特集 学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 19 グローバルキャリア実践実習 に参加して 島 田 大 輔 Daisuke SHIMADA 機械システム工学科 3年 1.はじめに 私は 2013 年 8 月 9 日から 8 月 26 日にかけて行わ 図1 れたグローバルキャリア実践実習に参加しました. PC 内部の様子 このうち,初めの 4 日間ではサンフランシスコやサ 配線をするというものでした.私は PC の内部を見 ンノゼにある,いわゆるシリコンバレーと呼ばれる たのは初めてであったため,知識は皆無であり,さ 最先端の IT 企業が活躍しているところでの企業視 らにマニュアルはすべて英語という状況でした.差 察や,ロサンゼルスで,実際にアメリカで働いてい 込口の形,同じ単語の書かれたパーツを組み合わ らっしゃる日本人の方々や,アメリカの大学生との せ,何とか途中までは完成させることができました 交流,ディスカッションなどを行いました.そし が,どうしてもわからない部分もありました.この て,残りの 2 週間はホームステイをしながら企業実 部分は社員の方にお聞きしました.すると,とても 習を行いました.ここで,日本とアメリカとでの考 丁寧に教えてくださり,さらに,マザーボードに取 え方の違いは何なのか,また,その違いによって働 り付けられている CPU,ファン,メモリなどの解 き方はどのように変わってくるのかを理解するこ 説もしてくださり,自分の求めていた答え以上のこ と,そして,英語力の向上を目標に設定し,実習に とを教えてくださいました.ここでは,わからない 臨みました. ことを他人に聞くことにより,求めている答えが得 られるとともに,それ以上の情報を得ることができ 2.企業概要 る可能性があることを学びました. 今回私が研修させていただいた企業は,DeviceNet USA という会社で,1997 年に設立されたミカサ商 3.2 HDD の分解 事という会社の 100% 出資子会社です.事業内容 HDD とはハードディスクドライブの略で,情報 は,サービス開始当初から築いてきた運用ノウハウ を記録したり読み出したりする記憶装置です.ここ と技術力を活用して,お客様が安心して業務に専念 では使えなくなった HDD を分解し,中のプラッタ できるよう,IT ネットワーク環境の最適化をおこ と呼ばれるディスクを取り出し,再度読み込みがで なっています. きないようにすることが目的でした.分解にはトル クスドライバーという特殊な工具も必要であり,使 3.実習内容 3.1 い方から学ぶことができました.部品の中には超強 PC のセットアップ 力な磁石もあり,てこの原理をうまく利用したりし PC は学校などでもよく使うものですが,今回の て工夫をしながら分解を行いました.この実習で 実習ではソフトウェアを使っての作業ではなく,PC は,自分の帰宅時間を忘れるほど集中して作業をし の組み立てをさせていただきました.組み立ては図 ていました.つまり,私はこのような作業が好きだ 1 の中ほどにあるマザーボードにマニュアル通りに ということに気付くことができました.自分でも使 ―7― 求められており,会社はグループとして機能してい ると考えられます.この違いの発見により,今回の 目標であったアメリカと日本とでの考え方,働き方 の違いを理解することができました.この目標の意 図は,将来,多くの人と関わりを持つ仕事がしたい と考えていることにあります.勿論,日本だけでな く,グローバルな視点で考えています.人と関わる ということは相手を理解する必要があります.その 図2 ためには文化,考え方の違いを理解し,必要最低限 HDD 分解の様子 のコミュニケーションのツールとして英語を習得し えなくなった物をそのまま捨てるのではなく,一度 なければならないことがわかりました.今回の実習 分解してみてどんな部品が使われているのか,それ のもう一つの目標に英語力の向上と設定していまし ぞれの役割は何なのかを考察してみたいと思いまし たが,これはコミュニケーションのツールを増やす た. という面では効果的な目標であったと思われます. 実際に会話表現や単語を多く学ぶことができまし 4.実習を終えて た.しかし,異文化を理解することと考え方の違い 上記の実習内容は自分が実際に行った作業内容で を理解するということも考慮すると,英語を学ぶの あり,ほかにもお客様の会社へ足を運び,その現場 ではなく,英語で学ぶとしたほうが自分にとって良 で PC のセットアップをする様子も見学させてもら かったのではないかと思いました. いました.それぞれの会社でいろんな人が働いてお 今回の実習で,「グローバルキャリア実践実習」 り,日本人の方も多くいらっしゃいました.そこで という一つのプログラムに対してたくさんの方々が は,ただ PC のセットアップをするだけでなく,世 支えてくださっているということを知りました.実 間話をしたりしてコミュニケーションをとられてい 習の目標設定から始まり,英語研修,事前研修,ア ました.ここで,自分の技術を提供することに加 メリカ企業の視察,ホームステイ,企業実習,事後 え,このようなコミュニケーションをとることによ 研修などの工程を踏み,それぞれの場所で多くの方 り,良い仕事環境をつくることができるということ と接し,様々な影響を受けることができました.こ を知りました.また,いろんなオフィスを周って, のことから,いろんな人とかかわることの大切さ, アメリカのオフィスは個人のデスクが壁などで仕切 人とのつながりを多くすることの重要性を学ぶこと られた個室空間が多く見られました.日本のオフィ ができました.社会に出ると,今度は自分が周囲の スの場合,一つの空間内にデスクが隣り合っている 人に影響を与えることができるようにならなければ イメージがあります.この違いより,アメリカの会 ならないと思いました.では,自分は社会に出て何 社では個人単位での貢献が求められており,会社は ができるのか.何を提供することができるのか.こ 個人の技術で機能していることが考えられます.一 れらのことを今後の生活の課題としていきたいと思 方,日本の会社ではグループに対する個人の貢献が います. ―8―
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