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単元学習指導案2年「意見文を書こう」

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学習指導案
1.学級の様子
(2年2組35名
男子16名・女子19名)
授業規律は保たれている。集中力が持続しない生徒が2,3人いる。この生徒達はノートを
ほとんど取らないが、教師や友達の発言は聞いている。4人班で音読したり話し合う活動をす
る時も参加する。国語だけでなく道徳・特活の時間にも、生活班で意見交流の場をつくってい
るからか、全体として意見の交流をすることは抵抗なくできる。
1年時から教師の口頭での説明もメモし、自分ならではのノートを作るように指導してきた。
5割ほどの生徒が継続して板書以外のメモも書いている。
生徒たちが国語の授業の中で一番苦手としていることは「書く」ことである。入学当初「書
くことが嫌いな人、苦手な人」とたずねるとほとんどの生徒が一斉に手を挙げたほどである。
入学後、初めての詩の授業で「この詩を初めて読んだ感想をノートに2、3行でいいから書き
なさい。」と指示すると、1行も書けない生徒が大多数だった。「読んで、分からないところ
や、おもしろいと思うところなどを書くのです。」と指示すると3割くらいの生徒が書けた。
1年生の前期に百字作文を12回実施した。よく書けている生徒の作文を紹介したり、教師
が肯定的なコメントや励ましを書きこんだりするうちに、9割の生徒が百字作文を書けるよう
になった。しかし、構成を考えて書くのではなく、脳裏に浮かんできたことをそのまま書き連
ねていく書き方であった。
後期は、意見とその理由という二段落構成の文章作りに取り組んだ。2月には、障害者や高
齢者のバリアフリーに関する図書資料(小学校高学年対象)を使って、調べ学習をし、レポー
トを作成した。必要な情報を選び、書き写すことはできたけれども、自分の意見を補強するた
めの引用とはなっていなかった。自分で全体を見通して文章を構築する所までは到達していな
い。そのレポートを使って、みんなの前に出てスピーチをした。
2年前期中間テスト(6月)では、「書くこと」の領域で、7割以上とれた生徒が3割、5
割以上とれた生徒は半数だった。その中で、二段落構成の文章を 130 字以内で書くという条件
作文については、白紙解答が3名いたが、条件を満たして書けた生徒が6割いた。
本単元の前に、新聞の基本的な構成に触れたあと、「0歳児からの保育園通い」(産経新聞
6月12日付朝刊オピニオン欄)を使って、討論ゲームを行い、相手意識、目的意識の重要性
を認識させた。
構成を考え、接続詞や反対意見を効果的に使って意見文を書くのは、生徒たちにとって中学
に入って初めての経験である。これまでの言語活動を通して学習したことを活用しつつ、事実
を根拠として自分の立場を明確にした意見文を書く授業を構想した。
2.単元
単元名
教材名
『意見文を書こう』
「意見文を書こう」
3.単元の学習目標
(1)読み取った事実を根拠として、自分の立場を明確にした意見文を書く。
(2)書いた文章を互いに読み合い、文章の構成や材料の活用の仕方などに意見を述べ
たり、助言をし、考えを広げる。
-1-
4.単元の学習計画
時
学
習
活
動
指
導
上
の
留
意
点
□相手にわかりやすい意見文を書くこ
1 ①本学習材の学習計画を確認。
とを確認。
②新聞記事を読解。
③ワークシートにその反論とその理由を □班になり話し合って、できるだけたく
書けるだけ挙げる。
さん考えさせる。
④4人(班)で合わせ、まとめる。
□同様の意見はまとめる。
⑤黒板掲示用短冊作成。
(本論の材料づくり)
2 ①前時の反論短冊を配布。
②黒板上で反論短冊を分類する。
③ワークシートに賛成意見とその理由を
書けるだけ挙げる。
④4人(班)で合わせ、まとめる。
(本論の材料づくり)
□班ごとに前に出て黒板上で分類。
□意見の全体交流
□班になり話し合って、できるだけたく
さん考えさせる。
□同様の意見はまとめる。
□意見文の元である本文の内容確認。
3 ①新聞記事内容の確認。
②分類した反論・賛成論一覧プリント配
□接続詞を使う。
布。
③反論・賛成論一覧プリントを用い、意 □自分の立場や意見を明確にし、根拠を
あげ、異なる意見を効果的に使い、説
見文の序論・本論・結論を考え、ワー
得力のある意見文を書く。
クシート2に書く。
④意見文の下書きをする。
(ワークシート3)
□推敲の観点を示す。
4 ①推敲のポイントを説明。
②班内で下書きを読み合い、推敲する。 □友達のアドバイスを参考に、よりよい
表現を目指す。
③清書する(ワークシート4)
④友だちと完成した意見文を交流する。 □意見の出発点になった出来事を新た
な視点で見直し、考えを深める。
(ワークシート5)
⑤振り返り
本時は2限目。
5.教材分析
本実践で学習材として取り上げたのは、大阪市立中央図書館の汚破損本対策を訴えた新聞記
事(朝日新聞平成 21 年 4 月 26 日付朝刊)である。
新聞記事の特性は、見出し、リード文、本文と、写真及びキャプションによって構成されて
いることだ。
見出しについて
大見出し「本切り取らんといて」を縦書き三段抜きで右端に書き、読者の目を引きつけて一
番訴えたい主張を読ませる。「切り取らんといて」と大阪弁を使い、「本を」とすべきところ
を助詞「を」を省略した日常会話的な表現にして、読者に訴えている。次に左端に二段抜きの
縦書きで「年間 2000 冊廃棄」と被害状況を読ませ、主張の根拠となる事実を示す。縦書きにそ
ろえ、大見出しの三段目と小見出しの一段目を同じ段にすることで主張とその根拠を連続的に
読ませ、論理的に読者を納得させる仕掛けとなっている。この二つの見出しを場所を表す横書
きの小見出し「大阪市立中央図書館」がつないでいる。一番上に切り取られた具体例を示す「モ
-2-
デル・韓流スター・レシピ」を横書きの影付きで配置し、影付きを大見出しの「本」の字に半
分かけて切り取られた本の具体例であることを視覚からも読み取れる構成としたため、この場
所に成ったのであろう。
写真及びキャプションについて
横書き見出しの具体例の下には「人気俳優のページが切り抜かれた雑誌」とキャプションが
ついた写真がある。写された雑誌の左ページは写真の部分が切り取られ、次のページが見えて
いる。六行のリード文を挟んではいるが、大見出し「本切り取らんといて」と訴える図書館の
主張に直結させる配置である。小見出しでは言葉で表現した具体例を写真で示すことで汚破損
本の被害は事実として読者に受け入れられ、記事内容の信憑性を高めている。見出しの言葉の
根拠が視覚的に示され、被害状況が実感させられた読者は心情的にも「本切り取らんといて」
と言う主張に寄り添わされていく。見出しの「韓流スター」をキャプションでは「人気俳優」
と言い換え、本文中に引用した図書館職員の証言の「俳優」と一致させた言葉遣いにしている
ことも、証言に基づいた事実であるとその信憑性を高めることとなっている。
写真の下には、横書きで「被害の具体例」とキャプションが付けられ、箇条書きで書かれた
四つの具体例の見出しとなっている。一例目は「教職員採用試験問題集」と被害本の書名をあ
げ、「答えがすべてボールペンで書き込まれ、使い物にならなくなった」と具体的に被害状況
を説明する。三例目も同様の記述の仕方であるが、二例目は「貸し出し中に」と、三例目は「館
内で」と被害にあった場所が示され、図書館内であろうと図書館外であろうと被害にあってい
る現状が示される。四例目は新聞の縮刷版の被害例だが、たった一ページの破損のために八万
二千円もする本が資料的価値を損なってしまう事実を具体的な金額を示すことで実感させてい
る。リード文にも本文にも具体的な金額を示した被害の記述はないので、「買い換えは困難」
という表現は本文の「図書購入費は前年比一割減っており、すべてを買い換えるのも不可能だ。」
の根拠としても機能している。
リード文について
リード文は三文で構成される。第一文は汚破損本の被害に苦慮している大阪市立中央図書館
を「全国一の貸し出し冊数を誇る」とその事業規模を述べ、「年間 2000 冊近い本や雑誌が、借
り主に切り抜かれたり破られたりして廃棄されている」という現状を述べる。小見出し「大阪
市立中央図書館」「年間 2000 冊廃棄」を一文化したものである。小見出しでは「年間 2000 冊
廃棄」のほうが被害主体である「大阪市立中央図書館」より大きく書かれているので注目を集
めて先に読まされるが、リード文では「廃棄されている」と述語にしたので、「大阪市立中央
図書館」を先に読むことになり、順序が逆になっている。このことは見出しが体言止めで表現
されていることと、文字の大きさで重要度を示すことができることに起因する。
第二文は「ファッション雑誌の人気モデルの欄や韓流スターのページがまるごと切り取られ
るなど」と被害実態の具体例をあげ、すぐ上の小見出しとは「モデル」「韓流スター」で、写
真及びキャプションとは「人気(俳優)」という言葉で関連づけ、「モデル・韓流スター・レ
シピ」を一文化し、「えげつない」と図書館の立場に寄り添った記者の心情まで述べたものと
なっている。
第三文は、大阪市立中央図書館がとった「マナーブックの配布」という汚破損本被害防止対
策を述べ、大見出し「本切り取らんといて」の具体的な方略を示している。
三文の構成は現状、具体例、対策となっており、第一文は本文の形式段落①に、第二文は形
式段落②に、第三文は形式段落③∼⑥にそれぞれ対応している。
-3-
本文について
形式段落①は、「次から貸し出しできなくなる」と汚破損本を位置づけ、キャプションの「使
い物にならなくなった」「貸し出しできなくなった」という表現と同様の言葉で始まり、「被
害」という言葉を続けて写真や具体例に関連づけた読みに導く。図書館は「5年ほど前」と具
体的な時期をあげ、景気の悪化と被害の拡大の相関関係から汚破損本被害増加の原因を「景気
悪化によるコピー代の節約」と類推した。
形式段落②は、被害の具体例を示す。その記述は「一番のターゲットは」「次は」と順序づ
け、「人気雑誌」「実用本」と本の種類をあげる。第一文で「一番のターゲットは人気雑誌。」
と体言止めで断定し、第二文で「ファッション誌」や「女性誌」とジャンルを示し、「流行す
る髪型や着こなし、人気モデルの欄」と切り取られる場所を具体的に示すという焦点を絞り込
んでいく方法がとられている。第三文は「次は」と被害頻度を基準にした表現で始まるのは第
一文と同じだが、「料理本」「健康本」「旅行本」に「などの」という言葉を続けて「実用本」
にかかる連体修飾語としてジャンルを挙げ、「実用本」と同じく体言止めで言い切りながらも
変化をつけた表現となっている。第四文は第二文と同じく「レシピ」や「特集」と切り取られ
る場所を具体的に示すという焦点を絞り込んでいく方法がとられている。「切り取られる」「切
り抜かれる」と被害の実態に応じて言葉が使い分けられている。第五文は「都市部を中心に汚
破損本が増えている」と記者の取材結果を現状認識として挿入し、リード文では「えげつない」
と一語でまとめたが、ここでは「根こそぎなくなる」「度の過ぎた被害」「よそではきいたこ
とがない」という言葉を用いた図書館の女性職員の証言をあげ、図書館の立場に寄り添った自
分の心情の根拠を明示している。被害のひどさを図書館の職員の証言を用いて訴えるという方
法は、実体験に基づいているだけに読者の納得を得やすく、効果的である。
形式段落③∼⑥は汚破損本対策が述べられている。
形式段落③は、「貸し出し冊数は1日に 9 千冊を越え年間 270 万」とリード文の「全国一の
貸し出し冊数をほこる」を具体的に数字をあげて表現した一文で始まり、実施不可能な対策が
三つ述べられる。「一日 9 千冊」「年間 270 万」という数字は、返却時に対応できる職員の最
大数「4」と比べ、あまりにも大きい。対策①としてあげた「返却時の点検」を「ほぼ不可能だ」
と断定した根拠となっている。第三文で夜間ポストの利用が補足され、職員のいない夜間返却
時の点検の不可能さが「なおさら」という副詞と共に加わる。第四文では、対策②として「犯
人の追跡」をあげるが、「読書の秘密を守るため貸し出し記録は返却時に消去」するという人
権上の配慮を根拠に断念せざるを得ない現実を述べ、対策②は却下される。第五文で対策③「す
べて買い換える」が考えられるが、市の財政難から図書購入費が前年比一割減となったことを
根拠に対策③も却下される。
形式段落④で実際にとった対策④「被害に遭った雑誌を自由に閲覧できる場所からカウンタ
ー内に移し、職員の許可を得なければ持ち出せないようにする」と対策⑤「被害本を展示して
良心に訴える」を示すが、「被害は減らないという」と伝聞を表す言い方ではあるがインタビ
ューの結果を根拠に効果はなかったことを明示している。
形式段落⑤では、「貸し出し履歴の一定期間参照できるシステムの導入」を実施している東
京都練馬区立図書館の例をあげ、形式段落⑥で利用サービス課長のインタビューから「当たり
前のことを言わなければならないほどマナーは落ちている。」と現状を語らせ、「情けない」
と心情を吐露しながらも、「社会教育の場としての図書館の役割」としてマナーブックの配布
に至った経緯を述べている。
予算との絡みの中、人権上の配慮にこだわって出したぎりぎりの対策が「マナーブック」の
配布であったわけである。
以上のことから、この記事は、見出し、リード文、本文が現状、具体例、対策の順に対応し
て構成されており、キーワードとして見出しを読む、要約としてリード文を読む、本文を読む
-4-
の三段階に読める説明文として位置付けられ、新聞記事の基本型として有効な学習材であると
考えている。
生徒は大阪市立図書館に行ったことはなくても、図書館や学校の図書室を利用して本を借り
た経験は全員が持っており、図書館を利用する際のルールも全員が学んでいる。よって、この
記 事 を 読 ん だ と き に 、ま ず 、 そ の 当 た り 前のマ ナ ー が 守 ら れ な いこと 、 ま た そ れ が 年間 2000
冊にも及んでいることに驚くと予想する。そして、図書館の対策について、生徒たちは、様々
な意見を持つであろうと予想する。
本単元では、読み取った事実を根拠として、自分の立場を明確にした意見文を書く。そのた
めには、テーマについて深く考え、意見やその根拠について多方向から考えさせることが必要
である。また、書いた文章を互いに読み合い、文章の構成や材料の活用の仕方などに意見を述
べたり、助言をしたりして、考えを広げさせたい。
6.本時の学習目標
(1)前時考えた反対意見をグループ分けする。(意見文の材料づくり)
(2)マナーブック配布に対する賛成意見とその根拠を挙げる。
7.本時の指導過程(2限目)
生徒の学習内容・活動
教師の指導・支援
課
題 ・本時の目標を確認する。 導 ・本時の目標を提示する。
設
入
定
・反対意見を書いた短冊を班
ごとに返却し、確認させ
る。
・4人班に机移動させる。
・4人班に机移動
・基準となる班の短冊を黒板
に貼り、各班の短冊を順に
課 ・短冊をどこに貼るか話し 展
分類して貼らせる。
合う。
題 ・班ごとに短冊を分類して
貼る。
追
開
・ワークシートを配布しマッ
・マナーブック配布に賛成
ピングをさせる。
意見と根拠を書く。
求
・ワークシートを配布し賛成
(マッピング)
意見をまとめさせる。
・4人班で付き合わせて賛
成意見をまとめる。
振
り
返
り
評価のめやす・留意点
・本時の目標を理解している。
(観察)
・肯定的評価を行い、意欲を高め
させる。
・班で話し合い分類できる。
(観察)
・話し合いの進まない班に助言す
る。
・4人班で話し合い賛成意見をま
とめることができる。
(ワークシート)
・話し合いの進まない班に助言す
る。
・机を戻す指示
・机を元に戻す
・意見とその根拠が書けている。
(ワークシート)
・本時の目標が達成できた
・本時の目標が達成できたか ・目標が達成できたか振り返るこ
とができる。(ワークシート)
か振り返る。
振り返らせる。
ま ・賛成論ワークシートを提出
・賛成論のワークシート提 と
させる
出
め
・次時の学習内容を確認
・次時の予告
「反対論集・賛成論集を用い
て意見文を書く」
-5-
8.
考察
−生徒の振り返りより−
a:授業で意見文を書いてついた力は、新聞を読んで自分の意見を文章にすることができるよ
うになったことと思います。授業で知ったことは、人それぞれが違う意見を持っていたり、
同じ意見でも、考え方が違っていたりしたことです。意見を聞いたり、意見文を読んでいて 、
すごく参考になりました。良かったことは、意見文の構成をしっかり考えて構成通りに書け
たことです。構成を考えることはすごく難しくて大変だったけど自分の意見を強調できるよ
うな意見文を書くことができたと思います。作文を書くのはあんまり得意ではなかったけど、
文章の構成をしっかり考えて自分が一番言いたいことを書くことが大切だと思いました。
(下線は授業者。以下同様)
b:この授業を受けて、どのような順序で書いていけばいいのか、推敲などを知りました。こ
の授業で、今までよりも文章が書けるようになったと思うし、自分と反対の意見も考えられ
るようになって良かったと思います。また、自分の意見をしっかりもてるようになったと思
うし、自分の意見を文章に表せるようになって良かったです。
c:この授業を受けて、自分の意見をしっかりと書けるようになりました。また、反対意見を
使って、自分の意見を強くする方法が使えるようになり良かった。班の人の意見を聞いて自
分の文を良くするのも良かったです。
d:意見を交流して違う人の意見を知った。意見を同じやつと違うやつとわける力がついた。
班の人と話し合って交流できて良かった。自分の班の人に自分の意見をしっかりいえて良か
った。これからもしっかり自分の意見を発言していく。
e:授業を受けてついた力は、考える力、話し合う力がついてきたと思う。良かったことはグ
ループで話をして、みんな真剣にやっていたことが良かった。黒板に貼った意見をグループ
分けにしてみんなで考えたことは良かったと思う。最初は作文はきらいやったけど、書ける
ようになって良かったし、もっといろいろなことを書きたいと思った。
f:この授業をうけて、文を読んでそれをもとに意見を書く力がついた。初めの方はあまり文
を書けなかったが、何回か書いているうちに、少しずつ文を書くのが簡単になってきて、自
分もやればできるんだなと思った。
-6-
g:最初作文なんかすごく苦手やから書けるかどうかわからんやった。でも、ちょっとずつや
っていったから、うまく書けた。少しずつで一部一部にわけて考えていって、少し悩んだ所
もあったけれど、最後にはしっかり文章になっていたし、おかしいところもなくなっていた 。
すごくやりやすかった。
(1)成果
生徒の振り返りから考察される成果は次の三点である。
①生徒の振り返りに「意見文の構成をしっかり考えて構成通りに書けた」(a:下線部)、「ど
のような順序で書いていけばいいのか、推敲などを知りました。」(b:下線部)、とあり、
「型(基本モデル)」を教え、学習者が「型」を使って表現力をつけるというねらいは達成で
きた。また、「ちょっとずつやっていったから、うまく書けた。少しずつで一部一部にわけて
考えていって(g:下線部)」は、反論集、賛成論集を作成し、それを活用する手立てをした
ことを「すごくやりやすかった」と評価しており、苦手意識を持った学習者に対して有効であ
った。「人それぞれが違う意見を持っていたり、同じ意見でも考え方が違っていたりしたこと
です。意見を聞いたり、意見文を読んでいて、すごく参考になりました。」(a)からは相互
交流によって個人の考えの広がりが感じられ、単元のねらいが達成できた。
②「反対意見を使って、自分の意見を強くする方法が使えるようになり良かった。」(c:下
線部)は、相手を納得させる方略という観点から反対意見を想定して使うことをついた力とし
てメタ認知できている。「意見を同じやつと違うやつとにわける力がついた。」(d:下線部)
には、比較という方略を使って分類する力がついたことを学習者なりの言葉で表現しており、
ここでもメタ認知能力の育成が図られている。また、「考える力、話し合う力がついてきたと
思う。」(e:下線部)は、書かせるための思考力をつける方略としてマッピングや四人班で
のグループ学習、短冊を使っての分類など多様な仕掛けを用いたことの成果をついた力として
メタ認知できている例である。
③「最初は作文はきらいやったけど、書けるようになって良かったし、もっといろいろなこと
を書きたいと思った。」(e:下線部)には、書くことが苦手な学習者でも思考力を育成する
仕掛けによって言葉を紡ぎ出し、「型(基本モデル)」を使って書くことが出来た自己肯定感
や達成感、満足感が表現されており、学習意欲の高まりが感じられる。
また、「何回か書いているうちに、少しずつ文を書くのが簡単になってきて」(f:下線部)
は一年次の百字作文の成果であると考えられる。
(2)課題
完成した意見文の分析結果から、新聞記事の内容を根拠として使っている意見文が少なく、
根拠として使えていないものが多いこと、反対意見に対する自分の意見が前述の意見の繰り返
しで、補強意見になっていないものが多いこと、がわかった。ここから見えてきた課題は次の
二点である。
①新聞記事の記述内容(事実)に基づく根拠をあげて、意見文を書くということに課題がある。
これは論理展開に着目して読む力に課題があるということだ。読むことと書くことは表裏一
-7-
体の関係にあり、論理展開が読めなければ論理構成のしっかりした文章が書けないということ
であり、指導者の読解力が問われることになる。詳細な教材分析がその後の授業の成否を決め
ると言っても過言ではない。教材分析と仕掛け、発問の工夫や言葉の精選の重要性を実感させ
られた。
②学習者の評価力に課題がある。
根拠をあげて意見を書くなど相手を納得させるのに必要な方略が使えない、反対意見に対す
る自分の補強意見が書けないという現状に対しては、評価力の育成が必要である。構成を読み、
表現の工夫を読むという観点で読解させることである。特に筆者はこう書いているがなぜそう
書いているのか、どういう効果があるのかなど表現の意味を考えさせるという観点で読解させ
ることである。読解により論理的思考力をつけ、学習指導要領の言語活動例に明示された多様
な文種の文を書くことで論理的記述力もついていくと考える。加えて、振り返りを書かせ、メ
タ認知能力を育成することとの両輪で課題解決を目指したい。
-8-
−資料−
①年間学習計画
一年(平成20年度)
4
5
6
二年(平成21年度)
教室はまちがうところだ(詩)
漢字探検①
朝のリレー(詩)
竜(物語)
ことば発見1
食感のオノマトペ(報告)
ことば発見2
文法の窓1(文節・単語)
アイスキャンデー売り(随筆)
未知へ(詩)
小さな手袋(物語)
ことば発見1
短歌の世界
ことば発見2
文法の窓①(動詞)
新聞について
討論ゲームをしよう
意見文を書こう
ホタルの里づくり(説明)
文字の大きさと配列・配置(書写)
7
8
表現プラザ1せりふとト書き
クジラの飲み水(説明)
ことば発見3
漢字探検2
竹取物語(古典)
10 故事成語(古典)
漢字探検3
11 空中ブランコ乗りのキキ
文法の窓2(品詞)
12 ことば発見4
手紙の書き方(書写)
葉書の書き方(書写)
行書(書写)
文法の窓2(名詞)
ユニバーサルな心を目指して(論説)
1
2
レポートを書こう(調べ学習)
スピーチをしよう
ことば発見5
3
トロッコ(小説)
ウソ(詩)
漢字探検4
百人一首大会
平成20年度は百人一首(毎時間)
・百字作文(前期週1回)に取り組んだ。
9
大阿蘇(詩)
漢字探検①②
壁に残された伝言(説明)
ことば発見3
文法の窓①(形容詞・形容動詞)
漢詩(古典)
礼状の書き方(書写)
ジーンズ(詩)
平家物語(古典)
ことば発見4
走れメロス(小説)
漢字探検③
文法の窓②(副詞・連体詞・接続詞・
感動詞)
枕草子・徒然草(古典)
事典に挑戦
対話を考える(説明)
ポスターセッションをしよう
聞いて描く
変わり身の上話
ニュース番組をつくろう
-9-
②2時限目黒板
短冊
- 10 -
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