上質な出会いを生む「大人の教養①」 ~茶道と歴史、掛け軸の関係~ 本特典について こんにちは。オンライン茶道アカデミー主宰の大澤けい子です。 今回はあなたに特別なプレゼントとして、上質な出会いを生む「大人の教養①」を お送りします。 私が茶道をとおして得たことの集大成ですので、ここにしかないとても貴重なものです。 他では手に入れることができません。 どうぞ最後までよくお読みになって、ぜひ実践に役立ててくださいね。 茶道と歴史、掛け軸の関係 お茶=女性というイメージですが、現在のように女性が表に出てくるようになったのは、 明治時代になってからです。女子の学校教育の中で「礼儀作法」としての茶道が取り上げ られるようになったからです。 それまで、お茶は武家や町人の男性のもので、表舞台に女性が登場することはありません でした。しかし、実際は宮中や武家、商家の奥では女性もお茶をたしなみ、楽しんでいた のです。 1 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved. 今日は歴史上の一人の女性とお茶の関わりにスポットを当ててみたいと思います。 女性として幸せになるためのヒントがたくさん隠されていますよ。 あなたは吉野太夫(よしの だゆう)という名前を聞いたことがありますか? 江戸時代初頭、京都の遊郭(ゆうかく)で太夫という最高の位までのぼりつめた女性です。 家が貧しいためわずか7歳で遊女になった吉野。 天性の美しさと聡明さを兼ね備えていた上に、遊女に必要なあらゆる芸事を仕込まれます。 舞、歌謡、楽器、和歌、書道、華道、香道、そして茶の湯。 もちろん、客の扱い、男性のあしらいまで。 遊女とはいえ太夫になるためにはそれらすべてが完璧にこなせた上に、美貌と女性として の性的魅力を兼ね備えていなければなりません。吉野はすべてに秀でていました。 今の銀座のホステス、祇園の芸妓もとうていかなわないでしょう。 太夫のもとには殿様や豪商、学者などレベルの高い人たちが引きも切らず訪れていました。 いずれも諸芸に秀でた文化人であったことから、その相手をするのには相当高い教養が要 求されました。 日本のハイソサエティーな男性は源氏物語の時代から教養が高く、そのお目がねにかなう 女性になるためには遊女であろうが姫であろうが、ずば抜けた教養が求められたのです。 この吉野太夫のもとに通う男性の中に、年下でイケメン、そのうえ超リッチな紹益(じょ うえき)という名の豪商がいました。太夫と紹益は相思相愛の恋仲となり、ついに紹益に 身請けされます。 しかし、世の中そう甘くはありません。 晴れて紹益の恋女房となったものの、もとは遊女の身。紹益の両親が二人の仲を許すはず 2 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved. もありません。 ふたりは人里離れた侘び住まいを余儀なくされます。 そんな二人のなぐさめは茶の湯であったといいます。 紹益は吉野に贈る短歌を書き、掛物(かけもの・・・掛け軸のことをお茶ではこのように いう)にします。吉野は竹を削り、みずから茶杓を作ります。 きっと、内密に訪れる客を二人してもてなしていたのでしょう。 そんなある日、吉野が一人で留守番をしていると、何やら外で人の声が・・・ 表へ出ると、年配の品のよい夫婦が立ち止まっているではないですか。 どうやら疲れて動けなくなっている様子です。 情け深い吉野は、老夫婦を家に招き寄せます。そして、 「ご覧のとおり質素な暮らしですが、夫婦して毎日茶を点てて心を慰め合っています。お 湯はこのようにいつでも沸いておりますので、どうぞ一服召し上がっていってくださいな」 と干し柿少しと抹茶を差し出したそうです。 3 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved. 老夫婦は飲みなれている様子で抹茶を飲み干し 「このような人里離れたところで、かようにうまい茶を飲ませてもらうとは。 きょうはここを通りかかって本当によかった。礼を申します」と言って、疲れも取れた様 子で小屋をあとにしたのです。 実はこの老夫婦、紹益の父母だったのです。 後日、この小屋で茶を点ててくれたのが、なんと息子の嫁となった吉野と知り大変驚き、 「このような心遣いのできる女性なら息子の嫁として迎え入れよう」と、二人の結婚を許 したのです。 しかし、幸せな日々は永遠には続きませんでした。太夫はそれから 12 年後に亡くなってし まいます。愛妻に先立たれた紹益の落胆ぶりは大変なものでした。 亡くなった太夫の絵を描かせ、掛物にし、太夫の来ていた着物を、茶入れを入れる袋に仕 立てます。 そのしま模様の裂地(きれじ)は、吉野間道(かんどう・・・しま模様)といわれ、今日 まで多くの茶人に愛されてきました。 吉野太夫と茶の関わり、おわかりいただけたでしょうか? まとめてみますと ① 上質な人は教養が高い。上質な人と出会うためには、自分も同程度の教養が必要 ② 上質な人を自分のものにし、まわりに認めさせるには茶道が助けになる ③ 上質な人と結ばれたのち、二人の仲を維持するのに茶道が助けになる さて、明治以降女性一辺倒だった茶道の世界にも、最近は男性が急激に増えています。 海外へ行くことが珍しくなくなった今、改めて日本のよさを発見したり、バブル期を知ら 4 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved. ない堅実な若者が増え、禅につながる茶道に魅力を感じて稽古を始めたり、茶会に足を運 んだりしているようです。 実際、男性雑誌にも数多く取り上げられています。 意識の高い男性は、茶道を始めているのです! 上質な出会いを生むためには、一日でも早く茶道を始めた人がよい結果をだします。 あなたも素敵な出会いをイメージして茶道をスタートさせましょう! さて、吉野、紹益は互いを想う掛物を掛けましたが、普通恋愛に関する掛物は使用しませ ん。 なぜかといいますと、掛物をかける場所は床の間。 昔はここに本尊をまつって神聖な場所としました。部屋の中で最も格が高く、上がること も許されない場所なのです。 5 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved. ですから、そこに掛けるものは、自然と頭を下げたくなるようなありがたいものでなけれ ばなりません。 たまに自分の書などを掛けている人を見かけますが、これなどもっての他です。 それではどのようなものを掛けるのでしょうか? 禅宗と深い関わりのある茶道では、ほとんどの場合、禅宗の教えを表した禅語を使います。 ・日日是好日 にちにちこれこうじつ ・一座建立 いちざこんりゅう ・一期一会 いちごいちえ など、これまで皆さんにお知らせしてきたものは、みな禅語です。 このように大切なものですので、茶人が稽古、茶会、お茶で人をお招きする場合、真っ先 に考えるのが、 「掛物を何にするのか」ということです。 床の間に掛ける掛物は、その日のメインテーマです。 お客様は掛物に対して、深くお辞儀をして、その教えや書いた人に敬意を表しますから、 それにふさわしいものを選ばなければなりません。 今日、私は二つの禅語を選びました。これはあなたへの女子力アップのためのプレゼント です。 ひとつの禅語には、いくとおりもの意味があります。 そして、受け止める人の気持ち次第では、人生の大きな指針となるのです。 あなたがこれらの禅語を真摯(しんし)に受け止め、実生活に生かしたのなら、 6 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved. きっとあなたは上質な女性へどんどん近づくことでしょう。 時時勤払拭 じじにつとめてふっしょくせよ 禅寺の一日は掃除に始まり、掃除に終わるといいます。 表千家の家元でも、玄関と呼ばれる内弟子は、なんの稽古もせず何年間も一日中掃除ばか りしていると聞きました。 心の塵(ちり)を払い、美しい気持ちであるためには、毎日毎日ほこりを払ったり拭った りしなければならないのですよ、という教えです。 あなたが日々お部屋をきれいにしていれば、彼氏が家まで送ってきてくれたときに「上が っていかない?」と誘うこともできます。 しかし、物が散乱し、チリが積もっているようなお部屋では、 「君の部屋に寄ってもいい?」 と突然言われても、通すわけにもいきません。 いつ来るかわからないチャンスに備え、後悔のないよう「時時勤払拭」するように心がけ ましょう! 看脚下 きゃっかをみよ 足元、つまり靴を揃えなさい。靴を揃え自分の足元を見ることは、自分自身をかえりみる こと。そんなことが大切ですよという意味。 さらに、靴を揃えるのは自分の足で一歩踏みだすため。 他人の目など気にしないで、次の行動の準備をしなさいということ。 あなたのまわりには他人の批判ばかりしている人、いませんか? 自分の意見を押し付ける人、問題がおきると他人のせいにする人。 7 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved. こんな人、必ずいますよね。 そんな人に流されてはいけません。 そして、もっと大事なのはあなた自身がそんな風になっていないかどうかということです。 「人の振り見て我が振り直せ」という諺(ことわざ)があるように、常に「自分は大丈夫 だろうか」とかえりみなければなりません。 「大丈夫」と思うところに落とし穴があります。 脱いだ靴を揃える、靴をきれいに磨くということは、自分自身の足元をよく見て、大丈夫 だろうかとかえりみる。 そして、新たな出会いやステップアップのための準備をするということなのです。 難しそうな禅語も、とても身近で易しい内容だということがおわかりいただけましたか? しかし、この易しいことを継続して行うのはとても難しいことなのです。 ですから、掛物を掛け、頭を下げるのは「このようにありたい」という気持ちのあらわれ でもあるのですね。 8 Copyright ( C ) SAKURA Co., Ltd. All Rights Reserved.
© Copyright 2025 Paperzz