2nd line Bmab after 1st line Mab

ASCO-GI 2016
2nd line Bmab
after 1st line Mab
切除不能大腸癌の二次治療におけるベバシズマブ療法の有効性に
一次治療の分子標的薬が及ぼす影響
#748
H. Hasegawa, et al: J Clin Oncol 34, 2016 (suppl 4S; abstr 748)
結 論
●
野生型の切除不能大腸癌(mCRC)では、二次治療のベバシズマブ(BV)療法の有効性は、一次治療の抗EGFR療法に耐性を
獲得した患者で発揮される。
背 景
・ mCRC患者を対象としたE3200試験1)、TML (ML18147)試験 2)では、一次治療でBVを使用したかどうかにかかわらず、BV療法は
二次治療の標準療法であることが示された。
・ 前臨床での試験で、抗EGFR抗体に耐性を獲得したヒト癌細胞はVEGF過剰発現と分泌増加が起こることが示された 3)。
・ 前治療として抗EGFR療法を行うことで血管新生阻害薬に対する感受性は高まると考えられる4)。
・ しかし、一次治療で抗EGFR療法を受けた患者の二次治療におけるBV療法の有効性は検討されていなかった。
・ そこで本研究では、mCRCの一次治療の種類が二次治療のBVの有効性に及ぼす影響を検討した。
対象・方法
・ 対象(二次治療としてBV療法実施)は123人で、一次治療の内訳は細胞傷害性薬剤のみが35人、BV療法が58人、
抗EGFR療法が30人であった。
●解析対象
2007年4月から2015年3月の期間に
一次治療として化学療法を受けた
野生型mCRC患者
(n=215)
(コホートC / コホートB / コホートE )
一次治療の化学療法を継続中の患者
(n=15)
化学療法を併用せずに治療した患者
(n=21)
二次治療として
5-FUまたはBVを含まない化学療法を受けた患者
(n=56)
二次治療としてBVを含む化学療法を受けた患者
(n=123)
●化学療法のレジメン
一次治療
細胞傷害性薬剤のみ
(n=35)
コホートC
・術後補助化学療法としてFOLFOXを施行
(n=6)
・FOLFOX、n=29
BV療法
(n=58)
コホートB
・FOLFIRI+BV、
n=4
・FOLFOX+BV、n=54
抗EGFR療法
(n=30)
コホートE
・FOLFIRI+セツキシマブ、
n=6
+パニツムマブ、
n=1
・FOLFOX+セツキシマブ、
n=15
+パニツムマブ、
n=8
二次治療でBV療法を受けている患者 FOLFIRI+BV (n=112)、
FOLFOX+BV (n=11)
※患者背景因子(組織型、PS、腹膜播種、一次治療のPFS等を含む)において、一次治療で抗EGFR療法を施行した群は他の2群に比べて乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)値が高かった。
文献 1) Giantonio BJ et al. J Clin Oncol 2007; 25(12):1539-44. 2) Bennouna J et al. Lancet Oncol. 2013; 14:29-37. 3) Geva R et al. Onco Targets Ther. 2013; 6:53-8.
4) Bianco R et al. Clin Cancer Res. 2008; 14:5069-80. 5) Norguet E, et al. Dig Liver Dis. 2011; 43: 917-19. 6) Lam KO, et al. Oncol Lett. 2013; 5:637-40
この資材は学会の最新情報を掲載しており、日本国内での承認内容と異なる薬剤の情報が含まれています。ご使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。
ASCO-GI 2016
結 果
・ 一次 治 療 で 抗 E G FR 療 法を受けた 群( コホートE )では 、B V 療 法を受けた 群( コホートB )に 比べ てP FSが 有 意に長く
( =0.02)、奏効率も有意に高かった( =0.03)。
・ 三次治療の施行率は、三群間で同様であった。
●二次治療としてのBV療法施行後のPFSおよびOS
100
コホート C
PFS
コホート B
コホート C
100
OS
コホート B
コホート E
コホート E
80
生存率︵%︶
無増悪生存率︵%︶
80
60
60
40
40
20
20
0
0
0
4
8
12
16
20
0
12
24
期間(月)
36
48
60
期間(月)
一次治療
イベント数
PFS中央値
(月)
調整後
ハザード比
値
一次治療
イベント数
OS中央値
(月)
調整後
ハザード比
コホートC
33/35
6.9
コホートB
56/58
5.6
1.43
0.20
コホートC
31/35
21.9
0.94
0.86
2.15
0.02
コホートB
53/58
20.7
1.22
0.51
コホートE
27/30
8.1
1
コホートE
23/30
18.1
1
値
●奏効率
一次治療
n
完全奏効
部分奏効
安定
進行
評価不能
奏効率(%)
コホートC
35
0
7
コホートB
58
0
6
21
5
2
20.0
39
12
1
10.5
コホートE
30
0
9
19
2
0
30.0
= 0.40
= 0.03
●三次治療の施行率
患者数( )
コホートC(n=35)
コホートB(n=58)
コホートE(n=30)
30 (85.7)
48 (82.8)
26 (86.7)
BV療法
0
2
2
抗EGFR療法
27
44
7
その他
3
2
17
ベストサポーティブケア(BSC)
5
10
4
三次治療を受けた患者
考 察
・本研究の結果は既報の試験結果と同様であった1,2)。
・複数のレトロスペクティブ研究で、BV使用直後に抗EGFR療法の有効性が低下することが報告されている5,6)。
その一方で、本研究では、一次治療での抗EGFR抗体への曝露は二次治療のBV療法の有効性を低下させなかった。
・前臨床での試験で示されているように、癌細胞に抗EGFR抗体を長時間曝露し、耐性を獲得させるとVEGF発現が増加する。
こうした知見から、抗EGFR療法を受けた患者の転帰が良好な理由として、
野生型であること、また腫瘍が抗EGFR療法に
耐性を獲得しVEGFパスウェイに依存した腫瘍環境となってからBVが使用されていることが考えられる。
この資材は学会の最新情報を掲載しており、日本国内での承認内容と異なる薬剤の情報が含まれています。ご使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。
2016年1月作成
EB002C0001PH576