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管理規約の問題点指摘のグループワーク

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平成20年度
第1回プロナーズ継続研修
管理規約の問題点指摘のグループワーク
< 解説資料 >
平成20年(2008年)7月15日
有限責任事業組合
マンション管理士プロフェッショナルパートナーズ
管理規約の問題点指摘のグループワーク
<ポイント>
・ 団地管理組合で単棟型に準拠した規約が定められている場合のデメリット、明らか
におかしな条項が定められていることに伴うリスク、改善の提案やサポートの内容
などを与えられた時間内に要領よく説明して、聞き手の納得を得る。
・ 法律的におかしな条項がいくつか存在するが、特に改善が求められる条項を説明の
引き合いに出すような場合を除き、ここで求められている説明は、それらの条項の
法的根拠等に関する説明(解説)ではなく、規約改正のサポート業務(約 200 万円)
の獲得につなげるための説明である。
・ グループのメンバーが事前に配信された資料を十分に読み込んでポイントを押さえ
合っていれば、改善の提案やサポートの内容説明の手法などに関する討議に一時間
の大半を充てることができる。
(そのような討議にどれぐらい時間をかけたか)
・ 充実したグループワークにより、発表も充実したものとなる。
1
必ず指摘することが求められる事項(致命的なデメリット)
(組合費)
第13条 組合員は、次の各号に掲げる費用に充てるため、第53条に定めるところに
より、組合費を組合に納入しなければならない。
一 組合の運営に要する費用
二 管理対象物の清掃、手入れ、消毒、点検及び調整に要する費用
三 管理対象物に係る電気料金、水道料金、ガス料金等の費用
四 管理対象物の小額な修繕、新設、移設、改造等に要する費用
五 前各号のほか組合員が共同で負担することが必要と認められる費用
2 組合員の負担割合は、各組合員が所有する住宅の戸数の比による。
3 組合は、外部に居住する組合員に対し、別に定める金額を「管理協力金」と
して、請求することができる。
4 組合費の額は、別に「組合費等の金額に関する協定」で定める。
(修繕費積立金)
第14条 組合員は、組合員全員の共有に属する管理対象物の多額な修繕、新設、移設、
改造等に要する費用に充てるため、第53条に定めるところにより、修繕費
積立金を組合に納入しなければならない。
2 修繕費積立金の負担割合は、各組合員が所有する住宅の戸数の比による。
3 修繕費積立金の額は、別に「組合費等の金額に関する協定」で定める。
(棟別修繕費積立金)
第15条 組合員は、住棟単位の組合員の共有に属する管理対象物の多額な修繕、新設、
移設、改造等に要する費用に充てるため、第53条に定めるところにより棟
別修繕費積立金を組合に納入しなければならない。
2 棟別修繕費積立金の負担割合は、各組合員が所有する住宅の専有面積(登記
面積)の比に応じて負担するものとする。
3 棟別修繕費積立金は、各住棟別に区分して計理しなければならない。
4 棟別修繕費積立金の額は、別に「組合費等の金額に関する協定」で定める。
1
(問題点の指摘)
1 各棟の規模にして20戸~65戸、住戸の床面積にして50~100㎡とバリ
エーションがあり、かつ、土地の持分割合は団地建物所有者が有する建物の床面
積の割合による中、組合費及び修繕費積立金の負担割合が「組合員が所有する
住宅の戸数の比による」とされ、床面積が広い住宅の所有者にとって有利な負担
割合となっている点で、衡平性を欠く。
2 特に、組合費の負担割合が単に「戸数比」とされ、①各棟の共用部分の管理に相
当する負担部分と、②それ以外の管理に相当する負担部分とに分けられていない
ことで、①②それぞれの実費等を考慮してあらかじめ按分したうえで、それぞれ
の共有持分に応じて負担する場合と比べて合理性を欠く。
マンション標準管理規約(団地型)に準拠した内容に改正することにより、この点
が改善される。
特に、通常の管理に要する費用(管理費=設例の団地でいう組合費に相当する費用)
については、次の割合に基づき、①棟の管理に相当する額と、②それ以外の管理に
相当する額とに実費等を考慮してあらかじめ按分したうえで、それぞれの共有持分に
応じて算出することとしている点が、マンション標準管理規約(団地型)の大きな
特長でもある。
管理費(組合費)の算出割合
① 棟の管理に相当する額は、それぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分
の共有持分割合
② ①以外の管理に相当する額は、各団地建物所有者の土地の共有持分割合
この点を見直した場合、広い専有部分を有する者の組合費等の引き上げは必至で、
反発(アレルギー反応)も十分予想されるところだが、区分所有法の規定から、専有
部分や土地の持分の割合に応じて管理に要する費用を負担しあうことは合理的と
言えるし、国のモデル規約に準拠した内容に見直すという点でも合理性が認められる
ところであり、有用なことと言える。
【参考】区分所有法(第66条において準用する第30条第3項)
(規約事項)
第30条 土地等又は第68条第1項各号に掲げる物の管理又は使用に関する団地
建物所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定め
ることができる。
2 (準用なし)
3 前項に規定する規約は、建物若しくは専有部分若しくは土地等(土地等
に関する権利を含む。)又は第68条の規定による規約により管理すべき
ものと定められた同条第1項第一号に掲げる土地若しくは附属施設(こ
れらに関する権利を含む。)若しくは同項第二号に掲げる建物の共用部分
につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに
団地建物所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、団地
建物所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。
4~(略)
2
2
棟総会に関する条項の必要性とマンション標準管理規約(団地型)の特長
団地規約は、区分所有法に規定された事項のほか、原則として、その団地内にある
建物所有者の共有物(土地及び附属施設または団地共用部分)の管理または使用に
関する事項を定め、例外的に団地内の専有部分のある建物(各棟)の管理または使用
に関する事項も定めることができる仕組みになっているが、もともと区分所有法には、
一棟の建物(棟)ごとに適用される規定が相当数存在する。
こうした棟ごとに適用される規定の多くは、一棟の建物における専有部分と共用
部分の存在を前提とした相互関係に関する規定(棟の管理または使用のいずれにも直
接該当しない事項)であり、義務違反者に対する措置に関する事項や、復旧及び建替
えに関する事項などが代表的である。
これらの事項については、あくまで「各棟固有の事項」と位置付けられ、団地関係
が成立した以降においても、区分所有法第3条に基づく団体(棟別管理組合)が棟
ごとに存在していることを前提として、団地全体(団地総会)で意思決定をすること
は認められず、必ず棟ごとの規約の定めや総会の決議に基づいて意思決定することが
求められる。
以上のことから、①棟ごとに総会を開く必要が生じる可能性があること、②本来は
棟ごとに規約を定めるのが最も確実だが、マンション標準管理規約(団地型)では、
区分所有法で棟ごとに適用されることとなっている事項についても、一覧性を確保す
る観点から、各棟固有の事項について意思決定を行うことが必要になった場合の棟総
会に関する条項が設けられているため、これに準拠した内容の規約に改定することは
有用である。
3
問題条項と管理組合のリスク等に関する指摘
法律上も規約事項として効力を生じない条項や、解釈次第でトラブルの原因となり
そうな条項が相当数存在する。
既述のとおり、ここで進んで説明する必要はないが、業務を受託して改定案を作成
する際には、必ずリストアップして説明することが求められる。
(1)専有部分の貸与または譲渡の制限等
(管理対象物の使用)
第17条
~3(略)
4 組合員は、その所有する住戸を賃貸する場合は、事前に組合の承認を
受けなければならない。
5 組合は、前項の賃貸の相手が暴力団又はオウム真理教の関係者である
ことが判明した場合は、なんら催告することなく賃貸借契約を解除する
ことができる。
6 (略)
7 組合員はその所有する専有部分を組合員又は第三者に譲渡するときは、
その手続きとして、通常総会又は臨時総会を開催し、その承認の決議を
要するものとする。
3
○
第4項及び第7項
法令の制限内であれば、自由にその所有物の使用、収益及び処分をすることが
できる所有者の権利を規定した民法第206条(所有権の内容)に対する重大な制限
であり、公序良俗に反する条項に当たる可能性が強いことのほか、賃貸の相手方が
暴力団やカルト集団であることを事前の審査等で見抜くことができるはずもない
事情に照らし、総会の承認を条件とすることには、全く合理性がない。
一方で、例えば専有部分の賃貸や譲渡を全面的に禁ずるような規約を定めれば、
確かに公序良俗に反し、そもそも効力がないと考えられるが、指定暴力団やカルト
集団を相手方とする賃貸や譲渡のみを禁じる旨の定めを置くことについては、対象
がごく限られていることのほか、そうした者が区分所有者または占有者となること
が好ましくないことは、区分所有者の一致するところと考えることに特に無理は
ないことから合理的と考える説が有力で、現に暴力団を相手方とする賃貸や譲渡を
禁じる旨の規約を定めることは、関西圏のマンションでは当り前になっている。
○
第5項
団地管理組合は、賃貸借契約の当事者ではないのだから、賃貸の相手が暴力団
またはオウム真理教の関係者であろうと、自ら契約を解除することができる立場に
ないことは当然である。
区分所有法上も、区分所有者全員または管理組合法人が区分所有者と占有者の
間で締結された賃貸借等の契約を解除しようとするときは、同法第60条に基づく
手続きが必要だが、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づく義務違反
者に対する措置自体、そもそも団地管理組合の業務には当たらない。
こうした点でも、棟総会に関する条項が求められると言える。
(2)役員の辞任の制限
(役員の任期)
第26条
~4 (略)
5 役員は前項の場合を除き辞任することはできない。
役員を選任した区分所有者と役員が委任の関係にあると解釈すれば、いつでも辞任
することができると考えられる。
また、病気等のやむを得ない事情により職務を続行することが困難な場合や、役員
が単身者で、規約第25条第3項に基づき代理する配偶者がない場合もあり得ること
などは、いずれもあらかじめ十分に予想することができることであることから、役員
の辞任を認めないことには、全く合理性がない。
(3)役員の連帯責任
(役員の責任)
第34条 役員がその任務に背き組合に損害を与えたときは、その役員を含む全役
員が連帯して、組合に対し損害賠償の責を負う。
4
効力を有しない条項とまでは言えないが、もともと総会決議(区分所有者の総意)
で役員を選任している経緯からも、役員の背信行為によって組合に損害が生じたこと
については、第一義的にそうした者を役員に選任した区分所有者全員の責任と解する
のが相当であり、役員だけに連帯責任を負わせるようなことは、妥当ではない。
基本的に本業を持っている者が交替で役員を務めあうことになる事情(決して職業
的に行うものではない事情)に照らし、こんな規約条項が定められていたら、役員を
引き受けることを躊躇せざるを得ないことが容易に考えられる点でも、好ましくない
と言える。
(4)少数の区分所有者による集会招集請求権
(組合員の総会招集請求権等)
第38条 組合員の4分の1以上で議決権の4分の1以上を有するものは、理事長
に対し、会議の目的たる事項を記載した書面により総会の招集を請求す
ることができる。
2~(略)
根拠となる区分所有法第34条第3項は、片面的強行規定であり、あくまで規約で
5分の1の定数を減ずる(要件を緩和する)ことだけが認められ、引き上げる(要件
を厳格にする)ことは認められない。
(5)義務違反者に対する措置
(決議事項)
第42条
~(略)~
十三 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は
第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
(総会の議事)
第43条 総会の議事は、次の各号に掲げる場合は組合員及び議決権の各4分の3
以上の多数により、その他の場合は組合員及び議決権の各過半数により
これを決する。
一 ~ 四 (略)
五 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の
訴えの提起
~(略)~
4 第3項第五号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員
又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
区分所有法第57条から第60条までの規定に基づく義務違反者に対する措置を
団地総会(区分所有法第65条に規定された集会)で決議することができないことは、
既述のとおり。
なお、規約第43条の第3項第五号は、「第1項第五号」の誤り(誤植)。
5
(6)決議事項の制限
(総会の議事)
第43条 (略)
2 (略)
3 総会においては、第37条第1項(第31条第2項及び第38条第4項
の規定により準用する場合を含む。)の規定によりあらかじめ通知した
事項についてのみ決議することができる。但し、当日会場に出席した
組合員の多数が認めた場合は、緊急動議に対して審議、採決することが
できる。
4 (略)
第3項について、区分所有法第66条において準用する第37条第2項に基づく
「別段の定め」と解釈した場合、普通決議事項に限った緊急動議であれば、この定め
のとおりに審議し、採決することは、認められると解せる。
一方で、どんな緊急動議を審議することも妨げられないが、「当日会場に出席した
組合員(議場出席者)」と定められていることと、第43条第1項(総会の議事は~、
その他の場合は組合員及び議決権の各過半数によりこれを決する)との関連で、議決
権の過半数を有する組合員が当日、議場にいなければ採択することはできないことに
なる点で、ほとんど現実的ではない。
大多数の組合員から提出されている委任状は、あらかじめ通知された「当日の議題」
の議決権行使に関する権限を委任しているものであり、緊急動議に対するそれまでを
委任していることにはならないわけだが、この点の誤解に起因して誤った決議をして
しまい、トラブルに発展する可能性も考えられる点で、好ましい条項とは言えない。
【参考】区分所有法(第66条において準用する第37条第2項)
(決議事項の制限)
第37条 集会においては、第35条の規定によりあらかじめ通知した事項につい
てのみ、決議をすることができる。
2 前項の規定は、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められてい
る事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前2項の規定は、前条の規定による集会には適用しない。
(7)総会決議に基づく滞納組合費等の債権放棄
(決議事項)
第42条 次の各号に掲げる事項は、総会の決議を得なければならない。
一 ~ 十一 (略)
十二 滞納組合費等の債権放棄
(総会の議事)
第43条 総会の議事は、次の各号に掲げる場合は組合員及び議決権の各4分の3
以上の多数により、その他の場合は組合員及び議決権の各過半数により
これを決する。
一 ~ 三 (略)
四 滞納組合費等の債権放棄
6
以下のように諸説あるため、解釈次第となる。
1
厳格説
その名において権利義務の帰属主体となることはできない団地管理組合が債権
を保有することは、あり得ない。
また、区分所有法には管理者がその職務を遂行するために必要とする債権(団体
的に有していると解釈することができる債権)が先取特権で担保される旨の規定は
存在するが、債権の放棄に関する規定は存在しない。
したがって、滞納管理費等の債権は、あくまで各区分所有者に帰属している民法
上の共有物(=持分割合あり)であり、民法第251条により、その放棄(処分)は
全員の合意をもってしか認められないと解釈することで×とする説。
【参考】民法第251条
(共有物の変更)
第251条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加える
ことができない。
2
柔軟説①
滞納管理費等の債権は、団体に総有的(個々の区分所有者の持分の割合はない)
に属していると解釈した場合に、共用部分等の管理に関する団体的な事務(雑損失
処理など)のルールの一環として定められたものとみなすことで○とする説。
回収不能となった多額の滞納管理費等の債権をいつまでも団地管理組合の貸借
対照表上に計上しておくことは、あまり好ましいことではない。
したがって、法律上は債権を有したまま会計上、損金処理をして貸借対照表から
未収入金を消す処理のみをするための意思決定と解釈することになる。
この場合、団体の意思決定の対象は、あくまで「会計上の雑損失処理」であって、
債権放棄ではないことに注意しなければならない。
3
柔軟説②
新築分譲時に最先区分所有者(=購入者)全員の合意で定められた民法の共有に
関する例外規定(別段の定め)とみなすことで○とする説。
1の法理に基づき、こうした「区分所有法に直接の規定がない事項=民法の規定
の例外など」を規約に定めること自体を否定する説があるが、これが否定されたと
したら、民法上の共有物であるマンションの敷地の「分割請求の禁止」に関する
ルール(=民法の例外規定)も規約に定めることはできなくなると考えられる。
しかし、マンション標準管理規約にも、敷地(土地)の分割請求の禁止に関する
ルールがしっかり定められている。
したがって、この解釈に基づく場合なら、あからさまに「債権放棄」と定めても、
とりあえず差し支えないことになる。
なお、管理組合(団地管理組合)が法人の場合であれば、債権が団体(法人)に
帰属することが明らかだから、その処分も法人の事務の範囲内となり、区分所有法
第52条第1項に基づき、普通決議で放棄することができる。
7
(8)組合費等の払戻し請求の禁止
(組合費等の納入)
第53条
(略)
2~3(略)
4 組合員は、組合員の資格を失った場合において、既に納入した組合費等
の払い戻しを請求することはできない。
5
(略)
第4項を自然に読む限り、組合員であるうちは、すでに納入した組合費等の払戻し
を請求することができると反対に解釈することができてしまう。
(9)共用部分の使用禁止に関する条項
(組合費等の納入)
第53条
(略)
2~4(略)
5 組合員が管理費等を納入しない場合には、理事会の決議により当該組合
員の共用部分等の使用を禁止することができる。
共用部分は、単体では権利の主張こそないが、区分所有権との随伴性などからも、
所有権の一部に当たると言え、その使用を禁止する旨の規約を定めることは、所有権
の絶対性を脅かすことになり、公序良俗に反する可能性が強い。
(10)近隣協定の遵守義務など
(市及び近隣住民との協定の遵守)
第59条 組合員は、日本住宅公団又は組合が○○市又は近隣住民と締結した協定
について、これを誠実に遵守しなければならない。)
2 当団地の近隣において行われる建築事業が周辺環境を著しく悪化させる
と認められるときは、理事長は、総会の決議を経て、組合を代表し、当
該建築計画の差し止めに関する訴訟を提起することができる。
○
第1項
旧住宅公団(分譲主)が市や近隣住民と締結した協定などがあれば、分譲契約に
おける容認事項等として約され、規約にも具体的に定められているのが通常と考え
られる。
そのような事項が存在しないのであれば、「日本住宅公団」の部分は、そうした
協定等の存在を詮索しなければならない点で紛らわしく、意味がない。
○
第2項
法律上も、構成員の共有物の管理を行うことを目的として存在している管理組合
(区分所有法第3条及び第65条に規定された団体及びそれらが法人である場合
も含む)は、基本的に他人の権利を害することのない団体であり、隣地において
行われる他人の建築事業の差止め等に関する訴訟の当事者にはなり得ない。
8
マンションの隣地の建築計画に反対する管理組合が、行政庁の行った建築基準法
の接道義務緩和認定処分に対して無効確認を請求した事件に関し、管理組合という
団体がマンション(建物)を所有しているわけではないことや、個々の区分所有者
が請求のための訴えを提起すれば足りることなどを理由として、管理組合の訴訟担
当の適格性(当事者適格)が否定された判例もある。
○ 平成18年9月8日東京地方裁判所平成17年(行ウ)第 386 号裁決取消請求
事件(甲事件),平成17年(行ウ)第435号建築認定処分取消請求事件(乙
事件)
(11)団地建物所有者全員の共有に属するもの(別表)
所 有 区
分
物
件
名
1.組合員全員の共有に (1) 団地内の土地(団地内道路を含む。以下「共有地」と
属する共用部分
いう。)
(2) 共有地上の樹木、芝生その他の植栽物
(3) 管理事務所及び集会所、電気室、機械室
(4) 駐車場(機械式を含む)、自転車置場、ゴミ置場
(5) 外灯、案内板、掲示板、擁壁、柵、車止めその他の屋
外工作物
(6) 屋外の電気設備、屋外電話設備、屋外給水設備、屋外
排水設備、屋外給湯暖房設備、屋外ガス設備、有線情
報システム設備
(7) 受水槽・ポンプ室及びこれらに附属する機械設備
(8) サブステーション室(7号棟)
(9) 落下防止庇(6号棟、7号棟間に設置)
組合員全員の共有に属する「共用部分」という記述は、明らかな誤り。
例示されているものは、次のとおりに分類することができる。
1 土地(土地に根ざしたものを含む)
2 団地に附属する施設または設備
3
4
団地内の附属施設たる建物で、権利に関する登記の対象となるもの
団地内に存する専有部分のある建物の一部で、構造上及び利用上の独立性を
有する建物の部分
3及び4については、団地の規約でその旨を定めることにより団地共用部分とする
ことができる箇所だが、現に団地共用部分とされているかどうかはわからない。
したがって、最も確実な短い文言で表現するとしたら、組合員全員の共有に属する
「土地及び附属施設等」が正しい。
区分所有法上も、共用部分とは、あくまで一棟の建物に限った概念であり、棟内の
区分所有関係を超えて共用部分を共有することはあり得ない。
9
4
その他の条項
上記のほか、妥当性や有効性が疑問視されたかもしれない下記の条項については、
定め方の良し悪しはあるものの、とりあえず、すべて規約による別段の定めが認めら
れる条項と考えられる。
(1)管理協力金の徴収
(組合費)
第13条 (略)
一 (略)
二 (略)
三 (略)
四 (略)
五 (略)
2 (略)
3 組合は、外部に居住する組合員に対し、別に定める金額を「管理協力金」
として、請求することができる。
4 (略)
役員就任資格が「現に居住する組合員」とされていることから、役員に就任しない
非居住組合員との均衡上の措置として、役員手当の財源やマンション管理士との顧問
契約(顧問料)の財源にするといった合理的な説明のできる範囲内において、非居住
組合員に協力金名目の費用を負担してもらうことは認められると考えられる。
ただし、単に「請求することができる」という記述では、誤解も生じやすいため、
「総会の決議に基づいて徴収することができる」といった記述にするのが望ましい。
(2)役員に関する各種条項
(役員の選任)
第25条 (略)
2 役員の任期中に欠員が生じた場合は、前項の規定にかかわらず、団地に
現に居住する組合員の中から組合員の過半数の書面による合意を得た者
を役員として選任することができる。
3 組合員は、役員がその配偶者を代理人として、役員の職務に当たらせる
ことに同意する。
(理事会の会議及び議事)
第48条 (略)
2 理事会に出席することができない理事等は、書面で議題の賛否を表明
することができる。
3 (略)
4 (略)
補欠の役員の選任方法として「組合員の過半数の書面による合意を得た者」云々に
は、違和感もあるが、共用部分の管理に関する事項の一環として定められた規約条項
として、特に問題があるわけではなく、理事会だけで選任する場合と比べて、むしろ
「開かれた選任方法」と言えるかもしれない。
10
また、管理組合や団地管理組合が法人ではない場合における理事、監事などの役員
や、執行機関である理事会は、いずれも規約の定めによって設置されるものである。
例えば、理事会の会議は、あくまで理事本人の「実際の出席」をもって出席者に
カウントとすることを前提とし、書面や代理人による理事会決議への参加は認められ
ないと解されているが、理事会というもの自体、もともと規約の定めによって設置さ
れていることに照らせば、役員を選任した区分所有者との信頼関係を損なわない範囲
(委任の本旨に反しない範囲)において、代理出席に関するルールを定めることも認
められると解せる。
民法の代理の規定によると、代理人は、本人の承諾があるか、やむを得ない事情が
あるときに限って、復代理人(代理人の代理人)を選任することができる。
これに基づくところ、区分所有者(本人)から委任による代理権を授与されている
理事(代理人)は、あらかじめ区分所有者の承諾があるか、やむを得ない事情が生じ
た場合にのみ、他人(復代理人)に事務処理を委任することができると解せることに
なる。
この解釈に基づき、配偶者等による職務の執行や書面による賛否の表明等に関する
ルールをあらかじめ規約に定めておくことによって、そのことについて区分所有者の
承諾が得られていると解釈することができることになる。
(3)損害保険の付保に関する規約条項がないことについて(旧公団の分譲マンションに特有の事項)
民間の分譲マンションでは、専有部分の火災保険は、各区分所有者がその責任と負担
で付保し、共用部分の火災保険は、管理組合が一括して付保する(団体の責任と負担で
付保する)のが以前から当り前であるのに対し、公団の分譲マンションの場合、公団
資金を利用して購入した者は、資金償還期間を契約期間とする特約火災保険に加入する
法律上の義務があり、その保険の対象は、購入した専有部分と、その専有部分に対応し
た共用部分の持分に及ぶ。
つまり、例えば、購入者全員が公団資金を利用した場合における公団マンションの
共用部分の火災保険は、各区分所有者が持分に応じて各別に付保した保険契約を合算し
てリスクに備えていることになり、言い換えれば、団体として対応する必要が全くない
ことになる。
購入者全員が公団資金を利用して購入しているようなケースは稀だろうが、こうした
事情により、設例の団地の規約には、損害保険の付保や保険金の請求及び受領に関する
条項が存在しないのだと考えられる。
以上
11
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