平成21年度図書館職員等研修講座(児童サービス研修)分科会記録 日時:平成21年9月18日(金) 於 :岡山県立図書館多目的ホール他 第一分科会~絵本~ A グループ 課題図書一覧: 『あ』(大槻あかね/作 福音館書店) 『うまさんうまとび』(水野翠/作 小峰書房 E/ミス 2008.5) 『こりゃまてまて』(中脇初枝/作 酒井駒子/絵 福音館書店 E/サカ 2008.5) 『せんねんまんねん』(まどみちお/作 柚木沙弥郎/絵 理論社 E/ユノ 2008.3) 『ぱかぽこはしろ!』(ニコラ・スミー/作 評論社 E/スミ 2008.3) 『100かいだてのいえ』(いわいとしお/作 偕成社 E/イワ 2008.6) 『まるさんかくぞう』(及川賢治/作 竹内繭子/絵 文渓堂 E/オイ 2008.6) 『きりのもりのもりのおく』(ニック・シャラット/作 フレーベル館 E/ミヤ 2008.7) 評価した資料 『きりのもりのもりのおく』 ニック・シャラット/作 はっきりした色、かくれんぼ絵本のよう。子ども達があてる楽しみがある。紙の質がプラスチックが 入っているようで、独特。いろいろなお話の主人公が登場するのも楽しい。茶目っ気がある。また、最 後遊園地という結末も好感が持てる。 B グループ 課題図書一覧: 『オペラハウスのなかまたち』(リディア、ドン・フリーマン/作 BL 出版 E/フリ 2008.10) 『かわいいサルマ』(ニキ・ダリー/作 光村教育図書 E/テイ 2008.1) 『くらべっこのじかん』(レスリー・エリー/作 ボリー・ダンバー/絵 フレーベル館 E/タン 2008.7) 『さくらいろのランドセル』(さえぐさひろこ/作 いしいつとむ/絵 教育画劇 E/イシ 2008.2) 『てぶくろがいっぱい』 (フローレンス・ストロボドキン/作 ルイス・ストロボドキン/絵 偕成社 E/スロ 2008.11) 『チコときんいろのつばさ』(レオ・レオーニ/作 あすなろ書房 E/レオ 2008.8) 『トム』(トミー・デ・パオラ/作 光村教育図書 E/テハ 2008.6) 評価した資料 『さくらいろのランドセル』 さえぐさひろこ/作 約束していたけど守れなかった気持ちにきっと子ども達は共感できるだろう。春に読みたい一冊。 評価した資料 『かわいいサルマ』 ニキ・ダリー/作 西アフリカのくらし、文化がよくわかる(スカート・持ち物など)。高学年に、国際交流の単元で合わせ て紹介したらよいのでは。繰り返しがよい。構図もはっきりしていて読み聞かせに向いていると思う。 C グループ 課題図書一覧: 『アマモの森はなぜ消えた』(山崎陽子/作 そうえん社 E/ヤマ 2008.5) 『エゾオオカミ物語』(あべ弘士/作 講談社 E/アヘ 2008.11) 『お化け屋敷へようこそ』(川端誠/作 BL 出版 E/カワ 2008.7) 『白い牛をおいかけて』 (トレイス・シーモア/作 ヴェンディ・アンダスン・ハルバリン/絵 ゴブリン書房 E/ハル 2008.4) 『ねぇパパ、どうしてシロクマはローラースケートをはかないの?』 (カンタン・グレバン/作 スギヤマカヨ/絵 セーラー出版 E/クレ 2008.11) 『この世でいちばんすばらしい馬』(チェ・ジャンホン/作 徳間書店 E/チエ 2008.12) 評価した資料 『お化け屋敷へようこそ』 川端誠/作 絵もはっきりしていて川端さんの絵の工夫も喜ぶだろう。ふすまの絵のお化けは演出がいい。文章 で引きつけていて、絵も魅せていて細かい仕掛けが多い。 評価した資料 『エゾオオカミ物語』 あべ弘士/作 少々暗いが、内容がある。遠目ではよく見える絵で読み聞かせ向き。エゾオオカミがなぜ滅んだか をふくろうが語る形。考えてもらうための本。 D グループ 課題図書一覧: 『あこがれの機関車』(アンジェラ・ジョンソン/作 ロレン・ロング/絵 小峰書房 E/ロン 2008.9) 『そらの木』(北見葉胡/作 岩崎書店 E/キタ 2008.4) 『なんでバイバイするとやか?』(ごとうひろし/作 なすまさひこ/絵 石風社 E/ナス 2008.3) 『ながいながい旅 エストニアからのがれた少女』 (ローセ・ラーゲルクランツ/作 イロン・ヴィークランド/絵 岩波書店 E/ヒタ 2008.5) 『なぜ戦争はよくないか』 (アリス・ウォーカー/作 スティアーノ・ヴィタール/絵 偕成社 E/ウイ 2008.12) 『ひこうせん』(ロクー・マンロ/作 ブッキング E/マン 2008.10) 『まっくら、奇妙にしずか』(アイナール・トゥルクスキィ/作 河出書房新社 E/トウ 2008.7) 評価した資料 『あこがれの機関車』 アンジェラ・ジョンソン/作 綿花を摘む黒人の少年の機関車への憧れ。機関士の死。少年の内面がよく描きこまれている。少 年の思いや憧れの強さがよく伝わる。現状への脱却への憧れだったのか。 評価した資料 『まっくら奇妙にしずか』 アイナール・トゥルコウスキィ/作 大人目線大人好みの本。シュールでブラック、メカニカル。 突然の来航。知らない男が雲から魚を上手に釣る。村人達はそれをうらやましく思い真似るが、さる まねは失敗に終わるという話。 E グループ 課題図書一覧: 『つみきのいえ』(平田研也/作 加藤久仁夫/絵 白泉社 E/カト 2008.10) 『死神さんとアヒルさん』(ヴォルフ・エアルブルッツ/作 草土文化 E/エア 2008.2) 『くまとやまねこ』(湯本香樹実/作 酒井駒子/絵 河出書房新社 E/サカ 2008.4) 『ニューヨークのタカ ペールメール』(ジャネット・ウィンター/作 小学館 E/ウイ 2008.4) 『北極熊ナヌーク』(ニコラ・デイビズ/作 ゲイリー・ブライズ/絵 BL 出版 E/フラ 2008.10) 『やかましい!』(アン・マクガバン/作 シムズ・ダバック/絵 フレーベル館 E/タハ 2008.4) 『ヤクーバとライオンⅠ 勇気』(テイエリー・デデュー/作 講談社 E/テテ/1 2008.3) 評価した資料 『やかましい!』 アン・マクガバン/作 生活音がやかましい→牛と暮らせ!→「やかましい」→「やかましい!」の繰り返し。おじいさんの動 作も「やかましい」のセリフも生活に根ざしている。ラストすべてのものを手放したところ普段の生活の ありがたさ、静けさのありがたさに気付ける。(もしかしたら、それも繰り返す!?) 評価した資料 『つみきのいえ』 平田研也/作 明るく人生を考えさせる。心にしみる。最後に幸せを感じられたらいいと思い、評価した。色使いが やさしい。 他の作品は暗く、重いものだった。 第二分科会~よみもの~ 課題図書一覧: 『ひらながだいぼうけん』(宮下すずか/著 偕成社 C913/ミヤ 2008.11) 『お医者さんのながいながい話』 (カレン・チャペック/著 関沢明子/訳 フェリシモ出版 C989/チカ 2008.10) 『フングリコングリ』(岡田淳/著 偕成社 C913/オカ 2008.10) 『ぼくがバイオリンを弾く理由』(西村すぐり/著 スカイエマ/絵 ポプラ社 C913/ニシ 2008.10) 『熱風』(福田隆浩/著 講談社 C913/フク 2008.2) 『真夜中の子ネコ』(ドディー・スミス/著 水間千恵/訳 文渓堂 C933/スミ 2008.12) 『フュージョン』(濱野京子/著 講談社 C913/ハマ 2008.2) 『ルワンダの祈り』(後藤健二/著 汐文社 C316/コト 2008.12) 評価した資料 『フングリコングリ』 岡田淳/著 出てくる言葉が面白い。日常の先にあるファンタジーで入りやすい。 評価した資料 『ぼくがバイオリンを弾く理由』 西村すぐり/著 人との出会いによって、自分のやるべきことを見つけていく物語。小学生の男の子が主人公なので 共感しやすい。また、挿絵が入っているので、手に取りやすい。 評価した資料 『フュージョン』 濱野京子/著 中学生が成長するきっかけを与えてくれる作品。主人公が夢中になれることを見つけることで、成 長し、人生の様々なことが開けてくる。また、家族との理解や多様な生き方も書かれている。YA 向き では。 評価した資料 『ルワンダの祈り』 後藤健二/著 内戦によって隣人との間に憎しみや悲しみが生まれるが、それだけでは解決に至らない。話し合い や相手を許す努力の大切さを書いている。このことはこれからの国際情勢や日本のあり方の中でも 大切な考えになっていくのではないか。 第三分科会~科学よみもの、調べ学習の本~ A グループ 課題図書一覧: 『14歳からのお金の話』(池上彰/著 マガジンハウス C330/イケ 2008.4) 『14歳からの商い』(渡邉美樹/著 ゴマブックス C366/ワタ 2008.7) 『大人になるヒント』(中沢ケイ/著 メディアパル C371/ナカ 2008.10) 『医者のしごと』(福井次矢/著 丸善 C498/フク 2008.2) 『児童労働 働かされる子どもたち』 (アムネスティ・インターナショナル日本/編 リブリオ出版 C366/アム 2008.11) 『もったいないばあさんと考えよう世界のこと』(真珠まりこ/著 講談社 C304/イケ/1 2008.11) 『池上彰のニュースに登場する国ぐにのひかりとかげ1』 (池上彰/著 さ・え・ら書房 C302/イケ/1 2008.11) 評価した資料 『もったいないばあさんと考えよう世界のこと』 真珠まりこ/著 子ども達に用意された資料を基に書かれていて、最新の答えが述べられている。高校生もこういっ た本から入っていくのが良いのではないでしょうか。 B グループ 課題図書一覧: 『ギンヤンマ』(中瀬潤/写真 リブリオ出版 C486/ナカ 2008.4) 『里山百年図鑑』(松岡達英/著 小学館 C407/マツ 2008.8) 『かたばみ ハートのはっぱ』(多田多恵子/著 福音館書店 E/タタ 2008.4) 『生きもの地図をつくろう』(浜口賢一/著 岩波書店 C462/ハマ 2008.1) 『よみがえれゲンゴロウの里』(西原昇吾/著 童心社 C486/ニシ 2008.11) 『里山いきもの図鑑』(今森光彦/写真・文・切り絵 童心社 C653/イマ 2008.7) 『昆虫たちの擬態』(海野和男/著 誠文堂 C486/ウン 2008.2) 評価した資料 なし それぞれ欠点がありおすすめの1冊を絞りきれなかった。 『かたばみ』は一日の様子などを描いている。種が飛んだりするので、雑草として困っているのでい いことばかりでなく現実的なことも描いてもいいのではないか。 『里山百年図鑑』は1~2,3ページで完結しているので、これ以上の調べものが出来ない。 『ギンヤンマ』は補助資料が必要な構成で、写真の使い方にも疑問を感じる。オスとメスの違いがわ からない。 C グループ 課題図書一覧: 『メダカ』(草野慎二/写真 リブリオ出版 C487/クサ 2008.2) 『やさいノート』(いわさゆうこ/著 文化出版局 C62/イワ 2008.6) 『ずっと受けたかったお天気の授業』(池田洋人/著 東京堂出版 C451/イケ 2008.7) 『地図情報ものしり百科1』(田代博/監修 学研 C448/タシ/1 2008.2) 『ホネホネたんけんたい』(アリス館 C481/ニシ 2008.2) 『じゃがいものふるさと』(山本紀夫/文・写真 福音館書店 C616/ヤマ 2008.2) 評価した資料 『ホネホネたんけんたい』 リアルに描かれている。ヘビを見ると骨だけになると胴体などを区別できるといったことも書かれ詳 しく説明されている。他に骨の役割なども詳しくあり、読み聞かせにいいと思われる。 D グループ 課題図書一覧: 『日本のくらしの知恵事典』(神野善治/監修 岩崎書店 C382/カミ 2008.9) 『箸の絵本』(兵左衛門/著 農山漁村文化協会 C383/ヒヨ 2008.3) 『江戸のくらしから学ぶ「もったいない」 第一巻』(秋山浩子/文 汐文社 C210/アキ/1 2008.12) 『落語の人びと、落語のくらし』(小林幸恵/著 岩崎書店 C779/オノ 2008.7) 『江戸のしぐさに学ぶ子どもの「作法(マナー)」』(越川礼子 PHP 研究所 C385/コシ 2008.12) 評価した資料 『日本のくらしの知恵事典』 大きな写真が載っていて何のことを書いてあるかが分かる。解説部分の字は小さいけれども編集 の仕方がよく、読んでみようという気になる。 <その他の資料について> 落語の本(『落語の人びと、落語のくらし』)は編集の時点でわからなくなっていてよくわからない。 もったいないの本(『江戸のくらしから学ぶ「もったいない」』)は物語から時代に入っていくのですが、 糞尿に対しても情報が足りない。 E グループ 課題図書一覧: 『こんな空間があったんだ 地下の活用がよくわかる事典』 (青山やすし/監修 PHP 研究所 C510/アオ 2008.9) 『鳥の形態図鑑』(赤勘兵衛/著 偕成社 C488/アカ 2008.7) 『楽しく学ぶ かず・かたちの図鑑』(黒澤俊二/監修 小学館 C410/クロ 2008.2) 『くらべてびっくり!ずかん1』(小宮輝之/監修 学研 C031/3 コミ/1 2008.2) 『辞書びきえほん日本地図』(陰山英雄/監修 ひかりのくに C291/カケ 2008.3) 『現代用語の基礎知識2008学習版』(自由国民社 C031/ケン/2008 2008.3) 『切り身の図鑑1』(こどもくらぶ/編 星の環会 C588/コト/1 2008.9) ※公共図書館と学校図書館とで視点が違い、一冊に絞れなかった。 評価した資料 『辞書びきえほん 日本地図』 子ども対には持ちやすく価格も手ごろ。五十音順並んでいるので調べやすい。地図としては地理的 に違和感がある箇所があり戸惑うかもしれない。載っている特長が違う。 評価した資料 『切り身の図鑑』 写真の切り身の写真が載っているのでわかりやすい。 評価した資料 『地下の活用がよくわかる図鑑』 物語が苦手な子どもには良いのでは。 評価した資料 『鳥の形態図鑑』 公共図書館と学校図書館における視点の違いが表れた資料だった。 調べ学習には難しく、価格も高価なので学校図書館には難しいのは。 「いろいろな視点」から本を捉えることが大切だと感じる。
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