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都市型JAとしての 存在価値を確立

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都市型JAとしての
存在価値を確立
榎本高一
東京都JA東京あおば 代表理事組合長
都市のJAだからこそ、
「地域になくてはならない」存在
をめざし、生産緑地を活用した活動や高齢者の生活を守
る事業などを、積極的に展開しています。
◆都市農業振興基本法を契機に
ならない存在をめざします」の経営理念のも
――管内の特徴についてお聞かせください。
と、
「都市農業を守る」
「組合員のくらしを豊か
管内は東京23区の北西部、都心から10~
にする」
「地域の活性化に貢献する」の 3 つの
20km に位置し、東西10km、南北 4 ~ 7 km
使命を掲げ、指導、福祉、信用、共済、経済
の範囲にあります。都心に近く、早くからベッ
事業のほか、旅行センター、宅地供給などの
ドタウンとして宅地化が進みました。農地は
総合事業を営んでいます。
現在、練馬区217ha、板橋区で25ha ほど、北
区にはほとんどなく、豊島区はゼロですが、
――中期計画における重点的な取り組みは?
23区の中では最も広い農地面積を持っていま
平成28年度は第 7 次中期経営計画の初年
す。農地の全てが市街化区域にあります。
度です。計画では第一に都市農業振興基本法
こうした環境の中で、
「わたしたちは、農業
制定を契機に都市型JAならではの施策を創
の豊かさ、人の和を大切にし、地域になくては
造することを挙げています。そして農業者の
所得増大に向けた改革と、これまでの自己改
革を着実に進めています。
そのためには組合員、役職員が一丸となっ
て挑戦する必要があり、
「創造・改革・挑戦」
を主題にしました。
来年、平成29年度は合併20周年の記念すべ
き年です。記念イヤーとしてのイベントを
組み、組合員や地区の人々にJAの存在をア
ピールしようと思っています。
JA東京あおば本店
10
月刊 JA
2016/11
えのもと・こういち
昭 和43年 東 京 都 立 農 芸 高 校 卒 業
後、 就 農。 平 成17年 練 馬 区 農 業
委 員 会 委 員、 平 成19年 J A 東 京
あ お ば 代 表 理 事 副 組 合 長、 同22
年代表理事組合長に就任。
撮影・JA東京あおば経営企画部経営企画課
◆金融店舗車の必要性
すが、信用事業の利益により経済・生活事業
――JAでは、准組合員をどのように位置づ
を展開することで、農業や地域に還元するこ
けていますか。
とができます。例えば農産物の直売所を充実
准組合員には、“JAの組合員” であること
することで、農家は生産に専念するとともに、
の有利性を知ってもらうことが大切だと思っ
地域の人に安全で安心、新鮮な農産物を提供
ています。そのために支店を中心とした地域
できます。特に都市では、元正組合員の准組
活動の展開が重要です。参加した人から「J
合員も多くいます。正・准組合員を分ける必
Aは楽しいことをやっている」という話が広が
要はもうないと思います。
り、それが現在10万人近くの人が集まるJA
このように都市だからこそ、“地域協同組
東京あおば農業祭につながります。また、ユ
合” としての役割が強くなっています。都市
ニークなイベントとして定着した「練馬大根
住民にJAがひとつの選択肢だと示すことは、
引っこ抜き競技大会」なども、同様です。万が
株式会社全盛の時代にひとつの問題を提起す
一にも、准組合員の事業利用制限が行われる
ることになるのではないでしょうか。
と、こうした活動が続けられるかどうか……。
地域が疲弊すればJAも成り立ちません。
農業所得の増大、生産の拡大については、
そこが、地域とのつながりの薄い株式会社と
こうした都市型JAでは難しいところがありま
違うところです。例えばJAが支店を閉めた
2016/11
月刊 JA
11
JAトップインタビュー JA東京あおば
光が丘公園で開催され
るJA東京あおば農業
祭。野菜で作った巨大
な「宝船」が目を引く
行政と協力して食農教育を展開
とき、お年寄りはどうなるでしょう。大都市と
成28年度が最終年度です。
「農業生産振興対
いっても、近くに銀行のない住宅地は少なく
策」
「農産物の流通・販売対策」
「都市農業の醸
なく、あってもお年寄りは、交通量の多い
成」の 3 本柱です。JAでは、高齢化した農
広い道路を渡るのは大変です。
家や、跡取りのいない農家の畑を耕したり、
都市部における地域の疲弊とは、
「人はいる
草刈りや休耕地に麦を作ったりしていますが、
が、経済活動は停滞する」ということです。特
そのための部署も設けて手助けしています。
に大規模団地として知られる高島平では、す
練馬区では、担い手サポートセンターの体
でにそういう状況が発生しつつあります。J
験農園で、農家の指導を受けながら5 年間の
Aは渉外活動で正組合員までは回りますが、
新規就農希望者の研修をやっています。その
准組合員まではなかなかフォローできません。
人たちが農家の手伝いもしていますが、都市
JAが「なくてはならない存在」とされるため
農業振興基本法の中で制度設計がうまくいけ
に、今年 3 月から金融店舗車を巡回させてい
ば、最終的には生産緑地の貸借を含め、新規
るのです。
就農者の受け入れができるようになるでしょ
また、都民は各区内でどのような農業が営
う。農家の跡取りでなくても農業の後継者は
まれ、農産物が作られているのかを知りませ
できます。
ん。農家が庭先で直売すると、それが分かり
ます。それを契機に顔の見える関係が生ま
――都市農業振興基本法で、市街化区域内の
れ、JAの直売所にも来てくれるようになりま
農業を認めたことの意義は大きいですね。
す。管内には、地区振興センターの直売コー
これまでの都市計画は、時間がたてば農家
ナー 2 か所と合わせて 6 か所の直売所があり
は農業をやめ、農地を売るだろうということ
ます。農地は “緑地” ではありません。実際に
が前提でした。しかし、基本法の考えは市街
農家が農業を行っているからできるのです。
化区域内の農地を、積極的に残すとのことで
す。問題は、それを管理する耕作者をつくる
12
◆新規就農希望者の支援も
ことですが、それには野菜の直売が、最も適
――農業振興へは、どのように取り組んでい
しています。
ますか。
そのためには、マンパワーが必要です。自分
農業振興計画があります。5 か年計画で平
で営農は難しいが、農地だけは残したいとい
月刊 JA
2016/11
管内の生産緑地は住宅街の中に存在している
う農家であれば、新規就農者を受け入れる
みたいことがあれば挑戦してほしい。それが
ケースも出てくると思います。
ないと、結局何もできない職員になってしま
一方で、人口の減少に伴って宅地が飽和状
います。その挑戦が失敗したときの責任は上
態になり、宅地を農地に戻すという動きも、若
司がとる。そういうおおらかさのある職場風
干ですが、出ています。学区の統廃合で学校
土でありたいと思っています。
JAトップインタビュー JA東京あおば
支店閉鎖後は金融店舗車で地域サービス継続
が減り、その跡地をどうするかで悩んでいる
自治体もありますから、それなら農地にして市
――日頃心がけていらっしゃることは?
民農園等で活用したらどうでしょう。賃料が入
今日できることは、今日やるということで
る上に管理費がいらず、高齢者の健康にも役
す。明日は何があるか分かりません。JAの
立つのではないでしょうか。
役員になるまでは、植木業で仲卸などの仕事
もやっていました。その経験から、いくら遅く
◆「今日できることは今日」がモットー
なってもその日のうちにやれることはやる。そ
――JA役職員に求めることとは、どのよう
うでないと次の人が困るのです。多くの仕事
なことでしょう。
は自分だけのものではありません。そうした心
厳しいようですが、常勤・非常勤を問わず、
がけが信頼につながります。
「組合員とJAを結ぶために働かなければい
けない」と、役員には言っています。自分たち
のJAなのですから、みんなのために汗を流
すのが役員であり、具体的に業務を進めるた
めに職員がいるのです。
(写真は全てJA東京あおば提供)
◎JA東京あおばの概況
平成9年4月、板橋・練馬・石神井・大泉の4JAが合併して
誕生。東京23区のうち、板橋区、北区、豊島区、練馬区を
管内とする。
東京都
JA東京あおば
だから、職員にも、
「自分たちは常に周りか
ら見られているのだということを意識して仕
事をするように」と、言っています。自分で、
いいことをやっているのだと思い込んでは駄
目です。評価は他人がするのです。その気持
ちがあると、人に助けられていることも意識で
きるようになります。その上で、自分がやって
▽組合員数
3万457人
(うち正組合員2,795人)
▽貯金残高
4,793億3,388万円
▽長期共済保有高
7,691億5,591万円
▽購買品供給高
4億684万円
▽販売品取扱高
5億6,349万円
▽職員数
422人(うち正職員345人)
(平成27年度末)
2016/11
月刊 JA
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