財政融資資金の繰上償還について

財政融資資金の繰上償還について
財政融資資金の繰上償還について
(財投分科会御説明資料)
(財投分科会御説明資料)
総務省自治財政局
平成18年11月27日
総務省の繰上償還要求の考え方
財政融資に関する政策変更が行われたことや、予想をはるかに超える
異常な低金利が続いたという特殊事情を考慮し、地方団体に対し、抜本
的な行革や公営企業経営健全化を促すためにも、下記の条件の下に、
財政融資資金の関係者間の公平にも配慮して、補償金なしの繰上償還
を、是非ともお認めいただきたい。
【条件】
① 地方団体の抜本的な行革や公営企業経営健全化を条件とし、補償金なし繰
上償還の利益を国民・住民の利益に還元されるものとすること。
② ①の観点から、地方公共団体の「繰上償還への基本的考え方」(4条件)に準
じた取組みの実施を条件とすること。
③ 経済財政諮問会議資産債務等専門調査会報告等を踏まえ、財政融資資金
の貸し付け残高の縮減と金利変動リスクの軽減にも資する仕組みとすること。
※ 補償金なしの繰上償還を認めるに当たって、財投改革時に強く求められた「利率見直し方式」と
一定範囲における「ノーリターンルール」を適用することにより、財政融資資金の金利変動リスクの
軽減を図る。
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地方公共団体の要望の背景(1)
財投改革に伴う補償金制度については、総務省も協力して、利益を出さ
ない仕組みの下で必要なことを地方団体に理解を求めてきたが、最近の
政策変更等により、前提条件が崩れ、繰上償還要求が強まっている。
【前提条件と政策変更】
① 一定規模の貸付の継続上、重要 → 貸付規模が段階的縮小する方針へ
地方貸付規模は、段階的に縮小、今後も行革推進法により、縮小を予定。
【政府資金】
平⑬ 7.8兆円 → 平⑱ 3.9兆円
【財政融資資金】 平⑬ 5.2兆円 → 平⑱ 3.4兆円
② 財投機関に例外なく適用 → 特殊法人等へ補償金なし繰上げ償還を容認
特殊法人等に対し、約15兆円規模の補償金なし繰上げ償還が認められた。
③ 金利変動準備金は将来の逆鞘に使用 → 約12兆円を国庫納付
同程度の貸付規模を維持するために必要な制度として維持されてきた金利変動準備
金約25兆円の約半分に相当する約12兆円が国債整理基金に納付
参考)補償金概念導入前に、地方貸付は長期資金が多く影響が大きいことや、従
前、個別に繰上償還が行われていた事例があったことを踏まえ、平成11年度
に一括して、一定の補償金なし繰上げ償還が、認められた。
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地方公共団体の要望の背景(2)
地方団体の現場では、総人件費の削減等の地方行革の推進、上下水道料
金等の住民負担の適正化等に当たって、「高金利の財政融資資金への利払
い」の解消が大きな課題となっている。
【状況】
○ 地方団体からは、小規模市町村に限らず高金利の政府資金の公債費負担対策を
求める意見書、要望が、連日のように寄せられている。
【例】
※ 多くの地方団体で、職員数削減や給与カット等の行政改革の実施に際し、「高金利の
財政融資資金」の解消の問題を提起されている。
※ A市では、平成16年度に下水道料金を38.3%引上げ。このままの高金利負担が続くこ
とを前提とすると、平成20年度の見直し時にも、再度の大幅引上げとなりかねない。
※ B県の病院事業では、病院事業債残高の20%以上が6%以上の高金利となっており、
住民生活に不可欠の病院経営を改善する上での大きな負担となっている。
※ 都市再生機構のニュータウンには繰上償還が認められたこととの関連で、ニュータウ
ン事業がある地方団体においては、地方にも同様の措置を講ずるべきとの意見が強
まっている。
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地方公共団体の要望の背景(2-2)
○ 財政融資資金を含む政府資金残高のうち、高金利のものは年利7.0%以
上のもので3兆円、4.0%以上の場合で20兆円を超えている。
○ 団体別に見ると、一般市町村、政令指定都市のウェイトが高い。
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地方公共団体の要望の背景(2-3)
政府資金残高のうち、高金利のものは、上下水道や地下鉄等、住民(国民)
の利用者負担に直結しているものが大半を占めている。
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繰上償還の基本的考え方(4条件について)
○ 「繰上償還についての基本的考え方」(4条件)は、基本的に実施。
○ 4条件の適用に当たっては、業務からの撤退等特殊法人等を念頭にお
いたものもあるため、地方団体には、一定の工夫が必要。
【特殊法人等と地方公共団体の扱いの違い】
○ 地方公共団体が補償金なし繰上償還を求めている地方貸付の多くは、財投改
革よりはるか以前の昭和50年代以降の貸付に係るもので、貸付を受ける時点で
補償金の概念が確立していなかったこと。
※ 財投改革において、補償金の支払を前提とした繰上償還ルールが導入された。
○ 補償金概念導入前に、地方貸付には、従前、個別に繰上償還が行われていた
事例があったことや、長期資金が多いため影響が大きいことを踏まえ、 地方公
共団体に対しては、平成11年度に一括して一定の補償金なし繰上げ償還が、認
められていること。
※ 特殊法人等に対する補償金なし繰上償還の事例は、財投改革前においては、国
鉄・国有林野事業に係る債務について立法措置によって認めた事例のみであり、こ
れに基づき、業務からの撤退等の4条件を付して、繰上げ償還を認めたこと。
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繰上償還の基本的考え方(4条件)④について
④ ①~③の実施により、財政融資資金に対する債務の償還確実性を高めることができ
る等、最終的な国民負担を軽減するために財政融資資金の得べかりし利益(補償金
分の利益)の放棄が必要かつやむを得ないと認められること。
【地方公共団体への適用】
○ 補償金なし繰上償還を行う上で、最も基本的な条件
○ 行革推進法も踏まえ、特殊法人等と同様、財政融資資金の得べかりし利益の放棄
が必要かつやむを得ないと認められるような措置(抜本的な行政改革や公営企業経
営健全化の実施)を条件
※ 各特殊法人等が補償金なし繰上償還を受けるために行った「特殊法人等整理
合理化計画」(平成13年閣議決定)に基づく措置(一般会計・年金負担軽減措置)
に準ずる内容を求める。
【特殊法人等での対応】
住宅金融公庫
直接融資業務の廃止による補給金依存体質の早期脱却による国民負担(一
般会計負担)の軽減
都市再生機構
ニュータウン業務等からの撤退と用地等の早期処分による将来の国民負担
の発生の未然予防
年金資金運用基金 住宅融資業務の廃止による年金財政についての国民負担の軽減
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繰上償還の基本的考え方(4条件)①について
① 繰上償還の対象となる業務からの撤退を含む抜本的な事業見直しが行われること
【地方公共団体への適用】
特殊法人等に求められた内容と同等の結果を実現するための措置として、下記を条件。
○ 固定金利方式貸付からの撤退、又は、一定の期間制限を条件
→ 財政融資資金の金利変動リスクを軽減。
○ 繰上償還にふさわしい人件費の削減や経費の削減、運営の効率化等の抜本的
な行革や経営健全化の実施を確保
※ 地方の事業は、義務教育、上下水道、地下鉄等であり、業務そのものからの撤退は困難。
【特殊法人等に求められた内容】
○ 財政融資資金の今後の不採算部門への融資等に伴うリスクの回避。
○ 繰上償還による効果を、国民負担の軽減に直結
【特殊法人等での対応】
「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年)に基づき、直接融資業務の廃止(住宅
金融公庫)、ニュータウン業務等からの撤退(都市再生機構)等により、不採算かつ民
間でも可能な業務分野から撤退。
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繰上償還の基本的考え方(4条件)②について
② 存続する事業との勘定分離を行い撤退事業の経理を明確にすること
【地方公共団体への適用】
○ 地方公共団体においても、「普通会計」、「上・下水道会計」等会計間で勘定分離
→ 補償金なし繰上償還の利益が他の事業等に及ぶことを遮断。
○ 公債費負担適正化計画や公営企業健全化計画の内容を厳しくチェック
→ 補償金なし繰上償還に伴う財政融資資金の逸失利益が、国民(住民)負担の
軽減となることを、厳しく監視。
【特殊法人等での目的】
他の業務との勘定区分の実施により、他の事業への利益を排除。
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繰上償還の基本的考え方(4条件)③について
③ 事業見直しに伴い、業務運営効率化等の自己努力を担保するため経営改善計画が
策定されること
【地方公共団体への適用】
○ 厳しい内容の公債費負担適正化計画(普通会計)又は公営企業健全化計画(公営
企業)の提出と実行を補償金なし繰上償還の条件とする。
→ 各地方団体には、「集中改革プラン」により、行革推進法が求める職員数の削
減や給与等の適正化による総人件費の削減や、諸経費の削減を求めている。
→ 財政融資資金の補償金なし繰上償還を認めるに当たっては、それぞれの計画
が、繰上償還の利益が確実に国民(住民)負担の軽減に繋がることを確認。
【特殊法人等での対応】 経費削減・人員カットを盛り込んだ経営改善計画案を策定
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利率見直し方式促進による財投の金利変動リスクの軽減(1)
財投改革に基づき、財政融資資金の金利変動リスクの軽減を図るため「金利見直し方
式」が導入されたが、地方団体は、過去の高金利貸付があるため、今後の長期金利上昇
による利益で補てんしようと、ほとんどが固定金利を選択。
地方団体の金利方式選択の状況
財政融資資金の金利選択方式
(推計)
○ 地方団体は会計別に下記から選択可
① 固定金利方式
② 5年金利見直し方式
③ 10年金利見直し方式
○ 固定金利方式から金利見直し方式へ
は毎年変更可。
○ 金利見直し方式から固定金利方式は
3年経過後ごとに一度と制限。
○ 金利見直し方式導入時に、財投は固
定金利へのノーリターンルールを要求
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利率見直し方式促進による財投の金利変動リスクの軽減(2)
地方の「金利見直し方式」移行は、経済財政諮問会議資産債務等専門調査会報告の
「財政融資資金の金利変動リスクの軽減」に大きく寄与することが見込まれる。
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利率見直し方式促進による財投の金利変動リスクの軽減(3)
地方団体の繰上げ償還は、経済財政諮問会議資産債務等専門調査会が求め
る「財政融資資金の貸付残高の縮減」にも、寄与
特殊法人等繰上償還による貸付残高減への寄与
行政改革の重要方針等
○ 今後とも、これまでの財政投融資
改革による財政融資資金の貸付金残
高の縮減を維持し、・・・政府の資産・
債務規模の圧縮を行う。
○ 財政融資資金特別会計については、
将来的な財投規模のスリム化を確実
なものにするため、財投債発行額を
着実に減額するとともに、確実な償還
見込みをたてるものとする。
○ また、・・・地方向け融資を段階的に
縮小するものとする。
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デフォルト(債務不履行)について
JCR(日本格付研究所)の定義
格付け対象の元利金支払が当初約定通りに履行されない状態を指す。これには、債務者について、破産、会社
更生、民事再生、特別清算、商法に基づく会社整理と言いった法的手続きが申し立てられるなど、元利金支払が
当初約定通りに履行されることが不可能と判断されうる状態も含まれる。ただし、長期優先債務格付けにおいて、
債務者救済を目的として債権放棄やデット・エクイティ・スワップなどに応じた特定の債権者元利金支払を当初どお
りに受けられない状態は除く。
R&I (格付投資情報センター)の広義デフォルトの定義
1 法的破綻(自らまたは第三者が破産法等の倒産法制の適用を申し立てることをさす。)
2 金融債務の支払不履行
3 債権者に著しく不利益となるような債務の条件変更の要請もしくは実施
※ 債務の条件変更には債権放棄、債務の株式化、金利の減免、元本または金利の支払い期限の延長を含む。
Moody’sのデフォルト定義
1. 猶予期間内の支払い遅延を含む利払いと元本返済の不履行または遅延、
2. 破産法の適用申請、管財人による管理、あるいはその他の期日における利払いまたは元本返済を妨げる(規制
当局などによる) 法的措置、あるいは
3. (i) 発行体が、債務負担を軽減した新たな証券または証券パッケージ(優先株、普通株、表面利率か額面を引き
下げたか、劣後化した、あるいは満期を延長した債券など) との交換を債券保有者に申し出るか、
(ii)交換が明らかにデフォルトの回避を目的としている、救済目的の債務交換
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「新しい地方財政再生制度に向けて(方向性の提示)」の概要
<検討の前提>
➣
➣
➣
―新しい地方財政再生制度研究会(平成18年9月25日公表)―
公会計改革の推進(「新地方公会計制度研究会報告書」(平成18年5月))
財政が悪化した段階でも住民に対する基礎的な行政サービスの提供を維持できるよう再生
「地方分権21世紀ビジョン懇談会報告書」の考え方を踏まえ、再生スキームについては
(1)現行の地方行財政制度の基本的な枠組みの下で再生する場合と
(2)地方行財政制度の抜本改革が進展した下で再生する場合と
を整理し、新しい地方分権一括法等により(1)から(2)に移行することを視野に入れつつ検討
具体的枠組み
○ フロー指標・ストック指標を整備し、明確・透明なルールによる財政情報の開示を徹底
・ストック指標は公営企業、地方公社等も含め、普通会計が実質的に負担することとなるものを捉えて検討
・全団体において、フロー指標・ストック指標及びその基礎データを開示
○ より早い段階から財政の健全化を図っていくための早期是正スキームの導入
・地方公共団体の自主的な改善努力を促すことにより、財政健全化を実現
・対象となる団体は速やかにその要因等を分析し、財政健全化計画を策定した上で、住民に公表
・国・都道府県の関与は自主的な努力を促すものとすべき。外部監査の充実等、監査機能の強化について検討
○ 自主的な健全化努力のみでは財政の健全化が困難な団体については、国・都道府
県の関与の下で再生
・再生計画の策定、計画の実効性の担保のため国が関与。再生促進策も検討
・地方行財政制度の抜本改革が進展した下で再生する場合については、さらに整備すべき再生ツールについて
検討(債務調整の必要性等)
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