院外茶話 vol.45 平成 21 年 2 月 1 日 3 軒目のモッコはイタリアン 正確にはフレンチ・イタリアン トラットリア・モッコは今 トラットリア・モッコは今 一押しです 一押しです わかりにくいけど、この辺りはモッコだらけな のであります。 こんな料理人の両親に育てられたタカシ君は、 やはり料理の道を選びました。しかし、親の元 で学んでいては甘えが出る。そこで、最初の修 行はフレンチの鉄人と言われたあの坂井宏行さ んのもと、渋谷のラ・ロシェルで料理人として のスタートです。 自由が丘に新しくできたイタリアン・レスト ラン。トラットリア・モッコであります。 シェフはタカシ君で、横でかいがいしく働い ているのがハヤト君。そう言えばヤマグチ君と タケダ君というコントがいたけれど、この二人 は立派な料理人です。 線路わきにあるトラットリア・モッコ 以前のママモッコそのままの店構え ここで洋食の基礎をみっちり学んで、ある時 ふとパンが焼きたいと思うと、今度は九州に飛 左がハヤト君、右がタカシ君 び立ちます。どうしてパンが九州なのかわから 夢を実現した現代の青年像です ないけれど、きっと教わりたい人がいたのでし ょう。まめなタカシ君はパンが焼ける間をぬっ タカシ君のお父上は、すぐ近くにあるピザ・ て、めずらしいオーストリアの菓子作りも学ん パスタ専門店「モッコ」の店主。思い起こせば できました。 「モッコ」も 40 年にもなろうかと言う、自由が こうして、料理とデザートを会得した後、自 丘の老舗です。 分で始める店にイタリアの魂を入れるためには、 店の傍らにはいつも派手なスポーツカーがお やはり本場に行ってみなければならない。選ん いてあって、そのお父上は未だに現役のカーレ だ先はフィレンツェでした。 ーサー。先日もマスターの自動車レースで優勝 ひときわ大きな太陽と紺碧の空、ミケランジ を飾ってきたと言う。どんなレースか知らない ェロの石像、ボッティチェリのヴィーナス。自 けれど。 然も芸術も本物ばかり。ここなら料理も本物に くどいようだが「モッコ」の隣にあるのは奥 違いない。 方が店主の「ママモッコ」。こちらは vol.22 の院 一方、ハヤト君はすでにこの太陽の下にいて、 外茶話で紹介をした定食屋さんで、当時の「マ 小さなレストランを取り仕切るマンマのもと、 マモッコ」が「モッコ」の隣に引っ越して、そ イタリアの家庭料理を教わっておりました。い のあとにできたのが「トラットリア・モッコ」。 わしのマリネ、牛のタルタル、チキンとキノコ のソテー、いかとあさりとプチトマトのパス タ・・・・ タカシ君とハヤト君は奇しくも修行中にフィ レンツェで出会い、意気投合をしたのです。そ して「トラットリア・モッコ」の誕生。 しかし、この二人が日本にもって帰ったのは、 イタリアそのものではありません。中華料理も インド料理も、本場の味をそのままもってきて はいけない。激辛のインドカリーはあの、うだ るような暑さの中で食べてこそ、美味しいので すから。 メニューの何がお勧めということはないけれ ど、タカシ君はとにかく旬の素材を食べて欲し いと言います。初物は高い。でも、ちょっと日 にちがたてば、味はもっと美味しくなるし、安 くなるので、これが一番の食べ時。旬の魚に旬 の野菜とフォン。これがベストの組み合わせ。 その他定番のビーフシチューは仕込みにも 2〜3 日かかるけれど、九州で覚えた焼きたてまん丸 パンとの相性は絶品です。 ショートパスタのペンネがお勧めだけど、日 本人はどうしても長いスパゲティーを好む。う どん、蕎麦の習慣があるからだろうか。 牛のタルタル。美味しそう 牛のタルタル。美味しそう それでもタカシ君がフィレンツェに行った理 由。それはイタリアの空気を吸うためでした。 その空気とは高級なイタリアンではなく、居酒 屋や小さなレストランで食事をして、ワインを 飲みながらときに唄い、踊り、サッカーやバレ ーボールに夢中になる空気です。 トラットリア・モッコにはものすごく大きな テレビがあって、普段はついていないけれど、 サッカーのワールドカップや野球の WBC のと きには、イチローの打席に一喜一憂をして店じ ゅうが盛り上がるのです。 こうしてすっかりイタリアンな店ができあが ったけれど、この中で注文をとるのは日本人そ のもののオーバちゃん。オーバちゃんは、以前 ママモッコにいた人です。当時の白くて汚れた エプロンがイタリア風の黒に変わって、汚れが 目立たなくなった。 カニとなんだったか、クリーム状の パスタで美味しかった ともあれ今、自由が丘のお勧めです。 コース料理は 4000 円と 5500 円。一度食べて 感激はしたけれど、めっきり食が細くなった最 近、私に食べきれる量ではなかった。できれば、 シニアコースのようなものを作って、量は半分、 ビールとテーブルワインを一杯つけて 5000 円。 これでどうだろう? 月曜定休。ただし昼間はやっていません。 Tel:03-3705-3710 自由が丘駅方面 土坂眼科 太井町線自由が丘方面 遊歩道 ここで供される料理の下ごしらえはまずフォ ンを作ることから。フォンとはイタリア料理に 使う出汁のことで、ニンジン、マッシュルーム、 ローリエ、たまねぎ、ハーブ他、たくさんの野 菜を煮込んで作る、コンソメスープのようなも のです。あの手の込んだ料理が素早くできる秘 訣は、このフォンにあったのです。 トラットリア・モッコ
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