ダウンロード

ホワイトペーパー
Citrix XenDesktop 7.1 Virtual Delivery Agent(サーバベース)の
パフォーマンスレポート
1. 概要
前回の Delivery Controller サーバのパフォーマンステストに引き続き、XenDesktop 7.1 および
Windows Server 2012 R2 を利用して仮想デスクトップ環境のユーザー集約率を検証しました。
このレポートはサーバベース型でのアプリケーションサーバと、このサーバにアクセスするユーザー
集約率(ログオンするユーザーセッション数)の関係を測定した結果です。検証内容は Login VSI を使い、
ハードウェアリソースを変化させたときのユーザーの集約率の関係を確認します。
この測定結果から、より良いパフォーマンスを得るために最適なシステムリソースを報告することを
目的としています。
2. システム構成
本テストで利用したシステム構成は図 1 の通りです。測定対象のサーバは Expresss5800/B120d-h を
採用します。動作する仮想デスクトップ環境は物理的な条件を同一にし、CPU 数などの変化による差異
を確認するために VMware vSphere 5.1 上に構築します。VMware vSphere、仮想マシンのディスクは
iStorage M300 上に配置し、SAN ブートにより起動します。B120d-h、iStorage M300 のスペックは表 1
の通りです。
測定ツールとして Login VSI 社の Login VSI 4.0 を利用し、クライアント端末には Login VSI Launcher
および Citrix Receiver 4.1 をインストールし、共有フォルダを VSI Share として利用します。
仮想デスクトップ環境は Windows Server 2012 R2、XenDesktop 7.1 の Virtual Delivery Agent(以降、
VDA)をインストールします。さらにクライアント用のアプリケーションとして Microsoft Office 2013、
Adobe Reader XI 等に加えてセキュリティ対策ソフトウェアをインストールします。ユーザーのプロフ
ァイルはローカルプロファイルです。
図 1 システム構成
1
© NEC Corporation 2014
表 1 ハードウェアスペック
Express5800/B120d-h
SigmaBlade-M
Intel Xeon プロセッサー E5-2670×2
RAM:256GB
ディスクレス SAN ブート
NIC:1Gbps(2ch)※1port のみ使用
Hyper-Threading なし
iStorage M300
FC 接続(8Gbps)※1port のみ使用
600GB×12(15K rpm SAS)
RAID1+0
3. 測定方法
Login VSI の測定指標である VSImax を測定することで集約率を検証する方法としました。手順は以下
の通りです。
① Login VSI により Delivery Controller サーバを経由して VDA にログオンし、Medium ワークロー
ドが動作するように設定しておきます。
② クライアント端末の Launcher からユーザーのログオン間隔を 30 秒(安定してログオン処理が完了
する時間)として Login VSI によりワークロードを順次開始していきます。
③ 最終的に VSImax が応答時間の閾値に達すると終了となります。(VSImax は快適に使用できるユー
ザーやセッションの最大収容数を表す指標です。)
VDA が動作する仮想マシンの台数と割り当てる CPU 数を以下のように変化させ、測定しました。

1 つの仮想マシンに 4CPU 割り当て(以降、1VM4CPU)

1 つの仮想マシンに 8CPU 割り当て(以降、1VM8CPU)

2 つの仮想マシンに 4CPU ずつ割り当て(以降、2VM4CPU)
今回測定対象ではない Delivery Controller / Citrix Receiver には、測定に影響がないように充分
なスペック、台数のハードウェアを用意しました。
4. 結果
表 2 は 1VM4CPU、1VM8CPU、2VM4CPU 構成で VSImax を各 4 回、測定した結果です。図 2 は 4 回目のテ
スト結果のグラフとなります。これらの結果から VM を分割したほうが平均で約 4 ユーザー多く集約で
きる結果となりました。
2
© NEC Corporation 2014
表 2 VSImax の測定結果
テスト回数
1VM4CPU
1VM8CPU
2VM4CPU
1 回目
27
55
58
2 回目
27
55
56
3 回目
28
51
56
4 回目
28
56
64
平均値
27.5
54.25
58.5
図 2 4 回目のテストの VSImax の測定結果
図 3 は同じく 4 回目のテストの CPU 使用率、CPU キュー数(CPU 処理待ちスレッド数)のグラフです。
2VM4CPU では 2 つの VM の平均値を取っています。どの構成においても CPU 使用率が約 60%を超えたとこ
ろで VSImax に達し、
CPU キュー数が増加していることから CPU がボトルネックになる傾向となりました。
図 3 CPU 使用率(4 回目のテスト)
3
© NEC Corporation 2014
図 4 は各 VM でのメモリ使用量のグラフです。2VM4CPU は 2 つの VM の合計値を取っています。全ての
構成においてグラフの傾きは類似した傾向となり、線形に伸び続けていることからボトルネックとはな
っていません。1 セッション当たりのメモリ使用量は約 300MB 程度となりました。
図 4 メモリ使用量(4 回目のテスト)
ディスク、ネットワーク等のパフォーマンスデータも確認しましたが、ボトルネックはありませんで
した。
5. 考察
これらの結果からサーバベース型の構成に負荷をかけていくことで、CPU ボトルネックの傾向となり
ました。今回の測定においてリソース消費量は以下の結果となりました。

CPU:7 セッション/コア

メモリ:約 300MB/セッション
また、Express5800/B120d-h のハードウェアリソースを全て利用した場合のセッション数はサーバ 1
台当たり 112 程度となります。ただし、アプリケーションの違いや運用によっては同様の結果とはなり
ませんのでご注意ください。
また、今回の評価ではスケールアップ(VM への CPU 追加)よりスケールアウト(VM の追加)によってサ
ーバ数を拡大するほうが性能面で優位な結果となりました。この結果には以下のような要因が考えられ
ます。

2VM4CPU は 1VM4CPU や 1VM8CPU と比較してログオンが分散され、ログオン間隔が 60 秒に 1 回
となり、ログオン負荷が低減された

同一 VM 内でユーザー集約度が高くなると CPU 処理がスレッド間で頻繁に入れ替わるため、CPU
処理にオーバーヘッドが発生した
最後に、NEC では本レポート以外にもさまざまなシステム構成、利用シーンに応じた詳細な分析を行
い、実際のお客様にご活用いただけるよう、努めてまいります。
4
© NEC Corporation 2014
商標について

Citrix、XenDesktop、Citrix Receiver は、Citrix Systems, Inc.の米国およびその他の国での登録商標もしくは
商標です。

VMware、VMware vSphere は米国またはその他の国における VMware, Inc.の登録商標または商標です。

Microsoft Office、Windows、Windows Server は米国およびその他の国における Microsoft Corporation の登録商
標または商標です。

Intel、Xeon は米国およびその他の国における Intel Corporation の登録商標です。

Adobe、Adobe Reader は Adobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)の商標または登録商標です。

記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。その他、記載されている名称には商標表示をし
ておりません。
本文書について
このドキュメントに記載されている情報や見解は、将来予告なしに変更することがあります。
このドキュメントを無断で複製・配布することを禁じます。
NEC はシトリックス ソリューション アドバイザー/システムインテグレーターです。
5
© NEC Corporation 2014