Model: IA-Lab (L-250G

KOBE MATERIAL TESTING LABORATORY GROUP
DIP/IA-MS 装置
2016/1/12
Model: IA-Lab (L-250G-IA),キヤノンアネルバ㈱
イオン付着イオン化(IA)法を備えた質量分析装置であり,試料導入部は減圧下で近赤外ランプ
による急速加熱により熱抽出・気化するダイレクトプローブ(DIP)が標準仕様となっています.
本装置では GC 等に発生ガス成分の分離操作を行わずに様々な発生ガス成分(主として有機
化合物)を擬分子イオンとして検出できます 1),2).現在,本装置を用いた迅速分析法は,RoHS 規
制やグリーン調達関連などでの臭素化難燃剤やフタル酸エステル類の含有チェックのために一
部の企業で採用されている他 3),4),RoHS 規制の臭素化難燃剤の分析法(informative)として採用
されています[IEC 62321-6/Ed.1:2015].
試料導入:ダイレクトインレットプローブ(DIP)
最大加熱温度:500℃
昇温速度:
1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128℃/min
真空度:
100Pa 程度
イオン化法:
イオン付着イオン化(IA)法,
電子イオン化(EI)法
質量分析計:四重極質量分析計
mass 範囲: m/z 1~1000
mode::
SCAN ,SIM
キャリアガス: N2 or Dry Air
その他:キャピラリインターフェースを備えており
GC オーブンを接続して GC/IA-MS としての
使用することが可能です
図1 装置外観写真/構成図(DIP 型)
【イオン付着イオン化(IA)法】
IA 法の付着イオンとしては Li イオンと Na イ
オンタイプが実用化されています.網羅的な
含有成分検出には Li イオン付着タイプの方
が好適です.Na イオン付着タイプは, Li イオ
ン付着でもフラグメンテーションが起こってし
まうような一部の不安定化合物の分子イオン
検出を行う際などの特定用途で使用します.
右図は Li イオン付着の場合の概念図であ
る.
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図2 Li イオン付着の概念図
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【何ができるのか?】
端的に言えば、本装置(DIP タイプ)では
①サンプルの前処理無しに含有成分を熱抽出により検出できます.
②約 100Pa の減圧下における昇温加熱時の発生ガス挙動をリアルタイム計測できます.
③その発生ガス成分は分子量情報(m/z としては分子量に Li 付加したもの)として検出できます.
④網羅検出性に優れるため,発生ガス成分(有機化合物)の一斉検出が可能です.
⑤検出成分の半定量分析,定量分析も可能です.
これらの特徴により,本装置では以下のような用途に威力を発揮します.
1) 臭素化難燃剤,フタル酸エステル類など有害規制物質に含有チェックの迅速評価技術
2) 製品中の主剤・添加剤・混入異物などの品質管理技術 (サイレント・チェンジ対策技術)
3) トラブル調査などの際のサンプル性状把握のための一次評価技術
4) 加熱プロセス(例えば、焼成,脱バインダープロセスなど)の評価
[測定対象成分] ex) 樹脂等の添加剤成分,樹脂材料,油脂・潤滑油類 など
図3 測定例
【参考文献】
1) イオン付着イオン化質量分析法の開発,塩川善郎,ぶんせき 12 (2007) 661-667.
2) 質量分析のためのイオン化法 イオン付着質量分析,中村恵・丸山はる美,ぶんせき 8
(2009) 396-402.
3) プラスチックの測定・検査・分析を展望する RoHS 難燃剤の迅速測定<IA-Lab による臭素系難
燃剤の迅速スクリーニング>,丸山はる美,プラスチックス, 62 (2011) 43-48.
4) イオン付着質量分析法を用いた RpHS 対応臭素系難燃剤の迅速測定,沖充浩・近藤亜里・
畑江久美,東芝レビュー, 64 (2009) 52-55.
本装置は 2016.1 現在においてメーカーからの販売が停止しています.装置導入をご検討
の場合は,当ラボまで御相談下さい.
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