2015 年 3 月 10 日 報道関係各位 ) 化粧品に配合できるヒアルロン酸として最小の新成分 発酵分解で約1nm(ナノメートル)まで小さくした「発酵ヒアルロン酸」 ―2015 年 3 月 25-28 日 日本薬学会第 135 年会(神戸)にて発表― 小林製薬の子会社である、ジュジュ化粧品株式会社(本社:大阪府茨木市、社長:森谷邦男)は、 ヒアルロン酸の肌への保湿効果に着目し、長年、研究を行なっています。 今回、当社独自技術により、高分子ヒアルロン酸を約1nmまで小さくした「発酵ヒアルロン酸」が、 高い皮膚浸透性、更には皮膚の保湿作用などを有することを発見し、化粧品原料として有用で あることを見出しました*1。 本成果は、ジュジュ化粧品株式会社から今後発売される化粧品に活用してまいります。 【研究背景】 微生物による発酵技術が食品や医薬品などに幅広く利用されている中、当社は、化粧品の保湿 成分として知られている高分子ヒアルロン酸を小さく発酵分解できることを 2012 年に発表いたし ました*2。 今回、当社独自技術により得られた、高分子ヒアルロン酸を小さくした発酵分解物(以下、 発酵ヒアルロン酸)が、新たな化粧品素材として活用できるか検討しました。 【研究結果 概要】 発酵ヒアルロン酸について、今回下記 3 点の結果が明らかになりました。 1. 構造の解明 2. 高い皮膚浸透性 3. 高い皮膚保湿作用に加え、高い皮膚バリア機能回復の効果 発酵ヒアルロン酸の分子構造 *1 本研究成果は、小林製薬株式会社グループとして 2015 年 3 月 25 日から 28 日まで神戸にて開催される、日本薬学会 第 135 年会にて発表いたします。 *2 2012 年度日本放線菌学会大会にて発表済。 ******** 報道関係の方からのお問い合わせ先 ******** 小林製薬株式会社 広報総務部 【東京】 網盛/西片/浦 TEL:03-5541-8016 FAX:03-3555-3380 【大阪】 小山 TEL:06-6222-0142 FAX:06-6222-4261 【研究結果】 1.発酵ヒアルロン酸 構造の解明 シ ノ モ ナ ス ア ト ロ シ ア ネ ア 高分子ヒアルロン酸を、微生物*1 の 1 種であるSinomonas atrocyaneaで発酵分解すると(図 1)、 ヒアルロン酸の構成糖である N-アセチル-D-グルコサミンと D-グルクロン酸の構造中に二重結合を 持つ二糖になり、発酵ヒアルロン酸は、図 2 のような構造であることを突き止めました。この 発酵ヒアルロン酸の分子サイズは約 1nm であり、一般的に知られている低分子ヒアルロン酸が約 15~25nm、高分子ヒアルロン酸が約 4,000nm であることを考えると、非常に小さい分子であること がわかります(図 3)。 *1 放線菌 二重結合 N-アセチル-D-グルコサミン D-グルクロン酸 発酵分解 高分子ヒアルロン酸 発酵ヒアルロン酸 図 1 発酵ヒアルロン酸の構造イメージ 発酵ヒアルロン酸 低分子ヒアルロン酸 図 2 発酵ヒアルロン酸の構造式 高分子ヒアルロン酸 図 3 「発酵ヒアルロン酸」他、各ヒアルロン酸のサイズイメージ 2.発酵ヒアルロン酸の皮膚浸透性の高さ 分子サイズが小さいほうが皮膚に浸透し、浸透すれば効果を発揮しやすくなります。発酵ヒアル ロン酸は他のヒアルロン酸よりも深く浸透し、皮膚最深部(真皮層)まで浸透していることがわかり ました(図 4)。 試験方法: 三次元培養皮膚モデルに、蛍光ラベル化した各ヒアルロン酸を塗布し、24 時間後、切片作成を行い、浸透度を蛍光 顕微鏡にて観察。発酵ヒアルロン酸は真皮層まで浸透したことがわかる、特異的な蛍光発色が確認された。 図 4 発酵ヒアルロン酸の浸透性 実験結果 3.発酵ヒアルロン酸が持つ、高い皮膚保湿作用と、高い皮膚バリア機能回復の効果 結果、下記 2 点が確認されました。 ① 高分子ヒアルロン酸あるいは低分子ヒアルロン酸に比べ、発酵ヒアルロン酸を塗布したときの ほうが、角層水分量値が増加することが示されました(図 5)。 ② 人為的にバリア機能を破壊した皮膚に発酵ヒアルロン酸を塗布すると、他のヒアルロン酸と 比較してバリア機能の回復傾向が高いことが示されました(図 6)。 これらの結果から、発酵ヒアルロン酸には皮膚の保湿作用向上、更には、バリア機能回復効果を 有し、その効果は高分子ヒアルロン酸あるいは低分子ヒアルロン酸よりも高いことが明らかとなりました。 (%) 180 保 湿 効 果 角層水分量変化率(初期値で補正) 高い ■無塗布 ■0.01%発酵ヒアルロン酸配合ローション ■0.01%高分子ヒアルロン酸配合ローション ■0.01%低分子ヒアルロン酸配合ローション 160 140 120 100 【ローション組成】 各ヒアルロン酸 エタノール 防腐剤 水 80 60 40 0.01% 5% 0.192% 94.798% 20 0 塗布後15分 塗布後30分 試験方法: 発酵ヒアルロン酸、高分子ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸の各ローションを肌に塗布し、15 分後と 30 分後の 2 回、角層水分量を SKICON-200 にて測定。(N=6) 図 5 発酵ヒアルロン酸の保湿効果 (※数値が大きいほど保湿効果が高い) バ リ ア 機 能 回 復 効 果 高い 皮膚からの水分蒸散変化率(初期値で補正) (%) 160 ■コントロールローション (ヒアルロン酸無配合) ■0.01%発酵ヒアルロン酸配合ローション ■0.01%高分子ヒアルロン酸配合ローション ■0.01%低分子ヒアルロン酸配合ローション 140 120 100 【ローション組成】 各ヒアルロン酸 エタノール 防腐剤 水 80 60 40 0.01% 5% 0.192% 94.798% ※コントロールローションは、ヒアルロン酸無配合 20 0 バリア機能破壊後 2日目 試験方法: 人為的にバリア機能を破壊した肌に発酵ヒアルロン酸、高分子ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸の 各ローションを肌に塗布し、48 時間後、経表皮水分蒸散量を Tewameter TM300 にて測定。(N=4) 図 6 発酵ヒアルロン酸のバリア機能回復効果 (※数値が小さいほどバリア機能が高い)
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