2013 年の中国マクロ経済と 今後の注目点

2013 年 中国経済を読む
2013 年の中国マクロ経済と
今後の注目点
野村綜研(北京)系統集成有限公司
金融システム研究部長 神宮健
予想される。ただし、長期的に中国の
は、2012年並みかやや高くなると
と見られる。2013年の経済成長率
2012年第3四半期頃に底を打った
た 後、 2 0 1 2
期連続で低下し
増)から7四半
Q4(同9・8%
は、 2 0 1 0 年
同期比ベース)
経済成長率は低下傾向にあると見ら
年Q4にようや
減 速 傾 向 に あ っ た 中 国 経 済 は、
年のような高成長は
れ、今後は過去
く反転したと推
足元の経済
難しくなろう。また、外需が低迷する
は必須であり、新政権の経済・政治改
データを見る
定される。
革に対する姿勢が今後を見通す上での
e x ) は、
月
ger Ind
ng Mana
urchasi
と、 P M I( P
2012年の中国の実質経済成長率
・2と3か
月ぶりに製造業
に
期 比 8・1 % 増、 Q 2 が 同 7・6 % 増、
景気の拡大・縮小の分水嶺となる
を
Q 3 が 同 7・4 % 増 と な り、 Q 1 ~ Q
・6で
上回った後、 月、
月とも
3 で は 同 7・7 % 増 と な っ た。 景 気 鈍
月、
11
12
50
50
月はともに ・2となっている。一
10
11
(注)
PMI Purchasing Manager Index (出所)
公式統計、CEICより野村総合研究所作成
6、7 月 の 利 下 げ、 9 月 の 1 兆 元 の イ
月 以 降 の 投 資 プ ロ ジ ェ ク ト 批 准 加 速、
各 種 の 景 気 下 支 え 策、 具 体 的 に は 5
めその調整を強いられた。こうした中、
3の前年同期比約9%増から 月は前
業生産(工業付加価値)の伸びは、Q
ている。在庫調整の進展を受けて、工
共に 以下であり、在庫減少を示唆し
方、原材料在庫指数・製品在庫指数は
ベースでは、データが公表されている
8 % 増 か ら 低 下 し た。 し か し、 実 質
増 と、 2 0 1 1 年 通 年 の 前 年 比
では1~
る。固定資産投資の伸びは名目ベース
・ 1 % 増 へ 加 速 し て い る。
11
・
・7%
ンフラ建設許可等が打たれ、景気はQ
年同月比
23
11
20
・8%と2011年通年の前年
2012年1~9月期で見ると前年同
期比
比
・1%増から加速している。新規
18
16
10
月期に前年同期比
3に底固めに入り、その後、いくつか
在庫調整は終盤に入っていると見られ
投資・個人消費とも堅調に推移してい
需要項目を見ると、内需は固定資産
力は今のところ限られている。
は力強さに欠ける。製造業景気の反発
注指数の水準はさほど高くなく、受注
(年/月)
の 経 済 指 標 に 回 復 の 兆 し が 見 ら れ る。
51
るが、PMIの新規受注指数と輸出受
12
2012年のQ4の経済成長率(前年
2012年前半に在庫が積上がったた
推移している(図表1)。PMIの内、
50
化の背景には、2011年前半までの
(図表1)PMIの推移
新規受注指数は 月の ・4から
を見ると第1四半期(Q1)が前年同
10
引締め政策や輸出の鈍化がある。特に、
50
2012年に底を打ったと
見られる中国経済
チェックポイントとなる。
中で、これまでの経済発展方式の転換
30
50
7
2013 年の中国マクロ経済と今後の注目点
・2%増に対して1
プロジェクトに限れば、2012年前
の資金繰りを見る上で重要な住宅販売
めてプラスに転じた。不動産開発業者
回っている。
は2011年を上
半の前年同期比
は 外 需 で あ る。 純
低迷しているの
ただし、住宅販売面積はようやく増
輸 出( 財・ サ ー ビ
・4%増である。
加に転じたところであり、住宅完成面
スを含む)のQ1
額も同
上がっており、2012年後半に大き
月に前年同期比 ・7%増
月は同 ・8%増と増加率は切り
く加速したことがわかる。上述の景気
積が1~
~
下支え政策の効果と見られる。
10
23
年にバブル懸念が生じ
固 定 資 産 投 資 の 内、 不 動 産 部 門 は
同 ・7%増と増加している。このた
となる中、商品住宅の販売待ち面積は
への寄与はマイ
P 成 長 率 7・7 %
~3の実質GD
月に前
ある。ただし、ここにも回復の兆しが
降、住宅販売が落ち込み、調整局面に
る中で購入制限政策が実施されて以
緩 和 し な い 旨 発 言 し て い る こ と か ら、
はゆるがず、住宅購入制限等を簡単に
府はほぼ毎月のように不動産の引締策
少している。こうした中でも、中国政
め、新規住宅開発面積は同
本形成がプラス
2 ポ イ ン ト、 資
消 費 が プ ラ ス 4・
ト で あ り( 個 人
ナ ス 0・4 ポ イ ン
11
年 同 期 比 2・3 % 増 と 今 年 に 入 っ て 初
見える。住宅販売面積は1~
今後の不動産市場
様、 2 0 1 2 年 も
張 っ て い る( 図 表 2)。 輸 出 入 総 額 の
景気の足を引っ
2012年を通
物価指数)は、
2011年
月の同1・
月は同
2・2%の下落となっている。ただし、
7%上昇に対して2012年
(うち輸出は前年同期比7・3%増、輸
在庫調整が進むにつれて、前年同月比
月、 前 年 同 期 比 5・8 %
伸びは1~
入 は 同 4・1 % 増 ) と、 2 0 1 1 年 通
ベースのPPI上昇率は低下局面か
月
の小売総額は名
年の前年比 ・5%増(輸出同 ・3%
おり、対外貿易活動が低迷しているこ
た、CPIの内、サービス価格を見る
ら 上 昇 に 転 じ つ つ あ る( 図 表 3)。 ま
目ベースで前年
同期比
増、実質ベースで
以降徐々に切り上がっている。人件費
と、前年同月比ベースの上昇率が4月
景気の減速傾向が続く中で、物価は
の上昇に加えて、公共料金(水光熱費
とがわかる。
る。2011年は
落ち着いていた。CPI(消費者物価
等)の上昇がある。後者は、インフレ
・0%増であ
それぞれ前年比
指数)は、2011年 月の前年同月
・ 1 % 増、
比 4・1 % 上 昇 に 対 し て 2 0 1 2 年
11
6%増であり、実
資源浪費につながるとされた公共料金
安定の際には、これまで安すぎるため
・
同
24 22
し た。 1 ~
して堅調に推移
個 人 消 費 も
う。
3・9 ポ イ ン ト )、
2010年~
・1%減
11
の調整は緩やかな
37
2011年と同
(注)
2012年は第1∼3四半期の前年同期比
(出所)
公式統計、CEICより野村総合研究所作成
(出所)
公式統計、CEICより野村総合研究所作成
増、輸入同 ・9%増)から低下して
11
・2%
11
13
月 は 同 2・0 % 上 昇、 P P I( 生 産 者
11
17
質ベースの伸び
8
12
20
28
11
ものにとどまろ
(図表2)実質GDP成長率(需要項目別寄与度)
11
14
11
12
(図表3)加工段階別インフレ率(CPI、PPI)
(前年同月比%)
12
11
(前年比%)
を徐々に引上げるという政府方針(価
格改革)を受けたものである。
気対策はあくまでも景気下支えの性格
の)悪循環に陥ることがある。しかし、
されるとすると社会安定維持のため
も し も、 大 型 の 景 気 刺 激 策 が 発 動
らである。
短期的な景気刺激策を打つ余裕が大き
で あ ろ う。 社 会 安 定 を 脅 か す 経 済 的
が 火 を 噴 き、( 1 9 9 0 年 代 の 日 本 型
いことから、このリスクは小さいと見
要因には失業の増加やインフレ高進
が強いものである。また、2012年
年の経済社会発展について「平穏の中
られる。
つあり、インフレ率も徐々に上昇して
支え策を受けて徐々に回復に向かいつ
中国経済は在庫調整の進展や景気下
経済工作会議の「経済の平穏でやや速
た。さらに、一年前の2011年末の
政・穏健な金融政策」の継続を決定し
マ ク ロ 経 済 調 整 に つ い て も、「 積 極 財
提等によって推計にはかなりの幅があ
表 4)。 国 家 債 務 の 対 G D P 比 も( 前
比 は 2 0 1 1 年 で 1・1 % と 低 い( 図
政政策を見ると、財政赤字の対GDP
は、雇用情勢がさほど悪化していない
的な刺激策が打たれていない背景に
る。今回の景気鈍化局面であまり積極
今回の場合、雇用情勢がポイントとな
月の中央経済工作会議は、2013
で進展を求める」(「穏中求進」)とし、
い る。 2 0 1 3 年 の 景 気 を 考 え る と、
い発展を促進する」と比べると「やや
るが)
2013年の見通 し と 今 後 の
リスク要因
外需には依然として期待がもてないこ
速 い 」 と い う 表 現 も 無 く な っ て い る。
見られており、財
今 後 景 気 が 回 復 し て も 経 済 成 長 率 は、
潜 在 成 長 率 が 低 下 し て い る な ら ば、
率の低下がある。
長期的要因として、後述する潜在成長
よ り も 長 い 時 間 を 要 し よ う。 さ ら に、
な問題もあるため、改善には在庫調整
が加わる。過剰供給の背景には構造的
や素材産業等における過剰供給の調整
成長率は2012年と同じかやや高い
鈍化する可能性があることから、経済
る。景気は当面回復が続くが、その後
欠けることから景気回復の力は限られ
在庫調整一巡後も最終需要に力強さが
輸 出 が 期 待 で き な い。 こ う 考 え る と、
には欠ける。先進国景気の低迷が続き
の堅調が続くとしても景気牽引する力
資産投資の伸びは限られる。個人消費
大型景気刺激策がないとすると固定
が中央銀行に預金
と高く、約
準備率は現在
地も大きい。預金
よる量的緩和の余
準備率の引下げに
とに加えて、預金
下げ余地があるこ
6・0 % と 金 利 引
貸出基準金利が
えば1年物の銀行
兆元
よって多くの流動
年が一例)があるが、
とから、マクロ経済調整政策の動向が
むやみに高成長率は狙わず、経済成長
政刺激策を打つ余
改革開放以来の高成長(1979年か
程 度( 8 % 強 ) に な る と 予 想 さ れ る。
として「凍結」さ
景気の先行きについてのリスクとし
性を供給できるか
(1988年~
重要となる。
の 質 と 効 率 を 引 上 げ る 構 造 調 整(「 経
裕 が あ る。 次 に、
まず、景気に対して即効性のある財
最近の中国の景気鈍化には、短期・
済 発 展 方 式 の 転 換 の 加 速 」) を 進 め た
金融政策には、例
ら2011年までの年平均実質経済成
インフレ率については今後徐々に切り
れているため、預
ては、景気悪化により不良債権問題等
(出所)
公式統計、CEICより野村総合研究所作成
%程度と
周期的な要因と中期・長期的な要因の
い中央政府の姿勢がうかがえる。
長 率 は 9・9 %) に 戻 ら ず、 無 理 に 高
上がってくるが、基本的には安定して
%
成長率を達成しようとする政策は弊害
金準備率引下げに
40
おり3%程度になると見られる。
( イ ン フ レ 高 進、 不 要 な 設 備 投 資 ) を
生むことになる。
この点から見ると、2012年の景
(図表4)財政収支(対GDP比)
(%)
20
17
は在庫調整である。これに不動産部門
両方が働いている。短期・周期的要因
12
89
9
景気刺激策(4兆元)が打ち出された
ことがあろう。2008年末に超大型
ドーバンキングも潜在的なリスクであ
次に、昨年来話題となっているシャ
にピークを迎える。日本の場合、ルイ
総人口に占める比率は、2015年頃
た。
特に、過剰生産能力の問題(設備稼
%、IMF推計)は、これ
に経済成長率は引上げられるであろう
大型刺激策が打たれた場合、短期的
安定が脅かされる恐れがあった。
働者を中心に失業が大きく増え、社会
ネ ル と し て 使 わ れ て い る )。 こ の 規 模
2012年には証券会社が融資のチャ
た( 具 体 的 に は 委 託 貸 付 や 信 託 会 社、
ランスで事実上の融資を増やしてき
避 す る た め、 過 去 1 ~ 2 年、 オ フ バ
待 目 標 成 長 率 は 年 7・0 % と な っ て い
期間(2011年~ 年)の政府の期
難しくなる。実際、第
次5ヵ年規画
は安価な労働力供給に依存した成長が
の場合2つがほぼ同時に生じる。今後
ない状況に追い込まれた。この点で海
方式の転換は今度こそ実行せざるを得
の方法は難しくなろう。長年提唱され
景気不振が長引くと予想される中、こ
なりとも緩和されてきたが、先進国の
働率は約
が、後述する経済発展方式の転換をと
は数十兆元におよぶと推計されてお
る(ちなみに第 次5ヵ年規画期間の
外景気の低迷は決定的な意味を持って
ス転換点が1960年代、高齢化が
る。銀行は預貸比率規制(
もなわない限り、長い目で見れば、過
り、また、このチャネルについては規
期 待 目 標 成 長 率 は 年 7・5 %)。 特 に、
いる。
%)を回
際は、国際金融危機を受けて出稼ぎ労
剰設備やそれに関連する不良債権を生
制が不十分とも指摘されている。これ
農業よりも生産性の高い製造業への人
経済発展方式の転換は、従来の経済
まで輸出ドライブをかけることで多少
む可能性が高いことに注意が必要であ
もカネが回らなくなった場合、最終的
口移動にともなう経済全体の生産性の
年代と約 年の間隔があったが、中国
る。 同 様 に、 景 気 が 悪 化 し な く て も、
には銀行が面倒を見ざるを得なくなる
規模の拡大重視から「公平で持続可能
ながらなかなか進まなかった経済発展
何 ら か の( 多 分 政 治 的 な ) 理 由 で 短
上昇も難しくなることから、今後は技
期的に経済成長率を引上げるような措
と言える。
可能性があり、銀行の不良債権リスク
置、具体的には固定資産投資頼みの大
きている。過去 年間顕著であった地
資と輸出に依存した経済成長は限界に
次に、需要面を見ると、固定資産投
国」から「製造大国+大規模市場」を
ランスの改善等であり、また「製造大
化、サービス産業の発展、地域間のバ
発揮、自主革新能力の増強と産業高度
ある。具体的には、市場メカニズムの
長期的に見ると、中国の経済成長率
方政府による土地の囲い込みによる経
目指すことでもある。
型刺激策を採る場合も同様の問題が生
政府債務問題がある。これは借り手側
は改革開放以来の高成長から徐々に低
済開発は、経済成長と雇用をもたらす
じる。
から見れば主に地方政府の融資平台
下すると見られる。これまでの経済発
ある。これまで債務不履行問題はほと
貸し手側からは主に銀行融資の問題で
に、農村部から都市部、農業から製造
プラス要因がなくなりつつある。第一
まず供給面を見ると、人口面からの
等)で山分けされた。当然のことなが
役人・地方の国有銀行・国有開発業者
収入となり、一部は関係者(地方政府
ら巨大な利益を生み、一部は地方財政
き料)と市場価格(開発物件)の差か
画とともに、所得分配とその公平性も
を集めた2020年までの所得倍増計
共産党第 回全国代表大会では、注目
革がある。2012年
き動きを見ると第一に、所得分配の改
の拡大を取り上げる。最近の注目すべ
ここでは、内需拡大、特に個人消費
問題(
んど生じておらず、最終的には地方政
業への出稼ぎ労働者を主とする人口移
ら、レントシーキング・腐敗等が生じ、
言及された。所得分配改革案が発表さ
ある。
府・中央政府が面倒を見ると思われる
動が、ほぼ終了した(いわゆるルイス
また、価格メカニズムによる資源配分
れれば、過去8年の議論を経てようや
11
兆 元 ) で あ り、
ので、表面上、問題は生じないと見ら
転換点)
、 あ る い は 終 了 し つ つ あ る。
機能が働いていないため、環境破壊・
18
国のGDP規模は約
れるが、地方政府が債務や土地譲渡に
第二は人口高齢化である。国連推計に
64
月開催の中国
財政を依存する構造は、後述するよう
く日の目を見ることになる。所得分配
金融面のリスクもある。まず、地方
(資金調達プラットフォーム)の債務
だけでなく、行政価格(土地の立ち退
視される。
な体制メカニズム」を形成することで
60
術進歩による生産性の引上げがより重
90
展方式を支えてきた要因が変化しつつ
長期的には低下傾向にある
経済成長率
12
15
資源浪費、過剰生産能力にもつながっ
10
~ 歳)人口が
よれば、生産年齢(
15
50
10
に大きな問題である。
10
11
30
75
兆元以上が存在。ちなみに中
2013 年の中国マクロ経済と今後の注目点
2013 年の中国マクロ経済と今後の注目点
費拡大のみならず、社会不安定の回避
の改善・所得格差是正は全体の個人消
む。足元で、都市人口は統計上
労働者に都市戸籍を与えること等を含
備することや一定条件を満たす出稼ぎ
%を
からも重要である。現在、
ジニ係数
(所
回るとされる(最近では2010年時
社 会 安 定 を 脅 か す と さ れ る 0・4 を 上
得分配の不平等さを示す。0~1)
は、
なっている。これらの人々への住宅・
を享受できない「半都市化」が問題と
出稼ぎ労働者が都市の公共サービス等
上回っているものの、都市定住に近い
点で0・
財政移転支出制度の改善、農業や中西
れる。具体的には、
最低賃金の引上げ、
高所得者の所得の調整(抑制)と言わ
得引上げ・中間所得層の比率の拡大・
改革案の基本方針は、低所得者の所
通信といった分野の消費拡大が期待さ
具体的には、教育・文化・娯楽、交通・
し て、 個 人 消 費 の 高 度 化 に つ な が る。
せるだけでなく、都市人口の増加を通
インフラ整備はインフラ投資を増加さ
れる。また、需要面から見ると、都市
大学)
。
部等への財政投入拡大、独占企業の利
・7%を占めるが、農村部消
足元の所得分配の不公平・所得格差
標となっているはずの「公共サービス
スの供与、より広くは各地方政府の目
また、出稼ぎ労働者への公共サービ
が不十分であることが、今後の経済発
のチェック、その前提となる情報開示
けである。つまり、受益者による政府
の不良債権の生じる入れ物が変わるだ
実施され、また、うまく機能する鍵は
けられない。このため、土地開発から
拡大は、従来の経済発展方式と表裏一
の均等化」等の達成度合いはどのよう
展の障害になりかねない。政治民主化
土地を介した農民への所得配分は以前
生まれた利益の農民への分配を増やす
体をなすものである。そしてこの方式
にチェックするのか。土地財政脱却の
と経済発展が別々に論じられないとこ
際信託投資公司(ITICS)や最近
ことが議論されている。
は、地方政府や既得権益をもつ関係者
ために地方政府への財源(税、債券発
ろまで矛盾は累積しており、新政権が
正についても、土地財政に依存する地
第 三 に、 中 央 経 済 工 作 会 議 で は、
にとっては成功モデルである。過去8
行)付与が考えられているが、納税者・
どこまで政治改革を進めるかが今後の
何か。これが2013年以降の中国経
2013年の任務として「積極的・穏
年間、所得分配改革案が議論されても
債権者へ情報開示はどうなるのか。そ
経済を見る上で極めて重要である。
からの課題である。上述の地方の開発
当に都市化を推進し、都市化の質を引
発表に至らなかった主因は既得権益を
れがなければ、1990年代後半の国
の地方融資平台と同様、地方政府絡み
上げる」という都市化推進が新たに加
もつ集団の抵抗である。土地管理法修
方政府の抵抗が予想される。
えられた。これは、都市インフラを整
済を見る上でのチェックポイントとな
(出所)
公式統計、CEICより野村総合研究所作成
方式の中では、農民は土地を手放し多
(図表5)消費構造(所得階層別、2011年)
る。
これらの改革案や措置が、本格的に
経済発展上も重要な
政治民主化
5
少の補償を得るだけで開発の恩恵を受
費は全体の ・7%しか占めておらず、
全体の
行方である。農村人口は2011年で
第 二 は、
「土地管理法」の修正案の
れる(図表 )。
教育・社会保障等の整備等が必要とさ
との推計もある。西南財経
50
益の分配等が考えられている。
61
22
48
11