患 者 病 院 診療所 薬 局 薬剤部 問 診 診 察 検 査 治 療 薬物療法

患 者
お医
ん
者さ
に
ば
け
行
病 院
診療所
薬 局
薬剤部
問 診
診 察
検 査
治 療
薬物療法
放射線療法
手術
生活指導など
1
病理はどこにどのように係わっているのか?
病理学の領域とは?
形態
正常
解剖学
機能
代謝
生理学
生化学
異常 病理解剖学 病態生理学 病態生化学
広義の病理学
2
「正常」の定義は難しい!
数値的には、通常、平均±標準偏差 だが…
これから外れたら、たちまち「異常」?
一般的
=
正常
よく耳にする動脈硬化症を考えてみたら…
3
外界(環境)
防衛反応
刺
激
相
互
作 反
用 応
生体
うまく適応できなかった!
修復
退行性変化
適
応
現
象
進行性変化
炎症
循環障害
腫瘍
加齢の特徴の1つ
生 体 と 環 境
環境の変化に対する
適応能力の衰え
4
100%
外因
環境要因等
内因
遺伝要因等
事故
感染症
生活習慣病
がん
単一遺伝子疾患
0%
5
上皮性腫瘍
=Epithelial tumor
P: Parenchyma
実質
S: Stroma
間質
表皮(皮膚) 、粘膜上皮(消化管、尿路な
どの内腔) 、分泌を行う腺組織等の上皮
良性
悪性=癌腫 (Carcinoma)
非上皮性腫瘍
=Nonepithelial tumor
間葉系
骨、軟骨、筋肉、神経、結合組織等
自律的
非可逆的
過剰
増殖
良性腫瘍
良性
悪性=肉腫 (Sarcoma)
造血組織やリンパ組織
悪性=白血病、リンパ腫
細胞・・・組織・・・臓器・・・体
細胞が増える=増殖 {成長、修復}
悪性腫瘍=malignant tumor
=がん(Cancer, Krebs)
腫瘍
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良性腫瘍と悪性腫瘍
肉眼的
(臨床的)
病理
(組織学的)
比較項目
良性腫瘍
悪性腫瘍
発育の形式
圧排性、境界明瞭
被膜あり
浸潤性、境界不明瞭
被膜なしか被膜浸潤あり
組織破壊
少ない
強い
発育の速さ
遅い
速い
転移・再発
少ない
多い
全身への影響
普通は軽い
重篤
異型性
弱い
強い
分化度
高い
低い
核分裂
少ない
多い
腫瘍胞巣
均一で境界明瞭、
不均一で境界不明瞭
壊死
なし
多い、大きい
血管増生
通常なし
著明なことあり
組織構築
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転移 metastasis
腫瘍細胞が初めにできた部位から離れて別の部位へ運ばれ、そこで発育すること。悪
性腫瘍の最も特徴的な性質。原発巣と転移巣。
a リンパ行性転移 lymphogenous metastasis
腫瘍細胞がリンパ管を経て転移するもの。癌腫で多く見られる転移の方式である。
まず所属リンパ節に転移巣ができ、これからリンパの流れに従って体の中心方向
に向かって次々にリンパ節転移を作る。
b 血行性転移 hematogenous metastasis
癌腫にも肉腫にも多い。血管内(原発巣の主に静脈)に浸潤した腫瘍細胞が、通
常血流の方向に従って他所に運ばれ、転移巣が形成される。腎癌・子宮癌:肺、胃
癌・大腸癌:肝 に転移巣をつくりやすい。⇒肺と肝は転移の好発臓器
c 播種 dissemination
悪性腫瘍が、獎膜を侵して胸腔内や腹腔内にまかれるように散らばる広がり方。
ほかに、悪性腫瘍が気管支を通じて肺内に広がり、またまれに尿路により他所に
移ることもある。Krukenberg 転移(両側卵巣転移)、Schnitzler 転移(ダグラス窩、
直腸周囲への転移)
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再発 recurrence
手術や放射線・化学療法によって除去、あるいは消失した腫瘍が再び
増殖して来るもの。どこかに腫瘍細胞が残存しているために起こる。局
所再発と転移性再発に分けられるが、良性腫瘍でも取り残しがあれば
局所再発が起こる。
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異型性・分化度
異型性 atypism
腫瘍は体を構成する細胞・組織が増殖してできるが、そのもとになる細
胞・組織を母細胞・母組織と呼ぶ。この母細胞・母組織からの形態的
(細胞・構造)・機能的隔たりを異型性という。
核腫大、N/C比増大、核過染性、核膜肥厚、細胞・核の多形性、細胞
の極性消失、細胞相互の不同(大きさ、形、染色性など→多形性)、核
分裂像(異型分裂:3極分裂や4極分裂)
分化度differentiation
腫瘍の発生母地となった正常細胞(母細胞)への機能的・形態的近似
をさして用いられる言葉。異型性という尺度で癌細胞の形や配列をみ
て、それらを総合して癌の分化度とする。
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TNM分類と病期分類
悪性腫瘍罹患患者の予後推定指標
現在最も広く用いられている。
T(tumor):原発巣の大きさと広がり
N(node):所属リンパ節転移の有無と広がり
M(metastasis):遠隔転移の有無
Ⅰ期:原発部位に限局した「がん」で、転移のないもの
Ⅱ期:原発臓器ないし周辺部に拡大しているが、転移のないもの
Ⅲ期:所属リンパ節転移はあるが、遠隔転移のないもの
Ⅳ期:遠隔転移のあるもの
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Virchowの細胞病理学説
あらゆる細胞は細胞より発生する
Omnis cellula e cellula
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Aschoff
剖検は病理学の基礎である
Die Sektion ist das Fundament der Pathologie
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病理:医療現場で関係があるのは?
(1)解剖(剖検)
A 系統解剖
B 病理解剖
C 司法解剖
D 行政解剖
機能、代謝
臨床検査
(2)病理組織検査(組織診)
A 手術材料
B 生検材料
a 穿刺吸引生検
b 針生検
c パンチ生検
d 試験掻爬
e 試験切除
形態
病理検査
(臨床検査の1つ)
(3)病理細胞診(細胞診)
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死体解剖の種類:死体解剖保存法(法律204号)
• 系統解剖
‒ 人体の正常構造を明らかにすることを目的として、医学上の研究、医学生の
教育のために行う。
• 病理解剖
‒ 病死した人の死体について、主・副病変、合併症、直接死因などの確定、臨
床診断の評価、臨床症状、経過、検査成績などと各臓器の形態学的所見と
の関連、治療効果の判定、臨床上の疑問点の解明など、疾患の本体を明ら
かにするために行う。
• 司法解剖
‒ 刑事訴訟法に基づいて行われるもの。その死体の死因に犯罪が関係してい
る疑いがもたれる場合、死因を明らかにするために行う。
• 行政解剖
‒ 伝染病、中毒、災害などで死亡した疑いがある場合、都道府県知事の指示
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を受けて、監察医がその死因を明らかにするために行う。
病理解剖を行うための手続き
病理解剖の許可
あらかじめ所轄の保健所長の許可を受けて、死体解剖を行うよう定められている。
ただし、死体解剖資格の認定制度に基づいて厚生大臣から認定された有資格者
や、大学医学部あるいは医科大学の病理学教授または助教授は保健所長の許
可を受けずに行うことができ、事後に届ける。
遺族の承諾
病理解剖を行うためにはあらかじめ遺族の承諾を受けていなければなら
ない。
病理解剖を行う場所
原則として病理解剖設備が整った解剖室で行う。しかし何らかの原因でそれ以外
の場所で行われなければならなくなったときには、事前に保健所長の許可が必要
である。
犯罪が疑われる場合の届出
病理解剖の目的で行われた場合であっても、犯罪との関係が疑われる所見が認
められた場合には、24時間以内に所轄の警察署長に届け出なければならない。
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生検・細胞診の種類
方法
生検
細胞診
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検体(試料)
試験切除、掻把
皮膚、リンパ節、軟部、骨、筋肉、神経、乳
腺、子宮頸部、内膜、子宮内容物
内視鏡
消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)
気管支・肺、膀胱
腹腔鏡
肝、腹腔、骨盤臓器
胸腔鏡
肺、縦隔腫瘍
CT、エコー
針生検、生検
軟部腫瘍、乳腺。縦隔腫瘍、心筋、肝、腎、
前立腺
剥離
膣壁、子宮頚管擦過、子宮内膜吸引物、喀
痰、気管支擦過、気管支肺胞洗浄液、尿・
胆管ドレナージ、乳腺分泌物、体腔液(胸水
、腹水)
穿刺吸引
甲状腺、乳腺など
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出典:組織病理アトラス
臨床検体の観察
病理診断までの流れ
特殊染色
免疫染色(免疫組織化学的検索)
ISH法(In situ hybridization法)
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臨床部門
病理部門
検査材料の採取
生検組織(針、 鉗子、 メスなどで採取)
細胞診材料 (腟部粘液、 喀痰、 尿など)
診断の確定・治療方針の決定
患者への説明
手術中検体採取
手術摘出組織
新鮮捺印標本
手術方針の決定
患者・家族への説明
患者死亡・遺族の承諾
遺族への説明
診断や治療の再検討
次の治療への貢献
標本作製 :臨床検査技師
細胞診 :細胞診士・病理医
病理診断 :病理医
約3日後結果報告
1∼3週で結果報告
標本作製 :臨床検査技師
細胞診 :細胞診士・病理医
病理診断 :病理医
迅速標本:15∼20分で結果報告
病理解剖 :病理医・臨床検査技師
標本作製 :臨床検査技師
剖検診断 :病理医
数週間から数ヵ月後剖検結果報告
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病理組織標本作成の順序
組織片の切り出し
ホルマリンなどで固定
未固定の組織片
水洗(固定液の除去)
脱水と脱脂
急速凍結
脱アルコール
クリオスタットによる薄切
パラフィン包埋
脂肪染色、迅速染色など
ミクロトームによる薄切
スライドガラスに貼り乾燥
脱パラフィン
HE染色など
封入
光学的顕微鏡などに
よる観察
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顕微鏡で何を観察するか
• 何の組織か。
‒ 正常と違った部位があるか? あればその形状は?
• 浸潤があるか。
‒ 浸潤している細胞は何か? 程度は? 異型性は?
• 異常な組織・細胞があるか。
‒ その組織、細胞の種類は? どんな形状? 異型性は?
• 異常なもの(構造物)が存在するか。
‒ 構造物の種類は? 性状は?
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物事、色々あります
1つとは限らない!
「がん」でも同じ
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色々あること
その1)
「がん」と一口に言っても、
様々な顔つきのものがある
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色々あること
その2)
「同じ顔つきの『がん』」言っても、
様々な部位に由来しうる
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特殊染色
HE染色:組織構築の全体像を把握するのに多用される染色法で、基本的染色法
1)結合組織
膠原線維、弾性線維、細網線維、基底膜など
2)粘液多糖類
3)神経系組織
髄鞘・ニッスル顆粒、神経原線維・軸索・樹状突起、星状膠細胞の突起膠線維
星状膠細胞、神経膠線維、変性した軸索線維
4)内分泌細胞
5)生体色素
リポフスチンの鑑別、胆汁色素の鑑別、メラニン色素の鑑別、ヘモジデリンの証明
6)アミロイド染色
7)病原体
ヘリコバクターピロリ、真菌、肝炎ウィルス、赤痢アメーバ、好酸菌、一般細菌
8)免疫組織化学染色(免疫染色)
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各種手技の病理学への応用
分子病理学
In situ hybridization
Immunohistochemistry
Translation
Nuclei
Chromosome
(DNA)
Action
Transcription
mRNA
遺伝子異常
Peptide, Protein
分子異常
Southern blot
PCR
Northern blot
RT-PCR
Western blot
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原発不明腺癌の原発巣推定
主な臓器におけるCK 7/20の発現パターン
CK7 (+)
CK7 (-)
CK20 (+) 卵巣:腺癌(粘液性)
大腸:結腸・直腸原発腺癌
CK20 (-) 乳腺:浸潤性乳管癌
乳腺:浸潤性小葉癌
肺:腺癌
卵巣:腺癌(非粘液性)
子宮:類内膜腺癌
副腎:副腎癌
腎:腎細胞癌
肝:肝細胞癌
前立腺癌:腺癌
CK7/20の発現パターンが一定でない臓器腫瘍:
胃、膵、胆道系、尿路上皮系
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疾患の命名法
これを知ることは重要である! なぜ?
→正確な情報伝達を容易に行うことは医療の現場では必須
•
•
•
•
•
原発性と続発性
急性と慢性
良性と悪性
症候群
病名によく使用される言葉
ana-
欠損
anaphylaxis
dys-
混乱
dysplasia
hyper-
過剰
hyperthyroidism
hypo-
不足
hypothyroidism
meta-
変化
metaplasia
-itis
炎症
gastritis
-oma,
腫瘍
carcinoma
-osis,
状態(病的とは限らない)
osteoarthrosis
-oid
類似性
sarcomatoid
-penia,
欠乏
thrombocytopenia
-cytosis
細胞数の増加
leukocytosis
-ectasis
拡張
bronchietasis
-plasia
増殖の異常
hyperplasia
-opathy
特別な特徴を示さない異
常状態
neuropathy
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医 の 倫 理
ヘルシンキ宣言:人間を対象とする医学研究の倫理的原則
1964 年 6 月 フィンランド、ヘルシンキの第18 回WMA 総会で採択
2008 年10 月 第59 回WMAソウル総会で修正
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090114_2.pdf
臨床研究に関する倫理指針
平成15年7月30日(平成20年7月31日全部改正)
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/shishin.pdf
臨床研究に関する倫理指針質疑応答集(Q&A)の周知について
医政研発第1 2 2 6 0 0 1 号 平成2 0 年1 2 月2 6 日
厚生労働省医政局研究開発振興課長
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/gigisyoukai.pdf
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
平成13年3月29日(平成20年12月1日一部改正)
http://www.meti.go.jp/policy/bio/Cartagena/seimeirinri/files/ethics_guideline_081201revised.pdf
患者の権利に関するWMAリスボン宣言
1981年9月/10月、ポルトガル、リスボンにおける第34回WMA総会で採択
2005年10月、チリ、サンティアゴにおける第171回WMA理事会で編集上修正
http://www.med.or.jp/wma/lisbon.html
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