SPECIAL TALK スペシャル対談 バスルームを重視して、ホテルにおける水まわりの重要性を世 と感じています。都内にお住まいのお客さまが、2人目の子ど ネンタル香港)です。大きなバスタブに1分でお湯がたまるよ れました。私たちの世代からすると考えられなかった消費スタ 界に知らしめたのはザ・リージェント香港(現インターコンチ うにパイプを太くするというこだわりようでした。シャワーブー スをセパレートにしたのも、ザ・リージェント香港が最初です。 小林 パレスホテル東京では、最後の最後に回遊式のバスルー もが生まれる前に親子3人で週末にパレスホテル東京に宿泊さ イルですが、2人目が生まれて忙しくなる前に、ホテルで奥さ ん孝行をしようという発想が見られるようになったのです。 小原 チップについてどう考えますか。例えばニューヨークで ムの入り口のドアの幅を1㎝狭めて、シャワーブースの幅を1 は、あらゆる場面でチップが潤滑油になるので助かります。日本 ファクターとなります。床からバスタブをまたぐ高さを何㎝に ています。3万円の部屋に泊まれば 3000 円のサービスチャージ ㎝広げました。こうした限界的な1㎝というのはかなり重要な するのかという問題もありました。バスタブに腰掛ける人もい いますから、高すぎても低すぎてもよくない。 このメーカーのこの製品を使えば、お湯がたまるまでに何分 にチップはありませんが、料金にサービスチャージが 10%含まれ が徴収されるわけですが、ニューヨークで 30 ドルのチップを渡 すかと言えば渡しません。バトラー氏への支払いはまた別ですが。 かかるのか、排水に何分かかるのかについても検討しなければ なりません。そうしたディテールをつめていく際に、多くのホ テルを見てきた経験が生かされました。 時系列の最初のころはディテールを見ていなかったので、確 かめるために2度、3度と見に行った都内のホテルもあります。 きっと「また来たのか」と思われていたと思います(笑) 。 ホテルディスティネーションの文化を 日本人のライフスタイルに根づかせたい 小原 ホテルディスティネーションが日本人のライフスタイル の中に根づくことが私の大きな願いの一つであり、それはこれ からのスタイルになっていくと考えています。 小林 パレスホテル東京の宿泊は、土曜日が一番人気があるん です。泊まっていらっしゃる方の多くが、首都圏にお住まいの 方々です。土曜日の宿泊のお客さまの約半分が、リフレッシュ のためにパレスホテル東京を利用してくださっているのです。 小原 ある都市に行って、有名な観光名所で記念撮影をして、 名物料理を食べるという旅のスタイルはもはや過去のものであ り、これからは「どのホテルに泊まったのか」という経験が中 心となるスタイルへとシフトしていくのではないでしょうか。 そういったスタイルで旅をするホテルラヴァーズにとって、 スパの重要性はとても大きいと思います。パレスホテル東京に 「エビアン スパ 東京」があることも、 大きなポイントでしょう。 小林 日本人のライフスタイルも、少しずつ変わってきている Hotel Adlon 6 アメリカのホテルでは、タクシーを呼んでもらって2ドル、 トランクに荷物を入れてもらって2ドルと、なんだかんだで 10 ドルそこそこでしょう。ところが日本では仮に何らサービ スらしきものを享受していなくとも、はじめから 10%分が含 まれる仕組みになっています。考えようによっては、チップは 非常にスマートで便利な仕組みだと思います。ただ、日本人の メンタリティーにはちょっと相容れないという側面があるのも 確かでしょうね。 小林 日本の旅館にも「心づけ」という形がありますが、最初 に仲居さんに渡すので、サービスがよかったからたくさん渡す というチップとは少しニュアンスが違いますよね。 Brenners Park-Hotel & Spa ー 2014.2.14 ー Le Bristol Paris
© Copyright 2024 Paperzz