第8回市民公開講座 - 愛媛県の県立病院

愛媛県立中央病院
がん治療センター
第8回市民公開講座
「知っておきたいがんの情報」
~がん治療の進歩 大腸がん、肝臓がん~
平成25年2月3日
公
14:00
開 会
開会挨拶
第1部
14:05
司
会
講
演
演
演
題①
者
14:55
質疑応答
15:05
講
演
演
演
題②
者
15:35
質疑応答
15:45
休
第2部
15:55
開
講
座
次
第
愛媛県立中央病院
がん治療センター長
原
雅道
愛媛県立中央病院
がん治療センター長
原
雅道
大腸がんの治療
愛媛県立中央病院
外来化学療法室 室長
上田 重春
抗がん剤治療の実際
愛媛県立中央病院 がん化学療法看護認定看護師
司
憩
山下 広恵
会
講
演
演
演
題③
者
16:45
質疑応答
16:55
閉 会
閉会挨拶
愛媛県立中央病院
がん治療センター長
肝臓がんの内科的治療
愛媛県立中央病院 消化器内科医師
愛媛県立中央病院
原
雅道
平岡 淳
がん治療センター長
原
雅道
医
師
大腸がんの治療
2013/2/5
市民公開講座 2013年2月3日
いよてつ高島屋 ローズホール
⼤腸癌の治療
⼿術、化学療法
2005年のがん罹患数(全国推計値)が多い順
男性
1位
胃
女性
乳房
男女計 胃
2位
大腸
3位
肺
4位
5位
前立腺 肝臓
大腸
大腸
胃
肺
肺
乳房
子宮
肝臓
2009年のがん死亡数が多い順
男性
愛媛県立中央病院
がん治療センター
外来化学療法室
上田 重春
部位別がん罹患率 ~39歳 2005年
1位
肺
女性
大腸
男女計 肺
2位
胃
3位
大腸
4位
肝臓
5位
膵臓
肺
胃
胃
大腸
膵臓
肝臓
乳房
膵臓
大腸=結腸+直腸
部位別がん罹患率 40歳~ 2005年
大腸癌の診断
大腸癌の発生部位
7%
10%
5%
34%
6%
生検→病理診断
38%
72%
PET-CT検査:転移状況→ステージ分類
1
2013/2/5
大腸癌の病期(Stage)分類
0
粘膜
Ⅲa
(1-3)
粘膜下層
Ⅲb
(4~)
Ⅰ
Ⅲa(1~3個)、Ⅲb(4個~)
Ⅳ
筋層
Ⅳ
大腸癌取り扱い規約:第7版 2009年
Ⅱ
漿膜
5年生存率
Stage
結腸癌
直腸癌
Stage 0
94.8%
92.9%
Stage Ⅰ
90.6%
89.3%
Stage Ⅱ
83.6%
76.4%
Stage Ⅲa
76.1%
64.7%
Stage Ⅲb
62.1%
47.1%
Stage Ⅳ
14.3%
11.1%
再発率
3.7%
13.3
%
30.8%
大腸癌研究会・大腸癌全国登録 1991~1994年度症例
腺癌(粘液癌、印環細胞癌を含む)のみを集計
Stage分類は“大腸癌取扱い規約”第6版
ステージ 0、Ⅰ:治療方針
ステージ 0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ:治療方針
2
2013/2/5
ステージ Ⅳ:治療方針
人工肛門造設術
結腸切除術範囲
7%
右半結腸切除
10%
左半結腸切除
5%
34%
6%
S状結腸切除
72%
38%
大腸癌治癒切除後のStage別再発率と
術後経過年数別累積再発率
直腸癌の手術
人工肛門
Stage
再発率
3年
累積
4年
累積
5年
累積
術後5年を超
えて出現する
再発例が全
体に占める割
合
Ⅰ
3.7%
68.6%
82.4%
96.1%
0.15%
Ⅱ
13.3%
76.9%
88.2%
92.9%
0.94%
Ⅲ
30.8%
87.0%
93.8%
97.8%
0.67%
全体
17.3%
83.2%
91.6%
96.4%
0.63%
大腸癌研究会プロジェクト研究1991~1996年症例
3
2013/2/5
大腸癌 肝転移の治療方針
再発大腸癌の治療方針
肝切除適応基準
①耐術可能②原発巣が制御可能③転移巣が遺残無く切除可能
④肝外転移がないか、制御可能⑤十分な残肝機能
大腸癌 肺転移の治療方針
⼤腸癌同時性遠隔転移頻度
肝
肺
腹膜
結腸癌
11.4%
1.6%
直腸癌
9.5%
⼤腸癌全体
10.7%
その他の部位
合計
⾻
脳
6.4%
0.3%
0.1%
0.1%
0.4%
0.9%
1.7%
3.0%
0.3%
0.1%
0.01%
0.5%
1.0%
1.6%
5.0%
0.3%
0.1%
0.1%
0.5%
0.9%
Virchow その他
Virchow LN:左鎖骨上リンパ節転移
StageⅣ大腸癌のうち60%弱が肝転移
術後再発を含めると大腸癌全体の約25%に肝転移が合併する
⼤腸癌研究会・⼤腸癌全国登録
大腸癌の化学療法
1995~1998年度症例
切除不能進⾏再発癌に対する化学療法
<⽬的>
化学療法を施⾏しない場合、切除不能と判断された進⾏再発⼤
腸癌の⽣存期間中央値(MST)は約8ヶ⽉
1)切除不能進⾏再発癌に対する化学療法
2) 術後再発抑制を⽬的とした補助化学療法
(再発予防)
化学療法の進歩によりMSTは約2年まで延⻑してきたが、
治癒を望むことは難しい。
化学療法の⽬標は腫瘍増⼤を遅延させて
延命と症状コントロールを⾏うこと
切除不能進⾏再発癌に対する化学療法が奏功し切除可能となる
ことがある。
4
2013/2/5
切除不能進⾏再発癌に対する化学療法
大腸癌進行度(Stage)
<適応の原則>
(1)臨床診断または病理組織診断が確認されている。
(2)転移・再発が画像にて確認可能である。
(3)performance status (PS)が0〜2である。
(4)主要臓器機能が保たれている。
・⾻髄:⽩⾎球>4000/mm3、⾎⼩板>10万/mm3
・肝機能:T.Bili<2.0mg/dL、AST/ALT<100IU/L
・腎機能:⾎清Cr:施設基準上限以下
(5)適切なインフォームド・コンセントに基づき患者から
⽂書による同意が得られている。
(6)重篤な合併症(特に、腸閉塞、下痢、発熱)がない。
大腸癌治療ガイドライン2010
< Adjuvant >
5-FU/LV
RPMI法
1
< 一次治療 >
< 二次治療 >
FOLFOX±B-mab
or
XELOX±B-mab
FOLFIRI±B-mab
or
CPT-11
* FOLFIRI±
* K-ras 野生型
or
UFT/UZEL
C,P-mab
< 三次治療 >
Ⅳ
+再発
Performance status (PS)
grade
Performance status
0
全く問題なく活動できる。
発病前と同じ日常生活が制限無く行える。
1
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うこ
とができる。例:軽い家事、事務作業
2
歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。日中の50%
以上はベッド外で過ごす。
3
限られた自分の身の回りのことしかできない。
日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4
全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。
完全にベッドか椅子で過ごす。
Fluorouracil(5FU)
* K-ras 野生型
*CPT-11±C-mab
FOLFOX, FOLFIRI, RPMI:大腸癌
or
C,P-mab単独療法
作用機序:DNA合成を阻害する(S期特異的)。
CPT-11 ± C-mab
Capecitabine
FOLFOX±B-mab
or
XELOX±B-mab
2
FOLFIRI±B-mab
3
* K-ras 野生型
*FOLFOX±C,P-mab
FOLFIRI±B-mab
or
CPT-11
* K-ras 野生型
*FOLFIRI±C,P-mab
FOLFOX±B-mab
or
XELOX ± B-mab
5FU+LV±B-mab
±
UFT/UZEL
状況を見て1 または 2
FOLFOX
XELOX
B-mab :アバスチン 4
bevacizumab
C-mab :アービタックス
cetuximab
5
P-mab : ベクティビックス
panitumumab
or
CPT-11
主な排泄経路:腎排泄
* K-ras 野生型
*CPT-11±C-mab
or
C,P-mab単独療法
副作用:骨髄抑制、嘔気、脱毛、下痢、口内炎、小脳失調
高アンモニア血症(意識障害)
骨髄抑制:好中球(白血球)減少、血小板減少、貧血
* K-ras 野生型
*CPT-11±C-mab
or
C,P-mab単独療法
Oxaliplatin(L-OHP) エルプラット
Bevacizumab(B-mab) アバスチン
+19万円/回
FOLFOX, XELOX, SOX:大腸癌
FOLFOX, FOLFIRI, XELOX, IRISと併用:大腸癌
作用機序:DNA合成を阻害する。
作用機序:分子標的治療薬、
VEGFに対するヒト化モノクロナール抗体
(血管内皮増殖因子)
副作用:高血圧、出血、動静脈血栓症、創傷治癒遅延、消化管穿孔、
タンパク尿、間質性肺炎、注射時アレルギー反応(infusion reaction)
主な排泄経路:腎排泄
副作用:嘔気、末梢神経障害、骨髄抑制、腎障害、脱毛、
アレルギー症状
神経障害:手・足や口唇周囲部の感覚異常または知覚不全、
冷気暴露で誘発悪化する咽頭喉頭の絞扼感
が出現時には減量、休薬などの適切な処置を行う。
使用上の注意:初回投与時は90分かけて点滴。
問題がなければ2回目投与は60分、3回目以降は30分で投与。
骨髄抑制:好中球(白血球)減少、血小板減少、貧血
5
2013/2/5
大腸癌治療ガイドライン2010
Panitumumab(P-mab) ベクティビックス
< Adjuvant >
+20万円/回
FOLFOX, FOLFIRI, IRISと併用:大腸癌
5-FU/LV
RPMI法
作用機序:分子標的治療薬、
EGFRに対する完全ヒト化モノクロナール抗体
1
< 一次治療 >
< 二次治療 >
FOLFOX±B-mab
or
XELOX±B-mab
FOLFIRI±B-mab
or
CPT-11
* FOLFIRI±
* K-ras 野生型
or
UFT/UZEL
使用上の注意:初回投与時は60分かけて点滴し、60分経過観察。
問題がなければ2回目投与は30分で投与し、60分経過観察。
60%:変異なし(野生型)○有効
KRAS遺伝子検査
40%:変異あり(変異型)×無効
* K-ras 野生型
*CPT-11±C-mab
or
C,P-mab単独療法
CPT-11 ± C-mab
Capecitabine
副作用:ざ瘡様皮疹(にきび)、爪周囲炎、倦怠感、腹痛、下痢、悪心、
間質性肺炎、注射時アレルギー反応(infusion reaction)
C,P-mab
< 三次治療 >
FOLFOX±B-mab
or
XELOX±B-mab
2
FOLFIRI±B-mab
3
* K-ras 野生型
*FOLFOX±C,P-mab
FOLFIRI±B-mab
or
CPT-11
* K-ras 野生型
*FOLFIRI±C,P-mab
FOLFOX±B-mab
or
XELOX ± B-mab
5FU+LV±B-mab
±
UFT/UZEL
状況を見て1 または 2
FOLFOX
XELOX
B-mab :アバスチン 4
bevacizumab
C-mab :アービタックス
cetuximab
5
P-mab : ベクティビックス
panitumumab
or
CPT-11
* K-ras 野生型
*CPT-11±C-mab
or
C,P-mab単独療法
* K-ras 野生型
*CPT-11±C-mab
or
C,P-mab単独療法
大腸癌治療ガイドライン2010
K-ras 変異型
< 一次治療 >
< 二次治療 >
1
FOLFOX±B-mab
or
XELOX±B-mab
FOLFIRI±B-mab
or
CPT-11
< 三次治療 >
2
FOLFIRI±B-mab
FOLFOX±B-mab
or
XELOX±B-mab
3
B-mab :アバスチン 4
bevacizumab
C-mab :アービタックス
cetuximab
5
P-mab : ベクティビックス
panitumumab
5FU+LV±B-mab
±
UFT/UZEL
状況を見て1 または 2
or
CPT-11
Bevacizumab+mFOLFOX6
アバスチン
1週
2週
3週
1クール
4週
L-OHP 85mg/m2
LV 200mg/m2
2時間
5-FU
5週
2クール
400mg/m2
CVポート(埋め込み型)
38万円/回
静脈内急速投与
10分
6週
3クール
L-OHP:オキサリプラチン
LV:ロイコボリン
5-FU:フルオロウラシル
5-FU 2400mg/m2 46時間持続点滴
1日目
Bevacizumab 5mg/kg
2日目
90‐30分
50時間の治療を2週間に1回行う。
注)CVポートが必要
L-OHP
Bevacizumab
利点
・薬剤投与経路の確保が容易
・在宅で薬剤の持続投与可能
欠点
・手術が必要(局所麻酔、30~60分程度)
・閉塞、感染、ピンチオフなど
2005年4月承認
2007年4月承認
6
2013/2/5
Bevacizumab+FOLFIRI
irinotecan (CPT-11) イリノテカン
アバスチン
32万円/回
FOLFIRI, IRIS:大腸癌
1週
2週
3週
4週
5週
6週
作用機序:DNA合成を阻害(トポイソメラーゼ阻害)する。
1クール
主な排泄経路:肝代謝、胆汁排泄
2クール
3クール
CPT-11 150mg/m2
LV 200mg/m2
2時間
副作用:骨髄抑制、嘔気、脱毛、下痢
5-FU
使用上の注意:高度な下痢、脱水による死亡例報告有り。
下痢発現時にはロペミン(ロペラミド)投与。
脱水時には十分な補液。
骨髄抑制:好中球(白血球)減少、血小板減少、貧血
400mg/m2
CPT-11:イリノテカン
LV:ロイコボリン
5-FU:フルオロウラシル
静脈内急速投与 10分
5-FU 2400mg/m2 46時間持続点滴
1日目
Bevacizumab 5mg/kg
2日目
90‐30分
50時間の治療を2週間に1回行う。
注)CVポートが必要
Bevacizumab+sLV5FU2
アバスチン
1週
2週
3週
進行大腸癌:1次治療時の奏効率とPFS
26万円/回
4週
5週
6週
7.2
10. 3
SOX
XELOX+Bmab
2クール
3クール
2時間
5-FU 400mg/m2 静脈内急速投与 10分
LV:ロイコボリン
5-FU:フルオロウラシル
Bevacizumab 5mg/kg
FOLFIRI+Bmab
2日目
90‐30分
57.9
40.2
4.3
27
5FU/LV
0
79.4
49
6.9
FOLFIRI
UFT/LV
5-FU 2400mg/m2 46時間持続点滴
1日目
58
62
8.6
9.4
8.3
11. 2
FOLFOX+Bmab
FOLFOX
LV 200mg/m2
71.9
16. 7
IRIS+Bmab
IRIS
1クール
46.6
22
20
40
60
80
50時間の治療を2週間に1回行う。
Bmab:アバスチン
注)CVポートが必要
奏効率(%)
PFS(ヶ月)
PFS:無増悪生存期間
休薬・減量・再開
有害事象
グレード1
休薬・減量不要
慎重に経過観察
投与継続
CTCAE v4.0-JCOG
グレード2
Grade 0-1
に軽快するまで
休薬
グレード3
Grade 0-1
に軽快するまで
休薬
グレード4
53歳女性①
結腸癌、多発肝転移
ステージ4
投与中⽌
再投与不可
回復後
回復後
休薬前の⽤量で 1段階減量(80%)で
治療再開
治療再開
7
2013/2/5
2010年11月
2012年6月
2011年3月
53歳女性②
結腸切除術+化学療法
①アバスチン+FOLFOX
②アバスチン+FOLFIRI
57歳女性①
結腸癌、多発肝転移
化学療法
アバスチン+FOLFOX
2012年10月
2012年10月
遠隔リンパ節転移
ステージ4
60歳男性②
60歳男性①
2011年5月
血便
2011年4月
60歳男性③
化学療法を希望
2011年6月~2012年10月
治癒(消失)
60歳女性①
結腸癌、腹膜播種:ステージ4
結腸切除+卵巣切除
化学療法
RFA
2012年7月 肝転移
肝転移は治癒
2012年8月
8
2013/2/5
大腸癌治癒切除後のStage別再発率と
術後経過年数別累積再発率
化学療法
Stage
再発率
3年
累積
4年
累積
5年
累積
5年
以降
Ⅰ
3.7%
68.6%
82.4%
96.1%
0.15%
Ⅱ
13.3%
76.9%
88.2%
92.9%
0.94%
Ⅲ
30.8%
87.0%
93.8%
97.8%
0.67%
全体
17.3%
83.2%
91.6%
96.4%
0.63%
1)切除不能進⾏再発癌に対する化学療法
2) 術後再発抑制を⽬的とした補助化学療法
(予防投与)
大腸癌研究会プロジェクト研究1991~1996年症例
術後再発抑制を⽬的とした補助化学療法
大腸癌進行度(Stage)
適応
(1)R0切除が⾏われたStageⅢ⼤腸癌(結腸癌、直腸癌)。
R0切除:治癒切除
(2)主要臓器機能がたもたれている。
・⾻髄:⽩⾎球>4000/mm3、⾎⼩板>10万/mm3
・肝機能:T.Bili<2.0mg/dL、AST/ALT<100IU/L
・腎機能:⾎清Cr:施設基準上限以下
(3)performance status (PS)が0〜1である。
(4)術後合併症から回復している(術後4〜8W)。
(5)適切なインフォームド・コンセントに基づき患者から
⽂書による同意が得られている。
(6)重篤な合併症(特に、腸閉塞、下痢、発熱)がない。
・再発リスクが⾼いStageⅡ⼤腸癌には、適切なICのもとに、
補助化学療法の適応を考慮する。
国内の術後補助化学療法の成績
無再発生存率
(%)
100
UFT
UFT
80
80
60
40
ハザード比= 0.52 p = 0.0014
3年無再発生存率:UFT 78%
手術単独 60%
20
0
1
2
3
4
ハザード比 = 0.42 p = 0.0048
3年生存率:UFT 91%
手術単独 81%
20
0
0
手術単独
60
手術単独
40
5
6
0
1
2
3
4
5
0
SM
MP
Ⅰ
SS, A
SE
SI, AI
Ⅱ
N1
N2,N
3
M1(リンパ節)
Ⅲa
Ⅲb
Ⅳ
Performance status (PS)
StageⅡの一部(再発高リスク群)
grade
T4, 穿孔例, 閉塞, 高CEA
低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌
郭清リンパ節12個未満
0
全く問題なく活動できる。
発病前と同じ日常生活が制限無く行える。
1
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うこ
とができる。例:軽い家事、事務作業
2
歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。日中の50%
以上はベッド外で過ごす。
3
限られた自分の身の回りのことしかできない。
日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4
全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。
完全にベッドか椅子で過ごす。
ASCO2004 ガイドライン
ESMO ガイドライン
Performance status
推奨される療法
全生存率
(%)
100
N0
M
術後再発抑制を目的とした補助化学療法
(NSAS-CC01)
StageⅢ直腸癌の術後
UFT (400mg/m2/day 5投2休 1年) vs. 手術単独
H1, H2, H3, M1,
P1, P2, P3
H0, M0, P0
6
(1)5−FU/LV 療法(RPMI):注射
(2)UFT/LV 療法:内服のみ
(3)capesitabine 療法:内服のみ
(4)mFOLFOX6療法 (2009年8月~):CVポート
【(5)XELOX(2011年12月~)】
有効性 (4)(5)>(1)(2)(3)
推奨される投与期間:6ヶ月を原則とする
術後4~8週頃までに開始
分子標的治療薬の有用性は証明されていない
(NSABP C08試験, N0147試験)
T.Akasu et al : Proc ASCO (#3524), 2004
9
2013/2/5
capecitabine ゼローダ
外来化学療法室 腫瘍別患者数
内服薬
人 120
XP(+CDDP):胃癌
XELOX:大腸癌
100
80
作用機序:DNA合成を阻害する。
60
主な排泄経路:肝代謝、腎排泄
40
副作用:骨髄抑制、嘔気、下痢、手足症候群
20
2007年
外来化学療法室
人
2008年
2009年
2010年
2011年
外来化学療法室
2011年度
442人
年齢分布
160
乳
癌
胆
・
膵
悪
癌
性
リ
ン
多
パ
発
腫
性
骨
髄
卵
腫
巣
・子
宮
癌
前
立
腺
癌
そ
の
他
癌
胃
癌
大
腸
癌
肺
癌
0
人
35
155
2011年度
新規患者数
総計263人
8月
1月
30
140
117
120
100
25
20
82
80
15
60
10
41
40
29
5
14
20
10~19
0
3
1
0
20~29
30~39
40~49
50~59
60~69
70~79
80~89
4月
5月
6月
7月
9月
10月 11月 12月
2月
3月
歳
外来化学療法室
件
実施件数
4500
4014
4000
4164
3262
3500
2.治療法
①手術(内視鏡、腹腔鏡、開腹)
②化学療法(抗がん剤治療)
③放射線療法(直腸癌)
2334
1713
2000
1500
早期発見、早期治療
1000
500
0
大腸癌の治療のまとめ
1.癌の進行度:ステージ(病期)分類
0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(a, b)、Ⅳ
2816
3000
2500
4196
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
3.ステージⅣ
大腸癌検診
平均生存期間:8ヶ月
化学療法で+1~2年?
10
看護師
抗がん剤治療の実際
2013/2/5
国におけるがん対策
2013年2月3日
市民公開講座
がん対策基本法
知っておきたいがんの情報
がん医療の均てん化を促進
-抗がん剤治療の実際-
(全国どこでも質の高いがんの医療が受けられる)
がんの種類やがんの病期などに基づいて
治療方法が決まります。
愛媛県立中央病院 外来化学療法室
がん化学療法看護認定看護師
山下 広恵
その治療法を標準的治療と呼びます。
抗がん剤治療を取り巻く環境の変化
外来治療と入院治療の違い
副作用対策のための治療の改善
*白血球低下時は、白血球を増やす注射を使用
*悪心・嘔吐には、新しい制吐剤を含めた薬剤で調節
*下痢・便秘を薬剤で調節
外
*ご自身で服薬や体調管理を行う
*自宅での療養生活は患者さんの生活の質の向上に
つながる。
外来で行える抗がん剤治療の増加
入
院
副作用が軽度な量
大量抗がん剤
悪心・嘔吐
軽 度
強 い
腎機能への
影響
な し
あり:持続点滴が必要
骨髄抑制
受診時
1-2週後の採血
頻繁な採血での
全身状態を管理
全身状態
支持療法で
自己管理が可能
全身状態の観察と
適宜支持療法が必要4
患者さん・ご家族が副作用対策に参加する
入院期間の短縮
療養生活の質の向上
来
薬剤の
投与量
3
4
当院がん治療センターによるチーム医療
がんとは:制御できない異常細胞の増殖
医師
がん看護専門看護師
がん化学療法看護
認定看護師
がんの専門医
薬剤師
がん専門薬剤師
患者さん
ご家族
がん
1個の正常細胞が遺伝子異常を起こし,
遺伝子,分子異常がいくつか起こり,自立性を持って増殖
を始めます。
田村和夫:悪性腫瘍のとらえかた,文光堂,2005.
看護師
臨床心理士
ソーシャルワーカー
相談員
6
1
2013/2/5
がんの浸潤と転移
がんの治療
早期がん
浸潤
リンパ行性転移 血行性転移
腹膜播種
進行がん
これらの治療を適宜組み合わせ
大腸癌研究会/編:大腸癌取り扱い規約第7版,2006.
より効果的な治療を行います。
7
化学療法で苦痛となる副作用
抗がん剤と聞くと…
1983
順位
ゲーゲー吐く
つらい,苦しい
髪が抜ける…
がんの治療って…入院?
病室…暗い…!
1995
1
嘔吐
悪心
2
悪心
脱毛
3
脱毛
嘔吐
4
治療への不安
倦怠感
5
治療時間の長さ
注射の不快感
6
注射の不快感
便秘
:
10
9
抗がん剤治療と副作用
抗がん剤は,がん細胞に働き増殖できないようにします。
同時に正常細胞にも作用するため副作用が起こってきます。
症状
骨髄
白血球低下
貧血 など
胃
10
抗がん剤の種類と特徴
細胞傷害性抗がん剤
すべての細胞に
直接細胞を障害する作用をもつ
がん細胞は分裂が活発なため,傷害を受ける割合が高く,
かつ傷害からの回復が遅い。
がん細胞と正常細胞の性質の差を利用して
抗腫瘍効果を期待する治療法
障害を
受ける細胞
口腔
de Boer‐Dennert et al. Br J 1997.5 1055‐61.
口内炎
吐き気・嘔吐
など
腸
下痢
毛母
脱毛
がん細胞
正常細胞
狙った細胞に
分子標的治療薬
細胞のがん化に関係する分子を標的として作用する
がん細胞に対してより選択的・特異的に作用するため,
がん細胞には効果を発揮するが細胞傷害性抗がん剤のように
正常細胞まで一緒に攻撃することはない。
毒性は細胞傷害性抗がん剤に比べて少ないが,
特有の副作用が発生する。
12
2
2013/2/5
抗がん剤治療を行う時には…
抗がん剤による治療目的
A群
がんを治癒させる
急性骨髄性白血病,急性リンパ性白血病
ホジキン病,胚細胞腫瘍,絨毛がん
非ホジキンリンパ腫(中・高悪性度)
B群
がんを小さくする
転移・再発を防ぐ
乳がん, 卵巣がん, 小細胞肺がん
骨肉腫,大腸がん
多発性骨髄腫, 慢性骨髄性白血病
非ホジキンリンパ腫(低悪性度)
C群
がんの増殖を遅らせる
症状をやわらげる
軟部組織腫瘍, 頭頸部がん,食道がん
胃がん,膵がん, 肝がん,前立腺がん
膀胱がん, 子宮がん, 非小細胞肺癌
D群
治癒の期待は少ない
悪性黒色腫, 甲状腺がん
抗がん剤の投与方法
抗がん剤治療の必要性・目的を明確にする
患者さんの全身状態の把握
腎機能や肝機能は保たれているか
日常生活での活動性の制限の有無と程度
適切な治療の選択
臨床試験で得られた根拠をもとに標準治療が決定
副作用対策
副作用コントロールが可能かどうかを判断
抗がん剤の効果と副作用対策
 飲み薬
抗がん剤治療の効果
副
作
用
 注射剤
・静脈注射
・選択的動脈注射
・胸腔・腹腔内投与
・髄液内投与
15
副作用を軽減し,
治療効果を最大限に発揮する
15
副作用の発現時期の目安
16
吐き気・嘔吐の副作用対策
吐き気・嘔吐とは
吐き気(悪心)や嘔吐は,抗がん剤の影響で脳の中にある
神経が刺激されることでおこる。
また,抗がん剤と放射線治療を併用したときに,
食道や胃に粘膜炎がおこり吐き気や嘔吐をおこすことがある。
18
国立がん研究センターがん対策情報センター 資料より
3
2013/2/5
嘔吐中枢への主な刺激経路
不快感・ストレス
脳出血・脳梗塞
悪心・嘔吐の出現形態
重金属中毒
 急性悪心・嘔吐
高位中枢
脳圧亢進
脳循環障害
抗がん剤投与後,1~2時間に発現し,
24時間以内に消失する
中毒
代謝異常
 遅発性悪心・嘔吐
腸閉塞・乗り物酔い
抗がん剤投与後24時間以降に発現し,数日間持続
 予測性悪心・嘔吐
断面図
消化管
身体各部
精神的な要因によってもたらされる。
過去の悪心・嘔吐の体験やネガティブなイメージや
不安などにより誘発される。
化学受容器
嘔吐中枢
(VC:Vomiting center)
20
齋藤宣彦:症状からみる病態生理の基本より
急性・遅発性嘔吐の経過図
副作用対策
ー患者さん・ご家族と医療者で考えるー
 症状の出現時期を予測
 予防とケア
 副作用出現時は早期対処
・患者さんの症状の体験を聞く
・症状に対する薬剤使用の検討
・患者さんが行える対策を選択
・よりよい方法のための情報提供
・患者さんの対策を支援する
患者紹介
大腸癌で抗がん剤治療を受けた患者さんの
悪心・嘔吐への関わり
患
者 :40歳代 女性, 夫と2人暮らし。
職
業 :専業主婦
診 断 名:20XX年 大腸癌で腫瘍切除術を施行
化学療法: 同年
術後抗がん剤点滴治療施行
アレルギーが出現し、 内服抗がん剤に変更。
患者自身が行った対処
看護師が考え,支援したこと
2年後のPET-CT で、腹膜播種再発のため
アバスチン+FOLFIRI(フォルフィリ)療法を開始。
病状認識:本人・夫
大腸癌。腹膜再発で,抗がん剤の点滴治療が必要。
23
24
4
2013/2/5
悪心・嘔吐の体験と対処
悪心・嘔吐を予測
アバスチン+FOLFIRI療法開始後の状況
薬剤名
リスク分類
発現時間
トポテシン®
中リスク
6-12時間(24+持続)
5FU®
アバスチン®
低リスク
回
数
制吐剤
体験と対処
1
プリンペラン®
3錠
朝・昼・夕
嘔吐後は,臭いで吐き気が増すので,ポンプの残量は夫に見てもらった。
水分もほとんど摂れなかったが、4-5日で回復
2
デカドロン®錠
8mg
(朝・昼)
2-3日
投与中,予防的に後頚部アイスノン施行。
後半,発汗とともに吐き気出現,ガーグルベースン準備。
主治医と検討
ミントの飴でやや軽減,嘔吐はなく終了。
「6日目を過ぎても濃い味はダメ。麺類,酸味のものを食べた。」
3
イメンド®開始 2コース目は少しましだった。今回は,発汗・悪心「前よりまし」
「イメンド効果があった。」 4日目からプリンペラン を飲んだ。
1-3日
6
カイトリル®から 吐き気は軽減して食べれた。
皮膚保護剤を変更し,ウッとくる感じがなくなり,ポンプの残量が見れた。
アロキシ®に
夫の出張もあり,2日目を自分のペースで過ごし,その後復活できた。
変更
3-6時間(24+持続)
最小リスク
-
トポテシンは急性の副作用に,発汗,下痢,腹部の蠕動痛がある。
ベッドは腹部の圧迫がなく吐かずに済む。ゲップで楽になった。
注射薬の使用でそれらの症状が軽減、同時に嘔吐も減少との
報告あり
最初の数回よりはずっと楽になった。
25
おわりに
看護師が行ったこと
—外来化学療法室が目指していること—
本人の症状体験と対処方法を聴く
・患者さん・ご家族が,安心して心地よく治療が受けられる場を
・悪心・嘔吐の出現日数と,抗がん剤の影響,その他の影響など,
提供します。
Sさんの体験と症状の程度,対処を聴く
・抗がん剤治療の症状体験を教えてもらい,共に対処を考え,
悪心・嘔吐の程度と制吐剤の効果を評価
治療が継続できるように関わりたいと思います。
・医師の見解を確認し,制吐剤での症状緩和を行う
・治療毎に症状の程度と対処を把握し,よりよい対策を共に考える
・治療経過および自宅での様子や思いを知り、その時々を理解する
存在になりたいと思っています。
本人が行う悪心・嘔吐への対処を支援
・投与中に安楽となる方法を取り入れる(ベッドの使用,アイスノン)。
・そして,患者さん・ご家族にとって,よりよい療養生活となるよう
に支援したいと思っています。
・本人の体験,コントロール感,効果の評価を支援する。
・日常生活への支障と対処を聴き,よりよい対処となるように支援する。
治療を継続することへの思いを聴く
26
27
外来化学療法室の窓口で
お気軽に声をかけてください
28
2013年 5月オープン
2階: 外来化学療法室
12階:がん治療センター
ご清聴ありがとうございました。
29
5
医
師
肝臓がんの
内科的治療
2013/2/5
肝がんの内科的治療
愛媛県立中央病院
消化器病センター内科医長
平岡 淳
肝がんとは?
疫学
肝がんの性格
肝がんの検査方法
腫瘍マーカー
画像検査
肝がんの治療法
治療ガイドライン
肝予備能
治療方法
「いい病院」の落とし穴
がんの「悪性度」
肝がんにならない為に
C型肝炎の治療
B型肝炎の治療
高齢者の問題点
感染予防
まず、肝がんの基礎的な話。
内科的治療の話を中心に。。。
平成25年2月3日 高島屋ローズホール
肝がん
癌による死亡 Top 3
肺癌
2位
胃癌
3位
肝癌
肝癌の背景肝疾患(県立中央病院)
日本の肝がん
●肝がんによる死亡者数
1位
●肝がんの原因
15%
1%
その他
367人
495人
22%
1%
8%
B型+C型肝炎
B型肝炎
ウイルス陽性
(11%)
(人)
35,000
30,000
B型およびC型肝炎
ウイルス陽性(1%)
10%
B型肝炎
B型およびC型肝炎
ウイルス陰性(9%)
女性
25,000
20,000
15,000
C型肝炎
ウイルス陽性
(79%)
男性
10,000
75% C型肝炎
69%
5,000
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
(国民衛生の動向より)
2005 (年)
(日本肝臓学会:肝がん白書、平成11年度より)
00‐04
05‐09
1
2013/2/5
男女比
男性
n=367
年代別肝がん原因疾患
女性
2000.1-2012.5:1095人
n=495
100%
90%
26%
95
126
平均年齢69歳
80%
25%
70%
60%
非B非C型
50%
C型肝炎
B+C型肝炎
40%
74%
272
369
75%
B型肝炎
30%
20%
10%
0%
前期
00‐04
後期05‐09
NS
がん治療における大きな因子
がんの進行度なのですが、、、
肝がんにおいては
それだけではないのです。。。
肝臓という臓器、肝がんの特殊性
肝臓がんは肝硬変など障害をもった肝臓にでてくること
が多い。
生体を維持するために必要な肝臓の能力(肝予備能)を
確保しつつ、肝がん治療を行わなければならない。
=今あるがんに対する治療をしても、癌化する能力を
もった肝臓の細胞を残すジレンマがある。
=肝臓は生体に無くてはならない臓器。
→肝がん再発を予防する有効な抗がん剤がない。
=早期発見、定期的経過観察が非常に大切!!
50歳未満
50歳台
60歳台
70歳台
43人
172人
328人
407人
80歳以上
145人
肝臓が担当する大事な機能
•
•
•
•
代謝機能・・・食べ物、薬などを分解
貯蔵機能・・・栄養素を作りかえて貯える
排泄機能・・・余分なものを除外
消化機能・・・胆汁が消化を助ける
代理がきかない!!
肝癌TNM分類
I、II、III、IVa
2cm以上
腫瘍腫瘍個数 :複数個
脈管浸潤
(上記の条件が一個増えるとstageが1上がる)
IVb: 遠隔転移有り (肺、骨転移など)
肝予備能評価
Child-Pugh分類
A:5-6点
B:7-9点
C:10点以上
基本点5点
Alb
T-Bil
PT(%)
腹水
脳症
2点
2.8>
3<
50>
中等量
III-IV度
1点
2.8-3.5
2-3
50-70
少量
I-II度
0点
3.5<
2>
70<
なし
なし
2
2013/2/5
小括
肝がんの多くはウィルス肝炎など障害をもった肝臓
に発生する。
腫瘍マーカー
• AFP
慢性肝炎や肝硬変でも上昇することが多く、肝癌の特異性がやや低い。
また、妊娠時にも上昇
進行度I期、II期では40‐50%でのみ増加
C型肝炎が主な原因であるが、世代間で原因が異
なっている。
• AFP‐L3分画(%)
=肝がんの治療には、その進行度だけではなく、肝
予備力を維持することが非常に大事。
• PIVKA‐II
肝予備能力に応じた治療の強弱を考慮する必要有
早期の肝癌での陽性率はやや低いが、陽性の場合は、
肝癌の存在する確率が高く、悪性度も高い傾向がある。
進行度I期、II期では17‐25%でのみ増加
肝癌の発見に有用であるが、ビタミンKが不足した状態では、
肝癌がなくても上昇するので注意(抗凝固療法中や長期の抗生剤投与中など)
逆にビタミンKを十分に補充していると、肝癌がPIVKA‐2を産生していても、
上昇しないことがある。
進行度I期、II期では30‐50%でのみ増加
肝癌サーベイランス(スクリーニング)
画像検査
肝硬変、肝癌既往
慢性肝炎
CT
腹部エコー
MRI
血管造影
画像診断技術の進歩
1.腹部超音波検査(解像度の改良)
2.造影腹部超音波検査
3.造影CT検査(解像度・解析ソフト進歩)
造影MRI検査(特にEOB-MRI検査)
4.血管造影(カテーテル)検査
5.肝腫瘍針生検
肝臓特有の機能を利用した
画像検査が登場!!
画像診断技術の進歩
1.腹部超音波検査(解像度の改良)
2.造影腹部超音波検査
3.造影CT検査(解像度・解析ソフト進歩)
造影MRI検査(特にEOB-MRI検査)
4.血管造影(カテーテル)検査
5.肝腫瘍針生検
3
2013/2/5
ミクロのバブル(造影剤)で
血流の過多を評価!
腹部超音波検査(エコー検査)
赤血球
肝臓
超音波造影剤
血管
胆嚢
門脈
時間が経つと、注入した造影剤が正常な肝臓に取り込まれる
腹部造影CT検査
見えにくい肝癌
造影剤注入直後に
強く染まって、
時間が経つと
色が抜ける。
B‐mode US
?
B‐mode US
B‐mode US
Arterial phase
Arterial phase
Kupffer phase
Kupffer phase
EOB‐MRI
ラジオ波
焼灼術
正常な肝臓に取り込まれる
=異常部位には造影剤が残らない
4
2013/2/5
シースセット
カテーテル
(親カテ)
動脈へカテーテルを入れる一方弁のついた針
マイクロカテーテル
(子カテ)
超音波ガイド下 肝腫瘍生検
マイクロワイヤー
腫瘍を刺して針におさめて引いてくる
腫瘍生検 腫瘍部
肝癌に対してPETは有用?
CTA
動脈相
門脈相
非がん部肝臓
5
2013/2/5
小括
PET-CT
採血検診だけでは早期の肝がんを見落とす可能
性がある。
定期的な腹部エコー検査や造影CT検査なども受
ける必要がある。
→各画像、採血を相補的に利用しましょう!!
定期受診、定期健診!!!!
肝癌診療ガイドライン
肝移植
外科手術
ラジオ波治療(&エタノール注入療法)
肝動脈塞栓術
分子標的薬(=ネクサバール)
肝がん
肝障害
C
A・B
腫瘍個数
1
腫瘍径
2or3
3cm以下
4以上
3cm<
1‐3
4以上
3cm以下
※
治療法
肝切除
肝切除
(経皮治療) 経皮治療
肝切除
肝動脈塞栓術
肝移植
対症療法
肝動脈塞栓術
※ 経皮的(内科的)な治療適応は2cm以下の場合
有効性が科学的に
実証されてる。
有効性が科学的に
実証されていない。
↓
推奨できるレベルの
データがいまだに
そろわない。
新たな治療がこの10~15年間、世に出ている
重粒子線治療
リザーバ動注療法
免疫療法(がんワクチン)
健康食品
経皮的治療の一般的な適応:3cm3個以内、または5cm単発
治療法
進行
手術治療
対症療法
腫
瘍
因
子
腫瘍のある区域(亜区域)を丸ごと切除する。
メリット:
腫瘍周囲に小さな肝がんが潜んでいる場合も一緒に取りだせる。
デメリット: 働いてくれる肝臓も犠牲になる。侵襲が大きい。
手術
悪化
肝予備能
6
2013/2/5
世界のラジオ波(RFA)施行件数
Japan 38500
UK 1200
China 9500
Germany 2960
S.Korea 3250
Italy 5610
Spain 1530
USA 14400
Taiwan 2300
S.E. Asia 1000
2cm
3cm
4cm
2cm
3cm
初回治療法
75歳以上の高齢者
RFA
他
n=367
n=367
n=495
75%
276
83%
P<0.01
25%
322
65%
173
35%
303
P<0.01
36%
178
91
前期
75歳未満
n=495
64%
317
75歳以上
17%
後期
64
前期 66.0±10.0歳
後期 69.6±10.4歳
肝予備能 (Child‐Pugh)
CP A
n=367
5%
19
24%
89
71%
259
前期
CP B
CP C
n=495
39
8%
P<0.01
155
301
31%
61%
外科的切除術(OPE)vs.ラジオ波治療(RFA)
アメリカ消化器病学会 (ワシントン. USA) 2007
3cm単発の初発肝がん治療データ比較
後期
7
2013/2/5
無再発治療成績
治療成績
RFA
n=78
RFA
n=78
P value : NS
OPE
n=52
OPE
n=52
P value : NS
days
days
ラジオ波治療機器
高齢者の方たちに対しても普通にできるの?
ラジオ波治療風景
8
2013/2/5
ラジオ波治療成績(高齢者 vs.非高齢者)
1.0
.9
Survival rate
.8
P value=0.95
.7
.6
.5
高齢者
(75才<)
(n=50)
非高齢者
(n=115)
.4
.3
.2
肝がんに対するラジオ波治療成績は
高齢者、非高齢者で差がみられない。
Hiraoka A et al. アメリカ消化器病学会2009、日本肝臓学会総会2009
Hiraoka A et al. J Gastroenterology and Hepatology 2010
.1
1Y
3Y
5Y
0
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
Observation period (days)
Ehime Prefectural Central Hospital
仮想エコー(Virtual Ultra‐Sonography:VUS)
磁場
磁場センサー
仮想エコー(CT画像)
日立
東芝
GE
現実のエコー画像
9
2013/2/5
治療法
進行
対症療法
腫
瘍
因
子
手術やラジオ波が
適応にならない場合は?
手術
=多くの場合はミラノクライテリア
(3cm3個以内)を超える場合。
ラジオ波焼灼術
悪化
肝予備能
カテーテル治療
による
肝がん兵糧攻め
肝臓の特殊な構造
肝静脈: 心臓へ向かう血管
門脈:動脈=7:3
門脈: 腸管、脾臓から流れてくる
体内で肝臓のみが持つ唯一の血管
肝動脈
マイクロカテーテルで肝がんに対して動脈塞栓術
マイクロカテーテルで肝がんに対して動脈塞栓術
肝がん
肝動脈
肝がんは動脈からのみ栄養を受ける。
肝臓は門脈からも栄養を受ける。
ジェルパート: ゼラチン質の粒状物質
10
2013/2/5
治療法
進行
カテーテル治療のメリット:
肝がんがたくさんあって、
肝予備能が
低下している場合など、
比較的安全に治療できる。
対症療法
腫
瘍
因
子
手術
肝動脈塞栓術
ラジオ波焼灼術
悪化
肝予備能
ソラフェニブ(ネクサバール®)
肝外遠隔転移に対する治療も登場
ソラフェニブ作用機序
治療法
進行
対症療法
分子標的薬
腫
瘍
因
子
手術
肝動脈塞栓術
生
体
肝
移
植
ラジオ波焼灼術
悪化
肝予備能
11
2013/2/5
治療法
進行
対症療法
分子標的薬
腫
瘍
因
子
「いい病院」の落とし穴
手術
肝動脈塞栓術
生
体
肝
移
植
ラジオ波焼灼術
悪化
肝予備能
「いい病院」の落とし穴
PET-CT
メリット:件数が多いと言うことは「慣れている」はず。
デメリット:数字が一人歩きしてしまう。
すなわち「件数=治療成績」という図式が成り立たない可能性。
患者側:件数が多いから「いい病院」に違いない。
病院側:「いい病院」になるために是が非でも件数が欲しい。
適応を考えた治療を選択しているのか?
治療件数を確保するために過度の侵襲になっていないか?
治療法の件数だけ公表するのではなく、
進行度別に治療内容・患者数、治療成績を公表する必要
症例提示
65y/Female, LC‐C
Child‐Pugh A
S8 φ2.5cm
poorly diff.
vp(+) im(‐)
Edmondson III
• 同じ肝がんと言ってもそれぞれ悪性度が違
う!!
b
• 腫瘍マーカーが異常に高いものや、PET‐CTで
悪性度が高いと考えられるものは、中途半端
な治療をしてしまうと、がんをまき散らしてしま
う危険性がある。
12
2013/2/5
JIS score
Child‐Pugh
C
B
A
I
TNM
II
III
IV
小括
肝がん治療において、肝への影響(=肝予備能
の低下)を最小限にとどめることを考えつつ、
必要があれば最大限に効果的な治療を考える必
要がある。
C型肝炎
相手を見極めて方針決定をすることが大事。
刺青
C型肝炎の
患者数は
150万人
血液製剤投与
輸血
注射針に
よる感
染・薬物
汚染や針
刺し事故
13
2013/2/5
C型慢性肝炎→肝硬変→血小板↓
●C型慢性肝炎の線維化と発がん
肝がん
肝硬変
肝発がんリスク
F4※
血小板
10万以下
F3※
F2
血小板
18万以上
※
年間 8%
肝がん診断時年齢
年間1.5%
血小板
13~15万
※
F1
輸血時年齢
年間 5%
血小板
10~13万
※
F0
輸血によるHCV感染年齢と肝がん発生時年齢
年間 0.5%
血小板
15~18万
70%
慢性肝炎
感染
急性肝炎
治癒
0
※:肝線維化の程度による分類
20
40
60
80 (年齢)
感染期間(年)
60歳を過ぎると、肝がん発生の可能性が高まります
高齢者(60歳以上)では、肝発がん率が高くなることが
わかっていますので、早めの治療が重要です。
●年齢と線維化程度別肝発がん率
(%)
10年発がん率
80
60
60歳未満
3.9%
60歳以上
14.9%
(%)
F3
60
40
10年発がん率
80
累積肝発がん率
累積肝発がん率
F1
60歳未満
36.5%
60歳以上
57.3%
60歳以上
40
60歳以上
20
20
60歳未満
60歳未満
0
0
2
4
6
8
(%)
12(年)
0
2
4
6
8
10
12(年)
10年発がん率
80
累積肝発がん率
F2
60
10
0
40
60歳未満
19.3%
60歳以上
34.2%
60歳以上
20
C型肝炎の方は肝硬変
進展阻止、発がん予防に
インターフェロン治療や
肝炎沈静化を考慮した
肝庇護療法を行いましょう!
60歳未満
0
0
2
4
6
8
10
12(年)
[提供:今井康陽先生(市立池田病院消化器内科)]
感染経路
医療行為
性交渉感染
薬物汚染など
血液・体液を介して感染
B型肝炎
出産時感染
家族内感染
(稀に父親から)
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2013/2/5
HBVキャリア数(日本)
HBVキャリア数(世界)
世界のHBVキャリアは約3億5000万人~4億人です
日本のHBVキャリアは約130~150万人(全人口の約1%)です
20億人
15~40%
感染既応者
肝硬変、肝細胞癌へ
3億5000万人~4億人
HBVキャリア
(アジア:約2億2000万人)
60億人
(%) 3.0
日本におけるHBs抗原陽性率
日赤血液センター 初回献血者
1995.1~2000.12 3,485,648人
2000年時点の年齢に換算
2.0
1.0
毎年 約100万人がB型肝炎ウイルス関連の疾患で死亡
0.0
死亡原因の第10位
20
25
30
年代別肝癌原因疾患
35
40
45
50
55
60
65 (歳)
厚生労働省 C型肝炎疫学研究班
WHO Fact Sheets, available at www.who.int. Accessed: September 24, 2004.
Conjeevaram, et al. J Hepatology. 2003;38:S90-S103.
Lee. N Engl J Med. 1997;337:1733-1745.
Lok. N Engl J Med. 2002;346:1682-1683.
慢性肝炎の治療ガイド2008,
Infectious Diseases Weekly Report Japan 2004年第15週(4月5日~4月11日):通巻第6巻第15号
B型慢性肝炎治療の歴史
2000.1-2012.5:1095人
経口抗ウイルス薬の発売により治療効果が向上しました
100%
90%
1940年代
強力ネオミノファーゲンC発売(1948年)
1960年代
ウルソデオキシコール酸発売(1962年)
80%
70%
60%
非B非C型
50%
C型肝炎
B+C型肝炎
40%
ステロイド離脱療法の報告(1979年)
インターフェロン発売(1985年)
1980年代
B型肝炎
30%
20%
小柴胡湯発売(1986年)
経口抗ウイルス薬(拡散アナログ)
2000年代
・ラミブジン (2000年)
・アデホビル (2004年)
・エンテカビル(2006年)
10%
0%
50歳未満
43人
50歳台
172人
60歳台
328人
70歳台
407人
80歳以上
145人
[BA/09-05/0093/11-04]
インターフェロン(IFN)と核酸アナログの比較
IFNと核酸アナログにはそれぞれにメリットとデメリットがあります
メリット
B型肝炎ウィルス治療ガイドライン
35歳未満
治療対象は、ALT≥31 IU/Lで:
HBe抗原陽性例は、HBV DNA 5 Log copy/mL以上
HBe抗原陰性例は、HBV DNA 4 Log copy/mL以上
肝硬変では、HBV DNA 3 Log copy/mL以上
デメリット
IFN
・免疫賦活作用をもつ
・投与中止が容易である
・有効例では治療中止後も効果が持
続する
・耐性ウイルス出現はない
・非経口投与である
・発熱などの副作用がある
(個人差が大)
・ゲノタイプにより有効性が異なる
核酸アナログ
・経口投与である
・副作用がほとんどない
・強力なウイルス増殖抑制
・ゲノタイプによる有効性の差はない
・投与中止が困難なことがある
・治療中止後の再燃が高頻度である
・耐性ウイルスが出現することがある
・投与中断や耐性の出現により、時
に致死的な増悪をきたす
岡上 武. 日消誌 2007; 104: 1445-1449.
HBV DNA ≥7
HBe抗原陽性
HBe抗原陰性
1.Peg‐IFNα2a(48W)または
IFN長期投与(24‐48W)
2.Sequential療法
3.エンテカビル
1.Sequential療法
2.エンテカビル
HBV DNA <7
1.Peg‐IFNα2a(48W)または
IFN長期投与(24‐48W)
2.エンテカビル
1.経過観察またはエンテカビル
2.Peg‐IFNα2a(48W)
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2013/2/5
抗ウイルス薬のB型肝硬変からの
発がん抑制効果
B型肝炎ウィルス治療ガイドライン
35歳以上
治療対象は、ALT≥31 IU/Lで:
HBe抗原陽性例は、HBV DNA 5 Log copy/mL以上
HBe抗原陰性例は、HBV DNA 4 Log copy/mL以上
肝硬変では、HBV DNA 3 Log copy/mL以上
HBV DNA <7
(%)
発癌した患者の割合
HBV DNA ≥7
抗ウイルス薬は、肝硬変からの発がんを抑制します
プラセボ
215名
10
HBe抗原陽性
1.エンテカビル
2.Sequential療法
1.エンテカビル
2. Peg‐IFNα2a(48W)または
IFN長期投与(24‐48W)
P = 0.047
5
抗ウイルス薬
(ラミブジン)
436名
0
0
HBe抗原陰性
1.エンテカビル
2. Peg‐IFNα2a(48W)
1.エンテカビル
2.Peg‐IFNα2a(48W)
6
12
18
24
30
36 (月)
期 間
Adapted from Liaw, et al. N Engl J Med. 2004;351:1521-1531.
B型肝炎はC型肝炎と比べて
発がん率は低いものの、
より早期から治療の介入の
必要性がある。
肝炎ウィルスの感染を予防!
アルコールは肝硬変・肝癌の原因になる!
糖尿病にならない食生活を心がける。
糖尿病は放置しない!
脂肪肝でも肝硬変に至ることがある!
ウィルス肝炎があるのなら
(肝硬変になっていなくても)定期的に通院をする・
放置しない!
禁煙禁酒など、ご自身でもできる肝がん予防もあります。
疑問や質問があったら率直に相談して、
ご自身やご家族の健康に積極的に向きあっていくことが
大切です!!
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