若者定住に関する提言書 若者定住戦略会議 宮津市長 井上正嗣 様 昭和 30 年には 3 万 6 千人を数えた宮津市の人口は、戦後 50 年間で 4 割が減少し、 2 万人を割り込む目前となっています。地域の活力の源であり、同時に活力そのもの である人口の減少は、地域活力の減退と同義であり、強い危惧を抱かずにはいられな い状況にあります。 こうした危機感の中、市の募集に応じた私たち 14 人は、若者を定着させ、人口の 減少を食い止めるためにはどうすべきか、若者の転入を促進し、人口再生産を図るた めには何が必要なのか、5 ヶ月に亘り議論を重ねてまいり、この度、戦略を本提言と してまとめるに至りました。 市におかれては、非常に厳しい財政状況にありますが、本提言を真摯に受け止めて いただき、若者定住に向けての施策・事業を積極的に展開していただくようお願いい たします。 なお、本提言に基づく施策・事業の展開、及び事業実施後の成果検証等について、 広く市民に周知されるとともに、今後においても、こうした市民会議等によって市民 と十分議論を重ねながら、市民協働の市政運営を図られるよう望みます。 平成 21 年 1 月 若者定住戦略会議 座長 岡本康一 目 §1 人口の状況 §2 若年層の定着を阻害する問題点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ −1 働く場(雇用)の不足 −2 住む場としての魅力の不足 §3 次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 問題点の分析、若者定住に取り組むにあたっての視点 7 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 問題点の分析 −2 二つの対立軸と課題の分類 施策提言 4 ・・・・・・・ −1 §4 1 −1 雇用の維持確保に向けて −2 住む場としての魅力アップに向けて −3 市民・出身者への意識付け −4 UI ターン、市内転入の直接的仕掛け §5 施策の実施にあたって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 §1 人口の状況 人口推移・推計 昭和 30 年には 36,200 人であった本市の人口は、平成 17 年には 21,512 人と 50 年 間で 4 割減少した。減少率は加速しており、このまま推移すれば、今後 20 年間でさ らに 4 割減少することが予測される。 20.0% 40,000 36,200 35,000 34,799 15.0% 33,285 31,603 30,194 30,000 推計値 28,881 10.0% 27,895 26,450 24,937 25,000 5.0% 23,276 21,512 19,483 20,000 0.0% 17,385 -3.9% 15,000 -4.4% -4.3% -4.5% -5.1% -3.4% 15,305 -5.2% -5.7% -6.7% 13,330 -5.0% -7.6% -9.4% 10,000 -10.8% -10.0% -12.0% -12.9% -15.0% 5,000 -20.0% 0 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 人口 H12 H17 H22 H27 H32 H37 増減率 *国勢調査(推計値は宮津市で試算) 年齢別人口構成(人口ピラミッド) 昭和 30 年には「富士山型」であった年齢別人口構成は、昭和 50 年には「釣り鐘型」 となり、平成 17 年には「ひょうたん型(農村・転出型)」となっている。このまま推 移すれば、平成 37 年には「限界集落型」となることが予測される。 S30 2,500 S50 90~94 1,500 H17 90~94 H37 90~94 90~94 75~79 75~79 75~79 60~64 60~64 60~64 60~64 45~49 45~49 45~49 45~49 30~34 30~34 30~34 30~34 15~19 15~19 15~19 15~19 0~4 0~4 0~4 500 500 1,500 2,5002,500 1,500 500 500 2,5002,500 1,500 1,500 500 推 計 75~79 0~4 500 1,500 2,500 2,500 1,500 500 500 1,500 *国勢調査(推計値は宮津市で試算) 1 2,500 自然動態と社会動態 出生数は、昭和 40 年代の 450 人/年から平成 17 年には 150 人/年に減少してい るが、死亡数は、昭和 40 年から 250 人前後/年で推移しており、自然動態(出生数 −死亡数)は、昭和 60 年頃にマイナスに転じている。 転入は、多少のバラツキはあるが、900 人前後/年から近年 500 人台/年にまで減 少している。一方、転出は、多少のバラツキはあるが、1,200 人前後/年から 800 人 /年にまで減少しており、社会動態(転入−転出)は、100∼300/年のマイナスで 推移している。 1500 400 195 200 1000 170 74 0 -200 S45 11 ▲ 53 ▲ 115▲ 107 ▲ 151 123 H2 S50 S55▲ S60 ▲ 191 ▲ 226 H12 H17 ▲ 186▲ 196 ▲ 282 ▲ 323 ▲ 331 -400 500 H7 458 962 422 795 974 920 875 818 274 232 202 172 575 328 0 -500 -1000 -1500 自然動態 1146 153 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 ▲ 263 ▲ 252 ▲ 254 ▲ 263 ▲ 285 ▲ 317 ▲ 279▲ 304 ▲ 857 ▲ 918 ▲ 1,061 ▲ 1,014 ▲ 1,153 ▲ 1,200 ▲ 1,243 ▲ 1,477 社会動態 出生 死亡 転入 転出 *住民基本台帳 若年層の状況 若年層人口は、昭和 30 年代から昭和 60 年代にかけて 6 割強減少している。年代別 推移を見ると、いずれの年代においても 20 歳前後で半減する。その後 30 歳代にかけ ては、昭和 30∼40 年代では微減傾向であったが、昭和 60 年代以降は若干増加に転 じている。 S16-S20生まれ S41-S45生まれ S21-S25生まれ S46-S50生まれ S26-S30生まれ S51-S55生まれ S31-S35生まれ S56-S60生まれ S36-S40生まれ 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 10-14歳 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 *国勢調査 2 人口減少の構造 我が国全体における人口減少は少子化(合計特殊出生率の減少)によるものである が、本市の人口減少は若年層流出が主要因である(本市を含む府北部地域では全国平 均に比して出生率は高い)。若年層の流出に伴う出産適齢人口減少により出生数が減 少し、さらに若年層が減少するマイナス連鎖の状態にあるものと考えられる。 本市の人口減少に歯止めをかけ、人口の再生産を図るためには、若年層の定住促進 が不可欠である。 ■宮津市の出生数、20∼34 歳女性人口、女性千人あたり出生数の推移 出生数 京都府全体 20∼34歳女性人口 20∼34歳女性千人あたり出生数 では77.7 4000 3000 2000 1000 0 133.7 150 127.3 130.4 128.7 123.6 122.7 119.1 113.6 3,725 2,129 3,156 2,753 1,779 1,634 1,514 457 422 1,202 328 274 232 202 172 153 100 50 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 ■我が国全体、京都府、北部市町の人口の指数推移(昭和 30 年=100) 160 143.12 日本 140 136.91 京都府 120 100 89.29 福知山市 88.91 80 舞鶴市 京丹後市 与謝野町 76.27 70.92 60 59.43 綾部市 40 宮津市, 39.02 35.52 伊根町 20 推計値 0 S30 日本 S35 京都府 S40 S45 宮津市 S50 S55 舞鶴市 S60 H2 福知山市 H7 綾部市 H12 H17 京丹後市 H22 H27 与謝野町 H32 H37 伊根町 *国勢調査(推計値は宮津市で試算) 3 §2 若年層の定着を阻害する問題点 −1 働く場(雇用)の不足 若年層定住のためには、雇用確保が不可欠であるが、本市の雇用は近隣市町と比し ても低調である。 製造業従業者数は、20 年間で半減しており、人口当たり従業者数は府北部平均の 1 /2 程度となっている。また、小売業従業者数は、20 年間で 3 割減、人口当たり従業 者数は、府北部平均より 25%程度多くなっている。 ■製造業従業者数指数(S60=100) ■製造業従業者数 140.0 10,000 9,000 120.0 100.0 100.0 88.1 80.0 76.5 60.0 58.8 45.9 40.0 20.0 福知山市 8,000 福知山市 舞鶴市 7,000 舞鶴市 綾部市 6,000 宮津市 綾部市 5,000 京丹後市 4,000 伊根町 3,000 与謝野町 2,000 京都府 0.0 宮津市 京丹後市 1,462 1,288 伊根町 1,119 859 671 H7 H12 H17 1,000 与謝野町 0 S60 H2 H7 H12 H17 S60 H2 *工業統計 ■小売業従業者数指数(S60=100) ■小売業従業者数 10,000 140.0 9,000 120.0 100.0 100.0 93.4 87.2 80.0 81.9 74.3 60.0 40.0 20.0 福知山市 8,000 舞鶴市 7,000 綾部市 6,000 宮津市 5,000 京丹後市 4,000 伊根町 3,000 与謝野町 2,000 京都府 1,000 福知山市 舞鶴市 綾部市 宮津市 3098 2894 2701 京丹後市 2538 2302 与謝野町 0 0.0 S57 S63 H6 H11 S57 H16 S63 H6 H11 H16 *商業統計 4 伊根町 また、ハローワーク宮津管内における有効求人倍率は、0.60(H20/9)と府北部に おいても低位である。 ■府北部の有効求人倍率推移 ■府北部の千人あたり求人数 35 2.00 1.80 1.60 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 30 25 20 15 1.18 1.06 0.95 0.55 15.19 11.13 10 0.77 0.68 5 15.69 15.09 12.22 5.53 0 S60 S60 H2 ハローワーク福知山 ハローワーク宮津 H7 H12 H17 ハローワーク舞鶴 ハローワーク峰山 H19 H2 H7 H12 福知山市 綾部市 京丹後市 ハローワーク綾部 H17 H19 舞鶴市 宮津市・伊根町・与謝野町 *ハローワーク調べ −2 住む場としての魅力の不足 若年層定住のためには、低廉で良質な住宅の確保が必要であるが、本市の地価は近 隣と比較して高いとされている。府北部では中位であるが、丹後地域と比較すればか なり高くなっている。 地価・住宅系最高値の推移 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 福知山市 舞鶴市 綾部市 H12 宮津市 京丹後市 伊根町 与謝野町 H17 H20 *地価調査 また、若年層が少ないことから、若者向けの生活サービス(コンビニやファミレス など)の立地も進んでおらず、にぎやかさに欠ける面は否めない。 さらに、行政サービス面で、近隣市町に比して大きな差はないものの、福祉、教育 5 等の子育て関係、下水道普及率(51.0%、7 市町中 4 位)、都市計画税課税(7 市町中 4 市町課税)等において、不足感が感じられる。 ■通勤通学流出流入状況(宮津市) ■昼間人口と夜間人口の推移 4,000 30,000 29,373 28,881 3,000 28,000 2,000 通勤・流出 通勤・流入 通学・流出 通学・流入 通勤差引 通学差引 1,000 0 △ 1,000 S60 H2 H7 H12 H17 △ 2,000 27,126 26,450 26,000 25,929 24,937 24,000 夜間人口 24,781 23,276 22,000 昼間人口 23,016 21512 20,000 △ 3,000 S60 △ 4,000 H2 H7 H12 H17 *国勢調査 ■府北部市町の流入流出関係(通勤のみ) 378 181 763 981 726 892 132 633 301 1957 238 506 264 163 220 1503 1011 666 837 2674 2694 2000人以上 1000人以上 500人以上 100人以上 *国勢調査 6 §3 問題点の分析、若者定住に取り組むにあたっての視点 −1 問題点の分析 若年層流出の契機は、大学等への進学、都市部等での就職、住宅を持つにあたって の転出など様々であり、若年層流出要因は、先に述べた雇用の問題、住む場としての 魅力の問題が複合的に相関している。さらに雇用を生み出す地域経済、住む場として の魅力の面においても、戦後連綿として続いた若年層の流出による影響が今日の宮津 市に大きな陰を落としている点は否めない。 −2 二つの対立軸と課題の分類 また、若者定住は、一定のパイを各地域で奪い合う地域間競争であるため、いずれ かの地域との競合は避けられない。本市で若者定住促進策を考えるにあたっては、都 市部との対立軸で考えるべき課題(丹後地域あるいは府北部全体の共通課題)と、近 隣市町との対立軸で考えるべき課題(丹後地域における本市に特化した課題)を意識 する必要がある。 さらに、前述のとおり、構造的な問題であり、マイナス連鎖をどこから断ち切るか、 短期的対症療法的に取り組むべき課題と、長期的抜本的に取り組むべき課題とをそれ ぞれ意識しておく必要がある。 7 §4 取り組むべき施策 −1 雇用の維持確保に向けて ①内発型雇用維持確保策 市内の雇用を維持確保するに当たっては、まずは、市内で起業を誘引し、また市 内企業に一人でも多くの雇用を創出させることが不可欠である。このため、次の支 援制度等を創設することを提案する。 なお、制度創設に当たっては、その財源として、市民から出資を募り、市民全体 の参加意識を高めることも検討する必要がある。 提案1 起業支援制度の創設 市民あるいは転入者の起業を促進できるよう、保証等がなくても利用できる支 援(補助・融資)制度を創設されたい。 *これまで、ベンチャー支援等の支援制度があったが、利用は低調であった。現 下の経済情勢に鑑み、極めてハードルの低い利用しやすい制度を望む。 提案2 家業継承(2 代目)支援制度の創設 実家が家業を営む者が帰郷できるよう、2 代目、3 代目が事業を継承すること を促進する支援制度(補助・融資)を創設(復活)されたい。 *通常なら行政支援すべきものではないが、市内の事業所の多くが廃業等を余儀 なくされていることから、時限的にでも制度化を望む。 提案3 市内企業に対する雇用支援制度の創設 地元雇用優先のインセンティブ(誘発的刺激)を与えるため、市内の企業に対 して、市民を雇用した場合の支援制度を創設(復活)されたい。 *誘致企業に対する雇用促進奨励制度はあるが、既存企業にまで拡大されたい。 8 ②近隣市町雇用活用策 近隣市町には、比較的雇用が維持されている地域がある。これを活用し、宮津市 民の雇用につなげていくことが必要である。このため、次の制度等を創設すること を提案する。 提案4 通勤交通費支援制度の創設 市民が近隣市町まで通勤するには、交通費負担がネックとなる。この負担感を 解消するため、あるいは宮津市居住のインセンティブ(誘発的刺激)を与えるた めの支援制度を創設されたい。 *KTR の利用促進にもつながるとともに、綾部宮津道路の ETC や宮津野田川道 路等の近年整備が進む社会基盤を活用する観点からも検討されたい。 提案5 雇用協定の締結 近隣市町の誘致企業の雇用を活用するために、誘致市町で雇用が確保できない 場合に宮津市からの雇用を優先する雇用協定の締結をされたい。 *京丹後市と豊岡市の間で締結されている。 9 ③立地企業拡大策 雇用規模を積み増しする上では、新たな企業立地が不可欠である。また、市内で は求人求職のミスマッチも指摘されている。これまでも努力をされてこられたとこ ろであるが、若者定住を図る上でも極めて重要な課題であるため、従前にもまして、 新たな企業の誘致に積極的に取り組まれるよう提案する。 提案6 企業誘致の戦略的展開 地域資源や地域特性等を生かした製造業等の企業へのアタックを重ねていた だいているが、さらに、老人福祉施設や刑務所、専修学校等幅広い業態をターゲ ットにするとともに、企業規模についても中小企業まで視野に入れた取組を積極 的に進められたい。 また、迅速な対応を図るうえでは、オーダーメイド方式(誘致企業の希望に応 じて工場用地等を造る)ではなく、レディメイド方式(あらかじめ工場用地等を 造って企業を誘致する)による用地確保が不可欠であるため、工場団地の整備等 についても検討されたい。 *企業立地の場として、浜町地区は極めてポテンシャルが高いと考えられるた め、早急に活用方針等をまとめ実行に移されたい(民間主体で)。 *本市の地域特性に鑑み、地域産業と観光消費を繋ぐ仕組みが極めて重要であ り、その場となる「道の駅」整備を実現されたい。 *企業誘致にあたっては、現在の環境に配慮するとともに、既存施設の有効活用 に努められたい。 提案7 都市計画規制の見直し(工場立地制限等の緩和) 都市計画規制については、良好な景観形成や安全安心の都市づくりに寄与して きたが、一方で、進出企業や地元企業の事業展開にとっては高いハードルとなっ ており、結果的に他市町への進出・流出につながっている実態がある。こうした 点に鑑み、現行の用途規制の緩和等の見直しを図られたい。 10 −2 住む場としての魅力アップに向けて ①子育て応援都市、教育都市としての魅力 若年層にとっては、充実した子育て支援・質の高い教育環境が居住地選択に際して の大きなモチベーション(動機付け)となると考えられる。このため、子育て応援、 教育施策の充実を図り、他市町との差別化を図られることを提案する。 提案8 小中一環教育による教育レベル向上 小学校から中学校への円滑な移行と 9 年間を通じた系統的・継続的な学習を取 り入れることが学力の向上、心の教育を図る上で極めて有効であると考えられる ことから、小学校と中学校の一体的運営に取り組まれたい。 *先進的な自治体において取り組みが進められているとともに、近隣では事例が なく、保護者にとっても魅力的な施策と評価されることが期待できる。 *あわせて幼稚園保育所の一元化による、学齢前教育の充実も図られたい。 *なお、実施にあたっては、各地域の実情に鑑み、地域と充分協議されたい。 提案9 中学校における給食の実施 本市中学校においては、一部で給食が実施されているが、近隣市町の実施状況 に鑑み、また保護者の負担軽減を図るため、全校での給食を実施されたい。 提案10 保育所保育料の無料化等 保育所保育料は、子育て世代にとって大きな経済的負担となっている。これを 無料化あるいは劇的に低額化されたい。 *一部の自治体で、無料化あるいは低額化によって若年層の流入が見られている 効果が出ている。 *あわせて、保育所入所要件の緩和、保育時間延長等環境充実にも努められたい。 11 提案11 子育て医療助成の拡大 丹後地域においては、本市を除き乳幼児医療助成制度対象児童が中学校卒業ま で拡大されている実態に鑑み、中学校卒業までに対象を拡大されたい。 *本制度は、子育て支援のシンボリック(象徴的)な施策となっており、子育て 応援都市としての姿勢を打ち出す上でも重要である。 ②若年層でも住みやすい住宅・土地の確保 本市の地価は近隣市町と比較すると高いことから、経済力が十分でない若年層に とって負担となっており、結果的に他市町へ流出している実態がある。このため、 住宅、土地確保に対し、支援・誘導策を実施することを提案する。 なお、一方で、これまでの人口流出によって、多くの空き家が存在する実態があ ることから、これらの有効活用もあわせて取り組まれたい。 提案12 新築(改修)奨励金制度の創設 若年層が土地をもとめ、居住用住宅を新築(改修)する経費について、近隣市 町との土地価格差を相殺できる程度の奨励金支給制度を創設されたい。 *現下の経済情勢に鑑み、市内事業者への発注を原則とする等の配意もお願いし たい。 提案13 宅地購入助成制度の創設 近隣市町との土地価格差を相殺できる程度の若年層への宅地助成制度の創設 を検討されたい。 *また、低廉で良質な宅地開発を促進するため、開発事業者等に対する支援等を 検討されたい。 *あわせて、市内でも土地価格の安い地域があることから、こうした地域の宅地 開発を検討されたい。 12 提案14 都市計画規制の見直し(住宅建て替え制限等の緩和) 都市計画区域内における建築確認については、良好な景観形成や安心安全の都 市づくりに寄与してきたが、一方で、個人住居の建て替えができなくなり、結果 的に、他市町へ転出している事例がある。こうした点に鑑み、現行の規制の緩和 等の見直しを図られたい。 *緩和が適切でない場合においては、規制によるハンディを相殺するような経済 的支援等を検討されたい。 提案15 お試し定住住宅の整備 本市に縁やゆかりがない者にとって、I ターンのハードルは高い。このため、 試験的に一定期間居住できる「お試し定住住宅」を整備し、I ターン者誘引を図 られたい。 *整備にあたっては、空き家の活用も念頭に置かれたい。 *また、貸し農園やボランティアサポーター等の住宅以外の田舎暮らしの生活全 般の支援策についても検討されたい。 提案16 公営住宅の整備 民間における大規模の集合住宅開発が進まない当地域において、市営、府営の 公的住宅が住宅施策に果たす役割は大きい。老朽化の著しい市営・府営住宅の建 て替えを促進し、受け皿確保に努められたい。 あわせて、若者に特化した公的賃貸住宅の整備についても検討されたい。 13 ③地域イメージ・にぎやかさの創出・演出 若年層の居住地選択に際しては、前述の条件面に加えて、にぎやかさ、猥雑さと いった「地域イメージ」も重要であることから、市外者の視点を取り入れつつ、 「に ぎやかな地域イメージ」が創出・演出されるようなまちづくりに配慮されるよう提 案する。 提案17 若者向けサービス施設の誘致 若者向けサービス施設の誘致、立地促進に努められたい。 *若者向けサービス施設については、コンビニエンスストアやファミリーレスト ランなど、若者が集い賑やかさが創出されるものを検討されたい。 提案18 若者グループ・イベント等の支援 若者グループが取り組むイベントやまちづくり等に対しては、積極的に支援さ れたい。 *また、まちづくりに若年層の意向を反映できるよう、定期的・継続的に高校生 などの意向調査を実施されたい。 14 −3 市民・出身者への意識付け ①出身者等に対する U ターン意識の醸成 U ターン促進の成否には、これまで述べた条件面等の整備もさることながら、宮 津市で育った者が、帰郷しようという意識を強く持つことが前提となる。このため、 各家庭における意識付けを基本としつつ、地域として、市民全体の郷土愛を醸成す る取組を進めることを提案する。 提案19 学校教育における郷土教育の充実 近年、ふるさと教育等の取組が進められているところであるが、さらに U ター ン促進が図られる意識付けを学校教育の中で展開されたい。 提案20 地域教育力の充実 あいさつ運動等に加え、さらに地域で児童生徒を育む地域教育の充実を図られ たい。 *地域の祭がコミュニティ意識醸成に大きな役割を担っている実態に鑑み、祭を 中心とした地域活動のバックアップを図られたい。 15 −4 UI ターン、転入の直接的な仕掛け ①制度的優遇策 若者の減少→経済疲弊、サービス等の低下→若者にとって住みにくくなる→さら なる若者の減少という、現状のマイナス連鎖を断ち切るためには、若年層にのみ特 化した転入促進策を講じ、事態を少しでも好転させる必要がある。こうしたことか ら、UI ターン者等に対する優遇策を創設されるよう提案する。 提案21 新規定住者個人市民税減免制度の創設 転入者に対し、5 年間なりの期限を定めて、個人市民税を免除(減免)する制 度を創設されたい。 提案22 U ターン奨学金制度の創設 U ターンした場合には返還免除となる大学等の奨学金制度を創設されたい。 ②UI ターン希望者に対する一元的対応 UI ターンには、就労、住居をはじめ各種の情報提供が必要である。これら情報は、 ハローワーク、府、市等それぞれの機関が管理しており、UI ターン希望者にとって はわかりにくいものとなっている。こうしたことから、これら情報提供、相談業務 を一元的に対応できるセクションの設置を提案する。 提案23 UI ターン総合サポートセンターの設置 生活情報、就労情報(ハローワーク、府 U ターンセンターとの連携による)、 住居情報(公営住宅、不動産情報、空き家情報)等を一元的に集約し、情報提供 を行うサポートセンターを設置されたい。 また、UI ターンを希望する者に定期的に情報を提供する等の UI ターン登録制 度を創設されたい。 *各種情報の発信にあたっては、広告やマーケティング等のノウハウを研究し、 定住に関する総合的なイメージづくりや、ブランディング等の戦略的なPRに努 16 められたい。 *同時に、ハローワーク、府ジョブカフェ、U ターンセンター等との連携強化も 図られたい。 17 §5 施策の実施にあたって §3で述べたとおり若者流出は構造的な問題であるため、前述の23の提案につい ては、対象とする層や効果の生じる時期のバランスに留意しつつ、総合的かつ戦略的 に取り組まれたい。 対近隣市町 ⑩保育所保育料無料 ⑧小中一貫教育 ⑨中学校給食化 化等 ⑫新築奨励金 ⑪子育て医療助成の 拡大 21 ⑤雇用協定締結 新規定住者住民 税減免 ⑯公営住宅の整備 ④通勤交通費支援制 度 ⑬宅地購入助成制度 ③市内企業雇用促進 ⑦⑭都市計画規制の 支援制度 見直し 短期的に効果が生じるもの 長期的に効果が生じてくるもの ②家業継承支援制度 ①起業支援制度 ⑱若者イベント支援 ⑥企業誘致の戦略的 ⑮お試し定住住宅 ⑰若者向けサービス 展開 23 施設 ⑳地域教育力の充実 UI ターンサポー 対都市部 トセンター ⑲学校教育における 郷土教育 22 …特に重点化すべき施策 18 U ターン奨学金 <資料> ■会議経過 第 1 回会議 平成 20 年 9 月 26 日 ・基礎データの把握、問題点の検討 第 2 回会議 平成 20 年 10 月 17 日 ・基礎データの把握、問題点の検討 第 3 回会議 平成 20 年 11 月 14 日 ・対策アイデアの検討 第 4 回会議 平成 20 年 11 月 27 日 ・対策アイデアの検討 第 5 回会議 平成 20 年 12 月 18 日 ・対策アイデアの検討 第 6 回会議 平成 21 年 1 月 15 日 ・提言書まとめ 第 7 回会議 平成 21 年 1 月 28 日 ・提言 ■委員名簿 井上 真哉 入柿 浩二 上山 利博 岡本 康一 狩野 浩二 小谷 保雄 小室 秀行 小西 衛 柴山 陽子 杉本 悠一 土井 智景 宮川 康子 副座長 森 美忠 副座長 山田 次世 座長 *順不同(五十音順) 19
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