北海道の自然学散歩-7「北海道駒ヶ岳」

北海道の自然学散歩-7
北海道の自然学散歩- 7 「 北海道駒ヶ岳」
北海道駒ヶ岳 」
全国で「駒ヶ岳」と呼ばれる山は、主なもので 20 座は
あるが、その内「北海道駒ヶ岳」
は最北の活火山で、
有史以降でも活発な噴火活動が続いている山としてとし
てその名を知られています。
火山の歴史は約 5 万年前より始まり、安山岩溶岩と火砕
物を噴出して富士山の様にきれいな円錐形をしていたが、
3 万年前頃に大爆発を起こして山体崩壊
が起き、頂上
部分が欠落しました。
その後は暫らく火山活動は休止していましたが、歴史時代
に入って 1640 年(寛永 17 年)に再び大噴火による 2 回の
道南地方
大崩壊が起きました。
マグマが山体浅所に貫入したため、マグマ圧に耐え切れず山体崩壊が発生したのです。
最初に南斜面が崩落して川を堰き止めたため、現在の大沼・小沼が形成されました。
その後、2 回目の岩屑なだれが起きて海中に流入したため、大津波を誘発して対岸の有珠で 700 人
余りが溺死する災害に見舞われたと古文書に記されています。
この様に過去何度となく山体崩壊が発生したため、山容は見る位置によって大きく異なります。
また、この大噴火以降、引き続き現在も活動が活発な火山として入山規制が続いています。
駒ヶ岳近辺には他にも顕著な火山活動が見られます。約 15km西には濁川カルデラがあり、そこ
では森地熱発電所(50,000kw)が稼働しています。
ここのカルデラの地下構造は地熱開発のため詳しくボーリング調査され、その結果深くなるほど円
形の直径が小さくなってゆく「じょうご」の様な形をしていることが世界で初めて発見されました。
また、駒ヶ岳の南東 13kmには「鹿部間欠泉」が 100℃を超える熱水を吹きだしていますが、これ
らは地下では同じマグマ溜りから熱が供給されている可能性が推測されます。
さて、この地で誤った地質情報がもとで名付けられた地名が、今でも使われている話をしましょう。
駒ヶ岳の北側の内浦湾を当地の人たちは「噴火湾」と呼んでおり、国土地理院の地図でもカッコ書
きで記されています。
これは 1796 年(寛政 8 年)に当地を訪れた英国の調査船のブロートン海尉が、内浦湾がほぼ円形
な事と、周囲を取り囲む北海道駒ヶ岳や有珠山などの火山を見て「これは Volcano Bay だ」と
語ったことに由来するといわれていますが、その後の調査でカルデラではないと解明されています。
一度公になった固有名詞はたとえそれが誤っていたとしても、簡単には改正されない悪例です。
森町からの駒ヶ岳は中央部が山体崩壊している
大沼からの駒ヶ岳はピークが偏り上部は平滑