光ディスクと HDD - IDEMA Japan(日本HDD協会)

巻 頭 言
光ディスクと HDD
田村礼仁(日立マクセル)
IDEMA の理事に就任いたしましてから 2 年余りになります。私自身は、かつては HDD と競合すると
いわれ、近年はその特徴の違いから HDD と共存するともいわれています、光ディスク業界に身をおく
ものとして、IDEMA の活動にかかわってまいりました。IDEMA News の読者は HDD 関係者が多いかと思
いますので、まずこれまで光ディスクが歩んできた道をざっと紹介した後、今後の展望についての雑
感を述べたいと思います。
光ディスクは、1980 年代初頭に再生専用の音楽用 CD が発表され、広く世の中に認知される存在と
なりました。記録型の光ディスクでは、1度だけデータを記録することが可能な追記型ディスクや
データの書換えが可能な光磁気ディスクが、やはり 80 年代初頭に発売され、主に業務用を中心に市
場を開拓していきました。当時は、光ディスクの記録密度は HDD を上回っていたため、業務用だけで
なく民生用としても高密度大容量媒体として期待する声が大きく、参入メーカもどんどん増えて、ま
さにいけいけの時代がやってくるわけです。80 年代の後半には、再生専用の CD フォーマットをベー
スにした追記可能な CD-R が開発され、これがデータを保存するメディアとしては未曾有の大ヒット
となっていきます。ただし、この CD-R の普及は、同時にメディアやドライブの価格低下をもたらし、
このあたりからビジネス的に厳しい時代に移行していきます。
光ディスクの特徴のひとつは、メディアの可換性と互換性です。したがって、統一規格を一度決め
てしまうと、なかなかそれを変えられない、つまり、毎年毎年記録密度を上げていくといったことが
しにくくなります。実際、80 年代に決まった CD 規格の次の規格は、90 年代の DVD 規格を待たねばな
りませんでしたし、2000 年代に入って、その次の規格である BD 規格や HD DVD 規格が登場してきてい
ます。
光ディスクがこのような動きをする中、HDD の記録密度の向上は目覚しく、時に年率 100% を超える
上昇率を何年も続け、
光ディスクの記録密度を大きく上回ってきました。これによって、光ディスクは、
HDD と競合する関係ではなく、その特徴を活かして棲み分ける方向へと移行していきます。
この棲み分け、あるいは両者の融合アプリとして最も成功したものは DVD/HDD レコーダであること
は言を待たないでしょう。これはそれまで主流であった VHS デッキを淘汰してしまいました。レコー
ダの初代機は、DVD のみを搭載したものであり、これはユーザにとっては VHS テープを DVD ディスク
に置き換えただけのものでありましたが、HDD を搭載したレコーダが登場したことで、番組を保存す
るという従来の使い方に加えて、タイムシフトという使いかたが改めてユーザに認識されることによ
って、ここまで急速に普及したと考えています。それぞれの技術、特徴がユーザに新しいメリットを
提供した好例と言えるでしょう。
他方、その他のメモリーの状況、特に昨今話題になっている半導体メモリーの価格下落によるビッ
トコストの大幅低下や、通信技術の発展、通信インフラの整備などにより、メモリー全体の地図が変
わりつつある時代に差し掛かっているように思います。いろいろな競合技術との融合が、ユーザに新
しい魅力あるアプリケーションを提供することによって全体として市場が活性化し、皆がハッピーと
なるような社会になっていくことを大いに期待したいと思います。
IDEMA Japan News No.80