大阪女学院大学礼拝説教 「愛は世界を変える」 聖書 コロサイ3:12~14 2012年7月9日 讃美歌 486 世界には、73億人ほどの人が暮らしています。知り合いの知り合いという ように何人繋いでゆけば、世界中の人と繋がるでしょうか? ①、6000人 ②、600人 ③、60人 ④、6人 正解は、(④)6人 朝日新聞のコラムに紹介されたことがありましたが、北アメリカの真ん中の ネブラスカ州で160人の人に東海岸のボストン在住のある人物の写真と手紙 を送り、その人を直接知っていたらその人に、その人を知らなかったら知って いそうな人に転送してくれるようお願いしたそうです。その結果、本当に42 通がその人に届き、その間に介在した人物は平均5.8人であったそうです。 日本でも、ミクシィという交流サイトで会員の1300人を対象に調査したと ころ、6人を介在すると95%の人が繋がることが分かったそうです。 「知り合 いの知り合い」という繋がりは、たった6人を介するだけで世界中の人と繋が る不思議な力を持っているのです。 以前「友達の友達はアルカイダだ」と言って顰蹙を買った大臣だいましたが、 2人も介すれば、アルカイダの一人や二人知り合いにいても不思議ではないの かもしれません。人間は6人を介すれば、世界中の人と知り合いなのですから。 聖書にもヨハネ福音書1章には、イエス様と6人の人が出てきます。バプテ スマのヨハネと二人の弟子、一人はアンデレでもう一人は名前が書かれていま せん。それから、アンデレの兄弟シモンとフィリポとナタナエルです。バプテ スマのヨハネがイエス様のことを「見よ、神の小羊」と言ってから、ナタナエ ルがイエス様のことを「あなたは神の子です」と言うまでに、6人しか登場し ません。ここでも6人です。これは偶然かもしれませんが、聖書は不思議な書 物で、偉大なヒントをここでもわれわれに与えていたのかもしれません。 聖書には、神様がアダムの骨からエバを作ったということが書かれています。 そんな非科学的なことが書いてあるからキリスト教は邪教であると、長く非難 して来られた団体があります。しかし、今日では誰もそんなことは言わなくな りました。小学校の子供でも人の細胞からクローン人間を作ることができると 知っています。聖書の奇跡物語や天地創造物語は、科学的発見のヒントを与え てくれていると東京工業大学の教授であった一色尚次先生は言っておられます。 マサチューセッツ工科大学気象学の教授エドワード・ノートン・ローレンツ という人が、 「ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こす か」という講演をしたそうですが、無関係に見える小さな条件も無限に複雑な パターンに行きつく重大な条件の一つであると言われるようになりました。 世界は、信じられないほど存在する物が互いに影響し合って成り立っていて、 小さな虫から大きな動物まで、足元の小さな花から巨大な工場のプラントまで、 みんな地球上に存在する物はまるで一つの生命体のように関係していて、こん なこと関係ないと思うような小さなことが、めぐりめぐって世界中の全ての人 に影響しているそうです。聖書にも「一人の罪によって死が支配するようにな ったとすれば、一人のイエスによって神様の恵みは豊かに与えられるのです」 とローマ書5:15に記されています。一人は全体であり、全体は一人と同じ なのです。聖なること Holy は、全体的 Wholly なことと関係があるのです。 聖書ではイエス様のことを「大祭司」と書いていますが、 「大祭司」という単 語は、ラテン語では pontifex と言います。pons は「橋」フェックスは facio と いう「建てる」で、大祭司とは「橋を建設する」という意味なのです。溝が出 来ていたり、亀裂が生じているところに橋を築いて繋ぎ合わせる仕事をするの が大祭司で、イエス様は今も人と人の間を繋いでおられるということです。 私たちが生きている世界は、無秩序な競争社会で、厳しい弱肉強食の世界に も見えます。私たちが、何を考え、何を言っても世の中には何の影響力もなく、 私たちは無視されてしまうような小さな存在に感じることがあるかもしれませ ん。しかし、そうではないのです。私たち一人一人の小さな振る舞いがこの世 界を変えるのです。 「おはよう」と挨拶することや、困っている人に声をかけること、ほんの小 さな親切を誰かにすると、その愛のエネルギーはたちまち伝わりに伝わって、 世界の果てまで影響を与え、世界を変える力になるのです。聖書は、 「愛は全て を完成させる絆です」と書いています。希望を持って愛の業に励みましょう。
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