日本産業用無人航空機協会について 日本産業用無人航空機協会 事務局 北川 靖 皆さんは、実は日本が隠れた無人航空機大国なのを御存知でしょうか。 今日現在で 産業用 と 冠された2,000機近い無人航空機が日本の空を飛んでおり、今後も様々な分野にその活躍の場 を拡げるものと期待されています。日本産業用無人航空機協会(JUAV)は、日本で運用される 産業用無人航空機(以下UAV)の安全運航を促進し、UAV市場の健全的育成と発展に寄与する ことを目的として組織された唯一の業界団体です。UAVの利用分野の拡大に伴い、安全性確保に ついて社会からの要請がより高まりつつあります。日本産業用無人航空機協会(JUAV)は、そ の社会的要請に応えるため、業界としてUAVの統一的な安全基準づくりを目指すものです。 UAVの歴史は、10年以上前に有人ヘリコプターによる水田の農薬散布を効率的に補うために 我が国で開発、導入された無人ヘリコプターが始まりですが、その後、無人ヘリコプターの利便性 と農業を取り巻く社会環境の変化に対応して、瞬く間にその数を増やしてきました。 近年では農薬散布だけでなく、治山緑化工事の航空実播や、松くい虫の防除など様々な用途に使 われていますし、有珠山や三宅島の火山観測に活躍したことも記憶に新しいところです。今年は、 自然災害が多い年でしたが、地質、地すべりの観測に使われるなど、従来の農業分野以外での使わ れ方が確実に増加する傾向にあります。 農業分野の用途については、農林水産省所管の(社)農林水産航空協会が、無人ヘリコプターを 農業用途で用いる場合の運用基準を定め、操縦資格や機体の認定等を行っています。一方で、近年 拡大してきた農業分野以外での用途については、 何もそのルールがないのが実態でした。 そのため、 平成14年から産業用無人ヘリコプターの開発、製造、運用に係わる4社(富士重工業株式会社、 川田工業株式会社、ヤマハ発動機株式会社、ヤンマー農機株式会社)で「産業用無人ヘリコプター 検討会」を発足させ、爾来、経済産業省のご指導を受けながら、業界として農業用途以外の無人航 空機の運用に関わる統一的な安全基準ガイドラインの検討に取り組み、平成16年になって、無人 ヘリコプターの安全基準をまとめることができました。 今後はメーカーだけではなく、ユーザーや研究、販売、運用等に関わるものが一体となって当該 安全基準の運用を実効的・統一的に行うことが必要であること、また無人ヘリコプターのみならず 固定翼等を含む無人航空機全体の安全基準を検討していくことが必要であるとの認識から、産業用 無人ヘリコプター検討会を発展的に解消し、 あらたに 「日本産業用無人航空機協会 JAPAN U AV ASSOCIATION (JUAV) 」を発足することとなりました。 平成16年6月30日には、同4社を発起会社として、経済産業省、農林水産省、農林水産航空 協会、日本航空宇宙工業会の御来賓のもと設立発起総会を開催し、設立趣意書、会則案、会費案等 を定め、同9月1日に日本産業用無人航空機協会(JUAV)としての正式な設立に至りました。 その後、10月には川崎重工業株式会社、三菱重工業株式会社が入会し、現在正会員6社で活動し ています。 今後は、会員相互の協力により、安全基準の普及と遵守に努めるとともに、無人航空機全体の安 全基準の整備に向けて活動していく予定です。 日本産業用無人航空機協会(JUAV)の設立趣意、役員及び会員は次の通りです。 <設立趣意書(H16/6/30 制定)> 無人航空機は、 我が国において10年ほど前に最初の産業用無人ヘリコプターが導入されて以来、 近年の農業を取り巻く社会的環境に適応した効率的なツールとして着実な普及を見ており、現在で は1,800機あまりの産業用無人ヘリコプターが主に農業分野で利用されている。このように無 人航空機が民間用途で大規模に利用されている例は世界にもなく、我が国が世界をリードする産業 分野として今後も一層の発展が期待されている。 また、近年の著しい技術進歩は無人航空機の完全自律飛行を可能なものとし、その活躍の場を従 来の無人航空機操縦者の直接目視の範囲内から直接目視の全く及ばない有人航空機の飛行する高度 や空域にまで拡げつつあり、地上局からの遠隔制御による火山観測や台風観測といった分野でも使 われ始めている。 欧米諸国においても、近年、主として軍事用途での無人航空機の利用拡大に伴い、このような有 人航空機の飛行する民間航空管制空域での無人航空機の飛行及び運用を管理するための新たな規則 の必要性が認識されるようになり、欧州では「UVS インターナショナル(国際無人機協会) 」 、米国 では「AUVSI(国際無人機協会) 」が業界を中心として結成され、各国政府機関・航空局と連携して 無人航空機に関する規則のガイドライン策定を積極的に行っている。 一方で、米国での9・11テロ以降、大量破壊兵器の運搬手段となり得る無人航空機について、 大量破壊兵器不拡散の観点からその国際的な取引の規制を求める声が急速に高まりつつあり、また このような声を受けて国内においても無人航空機が反社会的な用途に使われないようより厳密な管 理が求められるところとなり、対象となる無人航空機を一元管理しうる体制の構築が安全保障の観 点からも急務となっている。 我が国においても、このような世界的な動きと協調し、無人航空機の研究、製造、販売、運用等 に関わるものが一体となって、無人航空機に関する技術の発展とその安全かつ健全な利用を促進す ることを目的として、 「日本産業用無人航空機協会」を設立することとしたものである。 <本会の事業> 1. 我が国における無人航空機の安全かつ健全な利用のため必要な各種基準の策定。 2. 我が国における無人航空機の安全かつ健全な利用のため必要な認定制度の制定と運営。 3. 無人航空機の安全かつ健全な利用のため必要な調査、研究及び技術の向上。 4. 無人航空機に係わる各国機関・団体・組織との連絡、調整及び協力。 5. その他、本会の目的達成に必要な諸活動。 <役員構成(敬称略)> 会長:富士重工業株式会社 永井邦芳 副会長:ヤマハ発動機株式会社 内山一雄 理事:富士重工業株式会社 細田慶信 理事:ヤマハ発動機株式会社 鈴木昭彦 理事:ヤンマー農機株式会社 安藤和登 理事:川田工業株式会社 田辺安忠 監事:富士重工業株式会社 北川靖 監事:ヤマハ発動機株式会社 板垣孝文 <正会員(入会順、2004年11月現在)> 富士重工業(株) 、ヤマハ発動機(株) 、ヤンマー農機(株) 、川田工業(株) 、川崎重工業(株) 三菱重工業(株) <事務局> 所在地:宇都宮市陽南1−1−11 富士重工業株式会社内 事務局長:富士重工業株式会社 北川 靖 TEL 028−684−7060 FAX 028−684−7071 JUAVホームページ www.juav.org 以上
© Copyright 2024 Paperzz