リハビリテーション病院における 成人患者とセラピスト間の目標共有

茨城県立医療大学大学院博士論文
リハビリテーション病院における
成人患者とセラピスト間の目標共有に関する研究
‐その現状分析と方法の有効性‐
千
田
直
人
茨城県立医療大学大学院博士後期課程保健医療科学研究科
保健医療科学専攻
2014 年 3 月
目
第1章
次
序論
第1節
研 究 背 景 ・ ・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・ ・・ ・・・・・ 01
第1項
1.1
1.2
1.3
保 健 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 研 究 動 向 ・ ・・・ ・・ ・・・・ 01
医 療 の 質 と 患 者・医 療 者 間 の 関 係 ・・・・・・・・・・・・ 02
Shared Decision Making の推 進 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 02
保 健 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 課 題 ・・・・・・・・・・・・ 03
第2項
2.1
2.2
2.3
リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 研 究 動 向 ・・・04
会 話 を 基 に し た 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 ・・・・・・・・・10
質 問 紙 等 を 基 に し た 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 ・・・・・・・14
リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 課 題 ・・・・・18
第2節
現 状 の 課 題 ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ 20
第3節
目 的・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 20
第4節
構 成・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 21
第1項
第2項
第2章
研 究 構 成・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 21
倫 理 的 配 慮 ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 21
第 1 研究:リハビリテーション病院成人患者の目標実態
―患者の目標達成度と患者・セラピスト間の目標一致度ならびに
健 康 関 連 QOL と の 関 係 ―
第1節
目 的・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 22
第2節
方 法・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 22
第1項
第2項
2.1
2.2
2.3
対 象 と 実 施 概 要 ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ 22
調 査 内 容・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 22
目 標 達 成 度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
患 者・セ ラ ピ ス ト 間 の 目 標 一 致 度 ・・・・・・・・・・・・ 23
健 康 関 連 QOL ・・・・・・ ・・・ ・・・・・・ ・・・ ・・・ 25
第3項
3.1
3.2
分 析・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 25
目 標 達 成 度 と 健 康 関 連 QOL の 関 係 ・・・・・・・・・・・・ 25
目 標 一 致 度 と 健 康 関 連 QOL の 関 係 ・・・・・・・・・・・・ 27
i
第3節
結 果・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 31
第1項
1.1
1.2
1.3
目 標 達 成 度 と 健 康 関 連 QOL の 関 係 ・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・・ ・ 31
退 院 時 の 目 標 達 成 度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 健 康 関連 QOL の 関 係 ・・・・・・・・32
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院 後 の 健 康 関 連 QOL と の 関 係 ・・・34
第2項
2.1
2.2
2.3
目 標 一 致 度 と 健 康 関 連 QOL の 関 係・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・・ ・ 35
入 院 時 の 目 標 一 致 度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
退 院 時 の 目 標 一 致 度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
退 院 時 の 目 標 一 致 度 と 退 院 後 の 健 康 関 連 QOL と の 関 係 ・・・36
第4節
考 察・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 40
第1項
1.1
1.2
1.3
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 健 康 関 連 QOL の 関 係 ・・・ ・ ・・・・ 40
退 院 時 の 目 標 達 成 度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 健 康 関連 QOL の 関 係 ・・・・・・・・40
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院 後 の 健 康 関 連 QOL と の 関 係 ・・・41
第2項
2.1
2.2
2.3
目 標 一 致 度 と 健 康 関 連 QOL の 関 係 ・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・・ ・41
入 退 院 時 の 目 標 一 致 度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
入 退 院 時 の 一 致・不 一 致 目 標 の 特 徴 ・・・・・・・・・・・ 42
退 院 時 の 目 標 一 致 度 と 退 院 後 の 健 康 関 連 QOL と の 関 係 ・・・42
第5節
第3章
小 括・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 43
第 2 研究:リハビリテーション病院成人患者・セラピスト間に
おける目標共有のリハビリテーション効果
第1節
目 的・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 44
第2節
方 法・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 44
第
第
第
第
1
2
3
4
項
項
項
項
対 象 と 割 付 け ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 44
介 入・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 45
測 定 尺 度 ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 47
分 析・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ 47
第3節
結 果・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 48
第4節
考 察・・・ ・・・・・ ・ ・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 50
第1項
第2項
第5節
共 有 型 と 通 常 型 の 比 較 検 討・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・ ・・ 50
共 有 型 の 特 徴 ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ 51
小 括・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・ 52
ii
総 括・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
謝 辞・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
参 考 文 献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58
資 料・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 67
別紙
別紙
別紙
別紙
別紙
1
2
3
4
5
入 院 時 調 査 票( 患 者 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
入 院 時 調 査 票( セ ラ ピ ス ト 用)・・・・・・・・・・・・・・・ 70
退 院 時 調 査 票( 患 者 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74
退 院 時 調 査 票( セ ラ ピ ス ト 用)・・・・・・・・・・・・・・・ 82
退 院 後 1 カ 月・ 3 カ 月 調 査票( 患 者 用)・・・・・・・・・・・ 84
iii
第1章
第1節
序論
研究背景
入 院 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 療 費 の 医 科 診 療 費 総 額 に 対 す る 構 成 割 合( 1 日
当 た り ) は 4.9% ( 平 成 24 年 度 ) を 占 め , 前 年 比 で は 外 科 的 治 療 や 在 宅 診
療 と 同 等 に 15.3% も 増 加 し て いる 1 ,2 ) 。こ れ は ,地 域 社 会 に お け る 入 院 リ ハ
ビ リ テ ー シ ョ ン の 必 要 性 を 如 実 に 示 し て お り ,入 院 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン にお
け る 質 の 高 い 医 療 お よ び 患 者 の Well-Being を 希 求 す る 医 療 者 の 態 度 が 社 会
的に求められていると言える。
医 療 の 質 の 向 上 に は ,多様 な 医 療 者 が 各 々 の 高 い 専 門 性 を 前 提 に,目 的 と
情 報 を 共 有 し,業 務 分 担 し つ つ も 互 い に 連 携・補完 し あ い ,患 者 の 状 況 に 的
確 に 対 応 し た 医 療 を 提 供 す る こ と が 必 須 と さ れ て いる 3 ) 。ま た,医 療 の 質 の
改 善 を 図 る た め に は , コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン や 情 報 の 共 有 化 が 重 要 と さ れ 4),
患 者 を チ ー ム の 一 員 と し て 位 置 づ け る ,患 者 中 心 の 多 職 種 連 携 の 実 践 が 求め
ら れ る 。更 に ,集 団 や 組 織 を 基 盤 と し た 地 域 社 会 生 活 に は,人 類 の 存 続 が 為
し得た原始社会から,生産性・効率性が求められる現代社会まで一貫して,
複 数 の 人 が 共 通 の 達 成 す べ き 明 確 な 目 標 に 向 け て 知 恵 と 力 を 合 わ せ る ,チー
ム ワ ー ク や 協働 5 ,6 ) が 不 可 欠 で あ る 。
つ ま り ,Well-Being を 希 求 す る 地 域 社 会 生 活 の 営 み に は , 他 者 と 目 標 を
共 有 し た チ ー ム ワ ー ク が 欠 か せ ず,そ れ は 保 健 医 療 分 野 は 基 よ り,リ ハ ビ リ
テ ー シ ョ ン 医 療 に お け る 成 人 入 院 患 者 と セ ラ ピ ス ト 間 で も 同 様 で あ る 。患者
が 連 携 の 枠 組 み に 入 る こ と は,患 者 が ケ ア の 受 身 的 な 存 在 で は な く,地 域 生
活 者 と し て 積 極 的 に 必 要 な ケ ア を 選 択 し ,医 療 者 と の パ ー ト ナ ー シ ッ プ の基
に Well-Being を 目 指 す こ と を 意 味 し て お り 7 ) , 両 者 の 協 業 や 目 標 共 有 が 質
の高い医療に欠かせない要素といえる。
し か し,そ の 現 状 に は 課 題 も あ り,患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 は 未 だ 十 分 と
は 言 え な い。そ こ で 本 節 で は 主 に ,患 者 と リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン( 以 下 ,リ ハ )
を 担 う セ ラ ピ ス ト( 以 下 ,TH)を 含 む 医 療 者 と の 目 標 共 有 の 現 状 と 課 題 を 明
らかにする。
第 1 項 保健医療における目標共有の研究動向
質 の 高 い 医 療 の 実 現 に は,患 者 を チ ー ム 医 療 の 一 員 と し て 位 置 づ け,患 者
の 心 理 要 因 を 向 上 さ せ る Shared Decision Making( 以 下 , SDM) に 基 づ い た
関わりなどの患者と医療者の目標共有が重要である。
そ の 例 に は,複 数 の 異 な る 専 門 職 が 患 者 と と も に,チ ー ム と し て ニ ー ズ や
ゴ ー ル に 向 か っ て 協 業 す る こ と で あ る イ ン タ ー プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル・ワ ーク
(interprofessional work; 以 下 ,IPW) 7) が あ り , IPW の ア ウ ト カ ム の 一 つ
に は 患 者 満 足 度 向 上 が 挙 げ ら れ て い る。こ れ は,患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 が
1
患 者 の 心 理 要 因 に 関 係 す る こ と を 示 唆 し て い る と い え ,患 者 の デ マ ン ド の尊
重 と 共 に ,医 療 者 の 専 門 的 見 地 を 統 合 さ せ た 目 標 設 定 の 必 要 性 が 推 察 さ れ る。
SDM と は ,患 者 と 医 療 者 が 望 ま し い 決 定 に 向 け て 対 話 を 重 ね ,患 者 の 現 状
認 識 や 目 標・価 値 観 を 分 か ち 合 い,実 施 さ れ る 医 療 に 対 し て 両 者 が 合 意 に 至
る プ ロ セ ス で ある 8 -1 0) 。こ の 患 者 の 自 己 決 定 の 保 証 は ,患 者 の 満 足 度 と 共 に
医 療 者 の 充 実 感 に つ な が る 1 0 ) と さ れ ,SDM も 保 健 医 療 に お け る 患 者 と 医 療 者
の 目 標 共 有 に 求 め ら れ る あ り 方 と い え る 。し か し,患 者・医 療 者 間 の 関 係や
SDM の 現 状 に は 課 題 も あ り , 当 該 領 域 で の 目 標 共 有 の 動 向 を 明 ら か す る 。
1.1 医 療 の 質 と 患 者 ・ 医 療 者 間 の 関 係
医 療 の 質 を 高 め る に は , 健 康 関連 Quality of Life(以 下 , HR-QOL) や 満
足度などの患者の心理要因に配慮した医療者の関わりが求められており
11 - 14 )
, 患 者の HR-QOL や 満 足 感 の 向 上 に は , 患 者 と 医 療 者 の 良 好 な コ ミ ュ ニ
ケ ー シ ョ ン 1 5) や 作 業 療 法 士( 以 下 ,OT)お よ び 理 学 療 法 士( 以 下 ,PT)等 の
TH に よ る 患者 の 同 意 を 重 視 す る 共 同 作 業 の 過 程 1 6) が 重 要 と さ れ て い る 。 ま
た ,IPW も 同 様 で あ り ,患 者 の デ マ ン ド を 尊 重 し た 上 で ,医 療 者 に よ る 医学
的 根 拠 を 基 に し た 助 言 と 両 者 の 相 談 に よ る 目 標 決 定 を 行 う こ と が ,医 療 の質
にとって大切な患者・医療者間の関係といえる。
更 に , リ ハ 入 院 患 者 が 抱 く 退 院 後 生 活 へ の 不 安 感 は 少 な く な く 1 7 ) ,TH に
は 患 者 の 健 康 感 や 自 己 効 力 感 の 向 上 に 配 慮 し た 指 導 や ,退 院 後 の サ ー ビ スの
適 切 な 活 用 を 援 助 す る 綿 密 な 退 院 計 画 が 求 め ら れ て い る 。患 者 に と っ て 設定
された目標が達成されるか否かは退院後の生活を見据える上で重要な関心
事 で あ る こ と か ら ,TH は 患 者の HR-QOL の 向 上 を 目 指 す べ く ,両 者 で 十 分 に
検討した患者中心の目標設定を行うことが不可欠である。
し か し ,リ ハ 病 院 の 入 院 時 に 設 定 さ れ た 目 標 が 退 院 ま で に 十 分 に 達 成 され
て い な い 現 状 も あ り ,回 復 期 リ ハ 病 棟 の 入 院 時 に 設 定 さ れ た 自 宅 復 帰 や 移動
能 力 の 目 標 が ,約 3 割 の 患 者 に つ い て 退 院 時 に は 変 更 さ れ る こ と 1 8 ) や, ADL
自 立 度 に 関 す る 目 標 の 退 院 時 の 的 中 率 は 6 割 で あ る こと 1 9) が 示 さ れ て い る 。
つ ま り,質 の 高 い 医 療 を 実 現 す る た め に は,患 者 を チ ー ム 医 療 の 一 員 と し て
位 置 づ け,患 者 の 心 理 要 因 の 向 上 に 努 め る と 共 に,患 者・医 療 者 間 の 信 頼 関
係 に 基 づ く イ ン フ ォ ー ム ド・コ ン セ ン ト ,更 に は 両 者 の 協 業 で あ る イ ン フ ォ
ー ム ド ・ コ オ ペ レ ー シ ョ ン 20)を 経 た 目 標 設 定 が 必 要 と い え る 。
1.2 Shared Decision Making の 推 進
患者と医療者の協業によって患者の自己決定が促進されるインフォーム
ド ・ コ オ ペ レ ー シ ョ ン と 同 義 と さ れ る 概 念 に , 意 思 決 定 の 共 有 ( Shared
Decision Making; SDM) が あ る 2 0) 。 SDM と は 前 述 の 通 り , 患 者 と 医 療 者 が望
ま し い 決 定 に 向 け て 対 話 を 重 ね,患 者 の 現 状 認 識 や 目 標・価 値 観 を 分 か ち 合
い ,実 施 さ れ る 医 療 に 対 し て 両 者 が 合 意 に 至 る プ ロ セ ス で あ る 8 - 10 ) 。こ のプ
ロ セ ス は ,倫 理 的 な 臨 床 ケ ア 実 践 な ら び に 人 々 の 健 康や QOL の 最 適 化 を 目的
2
に な さ れ,決 定 に 関 す る 満 足 と と も に 患 者 の 内 的 な 変 化・成 長 を 導 く と さ れ
て い る 9 ) 。ま た ,意 思 決 定 過 程 に 関 与 す る 医 療 者 の 役 割 に は 次 の 5 つ が 挙げ
ら れ て お り 1 0) ,1)情 報 収 集 や 記 録 の 明 確 な 伝 達 ,2)患 者 が 質 問 で き る 環 境
作 り ,3) 医 療 オ プ シ ョ ン 選 択 へ の 助 言 , 4) 最 適 な 意 思 決 定 に 向 け た 交 渉 ,
5) 意 思 決 定 を 強 化 さ せ る 援 助 , が 医 療 者 に 求 め ら れ て い る 。
SDM の 効 果 2 1 ,2 2 ) に 関 し て , SDM は 治 療 構 造 へ の 患 者 の 積 極 的 参 加 を 導 き ,
そ の プ ロ セ ス に よ る 目 標 設 定 が 患 者 の 動 機 を 高 め ,生 活 の 自 律 を 促 す と され
て い る 。看 護 分 野 2 3 ) に お い て 患 者 と 共 に 立 て る 看 護 計 画 が 求 め ら れ て い るこ
と や ,社 会 福 祉 学 分 野 2 4 ) に おい て ケ ア へ の 自 己 決 定 権 を 尊 重 す る 当 事 者 主 権
という概念が求められていることも,保健医療における患者・医療者間の
SDM の 重 要 性 を 示 唆 し て い る 。つ ま り ,患 者 の QOL の 向 上 に は ,患 者・ 医 療
者 間 の 信 頼 関 係 を 高 め ,患 者 の 医 療 選 択 に お け る 意 思 決 定 を 医 療 者 と 共 に行
う SDM, ひ い て は 目 標 共 有 が 重 要 で あ る 。
し か し ,SDM の 活 用 に は 課 題 も 指 摘 さ れ て お り ,喘 息 患 者 が 吸 入 器 を 選 択
す る 際 の 自 己 決 定 に 関 す る 質 的 研究 2 5) で は ,看 護 師 の 推 奨 に 基 づ く 決 定 が な
さ れ る 傾 向 に あ る こ と が 示 し て い る 。 ま た , SDM の プ ロ セ ス に お け る 患 者・
医 療 者 間 の 目 標 や 希 望 の 分 か ち 合 い に 関 す る 詳 細 な 方 法 は ,未 だ 確 立 さ れて
い な い 1 9 ) こ と が 挙 げ ら れ て お り ,こ れ は 患 者 の デ マ ン ド が 明 確 に さ れ ,両 者
の目標共有が実現される方略の必要性を示唆している。
1.3 保 健 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 課 題
保 健 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 課 題 と し て ,入 院 時 に 設 定 さ れ た 目 標 が 退院
ま で に 十 分 に 達 成 さ れ て い な い こ と や ,患 者 と 医 療 者 の 協 業 に よ っ て 為 され
る目標設定の不十分さがある。患者と医療者の目標が共有されない理由は,
症 状 に 焦 点 化 さ れ す ぎ て い る こ と や ,全 て の 患 者 に 同 じ 目 標 が 設 定 さ れ てい
る こ と 2 6 ) が 指 摘 さ れ て お り ,患 者 が 重 要 視 す る 意 味 あ る 活 動 の 顕 在 化 が 必 要
といえる。作業療法分野では,患者中心の臨床を妨げる要因として患者と
OT の 目 標 の不 一 致 27 ) が 挙 げら れ , 目 標 設 定 に 参 加 で き て い な い と 認 識 す る
患 者 も 少 な く ない 2 8) と さ れ て い る 。同 様 に ,脳 卒 中 患 者 の 外 来 理 学 療 法 で は,
患 者 は 運 動 機 能 の 維 持 ・ 改 善 を 目 標 と し て い る 一 方 , PT は 積 極 的 な 社 会 参
加 促 進 を 目 標 と し て い る こ と が 示 さ れ て い る 2 9 ,3 0 ) 。看 護 分 野 で は ,看護 師 は
患 者 の 展 望 に 必 ず し も 気 づ い て い る と は 限 ら ず ,患 者 が 退 院 後 の 積 極 的 役割
の 再 獲 得 を 期 待 し て 意 欲 的 に な っ て い る と 過 大 評 価 す る 傾 向 に あ り 3 1 ) ,看護
ケ ア に お け る 意 思 決 定 に 患 者 が 参 加 で き て い な い 3 2) と 指 摘 さ れ て い る 。
以 上 よ り ,保 健 医 療 に お け る 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 は 未 だ 十 分 と は 言え
な い 。 特 に , リ ハ 入 院 患 者 の 退 院 時 の 目 標 の 達 成 度 と 患 者 ・ TH 間 の 目 標共
有 の 程 度 は , 患 者 の 退 院 後 の HR-QOL に 影 響 を 及 ぼ し て い る と 推 察 さ れ る 。
ま た ,TH を含 む 医 療 者 は 患 者 に と っ て 意 味 の あ る 活 動 を 的 確 に 把 握 し , そ
れ に 基 づ い た 介 入 が 患 者 の Well-Being に 寄 与 す る と 考 え ら れ る 。
3
第 2 項 リハ医療における目標共有の研究動向
既 述 の 通 り , 入 院 リ ハ 医 療 費 の 総 額 に 占 め る 割 合 は 大 きく 1 ,2 ) , リ ハ医 療
に お け る 高 い 質 お よ び 患 者 の Well-Being を 希 求 す る TH の 態 度 が 社 会 的 に 求
め ら れ て い る。質 の 高 い リ ハ 医 療 の 実 現 に は,患 者 を チ ー ム の 一 員 と し た チ
ー ム 医 療 や 患 者と TH の 協 業 が 求 め れ , 特 に 目 標 設 定 に お い て は , 患 者 の デ
マ ン ド の 尊 重 と 共 に , TH の 専 門的 見 地 を 統 合 さ せ て 両 者 の 意 思 決 定 を 図 る
目標共有のプロセスが必要と推察される。
リ ハ 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 研 究 動 向 の 資 料 収 集 に は ,系 統 的 文 献 検 索 を
用 い た 。2013 年 以 前 の 上 記 基 準 を 満 た す 論 文 を ,2013 年 7 月 26 日 13 時 に ,
医 学 中 央 雑誌 Web Ver.5( 以 下 , 医 中 誌 ) と PubMed に て 検 索 し た 。 ま た ,
文 献 デ ー タ ベ ー ス ( 以 下 , 文 献 DB) で の 検 索 に 加 え て , 論 文 を 網 羅 的 に 収
集 す る た め に ハ ン ド サ ー チ を 行 っ た 。 文 献 DB の 検 索 式 は , 下 記 の 5 条 件 を
満 た す 論 理 演 算 子 と し た 。なお ,研 究 選 択 の 適 格 基 準 と し て ,対 象 とす る 研
究 は,1)身 体 や 神 経 障 害 を 呈 す る 成 人 患 者 へ の リ ハ 介 入 で あ る こ と,2)目 標
設 定 に お い て 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 や SDM に 言 及 し て い る こ と ,3)言 語が
日 本 語 か 英 語 の 原 著 論 文 で あ る こ と , と し た 。 ま た , 除 外 す る 研 究 は , 1)
対 象 患 者 の 主 な 疾 患 が 精 神 障 害 や 発 達 障 害 で あ る こ と ,2)患 者 が 医 療 者 との
目 標 共 有 や SDM に 言 及 さ れ た リ ハ 介 入 を 受 け て い な い こ と , と し た 。
検 索 式 の 第 1 条 件 は ,研 究 対 象 を リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 臨 床 実 践 と す るた
め ,医 中 誌 と PubMed の 検 索 式 を そ れ ぞ れ,「 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン AND (作 業
療 法 OR 理 学 療 法 OR 言 語 聴 覚 療 法 OR 看 護 OR 保 健 OR 医 療 )」 と
「rehabilitation AND (occupational therapy OR physical therapy OR
speech therapy OR nursing OR health services)」 と し た 。
第 2 条 件 は ,リ ハ 介 入 の 対 象 を 患 者 と す る た め ,各 検 索 式 を ,
「 患 者 OR 入
院 患 者 OR 障 害 者 OR ク ラ イ ア ン ト OR ク ラ イ エ ン ト OR 利 用 者 OR 当 事
者 OR 消 費 者 」 と 「 patient* OR inpatient* OR disabled OR person* OR
client* OR consumer*」 と し た 。
第 3 条 件 は ,患 者 と 目 標 を 共 有 す る 対 象 を リ ハ に 関 わ る 医 療 者 と す る た め,
各 検 索 式 を,
「 セ ラ ピ ス ト OR 作 業 療 法 士 OR 理 学 療 法 士 OR 言 語 聴 覚 士 OR
看 護 師 OR 医 師 OR 医 療 従 事 者 OR 医 療 専 門 職 」 と 「 therapist* OR
occupational therapist* OR physical therapist* OR speech therapist* OR
nurse* OR doctor* OR physician* OR professional* OR paramedic OR
provider」 と し た 。
第 4 条 件 は ,リ ハ 介 入 に 用 い る 目 標 設 定 方 法 を 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有に
言 及 し た も の と す る た め ,各 検 索 式 を ,
「 目 標 AND (共 有 OR Shared Decision
Making OR 自 己 決 定 OR ((患者 OR ク ラ イ ア ン ト OR ク ラ イ エ ン ト ) AND 中
心))」 と 「shared goal setting OR shared goal OR shared goals OR goal
sharing OR common goal OR common goals OR (goal AND (shared decision
making OR shared decision OR decision sharing OR person centered OR
4
client centered OR patient centered))」 と し た 。
第 5 条 件 は,目 標 を 共 有 し た リ ハ 介 入 の 効 果 指 標を ADL か QOL と す る た め,
各 検 索 式 を,「 (生 活 機 能 OR 日 常 生 活 OR 活 動 OR ADL OR 自 立 度 OR FIM OR
バ ー サ ル イ ン デ ッ ク ス OR Barthel Index OR 動 作 OR 身 体 機 能 OR 介 護 度)
OR (生 活 の 質 OR QOL OR 健 康 OR 健 康 関 連 QOL OR ウ ェ ル ビ ー イ ン グ OR
Well-Being OR 満 足 OR 幸 福 OR 参 加 )」 と 「 (functional health OR health
status indicators OR activities of daily living OR functional
independence OR barthel index OR physical function OR dependent living)
OR (quality of life OR attitude to health OR health related OR Well-Being
OR satisfaction OR happiness OR participation) 」 と し た 。 最 後 に 各 条 件
を AND 検 索 し た 。
収 集 論 文 の 研 究 デ ザ イ ン の 質 的 評 価 は ,Minds 医 療 情 報 サ ー ビ ス 3 3 ) や奥 野
34 )
の エ ビ デ ン ス レ ベ ル 分 類 を 参 考 と し , systematic review, ラ ン ダ ム 化 比
較 対 象 研 究( 以 下 , RCT),非 RCT,シ ン グ ル シ ス テ ム デ ザ イ ン を 含 む 前 向 き
研 究( 以 下 , cohort), 後 ろ 向 き 研 究( 以 下, case control), 質 的 研 究, 事
例研究に分類した。
リ ハ 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 研 究 動 向 に 関 す る 文 献 DB 検 索 の 結 果 , 588
編 の 論 文 が 抽 出 さ れ た .各 文 献 DB の 内 訳 は ,医 中 誌 で 421 編 ,PubMed で 167
編 で あ っ た . そ の 内 , 研 究 選 択 の 適 格 基 準 に 合 致 した 30 編 を 抽 出 し た . 更
に そ れ ら の 参 考 文 献 か ら 適 格 基 準 に 合 致 す る 論 文 11 編 を 追 加 し , 最 終 的 に
41 編 を 採 用し た . 採 用 論 文 41 編 の 各 研 究 デ ザ イ ン の 内 訳 は , systematic
review が 2 編 , RCT が 4 編 , 非 RCT が 2 編 ,cohort が 1 編 , case control
が 6 編 , 質 的 研 究 が 2 編 , 事 例 研 究 が 24 編 で あ っ た 。
41 編 の 論 文よ り , 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 を 高 め る 主 な 目 標 設 定 方 法 は
19 種 類 が 特定 さ れ た 。 こ れ ら は 患 者 が 目 標 を 明 確 化 さ せ る プ ロ セ ス に お い
て ,会 話 を 基 に す る 方 法 と 質 問 紙 等 を 基 に す る 方 法の 2 つ の 特 徴 に 大 別 さ れ,
そ れ ぞ れ 10 種 類 と 9 種 類 で あ っ た 。2 つ の 大 別 さ れ た 方 法 は , 患 者 が 目 標
を 明 確 化 さ せ る プ ロ セ ス に お い て 異 な る 特 徴 を 有 し ,そ れ ぞ れ に は 課 題 も見
ら れ る( 表 1,2)。そ れ を 概 観 す べ く ,各 プ ロ セ ス に 大 別 さ れ た 主 た る 目 標
設定方法を展開し,リハ医療における目標共有の現状を明らかする。
5
表 1.会話を基にした目標設定方法の主な研究概要
会話を中心とした非構造的面接(6 種類)
目標設定方法
著者
介入方法
結果
2000 非 RCT
入院
脳卒中患者*
(100 名)
方法:異なるプログラムを実施している 2 病院から抽出された
初期条件のほぼ等しい 50 組の患者(matched pair)に
介入した.(頻度,各職種の関わり未記入)
介入群(50 名):ICF を基盤とした目標指向的アプローチ
対象群(50 名):訓練室運動中心アプローチ
介入群は対象群よりも有意に
最終歩行自立度が高く,入院
期間が短かった.
2008 質的研究
入院
脳卒中患者*
( 14 名)
患者と各職種が同席するカン
介入:退院後に必要なケアに関する,患者と家族を含めた
ファレンスを患者のデマンド
多職種(看護師,社会福祉士,OT など)参加型カンファ
聴取の場として積極的に活用
レンスを実施した.
していた.
system2009 atic
review
採択論文
( 72 編)
方法:介入後に予測される結果の程度について患者と TH が
介入前に話し合い,共に目標を設定した.
身体障害患者(小児や高齢者)
の目標設定方法として信頼
性,妥当性,敏感度を有した.
2010 事例研究
訪問
人工膝関節
置換術後関節
リウマチ患者
( 1 名)
-術後 5 カ月
訪問 2 か月-
方法:PT が屋内自立歩行を目的に週 2 回,2 か月間介入した後,
新たな目標に対して多職種で関わった.
介入:介護支援専門員と相談の下,OT と PT が,週 1 回ずつ,
自立入浴を目的に,自助具の作成,福祉用具の導入,
動作練習を行った.
自立入浴が可能となり,気分
や満足度が改善された.
目標達成に伴う患者の意欲
向上が,次のより具体的なデ
マンドの創出につながった.
羽田ら 49)
2002 事例研究
入院
脳卒中患者
( 1 名)
-発症 5 カ月
入院 2 か月-
方法:積極的傾聴により患者の思いを受け止めた.
介入:抑うつやリハ拒否の強い患者に対して,4 カ月間,自宅
退院という目標を看護師が共有し,夜間の排泄や眠剤の
自己管理に介入した.
患者の精神面の安定や FIM の
改善が図られ,自宅退院が
可能となった.
須藤ら 50)
2004
入院
脳卒中等患者*
( 30 名)
全ての患者が自身の意見を
方法:看護師が患者との話し合いの下,共に計画を立案した.
看護計画に反映できたと認識
分析:看護計画の立案後に,目標共有の程度を患者に質問した.
した.
目標指向的
上田 35)
アプローチ 35,36)
患者参加型
カンファレンス
37,38)
GAS39-43)
訪問リハによる
目標創出 44-46)
傾聴 47-49)
共有看護計画
50,51)
Hedberg ら
37)
Kamioka ら
39)
荒ら 45)
年
デザイン
case
control
対象
6
(表 1 つづき)
医療者の質問内容の一部が構造化されている半構造的面接(4 種類)
目標設定方法
ADL 表 52-57)
COPM58-60)
KOMI チャート
システム 61)
fair process 62)
著者
近藤ら 57)
Phipps ら
60)
本多ら 61)
Lorenz ら
62)
年
デザイン
対象
介入方法
結果
2003 事例研究
入院
大腿骨頸部
骨折術後患者
( 3 名)
-術後 1 日-
方法:看護師が聴取した起居・移動能力の目標や,PT による評
価等が記載できるリハビリカードを用いて,患者が自身
の ADL 自立度を客観的に把握し,ADL 上の目標を明確に 患者の動作能力や活動意欲が
した.
向上した.
介入:疼痛によって離床に消極的な患者に対して,病棟やリハ
室でそれぞれ看護師と PT が介入した.(期間未記入)
2007 非 RCT
外来
脳卒中等患者
(155 名)
-平均発症期間
約 10 ヶ月-
方法:患者が重要視する生活上の課題を半構造化面接を通して
明確にした.
目標とした活動の遂行度と
介入:週 2 回(1 回 45-90 分),4-12 週間,COPM で設定された 満足度が有意に向上した.
セルフケアや家事活動等の目標に OT が介入した.
2004 事例研究
入院
大腿骨頸部
骨折術後患者
( 2 名)
-術後 2 日-
方法:患者の生活像を視覚的に把握し,その持てる力を明確に
した.
介入:車いすやトイレ移乗に介助を要す患者に対して,看護師
が 10 か月間,活動を援助した.
2011 事例研究
外来
方法:患者の生活上の問題を,ST や支援者がカメラやビデオ
高次脳機能
などの視覚媒体で撮影し,それを患者と ST が共に見なが
患者の課題が焦点化され,
障害患者
ら患者の問題意識を高めた.
ST との目標共有が図られた.
( 6 名)
介入:病識の乏しさやコミュニケ―ション障害を有する患者に
-発症 1 年以上ST が介入した.(頻度,期間未記入)
患者の意欲が向上し,看護師
との信頼関係が深まった.
*:対象患者の発症からの期間が未記入な論文
7
表 2.質問紙等を基にした目標設定方法の主な研究概要
質問紙を用いた患者の目標選択(6 種類)
目標設定方法
著者
RPE63)
Kurz ら 63)
生活行為向上
マネジメント
日本作業
療法士協会
64)
64)
OSAⅡ65)
PGPQ66)
goal-forum
intervention67)
PPGMC68)
長谷部ら
65)
Asenlöf ら
66)
Arnetz ら
67)
上岡ら 68)
年
デザイン
2008 事例研究
対象
入院
悪性腫瘍*,多発
性硬化症急性
増悪患者
(各 1 名)
-発症 8 年
(後者)-
介入方法
結果
方法:FIM18 項目を 4 段階の自立度別にした 72 項目から,患者
が目標とする活動とその自立度を重要な順に選択した.
介入:選択された目標は,その目標到達予測に関して TH や看護
師等の医療者チームカンファレンスにおいて検討され,
患者と医療者の見解を交えて設定された目標に対して,
OT や PT,看護師等が毎日介入した.
改善が困難な歩行の自立を
希望する患者が,自身の身体
状況を受け入れ,医療者チー
ムが必要と捉えた他の ADL へ
の理解が深まった.
2012 RCT
介護老人保健
施設入所
要介護
高齢患者*
( 93 名)
方法:各群の設定目標に 3 ヶ月間 OT が介入した.
(頻度未記入)
介入群(48 名):患者が重要視する生活上の課題を興味・関心 介入群は対象群よりも有意に
チェックシート等を用いて明確にする生活
ADL 自立度や健康関連 QOL が
行為向上マネジメント
高かった.
対象群(45 名):通常プログラムの継続
2007 事例研究
訪問
脳卒中患者
( 1 名)
-発症 3 年-
方法:質問紙によって患者が自身の価値ある活動を自己評価し
た.
機能訓練事業などによる他者
介入:長期のひきこもり生活をしてきた患者に対して,月 1 回, 交流や家事の可能化という
2 年間の OT の訪問で徐々に活動への積極性を促し,目標 明確な目標設定ができた.
の明確化のために OSAⅡを実施した.
2005 cohort
外来
筋骨格系疼痛
患者*
( 2 名)
方法:疼痛によって遂行困難な活動や改善したい活動を患者が
3 つ程度挙げ,患者の重要な活動から目標とした.
目標とされた家事や自動車運
介入:週 1 回,4-6 ヶ月間の認知行動療法を基盤とした PT の介 転などの活動時の疼痛が 2 名
入で,目標とした活動の遂行時に発する疼痛の自己管理 共に緩和された.
方法を指導した.
2004 RCT
入院,外来
関節リウマチ
患者*
( 77 名)
方法:各群で設定された目標に PT が介入した.
(期間,頻度未記入)
介入群(48 名):患者と医療者が重要視する生活上の問題を目
標チェックリスト等を用いて明確にする
goal- forum intervention
対象群(45 名):通常の PT プログラム
介入群は対象群よりも有意に
ROM やバランスの目標達成度
が高く,PT 介入の質を高く
格付けした.
2010 事例研究
外来
脳卒中患者
( 3 名)
-平均発症期間
約 1 年-
方法:患者と PT が重要視する生活上の課題を生活機能目標チェ
ックリスト等を用いて明確にした.
介入:週 1-2 回,約 3 ヶ月間,設定された目標に対して PT が介
入した.
パークゴルフや映画鑑賞,
買い物など各患者独自の生活
機能目標が設定でき,その
目標が達成された.
8
(表 2 つづき)
絵カード等の取捨を通した患者の目標選択(3 種類)
目標設定方法
Talking Mats
69,70)
ADOC71-73)
著者
年
デザイン
対象
介入方法
結果
患者と各職種が共に問題視し
た活動は,運動と移動,セル
フケアやコミュニケーション
であったのに対し,両者の認
識が異なっていた活動は,余
暇や家事であった.
Harty ら 70)
2011
case
control
入院
脳卒中等患者*
( 12 名)
方法:コミュニケーション障害患者が絵カード化された ICF
項目の遂行度を 3 段階で判別して目標を絞った.
(頻度,期間未記入)
分析:患者と ST,OT,PT,SW 等の各職種が判定した遂行度の
一致性を用いた.
Tomori ら
case
2012
control
入院や
デイケア
脳卒中等患者*
(100 名)
方法:iPad を用いて,イラスト化された作業場面 94 項目から
90%以上の患者が,ADOC を OT
患者と OT がそれぞれ,患者にとって重要な作業を 20
と意思決定の共有が可能な目
項目以内で選択し,両者で 5 つ以内の目標を決定した.
標設定方法として認識した.
分析:ADOC の使用後に,その有用性について患者に質問した.
2013 RCT
訪問,外来
脳卒中患者
( 14 名)
-平均発症期間
約 2 年-
方法:週 1-2 回(1 回 60 分以内),3 ヶ月間,各群で設定
された目標に OT が介入した.
介入群(7 名):患者にとって意味のある活動をカードを
用いて抽出できる共有型目標設定法
対象群(7 名):通常の半構造的もしくは非構造的な面接で
目標を絞る目標設定方法
73)
共有型
千田ら 75)
目標設定法 74,75)
介入群では目標とした活動の
遂行度と満足度が有意に向上
し,対照群ではリハの満足度
が有意に低下した.
*:対象患者の発症からの期間が未記入な論文
9
2.1 会 話 を 基 に し た 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有
会 話 を 基 に 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 を 図 る 主 た る 目 標 設 定 方 法( 表 1)に
は , 10 種 類 が 特 定 さ れ た 。 こ れ ら は 患 者 が 目 標 を 表 出 す る 過 程 に お い て ,
更 に 異 な る 2 つ の 特 徴 に 分 け ら れ,会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的 面 接 と,医 療
者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 半 構 造 的 面 接 で あ っ た 。前 者 に は ,目
標 指 向 的 ア プ ロ ー チ 3 5 ,3 6 ) ,患 者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ンス 3 7, 3 8) ,Goal Attainment
Scaling( 以 下 , GAS) 39 - 43 ) , 訪 問 リ ハ に よ る 目 標 創 出 44 - 46 ) , 傾 聴 4 7- 49 ) , 共
有 看 護 計 画 5 0, 5 1) の 6 種 類 が 特 定 さ れ,後 者 に は ,ADL 表 5 2- 5 7) ,カ ナ ダ 作 業 遂
行 測 定 (Canadian Occupational Performance Measure; 以 下 , COPM) 5 8 -6 0 ) ,
KOMI チ ャ ー ト シ ス テ ム 61 ) , 視 覚 媒 体 を 活 用 し た fair process( 以 下 , fair
process) 6 2) の 4 種 類 が 該 当 し た 。 次 に , 各 特 徴 と 課 題 を 明 ら か に す る 。
2.1.1 会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的 面 接
会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的 面 接 を 通 し て ,患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 を 図る
プ ロ セ ス に は,目 標 指 向 的 ア プ ロ ー チ 35 , 36 ) ,患 者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ン ス 37 , 38 ) ,
GAS 3 9- 4 3) , 訪 問 リ ハ に よ る 目 標 創 出 4 4 -4 6 ) , 傾 聴 47 - 49 ) , 共 有 看 護 計 画 50 , 51 ) の 6
種類が特定された。
リ ハ 医 療 に お け る 目 標 設 定 に は 国 際 生 活 機 能 分 類 ( International
Classification of Functioning,Disability and Health ; 以 下 , ICF) を 基
に し た 目 標 指 向 的 ア プ ロ ー チ が 広 く 用 い ら れ て い る 3 5, 3 6) 。目 標 指 向 的 ア プロ
ー チ で は,ま ず 患 者 と の 対 話 を 通 し て,各 職 種 が 患 者 の 心 身 機 能 や 活 動 レ ベ
ル の 予 後 予 測 か ら 個 々 の 専 門 的 な 目 標 設 定 を 行 う。そ し て ,医 療 者 チ ー ムに
よ る 計 画 書 作成 7 6) や カ ン フ ァ レ ン ス を 通 し て ,複 数 の 達 成 可 能 な 参 加 レ ベ ル
の 主 目 標 を チ ー ム と し て 構 想 し ,医 師 等 の 計 画 書 の 説 明 の 際 に 患 者 の 選 択を
促 す 。入 院 脳 卒 中 患 者 100 名 を 対 象 と し た 目 標 指 向 的 ア プ ロ ー チ 3 5 ) は ,訓練
室 運 動 中 心 ア プ ロ ー チ よ り も 有 意 に 退 院 時 の 歩 行 自 立 度 が 高 く ,入 院 期 間が
短 か っ た こ と が 報 告 さ れ て い る 。こ の 過 程 に よ っ て 患 者 の 自 己 決 定 権 は 尊重
さ れ,医 療 者 チ ー ム と の 目 標 共 有 が 促 進 さ れ る。し か し ICF 活 用 に は 課 題 も
あ り ,活 動 と 参 加 の 評 価 が 遂 行 状 況 や 可 能 性 の み で,患 者 の 人 生 に お け る 満
足 度 や 重 要 度 な ど 主 観 的 側 面 が 十 分 に 捉 え ら れ な い こと 7 7) が 挙 げ ら れ て い
る 。ま た,計 画 書 の 活 用 に お い て は,患 者 は 十 分 な 理 解 を 得 な い ま ま 計 画 書
に サ イ ン を 行 い 医 療 者 任 せ の 治 療 を 受 け て い る 7 8 ) こ と や TH の 記 載 内 容 の 画
一 化 7 9 ) が指 摘 さ れ て い る 。そ の ため ,各 職 種 は 個 々 の 目 標 設 定 に お い て ,患
者の価値観を十分に受け止めた上で計画書作成やカンファレンスに臨むこ
と が 求 め ら れ る 。 ま た , 計 画 書 の 説 明 の 際 に は , SDM 2 0) を 基 に 患 者 と 医 療 者
が意思決定を共有する必要性が推察される。
患 者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ン ス に よ っ て ,患 者 の 意 思 を 確 認 す る 取 り 組 み もあ
る 3 7, 3 8) 。 入 院 脳 卒 中 患 者 14 名 に対 し , 患 者 が 参 加 す る カ ン フ ァ レ ン ス を 観
察 調 査 し た 質 的 研 究 3 7 ) で は ,各 職 種 は 患 者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ン ス を 患 者 のデ
マ ン ド 聴 取 の 場 と し て 活 用 し て い る こ と が 示 さ れ て い る。ま た,目 標 指 向 的
10
ア プ ロ ー チ と 異 な り ,当 該 方 法 を 多 職 種 が 同 席 す る 計 画 書 説 明 の 機 会 と して
い る 報 告 3 8) も あ る 。し か し ,専 門 性 の 異 な る 各 職 種 が 同 席 す る こ と で 会 話 が
複 雑 化 さ れ る こ と や ,患 者 が 優 先 す べ き 課 題 を 協 調 の 基 に 決 定 す る こ と に課
題 を 有 す る 。 患 者 中 心 の 目 標 設 定 の 阻 害 要 因 は , 患 者 と TH 間 の 目 標 の 不一
致 で あ る こと 8 0) や ,各 専 門 職 種 が 互 い に 患 者 に と っ て 重 要 な 目 標 に 対 す る議
論 を 避 け て い る こ と ,多 職 種 協 働 に 患 者 が 不 在 で あ る こと 8 1, 82 ) が 挙 げ ら れ て
い る。つ ま り ,患 者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ン ス を 用 い た 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共有
プロセスには,患者のデマンドを顕在化させる方法の検討を要す。
GAS は , 小 児 や 高 齢 者 な ど の 身 体 障 害 患 者 の 目 標 設 定 方 法 と し て 信 頼 性
(reliability),妥 当 性( validity),感 度(sensitivity)を 有 し て お り
39 )
,介 入 後 に 予 測 さ れ る 結 果 の 程 度 に つ い て 患 者 と TH が 介 入 前 に 話 し 合 い ,
共 に 目 標 を 設 定 す る 方 法 で あ る 。 1960 年 台 か ら 精 神 保 健 分 野 で 活 用 さ れ て
お り 8 3 ) ,現 在 で は 具 体 的 で 現 実 的 な 目 標 に 対 す る 僅 か な 行 動 変 化 を 捉 え られ
る こ と 8 4 ,8 5) か ら , 高 齢 者 福 祉 4 0, 4 1) を 含 め た リ ハ 分野 4 2, 4 3 ) に お いて 広 く 用 い
ら れ て い る 。GAS の 特 徴 は ,患 者 と 共 に 目 標 達 成 ガ イ ド を 作 成 す る 過 程 に あ
り ,到 達度 合 い が 詳 細 に 段 階 付 け ら れ る こ と は ,患 者 が 将 来 を 見 通 し,意 欲
高 く 自 身 の 問 題 に 臨 む こ と が で き る と 推 察 さ れ る 。 し か し 課 題 に は , TH と
共 に 患 者 が 自 身 の 問 題 を 整 理 す る 過 程 が 構 造 化 さ れ て い な い こ と や ,変 化の
起 こ り に く い 問 題 に 焦 点 化 さ れ な い こ と 8 5 ) が 挙げ ら れ て お り ,患 者 自 身 が 日
常 生 活 上 の 問 題 を 明 確 化 し ,自 己 決 定 が 促 さ れ る よ うに GAS を 用 い る 必 要が
ある。
退 院 後 の 在 宅 生 活 に 不 安 を 有 し ,将 来 に む け た 目 標 を 見 い 出 し 難 く な って
い る 患 者 に と っ て , 訪 問 リ ハ を 通 し た 患 者 と TH の 密 な 対 話 が , 患 者 の 目標
の 創 出 に つ な が る と の 報 告 4 4 -4 6) が 散 見 さ れ る 。訪 問 リ ハ を 利 用 す る 人 工 膝 関
節 置 換 術 後 関 節 リ ウ マ チ 患 者 の 事 例 研 究 4 5 ) で は ,一 つ の 目 標 達 成 に 伴 う 患者
の意欲向上が,より具体的な次のデマンドの表出に結びつくとされている。
多 職 種 協 働 が 常 に 求 め ら れ る 訪 問 リ ハ で は ,各 職 種 が 把 握 し た 患 者 の デ マン
ド を,統 一 さ れ た 目 標 に 統 合 さ せ る 関 わ り も 重 要 と い え,そ の プ ロ セ ス に よ
っ て 患 者 と TH の 信 頼 関 係 が 構 築 さ れ る と 考 え る 。 し か し , 訪 問 リ ハ の 目的
に 対 す る 患 者 の 理 解 度 を 調 査 し た 研 究 で は ,理 解 度 は 3 割 程 度 で あ る 8 6) と さ
れ , 訪 問 リ ハ に お け る 患 者 と TH の 目 標 の 不 一 致 は 患 者 の 生 活 意 欲 低 下 に影
響 す る 8 7 ) と さ れ て い る 。こ れ に は ,患 者 と TH の 対 話 の 重 要 性 と 共 に そ の 難
し さ が 示 唆 さ れ て お り , 患 者 の デ マ ン ド の 尊 重 と 共 に , TH の 専 門 的 見 地 を
統合させて両者の意思決定を図る目標共有プロセスに関する 方略が求めら
れる。
上 述 の 訪 問 リ ハ 患 者 と 同 様 に ,脳 卒 中 や 整 形 疾 患 等 の 身 体 障 害 に 伴 う 抑う
つ や 意 欲 低 下 と い っ た 二 次 的 な 精 神 症 状 に よ っ て ,自 身 の 目 標 を 明 確 化 し難
い 患 者 と の 関 わ り で は,積 極 的 な 傾 聴 に 努 め,生 活 に 即 し た 具 体 的 な 目 標 設
定 と 自 由 意 志 に 基 づ く 選 択 を 支 え る こ と が 求 め ら れ て いる 4 7- 49 ) 。抑 う つ や リ
ハ拒否の強い重度身体障害を呈する発症 5 カ月の脳卒中患者に対して積極
11
的 傾 聴 に 努 め た 看 護 の 事 例 研 究 4 9) で は ,夜 間 の 排 泄 や 眠 剤 の 自 己 管 理 に 看護
師 が 介 入 し た こ と で ,患 者 の 精 神 面 の 安 定 や FIM の 改 善 が 図 ら れ 自 宅 退 院が
可 能 と な っ た と の 報 告 が あ る。し か し ,新 卒 看 護 師 は 患 者 と の 目 標 共 有 を困
難 と し て い る こと 8 8) が 示 さ れ て お り ,患 者 の 個 別 性 を 尊 重 す る こ と へ の 再 認
識 や 感 情 を 適 切 に 表 現 し つ つ 生 産 的 な 人 間 関 係 を 築 く 感 情 活 用 8 9) の 技 術 が
求められる。
看 護 分 野 で は 2000 年 に 看 護 記 録 の 開 示 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン 23 ) が 定 め ら
れ て 以 降,患 者 と 看 護 師 が 話 し 合 い に よ っ て 患 者 が 抱 く 目 標 を 聞 き 取 り,そ
れ を 基 に 計 画 立 案 を 行 う 共 有 看 護 計 画 に 関 す る 報 告 が 散 見 さ れ る 5 0 ,5 1 ) 。入院
脳 卒 中 等 患 者 30 名 を 対 象 と し た 研 究 5 0 ) で は , 全 て の 患 者 が 自 身 の 意 見 を看
護 計 画 に 反 映 で き た と 認 識 し ,幾 度 と な く 交 わ さ れ る 両 者 の 会 話 が 信 頼 関係
を 確 立 さ せ る と し て い る 。し か し ,本 法 に 取 り 組 む 看 護 師 の 意 識 調 査 9 0 ) で は ,
患 者 の 意 見 を 反 映 で き な か っ た と す る 結 果 も 示 さ れ ,看 護 師 が 問 題 視 し ても
患者がそれに積極的ではないことや患者自身が問題をうまく表現できない
ことが推察される。
以 上 よ り ,会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的 な 面 接 を 通 し て 患 者 の デ マ ン ド を明
確 に し,そ れ を 医 療 者 の 専 門 的 見 地 と 統 合 さ せ る 過 程 は ,目 標 指 向 的 ア プ ロ
ー チ , 患 者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ン ス , GAS, 訪 問 リ ハ に よ る 目 標 創 出 , 傾 聴 ,
共 有 看 護 計 画 の 6 種 類 に よ っ て 効 果 的 に な さ れ て い る と の 報 告 が あ る 一 方,
そ れ ぞ れ に は 課 題 が み ら れ,両 者 の 目 標 共 有 を よ り 高 め る た め に は,患 者 の
デマンドの聴取における医療者の関わりの一部において構造化された方略
が必要といえる。
2.1.2 医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 半 構 造 的 面 接
医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 半 構 造 的 面 接 を 通 し て ,患 者の
デ マ ン ド を 明 確 化 し ,医 療 者 の 専 門 的 見 地 と 統 合 さ せ る 目 標 共 有 プ ロ セ スに
は , ADL 表 52 -5 7 ) ,COPM 5 8- 6 0) , KOMI チ ャ ー ト シ ス テム 6 1) , fair process 6 2 ) の
4 種類が該当した。
こ の プ ロ セ ス に は ,患 者 が 自 身 の ADL 自 立 度 を 客 観 的 に 把 握 し ,ADL 上 の
目 標 を 明 確 に する ADL 表 の 活 用に 関 す る 報 告 が 多い 5 2- 5 7) 。発 症 後 2 年 経 過 し
疼 痛 管 理 の た め 入 院 し た 脊 髄 疾 患 患 者 が 必 要 と す る ADL を 看 護 師 が FIM
( Functional Independence Measure ; 機 能 的 自 立 度 評 価 表 ) の 測 定 と 共 に
聴 取 し た 事 例 研究 5 6) で は ,各 ADL の 目 標 値 と 具 体 的 な 行 動 目 標 を 設 定 す る こ
とで患者の目標意識が高まり,積極的な問題解決行動が促されたとされる。
ま た,大 腿 骨 頸 部 骨 折 術 直 後 患 者 か ら 看 護 師 が 聴 取 し た 起 居・移 動 能 力 の 目
標 や , PT に よ る 評 価 , 医 療 者 チ ー ム ( 医 師 , 看 護 師 , PT) の カ ン フ ァ レ ン
ス に よ っ て 得 ら れ た 退 院 ま で の 目 標 が 記 載 で き る リ ハ ビ リ カ ー ド 5 7 ) は ,患者
の 動 作 能 力 や 活 動 意 欲 向 上 に 効 果 的 で あ る と さ れ る 。こ の よ う に ,ADL 表 の
活 用 で 患 者の ADL に 関 す る デ マ ン ド を 明 確 に し ,医 療 者 と の 目 標 共 有 を 図る
こ と が 可 能 と い え る 。 し か し , 入 院 脳 卒 中 患 者 11 名を 対 象 と し て ADL 表 の
12
活 用 実 態 を 調 査 し た 研 究 9 1 ) では ,設 定 さ れ た ADL 目 標 に 向 か っ て 積 極 的 にリ
ハ に 取 り 組 め た 患 者 は 半 数 で あ っ た と の 報 告 も あ る。こ れ に は,退 院 後 の 生
活 に 向 け て ,家事 や 仕 事 な ど の 役 割 活 動 や 社 会 交 流 な ど の 余 暇 活 動 等 の ADL
以 外 に 患 者 が 重 要 視 す る 活 動 に も ,目 標 と し て 焦 点 化 で き る 方 略 の 必 要 性 が
示唆されている。
他 方 ,COPM 92 ) は ,患 者 が 重 要 視 す る 活 動 に 関 す る 患 者 と の 半 構 造 化 面 接を
通 し て , 両 者 の 協 業 が 促 進 さ れ る 方 法 で あ り , OT に よ っ て そ の 有 用 性 が 多
く 示 さ れ て いる 5 8- 6 0) 。患 者 が 重 要 視 す る 活 動 は ,セ ル フ ケ ア や 生 産 活 動 ,余
暇 活 動 の 3 領 域 に 分 け て 聴 取 さ れ,得 ら れ た 活 動 の 重 要 度 や 遂 行 度,満 足 度
を 患 者 が 判 定 す る プ ロ セ ス に よ っ て,患 者 の 自 己 洞 察 が 促 さ れ,問 題 が 整 理
さ れ る。医 療 者 が 必 要 と 感 じ な い 活 動 に つ い て は,患 者 が そ れ を 必 要 と し た
背 景 に つ い て の 十 分 な 対 話 が 求 め ら れ る 。 発 症 後 約 10 ヶ 月 の 脳 卒 中 や 頭部
外 傷 患 者 155 名 を 対 象 と し た 外 来 作 業 療 法 の 介 入 研究 6 0) で は ,目 標 と さ れ た
セルフケアや家事活動の遂行度と満足度が有意に向上した。しかし課題は,
患 者 と の 面 接 が 半 構 造 的 で あ る が ゆ え に 時 間 が か か る 9 2) と さ れ る 。患 者 が 重
要 視 す る 活 動 の 焦 点 化 や 両 者 の 目 標 に 齟 齬 が 生 じ た 際 の 対 話 に お い て は ,ク
ラ イ エ ン ト 中 心 ア プ ロ ー チ 9 2 ) に 関 す る 医 療 者 の 十 分 な 概 念 知 識 や ,患 者 と の
協業を重視した面接技術が必要といえる。
KOMI チ ャ ー ト シ ス テ ム 9 3) は , 患 者 の 心 身 機 能 レ ベ ル や 生 活 背 景 の 評 価 か
ら ,医 療 者 が 現 状 の 生 活 像 を 視 覚 化 で き る レ ー ダ ー チ ャ ー ト を 作 成 し,そ の
チ ャ ー ト の 提 示 や 患 者 と の 面 談 に よ る デ マ ン ド の 確 認 を 通 し て ,目 標 共 有を
図 る 方 法 で あ る 。こ れ は 活 用 し た 医 療 者 の ケ ア 計 画 立 案 に お い て 一 定 の 質が
維 持 さ れ る こ と を 目 的 に 開 発 さ れ た 9 3) 。大 腿 骨 頸 部 骨 折 術 直 後 で 車 い す やト
イ レ 移 乗 に 介 助 を 要 す 患 者 に 対 し て 看 護 師 が 当 該 方 法 を 用 い た 事 例 研 究 61 )
で は ,患者 の 持 て る 力 が 明 確 に な る と 共 に ,患 者の 活 動 意 欲 が 向 上 し,看 護
師 と の 信 頼 関 係 が 深 ま っ た と 報 告 さ れ て い る。し か し ,本 法 は 看 護 師 に よる
活 用 が 多 い 9 4 ) も の の , OT や PT 等 の TH に よ る 活 用 や , 介 護 福 祉 分 野 お け る
事 例 の 蓄 積 が 課 題 と い え,介 護 保 険 に お け る ケ ア プ ラ ン の よ う に,多 様 な 医
療福祉専門職が一定の質でケア計画立案できるような検討が求められる。
上 記 の 他,医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 方 法 に,写 真 や ビ デ
オ な ど の 視 覚 媒 体 を 活 用 し て ,患 者 の 問 題 意 識 を 高 める fair process 6 2) が あ
る 。発 症 後 1 年 以 上 経 過 し て い る 病 識 の 乏 い 外 来 高 次 脳 機 能 障 害 患 者 6 名に
対 す る 事 例 研究 6 2) で は ,言 語 聴 覚 士( 以 下 ,ST)や 支 援 者 が 患 者 の 生 活 上 の
問 題 を カ メ ラ や ビ デ オ な ど の 視 覚 媒 体 で 撮 影 し , そ れ を 患 者 と ST が 共 に見
な が ら 患 者 の 問 題 に 焦 点 化 す る 。こ れ に よ り ,患 者 の問 題 へ の 意 識 が 高 ま り ,
両 者 の 目 標 共 有 が 促 さ れ る と 報 告 さ れ て い る 。 し か し , 現 時 点 の fair
process に 関 す る 研 究 は 患 者 の 即 時 的 な 問 題 意 識 の 変 化 を 検 討 す る に 留 まっ
て お り 6 2 ) ,そ の 後の 生 活 上 の 問 題 へ の 効 果 は 未 だ 明 ら か と は 言 え な い 。認 知
機能障害を呈する患者と医療者の双方が捉える問題を共有する過程は容易
ではないことから,今後の研究が期待される。
13
以 上 よ り ,医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 半 構 造 的 面 接 を 通し
て ,患 者 の 価 値 観 に 即 し た 多 様 な デ マ ン ド を 把 握 す る こ と や ,そ の デ マ ン ド
と 医 療 者 の 専 門 的 見 地 か ら 見 立 て た ニ ー ズ を 統 合 さ せ る プ ロ セ ス は,ADL 表,
COPM,KOMI チ ャ ー ト シ ス テ ム , fair process の 4 種 類 に よ っ て 効 果 的 にな
されているとの報告がある一方,それぞれには 課題もみられる。これには,
医療者の高度な面接技術を必要十分条件とすることなく患者のデマンド が
顕 在 化 さ れ ,よ り 構 造 化 さ れ た 方 略 に よ っ て 両 者 の 目 標 共 有 が 促 進 さ れ るこ
とが求められる。
2.2 質 問 紙 等 を 基 に し た 患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有
質問紙等を基に構造化された方法によって患者と医療者の目標共有を図
る 主 た る 目 標 設 定 ( 表 2)に は 9 種 類 が 特 定 さ れ た 。 こ れ ら は 患 者 が 目 標を
選 択 す る 過 程 に お い て,更 に 異 な る 2 つ の 特 徴 に 分 け ら れ,質 問 紙 を 用 い た
患 者 の 目 標 選 択 と,絵 カ ー ド 等 の 取 捨 を 通 し た 患 者 の 目 標 選 択 で あ っ た。前
者 に は ,Recovery Preference Exploration( 以 下 , RPE) 6 3 ) , 生 活 行 為 向上
マ ネ ジ メ ント 6 4) ,作 業 に 対 す る 自 己 評 価( The Occupational Self Assessment
Version 2.1; 以 下 , OSAⅡ ) 6 5) , Patient Goal Priority Questionnaire( 以
下 , PGPQ) 6 6 ) ,goal-forum intervention 6 7) , チ ェ ッ ク リ ス ト 式 患 者 参 加 型
目 標 設 定 法( Patient Participation Goal-setting Method using Checklist;
以 下 ,PPGMC) 68 ) の 6 種 類 が 特 定 さ れ , 後 者 に は , Talking Mats 69 ,7 0 ) , 作 業
選 択 意 思 決 定 支 援 ソ フ ト ( Aid for Decision-making in Occupation Choice;
以 下 ,ADOC) 7 1- 7 3) ,共 有 型 目 標 設 定法 7 4, 75 ) の 3 種 類 が 該 当 し た 。次 に ,各 特
徴と課題を明らかにする。
2.2.1 質 問 紙 を 用 い た 患 者 の 目 標 選 択
質 問 紙 を 用 い た 患 者 の 目 標 選 択 を 通 し て ,患 者 が 自 身 の 重 要 視 す る 目 標を
明 確 に し ,医 療 者 の 規 準 的 な 見 解 と 合 致 さ せ る 目 標 共 有 プ ロ セ ス に は ,RPE 6 3) ,
生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト 6 4 ) ,OSAⅡ 6 5 ) ,PGPQ 6 6) ,goal-forum intervention 6 7 ) ,
PPGMC 6 8) の 6 種 類 が 特 定 さ れ た 。
RPE 9 5) は , FIM18 項 目 を 4 段 階 の 自 立 度 別 に した 72 項 目 中 か ら , 患 者 が 目
標 と す る 活 動 と そ の 自 立 度 レ ベ ル を 重 要 な 順 に 選 択 す る 方 法 で あ る 。RPE に
よ っ て 選 択 さ れ た 目 標 は , そ の 目 標 到 達 予 測 に つ い て TH や 看 護 師 等 の 医療
者 カ ン フ ァ レ ン ス で 検 討 さ れ,患 者 の 意 思 を 尊 重 し つ つ も,医 療 者 の 見 解 を
交 え た 目 標 が 設 定 さ れ る 。入 院 す る 悪 性 腫 瘍 患 者 や 多 発 性 硬 化 症 患 者 を 対象
と し た 事 例 研究 6 3) で は ,RPE の 過 程 に お け る 患 者 と 医 療 者 チ ー ム の 関 わ り に
よ っ て ,改 善 困 難 な 歩 行 の 自 立 を 希 望 す る 患 者 が 自 身 の 身 体 状 況 を 受 け 入 れ,
医 療 者 チ ー ム が 必 要 と 捉 え た 他 の ADL へ の 理 解 が 深 ま っ た と 報 告 さ れ て い
る 。 医 療 者 が 目 標 設 定 す る 際 , 患 者 の 意 思 や 心 身 機 能 レ ベ ル か ら ,ADL に関
す る 目 標 の 優 先 度 が 高 い と 判 断 さ れ る 状 況 に お い て は ,当 該 方 法 の 活 用 が有
効 と い え る 。し か し RPE の 課 題 は 前 述 の ADL 表 と 同 様 に ,FIM 項 目 以 外 の 患
14
者 が 重 要 視 す る 活 動 に 対 応 を 要 す る こ と と 推 察 さ れ ,患 者 の 多 様 な 価 値 観に
応じうる各職種の関わりも求められる。
ADL 以 外 の 患 者 が 重 要 視 す る 活 動 を 目 標 と し て 抽 出 で き る 方 法 に ,近 年 OT
に よ っ て 広 く 活 用 さ れ 始 め て い る 生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト 9 6 ,9 7 ) があ る 。本
法 に よ る 患 者 の デ マ ン ド の 聴 取 で は,興 味・関 心 チ ェ ッ ク シ ー ト が 用 い ら れ,
家 事 や 余 暇 活 動 等 の 項 目 か ら 患 者 が 興 味 の 高 い 活 動 を 選 択 す る 。医 療 者 は患
者 が 選 択 し た 活 動 に つ い て,遂 行 が 困 難 な 要 因 を ICF の 観 点 か ら 分 析 し,達
成 可 能 な 目 標 を 患 者 と 共 に 設 定 す る 。 介 護 老 人 保 健 施 設 入 所 者 93 名 を 対象
に OT が 本 法 を 用 い た 研究 6 4) で は , 介 入 群 は 対 象 群 よ り も 有 意に ADL 自 立 度
や 健 康 関 連 QOL が 高 か っ た と 報 告 さ れ て い る。本 法 の 特 徴 は ,患 者 の 多 様 な
価 値 観 に 応 じ た デ マ ン ド の 聴 取 が 可 能 な 点 に あ り ,医 療 者 に よ る 遂 行 状 況の
分 析 か ら 患 者 と 目 標 を 共 有 す る 一 連 の 過 程 に は ,両 者 の 協 業 が 不 可 欠 と いえ
る 。そ の 介 入 効 果 は ,対 照 群 と の 比 較 に お け る 交 互 作 用 に 統 計 学 的 な 課題 9 6)
が 指 摘 さ れ る も の の ,介 護 老 人 保 健 施 設 や 通 所 リ ハ ,医 療 機 関 に お い て RCT
による有用性が検証されている。
ま た OT に よ っ て 開 発 さ れ た , 質 問 紙 を 用 い て 患 者 の 価 値 あ る 活 動 を 明確
化 す る 方 法 に は ,OSAⅡ 9 8) も あ る 。OSAⅡ は ,人 間 の 行 動 が 意 思 ,習 慣 化 ,遂
行 技 能 , 環 境 の 相 互 作 用 か ら な る と 捉 え ら れ た 人 間 作 業 モ デ ル 9 9, 1 00 ) に 基 づ
く 評 価 法 で あ り,質 問 紙 の 回 答 に よ っ て 患 者 が 自 身 の 問 題 を 見 出 し,医 療 者
が そ の 問 題 の 表 出 さ れ た 生 活 背 景 を 分 析 し,共 に 目 標 を 設 定 す る。質 問 項 目
に は 自 身 の 役 割 や 日 課 , 義 務 的 や 願 望 的 な 活 動 な ど 約 30 項 目 が あ り , 患者
が そ れ ら の 問 題 性 や 重 要 性 を 評 価 す る 。こ の 過 程 に お い て 両 者 の 協 業 が 促進
さ れ ,患 者 中 心 の 作 業 療 法 を 実 践 す る 上 で 有 用 と さ れ て い る 。3 年間 ひ き こ
も り 生 活 を し て い た 在 宅 脳 卒 中 患 者 に 対 し OT が 訪 問 し て 当 該 方 法 を 用 いた
事 例 研 究 6 5) で は ,患 者 が 前 向 き に 対 人 交 流 や 身 辺 家 事 な ど の 目 標 を 見 出 す過
程 が 報 告 さ れ て い る 。 課 題 と し て , 一 部 の 質 問 項 目 の 表 現 が 曖 昧 1 01 ) で ある
ことから更なる再テスト信頼性の検証や質問紙の回答に応じうる認知機能
が 求 め ら れ る 。 し か し , OSAⅡ の 特 徴 は , 患 者 自 身 が 問 題 を 自 己 洞 察 す る 点
に あ り ,よ り 患 者 に と っ て 重 要 な 活 動 が 目 標 と し て 設 定 で き る と 考 え ら れ る。
筋 骨 格 系 疼 痛 患 者 の 外 来 理 学 療 法 に お け る 目 標 設 定 に は ,PGPQ 39 ,6 6 ) が 用い
ら れ て い る 。 PGPQ は 当 該 患 者 が 疼 痛 に よ っ て 遂 行 困 難 な 活 動 や , 改 善 し た
い 活 動 を 3 つ 程 度 挙 げ ,患 者 に と っ て 重 要 な 順 に 医 療 者 が 目 標 設 定 す る 方法
で あ る 。 患者 2 名 に 本 法 を 用 いた cohort 研究 6 6) で は , 認 知 行 動 療 法 を 基 盤
と し た PT の 介 入 で 活 動 時 に 発 す る 疼 痛 の 自 己 管 理 方 法 を 指 導 し た 結 果 , 目
標 と し た 家 事 や 自 動 車 運 転 な ど の 活 動 時 の 疼 痛 が 2 名 共 に 緩 和 さ れ た .これ
に は ,患 者 に と っ て 価 値 の あ る 活 動 が 目 標 に な る こ と で,疼 痛 の 自 己 管 理 や
日 々 の 運 動 を 意 欲 高 く 臨 む こ と が で き た こ と 6 6 ) が考 察 さ れ て い る 。医 療 者 が
問題視する活動と患者のそれが異なった際の共有方法については課題があ
る も の の,筋 骨 格 系 の 疼 痛 に よ っ て 活 動 が 制 限 さ れ る 患 者 に と っ て,自 身 の
重要視する活動が目標となる本法は有効であるといえる。
15
関 節 リ ウ マ チ 患 者 の 理 学 療 法 目 標 の 設 定 に は , goal-forum intervention 39 ,6 7 ) が 用 い ら れ て い る 。 こ れ は , 関 節 リ ウ マ チ 患 者 と PT が そ れ ぞ れ 同
一 内 容 の 質 問 紙 に 回 答 し,両 者 の 認 識 を 共 有 し た 上 で 目 標 を 設 定 す る。質 問
項 目 は ,維 持・改 善 し た い 身 体 の 疼 痛 部 位 や 動 作 ,生 活 活 動 な ど で あ り ,両
者 の 差 異 が 明 確 に な る よ う 同 一 書 式 と な っ て い る 。最 終 的 に 両 者 の 協 業 の基
に 優 先 す べき 3 つ の 目 標 が 設 定 さ れ る 。入 院 や 外 来 理 学 療 法 を 受 け る 関 節リ
ウ マ チ 患 者 77 名 を 対 象 と し た 研究 6 7) で は,介 入 群 は 対 象 群 よ り も 有 意に ROM
や バ ラ ン ス の 目 標 達 成 度 が 高 く ,PT 介 入 の 質 を 高 く 格 付 け す る こ と が ,RCT
に よ っ て 報 告 さ れ て い る 。 本 法 の 特 徴 は , 患 者 と PT の 両 者 が 質 問 紙 に 回答
す る 点 に あ り,目 標 に 対 す る 認 識 の 差 異 が 明 ら か と な り や す い と い え る。こ
れ は,運 動 器 の 維 持・改 善 が 目 標 の 一 つ で あ る 本 邦 の 介 護 保 険 の デ イ サ ー ビ
ス等における,他の専門職の目標設定においても活用できると推察される。
goal-forum intervention と 同 様 に , 患 者 と PT が 同 一 書 式 の 質 問 紙 で 目
標 を 明 確 化 す る 方 法 に PPGMC 68 ) が あ る 。 PPGMC は , 外 来 理 学 療 法 に お け る 脳
卒 中 患 者 の 目 標 設 定 に 開 発 さ れ た 。質 問 項 目 は ,身 体 機 能 や 運 動・移 動 ,セ
ル フ ケ ア,家 庭・社 会 生 活 等 の 60 項 目 か ら な り,患 者 と PT の そ れ ぞ れ が 重
要 な 目 標 を 3 つ 選 択 す る 。 両 者 は そ れ ぞ れ の 項 目 選 択 理 由 を 話 し 合 い , PT
が 専 門 的 見 地 か ら 達 成 困 難 と 予 測 す る 活 動 に は,患 者 の 意 思 を 尊 重 し,両 者
の 協 業 の 下,新 た な 目 標 が 設 定 さ れ る。平 均 発 症 期 間約 1 年 の 外 来 脳 卒 中 患
者 3 名 を 対 象 に PPGMC で 設 定 さ れ た 目 標 に PT が 介 入 し た 事 例 研 究 68 ) で は ,
パ ー ク ゴ ル フ や 映 画 鑑 賞 ,買 い 物 な ど 各 患 者 独 自 の 生 活 機 能 目 標 が 設 定 で き,
そ の 目 標 が 達 成 さ れ た。本 法 の 特 徴 は ,前 述 の 生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン トの
よ う に,生 活 に 関 わ る 多 く の 幅 広 い 項 目 か ら 目 標 を 選 択 で き ,患 者 の 多 様 な
価 値 観 に 応 じ た デ マ ン ド の 聴 取 が 可 能 な 点 に あ る。ま た ,患 者 と 医 療 者 が目
標 を 共 有 す る 際 の 話 し 合 い で は ,構 造 化 が 容 易 で は な い 両 者 の 協 業 プ ロ セス
を 可 能 化 さ せ る 。 本 法 の 課 題 に は , 事 例 の 蓄 積 や 従 来 方 法 と の 比 較 検 討 68 )
が あ り ,よ り 質 の 高 い 研 究 デ ザ イ ン で 有 用 性 を 検 討 す る こ と が 求 め ら れ るも
のの,他の疾患患者や医療者による活用も見込まれる。
以 上 よ り,質 問 紙 を 用 い た 患 者 の 目 標 選 択 を 通 し て,患 者 が 自 身 の 重 要 視
す る 目 標 を 明 確 に し ,医 療 者 の 規 準 的 な 見 解 と 合 致 さ せ る 目 標 共 有 プ ロ セス
は ,RPE,生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト ,OSAⅡ ,PGPQ,goal-forum intervention,
PPGMC の 6 種 類 に よ っ て 実 践 さ れ て い る 。そ の 実 践 に お い て は ,介 入 効 果 を
よ り 質 の 高 い 研 究 デ ザ イ ン で 検 討 す る こ と が 必 要 と い え ,今 後 の 研 究 が 期待
される。
2.2.2 絵 カ ー ド 等 の 取 捨 を 通 し た 患 者 の 目 標 選 択
絵 カ ー ド 等 の 取 捨 を 通 し た 患 者 の 目 標 選 択 に お い て ,患 者 が 自 身 の 重 要視
す る 目 標 を 明 確 に し ,患 者 と 医 療者 の 目 標 共 有 を 図 る プ ロ セ ス に は ,Talking
Mats 69 ,7 0 ) ,ADOC 7 1 -7 3) , 共 有 型 目 標 設 定 法 7 4 ,7 5 ) の 3 種 類 が 該 当 し た 。
Talking Mats 6 9 ,7 0 ) は , 失 語 症 患 者 等 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 障 害 を 呈 す る患
16
者 の デ マ ン ド を 明 確 化 さ せ る た め に ,ST に よ っ て 開 発 さ れ た 。Talking Mats
に は ,ICF 活 動 と 参 加 の 9 領 域 と 各 領 域 に 属 す る 生 活 活 動 が イ ラ ス ト 化 され
た 絵 カ ー ド を 用 い る 。 患 者 は ま ず 活 動 と 参 加 の 9 領 域 の 絵 カ ー ド に つ い て,
そ の 遂 行 度を 3 段 階 で 振 り 分 け ,次 に ,遂 行 度 が 低 い 領 域 の 生 活 活 動 に つい
て 同 様 に 3 段 階 で 分 け て ,で き て い な い 活 動 を 絞 る。外 来 言 語 療 法 を 行 う 脳
卒 中 患 者 に 対 し て 本 法 で 目 標 を 絞 り ST が 介 入 し た 事 例 研 究 69 ) で は , 患 者の
遂 行 度 の 低 い 活 動 が 減 少 し た と 報 告 さ れ て い る 。 ま た , 入 院 す る 12 名 の 脳
卒 中 等 患 者や ST,OT,PT,SW な ど の 各 職 種 が Talking Mats を 用 い て 患 者 の
遂 行 上 問 題 と な っ て い る 活 動 を 調 査 し た 研 究 7 0 ) では ,患 者 と 各 職 種 が 共 に問
題 視 し た 活 動 は,運 動 と 移 動,セ ル フ ケ ア や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン で あ っ た の
に 対 し ,両 者 の 認 識 が 異 な っ て い た 活 動 は 余 暇 や 家 事 で あ っ た 。本 法は ,患
者 が 絞 っ た 問 題 視 し て い る 活 動 と ,各 職 種 が 専 門 的 見 地 か ら 必 要 と す る 活動
を 統 合 さ せ る 関 わ り に お い て 検 討 を 要 す も の の ,デ マ ン ド の 言 語 表 出 が 困難
な認知機能障害を呈する患者の主観的側面を捉えられる方法として活用で
きる。
上 記 と 同 様 に,様 々 な 活 動 が イ ラ ス ト 化 さ れ た 項 目 を,患 者 が 自 身 の 価 値
観 に 基 づ い て 取 捨 選 択 す る 方 法 に ,OT が 開 発 し た ADOC 7 1- 7 3) が あ る。ADOC に
は iPad が 用 い ら れ , 患 者 は 自 身 に と っ て 重 要 な 活 動 を 94 項 目 か ら 20 項 目
以内で選択し,それらの重要度の判定からより価値の高い活動を絞り込む。
OT も 同 様 に 活 動 を 絞 り , 各 々 が 選 択 し た 活 動 を 照 ら し 合 わ せ な が ら , 介 入
す べ き 活 動 を 決 定 す る 。 ADOC の 有 用 性 は , 失 語 症 71 ) や 認 知 症 患 者 7 2) に 対 し
て 確 認 さ れ て い る 他 , 入 院 や デ イ ケ ア の 脳 卒 中 等 患 者 100 名 を 対 象 に ADOC
を 用 い た 研 究 7 3 ) で は , 90% 以 上 の 患 者 が 当 該 方 法 を OT と 意 思 決 定 の 共 有が
可 能 な 目 標 設 定 方 法 と し て 認 識 し た。臨 床 活 用 に お い て は,作 業 療 法 の 専 門
的 理 論 を 必 ず し も 必 要 と し な い 7 1) こ と か ら ,他 の 職 種 に よ る 利 用 も 可 能 な 目
標 設 定 方 法 と い え る も の の ,今 後 は 対 照 群 を 設 定 し た 比 較 試 験 に お け る 有用
性の検討が求められる。
最 後 に ,患 者 に と っ て 重 要 な 活 動 を カ ー ド の 取 捨 で 明 確 に す る 共 有 型 目標
設 定 法 7 4, 75 ) が あ る 。 こ れ は , ICF 活 動 と 参 加 か ら 抽 出 さ れ た 47 項 目 の 活動
名 が 記 さ れ た カ ー ド を 用 い,患 者 自 ら そ の 遂 行 度 と 重 要 度 を 判 定 し,で き て
い な い が 重 要 な 活 動 を 絞 り 込 む 。 そ し て TH に よ る 医 学 的 根 拠 を 基 に し た助
言 と 両 者 の 相 談 に よ っ て 目 標 を 決 定 す る 。在 宅 脳 卒 中 患者 14 名 を 対 象 に OT
が 本 法 を 用 い た 研 究 7 5 ) で は ,介 入 群 で は 目 標 と し た 活 動 の 遂 行 度 と 満 足 度が
有 意 に 向 上 し ,通 常 方 法 で 目 標 設 定 し た 対 照 群 で は リ ハ の 満 足 度 が 有 意 に低
下 し た と RCT で 報 告 さ れ て い る 。患 者 の 疾 患 や 医 療 者 の 専 門 性 な ど 適 用 対象
の 偏 り が 課 題 で あ る も の の ,本 法 の 特 徴 で あ る カ ー ド の 取 捨 に よ る 目 標 選択
は,患者が自身の問題を整理し,目標すべき活動を自己決定できると共に,
作業がもたらす共有体験によって患者と医療者の協業を促進させると推察
される。
以 上 よ り,絵 カ ー ド 等 の 取 捨 を 通 し た 患 者 の 目 標 選 択 に お い て,患 者 が 自
17
身 の 重 要 視 す る 目 標 を 明 確 に す る プ ロ セ ス は ,Talking Mats,ADOC,共 有型
目 標 設 定 法の 3 種 類 に よ っ て な さ れ,カ ー ド の 取 捨 に よ る 目 標 選 択 は,患 者
が 自 身 の 問 題 を 整 理 し,よ り 自 己 決 定 が 促 さ れ る 方 法 と い え る。特 に 認 知 機
能障害によって自身のデマンドを表出し難い患者と医療者との目標共有に
活用できる可能性が示唆される。
2.3 リ ハ 医 療 に お け る 目 標 共 有 の 課 題
リ ハ 医 療 に お い て ,患 者 と 医 療 者 の 目 標 共 有 を 高 め る 目 標 設 定 方 法 は ,患
者 が 目 標 を 明 確 化 さ せ る 過 程 の 特 徴 に お い て ,会 話 を 基 に す る 方 法 と 質 問紙
等を基にする方法の 2 つに大別された。更に,それぞれは方法の差異から,
会話を中心とした非構造的面接と医療者の関わりの一部が構造化されてい
る 半 構 造 的 面 接 ,な ら び に 質 問 紙 を 用 い た 患 者 の 目 標 選 択 と 絵 カ ー ド 等 の取
捨 を 通 し た 患 者 の 目 標 選 択 に 分 け ら れ た 。各 々 は 患 者 の デ マ ン ド を 顕 在 化さ
せる目標共有プロセスや,対象患者の適用疾患,活用する医療者の専門性,
研究デザインの質的評価において特徴的に用いられていた。
会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的 面 接 が 用 い ら れ て い る 目 標 設 定 方 法 に は ,目標
指 向 的 ア プ ロ ー チ,患 者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ン ス , GAS,訪 問 リ ハ に よ る 目 標
創 出 ,傾聴 ,共 有 看 護 計 画 の 6 種 類 が 特 定 さ れ た 。目 標 指 向 的 ア プ ロ ー チ は ,
各 職 種 が 患 者 と の 対 話 を 通 し て 個 々 の 専 門 的 な 目 標 設 定 を 行 っ た 後 に ,医療
者 チ ー ム と し て の 主 目 標 を 構 想 し,患 者 の 選 択 を 促 す た め,各 職 種 は 個 々 の
目 標 設 定 に お い て,患 者 の 価 値 観 を 十 分 に 受 け 止 め る こ と が 求 め ら れ る。患
者 参 加 型 カ ン フ ァ レ ン ス は ,そ の 場 に お い て 各 職 種 が 患 者 の デ マ ン ド 聴 取 す
る た め ,専 門 性 の 異 な る 職 種 が 同 席 す る 場 に お い て 患 者 が 優 先 す べ き 課 題を
各 職 種 が 協 調 し て 決 定 す る こ と が 求 め ら れ る 。GAS は ,目 標 達 成 予 測 に よっ
て 患 者 が 意 欲 高 く 自 身 の 問 題 に 臨 む こ と が で き る 。在 宅 生 活 の 不 安 や 身 体障
害 に 伴 う 精 神 症 状 に よ っ て 目 標 を 見 い 出 し 難 く な っ て い る 患 者 に は ,訪 問リ
ハ を 通 し た TH の 関 わ り や 積 極 的 な 傾 聴 が 目 標 の 創 出 に つ な が る 。 患 者 ・ 看
護師間の目標設定には共有看護計画が有効である。
ま た ,医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 半 構 造 的 面 接 に 該 当 する
の は ,ADL 表 , COPM, KOMI チ ャ ー ト シ ス テ ム , fair process の 4 種 類 で あ
っ た 。ADL 表 は 患 者 が 自 身 の ADL 自 立 度 を 客 観 的 に 把 握 で き , COPM や KOMI
チャートシステムは患者が重要視する活動を医療者が多面的に捉えられる。
fair process は 病 識 の 乏 し い 高 次 脳 機 能 障 害 患 者 の 目 標 設 定 に お い て 有 効
である。
こ れ ら に は,患 者 の 価 値 観 に 即 し て 多 様 な デ マ ン ド を 把 握 す る こ と や,そ
のデマンドと医療者の専門的見地から見立てたニーズを統合させるプロセ
ス に お い て 有 効 性 が 示 さ れ て い る。一 方 で,医 療 者 の 高 度 な 面 接 技 術 を 必 要
十 分 条 件 と す る こ と な く 患 者 の デ マ ン ド が 顕 在 化 さ れ ,よ り 構 造 化 さ れ た方
略によって両者の目標共有が促進されることが求められる。
他 方 ,質 問 紙 を 基 に 構 造 化 さ れ た 方 法 に よ っ て 患 者 が 目 標 を 選 択 す る 方法
18
に は , RPE , 生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト , OSA Ⅱ , PGPQ , goal-forum
intervention,PPGMC の 6 種 類 が 特 定 さ れ た 。 RPE は ADL 目 標 の 優 先 度 が 高
い 患 者 に 有 効 で ,生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト は 患 者 の 多 様 な 価 値 観 に 応 じた
デ マ ン ド の 聴 取 が 可 能 で あ る 。 OSAⅡ は 患 者 自 身 が 問 題 を 自 己 洞 察 で き る 。
PGPQ, goal-forum intervention, PPGMC は そ れ ぞ れ , 筋 骨 格 系 疼 痛 患 者 ,
関節リウマチ患者,脳卒中患者の理学療法目標の設定において有効である。
ま た ,絵 カ ー ド等 の 取 捨 を 通 し た 患 者 の 目 標 選 択 に 該 当 す る の は ,Talking
Mats,ADOC, 共 有 型 目 標 設 定 法 の 3 種 類 で あ っ た 。 Talking Mats や ADOC は
認 知 機 能 障 害 を 呈 す る 患 者 の 主 観 的 側 面 を 捉 え ら れ ,共 有 型 目 標 設 定 法 を含
め た カ ー ド の 取 捨 に よ る 目 標 選 択 は,患 者 が 自 身 の 問 題 を 整 理 で き,よ り 自
己決定が促されると推察される。
こ れ ら に は,患 者 が 自 身 に と っ て 重 要 な 活 動 を 明 確 に し,医 療 者 の 規 準 的
な見解と合致させる目標共有を構造化された方法で行いうることが示され
て い る 。そ の 有 効 性 は 今 後 よ り 質 の 高 い 研 究 デ ザ イ ン で 検 討 す る こ と が 求め
ら れ る も の の,患 者 の 疾 患 や 病 期,医 療 者 の 専 門 性 に 応 じ て 目 標 設 定 方 法 を
選択できる可能性が示唆された。
以 上 よ り,リ ハ 医 療 に お け る 患 者 と 医 療 者 と の 目 標 共 有 に は ,患者 に と っ
て意味のある活動と医療者の専門的見地を統合させうる目標設定方法が必
要 と い え,そ の 介 入 効 果 を 適 用 疾 患 が 限 定 さ れ る こ と な く,よ り 質 の 高 い 研
究デザインで検討することが求められる。
19
第2節
現状の課題
リ ハ 医 療 に お け る 高 い 質 や 患 者 の 地 域 生 活 に お ける Well-Being を 希 求 す
る TH の 態 度 が 社 会 的 に 求 め ら れ て い る 昨 今 , そ の 実 現 に は , 患 者 を チ ー ム
医 療 の 一 員 と し て 位 置 づ け る こ と や 患 者 と TH が 共 に 意 思 決 定 を 行 う こ と が
求 め ら れ る。特 に 目 標 設 定 に お い て は,患 者 の デ マ ン ド の 尊 重 は 基 よ り,TH
の規準的な見解と統合させて両者の意思決定を図る目標共有のプロセスが
必要といえる。
し か し , リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者と TH 間 の 目 標 共 有 の 課 題 に は , 入 院
時 に 設 定 さ れ た 目 標 が 退 院 ま で に 十 分 に 達 成 さ れ て い な い こ と や ,患 者 と医
療 者 の 協 業 に よ っ て 為 さ れ る 目 標 設 定 の 不 十 分 さ が あ る 。患 者 に と っ て 設定
された目標が達成されるか否かは退院後の生活を見据える上で重要な関心
事 で あ る こ と か ら , TH は 患 者 の心 理 要 因 の 向 上 を 目 指 す べ く , 両 者 で 十 分
に 検 討 し た 患 者 中 心 の 目 標 設 定 を 行 う こ と が 不 可 欠 で あ る 。ま た,退 院 時 の
目 標 の 達 成 度 や 患 者・ TH 間 の 目 標 共 有 の 程 度 は ,患 者 の 退 院 後 の HR-QOL に
影 響 を 及 ぼ す と 推 察 さ れ る こ と か ら ,TH に は 患 者 と の 目 標 共 有 に 基 づ く 協
業を主体とした介入が求められる。
両 者 の 目 標 共 有 を 高 め る 目 標 設 定 方 法 は ,患 者 が 目 標 を 明 確 化 さ せ る 過程
の 特 徴 に お い て ,会 話 を 基 に す る 方 法 と 質 問 紙 等 を 基 に す る 方 法 の 2 つ に大
別 さ れ,更 に そ れ ぞ れ は 方 法 の 差 異 か ら ,会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的 面 接 と
医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 半 構 造 的 面 接 ,な ら び に 質 問 紙を
用いた患者の目標選択と絵カード等の取捨を通した患者の目標選択に分け
られる。また,各々は患者のデマンドを顕在化させる目標共有プロセスや,
対 象 患 者 の 適 用 疾 患 ,活 用 す る 医 療 者 の 専 門 性,研 究 デ ザ イ ン の 質 的 評 価 に
おいて多様な特徴を有している。
し か し , リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者と TH 間 の 目 標 を 効 果 的 に 共 有 で き る
方 法 は 未 だ 十 分 に 確 立 さ れ て い る と は 言 え ず ,両 者 の 目 標 共 有 が 患 者 の 退院
時 の リ ハ 効 果 や 退 院 後 の HR-QOL に 与 え る 影 響 は , 国 内 外 に お い て 明 か に さ
れ て い な い 。 リ ハ 医 療 に お け る 患 者 ・TH 間 の 目 標 共 有 に は , 意 思 決 定 を 共
有 す る パ ー ト ナ ー シ ッ プ が 不 可 欠 な だ け に ,患 者 に と っ て 意 味 の あ る 活 動と
TH の 専 門 的見 地 を 統 合 さ せ う る 目 標 設 定 方 法 が 必 要 と い え , そ の 介 入 効 果
を 適 用 疾 患 が 限 定 さ れ る こ と な く ,よ り 質 の 高 い 研 究 デ ザ イ ン で 検 討 す るこ
とが求められる。
第3節
目的
リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者 と TH 間 の 目 標 共 有 が リ ハ 効 果 に い か な る 影 響
を及ぼすかを明らかにする。
20
第4節
構成
第 1 項 研究構成
本研究は,以下の 2 つの研究によって構成される。
第 1 研究:リハ病院成人患者の目標実態
― 患 者 の 目 標 達 成 度 と 患 者 ・ TH 間 の 目 標 一 致 度 な ら びに HR-QOL
との関係―
第 2 研 究 : リ ハ 病 院 成 人 患 者 ・TH 間 に お け る 目 標 共 有 の リ ハ 効 果
第 2 項 倫理的配慮
本 研 究 は , 茨 城 県 立 医 療 大 学 倫 理 委 員 会 の 承 認 (番 号 368,H21 年 ; 番 号
445,H23 年 )を 得 た 後 ,対 象 者 に 研 究 の 説 明 と 同 意 を 得 て か ら 実 施 し た 。な
お 本 研 究 は , 平成 21~ 23 年 度 茨 城 県 立 医 療 大 学 地 域 貢 献 研 究 「 長 期 的 な 地
域 在 宅 生 活 の 継 続 を 目 指 し た リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 療 に 関 す る 研 究 」の 一部
である。
21
第 2 章 第 1 研究
リハ病院成人患者の目標実態
― 患 者 の 目 標 達 成 度 と 患 者・TH 間 の 目 標 一 致 度 な ら びに HR-QOL と の 関 係 ―
第1節
目的
リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者 の 目 標 実 態 を , 患 者 の 目 標 達 成 度 と 患 者 ・ TH
間 の 目 標 一 致 度 な ら び に HR-QOL の 退 院 後 追 跡 調 査 か ら 検 証 す る 。
第2節
方法
第 1 項 対象と実施概要
2009 年 4 月 か ら 2011 年 8 月 ま で に ,茨 城 県 の リ ハ 医 療 の 中 核 施 設 1 02 ) で あ
る A 病 院 に 入 院 し た 全 て の 成 人 患 者(540 名 )の 内 ,同 意 の 得 ら れ た 者( 281
名,同 意 率 52% ) と 担 当 TH(OT19 名 , PT17 名 ) を 対 象 に , 質 問 紙 調 査 を 実
施 し た 。調 査 は 4 時 点 で 実 施 さ れ ,入 院 時 ,退 院 時 ,退 院 後 1 ヶ 月 お よ び 退
院 後 3 カ 月 で あ っ た 。 入 院 時 と 退 院 時 は 自 記 式 質 問 紙 調 査 と し , 患 者 と TH
に 対 し そ れ ぞ れ 対 面 と 留 め 置 き に て 実 施 し た ( 別 紙 1-4)。 退 院 後 調 査 は 患
者 の み に 郵 送 式 で 行 わ れ た ( 別紙 5)。入 院 時 調 査 は 入 院 よ り 数 週 間 経 過し
た 初 期 カ ン フ ァ レ ン ス 後 に な さ れ ,退 院 時 調 査 は 退 院 前 の 約 1 週 間 内 に 実施
された。
な お ,本 研 究 に お け る リ ハ 病 院 と は 回 復 期 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 病 棟 や 障害
者 施 設 等 一 般 病 棟 を 有 す る 病 院 と し ,成 人 患 者 と は 疾 患 別 リ ハ ビ リ テ ー ショ
ン 料 の 算 定 対 象 と な る 疾 患 を 有 する 18 歳 以 上 の 者 と 定 義 し た 。
第 2 項 調査内容
2.1 目 標 達 成 度
目 標 達 成 度 は , Goal Attainment Scaling( GAS) 8 3 ) に 準 じ て 用 い た 。 GAS
は ,身 体障 害 患 者 の 目 標 設 定 方 法 と し て 信 頼 性 ,妥 当 性 ,感 度 を 有 し て お り
39 )
,介 入 後 に 予 測 さ れ る 結 果 の 程 度 に つ い て 患 者 と TH が 介 入 前 に 話 し 合 い ,
共 に 目 標 を 設 定 す る 方 法 で あ る 。 本 研 究 で は , 入 院 時 に TH が 退 院 ま で の目
標 到 達 予 測 を 5 段 階 で 設 定 し ( 別 紙 2 の 質 問 番 号 2), そ の 達 成 度 を 患 者が
退 院 時 に 回 答 す る 過 程 を と っ た( 別 紙 3 の 質 問 番 号 3)。TH が 患 者 ご と に 設
定 し た 各 目 標 の 到 達 予 測 は,「 1~ 5」 の 5 段 階 で 構 成 さ れ ,「1」 を 「 入 院 時
の 患 者 の 状 況」,「 2」を「 予測 よ り 低 い 目 標」,「 3」を「 予 測 さ れ た 退 院 ま で
の 目 標 」 と し ,「 4-5」 を 「 予 測 よ り 高 い 目 標 」 と し た ( 表 3) 。 す な わ ち ,
退 院 時 の 患 者 の 状 況 が , 予 測 さ れ た 目 標 「 3」, も し く は そ れ 以 上 「 4-5」 に
達 し て い れ ば「 達 成 」と な り,入 院 時 の 状 況 の ま ま「1」,も し く は 予 測 よ り
低 い 段 階 「 2」 で あ れ ば 「 未 達 成 」 と 解 釈 す る ス ケ ー ル で あ る 。
22
表3
入院時における目標到達予測と退院時の達成度
目標到達予測
OT 目 標 例 ( 食 事 の 準 備 )
達成度
1:入 院 時 の 状 況
1:中 等 度 の 身 体 努 力 と ,僅 か な 介 助 で 行 う 未 達 成
2:予 測 よ り や や 低 い
2:軽 度 の 身 体 努 力 と , 僅 か な 介 助 で 行 う
3:予 測 さ れ た 目 標
3:軽 度 の 身 体 努 力 で , 一 人 で 行 う
達成
4:予 測 よ り や や 高 い
4:身 体 努 力 な く , 一 人 で 行 う
達成
5:予 測 よ り 高 い
5:受 傷 前 と 同 様 に 行 う
達成
未達成
2.2 患 者 ・ TH 間 の 目 標 一 致 度
入 院 時 と 退 院 時 に お い て ,そ れ ぞ れ 退 院 ま で と 退 院後 3 カ 月 ま で に 重 要視
す る 上 位 3 項 目 の 目 標 を ,患 者( 別 紙 1 と 別 紙 3 の 質 問 番 号 4)と TH( 別 紙
2 の 質 問番 号 1 と 別 紙 4) の両 者 に 調 査 し た 。 質 問 紙 は , ICF の 「 活動 と 参
加 」 の 項 目 か ら 抽 出 し た 9 領 域 34 項 目 で 構 成 し た(表 4)。項 目 以 外 で 重 要
視 し て い る 目 標 は 自 由 記 述 と し た 。質 問 紙 の 作 成 は,主 に 研 究 協 力 者 ら 2 名
( リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 修 士 を 有 する OT と PT 各 1 名 )が 行 い ,A 病 院 に 所 属
す る 複 数 の リ ハ 関 連 職 者 ( 医 師 1 名 , 看 護 師 1 名 , OT2 名 ,PT3 名,ソ ー シ ャ
ル ワ ー カ ー1 名 ) の 合 議 で 決 定 し た 。
目 標 一 致 度 は,患 者 と TH の そ れ ぞ れ が 重 要 視 す る 上 位 3 項 目 の 目 標 の 内 ,
両 者 で 一 致 し た 項 目 数 に よ っ て 算 出 し た .す な わ ち ,OT ま た は PT の み の 担
当 の 場 合 は,一 致 度 が 0 /3 ‐ 3 /3 と し ,OT と PT の 両 担 当 の 場 合 は ,0 /6 ‐ 6 / 6 と
した。
23
表4
目標一致度の調査項目
24
2.3 HR-QOL
HR-QOL は , 退 院 時 と 退 院 後 1 カ 月 ,3 カ 月 に お い て 患 者 に 調 査 さ れ , そ
の 測 定 に は , 包 括 的 な 健 康 感 尺 度 で あ る 8-Item Short-Form Health Survey
( 以 下 ,SF-8)が 使 用 さ れ た( 別紙 3 の 質 問 番 号 2 と 別紙 5 の 質 問 番 号 13)。
SF-8 は 高 い信 頼 性 と 妥 当 性 を 有 し,日 本 で 広 く 使 用 さ れ て い る HR-QOL 尺 度
の 一 つ で あ る 1 0 3 )。 SF-8 は 身 体 機 能 , 日 常 役 割 機 能 ( 身 体 ), 体 の 痛 み , 全
体 的 健 康 感 , 活 力 , 社 会 生 活 機 能 , 日 常 役 割 機 能 ( 精 神), 心 の 健 康 の 8 下
位尺度及び身体的健康感と精神的健康感の 2 つのサマリースコアで構成さ
れ て い る 。サ マ リ ー ス コ ア は ,8 下 位 尺 度 の 得 点 を 基 に 算 出 さ れ ,そ れ ぞれ
身 体 的 な 側 面 に お け る QOL と 精 神 的 な 側 面 に お け る QOL と し て 評 価 さ れ る 。
得 点 の 算 出 は,国 民 標 準 値 に 基 づ く ス コ ア リ ン グ に よ っ て 行 わ れ,日 本 人 国
標 準 値 が 50 点 ,そ の 標 準 偏 差が 10 点 と し て 標 準 化 さ れ る 。そ れ ぞ れ の 点 数
は,より高いほど健康状態が良いことを意味する。
第 3 項 分析
3.1 目 標 達 成 度 と HR-QOL の 関係
3.1.1 分 析 対 象
3.1.1.1 調 査 期 別 回 答 者 数
目 標 達 成 度 と HR-QOL の 調 査 期 別 回 答 者 数 を 表 5 と 図 1 に 示 し た 。 研 究 同
意 者 281 名 の 内 , 退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院 時 ・ 退 院 後 の HR-QOL に 関 す る
調 査 項 目 に つ い て , 患 者 と TH の 両 者 が 対 応 し た 有 効 回 答 者 は , 退 院 時 ,退
院 後 1 カ 月 お よび 3 カ 月 で そ れ ぞ れ,56 名 ,30 名 お よ び 24 名 で あ っ た。退
院 時 の 回 答 率が 20% と な っ た 主 な 理 由 に は ,目 標 到 達予 測 に 関 す る TH の 回
答数があった。
表5
調 査 期 別 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL の 有 効 回 答 者 数 ( 回 答 率 )
退院時
56/281 (20%)
退院後 1 カ月
30/ 56 (54%)
退院後 3 カ月
24/ 30 (80%)
25
2009 年 9 月 か ら 2011 年 8 月 ま で に
A 病院に入院した成人患者
540 名
不同意
研究の同意者
281 名
無効回答
未回答
退院
入院時調査の回答者
259 名
9名
136 名
44 名
92 名
無 効 回 答 22 名
未回答
退院
退院時調査の回答者
11 名
3名
56 名
無 効 回 答 11 名
退院後 1 カ月調査の回答者
退院後 3 カ月調査の回答者
図1
未回答
13 名
不同意
2名
無効回答
2名
未回答
3名
不同意
1名
30 名
24 名
対象者の流れ
3.1.1.2 分 析 対 象 者 の 属 性
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL に 関 す る 調 査 項 目 ( 別紙 2 の 質 問 番 号 2 と
別 紙 3 の 質 問 番号 2,3) に つ い て ,患 者 と TH の 両 者 が 対 応 し た 有 効 回 答 者
56 名 の 属 性を 表 6 に 示 し た 。
ま た,退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院後 3 カ 月 の HR-QOL( 別 紙 2 の 質 問 番 号 2
と 別 紙 3 の 質 問 番 号 3, 別 紙 5 の 質 問 番 号 14) に 関 する 調 査 項 目 に つ い て,
患 者 と TH の 両 者 が 対 応 し た 有 効 回 答 者 24 名 の 属 性 を 表 7 に 示 し た 。
26
表6
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL に 関 す る 分 析 対 象 者
患 者 * ( N=56)
分析対象
性別
(人 )
男 38, 女 18
疾患
(人 )
脳 血 管 疾 患 38, 脊 髄 損 傷 10, 他 8
年齢
(歳 )
62.3±16.1
入院期間
(日 )
116.5±36.8
退 院 時 FIM
(点 )
110.1±14.6
* 患 者 と TH の 両 者 が 対 応 し た 有 効 回 答 者
表7
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院後 3 カ 月 の HR-QOL に 関 す る 分 析 対 象 者
患 者 * ( N=24)
分析対象
性別
(人 )
男 15, 女 9
疾患
(人 )
脳 血 管 疾 患 15, 脊 髄 損 傷 4, 他 5
年齢
(歳 )
60.9±16.4
入院期間
(日 )
102.3±59.3
退 院 時 FIM
(点 )
113.9±11.8
* 患 者 と TH の 両 者 が 対 応 し た 有 効 回 答 者
3.1.2 分 析 方 法
目 標 達 成 度 の 分 析 に は 記 述 統 計 を 用 い , HR-QOL と の 関 係 に は 相 関 関 係 の
検 定 (Pearson 積 率 法 に よ る 相 関 分 析 )及 び T 検 定 , χ²検 定 を 用 い た . い ず
れ も SPSS Statistics 19 を用 い , 有 意 水 準 5%未 満 を 有 意 差 あ り と 判 定 し
た。
3.2 目 標 一 致 度 と HR-QOL の 関係
3.2.1 分 析 対 象
3.2.1.1 調 査 期 別 回 答 者 数
目 標 一 致 度 と HR-QOL の 調 査 期別 回 答 者 数 を 表 8 に 示 し た 。研 究 同 意者 281
名 の 内 , 入 退 院 時 の 目 標 一 致 度 と 退 院 時 ・ 退 院 後 の HR-QOL に 関 す る 調 査項
目 に つ い て , 患 者 と TH の 両 者 が 対 応 し た 有 効 回 答 者 は , 入 院 時 , 退 院 時 ,
退 院後 1 カ 月 お よ び 3 カ 月 で そ れ ぞ れ , 186 名 ,113 名 ,74 名 お よび 49 名
であった。
27
表8
調 査 期 別 の 目 標 一 致 度 と HR-QOL の 有 効 回 答 者 数 ( 回 答 率 )
入院時
186/281 (66%)
退院時
113/186 (61%)
退院後 1 カ月
74/113 (65%)
退院後 3 カ月
49/ 74 (66%)
3.2.1.2 2 群 に 振 り 分 け る 方 法
退 院 時 の 患 者 ・ TH 間 の 目 標 一 致 度 と 退 院 後の HR-QOL の 関 係 ( 別紙 3 の 質
問 番 号 2,4 と 別紙 4)に つ い て ,2×3 の 分 散 分 析 を 用 い て 分 析 す る た め,退
院 時 の 目 標 一 致 度 を 基 に 対 象 者を 2 群 に 振 り 分 け た 。退 院 時 の 目 標 一 致 度 を
表 9 に 示 し た。退 院 時 の 有 効 回 答者 113 名 に お け る,目 標 一 致 度 の 全 体 の 中
央 値 が 33%( 一 致 項 目 数 2 / 6 も し くは 1 / 3 )で あ る こ と か ら ,そ れ よ り 高 い 一
致 度 で あ る 50%( 一 致 項 目 数 3 /6 )以 上 を 目 標 一 致 群 と し ,一 致 度 33%以 下
を目標不一致群として群分けした。
表9
退院時の目標一致度
一致度
一致
PT/OT 両 担 当
項目数
N
N%
100%
(6 / 6 )
0
83%
(5 / 6 )
67%
OT の み
一致
PT の み
全体(計)
項目数
N
N%
N
N%
N
N%
0.0
(3 / 3 )
0
0.0
0
0.0
0
0.0
2
4.1
-
-
-
-
-
2
1.8
(4 / 6 )
2
4.1
(2 / 3 )
0
0.0
9
21.4
11
9.7
50%
(3 / 6 )
4
8.2
-
-
-
-
-
4
3.5
33%
(2 / 6 )
14
28.6
(1 / 3 )
14
63.6
15
35.7
43
38.1
17%
(1 / 6 )
17
34.7
-
-
-
-
-
17
15.1
0%
(0 / 6 )
10
20.4
(0 / 3 )
8
36.4
18
49.2
36
31.9
Mean±SD
25.5±20.1
21.2±16.4
26.2±26.1
24.9±22.2
中央値
17%
33%
33%
33%
OT/PT 両 担 当 ( N=49) , OT の み ( N=22) , PT の み ( N=42) , 全 体 ( N=113)
網かけ:一致群
網かけなし:不一致群
28
3.2.1.3 分 析 対 象 者 の 属 性
退 院 時 の 有 効 回 答 者 113 名 の 内 , 退 院 後 3 カ 月 ま で 追 跡 で き た 49 名 ( 一
致 群 12 名 ,不 一 致 群 37 名 )を 分 析 対 象 者 と し,こ れ ま で の 流 れ と そ の 属 性
を そ れ ぞ れ 図 2 と 表 10 に 示 し た 。 FIM に 群 間差 が 認 め ら れ , 一 致 群 の 方 が
不 一 致 群 よ り 自 立 度 が 高 か っ た 。そ の 他 に ,2 群 間 の 有 意 差 は 認 め ら れ な か
った。
2009 年 9 月 か ら 2011 年 8 月 ま で に
A 病院に入院した成人患者
540 名
不同意
研究の同意者
259 名
281 名
無 効 回 答 25 名
入院時調査の回答者
未回答
26 名
退院
44 名
186 名
無 効 回 答 35 名
未回答
退院
退院時調査の回答者
31 名
7名
113 名
無 効 回 答 14 名
退院後 1 カ月調査の回答者
退院後 3 カ月調査の回答者
一致群
図2
12 名
未回答
23 名
不同意
2名
無効回答
7名
74 名
未回答
15 名
不同意
3名
49 名
不 一 致 群 37 名
対象者の流れ
29
表 10
目 標一 致 度 と HR-QOL の 関 係 の 分 析 対 象 者
一 致 群 (N=12)
不 一 致 群 (N=37)
P
54.3±17.1
58.5±16.6
NS
男性
8 名 (66.7)
23 名 (62.2)
NS
女性
4 名 (33.3)
14 名 (37.8)
脳血管疾患
6 名 (50.0)
18 名 (48.6)
脊髄疾患
2 名 (16.7)
10 名 (27.0)
骨・関節疾患
4 名 (33.3)
4 名 (10.8)
その他
0 名 ( 0.0)
5 名 (13.5)
96.6±58.9
98.4±50.7
単身
3 名 (25.0)
3 名 ( 8.1)
配偶者
4 名 (33.3)
10 名 (27.0)
配偶者と子
2 名 (16.7)
9 名 (24.3)
2 世帯
2 名 (16.7)
12 名 (32.4)
その他
1 名 ( 8.3)
3 名 ( 8.1)
12 名 (100)
37 名 (100)
年齢
(歳 )
性別
疾患
入院期間
(日 )
NS
NS
家族構成
NS
居住場所
自宅
施設
退 院 時 FIM
0 名(
(点 )
0)
0 名(
NS
0)
123.7±2.9
111.1±16.4
利用なし
9 名 (75.0)
26 名 (70.3)
要支援
2 名 (16.7)
2 名 ( 5.4)
要 介 護 1.2
1 名 ( 8.3)
5 名 (13.5)
要 介 護 3.4
0 名 ( 0.0)
4 名 (10.8)
利用なし
7 名 (58.3)
18 名 (48.6)
通所介護・リハ
1 名 ( 8.3)
3 名 ( 8.1)
外 来 OT・ PT
1 名 ( 8.3)
7 名 (18.9)
その他
3 名 (25.0)
9 名 (24.3)
OT
4.9±2.7
6.1±2.7
PT
5.9±1.6
5.7±3.1
.001
介護度
NS
利用サービス
NS
TH 経 験 年 数 (年 目 )
NS
性 別 と 疾 患 は χ 2 検 定 , そ の 他 は T 検 定 , ()内 は % , mean±SD
30
3.2.2 分 析 方 法
目 標 一 致 度 の 分 析 に は 記 述 統 計 を 用 い , 2 群 間 の HR-QOL 変 化 に は T 検 定
を 用 い た . ま た , 退 院 時 の 目 標 一 致 度 と 退 院 後 の HR-QOL の 関 係 を 分 析 す る
た め ,SF-8 を 従 属 変 数 ,目 標 一 致 度 (一 致 群・ 不 一 致 群 )と 期 間 (退 院 時・ 退
院 後 1 カ 月 ・ 退 院 後 3 カ 月 )を 独 立 変 数 , 群 間 差 の あ っ た FIM を 共 変 量 と し
た 2×3 の 分 散 分 析 を 行 っ た 。 分 析 に は SPSS Statistics 19 を 用 い ,有 意 水
準 5% 未 満 を 有 意 差 あ り と 判 定 し た 。
第3節
結果
第 1 項 目 標 達 成 度 と HR-QOL の 関 係
1.1 退 院 時 の 目 標 達 成 度
入 院 時 に TH に 設 定 さ れ た 目 標 の 退 院 時 の 達 成・未 達 成 率 を 図 3 に 示 し た.
患 者 56 名 に 設 定 さ れ た 目 標 の 延 べ数 139 個 の 内,達 成 さ れ た 目 標( GAS の 5
点 満 点 中 3 点 以 上 )は 103 個( 74.1% )で あ り ,主 に セ ル フ ケ ア の 排 泄 や 更
衣 ,運 動・移 動 の 歩 行 や 移 乗 ,家 庭 生 活 の 料 理 や 買 い 物 ,な ら び に 仕 事 と い
っ た 内 容 で あ っ た。一 方,未 達 成 の 目 標( 5 点 満 点 中 2 点 以 下)は 36 個( 25.9% )
であり,主に運動・移動の手の使用や姿勢保持といった内容であった。
図3
設定された目標の達成・未達成率
31
1.2 退 院 時 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL の 関 係
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL と の 関 係 を 表 11 に 示 し た 。退 院 時 の 目 標 達
成 度 は 全 体で 3.0±0.9 点 で あ り, SF-8 の 関 係 で は , サ マ リ ー ス コ ア の 「 身
体 的 健 康( 36.9±10.3 点)」と 下 位 項 目 の「 身 体 機 能( 39.6±10.7 点 )」に ,
そ れ ぞ れ 弱 い 相 関 ( r=.23, p=.084; r=.23, p=.087) が 認 め ら れ た 。 一 方 ,
SF-8 の 他 項目 と の 関 連 に は 有 意 差 を 認 め な か っ た 。
表 11
退 院時 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL と の 関 係
Mean(SD)
R
サマリー
身体的健康
36.9(10.3)
.23
スコア
精神的健康
45.7(10.4)
-.11
身体機能
39.6(10.7)
.23
日 常 役 割 機 能 (身 体 )
28.7(14.2)
.20
身体の痛み
43.4(10.7)
.03
全体的健康感
49.0( 9.0)
.09
活力
48.5( 7.7)
-.01
社会生活機能
38.6(11.4)
.07
日 常 役 割 機 能 (精 神 )
40.1(14.8)
-.05
心の健康
45.3( 7.3)
.04
下
位
項
目
Pearson 積 率 相 関 分 析
( N=56)
32
目 標 達 成 可 否と SF-8 や 属 性 と の 関 係 を 表 12 に 示 し た 。何 ら か の 目 標 が 達
成 さ れ た 患 者( 少 な く と も 1 つ の 目 標 が 5 点 満 点中 3 点 以 上 )は,全 て の 目
標 が 未 達 成 だ っ た 患 者( 全 目 標 が 5 点 満 点 中 2 点 以 下)よ り 全 体 的 健 康 感 が
高 い 傾 向 に あ っ た 。 SF-8 の 他 項 目 や 属 性 と の 関 連 に は 有 意 差 を 認 め な か っ
た。
表 12
目 標達 成 可 否 と HR-QOL や 属 性 と の 関 係
何らかの目標が達成 全ての目標が未達成
(N=38)
(N=8)
P
サマリー
身体的健康
36.4( 9.7)
31.8(10.1)
NS
スコア
精神的健康
45.7(10.9)
48.1(12.2)
NS
身体機能
39.8(10.7)
33.6(13.0)
NS
日 常 役 割 機 能 (身 体 )
27.8(14.0)
27.4(13.5)
NS
身体の痛み
43.4(10.3)
40.9(13.0)
NS
全体的健康感
48.9( 8.6)
42.8( 9.6)
.081
活力
48.1( 8.0)
47.3( 6.3)
NS
社会生活機能
36.8(11.1)
39.9(13.9)
NS
日 常 役 割 機 能 (精 神 )
40.7(15.3)
44.7(10.5)
NS
心の健康
45.7( 7.7)
42.5( 7.7)
NS
男 23, 女 15
男 5, 女 3
NS
脳 血 管 疾 患 27
脳血管疾患 4
脊 髄 損 傷 7, 他 4
脊 髄 損 傷 2, 他 2
下
位
項
目
性別
(人 )
疾患
(人 )
年齢
(歳 )
62.1(15.4)
68.3(10.6)
NS
FIM
(点 )
112.0(10.0)
101.7(26.6)
NS
NS
性 別 と 疾 患 は χ 2 検 定 , そ の 他 は T 検 定 , NS: not significant, Mean(SD)
33
1.3 退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院 後 の HR-QOL と の 関 係
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院後 3 カ 月 の HR-QOL 変 化 と の 関 係 を 表 13 に 示 し
た 。双 方 の 関 係 は ,SF-8 下 位 項 目 の「 日 常 役 割 機 能 (身 体 )( 6.8±15.3 点)」
に , 弱 い 相 関 (r=.40, p=.081) が あ っ た が , 他 項 目 と の 関 連 に は 有 意 差 を
認めなかった。
表 13
退 院時 の 目 標 達 成 度 と 退 院後 3 カ 月 の HR-QOL 変 化 と の 関 係
Mean(SD)
R
サマリー
身体的健康
-0.5(12.2)
.17
スコア
精神的健康
-1.7(10.9)
.01
身体機能
-4.1(14.7)
.09
6.8(15.3)
.40
身体の痛み
-2.0(11.2)
-.11
全体的健康感
-5.9( 8.7)
.22
活力
-1.1( 8.2)
-.20
社会生活機能
-1.9(15.4)
-.05
0.2(13.2)
.17
-2.5( 6.4)
.20
日 常 役 割 機 能 (身 体 )
下
位
項
目
日 常 役 割 機 能 (精 神 )
心の健康
Pearson 積 率 相 関 分 析
( N=24)
34
第 2 項 目 標 一 致 度 と HR-QOL の 関 係
2.1 入 院 時 の 目 標 一 致 度
入 院 時 の 有 効 回 答 者 186 名 に つ い て , 患 者 の 入 院 時 目 標 に 占 め る TH と 一
致 し て い る 目 標 の 割 合 を 算 出 し,ICF 活 動 と 参 加 領 域 別 に お け る 患 者・TH 間
の 入 院 時 の 目 標 一 致 度 を 図 4 に 示 し た 。患 者 186 名 が 重 要 視 し た 目 標 の 延べ
数 550 個 の 内,TH と 一 致 し て い た 目 標( 両 者 が 上 位 3 項 目 内 に 挙 げ た 目 標 )
は 130 個( 23.6% )で あ り ,主 に 運 動・移 動 や 主 要 な 生 活 領 域 の 目 標 で あ っ
た 。 一 方 ,不 一 致 の 目 標( 両 者 が 上 位 3 項 目 内 に 挙 げ な か っ た 目 標 )は 420
個(76.3% )で あ り ,主 に セ ル フ ケ ア や コ ミ ュ ニ テ ィ ラ イ フ の 目 標 で あ っ た 。
図4
入院時の目標一致度
2.2 退 院 時 の 目 標 一 致 度
退 院 時 の 有 効 回 答 者 113 名 に つ い て , 患 者 の 退 院 時 目 標 に 占 め る TH と 一
致 し て い る 目 標 の 割 合 を 算 出 し,ICF 活 動 と 参 加 領 域 別 に お け る 患 者・TH 間
の 退 院 時 の 目 標 一 致 度 を 図 5 に 示 し た 。患 者 113 名 が 重 要 視 し た 目 標 の 延べ
数 278 個 の 内 ,TH と 一 致 し て い た 目 標 は 66 個( 23.7% ) で あ り ,主 に 家庭
生 活 や 対 人 関 係 の 目 標 で あ っ た 。一 方 ,不 一 致 の 目 標は 212 個( 76.3% )で
あ り,主 に 一 般 的 な 課 題 と 要 求,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン や コ ミ ュ ニ テ ィ ラ イ フ
の目標であった。
35
図5
退院時の目標一致度
2.3 退 院 時 の 目 標 一 致 度 と 退 院 後の HR-QOL と の 関 係
次に,退院時の目標一致度を基に振り分けられた 2 群(本章 2 節 3 項
3.2.1.2)の 退 院 時 の HR-QOL と 退 院 後 変 化 を 表 14 に 示 し た。退 院 時 の HR-QOL
に 2 群 間 の 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 退 院 後 の HR-QOL の 変 化 は , 1 カ 月
と 3 カ 月 の 両 期 間 に お い て ,下 位 項 目 の「 日 常 役割 機 能 (身 体 )」と サ マ リ ー
ス コ ア の「 身 体 的 健 康 度 」に有 意 な 差 が そ れ ぞ れ 認 め ら れ,い ず れ も 一 致 群
の 方 が 不 一 致 群 に 比 べ て 良 好 で あ っ た 。ま た ,3 か 月 間 の 変 化 で は ,下 位項
目 の「 社会 生 活 機 能 」に 有 意な 差 が 認 め ら れ ,同様 に 一 致 群 の 方 が 良 好 で あ
った。
36
表 14
2 群 間 の 退 院 時 の HR-QOL と 退 院 後 変 化
SF-8 下 位 項 目 と
サマリースコア
身体機能
日 常 役 割 機 能 (身 体 )
身体の痛み
全体的健康感
活力
社会生活機能
日 常 役 割 機 能 (精 神 )
心の健康
身体的健康度
精神的健康度
群
退院時
Mean(SD)
一致
40.0(10.4)
不一致
42.3( 6.0)
一致
29.8(13.2)
不一致
36.4(13.0)
一致
41.3( 9.7)
不一致
46.1(11.0)
一致
47.2( 7.0)
不一致
47.2( 7.4)
一致
50.0( 4.8)
不一致
47.1( 8.0)
一致
35.9( 9.4)
不一致
38.0( 9.5)
一致
45.4( 8.1)
不一致
40.8(12.7)
一致
44.5( 7.8)
不一致
44.2( 8.2)
一致
36.6(11.4)
不一致
41.5( 8.4)
一致
46.9( 9.9)
不一致
42.8(10.2)
P
NS
NS
NS
NS
NS
NS
NS
NS
NS
NS
退院後 1 カ月の
退院後 3 カ月の
変化量
変化量
Mean(SD)
3.0(11.6)
-5.1(12.8)
12.3(14.1)
1.4(14.5)
1.8( 9.2)
-1.6(10.9)
1.1( 7.2)
-0.7( 9.8)
-0.8( 9.1)
0.2( 8.8)
5.2( 8.3)
3.8(10.8)
1.2( 6.6)
2.4(15.8)
4.4( 5.9)
1.3( 7.4)
5.0(11.2)
-3.2(10.2)
1.6( 7.4)
4.1(10.0)
P
NS
.026
NS
NS
NS
NS
NS
NS
.024
NS
Mean(SD)
6.3(12.6)
-0.7(11.4)
16.1(16.3)
3.5(15.6)
4.9(12.7)
-1.5(12.4)
1.8( 9.5)
-1.5(12.4)
0.2( 8.8)
-0.5( 8.6)
11.7(12.7)
3.5(13.1)
4.7( 8.2)
2.7(14.7)
6.5( 8.4)
1.7( 7.6)
8.1(15.4)
-1.0(10.4)
4.2(10.4)
3.0(10.2)
P
NS
.020
NS
NS
NS
.020
NS
NS
.024
NS
T 検 定 , NS: not significant
37
分 散 分 析 の 結 果 を 図 6-8 に 示 し た 。SF-8 下 位 項 目 と サ マ リ ー ス コ ア に お
い て,一 致 度 と 期 間 の 有 意 な 交 互 作 用 は 認 め ら れ な か っ た が ,単 純 主 効 果 の
検 定 で は ,SF-8 下 位 項 目 の「 日 常 役 割 機 能 (身 体 )」や「 社 会 生 活 機 能」,
「心
の 健 康 」 に お い て , 一 致 群 に お け る 期 間 ( 退 院 時 vs 退 院 後 3 カ 月 ) に 有 意
差 ( そ れ ぞれ p=.014;p=.028;p=.046) が み ら れ た (図 6-8)。 各 期 間 に お け
る 群 間 差( 一 致 群 vs 不 一 致 群)は 認 め ら れ ず,
「 日 常 役 割 機 能 (身 体 )」で は ,
退 院 時 や 退 院後 1 カ 月 ,退 院 後 3 カ 月 に お い て ,そ れ ぞ れ p=.282,p=.400,
p=.193 で あっ た 。同 様 に「 社会 生 活 機 能 」で は,そ れ ぞ れ p=.632,p=.890,
p=.151 で あり ,「 心 の 健 康 」 で は , そ れ ぞ れ p=.917, p=.150, p=.067 で あ
った。
(
点
55
)
50
一致
不一致
p=.014
HR-QOL
45
4
p=.193
40
4
35
交 互 作 用 p=.095
30
25
図6
退院時
退院後 1 カ月
退院後 3 カ月
日常役割機能(身体)の群間比較
2×3 分 散 分 析
38
(
点
55
)
一致
50
不一致
p=.028
HR-QOL
45
p=.151
4
40
35
交 互 作 用 p=.169
30
25
退院時
図7
退院後 1 カ月
退院後 3 カ月
社会生活機能の群間比較
2×3 分 散 分 析
(
点
55
)
p=.046
50
一致
p=.067
不一致
4
HR-QOL
45
40
35
交 互 作 用 p=.199
30
25
図8
退院時
退院後 1 カ月
退院後 3 カ月
心の健康の群間比較
2×3 分 散 分 析
39
第4節
考察
第 1 項 目 標 達 成 度 と HR-QOL の 関 係
1.1 退 院 時 の 目 標 達 成 度
結 果 よ り ,茨 城 県 の リ ハ 医 療 の 中 核 施 設 で あ る A 病 院 に 入 院 す る 患 者 の退
院 時 の 目 標 達 成 度 は , 約 75% であ る こ と が 示 さ れ た (図 3)。 脳 卒 中 や 骨 折
等の運動器疾患によって回復期リハ病棟に入院する患者の退院時の目標的
中 率 1 9 ,1 0 4) は , 本 研 究 と 同 等 の 6 割-8 割 と 報 告 さ れ て お り , こ れ は 本 結 果 が
外 的 妥 当 性 を 有 す る こ と を 示 唆 し て い る 。し か し ,上 肢 機 能 や 姿 勢 保 持 に関
す る 目 標 の 未 達 成 が 多 く ( 図 3), 運 動 ・ 移 動 に 直 結 す る 心 身 機 能 の 予 後 予
測 の 困 難 さ が う か が え た 。 ま た , TH の 目 標 達 成 予 測 に 関 す る 回 答 数 が 多 く
なかったことも,予測の難しさを示している。
上 述 の 未 達 成 目 標 の 予 後 予 測 は ,元 来 よ り 容 易 で は な い と の 報 告 1 0 5, 1 06 ) が
散 見 さ れ る。脳 卒 中 片 麻 痺 の 上 肢 機 能 に つ い て は,共 同 運 動 レ ベ ル か ら 分 離
し た 運 動 へ と ゆ っ く り と 持 続 的 に 回 復 を 示 す 痙 性 麻 痺 や ,低 緊 張 で 徐 々 に運
動 発 現 を 示 す 患 者 は , 補 助 手 の 程 度 予 測 が 困 難 1 05 ) と さ れ る 。 ま た , 姿 勢保
持 に つ い て は ,運 動 失 調 や 体 幹 の 低 緊 張 を 呈 す る 患 者 の 歩 行 能 力 予 測 に 難渋
す る 1 0 6) こ と が 多 く ,大 腿骨 頸 部 骨 折 患 者 1 0 4) に お い て は ,受 傷 前 よ り 移 動 能
力 の 自 立 度 を 1 段 階 程 度 低 く 見 積 も る 必 要 性 が 指 摘 さ れ て い る 。更 に ,回復
期 リ ハ 病 棟 の 入 院 時 に 設 定 さ れ た 自 宅 復 帰 や 移 動 能 力 の 目 標 が ,約 3 割 の患
者 に つ い て 退 院 時 に は 変 更 さ れ る こと 1 8) が 示 さ れ て お り ,そ の 要 因 に は ,患
者 の 認 知 機 能 障 害 や 内 科・整 形 疾 患 の 合 併 な ど の 心 身 機 能,な ら び に 住 環 境
調整の遅延や家族の対応変化などの環境因子が挙げられている。
他 方 ,目 標 達 成 度 の 構 成 概 念 は 自 己 効 力 感 や 健 康 感 で ある 1 07 ) と さ れ て い
る こ と か ら,患 者 に と っ て 未 達 成 の 目 標 が あ る こ と は,身 体 的 な 健 康 感 を 低
下 さ せ る 要 因 と な り 得 る 。 つ ま り , TH は 入 院 中 の 目 標 達 成 予 測 を 随 時 検 証
し,そ の 達 成 レ ベ ル を 修 正 す る 際 に は,患 者 や 家 族 に 十 分 な 説 明 と 同 意 を 行
う こ と が 必 要 と 言 え る 。加 えて ,目 標 内 容 の 検 討 も 適 宜 行 い ,患 者 の入 院 中
の 心 理 的 変 化 に 即 し て ,患 者 が 重 要 視 す る 意 味 の あ る 活 動 を 常 に 模 索 す るこ
とが求められる。
1.2 退 院 時 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL と の 関 係
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と HR-QOL は 弱 い 相 関 関 係 で あ っ た も の の , 入 院 中 の
目 標 が 達 成 さ れ た 患 者 は,身 体 的 な 健 康 感 が 高 く,体 を 使 う 日 常 活 動 を 支 障
な く 行 え る と 感 じ て い る こ と (表 11) や , 全 般 的 な 健 康 状 態 を 良 好 と 捉 え
て 退 院 す る 傾 向 に あ る こ と ( 表 12) が 明 ら か と な っ た 。 目 標 達 成 と 満 足 感
に は 有 意 な 関 連 が あ る こ と 1 0 8) や , 課 題 遂 行 の 達 成 感 が 自 己 効 力 感 の 向 上 を
も た ら す 1 09 ) と さ れ て い る こ と は , 目 標 の 達 成 が 各 患 者 の 心 理 要 因 に 良 好 に
作 用 し た こ と を 示 唆 す る 。回 復 期 リ ハ 病 棟 に 入 院 す る 脳 卒 中 患 者 が 抱 く 退院
後 生 活 へ の 不 安 感 は 少 な く な く 1 7) , TH に は 患 者 の 健 康 感 や 自 己 効 力 感 の 向
40
上 に 配 慮 し た 指 導 や ,退 院 後 の サ ー ビ ス の 適 切 な 活 用 を 援 助 す る 綿 密 な 退院
計 画 が 求 め ら れ る 。患 者 に と っ て 設 定 さ れ た 目 標 が 達 成 さ れ る か 否 か は 退院
後 の 生 活 を 見 据 え る 上 で 重 要 な 関 心 事 で あ る こ と か ら , TH は 患 者 の HR-QOL
の 向 上 を 目 指 す べ く ,両 者 で 十 分 に 検 討 し た 患 者 中 心 の 目 標 設 定 を 行 う こと
が不可欠といえる。
1.3 退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院 後 の HR-QOL と の 関 係
退 院 時 の 目 標 達 成 度 と 退 院 後 3 カ 月 の HR-QOL も 同 様 に 弱 い 相 関 関 係 で あ
っ た も の の,入 院 中 の 目 標 が 達 成 さ れ た 患 者 は,退 院 後 3 カ 月 に は 仕 事 や 家
事などの自身の役割に対する身体的な支障を感じなくなる傾向にあること
が 明 ら か と な っ た ( 表 13) 。 こ れ は , 退 院 時 の 達 成 目 標 が 家 庭 生 活 の 料 理
や 買 い 物 な ら び に 仕 事 な ど で あ っ た( 図 3)こ と が 関 係 し て い る と 考 え ら れ ,
身 体 的 な 課 題 を 抱 え つ つ も , 当 該 目 標 を よ り 上 手 く 遂 行 で き る よ う な TH の
介入がなされたためと推察される。
つ ま り , 障 害 に よ っ て 健 康 感 の 低 下 を 余 儀 な く さ れ た 患 者 は , TH の よ り
実 用 的 か つ,患 者 の 価 値 に 沿 っ た 介 入 に よ っ て,健 康 感 や 自 己 効 力 感 の 向 上
が 図 ら れ る と い え ,健 康 感 の 高 い 状 態 で 退 院 後 の 生 活 を 営 む た め に は,入 院
中の目標達成の重要性が示唆された。
第 2 項 目 標 一 致 度 と 退 院 後 の HR-QOL の 関 係
2.1 入 退 院 時 の 目 標 一 致 度
結 果 よ り , 入 退 院 時 の 患 者 ・TH 間 の 目 標 一 致 度 は約 24% に 留 ま り , 患 者
が 重 要 視 し た 目 標 の 内 ,TH は 目標 と し て 挙 げ な か っ た 割 合 は 3/4 を 占 め た
( 図 4,5)。訪 問 リ ハ の 目 的 に 対 す る 患 者 の 理 解 度が 3 割 程 度 で あ る 8 6) こ と
や , 患 者 中 心 の 臨 床 を 妨 げ る 要 因 に 患 者 ・ TH 間 の 目標 の 不 一 致 が 挙 げ ら れ
て い る 27)こ と は , 本 結 果 が 外 的 妥 当 性 を 有 す る こ と を 示 し て い る 。 し か し ,
両 者 の 目 標 共 有 が 不 可 欠 な リ ハ 医 療 に お い て 本 結 果 が 得 ら れ た こ と は , TH
が患者中心の目標設定を再考する必要性を示唆している。
自 身 が 障 害 当 事 者 で あ る 谷 口 は ,支 援 者 に 求 め ら れ る 当 事 者 の ニ ー ズ 探究
プ ロ セ ス と し て , 次 の 5 つ を 挙 げ て い る 1 1 0) 。 第 1 は , デ マ ン ド の 明 確 化で
あ り,何 を 求 め て い る か が 不 明 で 意 見 の 表 出 を た め ら う 当 事 者 に は,積 極 的
な 傾 聴 に 努 め ,ピ ア カ ウ ン セ リ ン グ を 基 本 と し た 人 間 的 ア プ ロ ー チ が 求 めら
れ る 。第 2 は,フ ェ ル ト( Felt)ニ ー ド の 構 成 で あ り ,当 事 者 の デ マ ン ド を
具 体 化( 時 間 ,空 間 ,主 体 ,方 法,技 術 な ど)す る 中 で ,自 身 の ニ ー ズ を 再
確 認 さ せ て い く 段 階 で あ る 。 第 3 は , ノ ー マ テ ィ ブ ( Normative) ニ ー ド の
提 示 で あ り,支 援 者 が 当 事 者 の フ ェ ル ト ニ ー ド の 妥 当 性 に 応 じ て,専 門 的 見
地 か ら 規 準 的 な 提 案 を 行 う 段 階 で あ る 。第 4 は ,リ ア ル( Real)ニ ー ド の 混
沌 で あ り ,当 事 者 の フ ェ ル ト ニ ー ド と 支 援 者 の ノ ー マ テ ィ ブ ニ ー ド が 混 ざ り,
新 し い ニ ー ド へ と 転 換 さ れ る 段 階 で ,時 間 を か け た 双 方 の 納 得 が 大 切 と され
る 。最 後に ,リ ア ル ニ ー ド の 決 定 で あ り ,双 方 の納 得 を 経 た リ ア ル ニ ー ド を
41
明確に表出することで,当事者の自己実現が形成される。
上 記 の ニ ー ズ 探 究 プ ロ セ ス は , リ ハ 医 療 に お け る 患 者 と TH の 目 標 共 有に
も 共 通 し , 質 の 高 い 患 者 中 心 の 医 療 を 目 指 す TH に 希 求 さ れ る 支 援 の 在 り方
といえる。
2.2 入 退 院 時 の 一 致 ・ 不 一 致 目 標 の 特 徴
入 院 時 の 主 な 一 致 目 標 は,運 動・移 動 や 仕 事 を 含 む 主 要 な 生 活 領 域 で あり
( 図 4), こ れ ら は 心 身 機 能 障 害 に 伴 う 遂 行 制 限 が 顕 著 に 反 映 さ れ る 活 動 で
あることから,患者がデマンドとして明確化しやすいと推察される。また,
退 院 時 の 主 な 一 致 目 標 は , 家 庭 生 活 や 対 人 関 係 で あ り ( 図 5), こ れ ら は 患
者 の 家 庭 内 役 割 や 地 域 社 会 交 流 を 表 す 活 動 で あ る こ と か ら ,直 近 の 退 院 後生
活 を 見 据 え た 上 で 両 者 が リ ア ル ニ ード 1 10 ) と し て決 定 し た と い え る 。
一 方,入 院 時 の 主 な 不 一 致 目 標 は ,セ ル フ ケ ア や 余 暇 活 動 な ど の コ ミ ュ ニ
テ ィ ラ イ フ で あ り ( 図 4), 退 院 時 で は 日 課 管 理 や ス ト レ ス 対 処 で あ る 一 般
的 な 課 題 と 要 求 , お よ び コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン な ど で あ っ た ( 図 5)。 こ れ ら
は TH が 目 標 と し て 優 先 順 位 を 低 く 見 積 も る 傾 向 に あ る 活 動 と い え , と りわ
け 作 業 療 法 目標 3 ) に 関 連 す る 活 動 が 挙 が っ た 。TH は 専 門 的 見 地 か ら ノ ー マテ
ィ ブ ニ ー ド 11 0 ) を 患 者 に 提 示 し , 患 者 の デ マ ン ド と す り 合 わ せ る 必 要 が ある
だ け に , 特に OT に お い て 本 結 果 に 留 意 し た 目 標 設 定 が 求 め ら れ る 。
2.3 退 院 時 の 目 標 一 致 度 と 退 院 後の HR-QOL と の 関 係
TH と 目 標 共有 が 高 い 患 者 は , 退 院 時 に 比 べ 退 院 後 3 カ 月 で , 仕 事 や 家 事
な ど の 役 割 に 対 す る 身 体 的 支 障 や,家 族 や 友 人 な ど と の 対 人 交 流 の 制 限,生
活 に お け る 不 安 な ど の 心 理 的 問 題 が 軽 減 し て い た (図 6-8)。 ま た , 目 標 一
致 度 と 退 院 後 の HR-QOL と の 関 係 に 有 意 な 交 互 作 用 は 得 ら れ な か っ た も の の ,
TH と 目 標 共有 が 高 い 患 者 と 低 い 患 者 の 役 割 に 対 す る 身 体 的 支 障 に 関 す る 退
院 後 の 変 化 パ タ ー ン が 異 な る 傾 向 に あ っ た( 図 6,表 14)。更 に , TH と 目標
共 有 が 高 い 患 者 は ,そ れ が 低 い 患 者 よ り 退 院 後 3 カ 月 に は 心 理 的 安 定 が 図ら
れ る 傾 向 に あ っ た ( 図 8)。 こ れは , TH が 患 者 と 目 標 を 共 有 し , 生 活 機 能 お
よ び HR-QOL の 向 上 に 対 し て , よ り 積 極 的 か つ 効 果 的 に 介 入 す る 必 要 性 を 示
唆 し て い る。患 者 と 医 療 者 の 目 標 が 共 有 さ れ な い 理 由 に は,症 状 に 焦 点 化 さ
れ す ぎ て い る こ と や 全 て の 患 者 に 同 じ 目 標 が 設 定 さ れ て い る こ と 26) が 指 摘
さ れ ,目 標 設 定 に 参 加 で き て い な い と 認 識 す る 患 者 2 8, 3 2) も 少 な く な い 。ま た,
維 持 期 の 脳 卒 中 患 者 を 対 象 と し た 研 究 で は , 患 者 ・TH 間 の 目 標 不 一 致 は 患
者 の 生 活 意 欲 低 下 に 影 響 す る 8 7) こ と や ,両 者 の 目 標 共 有 が 図 ら れ る 方 法( カ
ー ド を 用 い た 共 有 型 目 標 設 定 法 や 人 間 作 業 モ デ ル な ど )に よ る 介 入 は 患 者の
生 活 に 満 足 感 や 健 康 感 を 与 え る こと 7 5, 1 11 ) が 示 され て い る 。 更 に , 変 形 性 股
関 節 症 患 者 の 生 活 機 能 の 向 上 に は ,COPM を 用 い た 患 者 ・ TH 間 の 目 標 共 有 や
HR-QOL 測 定を 通 し た 患 者 の 健 康 感 の 把 握 1 1 2) が 求 め ら れ て い る 。
こ の こ と か ら , 患 者 の 自 己 決 定 を 尊 重 し た TH の 関 わ り が , 患 者 の 心 理 要
42
因 を 良 好 に 保 つ 上 で 不 可 欠 と い え ,TH は 患 者 に と っ て 意 味 の あ る 活 動 を 正
確 に 把 握 し , そ れ に 基 づ い た 介 入 が 生 活 機 能 お よ び HR-QOL の 維 持 ・ 向 上 に
寄与すると推察される。
第5節
小括
リハ病院に入院する成人患者の目標の実態を,退院時の目標達成度や患
者 ・TH 間 の 目 標 一 致 度 な ら びに HR-QOL の 退 院 後 追 跡 調 査 か ら 検 証 し た 。そ
の 結 果 ,1)入 院 中 の 目 標 達 成 度 は約 75% で あ る の に 対 し ,患 者・TH 間 の 目
標 一 致 度 は 約 24% に 留 ま っ た こ と , 2) 入 院 中 の 目 標 が 達 成 さ れ た 患 者 は ,
身 体 的 な 健 康 感 が 高 く ,体 を 使 う 日 常 活 動 を 支 障 な く 行 え る と 感 じ て 退 院す
る こ と や ,退 院後 3 カ 月 に は 仕 事 や 家 事 な ど の 自 身 の 役 割 に 対 す る 身 体 的な
支 障 を 感 じ な く な る 傾 向 に あ る こ と ,3)TH と目 標 共 有 が 高 い 患 者 は , 退 院
時 に 比 べ 退 院後 3 カ 月 で 役 割 に 対 す る 身 体 的 支 障 や ,家 族 や 友 人 な ど と の対
人 交 流 の 制 限,生 活 に お け る 不 安 な ど の 心 理 的 問 題 が 軽 減 す る こ と,が 示 さ
れた。
対 象 施 設 が リ ハ 医 療 の 中 核 病 院 で あ る こ と や ,結 果 が 先 行 研 究 と 関 連 して
い る 点 は,本 研 究 が 外 的 妥 当 性 を 有 す る こ と を 示 唆 し て い る 。ま た,本 邦 に
おけるリハ病院成人患者の目標の実態を明らかにできたことは,患者の
Well-Being を 可 能 化 さ せ る 目 標 達 成 お よ び 患 者 ・ TH 間 の 目 標 共 有 の 必 要 性
を示す。
臨 床 実 践 に お い て は ,目 標 の 未 達 成 や 両 者 の 不 一 致 が 患 者 の 健 康 感 に 影響
す る た め , 本 研 究 は TH が 患 者 中 心 の 目 標 設 定 を 介 入 中 に 再 考 す る 可 能 性 を
示 す 。患 者 に と っ て 設 定 さ れ た 目 標 が 達 成 さ れ る か 否 か は 退 院 後 の 生 活 を見
据 え る 上 で 重 要 な 関 心 事 で あ る こ と か ら ,TH は 患 者 の HR-QOL の 向 上 を 目 指
す べ く,入 院 中 の 目 標 達 成 予 測 を 随 時 チ ェ ッ ク す る こ と に よ り,効 果 的 介 入
が 可 能 と な る 。 ま た , TH は 患 者の デ マ ン ド を 尊 重 し つ つ 専 門 的 見 地 か ら 規
準的な提案を行い,両者の目標共有を目指すことが可能となる。
43
第 3 章 第 2 研究
リ ハ 病 院 成 人 患 者 ・ TH 間 に お ける 目 標 共 有 の リ ハ 効 果
第1節
目的
カ ー ド を 用 い た 共 有 型 目 標 設 定 法( 以 下 ,共 有型 )と 通 常 の 半 構 造 的 面 接
に よ る 目 標 設 定 方 法( 以 下 ,通 常 型 )と の 比 較 か ら ,リ ハ 病 院 に お け る 成 人
患 者 と TH が 目 標 を 共 有 す る こ と に よ る リ ハ 効 果 に つ い て 検 討 す る 。
第2節
方法
第 1 項 対象と割付け
2011 年 4 月 か ら 2013 年 3 月 ま で に A 病 院 に 入 院 し た 成 人 患 者 の 内 , 同 意
の 得 ら れ た 19 名 と 9 名 の 担 当 OT で あ っ た 。 対 象 者 の 基 本 属 性 を 表 15 に 示
した。なお,研究同意には書面による説明の上,自署を得た。
対 象 患 者 は,サ イ コ ロ を 用 い て 共 有 型 か 通 常 型 の 2 群( そ れ ぞ れ 共 有 型 群
と 通 常 型 群 ) に 割 付 け ら れ た 1 13 ) 。
表 15
対 象者 の 基 本 属 性
共 有 型 (N=8)
通 常 型 (N=11)
P
61.6±14.9
57.9±16.3
NS
男性
5 名 (62.5)
10 名 (90.9)
NS
女性
3 名 (37.5)
1 名 ( 9.1)
脳血管疾患
6 名 (75.0)
6 名 (54.5)
脊髄疾患
0 名 ( 0.0)
1 名 ( 9.1)
骨・関節疾患
2 名 (25.0)
4 名 (36.3)
年齢
(歳 )
性別
疾患
NS
入院期間
(日 )
112.0±27.0
124.5±41.2
NS
FIM
(点 )
95.1±16.5
99.2±17.2
NS
TH 経 験 年 数 (年 目 )
5.9± 3.6
4.5± 2.9
NS
性 別 と 疾 患 は χ 2 検 定 , そ の 他 は T 検 定 , NS: not significant
()内 は % , mean±SD
44
第 2 項 介入
共有型群には共有型で設定された目標への介入が行われた。共有型はカー
ド を 取 捨 し て 目 標 選 択 を 図 る 方 法 で あ り ,研 究 者 が 先 行 研 究 74 , 75 ) よ り 一 部変
更 し て 実 施 し た ( 図 9) 。 共 有 型 で は , ま ず ICF の 「 活 動 と 参 加 」 か ら 抽 出
さ れ た 34 項 目 ( 表 4) の そ れ ぞ れ が 記 載 さ れ た カ ー ド ( 縦 65mm×横 105mm)
を患者に手渡す。次に,患者自身が目標を選択するために,患者は手渡され
た カ ー ド に 記 載 さ れ た 各 項 目 の 重 要 度 と 遂 行 度 を 自 ら 判 定 し ,「 重 要 で あ る 」
が「できていない」項目をリハ目標として絞り込む。更に,未選択の項目や
当 初 の 34 項 目 以 外 で「 で き る よ う にな り た い 」目 標 を 追加 す る 。最 後 に,患
者 は 目 標 と し た い 上 位 3 項 目 を 選 択 し ,TH と 相 談 しな が ら 目 標 を 決 定 す る プ
ロセスを辿る。所要時間は,患者の現状認識や会話の疎通性の程度によって
異 な る も の の,カ ー ド に よ る 選 択が 5 分 程 度 ,TH と の 相 談 に よ る 目 標 決 定 が
10-15 分 程 度 , 計 15-20 分 程 度 で あ っ た 。 本 法 で 設 定 さ れ た 目 標 は 主 に , 更
衣や排泄などのセルフケア,料理や買い物などの家庭生活,ならびに仕事で
あ り , 担 当 OT に よ っ て 課 題 に 対 す る 実 用 的 な 遂 行 練 習 等 が な さ れ た 。
一 方 ,通 常 型 群に は 通 常 の 方 法 ,即ち 担 当 OT が 患 者 の デ マ ン ド を 半 構 造 的
もしくは非構造的な面接で聴取し,作成したリハ実施計画書の説明と同意を
経て設定された目標への介入が行われた。当該群の目標は主に,手の使用や
歩 行 ,自 動車 運 転 な ど の 運 動 /移 動 で ,身 体 機 能 の 改 善 に 関 す る 練 習 等 が 実 施
された。
両 群 へ の 介 入 は , 約 3 ヶ 月 間 (週 5 回 , 60 分 程 度) に 渡 っ て な さ れ た 。
45
ICF の 「 活 動 と 参 加 」 か ら 抽 出 さ れ た リ ハ 目 標 34 項 目
【学習と知識の応用】
注視,読み書き,意思決定
(3)
【 一 般 的 な 課 題 と 要 求 】 課 題 遂 行 ,日 課 管 理 ,ス ト レ ス 対 処 な ど
(4)
【コミュニケーション】 理解,表出,電話やパソコン利用
(3)
【 運 動 /移 動 】
起居,手の使用,歩行,車の運転など
(7)
【セルフケア】
入浴,排泄,整容,飲食,更衣など
(7)
【家庭生活】
買い物,料理,掃除,裁縫など
(5)
【対人関係】
感 情 コ ン ト ロ ー ル ,家 族 や 友 人 と の 関 係
(2)
就学,仕事,金銭管理
(3)
【主要な生活領域】
【コミュニティライフ】 社会交流,余暇活動,宗教的活動など
(5)
1)
重要である
重要でない
2)
できていない
できている
3)
未選択項目や上記項目以外の目標
4)
患者が重要視する上位 3 項目
5)
両者が共有したリハ目標 3 項目
図9
共有型目標設定法
(
)内は項目数
注 : 1) 患 者 に よ る 重 要 度 の 選 択
2) 患 者 に よ る 遂 行 度 の 選 択
3) 患 者 に よ る 追 加
4) 患 者 に よ る 選 定
5) TH に よ る 医 学 的 根 拠 を 基 に し た 助 言 と 両 者 の 相 談 に よ る 決 定
46
第 3 項 測定尺度
効 果 判 定 尺 度 に は 目 標 達 成 度と FIM( Functional Independence Measure;
機能的自立度評価表)を用いた。
目 標 達 成 度 は ,Goal Attainment Scaling(GAS) 8 3) に 準 じ て 測 定 し た 。GAS
は 前 述 の 通 り,身 体 障 害 患 者 の 目 標 設 定 方 法 と し て 信 頼 性,妥 当 性 ,感 度 を
有 し て お り 3 9) ,介 入 後 に 予 測 さ れ る 結 果 の 程 度 に つ いて 5 段 階 で 設 定 す る方
法 で あ る。本 研 究 で は ,共 有型 群 に は 共 有 型 の 実 施 後 ,通 常 型 群 に は 計 画 書
作 成 後 に , 担当 OT が 退 院 ま で の 目 標 到 達 予 測 を 5 段 階 で 設 定 し た 。 そ の 達
成 度 は 患 者 が 退 院 時 に 回 答 し た 。 設 定 さ れ た 各 目 標 の 到 達 予 測 は,「 1~ 5」
の 5 段 階 で 構 成 さ れ ,「 1」 を 「 入 院 時 の 患 者 の 状 況」,「2」 を 「 予 測 よ り 低
い 目 標」,「 3」 を 「 予 測 さ れ た 退 院 ま で の 目 標 」 と し,「 4-5」 を 「 予 測 よ り
高 い 目 標 」と し た( 表 3)。す な わ ち , 退 院 時 の 患 者 の 状 況 が 予 測 さ れ た 目
標 「 3」, も し く は そ れ 以 上 「4-5」 に 達 し て い れ ば 「 達 成 」 と な り , 入 院 時
の 状 況 の ま ま 「1」, も し く は 予 測 よ り 低 い 段 階 「2」 で あ れ ば 「 未 達 成 」 と
解釈するスケールである。
FIM は , 13 運 動 項 目 と 5 認 知 項 目 の計 18 項 目 に つ い て , 実 際 に し て い る
状 況 を 7 段 階 で 評 価 す る 。 点 数 幅は 18-126 点 で 得 点 が 高 い ほ ど ADL 自 立 度
が 高 い 1 1 4) 。 介 入 前 の FIM は , 共 有 型 群 に は 共 有 型 の 実 施 時 , 通 常 型 群 に は
計 画 書 作 成 時 に,そ れ ぞ れ の 直 近 の 測 定 値 を 診 療 録 か ら 得 た 。ま た,介 入 後
の FIM は ,退 院 時 の 測 定 値 を 診 療 録 か ら 得 た 。効果 判 定 に は ,介 入 後か ら 前
を差し引いた介入前後変化を用いた。
第 4 項 分析
基 本 属 性 の 検 定 に は χ 2 検 定と Mann-Whitney 検 定を 用 い た 。ま た ,介 入 効
果 判 定 に は Mann-Whitney 検 定 を 用 い た 。 い ず れ も SPSS Statistics 19 を 用
い , 危 険 率 5% 未 満 を 有 意 差 あ り , 10% 未 満 を 有 意 な 傾 向 あ り と し た 。
47
第3節
結果
目 標 達 成 度 に お い て ,共 有型 は 通 常 型 よ り 有 意( P=.026)に 高 く 目 標 が 達
成 さ れ た ( 図 10) 。 ま た FIM の 合 計 得 点 と 運 動 項 目 で は , 共 有 型 は 通 常 型
よ り 介 入 後 に 良 好 な 変 化 が 得 ら れ る 傾 向 ( そ れ ぞ れ P=.091;P=.075) に あ
っ た ( 図 11, 12) 。 認 知 項 目 には 2 群 間 差 は み ら れ な か っ た 。
(
段 5
階
P=.026
)
4
目 3
標
達
成
2
度
1
0
図 10
共有型
通常型
2 群における介入後の目標達成度
Mann-Whitney 検 定
48
(
P=.091
点
)
40
FIM(合 計 )変 化
25
10
-5
図 11
共有型
通常型
2 群 に お け る FIM 合 計 の 介 入 前 後 変 化
Mann-Whitney 検 定
(
P=.075
点
)
FIM(下 位 項 目 )変 化
P=.778
40
25
10
-5
共有型
通常型
運動
図 12
共有型
通常型
認知
2 群 に お け る FIM 下 位 項 目 の 介 入 前 後 変 化
Mann-Whitney 検 定
49
第4節
考察
第 1 項 共有型と通常型の比較検討
今 回 , カ ー ド を 用 い て リ ハ 病 院 成 人 入 院 患 者 と TH の 目 標 共 有 を 図 る 共 有
型 は ,通 常 型 よ り 目 標 が 達 成 さ れ ,ADL 自 立 度 の 向 上 が 促 さ れ る こ と が ,RCT
デザインで示された。
こ の 目 標 達 成と ADL 自 立 度 の 結 果 に は , 患 者 ・TH 間の 目 標 共 有 と 患 者 の
リ ハ に 臨 む 意 欲 と の 関 連 が 推 察 さ れ る 。維 持 期 の 脳 卒 中 患 者 を 対 象 と し た研
究 で は , 患 者 ・ TH 間 の 目 標 不 一 致 は 患 者 の 生 活 意 欲 低 下 に 影 響 す る 8 7) こ と
や ,両 者 の 目 標 共 有 が 図 ら れ る 方 法 を 用 い た 介 入 は 患 者 の 生 活 に 満 足 感 を与
え る こ と 7 5) が 示 さ れ て お り , 患 者 の 自 己 決 定 を 尊 重 した TH の 関 わ り が , 患
者 の 心 理 要 因 を 良 好 に 保 つ 上 で 不 可 欠 と い え る。他 方 ,目 標 達 成 に は 患 者の
リ ハ に 臨 む 意 欲 や 動 機 付 け が 必 要 で あ り 2 1 ,1 1 5) , 患 者 の 行 動 変 容 を 促 す 心 理
学 的 理 論 の 一 つ と し て 挙 げ ら れ て いる health action process approach 1 15 )
では,患者の意思決定や意欲が目標達成を導くとされる。つまり,患者と
TH の 目 標 共有 が , 患 者 の リ ハ に 臨 む 意 欲 を 高 め , 結 果 的 に 目 標 達 成 や ADL
自立度の向上が得られたと考えられる。
通 常 型 は 既 述 の 如 く , 担 当 OT が 患 者 と の 半 構 造 的 も し く は 非 構 造 的 な 面
接 を 通 し て デ マ ン ド を 聴 取 し ,リ ハ 実 施 計 画 書 の 作 成 を 基 に し た 説 明 と 同意
を 経 て ,患 者 と の 目 標 共 有 を 図 っ た 。し か し ,結果 と し て 目 標 達 成 に 及 び 難
か っ た こ と は ,TH が 患 者 と の 会 話 を 主 体 と し て デ マ ン ド を 聴 取 し , 協 業 を
図 る プ ロ セ ス に 課 題 が あ る こ と を 示 し て い る 。患 者 は 十 分 に 理 解 す る こ とな
く 計 画 書 に サ イ ン を 行 い 医 療 者 任 せ の 治 療 を 受 け て いる 7 8) と の 指 摘 が あ る
こ と か ら , 通 常 型 は , TH が 患 者と 目 標 を 共 有 で き る 方 法 と は 断 定 し 難 い こ
とが確認された。
共 有 型 と 同 様 に 患 者 の 意 思 を 尊 重 し た 目 標 設 定 方 法 に よ っ て ,患 者 の ADL
自 立 度 向 上 が 図 ら れ る 介 入 に 目 標 指 向 的 ア プ ロ ー チ 35) や 生 活 行 為 向 上 マ ネ
ジ メ ン ト 6 4 ) が あ る 。 目 標 指 向 的 ア プ ロ ー チ 3 5 ,3 6 ) で は , ま ず 患 者 と の 対 話 を
通 し て ,各 職 種 が 患 者 の 心 身 機 能 や 活 動 レ ベ ル の 予 後 予 測 か ら 個 々 の 専 門的
な 目 標 設 定 を 行 う 。そ し て ,医 療 者 チ ー ム に よ る 計 画 書 作 成 7 6 ) や カン フ ァ レ
ン ス を 通 し て ,複 数 の 達 成 可 能 な 参 加 レ ベ ル の 主 目 標 を チ ー ム と し て 構 想 し,
医 師 等 の 計 画 書 の 説 明 の 際 に 患 者 の 選 択 を 促 す 。入 院 脳 卒 中 患 者 100 名 を対
象 と し た 目 標 指 向 的 ア プ ロ ー チ 3 5) は ,訓 練 室 運 動 中 心 ア プ ロ ー チ よ り も 有意
に退院時の歩行自立度が高く,入院期間が短かったことが報告されている。
こ の 過 程 に よ っ て 患 者 の 自 己 決 定 権 は 尊 重 さ れ ,医 療 者 チ ー ム と の 目 標 共有
が 促 進 さ れ る 。生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト 9 6 ,9 7 ) によ る 患 者 の デ マ ン ド の 聴 取
で は ,興味・関 心 チ ェ ッ ク シ ー ト が 用 い ら れ ,家事 や 余 暇 活 動 等 の 項 目 か ら
患者が興味の高い活動を選択する。医療者は患者が選択した活動について,
遂 行 が 困 難 な 要 因 を ICF の 観 点 か ら 分 析 し ,達 成 可 能 な 目 標 を 患 者 と 共 に設
定 す る 。 介 護 老 人 保 健 施 設 入 所者 93 名 を 対 象 に OT が 本 法 を 用 い た 研究 6 4)
50
で は ,介 入 群 は 対 象 群 よ り も 有 意に ADL 自 立 度 が 高 か っ た と 報 告 さ れ て い る。
こ の こ と か ら,共 有 型 に よ る 患 者 の 意 思 を 尊 重 し た 関 わ り は ,通 常 型 よ り 患
者 の デ マ ン ド を よ り 顕 在 化 さ せ ,生 活 機 能 を よ り 効 果 的 に 向 上 さ せ う る 方法
であることを示唆している。
第 2 項 共有型の特徴
共有型の特徴は以下の 4 点にある。第 1 は,リハ目標の 1 項目ごとに患者
自 身 が 重 要 度 と 遂 行 度 を 判 定 す る こ と , 第 2 は , そ の 判 定 に カ ー ド を 用 いて
患 者 が 自 ら 選 択 し た 目 標 と TH の 専 門 的 知 見 を 統 合 さ せ ら れ る こ と , 第 3 は,
所 要 時 間 が 15-20 分 程 度 で あ る こ と , 第 4 は , リ ハ 病 院 成 人 入 院 患 者 に 対 す
る 介 入 効 果が RCT デ ザ イ ン で 示 さ れ た こ と , で あ る 。
リ ハ 医 療 に お け る 患 者 と OT の 目 標 共 有 に 広 く 用 い ら れ て い る COPM 1 16 ) は ,
患 者 と の 協 業 を 重 視 し た 面 接 技 術 が 求 め ら れ , 面 接 に 要 す る 時 間 は 30-40 分
程 度 と さ れ る。患 者 と TH の 協 業 に は ,課 題 解 決 を 共 に 行 う こ と が 重 要 と さ れ
11 7 )
, 作 業 を 通 し た 共 有 体 験 は 相 互 の 心 理 的 距 離 を 持 ち や す い 1 1 8) と さ れ て い
る こ と か ら,共 有 型 の カ ー ド を 用 い て 患 者 が 目 標 決 定 す る プ ロ セ ス は,TH の
高い面接技術を必ずしも条件とすることなく両者の協業が促進される方法と
推察される。また,共有型は既存の方法に比べてより短時間で実施できるこ
とから,臨床上の高い業務効率性が考えられる。
同 様 に , iPad を 用 い た 絵 カ ー ド の 取 捨 を 通 し て 両 者 の 目 標 共 有 を 図 る
ADOC 73 ) は , 対 照 群 と の 比 較 に お け る 効 果 の 検 討 が 期 待 さ れ て い る 。 本 研 究 に
おいて,対象患者の基本属性に限定なく,無作為化比較試験によってリハ効
果 が 得 ら れ た こ と は ,共 有 型 が リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者 と TH の 目 標 共 有 を
より効果的に高める方法であることを示唆している。
加 え て 共 有 型 は,患 者 の エ ン パ ワ メ ン ト が 促 さ れ る 機 会 で あ る と も い え る。
元 気 に な る こ と の 意 で あ る エ ン パ ワ メ ン ト の 原 則 1 19 ) に は ,目 標 を 患 者 が 選択
することや,主導権と決定権を患者が持つこと,問題点と解決策を患者が考
え る こ と な ど が 挙 げ ら れ て お り ,患 者 の 自 己 決 定 は Well-Being に 直 結 す る 概
念として捉えられる。加えて,医療者に求められる患者のニーズ探究プロセ
ス 1 1 0) に は ,積 極 的 な 傾 聴 や ピ ア カ ウ ン セ リ ン グ を 基 本 と し た デ マ ン ド の 明確
化や,患者がデマンドを再確認するフェルトニードの構成が求められ,共有
型のカードを用いる目標選択はこの再確認を促す機会といえる。他には,医
療者が患者のフェルトニードの妥当性に応じて専門的見地から規準的な提案
を行うノーマティブニードの提示や,双方の納得を経たリアルニードの創出
が 患 者 の 自 己 実 現 を 形 成 す る 11 0 ) と さ れ , 共 有 型 の カ ー ド 選 択 や TH に よ る 医
学的根拠を基にした助言,および両者の相談による決定は,意思決定の共有
を 目 指 す TH に 希 求 さ れ る 支 援 の 在 り 方 と い え る 。
以 上 よ り , 共 有 型 に よ る 患 者 が 主 体 的 に 目 標 選 択 を 図 る 工 程 は , 患 者 のエ
ン パ ワ メ ン トや Well-Being に 寄 与 し う る こ と が 推 察 さ れ,共 有 型 は リ ハ 医 療
に お け る 患 者と TH の 目 標 共 有 を 高 め る 方 法 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。
51
第5節
小括
リ ハ 病 院 に 入 院 す る 成 人 患 者 と TH の 目 標 共 有 を 高 め る べ く 開 発 さ れ た 共
有 型 の 介 入 効 果 を , 通 常 型 と 無 作 為 比 較 し た 結 果 , 患 者 ・TH 間 の 目 標 共 有
は 患 者 の 目 標 達 成 や ADL 自 立 度 に 影 響 す る こ と が 明 ら か と な り ,両 者 の 協業
に よ っ て な さ れ る 目 標 設 定 の 必 要 性 が 推 察 さ れ た 。 共 有 型 の 特 徴 は , 1) リ
ハ 目 標 の 1 項 目 ご と に 患 者 自 身 が 重 要 度 と 遂 行 度 を 判 定 す る こ と ,2) そ の
判 定 に カ ー ド を 用 い て 患 者 が 自 ら 選 択 し た 目 標 と TH の 専 門 的 知 見 を 統 合 さ
せ ら れ る こ と ,3)所 要 時 間 が 15-20 分 程 度 で あ る こ と ,4)リ ハ 病 院 成 人 入
院 患 者 に 対 す る 介 入 効 果 が 適 用 疾 患 の 限 定 な く ,よ り 質 の 高 い 研 究 デ ザ イン
で 示 さ れ た こ と,が 挙 げ ら れ た 。こ れ は 当 該 領 域 に お け る 既 存 の 方 法 に 比 べ,
共 有 型 が よ り 効 果 的 に 患 者 ・ TH 間 の 目 標 共 有 を 実 現 さ せ る と 共 に , 患 者 の
エンパワメントを促す方法であることを示す。
以 上 よ り,カ ー ド を 用 い て 患 者 が 目 標 選 択 を 図 る 共 有 型 は ,リ ハ 医 療 に お
け る 患 者 と TH の 目 標 共 有 を 高 め る と 共 に ,患 者 の Well-Being に 寄 与 する 効
果的な目標設定方法であることが示唆された。
52
総
括
入 院 リ ハ に お け る 質 の 高 い 医 療 や 患 者 の 地 域 生 活 に お ける Well-Being を
希 求 す る TH の 態 度 が 社 会 的 に 求 め ら れ て い る 昨 今 , リ ハ 病 院 に お け る 成 人
患 者 と TH 間 の 目 標 共 有 の 課 題 に は , 入 院 時 に 設 定 さ れ た 目 標 が 退 院 ま で に
十 分 に 達 成 さ れ て い な い こ と や , 患 者 と TH の 協 業 に よ っ て 為 さ れ る 目 標 設
定 の 不 十 分 さ が あ る 。現 在 ,両 者 の 目 標 共 有 を 高 め る 目 標 設 定 方 法 に は ,1)
会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的 面 接 , 2) 医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て
い る 半 構 造 的 面 接 ,3)質 問 紙 を用 い た 患 者 の 目 標 選 択 ,4)絵 カ ー ド 等 の 取
捨 を 通 し た 患 者 の 目 標 選 択 ,が あ り ,各 々 は 患 者 の デ マ ン ド を 顕 在 化 さ せる
目 標 共 有 プ ロ セ ス や ,対 象 患者 の 適 用 疾 患 ,活 用す る 医 療 者 の 専 門 性,研 究
デザインの質的評価において多様な特徴を有している。
し か し , リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者と TH 間 の 目 標 を 効 果 的 に 共 有 で き る
方 法 は 未 だ 十 分 に 確 立 さ れ て い る と は 言 え ず ,両 者 の 目 標 共 有 が 患 者 の 退院
時 の リ ハ 効 果 や 退 院 後 の HR-QOL に 与 え る 影 響 は , 国 内 外 に お い て 明 か に さ
れていない。
そ こ で 本 研 究 の 目 的 は , リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者と TH 間 の 目 標 共 有 が
リ ハ 効 果 に い か な る 影 響 を 及 ぼ す か を 明 ら か に す る こ と と し ,第 1 研 究 で は,
リ ハ 病 院 成 人 入 院 患 者 の 目 標 の 実 態 を , 退 院 時 の 目 標 達 成 度 や 患 者 ・ TH 間
の 目 標 一 致 度 な ら び に HR-QOL の 退 院 後 追 跡 調 査 か ら 検 証 し た 。 第 2 研 究 で
は ,当 該 患 者 と TH が 目 標 を 共 有 す る こ と に よ る リ ハ 効 果 に つ い て 検 討 し た。
本 研 究 は 2 つ の 研 究 で 構 成 さ れ,第 1 研 究 で は,茨 城 県 の リ ハ 医 療 の 中 核
施 設 で あ る A 病 院 の 成 人 患 者 と 担当 OT, PT を 対 象に , 入 退 院 時 や 退 院後 1
お よ び 3 ヶ 月 に おい て ,患 者 の 目 標 達 成 度 や 患 者・TH 間 の 目 標 一 致 度 ,HR-QOL
に 関 す る 質 問 紙 調 査 を 実 施 し た 。第 2 研 究 で は ,カ ー ド を 用 い て ,患者 に と
っ て 重 要 で あ る が で き て い な い 活 動 を OT と 共 有 で き る 目 標 設 定 方 法 ( 共 有
型 )の 介入 効 果 を ,目 標 達 成 度や ADL 自 立 度 か ら 通 常 の 目 標 設 定 方 法( 通 常
型 ) と 無 作 為 比 較 し た 。 共 有 型 と 通 常 型 の 対 象 患 者 は , そ れ ぞ れ 8 名 と 11
名であった。
第 1 研 究 の 結 果 ,1)入 院 中 の 目 標 達 成 度 は 約 75% で あ る の に 対 し ,患 者・
TH 間 の 目 標一 致 度 は 約 24% に留 ま っ た こ と,2)入 院 中 の 目 標 が 達 成 さ れ た
患 者 は,身 体 的 な 健 康 感 が 高 く,体 を 使 う 日 常 活 動 を 支 障 な く 行 え る と 感 じ
て 退 院 す る こ と や ,退 院 後 3 カ 月 に は 仕 事 や 家 事 な ど の 自 身 の 役 割 に 対 する
身 体 的 な 支 障 を 感 じ な く な る 傾 向 に あ る こ と ,3)TH と 目 標 共 有 が 高 い 患者
は ,退 院 時 に 比 べ 退 院 後 3 カ 月 で 役 割 に 対 す る 身 体 的 支 障 や ,家 族 や 友 人 な
ど と の 対 人 交 流 の 制 限 ,生 活 に お け る 不 安 な ど の 心 理 的 問 題 が 軽 減 す る こ と,
が示された。
第 2 研 究 の 結 果 ,共 有 型 は 通 常 型 よ り 退 院 時 に 目 標 が 達 成 さ れ ,ADL 自立
度 が 向 上 す る こ と が 示 さ れ た 。 ま た 共 有 型 の 特 徴 は , 1) リ ハ 目 標 の 1 項 目
53
ご と に 患 者 自 身 が 重 要 度 と 遂 行 度 を 判 定 す る こ と ,2) そ の 判 定 に カ ー ド を
用 い て 患 者 が 自 ら 選 択 し た 目 標と TH の 専 門 的 知 見 を 統 合 さ せ ら れ る こ と ,
3)所 要 時 間 が 15-20 分 程 度 で あ る こ と ,4)リ ハ 病 院 成 人 入 院 患 者 に 対 する
介 入 効 果 が 適 用 疾 患 の 限 定 な く ,よ り 質 の 高 い 研 究 デ ザ イ ン で 示 さ れ た こ と,
が挙げられた。
以 上 よ り ,本 研 究 の 意 義 は 次 の 2 点 に あ る 。第 1 は,リ ハ 病 院 に お け る 成
人 患 者 の 目 標 達 成 度 や 患 者・TH 間 の 目 標 一 致 度 は 患 者 の 退 院 後 の HR-QOL に
影 響 す る こ と が 明 ら か に さ れ た こ と,第 2 は ,カ ー ドを 用 い て 患 者 に と っ て
意 味 の あ る 活 動を TH と 共 有 で き る 目 標 設 定 方 法 を 通 し て , 介 入 効 果 が 国 内
外において初めて明らかにされたこと,である。
リハ医療の中核病院である対象施設に入院する成人患者の目標達成度や
患 者 ・TH 間 の 目 標 一 致 度 の 実 態 は , 対 象 患 者 の 年 齢 , 性 別 , 疾 患 等 の 基 本
属 性 や ,調 査 内 容 が 類 似 す る 先 行 研 究 と の 関 連 性 か ら 外 的 妥 当 性 を 有 す るこ
と が 推 察 さ れ る。目 標 達 成 度 に お い て は ,回 復 期 リ ハ 病 棟 に 入 院 す る 脳 卒 中
や運動器疾患等を呈する患者の退院時の目標的中率が本研究と同等の 6 割
-8 割 と さ れ て い る 19 ,1 0 4) こ と や ,未達 成 目 標 の 予 後 予 測 に は 難 渋 す る 18 , 10 5 ,1 0 6)
こ と ,患 者 の 健 康 感 や 自 己 効 力 感 と 関 係 す る 1 7 ,1 0 7 ) こ と が 報 告 さ れ て い る の
に 加 え て,目 標 一 致 度 に お い て は,患 者 の リ ハ 目 標 に 対 す る 理 解 度 が 3 割 程
度 で あ る 8 6) こ と や , 両 者 の 目 標 不 一致 2 6, 27 ) お よ び 患 者 の 目 標 設 定 へ の 未 参
加 2 8 ,3 2 ) があ る こ と ,患 者 の 生 活 意 欲 や 満 足 感 と 関 係 する 7 5, 8 7) こ と が 報 告 さ
れている。
目 標 の 達 成 が 患 者 の 心 理 要 因 に 良 好 に 作 用 し た こ と は ,身 体 障 害 者 施 設入
所 者 38 名 に 対 し て な さ れ た 興 味 に あ っ た 介 入 プ ロ グ ラ ム の 達 成 が , 健 康 感
に 好 影 響 を 及 ぼ し た 1 0 9) こ と か ら も 示 さ れ て い る。ま た ,健 常 大 学 生 59 名 を
対 象 と し た 調 査 研 究 1 0 8) で は , 目 的 的 作 業 課 題 の 達 成 と 満 足 感 と の 関 係 が 示
さ れ て い る 。 し か し , リ ハ 病 院 成 人 入 院 患 者 を 対 象 に 目 標 達 成 度 と HR-QOL
の 関 係 を 検 証 し た 研 究 は 見 当 た ら ず ,本 結 果 は リ ハ 医 療 に お け る 目 標 達 成の
重要性を示した。
目 標 一 致 度と HR-QOL の 関 係 に お い て は , 生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト を 用
い た 患 者 ・TH 間 の 目 標 共 有 と 健 康 感 と の 効 果 的 な 関連 6 4) が , 老 人 保 健 施 設
入 所 者 93 名 を 対 象 に 示 さ れ て お り , リ ハ 病 院 成 人 入 院 患 者 を 対 象 と し た 効
果 検 証 9 6 ) も 進 め ら れ て い る 。し か し ,退 院 後 の 健 康 感 と の 関 連 に は 統 計 学 的
な 課 題 が 指 摘 さ れ る 。 そ の 他 , 患 者 ・ TH 間 の 協 業 に よ っ て な さ れ る 目 標 設
定 方 法 を 用 い た 介 入 が , 患 者 の HR-QOL に 効 果 的 で あ る と す る 研 究 が 散 見 さ
れ る 1 1 1, 1 12 ) も の の , リ ハ 病 院 成 人 入 院 患 者 と TH の 目 標 共 有 が 患 者 の 退 院 後
の HR-QOL と 関 係 し て い る こ と を 検 証 し た 研 究 は 見 当 た ら な い 。
つ ま り , リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者と TH 間 の 目 標 共 有 が 患 者 の 退 院 後 の
HR-QOL に 影響 す る こ と は , 国 内 外 に お け る 初 め て の 知 見 で あ る こ と に 意 義
が あ る。患 者 が 高 い 健 康 感 を 有 し て 長 期 的 に 在 宅 生 活 を 営 む に は,入 院 中 の
目 標 達 成 や TH と の 協 業 が 不 可 欠 な だ け に ,本 研 究 は TH が 患 者 中 心 の 目 標 設
54
定を再考する必要性を示唆している。
こ の リ ハ 病 院 成 人 患 者 の 目 標 実 態 を 受 け た 第 2 研 究 で は , 患 者 ・TH 間 の
目 標 共 有 を 高 め る べ く 開 発 さ れ た 共 有 型 を 通 し て ,両 者 が 目 標 を 共 有 す るこ
と に よ る リ ハ 効 果 を ,通 常 型と 無 作 為 比 較 し た 。結 果 ,両 者 の 目 標 共 有 は 患
者 の 目 標 達 成や ADL 自 立 度 に 影 響 す る こ と が 明 ら か と な り ,両 者 の 協 業 によ
ってなされる目標設定の重要性が再確認された。
目 標 達 成 に は 患 者 の リ ハ に 臨 む 意 欲 や 動 機 付 け が 必 要 で あ り ,意 欲 を 良好
に 保 つ た め に は 患 者 の 自 己 決 定 を 尊 重 し た TH の 関 わ り が 不 可 欠 で あ る こ と
か ら , 本 結 果 に は 患 者 ・ TH 間 の目 標 共 有 と 患 者 の リ ハ に 臨 む 意 欲 と の 関 連
が 考 え ら れ た 。 通 常 型 が 目 標 達 成 に 及 び 難 か っ た こ と は , TH が 患 者 と の 会
話 を 主 体 と し て デ マ ン ド を 聴 取 し ,協 業 を 図 る プ ロ セ ス に 課 題 が あ る こ とを
示 し て い る 。 目 標 設 定 か ら 治 療 ・ 介 入 ま で 一 貫 し て , 患 者 ・ TH 間 の イ ンフ
ォ ー ム ド ・ コ オ ペ レ ー シ ョ ン 2 0) や Shared Decision Making 21 ) が 求 めら れ て
いる昨今,目標設定における協業のみでもリハ効果が得られたことは,患
者 ・ TH 間 の目 標 共 有 を 経 た 治 療 ・ 介 入 を 含 め て な さ れ た 際 の 効 果 が よ り 高
まる可能性を示唆している。
リ ハ 医 療 に お け る 患 者 と TH の 目 標 共 有 に は , 会 話 を 中 心 と し た 非 構 造 的
面 接 で あ る GAS 39 - 43 ) や , 医 療 者 の 関 わ り の 一 部 が 構 造 化 さ れ て い る 半 構 造 的
面 接 で ある COPM 5 8- 60 ) ,質 問 紙 を 用 い て 患 者 が 目 標 選 択 する OSAⅡ 6 5) や PPGMC 6 8) ,
絵 カ ー ド の 取 捨 を 通 し て 患 者 が 目 標 選 択 す る Talking Mats 6 9, 70 ) や ADOC 7 1- 7 3)
等が用いられているものの,それぞれには共有型と異なる特徴がある。
GAS 3 9- 4 3) は 介 入 後 に 予 測 さ れ る 結 果 の 程 度 に つ い て 両 者 が 介 入 前 に 話 し 合
い,共に目標を設定する方法であり,目標達成予測によって患者が意欲高く
自 身 の 問 題 に 臨 む こ と が で き る。し か し ,TH と 共 に 患 者 が 自 身 の 問 題 を 整 理
する過程が構造化されていないことや,変化の起こりにくい問題に焦点化さ
れ に く い こ と 8 5 ) が 指 摘 さ れ て お り,患 者 自 身 が 日 常 生 活 上 の 問 題 を 明 確 化 し,
自己決定が促されるように面接を行う必要がある。
COPM 58 -6 0 ) で は 患 者 に と っ て 重 要 な 活 動 を TH が面 接 を 用 い て 多 面 的 に 捉 え,
得 ら れ た 活 動 の 重 要 度 や 遂 行 度,満 足 度 を 患 者 が 判 定 す る プ ロ セ ス に よ っ て ,
問題が整理される。しかし,患者との面接が半構造的であるがゆえに時間が
か か る 9 2 ) と さ れ , 所 要 時 間 は 30-40 分 程 度 1 1 6) と 報 告 さ れ て い る 。
OSAⅡ 65 ) は 患 者 が 自 身 の 役 割 や 願 望 的 な 活 動 な ど の 重 要 性 に つ い て 質 問 紙
を通して評価し,自身の問題を自己洞察する。しかし,一部の質問項目につ
い て 表 現 の 曖 昧さ 1 01 ) ゆ え に更 な る 再 テ ス ト 信 頼 性 の 検 証 が 求 め ら れ る 。
PPGMC 6 8) は ,外 来 脳 卒 中 患 者 に 対 す る 理 学 療 法 の 目 標 設 定 に 用 い ら れ ,患 者
と TH が 同 じ 質 問 紙 を 通 し て 患 者 の 価 値 観 に 応 じ た 多 様 な 生 活 目 標 を 設 定 で
きる。しかし課題には,事例の蓄積や従来方法との比較検討がある。
Talking Mats 69 , 70 ) は , 生 活 活 動 が イ ラ ス ト 化 さ れ た 絵 カ ー ド を 用 い て ,患
者 が そ の 遂 行 度 を 判 定 す る こ と か ら ,認 知 機 能 障 害 を 呈 す る 患 者 の 主 観 的側
面 を 捉 え ら れ る 。 し か し , 患 者 が 絞 っ た 問 題 視 し て い る 活 動 と , TH の 意 見
55
をすり合わせる関わりは明確化されていない。
ADOC 71 -7 3 ) で は , 絵 カ ー ド の 取 捨 に iPad を 用 い , 患 者 は 自 身 に と っ て 重要
な 活 動 を TH と 共 に 絞 り 込 む こ と を 通 し て 両 者 の 目 標 共 有 を 図 る 。 し か し,
対照群との比較試験における有用性の検討が求められる。
一 方 ,既 述 の 共 有型 の 特 徴 に お い て ,患 者 と TH の 協 業 の 促 進 に は ,患 者 に
課 題 活 動 へ の 参 加 の 機 会 を 提 供 し,課 題 解 決 を 共 に 行 う こ と が 重 要 で ある 1 17 )
とされ,特にモノを媒介とした課題活動は,作業がもたらす共有体験によっ
て 相 互 に 適 度 な 心 理 的 距 離 を 持 ち や す い 1 1 8) と さ れ て い る 。
つ ま り , 共 有 型 の カ ー ド を 用 い て 患 者 が 自 ら リ ハ 目 標 を 決 定 し て い く 課題
解 決 の プ ロ セ ス お よ び TH との 目 標 共 有 は , TH の 高 度 な 面 接 技 術 を 必 要 十 分
条件とすることなく患者のデマンドが顕在化され,より構造化された方略に
よって両者の協業が促進されると推察される。また,共有型の所要時間は,
患者の現状認識や会話の疎通性の程度によって異なるものの,カードによる
選 択 が 5 分 程 度 で,TH と の 相 談に よ る 目 標 決 定 が 10-15 分 程 度 で あ る。所 要
時間は患者中心の目標設定を展開する上である程度の長さが必要であるとも
考えられるが,既存の方法に比べてより短時間での実施が可能である共有型
には,臨床実践におけるより高い業務効率が示唆される。更に,リハ病院成
人入院患者に対して,適用疾患が限定されること無く,より質の高い研究デ
ザ イ ン で 介 入 効 果 が 示 さ れ た こ と は,共 有 型 が よ り 効 果 的 に 患 者・TH 間 の 目
標共有を実現させる目標設定方法であることを示唆している。
し か し ,本 研 究 は 1 施 設 の み で 実 施 さ れ た こ と か ら 地 域 性 の 偏 り が 否 め ず,
分 析 対 象 者 の 人 数 や TH を OT や PT の み と し た こ と に お い て も 課 題 が 残 る 。
第 1 研 究 で は 有 効 回 答 率 が 低 値 と な り , 目 標 達 成 度 の 調 査 か ら TH の 目 標 達
成 予 測 の 困 難 さ が 推 察 さ れ た 。 HR-QOL と の 関 係 に お い て は 弱 い 相 関 に 留 ま
り , 目 標 一 致 度と HR-QOL と の 関 係 に は 有 意 な 交 互 作 用 が 得 ら れ な か っ た 。
第 2 研 究 で は ,研 究 者 が 共 有 型 を 施 行 し た こ と に よ る 対 象 患 者 へ の リ ハ 意欲
等 の 心 理 的 バ イ ア ス が 考 え ら れ る。ま た ,共 有 型 に よ る 目 標 設 定 や リ ハ 介 入
が 主 に OT に よ っ て な さ れ た こ と か ら , 目 標 を 多 職 種 協 働 チ ー ム と し て 統 一
し た 際 の 介 入 効 果 は ,患 者 の 生 活 機 能 や 心 理 要 因 に 対 し て よ り 良 好 に 作 用す
ると推察される。
今 後 は , リ ハ 病 院 に お け る 成 人 患 者 ・ TH 間 の 目 標共 有 が , 患 者 の 退 院 時
の 目 標 達 成や ADL 自 立 度 , 退 院 後の HR-QOL に 影 響 す る こ と か ら , 両 者 の 高
い 目 標 共 有 や 患 者 の Well-Being を 目 指 す べ く , リ ハ 医 療 に お け る 臨 床 実 践
を 重 ね る こ と が 求 め ら れ る。そ の 実 践 に お い て は ,患 者 の 価 値 観 に 即 し て 多
様 な デ マ ン ド を 把 握 し ,そ の デ マ ン ド と 医 療 者 の 専 門 的 見 地 か ら 見 立 て たニ
ー ズ を 統 合 さ せ る 目 標 共 有 プ ロ セ ス の 介 入 効 果 を ,よ り 多 様 な 対 象 患 者 や施
設で検討することが必要である。
56
謝
辞
本 研 究 は 指 導 教 員 で あ る 村 木 敏 明 教 授 の 指 導 の も と に 行 わ れ ま し た 。村木
敏 明 教 授 に は,博 士 課 程 に お け る 研 究 を 進 め る に あ た り,指 導 教 員 と し て 多
大なるご指導を頂き深謝申し上げます。
ま た 本 研 究 は ,茨 城 県 立 医 療 大 学 地 域 貢 献 研 究 か ら の 助 成 を 受 け て 遂 行さ
れ,研 究 代 表 者 の 茨 城 県 立 医 療 大 学 理 学 療 法 学 科 水 上 昌 文 教 授 に は,的 確 な
ご 指 導 や ご 助 言 を 頂 き ま し た こ と 深 く 感 謝 申 し 上 げ ま す。特 に,上 岡 裕 美 子
准 教 授 ,松 田 智 行 氏 ,な ら びに 関 係 者 の 皆 様 に は,調 査 用 紙 の 作 成 か ら デ ー
タ 収 集 ま で 多 大 な る ご 協 力 を 頂 き 深 謝 致 し ま す 。居 村 茂 幸 教 授 に は,副 指 導
教 員 と し て 研 究 の み な ら ず ,対 象 施 設 の リ ハ 部 長 と し て 研 究 環 境 を 整 え て下
さったことに深く感謝致します。
何 よ り 本 研 究 を 行 う こ と が で き た の は ,対 象 者 お よ び ご 家 族 の 皆 様 の ご協
力 の 賜 物 で す。更 に ,対 象 施 設 の 作 業 療 法 科 な ら び に 理 学 療 法 科 の セ ラ ピ ス
ト の 皆 様 に は ,ご 多 忙 な 中 で ご 協 力 を 頂 け ま し た こ と に 心 よ り 感 謝 申 し 上げ
ます。
そ し て,励 ま し の 言 葉 と 共 に 日 々 暖 か く 見 守 っ て 下 さ い ま し た ,茨 城 県 立
医 療 大 学 作 業 療 法 学 科 教 員 の 皆 様 に も 感 謝 申 し 上 げ ま す。加 え て,第 2 研 究
で 用 い た 共 有 型 目 標 設 定 法 の 創 案 に お 力 添 え 頂 い た ,筑 波 大 学 大 学 院 修 士課
程 時 代 の 恩 師 で あ る の 飯 島 節 先 生 や 同 期 生 の 大 澤 彩 氏 ,田 畑 剛 氏 に も 感 謝申
し上げます。
最後に,日頃より献身的に支えてくれた家族に心より感謝致します。
57
参考文献
1) 厚 生 労 働 省 . 医 科 診 療 . 平成 24 年 社 会 医 療 診 療 行 為 別 調 査 の 概 況.( オ
ン ラ イ ン). < URL: http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/
tyosa12/dl/ika.pdf>.( 参 照 2013.11.22).
2) 二 木 立 .医 療 保 険 の 維 持 期 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン は 2 年 後 に 廃 止 さ れ る か ?.
文 化 連 情 報 .2012; 411: 18-23.
3) チ ー ム 医 療 の 推 進 に 関 す る 検 討 会 . チ ー ム 医 療 の 推 進 に つ い て . 厚 生 労
働 省 . 東 京 . 2010.
4) チ ー ム 医 療 推 進 会 議 . チ ー ム 医 療 推 進 の た め の 基 本 的 な 考 え 方 と 実 践 的
事 例 集 . 厚 生 労 働 省 . 東 京 .2011.
5) 野 中 猛 . 図 説 ケ ア チ ー ム . 中 央 法 規 出 版 . 東 京 .2007. 10-25.
6) 山 口 裕 幸 . チ ー ム ワ ー ク の 心 理 学 ‐ よ り よ い 集 団 づ く り を め ざ し て ‐ .
サ イ エ ン ス 社 . 東 京 . 2008.1-39.
7) 田 村 由 美 . 新 し い チ ー ム 医 療 . 看 護 と 科 学 社 . 東 京 . 2012.1-43.
8) 酒 井 未 知 . イ ン フ ォ ー ム ド ・ コ ン セ ン ト に お け る 情 報 共 有 . 臨 床 看 護 .
2006;32:1070-1073.
9) 辻 恵 子 .意 思 決 定 プ ロ セ ス の 共 有 ‐ 概 念 分 析 ‐ .日 本 助 産 学 会 誌 .2007;
21:12-22.
10) 仲 田 洋 美 . Informed consent と shared decision making. 腫 瘍 内 科 .
2012;10:268-273.
11) 小 谷 野 亘.社 会 老 年 学 に お ける QOL 研 究 の 現 状 と 課 題.公 衆 衛 生 .2004;
53:204-208.
12) 福 原 俊 一 .QOL‐ EBM, SDM と の 関 係 . QOL と 理 学 療 法 . 清 水 和 彦 , 黒 川
幸 雄 ・ 編 . 三 輪 書 店 . 東 京 .2006.24-29.
13) 前 田 泉 . 実 践 !患 者 満 足 度 ア ッ プ . 日 本 評 論 社 . 東 京 . 2005.1-64.
14) 「 高齢 者 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の あ る べ き 方 向」普 及 啓 発 委 員 会 .生 き 生
き と し た 生 活 機 能 の 向 上 を 目 指 し て . 厚 生 労 働 省 . 東 京 .2003.
15) Rodriguez KL, Bayliss NK, Alexander SC, Jeffreys AS, Olsen MK, Pollak
KI, Garrigues SK, Tulsky JA, Arnold RM. Effect of patient and
patient-oncologist relationship characteristics on communication
about health-related quality of life. Psychooncology , 2011; 20:
935-942.
16) 會 田 玉 美,八 重 田 淳 .病 院 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン セ ラ ピ ス ト に 対 す る 顧 客
満 足 度 の 探 索 的 研 究 . リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 連 携 科 学 .2005; 6: 3-14.
17) 椎 野 良 隆 ,大 黒 一 司 ,須 藤 美 代 子 ,遠 山 さ や か .回 復 期 リ ハ ビ リ テ ー シ
ョ ン 病 棟 に お け る 脳 卒 中 患 者 の 健 康 関 連 QOL に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 ‐ Euro
Qol と Barthel Index を 用 い た 検 討 ‐ .竹 田 綜 合 病 院 医 学 雑 誌 .2010;36:
18-25.
58
18) 塩 川 清 信,矢 澤 俊 二 ,北 沢 香奈 絵 ,須 田 洋 輔 ,深町 秀 彦 .回 復 期 リ ハ 病
棟 で の 目 標 達 成 チ ェ ッ ク シ ー ト に よ る 目 標 設 定 の 妥 当 性 に つ い て .理 学療
法 研 究 . 2011; 39: 107-108.
19) 酒 井 康 生,木 佐 俊 郎 ,小 野 惠司 ,三 谷 俊 史 ,石 田徹 .回 復 期 リ ハ ビ リ テ
ー シ ョ ン に お け る リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン ゴ ー ル 的 中 率 .Journal of Clinical
Rehabilitation. 2009;18:851-854.
20) 上 田 敏 .リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 療 に お け る イ ン フ ォ ー ム ド・コ ン セ ン ト .
作 業 療 法 ジ ャ ー ナ ル . 1996;30:333-338.
21) Levack WM, Taylor K, Siegert RJ, Dean SG, McPherson KM, Weatherall
M. Is goal planning in rehabilitation effective? -A systematic review-.
Clin Rehabil, 2006; 20: 739-755.
22) Moser A, van der Bruggen H, Widdershoven G. Competency in shaping
one's life: autonomy of people with type 2 diabetes mellitus in a
nurse-led, shared-care setting -a qualitative study-. Int J Nurs Stud,
2006; 43: 417-427.
23) 日 本 看 護 協 会 . 看 護 記 録 の 開 示 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン . 日 本 看 護 協 会 .
東 京 .2000.1-19.
24) 上 野 千 鶴 子 . ケ ア の 社 会 学 . 太 田 出 版 . 東 京 . 2011. 65-84.
25) Upton J, Fletcher M. Madoc-Sutton H. Sheikh A. Caress AL, Walker
S. Shared decision making or paternalism in nursing consultations?
-A qualitative study of primary care asthma nurses' views on sharing
decisions with patients regarding inhaler device selection -. Health
Expect, 2011; 14: 374-382.
26) Schulman-Green DJ, Naik AD, Bradley EH, McCorkle R, Bogardus ST.
Goal setting as a shared decision making strategy among clinicians
and their older patients. Patient Educ Couns, 2006; 63: 145-151.
27) Sumsion T, Smyth G. Barriers to client-centredness and their
resolution. Can J Occup Ther, 2000; 67: 15-21.
28) Maitra KK, Erway F. Perception of client-centered practice in
occupational therapists and their clients. Am J Occup Ther, 2006 ; 60:
298-310.
29) 上 岡 裕 美 子,吉 野 貴 子 ,菅 谷公 美 子 ,大 橋 ゆ か り,飯 島 節 .脳 卒 中 後 遺
症者と担当理学療法士が認識している外来理学療法目標の相違‐回復期
後 期 ,維 持 期 前 期 ,維 持 期 後 期 別 の 比 較 研 究 ‐ .理 学 療 法 科 学 .2006;21:
239-247.
30) 吉 野 貴 子,飯 島 節.外 来 理 学 療 法 に 対 す る 脳 卒 中 後 遺 症 者 の 期 待 と 理 学
療 法 士 の 意 識 と の 相 違 . 理 学 療 法 学 . 2003;30:296-303.
31) Florin J, Ehrenberg A, Ehnfors M. Patient participation in clinical
decision-making in nursing -A comparative study of nurses' and
patients' perceptions-. J Clin Nurs, 2006; 15: 1498-1508.
59
32) Elo S, Saarnio R, Routasalo P, Isola A. Gerontological
rehabilitation nursing of older patients in acute health centre
hospitals -nursing views-. Int J Older People Nurs, 2012; 7: 46-56.
33) 福 井 次 矢 ,吉 田 雅 博 ,山 口 直 人 .診 療 ガ イ ド ラ イ ン 作 成 の 手 引 き 2007.
医 学 書 院 .2007.( オ ン ラ イ ン). < URL: http://minds4.jcqhc.or.jp/
minds/glgl/glgl.pdf> .( 参 照 2013.8.19).
34) 奥 野 雅 子.ナ ラ テ ィ ブ と エ ビ デ ン ス の 関 係 性 を め ぐ る 一 考 察.安 田 女 子
大 学 紀 要 .2011; 39: 69-78.
35) 上 田 敏.科 学 と し て の リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 学.医 学 書 院.東 京 .2001.
78-96.
36) 星 野 な つ き .家 事 と 職 業 の 両 立 を 目 指 し た 片 麻 痺 患 者 に 対 す る 活 動 向上
訓 練 に つ い て . 理 学 療 法 い ば ら き . 2006;10:30-33.
37) Hedberg B, Johanson M, Cederborg AC. Communicating stroke
survivors' health and further needs for support in care -planning
meetings. J Clin Nurs, 2008; 17: 1481-1491.
38) 寺 田 一 郎 ,横 山 敦 子 ,小 澤 陽 子,石 田 佐 登 美 ,森 伊津 子 ,長 谷 川 健,藤
巻 一 美,山 岸 律 子 .急 性 期 病 院 に お け る 回 復 期 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 病 棟の
取り組み‐情報の共有と目標統一を目指して‐.みんなの理学療法.
2005;17:47-50.
39) Kamioka Y, Yoshino T, Sugaya K, Saito H, Ohashi Y, Iijima S.
Goal-setting method and goal attainment measures in physical therapy
for stroke patients -a systematic review-. J Phys Ther Sci, 2009; 21:
399-415.
40) Gordon JE, Powell C, Rockwood K. Goal attainment scaling as a measure
of clinically important change in nursing -home patients. Age and
Aging, 1999; 28: 275-281.
41) Rockwood K, Stadnyk K, Carver D, MacPherson KM, Beanlands HE, Powell
C, Stolee P, Thomas VS, Tonks RS. A clinimetric evaluation of
specialized geriatric care for rural dwelling, frail older people.
J Am Geriatr Soc, 2000; 48: 1080-1085.
42) Hurn J, Kneebone I, Cropley M. Goal setting as an outcome measure
-a systematic review-. Clin Rehabil, 2006; 20: 756-772.
43) Trombly CA, Radomski MV, Trexel C, Burnet-Smith SE. Occupational
therapy and achievement of self-identified goals by adults with
acquired brain injury. Am J Occup Ther, 2002; 56: 489-498.
44) 畠 中 瑠 美,宮 本 麻 矢 ,下 村 美穂 ,吉 川 芳 江 ,今 井稔 也 .訪 問 リ ハ に お い
て 利 用 者 と の 信 頼 関 係 の 構 築 を 模 索 し た 1 症 例 の 報 告 ‐ ICF を 用 い て ‐ .
訪 問 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン . 2012;2: 251-254.
45) 荒 和 代,本 多 祐 介 ,蟹 本信 一 郎 .入 浴 動 作 の 自 立 に 意 欲 の あ る 関 節 リ ウ
マ チ 患 者 の 一 症 例 ‐ 訪 問 リ ハ にて PT・ OT が 関 わ っ た 症 例 ‐ . 理 学 療 法 福
60
井 .2010;14: 123-125.
46) 北 林 雅 大 , 太 田 貴 文 . 訪 問 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン に お け る 目 標 の 共 有 化 .
長 野 県 作 業 療 法 士 会 学 術 誌 . 2010;28: 29-30.
47) 恵 良 知 子,金 山 萬 紀 子 ,日 高 艶 子 .意 欲 に 影 響 を 及 ぼ す 看 護 介 入 の 検 討 .
日 本 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 看 護 学 会 学 術 大 会 集 録 12 回 . 2000:182‐ 184.
48) 水 元 明 裕,柿 田 和 代.患 者 参 加 の 看 護 計 画 ‐ 依 存 を 呈 し た 熱 傷 患 者 の 事
例 を 通 し て ‐ . 熱 傷 . 2000;26:280-285.
49) 羽 田 由 利 子 .脳 血 管 疾 患 に よ り 重 度 障 害 を き た し た 患 者 の 自 宅 退 院 を可
能 に し た 援 助 . 日 本 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 看 護 学 会 学 術 大 会 集 録 14 回 .
2002:1-3.
50) 須 藤 三 千 代,高 橋 郁 子.リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 科 に お け る 患 者 と の 看 護 目
標 共 有 の 現 状 と 課 題 ‐ 患 者 ア ン ケ ー ト 調 査 か ら ‐ .日 本 リ ハ ビ リ テ ー ショ
ン 看 護 学 会 学 術 大 会 集 録 16 回 . 2004: 70-72.
51) 川 端 友 美 ,大 川 雅 子 ,梶 浦 万 里子 ,島 崎 久 ,高 橋 美紀 ,福 崎 彩 子 ,松 木
み ど り.一 緒 に 立 て よ う 看 護 計 画 ‐ 患 者 さ ん と 目 標 を 共 有 し て ‐.日 本 リ
ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 看 護 学 会 学 術 大 会 集 録 17 回 . 2005: 88-90.
52) 丹 後 み ゆ き,伊 藤 洋 子 ,徳 原加 寿 子 ,佐 野 カ ン ナ.患 者・医 療 者 間 の リ
ハビリテーション情報の共有‐リハビリテーション意欲をひき出すため
に ‐ . 整 形 外 科 看 護 . 2008;13:101-105.
53) 河 津 真 喜,木 下 美 和 .患者 参 加 型 ADL チ ェ ッ ク 表 の 作 成・活 用 ‐亜 急 性
期 病 床 に 入 室 中 の 脳 外 科 患 者 様 の 自 宅 退 院 に 向 け て ‐ .日 本 看 護 学 会 論文
集 看 護 総 合 .2008; 39:128-130.
54) 小 林 絵 理 ,大 園 恵 美 ,深 澤 彰 恵,大 川 菜 桜 ,天 野 麻古 .患 者・理 学 療 法
士・看 護 師 が 評 価 表 を 共 有 し た リ ハ ビ リ カ ン フ ァ レ ン ス の 取 り 組 み の 効果
‐日常生活活動機能状況表を用いて‐.日本看護学会論文集成人看護Ⅱ.
2010;40:191-193.
55) 植 松 梨 花 ,井 崎 若 菜 ,白 仁 田 智 恵 美 ,志 田 知 之 .患 者 と 共 有 出 来 る ベ ッ
ド サ イ ド ADL 表 の 改 訂 に 向 け て の 取 り 組 み .日 本 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 看護
学 会 学 術 大 会 集録 21 回 . 2009:54-55.
56) 大 石 初 巳 , 藤 原 多 佳 子 , 田 村 礼 子 , 山 盛 真 保 , 成 澤 こ ず え , 金 子 美 紀 .
高齢下半身麻痺患者の在宅支援を試みて‐機能的自立度評価法を用いて
‐ . 日 本 看 護 学 会 論 文 集 老 年 看 護 . 2007;37:166-168.
57) 近 藤 真 貴 子,松 橋 由 美 子,佐 々 木 冷 子 .大 腿骨 頸 部 骨 折 手 術 患 者 に 対 す
る 目 標 共 有 化 の 効 果 ‐ 患 者・家 族・医 療 者 間 で の リ ハ ビ リ カ ー ド の 活 用の
実 際 ‐ . 日 本 看 護 学 会 論 文 集 老 年 看 護 . 2003;33:94-96.
58) 真 田 康 孝,竹 村 仁 ,舛 友一 洋 .カ ナ ダ 作 業 遂 行 測 定 を 用 い た 心 疾 患 患 者
へ の 作 業 療 法 の 経 験 .大 分 県リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 学 会 誌.2010;8:52-53.
59) Doig E, Fleming J, Cornwell PL, Kuipers P. Qualitative exploration
of a client-centered, goal-directed approach to community-based
occupational therapy for adults with traumatic brain injury. Am J
61
Occup Ther, 2009; 63: 559-568.
60) Phipps S, Richardson P. Occupational therapy outcomes for clients
with traumatic brain injury and stroke using the Canadian
Occupational Performance Measure. Am J Occup Ther, 2007 ; 61: 328-334.
61) 本 多 す み 江 ,馬 場 リ ツ 子 ,渡 邊 さ つ え ,飯 塚 明 子 .高 齢 で あ る 大 腿 骨 頸
部 骨 折 患 者 の 看 護 ‐ KOMI チ ャ ート シ ス テ ム の 有 用 性 ‐ . 日 本 看 護 学 会 論
文 集 老 年 看 護 .2004; 34:89-91.
62) Lorenz LS, Chilingerian JA. Using visual and narrative methods to
achieve fair process in clinical care. J Vis Exp, 2011 ; 48: 4-10.
63) Kurz AE, Saint-Louis N, Burke JP, Stineman MG. Exploring the
personal reality of disability and recovery -a tool for empowering
the rehabilitation process-. Qual Health Res, 2008; 18: 90-105.
64) 日 本 作 業 療 法 士 協 会 . 入 所 事 業 に お け る 効 果 検 証 報 告 . 平 成 23 年 度 老
人保健健康増進事業 生活行為向上マネジメントの普及啓発と成果測定研
究 事 業 報 告 書.2012:70-93.
( オ ン ラ イ ン ).< URL: http:// www.jaot.or.jp
/members/h23kenkyujigyo-roken/>.( 参 照 2013.9.2).
65) 長 谷 部 真 奈 美,山 田 孝.長 期 の ひ き こ も り 生 活 を し て き た 女 性 ク ラ イ エ
ン ト と の 関 わ り ‐ OSAII を 通 し た 生 活 の 検 討 ‐ .作 業 行 動 研 究 .2007;10:
22-28.
66) Asenlöf P, Denison E, Lindberg P. Individually tailored treatment
targeting motor behavior, cognition, and dis ability -2 experimental
single-case studies of patients with recurrent and persistent
musculoskeletal pain in primary health care-. Phys Ther, 2005; 85:
1061-1077.
67) Arnetz JE, Almin I, Bergstrom k, Franzen Y, Nilsson H. Active patient
involvement in the establishment of physical therapy goals -Effects
on treatment outcome and quality of care-. Advances in Physiotherapy,
2004; 6: 50-69.
68) 上 岡 裕 美 子 ,斉 藤 秀 之 ,大 橋 ゆ か り ,飯 島 節 .脳 卒 中 者 へ の 理 学 療 法 に
お け る チ ェ ッ ク リ ス ト 式 患 者 参 加 型 目 標 設 定 法 お よび Goal Attainment
Scaling の 臨 床 有 用 性 の 検 討 .茨 城 県 立 医 療 大 学 紀 要 .2010;15:98-108.
69) Bornman J, Murphy J. Using the ICF in goal setting - clinical
application using Talking Mats - . Disabil Rehabil Assist Technol,
2006; 1: 145-154.
70) Harty M, Griesel M, van der Merwe A. The ICF as a common language
for rehabilitation goal-setting -comparing client and professional
priorities-. Health Qual Life Outcomes, 2011; 87: 1-9.
71) 齋 藤 佑 樹,上 江 洲 聖 ,金 城 正太 ,友 利 幸 之 介 ,東登 志 夫 .作 業 選 択 意 思
決 定 支 援 ソ フ ト(ADOC)を 用 い た 失 語 症 の あ る ク ラ イ エ ン ト と 作 業 療 法 士
と の 意 味 の あ る 作 業 の 共 有 . 作 業 療 法 . 2012;31:22-31.
62
72) 齋 藤 佑 樹,友 利 幸 之 介 ,東 登 志 夫 .作 業 選 択 意 思 決 定 支 援 ソ フ ト (ADOC)
を 用 い た 認 知 症 ク ラ イ エ ン ト と 作 業 療 法 士 の 意 思 決 定 の 共 有 と 協 働 .作業
療 法 .2013;32: 55-63.
73) Tomori K, Uezu S, Kinjo S, Ogahara K, Nagatani R, Higashi T.
Utilization of the iPad application -Aid for Decision-making in
Occupation Choice-. Occup Ther Int, 2012; 19: 88-97.
74) 千 田 直 人,村 木 敏 明 ,大 澤 彩,田 畑 剛 ,飯 島 節.セ ラ ピ ス ト は 在 宅 脳 血
管障害者とリハビリテーション目標を共有できているのか?‐通常型と
よ り 効 果 的 な 方 法 の 比 較 検 討 ‐.茨 城 県 立 医 療 大 学 紀 要.2012;17:11-16.
75) 千 田 直 人,村 木 敏 明 ,大 澤 彩,田 畑 剛 ,飯 島 節.作 業 療 法 士 と 在 宅 脳 血
管障害者間のリハビリテーション目標と心理要因の検討‐カードを用い
た 共 有 型 目 標 設 定 法 を 活 用 し て ‐ . 作 業 療 法 . 2013;32:151-159.
76) リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン( 総合 )実 施 計 画 書 の 書 き 方 検 討 委 員 会 .リハ ビ リ
テ ー シ ョ ン( 総 合 )実 施 計 画 書 を 上 手 に 使 い こ な す 法.厚 生 労 働 省.東 京 .
2003.
77) 上 田 敏 .ICF の 理 解 と 活 用 . 萌 文 社 . 東 京 . 2005.1-70.
78) 大 井 賢 一,竹 中 文 良:患 者 さん が 医 療 に 求 め る も の.荒 川 泰 行・編,国
民 は 医 療 に な に を 求 め て い る か,メ デ ィ カ ル レ ビ ュ ー 社.東 京 .2005.39-56.
79) 諸 橋 勇.リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 総 合 実 施 計 画 書 の 書 き 方 と 活 用,そ し て 現
状 .PT ジ ャー ナ ル . 2005;39:989-998.
80) Rosewilliam S, Roskell CA, Pandyan AD. A systematic review and
synthesis of the quantitative and qualitative evidence behind
patient-centred goal setting in stroke rehabilitation. Clin Rehabil,
2011; 25: 501-514.
81) Leach E, Cornwell P, Fleming J, Haines T. Patient centered
goal-setting in a subacute rehabilitation setting. Disabil Rehabil,
2010; 32: 159-72.
82) Levack WM, Dean SG, Siegert RJ, McPherson KM. Navigating
patient-centered goal setting in inpatient stroke rehabilitation
-How clinicians control the process to meet perceived professional
responsibilities-. Patient Educ Couns, 2011; 85: 206-213.
83) Kiresuk TJ, Smith A, Cardillo JE. Goal Attainment Scaling
-Applications, Theory, and Measurement-. Lawreance Erlbaum. New
Jersey. 1994. 1-14.
84) Radomski MV. Occupational therapy for physical dysfunction . 6th ed.
Lippincott Williams & Wilkins. Maryland. 2008. 53-54.
85) 原 田 千 佳 子 : ゴ ー ル 達 成 ス ケ ー リ ン グ ( GAS).OT ジ ャ ー ナ ル . 2004;
38:591-595.
86) 矢 野 秀 典,吉 野 貴 子 ,飯島 節 .訪 問 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 目 的 に 対 す る
理 解 度 に 関 す る 検 討 . 理 学 療 法 学 . 2004;31:168-174.
63
87) 千 田 直 人,池 田 恭 敏 ,村木 敏 明 .訪 問 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン の 関 わ り 方 が
在 宅 脳 血 管 障 害 者 の 意 欲 低 下 に 及 ぼ す 影 響.日 本 作 業 療 法 学 会 抄 録 集 2006.
2006:O109.
88) 大 柳 薫 ,中江 秀 美 ,片 岡 睦 子,大 原 幸 子 ,鳩 野 み どり ,玉 川 緑 .卒 業 後
2 年 未 満 の 看 護 職 者 の 看 護 実 践 能 力 に 関 す る 自 己 評 価 .中 国 四 国 地 区 国立
病 院 附 属 看 護 学 校 紀 要 . 2008; 4: 108-115.
89) 加 藤 隆 子 .回 復 期 に あ る 頸 髄 損 傷 患 者 の 苦 悩 と 看 護 師 の 揺 ら ぎ か ら みた
援 助 関 係 の 構 造 ‐ 患 者 と 看 護 師 の 感 情 に 焦 点 を あ て て ‐ .お 茶 の 水 医 学雑
誌 .2012;60: 305-334.
90) 細 川 可 奈 子 ,門 間 世 史 子 ,川 嶋 麻 有 ,隅 田 ひ と み .共 有 看 護 計 画 に 対 す
る看護師の意識調査‐患者が主体的に取り組む共有看護計画を目指して
‐ . 市 立 千 歳 市 民 病 院 医 誌 . 2010;6: 47-49.
91) 近 藤 芳 美,氷 見 香 奈 ,川端 豊 子 .脳 血 管 障 害 患 者の ADL 拡 大 に む け た 目
標 共 有 へ の 試 み ‐ ADL 表 を 改 善 し て ‐ .福 井 県 立 病 院 看 護 部 研 究 発 表 集録
平 成 23 年 度 . 2012:35-38.
92) Law M, Baptiste S, Carswell A, McColl MA, Polatajko H, Pollock N .
カ ナ ダ 作 業 遂 行 測 定 .第 4 版 .吉 川 ひ ろ み ,上村 智 子・訳 .大 学 教 育 出 版.
東 京 .2006.
93) 金 井 一 薫 .KOMI 記 録 シ ス テ ム ‐KOMI 理 論 で 展開 す る 記 録 様 式 ‐ . 現 代
社 . 東 京 .2004.
94) 金 井 一 薫 .KOMI 理 論 ‐ 看 護 と は 何 か ,介 護 と は 何 か ‐ .現 代 社 .東 京 .
2004.143-149.
95) Stineman MG, Rist PM, Kurichi JE, Maislin G. Disability meanings
according to patients and clinicians -imagined recovery choice
pathways-. Qual Life Res, 2009; 18: 389-398.
96) 日 本 作 業 療 法 士 協 会.“ 作 業 ” の 捉 え 方 と 評 価 ・ 支 援 技 術 ‐ 生 活 行 為 の
自 律 に 向 け た マ ネ ジ メ ン ト ‐ . 医 歯 薬 出 版 . 東 京 . 2011.
97) 村 井 千 賀.生 活 行 為 向 上 マ ネ ジ メ ン ト と は.作 業 療 法 ジ ャ ー ナ ル.2013;
47:390-395.
98) Baron K, Kielhofner G, Iyenger A, Goldhammer V, Wolenski J . OSA
Ⅱ ‐ 作 業 に 対 す る 自 己 評 価 使 用 手 引 書 ‐ .改 訂 第 2 版 .山 田 孝,石 井 良 和・
訳 . 日 本 作 業 行 動 研 究 会 . 東 京 . 2005.
99) Kielhofner G・ 編 . 人 間 作 業 モ デ ル ‐ 理 論 と 応 用 ‐ . 改 訂 第 4 版 . 山田
孝 ・ 監 訳 . 協 同 医 書 出 版 社 . 東 京 . 2012.
100) Kasven-Gonzalez N, Souverain R, Miale S. Improving quality of life
through rehabilitation in palliative care -case report-. Palliate
Support Care, 2010; 8: 359-369.
101) 京 極 真 , 山 田 孝 , 石 井 良 和 , 京 極 久 美 , 谷 村 厚 子 . 精 神 科 作 業 療 法 に
お け る 作 業 に 関 す る 自 己 評 価 改 訂 版 ( Occupational Self Assessment
version 2, OSAⅡ )日 本 語 版 の 再 テ ス ト 信 頼 性 .作 業 行 動 研 究 .2006;9:
64
11-16.
102) 茨 城 県 保 健 福 祉 部.新 茨 城 県 地 域 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 指 針.
(オンライ
ン). < URL: http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/hoken/koso/
localhealth/rehabilitation/download/guide.pdf > .
( 参 照 2013.12.3).
103)福 原 俊 一 ,鈴 鴨 よ し み .SF-8™日 本 語 版 マ ニ ュ ア ル .NPO 健 康 医 療 評 価
研 究 機 構 . 東 京 . 2004.
104) 山 路 協 , 大 島 美 生 , 大 楠 和 之 , 小 山 裕 佳 , 西 野 充 , 舩 橋 真 行 , 松 山 武
史 .回 復 期 リ ハ ビ リ 病 棟 入 院 患 者 の 移 動 能 力 に お け る 目 標 達 成 率 ‐ 目 標設
定 の 妥 当 性 の 検 討 ‐ . 耳 原 病 院 医 報 . 2007;25:42-45.
105) 花 岡 寿 満 子 . 上 肢 の 協 調 性 ・ 巧 緻 性 を 妨 げ る 因 子 は , ま た 上 肢 の 機 能
回 復 予 後 は.脳 卒 中 最 前 線 ‐ 第 3 版 ‐ .福 井 圀 彦,藤 田 勉 ,宮 坂 元 麿・編 .
医 歯 薬 出 版 . 東 京 . 2003.169-173.
106) 田 丸 冬 彦 , 金 井 敏 男 . 歩 行 を あ き ら め る の は ど ん な と き か . 脳 卒 中 最
前線‐第 3 版‐.福井圀彦,藤田勉,宮坂元麿・編.医歯薬出版.東京.
2003.137-146.
107) Williams RC, Steig RL. Validity and therapeutic efficacy of
individual patient goal attainment procedures in a chronic pain
treatment centre. Clin J Pain, 1987; 2: 219-228.
108) 石 井 良 和 , 石 井 奈 智 子 , 林 千 栄 子 . 目 的 的 作 業 課 題 と フ ロ ー 概 念 に 関
す る 考 察 . 秋 田 大 学 医 学 部 保 健 学 科 紀 要 . 2007;15:26-33.
109) 高 木 雅 之 , 吉 川 ひ ろ み . 身 体 障 害 者 施 設 入 所 者 に 対 す る パ ソ コ ン を 使
用 し た プ ロ グ ラ ム が 作 業 遂 行 及 び 健 康 感 に 与 え る 影 響 .作 業 療 法 .2008;
27:522-532.
110) 谷 口 明 広 .障 害 を も つ 人 た ち の 自 立 生 活 と ケ ア マ ネ ジ メ ン ト ‐ IL 概 念
と エ ン パ ワ メ ン ト の 視 点 か ら ‐ .ミ ネ ル ヴ ァ 書 房 .京 都 .2005.145-157.
111) 篠 原 和 也 , 山 田 孝 . 脳 卒 中 維 持 期 の 対 象 者 に 人 間 作 業 モ デ ル を 用 い た
実 験 群 と そ れ 以 外 の 理 論 を 用 い た 統 制 群 の 作 業 療 法 効 果 の 比 較 検 証 .作業
療 法 .2010;29: 422-434.
112) Oberg T, Oberg U, Sviden G, Nordwall Persson A. Functional capacity
after hip arthroplasty -a comparison between evaluation with three
standard instruments and a personal interview-. Scand J Occup Ther,
2005; 12: 18-28.
113) Alejandro J. ラ ン ダ ム 化 比 較 試 験 . 舟 喜 光 一 , 津 谷 喜 一 郎 ・ 訳 . じほ
う . 東 京 .2004. 1-10.
114) 千 野 直 一 ,園 田 茂 ,里 宇 明 元 ,道 免 和 久 .脳 卒 中 患 者 の 機 能 評 価 ‐SIAS
と FIM の 実 際 ‐.シ ュ プ リ ン ガ ー・フ ェ ア ラ ー ク 東 京 .東 京 .1997.43-98.
115) Scobbie L, Wyke S, Dixon D. Identifying and applying psychological
theory to setting and achieving rehabilitation goals. Clin Rehabil ,
2009; 23: 321-333.
116) 吉 川 ひ ろ み:カ ナ ダ 作 業 遂 行 測 定( COPM).OT ジ ャ ー ナ ル .2004;38:
65
563-566.
117) 山 田 孝 . 協 業 collaboration と は 何 か .作 業 行 動 研 究 .2002;6: 1-6.
118) 小 林 正 義 .作 業 を 通 し て 人 と 接 す る た め に .コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス キ ル
の 磨 き 方 . 澤 俊 二 , 鈴 木 孝 治 ・ 編 . 医 歯 薬 出 版 . 東 京 . 2007. 16-25.
119) 安 梅 勅 江 . コ ミ ュ ニ テ ィ ・ エ ン パ ワ メ ン ト の 技 法 ‐ 当 事 者 主 体 の 新 し
い シ ス テ ム づ く り ‐ . 医 歯 薬 出 版 . 東 京 . 2005.2-15.
66
資
別紙
別紙
別紙
別紙
別紙
1
2
3
4
5
料
入 院 時 調 査 票( 患 者 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
入 院 時 調 査 票( セ ラ ピ ス ト 用)・・・・・・・・・・・・・・・ 70
退 院 時 調 査 票( 患 者 用 )・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74
退 院 時 調 査 票( セ ラ ピ ス ト 用)・・・・・・・・・・・・・・・ 82
退 院 後 1 カ 月・ 3 カ 月 調 査票( 患 者 用)・・・・・・・・・・・ 84
67
別紙 1
入院時調査票(患者用)
平成 21~23 年度 茨城県立医療大学地域貢献研究
長期的な在宅生活の継続を目指したリハビリテーション医療に関する研究
「いつまでもいきいき生活プロジェクト」
入院時調査票
この調査票は、ご本人様への質問です。
フリガナ
ID.
患者氏名:
記入日
平成
年
月
日
調査実施者
職種
氏名
この研究は茨城県立医療大学倫理委員会の承認を得ており、ご協力いただく皆様に不利益がないよう万全の注意
を払って行われています。また対象患者様には、研究協力の御同意を頂いております。
実施にあたり、本調査票は対象患者様の初期カンファレンス後に、研究関係者より渡され、回収は適宜行います。
なお、この調査票の提出に関わらず、研究協力について、不利益を受けずにいつでも撤回することができます。
研究への協力に際してご意見ご質問などございましたら、気軽に研究関係者にお尋ねください。
(問い合わせ先)
研究責任者
茨城県立医療大学
保健医療学部
理学療法学科
教授
水上昌文
研究分担者
茨城県立医療大学
保健医療学部
作業療法学科
助教
千田直人
理学療法学科
准教授
上岡裕美子
68
1.退院までに目標としている活動を項目中から選び、☑印を付けて下さい。複数回答可。
項目以外に目標があれば、
「その他の目標」欄に具体的にご記入下さい。また、☑印か記入した目標の中から
重要な目標を3つ選び、より重要なものから下端の1~3位の( )欄に番号をご記入下さい。
目標とは、達成したい、達成しなければならない現実的な事柄を指します。
□
1
□
2
□
3
□
4
□
5
□
□
6
7
□
8-1
□
8-2
□
8-3
□
9-1
□
9-2
□
□
セルフケア
入浴、シャワー、洗面
□
18
歯磨き、爪きり、整髪、髭剃り、化粧、
義歯の手入れ
□
19-1
□
19-2
排尿、排便、生理のケア
衣服、靴下、靴、装具などの着脱
□
20-1
□
20-2
食べること、はし・フォークなどの使用、
ふた・袋を開ける
飲み物・薬を飲む、ビン・缶を開ける、
コップ・ストローの使用
体温や明かりへの配慮、
食事や体調の管理
□
□
物を持って運ぶ
手の使用(つまむ、握る、手を伸ばす、
ドアの把手を回すなど)
10
歩行と移動(屋内の移動、屋外の移動、
段差・階段の昇り降り、走る、車いす等
を使った移動など)
11
公共交通機関の利用、
自動車・自転車などの運転
対人関係
□
21
人の気持ちに対する適切な対応、感情
コントロール、社会ルールに従う
□
22
家族、友人、異性、職場・学校の
人との関係を作り、保つ
□
23
□
24
□
25
□
26
□
27
□
28
□
29
□
30
□
31
理解する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
13
表出する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
□
32
□
33
14
電話、パソコンなどの利用
□
34
□
15
□
16
□
17
重要な目標
: 1位(
教育機関で学ぶ(高等学校、大学、職業
訓練など)
仕事(報酬あり・報酬なし)、職探し
金銭管理(貯蓄、資産管理・運用等)
コミュニティライフ・社会生活・市民生活
12
学習と知識の応用
注意して見る、聞く、味わう、感じる
読み、書き、計算、技能習得
集中、思考、問題解決、意思決定
買い物
食事の準備・後片付け
洗濯、掃除、ごみ捨てなど
縫い物、アイロン、植物・動物の世話
家族の世話や援助など
主要な生活領域
運動・移動
寝起き、立ち座りなどの動作
座位・立位の保持
ベッド・椅子などへの乗り移り
コミュニケーション
□
家庭生活
社会生活上の集まりへの参加(式典、
冠婚葬祭、諸団体、サークルなど)
余暇活動(趣味、スポーツ、人との交流、
遊びなど)
宗教的な活動(仏壇や神棚の世話、
お墓・寺院・教会などを訪れる)
自己決定を行う、人権の享受
選挙など社会・政治的活動に関与する
一般的な課題と要求
1 つの課題を成し遂げる
複数の課題を成し遂げる
日課の管理と達成
ストレス・危機などへの対処
その他の目標
□
35
□
36
) 2位(
) 3位(
)
69
別紙 2
入院時調査票(TH 用)
平成 21~23 年度 茨城県立医療大学地域貢献研究
長期的な在宅生活の継続を目指したリハビリテーション医療に関する研究
「いつまでも生き生き生活プロジェクト」
入院時調査票
理学療法士
この調査票は、上記患者様の担当 作業療法士
への質問です。
フリガナ
ID.
患者氏名:
記入日
平成
年
月
日
記入者
氏名
この研究は茨城県立医療大学倫理委員会の承認を得ており、ご協力いただく皆様に不利益がないよう万全の注意
を払って行われています。また対象患者様には、研究協力の御同意を頂いております。
実施にあたり、本調査票は対象患者様の初期カンファレンス後に、研究関係者より渡され、回収は適宜行います。
なお、この調査票の提出に関わらず、研究協力について、不利益を受けずにいつでも撤回することができます。
研究への協力に際してご意見ご質問などございましたら、気軽に研究関係者にお尋ねください。
(問い合わせ先)
研究責任者
茨城県立医療大学
保健医療学部
理学療法学科
教授
水上昌文
研究分担者
茨城県立医療大学
保健医療学部
作業療法学科
助教
千田直人
理学療法学科
准教授
上岡裕美子
70
1.退院までに目標としている活動を項目中から選び、☑印を付けて下さい。複数回答可。
項目以外に目標があれば、
「その他の目標」欄に具体的にご記入下さい。また、☑印か記入した目標の中から
重要な目標を3つ選び、より重要なものから下端の1~3位の( )欄に番号をご記入下さい。
目標とは、達成したい、達成しなければならない現実的な事柄を指します。
□
1
□
2
□
3
□
4
□
5
□
□
6
7
□
8-1
□
8-2
□
8-3
□
9-1
□
9-2
□
□
セルフケア
入浴、シャワー、洗面
□
18
歯磨き、爪きり、整髪、髭剃り、化粧、
義歯の手入れ
□
19-1
□
19-2
排尿、排便、生理のケア
衣服、靴下、靴、装具などの着脱
□
20-1
□
20-2
食べること、はし・フォークなどの使用、
ふた・袋を開ける
飲み物・薬を飲む、ビン・缶を開ける、
コップ・ストローの使用
体温や明かりへの配慮、
食事や体調の管理
□
□
物を持って運ぶ
手の使用(つまむ、握る、手を伸ばす、
ドアの把手を回すなど)
10
歩行と移動(屋内の移動、屋外の移動、
段差・階段の昇り降り、走る、車いす等
を使った移動など)
11
公共交通機関の利用、
自動車・自転車などの運転
対人関係
□
21
人の気持ちに対する適切な対応、感情
コントロール、社会ルールに従う
□
22
家族、友人、異性、職場・学校の
人との関係を作り、保つ
□
23
□
24
□
25
□
26
□
27
□
28
□
29
□
30
□
31
理解する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
13
表出する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
□
32
□
33
14
電話、パソコンなどの利用
□
34
□
15
□
16
□
17
重要な目標
: 1位(
教育機関で学ぶ(高等学校、大学、職業
訓練など)
仕事(報酬あり・報酬なし)、職探し
金銭管理(貯蓄、資産管理・運用等)
コミュニティライフ・社会生活・市民生活
12
学習と知識の応用
注意して見る、聞く、味わう、感じる
読み、書き、計算、技能習得
集中、思考、問題解決、意思決定
買い物
食事の準備・後片付け
洗濯、掃除、ごみ捨てなど
縫い物、アイロン、植物・動物の世話
家族の世話や援助など
主要な生活領域
運動・移動
寝起き、立ち座りなどの動作
座位・立位の保持
ベッド・椅子などへの乗り移り
コミュニケーション
□
家庭生活
社会生活上の集まりへの参加(式典、
冠婚葬祭、諸団体、サークルなど)
余暇活動(趣味、スポーツ、人との交流、
遊びなど)
宗教的な活動(仏壇や神棚の世話、
お墓・寺院・教会などを訪れる)
自己決定を行う、人権の享受
選挙など社会・政治的活動に関与する
一般的な課題と要求
1 つの課題を成し遂げる
複数の課題を成し遂げる
日課の管理と達成
ストレス・危機などへの対処
その他の目標
□
35
□
36
) 2位(
) 3位(
)
71
2.入院期間中に目標としている活動を3つ以内で挙げて下さい。
また、それらについて退院時点の目標到達予測を5段階で定めて下さい。
なお、5段階の到達予測の作成は、裏面のスケール作成例を参照して行い、下記の□1には現状(-2)を、
□3には目標到達予測(0)を、□2には予測よりやや低い段階(-1)を、□4には予測よりやや高い段階
(1)を、□5には予測より高い段階(2)を記入して下さい。
目標とする活動
スケール
①
□1
□2
□3
□4
□5
②
□1
□2
□3
□4
□5
③
□1
□2
□3
□4
□5
72
理学療法目標 スケール作成例
目標とする活動
排尿・排便
(トイレ動作)
歩行移動
(距離延長)
買い物に行く
(杖歩行にて)
達成度
-2(現状)
-1
0(目標)
1
2
-2(現状)
-1
0(目標)
1
2
-2(現状)
-1
0(目標)
1
2
スケール
車いす移動でトイレにて中介助
車いす移動でトイレにて軽介助
車いす移動でトイレにて自立(夜間はおむつ)
車いす移動でトイレにて自立、夜間は尿器にて自立
昼間・夜間共に車いす移動でトイレにて自立
150m 以内を歩行器 or 四点杖使用にて休まず歩行する
150m 以上を歩行器 or 四点杖使用にて休まず歩行する
300m 以上を歩行器 or 四点杖使用にて歩行する
600m 以上を歩行器 or 四点杖使用にて歩行する
600m 以上を歩行器 or 四点杖使用にて歩行し、短距離なら支持物なし
外出は家の周りの散歩のみ
コンビニへ家族の付き添いで買い物に行く
コンビニへ1人で買い物に行く
コンビニ以外へも買い物に行く(1ヶ所)
コンビニ以外へも買い物に行く(2ヶ所以上、日によって様々な所)
作業療法目標 スケール作成例
自助具を使って
手の爪を切る
4人分の夕食を
作る
電動4輪車
(シニアカー)で
移動する
-2(現状)
-1
0(目標)
1
2
-2(現状)
-1
0(目標)
1
2
-2(現状)
-1
0(目標)
1
2
多くの介助で、手の爪を切る
見守りで、手の爪を切る
ひとりで、手の爪を切る
軽度の介助で、自助具を使わずに、手の爪を切る
ひとりで、自助具を使わずに、手の爪を切る
多くの介助で、中等度の身体努力と非効率性を伴って行う
軽度の介助で、中等度の身体努力と非効率性を伴って行う
軽度の介助で、軽度の身体努力と非効率性を伴って行う
ひとりで、軽度の身体努力と非効率性を伴って行う
ひとりで、身体努力なく効率的に行う
見守りで、100m程度、移動する
ひとりで、100m程度、移動する
ひとりで、1km程度、移動する
ひとりで、数km程度、移動する
見守りで、1km程度、移動する(自動車)
□1:予測より低い -2(現状) □2:予測よりやや低い-1 □3:予測レベル0(目標)
□4:予測よりやや高い1
□5:予測より高い
73
別紙 3 退院時調査票(患者用)
*本研究では,質問番号 2-4(HR-QOL,目標達成度,目標一致度)を分析に用いた。
平成 21~23 年度 茨城県立医療大学地域貢献研究
長期的な在宅生活の継続を目指したリハビリテーション医療に関する研究
「いつまでもいきいき生活プロジェクト」
研究代表者
水上昌文(保健医療学部)
退院時調査票
この調査票は、ご本人様への質問です。
フリガナ
ID.
患者氏名:
記入日
平成
年
月
日
この研究は茨城県立医療大学倫理委員会の承認を得ており、ご協力いただく皆様に不利益がないよう万全の注
意を払って行われています。なお、この調査票の提出に関わらず、研究協力について、不利益を受けずにいつで
も撤回することができます。
研究への協力に際してご意見ご質問などございましたら、気軽に研究関係者にお尋ね下さい。
(問い合わせ先)
研究責任者
茨城県立医療大学
保健医療学部
理学療法学科
教授
水上昌文
研究分担者
茨城県立医療大学
保健医療学部
作業療法学科
助教
松田智行
74
1.実際に行っている活動の頻度についてお伺いします。当てはまる頻度に☑を付けて下さい。
1)食事の用意をしていますか。
(買い物は含まない)
□していない □まれにしている □時々(週に 1-3 回程度)している □週に 3 回以上している
2)食事の後かたづけをしていますか。
□していない □まれにしている □時々(週に 1-3 回程度)している □週に 3 回以上している
3)洗濯をしていますか。
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
4)掃除や整頓をしていますか。
(ほうきや掃除機を使った掃除、衣類や身の回りの整理整頓など)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
5)力仕事をしていますか。
(布団の上げ下ろし、ぞうきんで床をふく、家具の移動や荷物の運搬など)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
6)買い物をしていますか。
(自分で選んだり購入したりすること)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
7)外出をしていますか。
(映画、観劇、食事、酒飲み、会合など)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
8)散歩、買い物、外出のために少なくとも 15 分以上歩いていますか。
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
9)園芸、編み物、スポーツなどの趣味を行っていますか。
(テレビ鑑賞は含まない)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
10)自転車、車、バス、電車、飛行機などの交通手段を利用していますか。
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
75
11)車、バス、電車、飛行機などに乗って楽しみのための旅行をしていますか。
(仕事は含まない)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
12)庭仕事をしていますか。
□していない
□草抜き、芝刈り、水撒き、庭掃除などの庭仕事を時々している
□定期的にしている
□庭仕事を定期的にしている。必要があれば掘り起こし、植えかえなどの作業もしている
13)家や車の手入れをしていますか。
□していない
□電球その他の部品の取り替え、ねじ止めなどをしている
□ペンキ塗り、室内の模様替え、車の点検、洗車などもしている
□ペンキ塗り、室内の模様替え、車の点検、洗車などのほか、家の修理や車の整備もしている
14)読書をしていますか。
(新聞、週刊誌、パンフレットなどは含まない)
□読んでいない □まれに読んでいる □時々読んでいる(月に 1 回程度)
□読んでいる(月に 2 回以上)
15)仕事をしていますか。
(勤務形態を問わず収入を得る仕事。ボランティア活動は含まない)
□していない
□週に1~9時間働いている
□週に10~29時間働いている
□週に 30 時間以上働いている
76
2.ご自分の健康をどのように考えているかについてお伺いします。
毎日をどのように感じ、日常の活動をどのくらい自由にできるかを知るうえで参考になりますので、当て
はまるものに☑を付けて下さい。
77
78
3.現在の活動状況についてお伺いします。当てはまるものに☑を付けて下さい。
目標とする活動
スケール
①
□1
入院時調査(TH 用)を添付
□2
□3
□4
□5
②
□1
□2
□3
□4
□5
③
□1
□2
□3
□4
□5
79
目標とする活動
スケール
④
□1
□2
□3
□4
□5
⑤
□1
□2
□3
□4
□5
⑥
□1
□2
□3
□4
□5
4.退院後3ヵ月までに目標としている活動を項目中から選び、☑印を付けて下さい。複数回答可。
80
項目以外に目標があれば、
「その他の目標」欄に具体的にご記入下さい。また、☑印か記入した目標の中から
重要な目標を3つ選び、より重要なものから下端の1~3位の( )欄に番号をご記入下さい。
目標とは、達成したい、達成しなければならない現実的な事柄を指します。
□
1
□
2
□
3
□
4
□
5
□
□
6
7
□
8-1
□
8-2
□
8-3
□
9-1
□
9-2
□
□
セルフケア
入浴、シャワー、洗面
□
18
歯磨き、爪きり、整髪、髭剃り、化粧、
義歯の手入れ
□
19-1
□
19-2
排尿、排便、生理のケア
衣服、靴下、靴、装具などの着脱
□
20-1
□
20-2
食べること、はし・フォークなどの使用、
ふた・袋を開ける
飲み物・薬を飲む、ビン・缶を開ける、
コップ・ストローの使用
体温や明かりへの配慮、
食事や体調の管理
□
□
物を持って運ぶ
手の使用(つまむ、握る、手を伸ばす、
ドアの把手を回すなど)
10
歩行と移動(屋内の移動、屋外の移動、
段差・階段の昇り降り、走る、車いす等
を使った移動など)
11
公共交通機関の利用、
自動車・自転車などの運転
対人関係
□
21
人の気持ちに対する適切な対応、感情
コントロール、社会ルールに従う
□
22
家族、友人、異性、職場・学校の
人との関係を作り、保つ
□
23
□
24
□
25
□
26
□
27
□
28
□
29
□
30
□
31
理解する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
13
表出する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
□
32
□
33
14
電話、パソコンなどの利用
□
34
□
15
□
16
□
17
重要な目標
: 1位(
教育機関で学ぶ(高等学校、大学、職業
訓練など)
仕事(報酬あり・報酬なし)、職探し
金銭管理(貯蓄、資産管理・運用等)
コミュニティライフ・社会生活・市民生活
12
学習と知識の応用
注意して見る、聞く、味わう、感じる
読み、書き、計算、技能習得
集中、思考、問題解決、意思決定
買い物
食事の準備・後片付け
洗濯、掃除、ごみ捨てなど
縫い物、アイロン、植物・動物の世話
家族の世話や援助など
主要な生活領域
運動・移動
寝起き、立ち座りなどの動作
座位・立位の保持
ベッド・椅子などへの乗り移り
コミュニケーション
□
家庭生活
社会生活上の集まりへの参加(式典、
冠婚葬祭、諸団体、サークルなど)
余暇活動(趣味、スポーツ、人との交流、
遊びなど)
宗教的な活動(仏壇や神棚の世話、
お墓・寺院・教会などを訪れる)
自己決定を行う、人権の享受
選挙など社会・政治的活動に関与する
一般的な課題と要求
1 つの課題を成し遂げる
複数の課題を成し遂げる
日課の管理と達成
ストレス・危機などへの対処
その他の目標
□
35
□
36
) 2位(
) 3位(
)
81
別紙 4
退院時調査票(TH 用)
平成 21~23 年度 茨城県立医療大学地域貢献研究
長期的な在宅生活の継続を目指したリハビリテーション医療に関する研究
「いつまでも生き生き生活プロジェクト」
退院時調査票
理学療法士
この調査票は、上記患者様の担当 作業療法士
への質問です。
フリガナ
ID.
患者氏名:
記入日
平成
年
月
日
記入者
氏名
この研究は茨城県立医療大学倫理委員会の承認を得ており、ご協力いただく皆様に不利益がないよう万全の注意
を払って行われています。なお、この調査票の提出に関わらず、研究協力について、不利益を受けずにいつでも撤
回することができます。
研究への協力に際してご意見ご質問などございましたら、気軽に研究関係者にお尋ね下さい。
(問い合わせ先)
研究責任者
茨城県立医療大学
保健医療学部
理学療法学科
教授
水上昌文
研究分担者
茨城県立医療大学
保健医療学部
作業療法学科
助教
千田直人
理学療法学科
准教授
上岡裕美子
82
1.退院後3ヵ月までに目標としている活動を項目中から選び、☑印を付けて下さい。複数回答可。
項目以外に目標があれば、
「その他の目標」欄に具体的にご記入下さい。また、☑印か記入した目標の中から
重要な目標を3つ選び、より重要なものから下端の1~3位の( )欄に番号をご記入下さい。
目標とは、達成したい、達成しなければならない現実的な事柄を指します。
□
1
□
2
□
3
□
4
□
5
□
□
6
7
□
8-1
□
8-2
□
8-3
□
9-1
□
9-2
□
□
セルフケア
入浴、シャワー、洗面
□
18
歯磨き、爪きり、整髪、髭剃り、化粧、
義歯の手入れ
□
19-1
□
19-2
排尿、排便、生理のケア
衣服、靴下、靴、装具などの着脱
□
20-1
□
20-2
食べること、はし・フォークなどの使用、
ふた・袋を開ける
飲み物・薬を飲む、ビン・缶を開ける、
コップ・ストローの使用
体温や明かりへの配慮、
食事や体調の管理
□
□
物を持って運ぶ
手の使用(つまむ、握る、手を伸ばす、
ドアの把手を回すなど)
10
歩行と移動(屋内の移動、屋外の移動、
段差・階段の昇り降り、走る、車いす等
を使った移動など)
11
公共交通機関の利用、
自動車・自転車などの運転
対人関係
□
21
人の気持ちに対する適切な対応、感情
コントロール、社会ルールに従う
□
22
家族、友人、異性、職場・学校の
人との関係を作り、保つ
□
23
□
24
□
25
□
26
□
27
□
28
□
29
□
30
□
31
理解する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
13
表出する(話し言葉、ジェスチャー、
書き言葉など)
□
32
□
33
14
電話、パソコンなどの利用
□
34
□
15
□
16
□
17
重要な目標
: 1位(
教育機関で学ぶ(高等学校、大学、職業
訓練など)
仕事(報酬あり・報酬なし)、職探し
金銭管理(貯蓄、資産管理・運用等)
コミュニティライフ・社会生活・市民生活
12
学習と知識の応用
注意して見る、聞く、味わう、感じる
読み、書き、計算、技能習得
集中、思考、問題解決、意思決定
買い物
食事の準備・後片付け
洗濯、掃除、ごみ捨てなど
縫い物、アイロン、植物・動物の世話
家族の世話や援助など
主要な生活領域
運動・移動
寝起き、立ち座りなどの動作
座位・立位の保持
ベッド・椅子などへの乗り移り
コミュニケーション
□
家庭生活
社会生活上の集まりへの参加(式典、
冠婚葬祭、諸団体、サークルなど)
余暇活動(趣味、スポーツ、人との交流、
遊びなど)
宗教的な活動(仏壇や神棚の世話、
お墓・寺院・教会などを訪れる)
自己決定を行う、人権の享受
選挙など社会・政治的活動に関与する
一般的な課題と要求
1 つの課題を成し遂げる
複数の課題を成し遂げる
日課の管理と達成
ストレス・危機などへの対処
その他の目標
□
35
□
36
) 2位(
) 3位(
)
83
別紙 5 退院後 1 カ月・3 カ月調査票(患者用)
*本研究では,質問番号 13(HR-QOL)を分析に用いた。
平成 21~23 年度 茨城県立医療大学地域貢献研究
長期的な在宅生活の継続を目指したリハビリテーション医療に関する研究
「いつまでもいきいき生活プロジェクト」
研究代表者
水上昌文(保健医療学部)
退院後フォローアップ調査票
この調査票は、退院されたご本人様への質問です。
フリガナ
ID.
患者氏名:
退院後 1 ヶ月、3 ヶ月、6 ヶ月、1 ヵ年、2 ヵ年 調査
記入日
平成
年
月
日
記入者に☑を付けて下さい。
□本人
□同居者
□介護支援専門員(ケアマネージャー)
□その他(
)
この研究は茨城県立医療大学倫理委員会の承認を得ており、ご協力いただく皆様に不利益がないよう万全の注
意を払って行われています。なお、この調査票の提出に関わらず、研究協力について、不利益を受けずにいつで
も撤回することができます。
研究への協力に際してご意見ご質問などございましたら、気軽に研究関係者にお尋ね下さい。
(問い合わせ先)
研究責任者
茨城県立医療大学
保健医療学部
理学療法学科
教授
水上昌文
研究分担者
茨城県立医療大学
保健医療学部
作業療法学科
助教
松田智行
84
1.現在お住まいについて、当てはまるものに☑を付けて下さい。
□自宅(入院前と同じ) □自宅(他家族などの)
□介護保険施設
□介護付き住宅
□他医療機関 □その他(
)
2.現在の家族構成について、当てはまるものに☑を付けて下さい。
□単身
□夫婦二人
□夫婦と子ども
□2 世代世帯
□その他(
)
3.現在、何らかの介護・介助を受けていますか。当てはまるものに☑を付けて下さい。
□受けている
□受けていない
□以前、受けていたが今は受けていない
「受けている」とお答えいただいた方のみにお伺いします。
1)次のうちどなたから介護・介助を受けていますか。当てはまるもの全てに ☑を付けて下さい。
□夫
□妻
□父
□ホームヘルパー
□母
□看護師
□嫁
□息子
□施設職員
□娘
□孫
□親族 □友人・知人
□その他(
)
2)その介護・介助はどのような内容ですか。当てはまるもの全てに ☑を付けて下さい。
□排泄行為
□外出
□入浴行為
□家事援助 □身体清潔 □移動 □移乗 □食事 □更衣
□その他(
)
4.介護保険を利用していますか。当てはまるものに☑を付けて下さい。
□要支援1 □要支援2 □要介護1 □要介護2
□要介護3 □要介護4 □要介護5
□利用していない
5.障害者自立支援法の障害区分認定を受けていますか。当てはまるものに☑を付けて下さい。
□区分1 □区分2 □区分3 □区分4 □区分5 □区分6 □認定を受けていない
6.公的な社会保障に関する認定を受けていますか。当てはまるものに☑を付けて下さい。
□労働災害保険 □身体障害手帳
その他(
□生活保護
□受けていない
)
85
7.利用しているサービスについてお伺いします。前回の調査結果を参考にしていただき、変更がない場合は、
「前回調査と変更なし」に☑をつけて下さい。
□前回調査と変更あり
□前回調査と変更なし
「前回調査と変更あり」とお答えいただいた方のみ、現在利用しているサービスについて、当てはまるもの
全てに☑を付けて下さい。また、1 ヶ月間の利用頻度を教えて下さい。
利用サービス
利用サービス機関
利用頻度
□
1
訪問診療(医師の訪問診療)
月
回
□
2
訪問看護(看護師)
月
回
□
3
訪問介護(ホームヘルプ)
月
回
□
4
訪問リハビリテーション
月
回
月
回
月
回
(理学・作業療法士、言語聴覚士)
□
5
通所介護・リハビリテーション
(デイサービス・デイケア)
□
6
短期入所
(ショートスティ)
□
7
共同生活介護(ケアホーム)
共同生活援助(グループホーム)
□
8
外来通院(医師の診察)
月
回
□
9
外来通院
月
回
月
回
月
回
月
回
(理学療法士の診療)
□
10
外来通院
(作業療法士の診療)
□
11
外来通院
(言語聴覚士の診療)
□
12
その他
8.福祉用具を使用していますか。
□使用している
□使用していない
□以前、使用していたが今は使用していない
「使用している」とお答えいただいた方のみ、使用しているもの全てに☑を付けて下さい。
□介護用ベッド
□ポータブルトイレ
□移動用リフト
□昇降機 □その他(
□歩行補助具(杖、歩行器)□車いす
)
86
9.前回調査後、住宅改修をしましたか。前回の調査結果を参考として、当てはまるものに☑を付けて下さい。
□前回調査後改修をした
□改修をしていない
「前回調査後改修をした」とお答えいただいた方のみにお伺いします。いつ頃改修を行いましたか。
年
月
ごろ
その改修箇所の全てに☑を付けて下さい。
手すりの設置
段差解消
面積の変更
屋外・敷地
□
□
□
玄関
□
□
□
廊下
□
□
□
寝室
□
□
□
階段
□
□
□
トイレ(排泄)
□
□
□
浴室(入浴)
□
□
□
その他の改修内容
□その他の改修箇所・内容
(
)
10.ここ最近の 2 週間で転倒しましたか。当てはまるものに☑を付けて下さい。
□0 回
□1回
□2回以上(具体的な回数
回)
「1回以上、転倒した」とお答えいただいた方のみにお伺いします。
1)転倒した場所はどこですか。当てはまるもの全てに ☑を付けて下さい。
□玄関
□廊下
□トイレ
□ベッド周り
□浴室
□階段
□その他(
)
2)転倒した時間はいつですか。当てはまるもの全てに ☑を付けて下さい。
□明け方
□日中
□夜間
3)どのような状況で転倒しましたか。当てはまるもの全てに ☑を付けて下さい。
□歩行時
□ベッド・車いすなどの乗り移り時
□入浴時(洗体時も含む)
□その他(
□段差昇降時
□トイレ動作時
)
87
11.実際に行っている日常生活活動の状況についてお伺いします。18 項目の全ての動作や事柄について、それぞれ
「はい」
「いいえ」の選択肢に従い、該当する番号「1~7」に1つだけ○を付けて下さい。
88
89
90
91
92
93
94
95
96
12.実際に行っている活動の頻度についてお伺いします。当てはまる頻度に☑を付けて下さい。
1)食事の用意をしていますか。
(買い物は含まない)
□していない □まれにしている □時々(週に 1-3 回程度)している □週に 3 回以上している
2)食事の後かたづけをしていますか。
□していない □まれにしている □時々(週に 1-3 回程度)している □週に 3 回以上している
3)洗濯をしていますか。
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
4)掃除や整頓をしていますか。
(ほうきや掃除機を使った掃除、衣類や身の回りの整理整頓など)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
5)力仕事をしていますか。
(布団の上げ下ろし、ぞうきんで床をふく、家具の移動や荷物の運搬など)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
6)買い物をしていますか。
(自分で選んだり購入したりすること)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
7)外出をしていますか。
(映画、観劇、食事、酒飲み、会合など)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
8)散歩、買い物、外出のために少なくとも 15 分以上歩いていますか。
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
9)園芸、編み物、スポーツなどの趣味を行っていますか。
(テレビ鑑賞は含まない)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
10)自転車、車、バス、電車、飛行機などの交通手段を利用していますか。
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
97
11)車、バス、電車、飛行機などに乗って楽しみのための旅行をしていますか。
(仕事は含まない)
□していない □まれにしている □時々(月に 1-3 回)している □週に 1 回以上している
12)庭仕事をしていますか。
□していない
□草抜き、芝刈り、水撒き、庭掃除などの庭仕事を時々している
□定期的にしている
□庭仕事を定期的にしている。必要があれば掘り起こし、植えかえなどの作業もしている
13)家や車の手入れをしていますか。
□していない
□電球その他の部品の取り替え、ねじ止めなどをしている
□ペンキ塗り、室内の模様替え、車の点検、洗車などもしている
□ペンキ塗り、室内の模様替え、車の点検、洗車などのほか、家の修理や車の整備もしている
14)読書をしていますか。
(新聞、週刊誌、パンフレットなどは含まない)
□読んでいない □まれに読んでいる □時々読んでいる(月に 1 回程度)
□読んでいる(月に 2 回以上)
15)仕事をしていますか。
(勤務形態を問わず収入を得る仕事。ボランティア活動は含まない)
□していない
□週に1~9時間働いている
□週に10~29時間働いている
□週に 30 時間以上働いている
98
13.ご自分の健康をどのように考えているかについてお伺いします。
毎日をどのように感じ、日常の活動をどのくらい自由にできるかを知るうえで参考になりますので、当て
はまるものに☑を付けて下さい。
99
100
14.退院後の生活について相談できる方はいますか。当てはまるものに☑を付けて下さい。
□いる
□いない
「いる」と答えていただいた方のみにお伺いします。
相談できる方は次のうちどなたですか。当てはまるもの全てに ☑を付けて下さい。
□介護支援専門員(ケアマネージャー)
□親類・親族
□その他(
)
15.前回の調査後、困っていることがありましたら下記にお書き下さい。
以上で、退院されたご本人様への質問は終わりです。ご協力いただき誠にありがとうございました。
101