北米補習授業校巡回指導を終えて - 全国海外子女教育・国際理解教育

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補習校について
1.1
用語について
補習授業校 ・・・ 文部科学省が認可した私立学校。
(別紙参照)認可の条件として設置者となる理
事が5名。学校運営委員として6名が最低義務付けられている。
「在外教育施設の
認定等に関わる規程」に詳しく書かれている。
主に土曜日を中心に授業が行われ、3~6時間の授業を日本の教科書を使って
学習する。授業日数は40日程度。
現地の学校に通いながら、日本に帰った時に困らないように必要な教育を休日
に行っている。
指導教科は国語算数を中心とする場合が多いが、学校によっては、社会・理科・
生活を行う場合もある。いずれにせよ、算数の場合は日本の175時間を80時
間で学習するために、現地校の学習内容を考慮したり、多くが宿題になったりす
ることが多く、家庭の協力が学習能力維持のためには欠かせない。
教室は現地の学校を使用することが多い。現地の学校としても有効利用ができ、
借用料がもらえる利点がある。私立・公立と問わず現地小学校から大学まで、借
りる校舎は様々である。しかし、あくまでも現地学校の教室を借りる立場にある
ために、黒板が掲示物でいっぱいだったり、教室の机が児童に合わなかったり、
火気使用厳禁だったり様々な問題がある。現地校やその関係自治体との友好関係
が重要になる。
指導している教師は、様々である。保護者が指導者の場合もあるし、日系人が
行うこともある。大学に留学中の学生に協力してもらう場合もある。日系人や国
際結婚された現地在住の方がされる場合が最も多い。学生の場合には指導が単位
に認められたり、給料が大学に支払われてその中から学生の取り分をもらうこと
になっていたりする。ビザの関係で就労そのものは認められていない。つまり、
指導者は初めて子供と接する方から何十年のベテランまで様々な構成である。
尚、100名を越える学校には日本から学校長として各都道府県から派遣され
る。その後300名ずつに1名が加配される。派遣教員はいずれも学校長や教頭
職となり学級担任として実際に授業を受け持つことはなく、現地教員の指導や事
務、雑務に専念する。必ずしも日本での管理職経験を有する方が補習校へ派遣さ
れる訳ではなく、現地で始めて管理職を経験する教員もいる。最近の傾向として
は、公立学校を退職した在外教育施設経験者が最派遣されることが多い。
1.2 補習校に関わる機関について
文部科学省・・・
文部科学省は補習校を在外教育施設として認可し学校設立のための補助金を出
している。大規模校には現職教員を派遣し、主に校舎建設費用と派遣教員の給与
を支出している。また、登録される日本人子女に対して無償で教科書を提供して
いる。この場合は財団(下記)を通じて各学校へ配送される。
外務省
・・・
外務省は、日本国大使館や領事館を通じて、実際の学校運営に対するアドバイ
スを行ったり、健全な運営や子女数の把握を行ったりする。在外教育施設に置い
て出張所を開催することもある。在外投票など。また、大きな大使館や領事館に
は文部科学省からの出向者も1名いることがあり、学校教育全般の指導助言を行
っている。
海外子女教育振興財団
・・・
海外子女教育振興財団(以下財団)は、補習校に対して教材斡旋。学校医療保
険、現地採用教員の募集や必要に応じて講師派遣を行っている。各校が指導書や
教員用の教科書を購入するにも財団を通じて行う。補習校に図書購入費や教材購
入補助金を支出もしている。学校とのつながり以外にも、個人的にも利用するこ
とができ、各家庭においては、日本から海外に移住する際に財団に直接寄ること
で教科書をもらうこともできる。また、財団は海外に暮らす子女に対して通信教
育も行っている。ドリル学習や教材の斡旋も各個人に対しても行っている。財団
に直接所属する現場教員はいない。
全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会
・・・
全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会(以下全海研)は、補習校に対し
て直接働きかけることは内が、財団からの委託を受け、補習校のための指導書を
作成したり、連絡協議会へ講師を派遣したりしている。所属は、全て全国の現職
教員または退職もと教員で構成されている。
1.3. 研修に関わる内容について
補習授業校校長研究協議会(校長会)
・・・
補習授業校校長会で、年に1回。持ち回りで開催される。派遣教員校長を中心
に集まる会議。自治的に行われる。世界中の補習授業校の校長が一度に会する。
旅費は文部科学省から支出。
補習授業校地区別連絡協議会
・・・
外務省が主催。管轄領事館が中心となって補習授業校の校長に呼びかけて集ま
る。年に1回。派遣教員を問わず校長が集まる会議。出張旅費は外務省が出費。
補習授業校現地採用講師 地区別研修会
・・・
補習授業校の講師が集まる研修会。2泊3日で行われる。北米で3カ所ほどの
ブロックに分かれて開催される。欧州では、国別にフランス、ドイツ、英国(ア
イルランド含む)、スエーデン、イタリアで開催される。
開催地の教員は全員参加することができるが、そのほかの補習校では予算の都
合上、各校から1名を参加させることが多い。この場合、別の仕事をされている
方が多いので、金曜日から日曜日に行うように配慮されている。出張旅費は、各
学校負担。
文部科学省初等中等教育局長の委託による教師派遣もある。
補習授業校巡回指導
・・・
今回の補習授業校巡回指導は、平成15、17年度に小学校用、平成18年度
に中学校用指導書を作成したことに合わせて、その利用方法を説明すると同時に、
派遣教員のいない補習校への教育的指導や運営助言をすることを目的としている。
年に1回。北米地区と欧州地区、アジア地区の3地区へそれぞれ2名から3名の
グループで訪問している。平成22年度で5回目。教員をもたない財団が全海研
へ指導委託して実施されている。
2.補習校用指導書について
上記理由より、補習授業校は限られた時間の中で学習を進めなくてはならない。多くの学校が35週
分以上行っているが、算数に限って考えても、週に1コマだと35時間、週に2コマ実施できる学校で
も70時間となっている。また、多くの学校が市販のテスト(日本標準)を購入している場合が多く、
テスト時間に授業を費やすことが負担に感じている教員も多い。教科書の内容を年間の限られた時間の
中で、何を取捨選択して指導してよいのか悩むことも多く、教育課程編成の手引きになるように作成し
たものがもともとのものである。
最初の補習校用指導書は、印刷の上、製本して届けられていた。ファイルになっていた年もある。前
回の補習校用指導書から、CD-Rに入れて送付した。詳しい内容例は別紙の通り。社会・理科版を作
成した時もある。中学校用の指導書も作成されている。
今回の補習授業校訪問巡回指導は、以前の補習校用指導書の使用状況を調査すると同時に、現在作成
中の補習校用指導書のPRと意見を聞くことが主なねらいである。
今回の補習校用指導書は、国語算数の2教科を作成。北海道国際理解研究協議会は、平成20年度に
全海研の依嘱を受け、小学校算数の6学年分の補習校用指導書の作成を進めてきた。
2.1,指導書作成に関わって
・作成依頼は、文部科学省が予算化し関係団体へ作成依頼をする。本年度は文部科学省から全海研へ依
頼される予定。以前は、文部科学省から海外子女教育振興財団へ、そして全海研で作成していたこと
もあるが、今回は海外子女教育振興財団が関与していない。
・文部科学省から内示された予算は来年度、補習授業校のための指導書(小学校用)2教科分で、80
万円
・配布方法は、文部科学省からEMS(国際スピード郵便)で3月までに郵送する予定。以前は、補習
授業校を管轄する領事館へ領事館定期船便で配布される学校もあった。この場合、4月作成でも6月
着になる。
2.2.補習授業校からの依頼
・ 4月に確実に届くようにしてほしい。
・ ワークシートは大変有効である。
・ 単元テストはついてないのか。
・ ホームページからダウンロード出来るようになるとよい。
2.3.作成に気をつけること
・ ファイル名は半角英数
・ フォントは「MSゴシック」「MS明朝」のみ
・ 上下に十分な余白をつける。(レターサイズに対応させるため)
・ カラー(色)は使用しない。
・ ワードのバージョンは「ワード2003」で保存すること。
2.4.ワークシートについて
・ 現地では日本の学習ノートが手に入らないために、ワークシートは大変有効。特に縦横に罫線の入
った十字リーダー入りは入手できずに、国語の漢字指 導で困る。教師経験の浅い場合にはノート
の書かせ方も分からないために、ワークシートがあることで助かる。
・ ベテラン教師になるほど、こだわりがあるために自分なりの進め方をしたがる。
・ ワークシートにすることで、ノートを書く力が劣るのではないか。
・ 教師アンケートによると97%の教師がワークシートを要望していた。3%が板書例を要望してい
た。(本年度訪問地補習校教員30人にアンケート実施。
)
・
2.5.その他
・ ルビは多い方が良い。
・ 少人数対応にしてほしい。
(特に国語で「話し合う」は不可能)
・ そろばん授業はできない学校が多い。
3.巡回指導に関わる諸費の出費について
・補習校巡回指導についての費用は財団より200~300万円ほど支出されている。
・補習校の先生と食事をしながら、話し合いを行う際には財団から食費もだされる。実際に派遣教員の
いない補習校は事務所や授業日以外の校舎を借用することは難しいため、レストランを使用するのは
やむを得ない。
・交通費、燃料代、宿泊費、高速道路利用料も財団もち。
・今回の末原の旅費は26万円。一時自己負担12月中に振り込まれる予定。全日空(千歳⇔羽田⇔シ
カゴ)を自分で取得。集合場所はシカゴ空港国際線到着ロビー。
・3年前に末原がセントラルケンタッキー補習授業校へ行った時には、1800ドル。当時1ドル=1
20円。JTBニューヨーク支店で取得していただいた。千歳⇔成田⇔シカゴ⇔レキシントン。その
うち、1000ドルが補習校より講師料として支出された。
4.補習校用指導書の作成予算、経費に関わって
今回のような補習授業校巡回指導は、もっと派遣教員がいる補習校を活用して行われると良い。今回の
ようなケースだと、1年に1回で終わってしまう。しかし、派遣教員が複数いる学校では1名を月に1度
で良いから派遣教員のいない学校へ指導に行くことで、緊密な連携・指導がもてる。実際にソウル日本人
学校でも平成14年度までは補習授業校があったため、年に1回だが土曜日に全日制のソウル日本人学校
派遣教員が校長以下2名で指導助言を行っていた。実際に訪問したマサチューセッツ州アーモスト補習授
業校では、釧路から派遣されていたボストン補習校の先生が平成16年に講師として研修を行っていた。
しかし、派遣教員のいない補習校では人数が少なく、指導助言者を呼ぶだけの十分な財源がないため、講
師の旅費を工面して近くの街の派遣教員を講師として呼ぶことは難しい。そこで、本巡回指導の予算を回
すのがより現実的であり、継続可能な指導として有効だと考えられる。
指導書作成には80万円。小中の2年間を合わせて160万円が計上される予定。加えて通常教科書は
3年使用するために、3年間で160万円と考えられる。一方、巡回指導は年に1回2~300万円の予
算。3年間で750万円になる。作成費用は文部科学省から、巡回指導は財団から支出されている。これ
までの作成費用は財団へ支払われていたのだから、もっとお金をかけて指導書を充実される方が、本来の
ねらいにあっているのではないか。
5.巡回して
補習授業校へ対しての支援は、外務省、文部科学省、海外子女教育振興財団、全国海外子女教育・国際
理解教育研究協議会の4者が関わっている。東京学芸大学国際教育センターでも定期的に情報交換会を開
催しているが、主となるものはその4者と言える。今回は、訪問してみてその連携の薄さを多くの場面で
感じた。
外務省は補習校を通じて広く門戸を開き、多くの場面で日本について広めたいと考えている。現在は帰
国予定者を対象にしているが、帰国予定者の特定が困難なこともあり、邦人全員を考えて予算化すべきだ
との意見もある。一方、文部科学省は教科書の無料供与にもあるように、帰国が明確になっている子女に
対する教育を指導の中心に据えるべきだと考えている。特に文部科学省の初等中等局の国際教育課が補習
校の窓口を担当しているために、小学校と中学校が基本的に認可の対象となっている。幼稚園や高等学校
を独自に設けている補習授業校はあるが、あくまでも各校の判断によるもので、もちろん義務教育ではな
いこともあり、教科書の給与対象とはなっていない。
海外子女教育振興財団は、教材の斡旋から通信教育まで幅広く支援しており、実際に学校を支援してい
るのは海外子女教育振興財団だと言える。毎年図書購入費を各校へ配分したり、教材購入補助費を支出し
ていたりするなど、その現地に対する役割は大きい。しかし、教員を含まない財団では、現地指導につい
ては限界がある。授業の支援となると、全国海外子女教育国際理解教育研究協議会に委託せざるを得ない。
前回までの「補習校のための指導書」づくりもそうであるし、巡回指導についても同様で、財団から教員
を選出して派遣するには限界があり、全海研に委嘱することになってしまう。
そのため、今回の巡回訪問先については財団が考えた学校となっていたために、現場の方から要望があ
った学校を中心とした訪問ではなかったり、2学期の授業がまだ始まっていない学校を中心にまわる計画
となってしまったりしている。
今回特に残念だったのは、同じ時期に補習校研修会が行われていたのにも関わらず、その研修会に参加
できなかったことである。その場で話をすることで、全部の地区を回るのと同じような効果が得られるの
である。実際に参加している教師は各校から1名かもしれないが、その1名が現地に戻って話しをしても
らえば良いのである。
事業委託を受けた立場の全海研としても、事前情報不足が否めない。こちらに到着してから講師研修会
があることが分かったからである。今回の訪問で公開授業を3時間しかできなかったことや、研修会に参
加して広められずに一校一校地道に指導しなければならなかったことが非効率的である。
つまり、この4者の連携が緻密に組織されたときに初めて、理想とされる補習校の姿が確立し、現地教
員の質の向上、学校運営の安定が保障されるのではないかと考える。現地で努力を続ける日本人子女のた
めに4者の連携と組織化が切に望まれてやまない。
6.初のカナダに対する所感(アメリカとの違い)
・カナダは社会保障がしっかりしている。病院は無料である。手厚い看護はしてもらえないが、何より
無料である。その分カナダの方が税金が高い。社会保障制度の複雑なアメリカとは大きく異なる。ア
メリカの補習校では、救急車請求承諾書を各家庭から入学時に提出してもらうことの多い。ただし、
カナダも救急車は1回150ドルほど別途かかるため、その点のみ、アメリカと似ている。
・カナダは水力発電が盛んで、発電量も豊富だ。特にケベック州はニューヨークに電力を売っている。
ケベック州の発電量は州使用量の2倍。巨大な水力発電施設をもっている。そのため、カナダの方が
道路の多くに街灯を設置している。地中埋伏の電線でつながれている。高速も真っ暗、電力会社のス
トによる停電も多いアメリカとの違いである。
・カナダは英語に加えてフランス語が公用語になっている。特にケベック州は80年代にカナダから独
立するかどうか議論になったほど、独自色が濃く。ほとんどがフランス語を使用している。殊に北の
方へ行くほどフランス語一色になる。町の看板や標識、案内ポスターには2ヶ国語が書かれている。
同じ内容で2ヶ国語に分けて作成している。町の標識はフランス語が中心であり、英語になれている
と戸惑うほどである。そう考えてみるとケベックやモントリオールという地名が、そもそもフランス
語の表現である。
現地の子どもたちは2ヶ国語を学習する。しかし、他の州ではフランス語を第二外国語のように言
語として勉強していて、英語を中心に生活をしているが、ケベック州だけは外国人子女に対してフラ
ンス語学習を徹底していて、外国人移住者は安易に英語系の学校に入学できないようになっている。
フランス語が公用語のせいか、国民もどこか自己中心的で、紳士的態度を理想とするアメリカ社会
とは異なる感じを受ける。
「エクスキューズミー」も少なかったり、飲みかけのドリンクを放置したり、
子どもたちの振る舞いからその様に感じた。
・カナダにしかないカナダならではのお店も多い。衣料品はまとめて衣料品店で売ることの多いアメリ
カに対して、小店舗が多くちょっとしたブランド店が小さな町にも数多くある。JCBが普及してきて
いるアメリカに対してカナダは全く使えない。日本料理屋が増えてきているのはどちらもだが、日本
料理やといっても韓国中国系の方が経営している場合が多い。ジャパニーズレストランエキスプレス
というチェーン店も韓国系の方の開いたフランチャイズ店である。アメリカにも韓国中国人が多いが、
韓国人と日本人の割合を考えると、アメリカよりもカナダの方が韓国人の割合が高い様に思える。実
際カナダには韓国人のための教会、中国人のための教会が数多くあるし、カナダの国そのものが留学
生を多く受け入れようと積極的な政策をとっている。
7.その他の所感
・7月中旬に依頼があり、即チケットを手配したが、現地集合で各自飛行機手配ということに戸惑った。
巡回指導に参加した過去の先生方が各自、自分の必要とするマイルを貯めるために各飛行機会社を選
べるようにした仕組みらしい。末原はマイルなど貯めたことがなく、今回一番時間の都合が良い全日
空にしたが、往復で9800マイル貯まった。のこりの200マイルを貯めないと他に流用したり現
金化したりすることができないらしく、途方に暮れている。
・朝食はホテルについている朝食。とは言っても安いモーテル(50ドルから100ドル)に泊ってい
たために、ベーグルパンとコーヒーが主。野菜を食べたいと思う毎日。昼食は主にハンバーガー。マ
クドナルドでは、日本で人気の大きいサイズのバーガー、クオーターパウンダーバーガーは、アメリ
カにはない。あるのは「ダブルクオーターパウンダー」だった。ちなみに、ビックマックも姿を消し
ていた。あるのは「ダブルビックマック」だ。パテと呼ばれるお肉が4枚である。マクドナルド、ハ
ービーズ、サンデイ、バーガーキングの各種を順番に3周した。3週目はすっかりアメリカ人と化し、
ダブルビックマックを頼む自分に驚いた。
・前回補習授業校講師に来た3年前よりも、日本の会社、日系企業の撤退が進んでいるのを実感した。
各学校いずれも日本企業の撤退により在籍数が減少の一途をたどっている。
・72時間にわたる長時間の運転により、多くの時間を高速道路で過ごした今回の出張。車のことにつ
いて気になったのは、韓国車が増えてきていること。もっとも販売台数や保有台数で言うと、日本車
が断トツ1番である。特に新型プリウス、マイナー前のプリウスは相当数が走っている。しかし、韓
国車は札幌にも販売店があるにもかかわらず、日本で韓国車を見かけることは珍しいが、アメリカ、
カナダでは、実に多くの韓国車が走っている。ヒュンダイ、キアの2社が3年前の訪米した印象と比
べると明らかに多くなっているのを感じた。特にカナダは大型車にこだわらず、小型乗用車も多いこ
とから、韓国車2社の多さが気になった。カナダにはスズキの工場もあったのだが、撤退してしまっ
た。今回訪れたロンドン補習校はスズキ自動車の社員増で創られた学校である。
・今回の巡回指導の多くの時間は移動に費やされ、車を降りて観光したのは2回。ナイアガラの滝を見
たことと、モントリオールでノートルダム寺院を見て町を一望できる公園にいったことである。合計
2時間で間違いない。
・出来事としては、カナダに車でバーモント州から入ったとき、国境を越えすぐ近くの観光案内所に寄
った。国境といってもちょっとした高速道路の料金所の様なものである。そこは、国境そばの国道に
ある大きな観光案内所で、換金所も付随されていた。「円・米ドル・カナダドル・ユーロ」の表示があ
ったために1万円換金した。換金所の女性に「日本円を初めて見た」と言われた。彼女は苦笑いしな
がら、調書を2枚も書いた上、ようやく換金できた。身分証を2つ、免許証と旅券。更にはどうやっ
て入手したお金かも笑いながら聞かれた。当然、
「サラリー」と答えが。
・カナダの高速で警察に止められた。全くの覆面車で気がつかなかった。後ろで赤色灯が光っても気が
つかなかった。音がないからである。パッシングされた。路肩に停車したところ、「車載レーダーを見
せろ」といわれた。積んでいないなどいくつか話をすると、立ち去っていった。全く理由が分からな
い。あまり見ないアメリカのしかもウィンスコンシン州のナンバープレートだったからか。
・入国審査では、ナイアガラの滝を見た後に別室に連れて行かれた。すぐに終わった。入れ替わりに出
てきた人は、かっぷくの良い黒人女性が手錠をつけて連行されていた。別の日、改めてカナダに入国
した。仕事を聞かれ教師だと言うと、「何の教師か。」「何を教えているか。」と聞かれ、最後には「忙
しいか。」まで聞かれた。「めっちゃ忙しい」と答えた。彼は、ただ暇だったのだろう。アメリカ再々
入国の際には、国境越えに1時間かかった。混んでいるであろう大都会デトロイトからの入国を避け
たのにこれである。ようやく入国審査。さあ車を動かそうという時、
「ストップ」と手で合図をされた。
隣のレーンでは、目の前の車の運転手がドアから出ろと指示されていた。そして、運転手は立たされ、
手を車につかされ、その後、両手を上げさせられた。見る間に警官が集まり、一様に建物に半身を隠
し、方ひざをついている。その片手は拳銃に添えられていた。その数6人。結局運転手は手錠をかけ
られ連行されていった。さながらテレビドラマの様だった。
・レンタカーを返却したところ、走行距離は3100マイルだった。およそ5000kmになる。札幌
から鹿児島に行って帰ってきたぐらいだろうか。これもオートクルーズ機能があったからできる技で
ある。オートクルーズ機能は同じ速度を保つ機能で、スイッチを押せば、アクセルを踏まなくても良
い優れた機能である。日本でも以前はホンダで採用された車種があったが、今ではどういういきさつ
か見当たらない。残念である。とても便利な機能で、北海道ではとても重宝するのではないかと思わ
れる。シカゴ市内の8車線の高速道路もオートクルーズ機能がなければ、運転できなかったと思う。
夜の週末の高速。そして大都会。まるで車のゲームのような様相である。しかし、みんながオートク
ルーズを使うために、抜かすのも抜かされるのも一定のスピードで抜いていく、抜かされていく。予
測がつきやすいのだ。抜くために速度を一気に上げる日本は逆に危険なのではないかと思うぐらいで
ある。また、そのゆっくりと同じ速度で抜いたり抜かされたりする風景がゲームの感を誘う。シカゴ
を抜けたときには、背中にいやな汗をかいていたのは言うまでもない。
・アメリカにも有料高速道路がある。ニューヨーク、シカゴ間の道路が有名だ。「Toll roads」と言い、
本当にお金を取るロードだ。
・3年前のケンタッキーの住宅でみられた3種類のごみの分別が、全く広がっていないことが分かった。
今回分別用のゴミ箱を見かけたのは2箇所のみである。大学と、とあるショッピングモールの2箇所
である。大学では紙をリサイクルするようにしてあり、あるショッピングモールではペットボトルと
缶を入れるごみ箱が別になっていてリサイクルマークがかいてあった。地球がどうであれ、この国は
大量消費国であり大量廃棄国であることは、悲しいことに事実である。
8.最後に
・本文章は全海研会長滝多賀雄さんに監修をいただいた。H22年9月
・以下のHPを参考にしました。
文部科学省 クラリネット
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/main7_a2.htm
東京書籍 海外日本人学校・補習授業校のホームページ
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/hplink/prefschool.php?scl=p&pref=99