所した保育所です。
✩今年度の太子堂すいせん保育所重点目標
太子堂の商業地域に設立された当保育所は、
「街」の中の保育所として、地域の方々と連携
1.豊かに遊ぶための環境設定を行います!
し様々な体験を通して、子ども達が健やかに育
2.年齢・発達に応じた遊びの計画を立て、
っていくよう保育の工夫を行い、遊びを充実さ
実践します!
せています。
保育所の中の小さな自然
草花摘み・虫探し
友達と一緒に考え、
工夫して遊びを発展させ
ています。
全身を使って
ちょっと難しいことにも挑戦して遊ぶ。
食育活動
街の中の畑でも、立派な
街の中の畑でも、立派な
とうもろこしができたよ!
とうもろこしができたよ!
地域の方とのふれ合い
(世代間交流・小学生との交流)
−9−
(クッキング・食材に触れる)
遊びの中の教育
幸町すいせん保育所
幸町すいせん保育所は 3 歳未満児専用認可保育所です。
環境を通して養護と教育が一体的に展開され、保育が豊かに繰り広げられるよう子どもの育ちを見通し援助
していくことが保育所の保育です。特に 3 歳未満児は日々安定した生活の中で、健康状態(食事、排泄、睡
眠など)の把握・増進、安全の確保を第一にし、人とのかかわり方の基礎を培う大事な時期です。日々接する
大好きな大人との愛着関係を築くことで、
人への信頼感が育ち、
人間関係の広がりの基礎を築いていきます。
【Q&A】
Q:幸町すいせん保育所で大事にしていることはどんなところですか?
A:小さいお子さん達の保育所なので、安心して伸び伸びできる生活の場になるよう大人との関係を大切に
し、
食事・おむつ交換・睡眠時には出来るだけ同じ保育士がかかわるよう緩やかな担当制をとっています。
お子さん達のまなざし、指差し、語りかけなどに丁寧に対応し、応答関係を大事にしています。
Q:小さい子ども達はどんな遊びをしていますか?
A:先生達は毎月指導計画を作成・評価反省し、お子さん一人一人の発達段階を見極め、気に入っている遊
び、関心を持ちそうな遊びを取り入れ、興味関心を広げていきます。
年齢の低い乳幼児は直接経験した再現遊びが大好きです。
特に1・2 歳児のお子さん達は大好きなお母さん、
先生達の口調やしぐさなどの真似が巧みになり、将来の生活の仕方の基礎を学んでいます。保育所では
ままごと、さんぽ、体操、わらべうたや種々の行事等を通してできるだけ直接経験を豊富にし、発見や楽
しさ、喜びなどが実感できる保育を行っています。
Q:保育所では幼稚園のように名前を書いたり数字を教えてもらったりはしないのですか?
A:当保育所は年齢の小さなお子さんだけですが、年齢なりに“やってみたい”という挑戦する意欲、
“なに?”
と疑問を持つ学ぶ力、
“受け入れてもらった充足感”
、
“出来た喜び”
、
“知った喜び”等の気持ちを持ってい
ます。その力を引き出すため、指導計画の下、遊びの中で子ども達の発達援助を行っています。この内容
が、3 歳以上児クラスに進級してからの教育内容(健康・人間関係・環境・言葉・表現)につながってい
きます。
Q:幸町すいせん保育所は2歳児までの保育となっていますが、その後はどうなりますか?
A:3 歳未満児専用の保育所の為、2 歳児クラスが終了しますと卒園となります。その後は保護者の意向で他
の保育所、幼稚園などへの移行となります。その為、当保育所は「卒園後の受け皿」の役割を担う連携施
設を設定することとなっています。当面、法人の市内の姉妹園 8 ヶ所での受け入れを実施し、保護者の方
の意向を伺いながらで進めてまいります。
2 歳児は年度後半、月 1 回、原町すいせん保育所との交流保育を行い、多くの同年齢の友達と遊んだり、
見本となる大きな子達に接し、保育所・幼稚園へスムーズに移行ができるよう段階を踏んでまいります。
Q:子ども達の先生はどんな資格を持っ
ていますか?
A: 保育所の先生達は保育の勉強を専門
に学んできました。当法人の保育士
の多くは保育士の国家資格、幼稚園
の教諭免許の両方を取得しています。
また、栄養士は管理栄養士免許、看
護師は正看護師免許を取得し専門性
を生かしています。
− 10 −