ダム湖の水位低下操作を利用した外来魚の防除手法とその

ダム湖の水位低下操作を利用した外来魚の防除手法とその効果
○
大杉 奉功、船橋 昇治 1) 、熊澤 一正 2) 、浅見 和弘 2) 、半谷 和彦 3) 、中沢 重一 3)
1)(財)ダム水源地環境整備センター、2)応用地質株式会社、3)国土交通省三春ダム管理所
1.はじめに
ダムの特徴である水位低下操作を利用したオオクチバス・ブルーギル
等の外来魚の効果的な防除手法として選定した「水位低下によ
る産卵床の干し上げ」と「水位低下式定置網による捕獲」の2
手法について、三春ダム(国土交通省東北地方整備局管轄、阿
武隈川水系大滝根川)の水位変動型前貯水池において効果検証
の試験調査を行った。
一般的な水位低下操作(∼平成19年度)
EL.326m
貯水位
EL.318m
6/10
5/18頃
2.段階式水位操作の試み
三春ダムは制限水位方式の管理ダムであり、5∼6 月に常時
満水位(EL.326.0m)から、夏季制限水位(EL.318.0m)まで水位
低下操作を行う。通常は一定速度で水位低下を行うが、平成
20 年度は、途中 4 日程度の水位保持によりオオクチバス等の産卵行
動を誘発し、より大きい産卵床の干し上げ効果を得るため、段
階的な水位低下操作を実施した(図 1)。
段階的な水位低下操作(平成20年度)
EL.326m
第1次水位保持
貯水位
第2次水位保持
EL.318m
6/10
5/18頃
3.調査内容
図 1 段階的な水位低下操作の模式図
①水位操作による産卵床干し上げ効果の検証(H19、H20)
5∼8 月期に、産卵床・稚魚を対象に、産卵床位置・稚魚個体数・物理環境(勾配、底質等)を把握
した。
②水位低下式網を用いた捕獲効果の検証(H19、H20)
5∼6 月の水位低下期に、水位低下式定置網を用いて外来魚の捕獲調査を行った。合わせて標識再捕
獲法による個体数推定を行った。
個体数
10
オ オ ク チ バ ス 全 長 組 成 ( H 19 ;N =7 2,H 20 ;N =3 0)
8
H 20
6
4.調査結果
4
2
4-1.水位低下式定置網による駆除効果
0
平成 19 年度にオオクチバス 54 匹とブルーギル 266 匹を駆除
全長 (mm)
した結果、1 年後に 400mm 以上のオオクチバスの個体数が
160
ギ ン ブ ナ 全 長 組 成 ( H1 9;N =9 14 ,H 20; N= 27 7)
120
減少し、100mm 以下の当歳魚と見られるギンブナ(在来
80
種)の個体数の増加が確認され、外来魚駆除による在
40
0
来魚の増加効果が確認された(図 2)。
4-2.水位低下による産卵床・稚魚の干し上げ効果
全 長( mm)
4-2-1.段階式水位低下操作の効果
図 2 オオクチバスとギンブナの全長組成比較
段階的水位操作の水位保持時に多くの産卵床が確認
多く生成され、オオクチバス 27 箇所、ブルーギル 9 箇所(コロニー)の干し上げが確認された。
4-2-2.外来魚の孵化推定日と水位低下の干し上げ効果
確認された稚魚の推定孵化ピーク日は、オオクチバスは 5/15 頃であり、稚魚の孵化時期は水位低下操作
前に多く、水位低下開始以降の孵化稚魚は少なかった。またブルーギルのピークは 6/21 頃であり、水位
低下操作終了後に孵化した稚魚が多く、水位低下操作による産卵床干し上げの効果が確認できたと考
えられる。
441-45 0
461-47 0
481-49 0
441-45 0
461-47 0
481-49 0
381-39 0
401-41 0
421-43 0
421-43 0
341-35 0
361-37 0
281-29 0
301-31 0
321-33 0
241-25 0
261-27 0
181-19 0
201-21 0
221-23 0
141-15 0
161-17 0
81-9 0
101-11 0
121-13 0
61-7 0
41-5 0
21-3 0
1-1 0
H19
18 1 1 70
個体数
H19
381-39 0
401-41 0
341-35 0
361-37 0
281-29 0
301-31 0
321-33 0
241-25 0
261-27 0
181-19 0
201-21 0
221-23 0
141-15 0
161-17 0
101-11 0
121-13 0
81-9 0
61-7 0
41-5 0
21-3 0
1-1 0
H2 0