福島県歯科医師会倫理綱領

福島県歯科医師会倫理綱領
平成11年4月
社団法人 福島県歯科医師会
福島県歯科医師会倫理綱領
平成11年4月
C
O
N
T
目 次
ま え が き …………………………………………………………………………………………………………… 1
第1章 福島県歯科医師会倫理綱領本文………………………………………………………………………………… 2
第2章 福島県歯科医師会倫理綱領の法的根拠………………………………………………………………………… 3
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A…………………………………………………………………… 6
1 総
括
(1) 歯科医師会に入会する意義は何ですか。……………………………………………………………………… 6
(2) 開業する場合、県歯科医師会はどのような支援をしてくれますか。 …………………………………… 6
(3) 会員のメリットは何ですか。…………………………………………………………………………………… 7
(4) 県歯科医師会入会時2名の推薦者印が必要ですが、推薦者の役割は何ですか。
………………………… 7
また推薦者がいない場合は入会できないのですか。
(5) 歯科診療所を開設する場所を、自由に選ぶことはできないのですか。…………………………………… 8
(6) 分院を設けることに、何か制限がありますか。……………………………………………………………… 8
2 診
療
(1) インフォームドコンセントとは。……………………………………………………………………………… 10
(2) 患者からの苦情には、どう対応すれば良いでしょうか。…………………………………………………… 10
(3) 前医の治療内容を、どこまでフォローすべきですか。……………………………………………………… 11
(4) 患者が、他の診療所で作ったばかりの義歯が全然合わないので、
新しく作り直して欲しいと言って来院しました。どうしたら良いですか。
……………………………… 11
(5) 保険診療を行うには、どのような手続きが必要ですか。…………………………………………………… 12
(6) 法令による一部負担金を割引いたり、無料とすることは差し支えありませんか。……………………… 12
3 学術関係
(1) 日本歯科医師会の「生涯研修事業」の目的は何ですか。…………………………………………………… 13
(2) 自己研鑽といいますが、歯科医師会は何かしてくれますか。……………………………………………… 13
(3) 県歯科医師会で開催される学会及び研修会について、教えて下さい。…………………………………… 14
4 公衆衛生関係
(1) ホームドクターの役割とはどんなものですか。………………………………………………………………15
(2) 地域の医療・保健及び福祉の向上のため、会員はどんなことを心がけるべきですか。…………………15
(3) 県歯科医師会及び地域歯科医師会の公衆衛生事業について、教えて下さい。
……………………………16
E
N
T
S
5 医 業
(1) 自院の隣あるいは向かいに新しい診療所が開業しようとするとき、どう対処したら良いですか。…… 17
(2) 診療時間の設定に当たり、留意すべき事項について教えて下さい。……………………………………… 18
(3) 診療所の内と外では広告の規制に差がありますか。………………………………………………………… 18
(4) 広告に記載できる事項は、どんなものがありますか。……………………………………………………… 19
6 会員の義務と責任
(1) 会員として県歯科医師会主催の行事へ参加することの意義はどんなところにありますか。…………… 20
(2) 守秘義務とは何ですか。………………………………………………………………………………………… 21
(3) 医療法の遵守について説明して下さい。……………………………………………………………………… 21
(4) 患者が酔って来院したときでも、診療に応ずる義務がありますか。
診療を拒絶できるのは、どのような場合ですか。
………………………… 22
また、時間外や休日に診療を求められたときの対応はどうしたら良いですか。
(5) 会員が県歯科医師会の定款や規則(綱領)を明らかに遵守しなかった場合は
どう対処しますか。
………………………… 22
7 職員管理
(1) 医の倫理をスタッフに上手に伝えるには、どうすれば良いですか。……………………………………… 23
(2) 労働基準法上の従業員の拘束時間及び残業時間はどうなっていますか。 ……………………………… 24
8 歯科医師連盟
(1) 県歯科医師会に入会するときは、
…………………………………………… 25
必ず福島県歯科医師連盟に加入しなければならないのですか。
(2) 連盟は特定の政党を支持しているようですが、
連盟に加入すればそれ以外の政党を支持することはできないのですか。
………………………………… 26
9 そ の 他
(1) 医療事故が起きた場合どうしたら良いですか。 …………………………………………………………… 27
ま え が き
いつの時代でも、事ある毎に医療の社会性が論議されますが、根源的には「医の倫理とその実践」が
常に問われているといえます。このテーマは一見抽象的に見えて、実は古今東西、医療に携わる者への
永遠の命題として常に求められていることを忘れてはなりません。
医の倫理については多くの先駆者の立派な言葉や著書があります。古くはヒポクラテスの誓、アザフ
の誓、杉田玄白の形影夜話、緒形洪庵の扶氏医戒の略などがありますが、これらはすべての医療従事者
が常に肝に銘じ、自重自戒する必要があります。
わが国は、うたかたの高度経済成長が終わりを告げ、超高齢・少子化を目前にして、財政的見地から
の制度・構造改革論議が盛んに行われております。
わが国の医療を、国民が今日の自らの問題として取り上げ、討議することは避けて通れぬ国民的課題
であり、医療担当者としても専門的立場から、国民の健全な医療確保のため積極的に対応しなければな
りません。
制度や仕組みが如何に変わろうとも、医療が同じ人間同士の間にある行為だとすれば、行為の原点と
しての倫理は、いま関心を持たれるべき最も重要事であると考えます。
医療のパラダイムが変わりつつあることを認識し、白衣を脱いだ同じ人間としての立場を、近代医学
やそれに携わる者は根本から見直す必要があると思考します。
以上の背景から推しても、いたずらに排他的であったり、独善的自己本位の主張や行動は国民の理解
と納得が得られないことは明白です。
具体的な例は別の項に譲るとして、極く卑近な例としては、1)果てしない労働時間の延長、2)自
己顕示の誇大広告・宣伝、3)ダンピング、4)他医の中傷・ざんそ 等々の低俗な行為は、国民から
蔑まれ軽んじられ、自らの道を閉ざすだけで、まさに百害あって一利なしと言わなければなりません。
国民のニーズに応える良質な医療を提供する事こそが、
我々医療担当者に求められている責務であり、
福島県歯科医師会会員は倫理の高揚と生涯研修の充実を基本に、法を遵守し、知り得る情報を提供し、
正常な競争原理のもと、切瑳琢磨して負託に応え、国民の信頼と評価を高める事が肝要です。
県歯代議員会の要望により、倫理綱領等検討臨時委員会を設置し、外部有識者の参加も仰ぎ、長期に
亘る慎重な審議を経て、時代に即した「福島県歯科医師会倫理綱領」の完成をみました。願わくば各項
の行間を賢察され、県歯会員の誇りを矜持し、医療人として有意義な人生を送るため遵守されることを
希ってまえがきと致します。
平成11年4月
社団法人 福島県歯科医師会長 譽 田 雄一郎
第1章
福島県歯科医師会倫理綱領本文
福島県歯科医師会倫理綱領
福島県歯科医師会は、本会会員(以下「会員」という。)が、高度な専門職としての使命に相応しい
倫理を自覚し、自らの行動を規律する社会的責任を負うことに鑑み、ここに福島県歯科医師会倫理綱領
を定める。
基 本 精 神
1.会員は、常に研鑽を積み、歯科医術の錬磨と医道の高揚に努める。
2.会員は、誠実を旨として患者に接し、診療の為、最善を尽くす。
3.会員は、自らの知識と技術を以て社会に貢献し、地域医療の充実に努める。
遵 守 事 項
1.会員は、常に歯科医療の進歩・発展の為に研鑽を積み、全力を尽して診療に当らなければならない。
2.会員は、地域の医療、保健及び福祉の向上の為、自らの有する知識と技術を進んで提供し、地域に
貢献しなければならない。
3.会員は、患者に対して、病状、予後及び診療方針等につき懇切丁寧に説明し、患者の納得と同意を
得た上で、診療を行わなければならない。
4.会員は、本会の行う行事に積極的に参加し、会務の運営に協力することにより、業権の確立に努め
なければならない。
5.会員は、他の歯科医師の行った治療につき、正当な理由なく批判や中傷をしてはならない。
6.会員は、自らの職業を専ら利益追求の為の手段と考えてはならず、自己顕示的な宣伝、患者の誘引
の為の誇大広告、その他歯科医師としての品位を汚す行為をしてはならない。
7.会員は、歯科医師法、医療法及び健康保険法等の関係法令、日本歯科医師会及び福島県歯科医師会
の定款、規則等を遵守しなければならない。
平成11年4月 制定
社団法人 福島県歯科医師会
第2章
福島県歯科医師会倫理綱領の法的根拠
1.会員は、常に歯科医療の進歩・発展の為に研鑽を積み、全力を尽して診療に当らなければな
らない。
法的根拠
① 医療法第1条の4第1項
医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手は、第1条の2に規定する理念に基
づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
② 歯科医師法第16条の2第1項
歯科医師は免許を受けた後も、1年以上大学若しくは大学の歯学部若しくは医学部の附属施
設である病院(歯科医業を行わないものを除く。)又は厚生大臣の指定する病院若しくは診療所
において、臨床研修を行うよう努めるものとする。
注)この条項は、平成8年の歯科医師法の改正で新設されたものであるが、これにより、研鑽
を積む責務等が、免許取得直後の歯科医師に限ってではあるが、具体化されたものと言える。
2.会員は、地域の医療、保健及び福祉の向上の為、自らの有する知識と技術を進んで提供し、
地域に貢献しなければならない。
法的根拠
① 歯科医師法第1条
歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、
以て国民の健康な生活を確保するものとする。
第2章 福島県歯科医師会倫理綱領の法的根拠
3.会員は、患者に対して、病状、予後及び診療方針等につき懇切丁寧に説明し、患者の納得と
同意を得た上で、診療を行わなければならない。
法的根拠
① 歯科医師法第22条
歯科医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上
に必要な事項を指導しなければならない。
② 医療法第1条の4第2項
医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な
説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
③ 保険医療機関及び保険医療養担当規則第13条
保険医は、診療に当っては、懇切丁寧を旨とし、療養上必要な事項は理解し易いように指導
をしなければならない。
④ 同規則第14条
保険医は、診療に当っては、常に医学の立場を堅持して、患者の心身の状態を観察し、心理
的な効果をも挙げることができるよう適切な指導をしなければならない。
4.会員は、本会の行う行事に積極的に参加し、会務の運営に協力することにより、業権の確立
に努めなければならない。
法的根拠
明文の根拠はないが、公益社団法人においては社員権そのものが社団の共通目的に奉仕すべ
きものとして拘束されており、福島県歯科医師会がその定款第4条所定の事業を行うときは、
会員はこれに協力する義務を負うこととなる。
5.会員は、他の歯科医師の行った治療につき、正当な理由なく批判や中傷をしてはならない。
法的根拠
そし
特にはないが、
「前医を謗る後医もまた前医」という医諺がある。
6.会員は、自らの職業を専ら利益追求の為の手段と考えてはならず、自己顕示的な宣伝、患者
の誘引の為の誇大広告、その他歯科医師としての品位を汚す行為をしてはならない。
法的根拠
① 医療法第7条第4項
営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとするものに対しては、前項の規
定にかかわらず、第1項の許可を与えないことができる。
② 医療法第69条第1項
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他いかなる方法による
を問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。
一 医師又は歯科医師である旨
二 次条第1項の規定による診療科名
三 次条第2項の規定による診療科名
四 病院または診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
五 常時診療に従事する医師又は歯科医師の氏名
六 診療日又は診療時間
七 入院設備の有無
八 前各号に掲げる事項のほか、第14条の2第1項第4号に掲げる事項
九 その他厚生大臣の定める事項
③ 医療法施行規則第42条の3
法第69条第2項及び第71条第2項の規定による広告の方法及び内容に関する基準は次のと
おりとする。
一 提供する医療の内容が他の病院、診療所または助産所と比較して優良である旨を広告
してはならないこと。
二 提供する医療の内容に関して誇大な広告を行ってはならないこと。
※ なお、具体的なことについては、19頁参照
7.会員は、歯科医師法、医療法及び健康保険法等の関係法令、日本歯科医師会及び福島県歯科
医師会の定款、規則等を遵守しなければならない。
法的根拠
当然のことであり、特にない。
第3章
福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
1.総 括
Q
A
(1)
歯科医師会に入会する意義は何ですか。
歯科医師は、歯科医師法第1条に「歯科医療及び保健指導を掌ることによって、
公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」
と謳われているように、公共的な任務を有しています。したがって、個々の患者の
診療をするだけでなく、公共的な役割を果たす責任があり、これを放棄することは、営利追求だ
けの歯科医師といわれても仕方がありません。
一方、県歯科医師会では、市町村における地域活動に関しては、13の地域歯科医師会が主体
となって行い、国レベルの活動に関しては日本歯科医師会に代議員を送り、個々の会員の意見を
反映させる努力をしています。すなわち、歯科医師会は社会と個々の会員をつなぐ、唯一の絆で
あり、また国民や会員の福祉を増進するために、重要な使命と責任を負っています。歯科医師が
歯科医師会に入会しないことは、公共的役割を放棄し、重要な任務を果たさないということにな
ります。また、歯科界の現状を把握できず孤立独善に陥ったり、地域との摩擦を引き起こす可能
性もあります。さらに、歯科界に対する不満や要望があっても、個人の力だけでは行政に届く事
は極めてまれです。
以上のことから、歯科医師は歯科医師会に入会し、幅広い知識と技術を身につけ、歯科医師の
任務を果たすと共に、歯科界のあるべき姿を追い求めるべきです。
Q
A
(2)
開業する場合、県歯科医師会はどのような支援をしてくれますか。
県歯科医師会は、会務運営を円滑にするため13の地域歯科医師会を置いており
ます。開業しようとする歯科医師は地域会長又は担当役員を訪れれば、開業の相談
に応じてくれます。
開設地の選択は自由ですが、県内でも地域により特徴があり、開設地の患者の気質や動向、隣
接する歯科診療所の状況また将来の発展性など地元の地域歯科医師会でしか知り得ないような客
観的状況を提供してくれます。
県歯科医師会としては、直接の支援はありませんが、間接的には行政手続きの案内や説明、社
会保険に関する指導、また資金的には各種ローンの活用の案内などを行っています。
現在、歯科界は歯科医師過剰の極めて厳しい状況にあり、歯科診療所の中には破産宣告を受け
たり、銀行管理に陥った例もあります。
開業地については、地域歯科医師会と十分に相談の上、決定して下さい。
Q
A
(3)
会員のメリットは何ですか。
会員の中には素朴な疑問として、歯科医師会員は高額な入会金と年会費を払って、
その上、頻繁に会合や事業への出席要請ばかり多く、会員として何のメリットも無
いのではないか、非会員の方が煩わしさが無くて、良いのではないかという意見が
あります。一面だけ見れば一理あるごとく聞こえますが、私益のみを基準として会員のメリッ
ト・デメリットを論ずることこそ、歯科医師としての倫理に反するものと考えます。
歯科医師会は、会員全ての共有財産であります。会員は、会の執行運営について具申すること
ができます。会員には、会の代表である会長を直接選挙によって選ぶ権利があります。会員は、
県歯科医師会・地域歯科医師会が委託を受けた保健事業や会が主催する各種事業に参加できま
す。また日本歯科医師会の「生涯研修事業」(詳細は13頁)の活用、さらに会が補助する同好
会を通して、会員同士の親睦と情報交換もできます。会員は、会が有するあらゆる情報・資料を
獲得できます。会員は、各種共済制度上の権利を有する等、非会員には得られない数多くのメリ
ットがありますので、大いに活用すべきです。
Q
A
(4)
県歯科医師会入会時2名の推薦者印が必要ですが、推薦者の役割は何ですか。
また推薦者がいない場合は入会できないのですか。
入会の際推薦者が必要であること及び推薦者の役割については、本会の定款やそ
の他の規則には記載がありませんが、本会の様式1「入会申込書」では、推薦者2
名が署名捺印をすることとなっています。
また昭和58年5月26日の理事会決定は、「推薦者は5年以上の医業経験を有するものであっ
て、会員相互の融和と発展が図られるよう、被推薦人を指導する責務を有する」としています。
しかし推薦者は、あくまで推薦者に過ぎず、例えば身元保証法(正式には身元保証ニ関スル法
律)に定められているような保証責任を負うことはありませんが、推薦を受けた会員が、会員相
互の融和と発展という観点からして不適切な行動を取っている場合、それを止めるよう指導する
責任があることとなります。
ところで上記の理事会決議及び「入会申込書」の様式からすると、歯科医師は資格を有する推
薦者のない場合は本会に入会できないこととなりますが、このようなことは、公正取引委員会で
作成した「医師会の活動に関する独占禁止法上の指針」で、独占禁止法違反となるおそれのある
ものとされている「1−5入会希望者の入会申請手続上、近隣の会員等の推薦等を要求すること」
に該当するのではないかとの疑問が残ります。
しかし推薦者は、会員となろうとする者が所属しようとする地域歯科医師会の会員であれば足
り、「近隣の会員」である必要はありませんから、上記の理事会決議等は、独占禁止法に違反す
るものではないと考えます。
従って本会に入会を希望するときは、所属しようとする地域歯科医師会の資格を有する会員2
名の推薦を受けられるよう努力して下さい。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(5)
歯科診療所を開設する場所を、自由に選ぶことはできないのですか。
歯科医業の実情は大変厳しく、平成9年には福島県内の歯科診療所が破産宣告を
受けたケースさえありましたし、そこまで行かなくともいわゆる銀行管理となって
いる歯科診療所も少なくありません。
このような事態となった大きな原因の一つとして、特定の地域における歯科診療所の乱立があ
ります。
居住、移転及び職業選択の自由は、憲法第22条で認められていますから、歯科診療所を開設
する場所は自由に選ぶことができますが、地域歯科医師会では、このような事態の発生を少しで
も避けるため、歯科診療所の開設を希望する方に対して、その地域の歯科診療所の分布状況、地
域の特性、人口の分布等の情報を提供するなどして、共倒れとなることのないよう、相談・助言
を行っています。
どうぞご利用下さい。
Q
A
(6)
分院を設けることに、何か制限がありますか。
診療所を管理する歯科医師は、特別な許可が無い限り、他の診療所(分院)の管
理をすることはできません。具体的には、ある診療所の管理者となっている者が、
他の診療所等の管理者になろうとする場合は、知事の管理者兼任の許可が必要です
(医療法第12条)。
しかし、分院設置の目的が専ら経済的理由にあるとすれば、営利を目的とする診療所等の開設
と見られ、許可が下りないこともあります(医療法第7条第4項)。
歯科医師過剰の現在、常識的には分院を設ける必要性もメリットも無いと考えます。
会員の中には以前分院を開設し、かえって医院経営が立ちゆかなくなったケースも数件ありま
す。くれぐれも慎重な対応をして下さい。
【
参 考 】
[開設者の管理等]
医療法第12条 病院、診療所又は助産所の開設者が、病院、診療所又は助産所の管理者となること
ができる者である場合は、自らその病院、診療所又は助産所を管理しなければならない。但し、病
院、診療所又は助産所所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は、他の者にこれを管理させて差
し支えない。
② 病院、診療所又は助産所を管理する医師、歯科医師又は助産婦は、その病院、診療所又は助産所
所在地の都道府県知事(中略)の許可を受けた場合を除く外、他の病院、診療所又は助産所を管理
しない者でなければならない。
[開設者許可]
医療法第7条 病院を開設しようとするとき、医師及び歯科医師でない者が開設しようとするとき、
又は助産婦でないものが助産所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事の許可を受けな
ければならない。
④ 営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、前項の規定にか
かわらず、第1項の許可を与えないことができる。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
2 診 療
Q
A
(1)
インフォームドコンセントとは。
インフォームドコンセントとは、一般的に「説明と同意」と訳されています。
具体的には、まず、診察の開始にあたって直接患者に触れる前に了解を求め、診
察中でも患者に苦痛や嫌悪を感じさせることがあれば、相応の説明をし了解を得ま
す。診察が終わった時点では、現時点での歯科医師としての判断に基づいた診察結果を正しく説
明します。次に、治療に必要な検査の内容と目的の説明を行い、検査結果を踏まえての治療方針、
その期間、予後、費用等について十分な説明を行い、患者が納得・同意して自ら、積極的に診療
に参加しようとする気持ちを起こさせる事が大切です。
決して診療の強要にならないよう、冷静かつ謙虚さを失わずに誠意をもって説明すべきです。
歯科医師と患者の深い信頼関係の構築こそ、診療の基本であります。また、起こりうる医事紛
争などの煩わしい問題を防止する意味からもインフォームドコンセントは大切です。
Q
A
(2)
患者からの苦情には、どう対応すれば良いでしょうか。
患者からの苦情が生じる以前に、苦情が生じない為の歯科医師と患者間の信頼関
係の構築と診療内容に関するインフォームドコンセントの確立が基本になければな
らないのは当然のことです。
最も大切なことは、どんな場合でも冷静に誠意をもって対処し、常に自分が患者サイドに立っ
て考え、クレームを最小限に留めることが肝要です。県歯科医師会に寄せられる苦情の大半は、
歯科医師の説明不足、患者の理解不足や誤解、曲解による相互不信によるものです。
具体的には望まぬ治療までされているのではないか、歯科医師の何気ない一言で心が傷ついた、
患者としてはこれ以上の質問ができない、といった内容です。
まれには、悪意をもって訴訟を起こし、損害賠償を要求するような患者もいると聞いています
ので、そのような場合には、自分だけで解決しようとせず、県歯科医師会・地域歯科医師会・嘱
託弁護士に相談して下さい。
Q
A
(3)
前医の治療内容を、どこまでフォローすべきですか。
基本的に、お互いの立場を十分に尊重し、共存共栄の精神で事に対処すべきです。
同じ会員でも年代や臨床経験、あるいは専攻分野の違い等により、診療方針、治
療内容も異なることはあり得ます。
私達には患者を選ぶことは出来ませんが、患者は自分の気に入った歯科診療所を自由に選択出
来ます。それ故、時には治療途中で他院に無断転院するケースがあり、応々にして患者側の一方
的な言い分をう呑みにしたり、前医を誹謗しがちです。
しかし、前医が行った治療内容をあらゆる角度から考察し、患者の対応に努力すべきと考えま
す。
もし、どうしても前医の措置に遺憾があった場合、あるいは前医に直接通知することが望まし
い解決策を生まないと予想される場合には、地域歯科医師会又は県歯科医師会に報告・相談して
下さい。
Q
A
(4)
患者が、他の診療所で作ったばかりの義歯が全然合わないので、新しく作り直
して欲しいと言って来院しました。どうしたら良いですか。
ご承知のとおり健康保険や国民健康保険による義歯の製作は、前回の製作後6ヵ
月間を経過しない間はできないこととなっております。
従って他の診療所で製作した義歯を修理・調整することによって、できるだけ患
者を納得させるよう努めるとともに、どうしても義歯の修理・調整ですまない場合は、自由診療
による義歯の製作をする他はありません。但しこの際にも「前医を謗る後医もまた前医」との医
諺のとおり、正当な理由なく、前医の義歯製作技術を誹謗することは慎むべきものです。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(5)
保険診療を行うには、どのような手続きが必要ですか。
まず歯科医師が保険医療機関で保険診療を行う為には、保険医の登録を受けるこ
とが必要なので、都道府県の保険課に、履歴書及び歯科医師免許証の写しを添えて、
保険医登録申請書を提出して下さい。
そして新たに歯科診療所を開設する場合は、まず保健所に、診療所開設届と証明願(平面図、
見取図、履歴書、歯科医師免許証の写しを添付)を提出して下さい(この手続は、既に保険医療
機関の指定を受けている医療機関に勤務する場合は不要)。
その上で都道府県の保険課に、保険医療機関指定申請書、歯科医師の略歴書及び保険医療機関
指定申請に係る現況届(保健所から交付された証明書及び使用予定のカルテを添付)を提出して
下さい。
なお健康保険の保険医療機関の指定を受けたときは、当然国民健康保険についても保険医療機
関の指定を受けたことになります。
これで保険診療を行うことができるようになるわけですが、従来は不正請求等により保険医の
登録が取消されても、2年経てば再度登録が可能でした。しかし平成10年の改正で、この期間
が5年に延長されましたので、くれぐれも登録取消というようなことのないよう気をつけて下さ
い。
Q
A
(6) 法令による一部負担金を割引いたり、無料とすることは差し支えありませんか。
健康保険法第43条の8の第1項には、保険医療機関で療養給付を受けた者は、
療養給付の費用について法令による割合相当分の一部負担金を、保険医療機関に支
払わなければならないとの趣旨の規定があり、更に保険医療機関及び保険医療養担
当規則の第5条の第1項には、保険医療機関は一部負担金の支払を受けるものとするとの趣旨の
規定があります。この為行政当局では必ず法令による割合相当分の一部負担金を徴収するよう指
導をしています。
なお他の医療機関と競争し、シェアを拡大する目的で一般的・継続的に一部負担金の割引や免
除を行うことは、独占禁止法第2条第9項に定められている「不公正な取引方法」の一般指定第
6項の「正当な理由がないのに商品または役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継
続して供給し、その他不当に商品または役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難
にさせるおそれがあるとき」に該当しますので、この点もご注意下さい。
3 学術関係
Q
A
(1)
日本歯科医師会の「生涯研修事業」の目的は何ですか。
高度情報社会の日本では、国民の健康意識の向上とともに、歯科医療によせる期
待が増大し、国民が歯科医師を見る眼も相応に厳しくなってきております。それゆ
え歯科医師免許取得後は、2年間卒直後研修が義務付けられています。さらに近年
益々多様化する国民のニーズに応えるべく、歯科医師は医療サービスの水準を確保するための対
応を常に迫られているのです。
生涯研修活動は、本来歯科医師の自主性と個人の責任にゆだねられるべきものです。しかしな
がら歯科医学の進歩や社会の変遷があまりにも広範かつ急激であるために個人のレベルで自己研
修の適否を判断することが困難になってきています。
国民への最新の医療の提供、在宅ならびに介護医療の推進、院内感染の防止などが特に今日的
課題となっていますが、これらに加えて、歯科医療を国民のQOLの一環として位置づけ、人間
の生活そのものに、より密着した見地から患者の医療管理を総合的に行うことが求められていま
す。これと関連して、インフォームドコンセントを含む患者の心のケアや人権問題まで配慮する
必要があります。
日歯生涯研修事業はこのような現状を踏まえながら会員の生涯研修活動に対して有効で適切な
支援システムを設けるとともに、研修内容を分類し単位制を導入することによって研修成果をよ
り客観的に評価しようとするものであります。
さらに私たち会員がその責務を果たすために不断の努力を重ねている事実を広く国民にアピー
ルして、国民の理解と正当な評価を求めることも本事業の目的とするところであります。
Q
A
(2)
自己研鑽といいますが、歯科医師会は何かしてくれますか。
歯科医療に対する国民のニーズは、時代の変化と共に多種多様に変わっています。
私達は、常に時代の流れに沿った最新で良質の歯科医療を提供すべく、自助努力
することは当然のことです。
日本歯科医師会の生涯研修セミナーは、その代表的なものですが、県歯科医師会や地域歯科医
師会においても会員の学術発表会や著名な先生を講師に招いての学術講演会・研修会等を開催し
ております。また、最新の学術関連のビデオ・スライド・書籍等を毎年購入して会員への貸し出
しを行っております。
しかし、自己研鑽は会員個人の意識と意欲に帰する問題であり、ひいては努力の結果こそが自
院の経営を左右するものと考えます。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(3)
県歯科医師会で開催される学会及び研修会について、教えて下さい。
まず、学会関係でありますが、主なものとして次の事業を行っております。
① 生涯研修セミナー
② 学術発表会
③ 公衆衛生学会
④ 医療管理学会
⑤ 方部学会(4方部)
次に、研修会関係でありますが、主なものとして次の事業を行っております。
① 社会保険医療費請求事務研修会
② 歯科保健指導者研修会
③ 在宅寝たきり老人等歯科保健医療事業研修会
④ 学校歯科医部会研修会
⑤ 警察歯科医部会研修会
⑥ 歯科医療従事者研修会
なお、東北地区歯科医師会連合会の主催する学会関係の事業として東北地区歯科医学会、日本
歯科医学会学術講演会等があります。
4 公衆衛生関係
Q
A
(1)
ホームドクターの役割とはどんなものですか。
ホームドクターとは「患者のライフサイクルを通じて歯科疾患の予防と治療を含
めた歯科医学的管理や指導を総合的に行う歯科医師」を指しますが、分かりやすく
言えば、患者が歯科のことに関して、日頃何でも安心して相談できる歯科医師とい
うことです。
また、ホームドクターは、自院における歯科保健指導だけでなく、地域住民の健康増進に寄与
するための行政や歯科医師会等が実施する歯科保健教育・相談、健診、在宅・施設における歯科
保健、医療、福祉(介護)事業等に積極的に参加し、歯科医療の進歩と住民のニーズの変化に応
じて適切なサービスを提供するものです(非会員では、ホームドクターの役割すべてを担うこと
は不可能です)
。
以上のことから、ホームドクターは常に歯科医学・医術の研鑽に努めると共に地域医療を担う
医療人としての責任を自覚しなければなりません。
具体的な役割としては、次のようなものがあります。
① 患者個々のニーズに対応した健康教育・相談
② 必要とされる歯科医療への対応
③ チーム医療実践のための連携及び紹介又は指示
④ 要介護高齢者及び障害者に適切な歯科サービス提供
⑤ 福祉施設及び在宅患者に対する歯科医療・訪問指導
⑥ 定期的なプロフェッショナルケアを基本とした予防管理
Q
A
(2)
地域の医療・保健及び福祉の向上のため、会員はどんなことを心がけるべきで
すか。
歯科医師は、それぞれ所属する地域社会の特性を考慮したツーウェイコミュニケ
ーション(対話)作りが基本原則になります。すなわち、人対人の関係を大切にし、
人の立場や苦しみを理解し得る人間的な感性を持つ事が大切です。
このことは、歯科診療行為に際して、歯科医師からの一方通行でなく患者からの要望や、考え
方を聞く耳をもち、それに答える「対話」が歯科診療の原点になることを意味しています。
こうした基本精神を有したホームドクターになって活躍することです。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(3)
県歯科医師会及び地域歯科医師会の公衆衛生事業について、教えて下さい。
県歯科医師会及び地域歯科医師会は、県及び市町村と協力して、ライフステージ
全般に亘る歯科保健事業を展開しております。
具体的には、妊産婦の指導から、1歳6カ月・3歳児健診、小中高生に対する学
校健診、成人においては、市町村の一般健診時に同時に行う歯科健診や県内各地の事業所に出向
いて行う事業所健診を実施しております。
また、寝たきり者に対しては在宅寝たきり訪問歯科診療、障害者歯科診療も行っております。
学校歯科関係では、幼稚園を含めた「よい歯の学校表彰」及び「歯科衛生図画・ポスター・習
字コンクール」を行っております。
さらに、地域住民の多様なニーズに応えるべく、国・県・市町村の補助を得て、数カ所の地域
歯科医師会では休日診療を実施し、地域に貢献しております。
また、口腔衛生の啓発活動として、県内全域において独自の歯の衛生週間事業を展開し、また、
県歯科医師会は平成10年から、8020表彰を含めた「うつくしま、ふくしま。歯の祭典」を開
催し、大いにアピールしております。
今後の公衆衛生事業の展開としては、従来にも増して大学歯学部との連携・協力を得ながら、
共同研究事業の拡充を行い、より効果的な推進を図りたいと考えています。
5 医 業
Q
A
(1)
自院の隣あるいは向かいに新しい診療所が開業しようとするとき、どう対処し
たら良いですか。
現在、歯科医師過剰時代といわれるとおり、年々歯科医師の数は増加しています。
したがって、いつ自院に隣接し開業されるか分かりません。そこで「自院に隣接し
て新規開業されては困る」、「新規開業を阻止できないか」、「歯科医師会で適正配置
について規則化して欲しい」などの声を耳にしています。
しかし、現在の医療法、独占禁止法等の法律上、いかなる場所であっても開業を規制阻止する
ことはできません。
すなわち、どんな場所でも開業したいと思う歯科医師を何人も拒むことはできません。これに
対応して、地域歯科医師会はその開業地周辺の歯科診療所の現状や患者の動向など開業に適切か
どうかの資料提供の準備があり、かなりの資本を投じて開業するに値するかどうかなどの助言を
行っております。
いずれにせよ、自院の隣接地に新規開業する可能性は常にあり、そのことを前提に心の準備と
対策が必要です。あるところでは新規開業医と従来の開業医が、患者獲得のためにお互いに張り
合い、まず広告合戦、次に診療時間延長、そして一部負担金のダンピング、物品の提供、最後に
中傷合戦となったケースもあります。これは本人の信用だけでなく歯科界の信用まで損ね、患者
獲得どころか減少すると同時に人間性まで否定されます。つまり、歯科医師間で張り合っても何
の解決にもならないということです。
ではどうすれば良いか。歯科医師間で張り合うのではなく、患者が診療して欲しくなるような
歯科医師を目指して行くことにあると考えます。患者の立場になり自分自身が診療を受けたいと
思う歯科医師になることであり、その方策は限りなくあると思います。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(2)
診療時間の設定に当たり、留意すべき事項について教えて下さい。
診療時間は、社会全体の労働時間に対する考えの流れ、歯科医師と勤務職員の健
康管理、患者の体調の管理等も十分勘案して決定すべきものと考えます。
周囲の迷惑も考えない、自分本位に営利のみを求める非会員の中には、有限の時
間をあたかも無限の如く錯覚し、医療人としての常識に反して、稼働時間を延長して営利のみを
追求する者もいるとききますが、そのような行為は歯科医師の社会的評価を下げるだけで、厳に
慎むべきです。また、そうした過度な診療行為によると考えられる医療過誤も近年クローズアッ
プされております。
自己研鑽の時間も必要であり、最適な診療態勢の確立という点からも、適切な診療時間の設定
も重要な一事項と思われます。開業する場合、地域によって事情が異なりますが、概ね午前9時
から午後6時が基準であると考えます。
なお、診療時間は開設地の保健所及び県保険課に届け出ることになっています。
Q
A
(3)
診療所の内と外では広告の規制に差がありますか。
医療法上「院内掲示(第14条の2)」と「広告(第69条)」とは、全くの別の事
柄と考えられており、診療所の内部(待合室を含む)においては一定の事柄(例え
ば管理者の氏名等)を掲示する義務が定められている一方で、広告できない事柄
(例えば「インプラント治療取扱」等)についても掲示が可能です(平成6年4月28日厚生省
回答は、広告できる診療科以外の診療科名を院内掲示することは差し支えないとしています)。
これに対しての広告は、院内掲示とは異なり、義務として行われることはありませんが、広告
できる事項は制限されています(医療法第69条、医療法施行規則第42条の3第1項、平成10
年8月28日厚生省告示)
。
上記の次第で、院内掲示は広告ではありませんので、広範にその歯科診療所において提供され
る医療に関する情報を表示することができます(但し医療法施行規則第42条の3の規定がある
ので、「提供される医療の内容が他の病院と比較して優良である」との掲示や、誇大な掲示は許
されません)。
Q
A
(4)
広告に記載できる事項は、どんなものがありますか。
医療法第69条第1項等は、歯科医師が広告できる事項として、下記の事柄を掲
げています。
1 歯科医師である旨
2 診療科名(医療法施行令第5条の3により、歯科、矯正歯科、小児歯科及び歯科口腔外科と
されています)
3 上記2以外の診療科目であって、厚生大臣の許可を受けたもの
4 病院又は診療所の名称、電話番号及び所在地
5 常時診療に従事する歯科医師の氏名
6 診療日又は診療時間
7 入院設備の有無
8 厚生省令で定める事項(医療法第14条2第1項第4号、医療法施行規則第9条の4により、
病院の場合の建物の内部に関する案内とされています)
9 厚生大臣の定める事項
そして上記の9の具体的内容を定めるものとして、平成5年2月3日付の厚生省告示がありま
したが、患者が主体的に自分の症状に合った適切な医療機関を選択することが可能となるよう、
平成10年8月28日に新告示が出され、下記のとおり広告可能な事項が定められました。
1 保険医療機関、健康保険診療所(病院を含む、以下同じ)
、社会保険診療所、船員保険診療所、
国民健康保険診療所、労災保険指定診療所、生活保護指定診療所、歯科医師臨床研修指定診
療所、外国歯科医師臨床修練指定病院等である旨
2 救急医療を提供している診療所である旨(例えば「休日等歯科診療所」と表示し、併せて救
急医療を行う日時又は曜日を示すことなど)
3 予約に基づく診療の実施(例えば「平日○時から○時まで予約受付」
「24時間予約受付」等)
4 休日又は夜間診療の実施
5 往診の実施
6 在宅医療(訪問看護を含む)の実施
7 健康相談(健康の保持増進の為の日常生活上の助言にとどまり、症状、疾患名、治療行為等
に関するものを含まない)の実施
8 入院食及び特別室等に関する事項
9 入院患者に対する医療以外の役務の提供に関する事項(例えば貸テレビ料金等)
10医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の従業員(看護補助者を含む)の員数に関する事項
(性別、資格毎に員数を表示してよい)
11病床数及び病室数
12病室、機能訓練室、談話室、食堂又は浴室に関する事項(面積、部屋数)
13同一敷地内に併設されている老人保健施設等の名称
14駐車設備に関する事項(場所、台数等)
これらの広告の方法ですが、新聞雑誌、車内吊り広告、街頭の掲示広告等すべての広告媒体に
ついて、上記の規制の適用がありますのでご注意下さい。また広告の内容についても、医療法第
69条第2項及び医療法施行規則第42条の3第1項により、「提供する医療の内容が他の病院、
診療所等と比較して優良である旨を広告してはならないこと」「提供する医療の内容に関して誇
大な広告を行ってはならないこと」とされていることに留意して下さい。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
6 会員の義務と責任
Q
A
(1)
会員として県歯科医師会主催の行事へ参加することの意義はどんなところにあ
りますか。
県歯科医師会は、歯科における唯一の学術専門団体として、多くの事業や活動を
行っています。その事業は、学術関係、公衆衛生関係、学校歯科関係、産業歯科関
係、社会保険関係、医療管理関係、広報関係、厚生関係、調査関係、器材薬剤関係
などにわたっており、その年度において最も適した事例について、講習会や研修会、イベントと
いう形で実施しております。
県歯科医師会では会員が満足できるような事業や行事になるよう企画していますが、全ての会
員の希望を満たすのは一番難しいところです。
歯科医師は、常に歯科医学、医術等の研鑽を積み、公衆衛生等の普及に努めるなどの基本精神
が必要とされます。また、生涯研修という見地からも、できるだけ歯科医師会の事業、行事に参
加すべきです。
非会員は、歯科医師会が公的機関から依頼された事業所健診や3歳児健診等の事業には参加で
きません。しかしながら、本会の一員となれば、歯の衛生週間や8020運動行事に参加すること
により、多大な社会貢献をすることができます。
歯科医師会の事業、行事は、ほとんど会員の会費で賄っていますので、積極的に参加し、無駄
にしたくないものです。そして、大いに言うべきことは言い、歯科医師会をよりレベルアップし、
より良い会にしたいものです。
Q
A
(2)
守秘義務とは何ですか。
刑法第134条は、「医師、薬剤師、医療品販売業者、助産婦、弁護士、公証人ま
たはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったこと
について知り得た他人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役または十万円以下
の罰金に処する」と定めており、上記の「医師」には歯科医師も含まれますから、歯科医師も守
秘義務を負うこととなります。
ところでここでいう「秘密」とは、「一般に知られていない事実であって、これを他人に知ら
れないことが本人の利益と認められるものをいい、一般的にみて何人も他人に知られることを欲
しない事項、又は本人が他人に知られることを欲しない旨明示した事項の両者を含む」とされて
います。
医科と比較すると、歯科の場合秘密に該当する事項は余り多くないように思われがちですが、
もちろん「エイズへの罹患」などは一般的にみた場合の秘密に該当しますし、患者さんから「義
歯であることを他人に知られたくないので、そのことは他人に言わないで欲しい」と申し出があ
った場合は、義歯を装着したことも秘密に該当することとなります。
なお歯科医師本人が秘密を守らなければならないことは当然ですが、デンタルスタッフにもこ
のことを徹底させることが必要です。
Q
A
(3)
医療法の遵守について説明して下さい。
医療法は、第1章「総則」、第2章「病院、診療所及び助産所」、第2章の2「医
療計画」、第3章「公的医療機関」、第4章「医療法人」、第5章「医業、歯科医業
又は助産婦の業務等の広告」、第5章の2「雑則」及び第6章「罰則」からなって
おり、種々の医療機関が遵守すべき事項が定められております。
そして平成9年12月の改正で、いわゆるインフォームドコンセントに関する規定が盛り込ま
れ、「医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適
切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」こととなりました
(第1条の4第2項、これは訓示規定で、違反に対する処罰はありませんが、その違反が医療過
誤に結びつく可能性はあります)
。
医療法に基づく歯科医師の義務と責任については、日本歯科医師会のホームページ
(http.//www.jda.or.jp)の「歯科医師の義務及び責任」に詳しく記載されていますので、これ
をダウンロードしてご覧下さい。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(4)
患者が酔って来院したときでも、診療に応ずる義務がありますか。診療を拒絶
できるのは、どのような場合ですか。また、時間外や休日に診療を求められた
ときの対応はどうしたら良いですか。
歯科医師法第19条1項によれば、「診療に従事する歯科医師は、診療治療の求め
があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定めてお
りますが、その「正当な事由」については解釈に任されており、判例の集積もあり
ません。
もっともこの点については、厚生省から前後3回にわたって「疑義に対する回答」が示されて
います。1回目は昭和30年8月12日のもので、医師についての所謂応招義務に関するもので
す。これは医師が日中の診療で非常に疲労していたり、体調が悪い状態で、深夜往診依頼があっ
た場合にこれに応じなければならないかどうかという問題ですが、回答は軽度の疲労では正当な
事由には当らないとしています。2回目は昭和30年10月26日のもので、歯科医師が毎月5日
を定期休診日として一斉に休診することは、休診日であっても応招義務を免除されるものではな
いから、何等差し支えないとするものです。3回目は昭和49年4月16日のもので、休日夜間
診療所や、休日夜間当番医制度を設けたときは、他の医療機関が診療を拒んでも、原則として違
法ではないとしています。
そこで上記の回答を参考にしてどのような事柄が「正当な事由」に該当するかを考えていくと、
①患者が酒に酔っている為正常な診療ができない状態にあること(従って微醺を帯びている程度
では正当事由に該当しないと思われます)、②患者が従来診療報酬を支払わず、今回もその支払
をしないおそれがあること、③診療時間外の診療依頼であって症状が急を要するものではないこ
と、④歯科医師が不在であること、⑤歯科医師の体調が悪かったり、飲酒をした為に正常な診療
を行うことができない状態にあること等が挙げられます。
Q
A
(5)
会員が県歯科医師会の定款や規則(綱領)を明らかに遵守しなかった場合はど
う対処しますか。
その違反の程度が重い場合は、県歯科医師会定款第19条に該当するものとして、
戒告または除名処分を受けることがあります。但し戒告を行う為には代議員会の議
決が、除名を行う場合は代議員会及び総会の議決が必要です。
7 職員管理
Q
A
(1)
医の倫理をスタッフに上手に伝えるには、どうすれば良いですか。
歯科医療は、院長を中心にデンタルチームが心を一つにして診療にあたることに
より、はじめて目的が達成されるものです。
従って、院長の歯科医療に対する基本的な考え方、患者への接し方、診療方針、
指導法等を全スタッフに徹底・周知させ、統一しておくことが大切です。
各種の研修会に出席してみますと、服装、礼儀作法、言葉使い等医療従事者として疑問を感じ
るような人も見受けられます。
スタッフの中には、年代の違い、生活環境の違い等により、人との接し方や各個人の人生観、
価値観に違いがあるかも知れません。
しかし、少なくとも、職場においては、医療従事者としての倫理、礼儀作法、義務と責任や器
材管理等の服務規程を確立し、常日頃これを遵守するよう指導すべきです。
このようにすることが、究極的には、患者への信頼感、歯科医療のサービスや診療効率を高め
ることになります。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(2)
労働基準法上の従業員の拘束時間及び残業時間はどうなっていますか。
昭和62年に労働基準法が改正され、法定時間は従来の週48時間から週40時間
(1日の最長労働時間は8時間)に短縮されましたが、一度に40時間にするのでは
なく、46時間(平成3年3月31日まで)、44時間(平成6年31日まで)、そし
て40時間というふうに段階的に短縮が行われました。
そして平成9年4月1日から全面的な週40時間労働が始りましたが、歯科医業のような保健
衛生事業にあっては、常時10人未満の従業員を使用する事業所については、特例として週46
時間制が採られています。
ところで労働時間とは、始業時刻から終業時刻までの拘束時間(例えば、午前9時始業、午後
6時終業とすると、拘束時間は9時間となる)から休憩時間(例えば正午から1時間)を除いた
時間をいいます。この労働時間には、診療開始前の準備作業や診療終了後の後片づけ、整理など
の作業時間も労務を提供していると認められる限り当然含まれることになります。
拘束時間の長さについては、規制はありませんが、休憩時間をあまり長くすると拘束時間が不
当に長くなってしまうので注意して下さい。
法定労働時間を超えて労働させる場合、例えば終業間近に緊急患者が来院したり、終業時間に
なっても予定通り診療が終わらなかったりする場合、労使が時間外に労働することを協定し、労
働基準監督署に届出て、割増賃金を支払えば労働時間を延長し、また休日に労働させることが出
来ます。それを行わないで時間外労働もしくは休日労働させれば違法となりますので、ご注意下
さい。
8 歯科医師連盟
Q
A
(1)
県歯科医師会に入会するときは、必ず福島県歯科医師連盟に加入しなければな
らないのですか。
日本歯科医師会及び福島県歯科医師会は、定款第3条に設立目的を、第4条に目
的達成のための事業を掲げております。これらを実現・実行することが我々会員の
社会的使命であります。
わが国は議会制民主主義国家であり、重要問題のほとんどは政治的解決を必要としますから、
我々の意見や要望を具現化するには、政治的活動、とりわけ議会における代弁者が必要不可欠で
あります。
それ故に、日本歯科医師会は昭和26年4月、日本歯科医師政治連盟(日本歯科医師連盟と改
称)を結成し、幾多の艱難辛苦、紆余曲折を経ながら一致協力し、一丸となって目的達成のため
の努力を重ねてまいりました。
現在、歯科界を取り巻く環境は、あらゆる面で困難を極めている状況にあり、歯科医師はより
強固に足並みを揃えて、目的達成のためこのような状況の改善に努めなければなりません。
このような観点から、会員の方々には、福島県歯科医師連盟(以下「連盟」といいます)への
加入をお願いしているわけですが、連盟の規約第3条にによれば、「連盟は同規約第2条に記載
された目的に賛同する本会の会員を以て組織する」とされており、加入が強制されているわけで
はありません。
しかし、歯科医師会にも連盟にも加入せず、何ら努力も協力もせず、「いいとこ取り」
、営利追
求だけの非会員は、利己主義者のそしりを免れません。
現代に生きる歯科医師として、歯科の現状と将来について、責任を持って真剣に考えるのであ
れば、拱手傍観、成り行き任せでなく、自分の問題として是非連盟に加入し、目的達成のためご
協力くださるようお願いします。
第3章 福島県歯科医師会倫理綱領に関するQ&A
Q
A
(2)
連盟は特定の政党を支持しているようですが、連盟に加入すればそれ以外の政
党を支持することはできないのですか。
そのようなことはありません。
最高裁判所は、昭和50年11月28日の判決で、「労働組合の組合員は、労働組
合の支持政党に関する決定に拘束されるものではない」としていますし、平成8年
3月19日の判決でも、「税理士会の会員は、税理士会の支持政党に関する決定に拘束されるも
のではない」としています。また、平成10年10月29日の青森地裁の判決では、「薬剤師会の
会員は、同連盟の活動に協力する義務があることは否定できない」とし、「どの政党を支持し、
どの候補を選択するかは投票の自由と不可分のものであり、個人が自主的に判断決定すべきこと」
と結論づけています。従って、歯科医師連盟に加入しても、他の政党を支持することは差し支え
ありませんが、歯科医師連盟の活動に協力する義務は否定されておりません。
このような問題が起こるのは、連盟不要論ではなく、選択・委任した政党や人物が期待に応え
ず、一向に効果が挙がらないことに対するいら立ちや不平不満が一因として根底にあると考えら
れます。連盟としては、これら不満解消のため一考も二考も要するところです。
しかし、前問に記載したように、現在歯科医師の目的達成や業権の確保は、あらゆる面で困難
を極めている状況にありますので、できるだけ足並みを揃えてこの難局を打開しなければなりま
せん。
皆様のご協力をお願いします。
9 その他
Q
A
(1)
医療事故が起きた場合どうしたら良いですか。
まず患者側の態度が問題です。稀には患者が診療所に来て騒ぐので、他の患者の
診療に差し支えるというようなケースもあります。このような場合はすぐにお知合
いの弁護士か、本会の嘱託弁護士(以下両者を単に弁護士といいます)に相談して
下さい。弁護士は歯科医師の代理人として患者と面会して説得したり、直ちに受任通知を発送し
て弁護士が窓口になる旨申入れる等して、診療への障害が最小限度となるよう努力します。この
ような対応をすれば患者の方もおとなしくなるのが普通で、以後冷静な交渉が可能となります。
そして歯科医師賠償責任保険に加入している会員の方は、この段階で直ちに損害保険会社に対
して、「歯科医師賠償責任保険事故報告書」を提出して下さい。
その後の手続きとしては、損害保険会社は、弁護士を正式に歯科医師の代理人として依頼し、
弁護士は、患者との交渉に入って行きます。
弁護士は、カルテやレントゲン写真の検討を専門家に依頼し、歯科医師に過失があると判断さ
れれば、損害保険会社と損害額について協議した上、支払可能な金額を患者に提示し、必要があ
れば金額の積上げを行って、示談の成立に努めます。
歯科医師に過失があるものと判断されたケースの圧倒的大部分は示談交渉で解決されており、
簡易裁判所の調停や訴訟まで進むケースは、極めて稀です。
また歯科医師に過失がないと判断されれば、
弁護士は患者に対して損害の賠償を拒絶しますが、
この場合も患者が調停や訴訟を起すケースは少なく、諦めてしまうことが多いようです。
いずれにしても歯科医師賠償責任保険に加入している歯科医師の場合、弁護士の費用は全額損
害保険会社から支払われますので、歯科医師の負担はありません。
なお県歯科医師会には裁定審議会が設置されており、「会員と診療委嘱者その他の紛争の調停」
がその職務の1つとされていますので、裁定審議会に対する調停申立も可能です。但しこの場合
も損害保険会社との連絡を取りながら手続を行うことが必要で、損害保険会社の承認なしに賠償
すべき金額を定めた場合、その全部が損害保険会社から支払われるという保証はありません。
なお歯科医師賠償責任保険に加入していない会員の方の場合、手続は基本的に保険に関するも
のを除き上記と同じですが、賠償金と弁護士費用を負担しなければなりませんので、保険への加
入をお勧めします(現在、県歯科医師会が契約している損害保険会社は「安田火災海上保険株式
会社」です)。
福島県歯科医師会倫理綱領
平成11年4月1日
発 行 所
〒960-8105 福島市仲間町6番6号
社団法人 福島県歯科医師会
電話 024(523)3266
印 刷 所
株式会社 阿部紙工