JP 2011-510927 A 2011.4.7 (57)【要約】 本発明は、セリンプロテアーゼ活性、特にC型肝炎ウ イルス(HCV)NS3−NS4Aプロテアーゼの活性 を阻害する式Iの化合物、医薬として許容できるこれら の塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。したが って、本発明の化合物は、C型肝炎ウイルスの生活環を 妨害し、抗ウイルス剤としても有用である。本発明は、 HCV感染を患う対象に投与するための前述の化合物を 含む医薬組成物にさらに関する。本発明は、化合物を含 む医薬組成物を投与することによって本発明の対象にお けるHCV感染を治療する方法にも関する。 10 (2) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【特許請求の範囲】 【請求項1】 式(I) 【化1】 10 の化合物または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロドラッグ[式中、 Aは、H、R1、−(C=O)−O−R1、−(C=O)−R2、−(C=O)−NR 4R5または−S(O)2−R1、−S(O)2NR4R5からなる群から選択され、 Bは、HまたはCH3であり、 各R1は、 20 (i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原 子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アル キニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を 含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2− C8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキ ル;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 各R2は、 30 (i)水素、 (ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iv)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキル ;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 40 各R4およびR5は、 (i)水素、 (ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iv)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキル ;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル 50 (3) JP 2011-510927 A 2011.4.7 からなる群から独立して選択され、 あるいは、R4およびR5は、これらが結合している窒素と一緒になって、複素環また は置換複素環を形成することができ、 Gは、−OR2、−NR4R5、−NH−C(O)−R2、−NH−S(O)2−R6 、−NH−S(O)2NR4R5からなる群から選択され、 各R6は、 (i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原 子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アル 10 キニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を 含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2− C8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキ ル;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 Lは、 (i)水素、 (ii)アリール、 (iii)置換アリール、 (iv)ヘテロアリール、 20 (v)置換ヘテロアリール、 (vi)複素環、 (vii)置換複素環、 (viii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ 原子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8ア ルキニル、 (ix)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2 −C8アルキニル、 (x)−C3−C12シクロアルキルまたは−C3−C12シクロアルケニル、 30 (xi)置換−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルケニ ル からなる群から選択され、 Z1およびZ2は、ハロゲン;好ましくはF、ClおよびBrから独立して選択され、 XおよびYは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、アリール、置換アリー ル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールから選択される環式部分を形成し、 Wは存在しない、または−O−、−S−、−NH−、−N(Me)−、−C(O)NH −もしくは−C(O)N(Me)−;−O−、−S−、−N(R5)−、−C(O)−、 −C(O)N(R5)−、−C(O)O−、−N(R5)C(O)−、−NH(CO)N H−、−N(R5)SO2−、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケ 40 ニレン、アルキニレン、置換アルキニレンから選択され、 Zは、 (i)水素、 (ii)ヒドロキシ、 (iii)−CN、 (iv)−N3、 (v)ハロゲン、 (vi)−NH−N=CH(R2)(R2は、すでに上記で定義した通りである。)、 (vii)アリール、置換アリール、 (viii)ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、 50 (4) JP 2011-510927 A 2011.4.7 (ix)−C3−C12シクロアルキル、置換−C3−C12シクロアルキル、ヘテロ シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、 (x)複素環、置換複素環、 (xi)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル からなる群から選択され、 mは、0、1、2または3であり、 10 m’は、0、1、2または3であり、 nは、0、1または2であり、ならびに sは、1、2、3または4である。]。 【請求項2】 式II 【化2】 20 を有する、請求項1の化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプ ロドラッグ(式中、A、L、X、Y、W、G、Z、Z1およびZ2は、請求項1において 前に定義されている通りである。)。 【請求項3】 式III 30 【化3】 40 を有する、請求項1の化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプ ロドラッグ[式中、 各R71、R72、R73およびR74は、 (i)水素、 (ii)ハロゲン、 (iii)−NO2、 (iv)−CN、 50 (5) JP 2011-510927 A 2011.4.7 (v)−M−R4(Mは存在しない、またはO、S、NH、N(R5)である。)、 (vi)アリール、 (vii)置換アリール、 (viii)ヘテロアリール、 (ix)置換ヘテロアリール、 (x)ヘテロシクロアルキル、および (xi)置換ヘテロシクロアルキル からなる群から独立して選択され、 A、L、G、W、Z、Z1、Z2、R4およびR5は、請求項1において前に定義され ている通りである。]。 10 【請求項4】 式IV 【化4】 20 の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物(式中、A、L、QおよびGは、表1 に表されており、A、L、QおよびGは、表1における各例に表されている。)。 【表1】 30 (6) JP 2011-510927 A 2011.4.7 10 20 30 40 (7) JP 2011-510927 A 2011.4.7 10 20 30 40 (8) JP 2011-510927 A 2011.4.7 10 【請求項5】 医薬として許容できる担体または賦形剤と組み合わせて、阻害量の請求項1に記載の化 合物または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成 物。 【請求項6】 阻害量の請求項5に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるウイ ルス感染を治療する方法。 20 【請求項7】 ウイルス感染がC型肝炎ウイルスである、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害量の請求項5の医薬組成物を供給することを 含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害する方法。 【請求項9】 追加の抗C型肝炎ウイルス剤を同時に投与することをさらに含む、請求項6の方法。 【請求項10】 前記追加の抗C型肝炎ウイルス剤が、αインターフェロン、βインターフェロン、リバ バリンおよびアダマンチンからなる群から選択される、請求項9の方法。 30 【請求項11】 前記追加の抗C型肝炎ウイルス剤が、C型肝炎ウイルスヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メ タロプロテアーゼまたはIRESの阻害剤である、請求項9の方法。 【請求項12】 別の抗HCV剤をさらに含む、請求項5の医薬組成物。 【請求項13】 インターフェロン、リバビリン、アマンタジン、別のHCVプロテアーゼ阻害剤、HC Vポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤または配列内リボソーム進入部位阻害剤 から選択される薬剤をさらに含む、請求項5の医薬組成物。 【請求項14】 40 ペグ化インターフェロンをさらに含む、請求項5の医薬組成物。 【請求項15】 別の抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤もしくは抗癌剤、または免疫調節因子をさらに含 む、請求項5の医薬組成物。 【請求項16】 シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤または医薬として許容できるこの塩をさ らに含む、請求項5の組成物。 【請求項17】 シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤がリトナビルである、請求項16の組成 物。 50 (9) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【請求項18】 シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤または医薬として許容できるこの塩、お よび式Iの化合物または医薬として許容できるこの塩を含む、抗C型肝炎ウイルス治療を 必要とする患者に同時投与する方法。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 (関連出願) 本出願は、2008年1月24日に出願した米国仮出願第61/023,254号の利 益を主張する。上記出願の内容を参照により本明細書に組み込む。 10 【0002】 (技術分野) 本発明は、HCVに対する抗ウイルス活性を有し、HCV感染の治療に有用な、キノキ サリンを含有する二フッ素化トリペプチドに関する。さらに特に、本発明は、新規なトリ ペプチド化合物、こうした化合物を含有する組成物、およびこれらを使用するための方法 、ならびにこうした化合物を製造するための方法に関する。 【背景技術】 【0003】 (発明の背景) HCVは、非A非B型肝炎の主な原因であり、先進および発展途上の両世界においてま 20 すます深刻な公衆衛生の問題である。該ウイルスは世界中で2億人を超える人々に感染し 、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した個体の数をほぼ5倍上回ると推定されてい る。HCV感染患者は、慢性感染に苦しめられる個体の割合が高いため、肝硬変、それに 続く肝細胞癌腫および末期肝疾患を発症するリスクが高い。HCVは西洋世界において肝 細胞癌の最も一般的な原因であり、患者が肝臓移植を必要する最も一般的な原因である。 【0004】 抗HCV治療法の開発には多くの障害があり、これらに限定されないが、該ウイルスの 持続性、宿主における複製中での該ウイルスの遺伝的多様性、薬剤耐性変異体を発現する 該ウイルスの高い発生率、ならびにHCV複製および病変形成のための再現可能な感染培 養系および小動物モデルの不足が挙げられる。大多数の場合、緩やかな感染経過および肝 30 臓の複雑な生態を考慮すると、重篤な副作用の恐れがある抗ウイルス薬について注意深く 検討しなければならない。 【0005】 HCV感染に対して承認されている2つの治療薬だけが現在利用可能である。最初の治 療計画は一般に、3−12カ月クールの静脈内インターフェロンα(IFN−α)を伴う が、新規に承認された第二世代治療は、IFN−αおよびリバビリンのような一般的な抗 ウイルスヌクレオシド模倣剤での同時治療を伴う。これらの治療の両方が、インターフェ ロン関連の副作用、ならびにHCV感染に対する低い有効性に悩まされている。現存の治 療薬の乏しい耐容性および不満足な有効性のため、HCV感染の治療に有効な抗ウイルス 剤の開発が必要である。 40 【0006】 個体の大多数が慢性感染し、無症状であり、予後が不明である患者集団において、有効 な薬物は、現在利用可能な治療より副作用が有意に少なくなければならない。C型肝炎非 構造タンパク質3(NS3)は、ウイルスポリタンパク質のプロセシングおよびその結果 としてウイルス複製に必要なタンパク分解酵素である。HCV感染に関連するウイルス変 異株数が膨大にもかかわらず、NS3プロテアーゼの活性部位は高度に保存されたままで あり、したがって、これを阻害することは魅力的な治療介入方法となる。プロテアーゼ阻 害剤を用いるHIV治療における近年の成功は、NS3の阻害がHCVとの戦いにおける 重要な標的であるという概念を支持するものである。 【0007】 50 (10) JP 2011-510927 A 2011.4.7 HCVは、フラビリダエ(flaviridae)型RNAウイルスである。HCVゲ ノムはエンベロープに包まれており、およそ9600個の塩基対から構成される単鎖RN A分子を含有している。これは、約3010個のアミノ酸から構成されるポリペプチドを コードしている。 【0008】 HCVポリタンパク質は、ウイルスおよび宿主ペプチダーゼによって、様々な機能を果 たす10個の別々のペプチドに処理される。3種の構造タンパク質、C、E1およびE2 がある。P7タンパク質は機能が不明であり、非常に可変な配列で構成されている。6個 の非構造タンパク質がある。NS2は、NS3タンパク質の一部とともに機能する亜鉛依 存性メタロプロテイナーゼである。NS3は、(NS2との会合を除いて)2つの触媒機 10 能:補助因子としてNS4Aを必要とするN末端におけるセリンプロテアーゼ、およびカ ルボキシル末端におけるATPアーゼ依存性ヘリカーゼの機能を併せ持つ。NS4Aは、 密接に関連しているが共有結合していないセリンプロテアーゼの補助因子である。 【0009】 NS3−NS4Aプロテアーゼは、ウイルスポリタンパク質上の4つの部位を切断する のに関与している。NS3−NS4A切断は自己触媒であり、シスで生じる。残りの3つ の加水分解NS4A−NS4B、NS4B−NS5AおよびNS5A−NS5Bは全てト ランスで生じる。NS3はキモトリプシン様プロテアーゼとして構造的に分類されるセリ ンプロテアーゼである。NSセリンプロテアーゼがそれ自体タンパク分解活性を有する一 方、HCVプロテアーゼ酵素はポリタンパク質の切断を触媒する点で有効な酵素ではない 20 。NS4Aタンパク質の中央の疎水性領域は、この増強に必要であることが示された。N S4AとのNS3タンパク質の複合体形成はプロセシング現象に必要と思われ、該部位の 全てにおいてタンパク分解能を増強する。 【0010】 抗ウイルス剤開発のための一般的戦略は、ウイルスの複製に不可欠である、NS3を含 めたウイルスコード酵素を不活性化することである。NS3プロテアーゼ阻害剤の発見を 対象とする現在の成果が、S.Tan、A.Pause、Y.Shi、N.Sonenb erg、Hepatitis C Therapeutics:Current Sta tus and Emerging Strategies、Nature Rev.D rug Discov.、1巻、867−881頁(2002年)によって概説された。 30 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0011】 【非特許文献1】S.Tan、A.Pause、Y.Shi、N.Sonenberg、 Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies、Nature Rev.Drug Discov.、1巻、867−881頁(2002年) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 40 (発明の要旨) 本発明は、新規なトリペプチド化合物、および前記トリペプチド化合物を用いて、こう した治療を必要とする対象におけるC型肝炎感染を治療する方法に関する。本発明は、単 独または医薬として許容できる担体もしくは賦形剤と組み合わせた、本発明の化合物、ま たは医薬として許容できるこれらの塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物 にさらに関する。 【課題を解決するための手段】 【0013】 本発明の一実施形態において、式I 【0014】 50 (11) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化1】 10 によって表される化合物または医薬として許容できるこれらの塩、エステルおよびプロド ラッグが開示されており、式中、 Aは、H、R1、−(C=O)−O−R1、−(C=O)−R2、−(C=O)−NR 4R5または−S(O)2−R1、−S(O)2NR4R5からなる群から選択され、 Bは、HまたはCH3であり、 各R1は、 (i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原 20 子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アル キニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を 含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2− C8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキ ル;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 各R2は、 (i)水素、 (ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 30 (iv)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキル ;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 各R4およびR5は、 (i)水素、 (ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 40 (iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iv)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキル ;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 あるいは、R4およびR5は、これらが結合している窒素と一緒になって、複素環また は置換複素環を形成することができ、 50 (12) JP 2011-510927 A 2011.4.7 Gは、−OR2、−NR4R5、−NH−C(O)−R2、−NH−S(O)2−R6 、−NH−S(O)2NR4R5からなる群から選択され、 各R6は、 (i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原 子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アル キニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を 含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2− C8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキ 10 ル;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 Lは、 (i)水素、 (ii)アリール、 (iii)置換アリール、 (iv)ヘテロアリール、 (v)置換ヘテロアリール、 (vi)複素環、 (vii)置換複素環、 20 (viii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ 原子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8ア ルキニル、 (ix)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2 −C8アルキニル、 (x)−C3−C12シクロアルキルまたは−C3−C12シクロアルケニル、 (xi)置換−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルケニ ル からなる群から選択され、 30 Z1およびZ2は、ハロゲン;好ましくはF、ClおよびBrから独立して選択され、 XおよびYは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、アリール、置換アリー ル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールから選択される環式部分を形成し、 Wは存在しない、またはアルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレ ン、アルキニレン、置換アルキニレン、−O−、−S−、−NH−、−N(Me)−、− C(O)NH−もしくは−C(O)N(Me)−から選択され、 Zは、 (i)水素、 (ii)ヒドロキシ、 (iii)−CN、 40 (iv)−N3、 (v)ハロゲン、 (vi)−NH−N=CH(R2)(R2は、すでに上記で定義した通りである。)、 (vii)アリール、置換アリール、 (viii)ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、 (ix)−C3−C12シクロアルキル、置換−C3−C12シクロアルキル、ヘテロ シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、 (x)複素環、置換複素環、 (xi)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ 50 (13) JP 2011-510927 A 2011.4.7 ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル からなる群から選択され、 mは、0、1、2または3であり、 m’は、0、1、2または3であり、 nは、0、1または2であり、 sは、1、2、3または4である。 【0015】 別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物、または医薬として許容できるこの 10 塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を特色とする。本発明のさらに別の 実施形態において、医薬として許容できる担体または賦形剤と組み合わせて、治療有効量 の本発明の化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロドラッグ を含む医薬組成物が開示されている。本発明のまた別の実施形態は、前記医薬組成物を用 いて、こうした治療を必要とする対象におけるC型肝炎感染を治療する方法である。 【発明を実施するための形態】 【0016】 (発明の詳細な記述) 本発明の第一の実施形態は、単独または医薬として許容できる担体もしくは賦形剤と組 み合わせた、上記した通りの式Iによって表される化合物、または医薬として許容できる 20 この塩、エステルもしくはプロドラッグである。 【0017】 本発明の別の実施形態は、単独または医薬として許容できる担体もしくは賦形剤と組み 合わせた、式II 【0018】 【化2】 30 によって表される化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロド ラッグであり、式中、A、L、X、Y、W、G、Z、Z1およびZ2は、前の実施形態に おいて定義されている通りである。 【0019】 本発明の別の実施形態は、単独または医薬として許容できる担体もしくは賦形剤と組み 合わせた、式III 【0020】 40 (14) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化3】 10 によって表される化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロド ラッグであり、式中、各R71、R72、R73およびR74は、 (i)水素、 (ii)ハロゲン、 (iii)−NO2、 (iv)−CN、 20 (v)−M−R4(Mは存在しない、またはO、S、NH、N(R5)である。)、 (vi)アリール、 (vii)置換アリール、 (viii)ヘテロアリール、 (ix)置換ヘテロアリール、 (x)ヘテロシクロアルキル、および (xi)置換ヘテロシクロアルキル からなる群から独立して選択され、 A、L、G、W、Z、Z1、Z2、R4およびR5は、第一実施形態において前に定義さ れている通りである。 30 【0021】 一例において、Aは、H、R1、−(C=O)−O−R1からなる群から選択され、式 中、R1は、アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;ヘテロシ クロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;それぞれがO、SまたはNから選択され る0、1、2または3個のヘテロ原子を含有する−C1−C8アルキル、−C2−C8ア ルケニルまたは−C2−C8アルキニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、 1、2または3個のヘテロ原子を含有する置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8 アルケニルまたは置換−C2−C8アルキニル;−C3−C12シクロアルキル、または 置換−C3−C12シクロアルキル;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3 −C12シクロアルケニルから選択される。R6は、アリール、置換アリール、ヘテロア 40 リールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される。Jは存在しない。Gは、− NH−SO2−NR4R5または−NHSO2−R3であってよく、式中、R3は、アリ ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、−C 3−C12シクロアルキル、−C3−C12シクロアルケニル、置換−C3−C12シク ロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルケニルから選択され、R4およびR5は 、水素、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニル、−C2−C8アルキニル、置 換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニル、置換−C2−C8アルキニル、 アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、 −C3−C12シクロアルキル、−C3−C12シクロアルケニル、置換−C3−C12 シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルケニルからそれぞれ独立して選択さ 50 (15) JP 2011-510927 A 2011.4.7 れる。各R71、R72、R73およびR74は、水素、ハロゲン、−NO2、−CN、 −M−R4(式中、Mは存在しない、またはO、S、NH、N(R5)である。)、アリ ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよ び置換ヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択される。Z1およびZ2は、F 、ClおよびBrから独立して選択することができる。 【0022】 さらに別の例において、Aは、H、R1からなる群から選択され、式中、R1は、それ ぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含有する−C 1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキニル;それぞれが O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含有する置換−C1 10 −C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C8アルキニル;−C 3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキル;−C3−C12シ クロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニルから選択される。R6は、ア リール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択さ れる。Jは存在しない。Gは−NHSO2−R3であり、式中、R3は、アリール、置換 アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、−C3−C12 シクロアルキル、−C3−C12シクロアルケニル、置換−C3−C12シクロアルキル または置換−C3−C12シクロアルケニルから選択される。各R71、R72、R73 およびR74は、水素、ハロゲン、−NO2、−CNおよび−O−R4からなる群から独 立して選択され、式中、R4は直ぐ上の例に定義されている通りである。Z1およびZ2 20 は、F、ClおよびBrから独立して選択することができる。 【0023】 本発明の代表的な化合物として、これらに限定されないが、式IVに従った以下の化合 物(表1)が挙げられ、 【0024】 【化4】 30 式中、A、L、QおよびGは、表1における各例に表されている。 【0025】 (16) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【表1】 10 20 (17) JP 2011-510927 A 2011.4.7 10 20 30 40 (18) JP 2011-510927 A 2011.4.7 10 20 30 40 (19) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【0026】 本発明は、本発明の化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプ ロドラッグを含む医薬組成物も特色とする。 【0027】 本発明の化合物は、単独の活性医薬品として投与する、または1つ以上の薬剤と組み合 10 わせて使用して、C型肝炎感染またはHCV感染に伴う症状を治療または予防することが できる。本発明の1つの化合物または複数の化合物と組み合わせて投与される他の薬剤と して、直接または間接的機序によってHCVウイルスの複製を抑制する、HCV感染によ って引き起こされる疾患の治療薬が挙げられる。これらとして、宿主免疫調節因子(例え ば、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフ ェロンγおよびCpGオリゴヌクレオチドなど)などの薬剤、またはイノシン一リン酸デ ヒドロゲナーゼ(例えば、リバビリンなど)など、宿主細胞機能を阻害する抗ウイルス剤 化合物が挙げられる。免疫機能を調節するサイトカインも挙げられる。HCV抗原を含む ワクチン、またはHCVを対象とする抗原アジュバントの組合せも挙げられる。宿主細胞 成分と相互作用して、HCVウイルス複製の翻訳段階を開始する配列内リボソーム進入部 20 位(IRES)を阻害することによってウイルスタンパク質の合成を阻止する、または例 えば、HCV P7等など膜タンパク質のビロポリンファミリーを標的とする薬剤ととも にウイルス粒子の成熟および放出を阻止する薬剤も挙げられる。本発明の化合物と組み合 わせて投与される他の薬剤は、ウイルス複製に関与しているウイルスゲノムのタンパク質 を標的にすることによってHCVの複製を阻害する任意の薬剤または薬剤の組合せが挙げ られる。これらの薬剤として、例えば、WO01 90121(A2)もしくは米国特許 第6,348,587号B1もしくはWO0160315もしくはWO0132153に 記載されているヌクレオシド型ポリメラーゼ阻害剤または例えばEP 1162196A 1もしくはWO0204425に記載されているベンズイミダゾールポリメラーゼ阻害剤 などの非ヌクレオシド阻害剤などHCV RNA依存性RNAポリメラーゼの他の阻害剤 30 、または例えばBILN2061等などのペプチド模倣型阻害剤などHCVプロテアーゼ の阻害剤、またはHCVヘリカーゼの阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。 【0028】 本発明の化合物と組み合わせて投与される他の薬剤として、同時感染した個体に対する 他のウイルスの複製を阻害する任意の薬剤または薬剤の組合せが挙げられる。これらの薬 剤として、例えばアデホビル、ラミブジンおよびテノホビルなどB型肝炎(HBV)感染 によって引き起こされる疾患の治療剤、または例えばプロテアーゼ阻害剤などヒト免疫不 全ウイルス(HIV)感染によって引き起こされる疾患の治療剤:リトナビル、ロピナビ ル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビル、アタザナビル、チプ ラナビル、TMC−114、ホスアンプレナビル;逆転写酵素阻害剤:ジドブジン、ラミ 40 ブジン、ジダノシン、スタブジン、テノホビル、ザルシタビン、アバカビル、エファビレ ンツ、ネビラピン、デラビルジン、TMC−125;インテグラーゼ阻害剤:L−870 812、S−1360または侵入阻害剤:エンフビルチド(T−20)、T−1249が 挙げられるが、これらに限定されない。 【0029】 すなわち、本発明の一態様は、宿主免疫調節因子および第二抗ウイルス剤、またはこれ らの組合せからなる群から選択される1つ以上の薬剤を、治療有効量の本発明化合物もし くは化合物同士の組合せ、または医薬として許容できる塩、立体異性体、互変異性体、プ ロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらの組合せとともに、こうした治療を必要と する患者に同時投与することを含む、RNA含有ウイルスによって引き起こされる感染を 50 (20) JP 2011-510927 A 2011.4.7 治療または予防するための方法を対象とする。宿主免疫調節因子の例は、これらに限定さ れないが、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、インターフェロンβ、イン ターフェロンγ、サイトカイン、ワクチン、ならびに抗原およびアジュバントを含むワク チンであり、前記第二抗ウイルス剤は、ウイルス複製に関係する宿主細胞機能を阻害する こと、またはウイルスゲノムのタンパク質を標的とすることのいずれかによってHCVの 複製を阻害する。 【0030】 本発明のさらなる態様は、治療有効量の本発明の化合物もしくは化合物同士の組合せま たは医薬として許容できる塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの 塩、またはこれらの組合せとともに、肝臓の硬変および炎症を含めたHCV感染の症状を 10 治療または軽減する薬剤または薬剤の組合せを、こうした治療を必要とする患者に同時投 与することを含む、RNA含有ウイルスによって引き起こされる感染を治療または予防す る方法を対象とする。本発明のまた別の態様は、治療有効量の本発明の化合物もしくは化 合物同士の組合せまたは医薬として許容できる塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッ グ、プロドラッグの塩、またはこれらの組合せとともに、B型肝炎(HBV)感染によっ て引き起こされる疾患の患者を治療する1つ以上の薬剤を、こうした治療を必要とする患 者に同時投与することを含む、RNA含有ウイルスによって引き起こされる感染を治療ま たは予防する方法を提供する。B型肝炎(HBV)感染によって引き起こされる疾患の患 者を治療する薬剤は、これらに限定されないが、例えば、L−デオキシチミジン、アデホ ビル、ラミブジンまたはテンホビル、またはこれらの任意の組合せであってよい。RNA 20 含有ウイルスの例として、これらに限定されないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げ られる。 【0031】 本発明の別の態様は、治療有効量の本発明の化合物もしくは化合物同士の組合せまたは 医薬として許容できる塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩、 またはこれらの組合せとともに、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって引き起こ される疾患の患者を治療する1つ以上の薬剤を、こうした治療を必要とする患者に同時投 与することを含む、RNA含有ウイルスによって引き起こされる感染を治療または予防す る方法を提供する。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって引き起こされる疾患の 患者を治療する薬剤は、これらに限定されないが、リトナビル、ロピナビル、インジナビ 30 ル、ネルフマビル、サキナビル、アンプレナビル、アタザナビル、チプラナビル、TMC −114、ホスアンプレナビル、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、スタブジン、テ ノホビル、ザルシタビン、アバカビル、エファビレンツ、ネビラピン、デラビルジン、T MC−125、L−870812、S−1360、エンフビルチド(T−20)またはT −1249、またはこれらの任意の組合せを挙げることができる。RNA含有ウイルスの 例として、これらに限定されないが、C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられる。さらに 、本発明は、患者におけるRNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルスによって引き起こ される感染の治療用薬物を調製するため、本発明の化合物もしくは化合物同士の組合せま たは治療上許容できる塩の形態、立体異性体もしくは互変異性体、プロドラッグ、プロド ラッグの塩、またはこれらの組合せ、ならびに宿主免疫調節因子および第二抗ウイルス剤 40 またはこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の薬剤の使用を提供する。宿主 免疫調節因子の例は、これらに限定されないが、インターフェロンα、ペグ化インターフ ェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、サイトカイン、ワクチン、ならび に抗原およびアジュバントを含むワクチンであり、前記第二抗ウイルス剤は、ウイルス複 製に関係する宿主細胞機能を阻害すること、またはウイルスゲノムのタンパク質を標的と することのいずれかによってHCVの複製を阻害する。 【0032】 上記または他の治療において使用される場合、本発明の化合物もしくは化合物同士の組 合せは、本明細書において上記で定義されている通りの1つ以上の薬剤と一緒に、純粋な 形態で、またはこうした形態が存在する場合医薬として許容できる塩の形態、プロドラッ 50 (21) JP 2011-510927 A 2011.4.7 グ、プロドラッグの塩、またはこれらの組合せで用いることができる。あるいは、治療剤 のこうした組合せは、本明細書において上記で定義されている通りの1つ以上の薬剤およ び医薬として許容できる担体と組み合わせて、治療有効量の興味対象の化合物もしくは化 合物の組合せまたは医薬として許容できるこれらの塩の形態、プロドラッグ、またはプロ ドラッグの塩を含有する医薬組成物として投与することができる。こうした医薬組成物は 、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)の複製を、前記ウイルスを前記 医薬組成物と接触させることによって阻害するのに使用することができる。さらに、こう した組成物は、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こ される感染の治療または予防に有用である。 【0033】 10 したがって、本発明のさらなる態様は、本発明の化合物もしくは化合物同士の組合せま たは医薬として許容できる塩、立体異性体もしくは互変異性体、プロドラッグ、プロドラ ッグの塩またはこれらの組合せ、本明細書において上記で定義されている通りの1つ以上 の薬剤、および医薬として許容できる担体を含む医薬組成物を、こうした治療を必要とす る患者に投与することを含む、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)に よって引き起こされる感染を治療または予防する方法を対象とする。 【0034】 組合せとして投与される場合、該治療剤は、同時もしくは所定の時間内に投与する別々 の組成物として処方することができ、または該治療剤は、単一の単位剤形として投与する ことができる。 20 【0035】 こうした併用療法における使用が考慮される抗ウイルス剤として、これらに限定されな いが、哺乳動物におけるウイルスの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルス 機構のいずれかを妨害する薬剤を含めて、哺乳動物におけるウイルスの形成および/また は複製を阻害するために有効である薬剤(化合物または生物剤)が挙げられる。こうした 薬剤は、別の抗HCV薬剤;HIV阻害剤;HAV阻害剤;およびHBV阻害剤から選択 することができる。 【0036】 他の抗HCV薬剤として、C型肝炎関連の症状または疾患の進行を軽減または予防する のに有効である薬剤が挙げられる。こうした薬剤として、これらに限定されないが、免疫 30 調節剤、HCV NS3プロテアーゼの阻害剤、HCVポリメラーゼの他の阻害剤、HC V生活環における別の標的の阻害剤、ならびにこれらに限定されないがリバビリン、アマ ンタジン、レボビリンおよびビラミジンを含めた他の抗HCV薬剤が挙げられる。 【0037】 該免疫調節剤として、哺乳動物における免疫系応答を増強または強化するのに有効であ る薬剤(化合物または生物剤)が挙げられる。該免疫調節剤として、これらに限定されな いが、VX−497(メリメポジブ、Vertex Pharmaceuticals) などのイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、クラスIインターフェロン、クラスI Iインターフェロン、コンセンサスインターフェロン、アシアロ−インターフェロンペグ 化インターフェロン、およびこれらに限定されないが、これに限定されないヒトアルブミ 40 ンを含めた他のタンパク質と結合したインターフェロンを含めた結合インターフェロンが 挙げられる。クラスIインターフェロンは、天然および合成に産生されるクラスIインタ ーフェロンを含めて、全てI型受容体に結合しているインターフェロンの群であるが、ク ラスIIインターフェロンは、全てII型受容体に結合している。クラスIインターフェ ロンの例として、これらに限定されないが、[α]−、[β]−、[δ]−、[ω]−お よび[τ]−インターフェロンが挙げられ、一方クラスIIインターフェロンの例として 、これらに限定されないが[γ]−インターフェロンが挙げられる。 【0038】 HCV NS3プロテアーゼの阻害剤として、哺乳動物におけるHCV NS3プロテ アーゼの機能を阻害するのに有効である薬剤(化合物または生物剤)が挙げられる。HC 50 (22) JP 2011-510927 A 2011.4.7 V NS3プロテアーゼの阻害剤として、これらに限定されないが、WO 99/077 33、WO 99/07734、WO 00/09558、WO 00/09543、W O 00/59929、WO 03/064416、WO 03/064455、WO 03/064456、WO 2004/030670、WO 2004/037855、 WO 2004/039833、WO 2004/101602、WO 2004/1 01605、WO 2004/103996、WO 2005/028501、WO 2 005/070955、WO 2006/000085、WO 2006/007700 およびWO 2006/007708(全てBoehringer Ingelheim による)、WO 02/060926、WO 03/053349、WO03/0992 74、WO 03/099316、WO 2004/032827、WO 2004/0 10 43339、WO 2004/094452、WO 2005/046712、WO 2 005/051410、WO 2005/054430(全てBMSによる)、WO 2 004/072243、WO 2004/093798、WO 2004/113365 、WO 2005/010029(全てEnantaによる)、WO 2005/037 214(Intermune)およびWO 2005/051980(Schering )に記載されている化合物、ならびにVX−950、ITMN−191およびSCH50 3034として同定される候補が挙げられる。 【0039】 HCVポリメラーゼの阻害剤として、HCVポリメラーゼの機能を阻害するのに有効で ある薬剤(化合物または生物剤)が挙げられる。こうした阻害剤として、これらに限定さ 20 れないが、HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシドおよびヌクレオシド阻害剤が 挙げられる。HCVポリメラーゼの阻害剤の例として、これらに限定されないが、WO 02/04425、WO 03/007945、WO 03/010140、WO 03 /010141、WO 2004/064925、WO 2004/065367、WO 2005/080388およびWO 2006/007693(全てBoehring er Ingelheimから)、WO 2005/049622(日本たばこ)、WO 2005/014543(日本たばこ)、WO 2005/012288(Genel abs)、WO 2004/087714(IRBM)、WO 03/101993(N eogenesis)、WO 03/026587(BMS)、WO 03/00025 4(日本たばこ)およびWO 01/47883(日本たばこ)に記載されている化合物 30 、ならびに臨床的候補XTL−2125、HCV796、R−1626およびNM283 が挙げられる。 【0040】 HCV生活環における別の標的の阻害剤として、HCV NS3プロテアーゼの機能を 阻害する以外で、HCVの形成および/または複製を阻害するのに有効である薬剤(化合 物または生物剤)が挙げられる。こうした薬剤は、HCVの形成および/または複製に必 要な宿主またはHCVウイルス機構のいずれかを妨害することができる。HCV生活環に おける別の標的の阻害剤として、これらに限定されないが、侵入阻害剤、ヘリカーゼ、N S2/3プロテアーゼおよび配列内リボソーム進入部位(IRES)から選択される標的 を阻害する薬剤、ならびにこれらに限定されないがNS5Aタンパク質およびNS4Bタ 40 ンパク質を含めた他のウイルスの標的の機能を妨害する薬剤が挙げられる。 【0041】 患者は、C型肝炎ウイルス、ならびにこれらに限定されないがヒト免疫不全ウイルス( HIV)、A型肝炎ウイルス(HAV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)を含めて他の 1つ以上のウイルスに同時感染している恐れがあることが起こり得る。したがって、本発 明による化合物を、HIV阻害剤、HAV阻害剤およびHBV阻害剤の少なくとも1つと ともに同時投与することによってこうした同時感染を治療するための併用療法も考えられ る。 【0042】 また別の実施形態によると、本発明の医薬組成物は、これらに限定されないが、ヘリカ 50 (23) JP 2011-510927 A 2011.4.7 ーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼおよび配列内リボソーム進入部位(IRES) を含めて、HCV生活環における他の標的の阻害剤(単数または複数)をさらに含むこと ができる。 【0043】 別の実施形態によると、本発明の医薬組成物は、別の抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤 もしくは抗癌剤、または免疫調節因子、または別の治療剤をさらに含むことができる。 【0044】 さらに別の実施形態によると、本発明は、これに限定されないが、こうした治療を必要 とする対象におけるC型肝炎感染などのウイルス感染を、有効量の本発明の化合物または 医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロドラッグを前記対象に投与すること 10 によって治療する方法を含める。 【0045】 さらなる実施形態によると、本発明は、こうした治療を必要とする対象におけるC型肝 炎感染を、抗HCVウイルス有効量または阻害量の本発明の医薬組成物を前記対象に投与 するによって治療する方法を含める。 【0046】 本発明の追加の実施形態は、生物学的試料を本発明の化合物と接触させることによって 生物学的試料を治療する方法を含める。 【0047】 また、本発明のさらなる態様は、本明細書に表されている合成手段のいずれかを用いて 20 本明細書に表されている化合物を製造する方法である。 【0048】 本発明において使用されるシトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤は、本発明の 化合物の代謝を阻害すると想定される。したがって、シトクロムP450モノオキシゲナ ーゼ阻害剤は、プロテアーゼ阻害剤の代謝を阻害するするのに有効な量となる。すなわち 、CYP阻害剤は、CYP阻害剤が存在しない生物学的利用能と比較して、プロテアーゼ 阻害剤の生物学的利用能が増加する量で投与される。 【0049】 一実施形態において、本発明は、本発明の化合物の薬物動態を改善するための方法を提 供する。薬物の薬物動態を改善する利点は、当技術分野において認められている(US 30 2004/0091527;US 2004/0152625;US 2004/009 1527)。すなわち、本発明の一実施形態は、CYP3A4の阻害剤および本発明の化 合物を投与するための方法を提供する。本発明の別の実施形態は、本発明の化合物および アイソザイム3A4(「CYP3A4」)、アイソザイム2C19(「CYP2C19」 )、アイソザイム2D6(「CYP2D6」)、アイソザイム1A2(「CYP1A2」 )、アイソザイム2C9(「CYP2C9」)またはアイソザイム2E1(「CYP2E 1」)の阻害剤を投与するための方法を提供する。好ましい実施形態において、CYP阻 害剤は、CYP3A4を阻害するのが好ましい。関係するNS3/4Aプロテアーゼの薬 物動態を改善する任意のCYP阻害剤が、本発明の方法において使用することができる。 これらのCYP阻害剤として、これらに限定されないが、リトナビル(WO 94/14 40 436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポ リン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾー ル、フルボキシアミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、 ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラ ビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が挙げられる。好ましい CYP阻害剤として、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチル ピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが挙げられる。 【0050】 患者が本発明を正しく使用するように指示する添付文書を収納している、各処方物の患 者用単一包装および患者用(複数の)包装の手段による本発明の組合せの投与は、本発明 50 (24) JP 2011-510927 A 2011.4.7 の望ましい追加の特徴であることを理解されよう。 【0051】 本発明のさらなる態様によるのは、少なくとも本発明の化合物および本発明のCYP阻 害剤、ならびに本発明の組合せの使用に対する説明書を収納している案内添付書を含む包 装である。本発明の代替実施形態において、医薬品包装は、本明細書に記載されている通 りの1つ以上の追加の薬剤をさらに含む。追加の1つ以上の薬剤は、同一の包装または別 々の包装で提供することができる。 【0052】 この別の態様は、各医薬成分の単一または複数の医薬製剤;保管中および投与前の医薬 製剤(単数または複数)を収容する容器;およびHCV感染を治療または予防するのに有 10 効な方法で薬物投与を実行するための指示を含む、患者がHCV感染の治療またはHCV 感染の予防に使用する包装キットを含める。 【0053】 すなわち、本発明は、本発明のNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤およびCYP阻害剤( および必要に応じて追加の薬剤)、または従来の方法で調製されるこれらの誘導体の同時 または逐次投与用キットを提供する。通常、こうしたキットは、医薬として許容できる担 体(および1つまたは複数の医薬製剤)中の例えば各阻害剤の組成物および必要に応じて 追加の薬剤(単数または複数)、ならびに同時または逐次投与用指示書を含む。 【0054】 別の実施形態において、自己投与のための1つ以上の剤形;保管中および使用前の剤形 20 を収容するための、好ましくは密閉されている容器手段;ならびに患者が薬物投与を実行 するための指示を収納している包装キットが提供される。該指示は通常、該キットの添付 文書、標識および/または他の構成要素上の指示書であり、該剤形または形態は、本明細 書に記載されている通りである。各剤形は、個々のセルまたは気泡内で各剤形を他の剤形 から単離されて金属箔−プラスチック積層シートの中に個々に収容することができ、また は該剤形は、プラスチック瓶のような単一の容器内に収容することができる。本キットは 通常、個々のキット構成要素、すなわち剤形、容器手段、および使用のための指示書を包 装するための手段も含める。こうした包装手段は、段ボールまたは紙の箱、プラスチック または箔の小袋などの形態をとることができる。 【0055】 30 定義 下記に列挙されているのは、本発明を説明するのに使用される様々な用語の定義である 。これらの定義は、特別な例において限定されていない限り、個々に、またはより大きな 群の一部のいずれかとして、この明細書および特許請求の範囲を通して使用されている用 語に適用される。 【0056】 「ウイルス感染」という用語は、細胞または組織へのウイルス、例えばC型肝炎ウイル ス(HCV)の侵入を指す。一般に慢性肝疾患ウイルスの侵入は複製にも関係する。ウイ ルス感染は、例えば酵素免疫アッセイを使用し、血液などの体液の試料中のウイルス抗体 価を測定することによって決定することができる。他の適当な診断法として、RT−PC 40 R、直接ハイブリッド捕捉アッセイおよび核酸配列ベース増幅等など、分子に基づく技術 が挙げられる。ウイルスは、器官、例えば肝臓に感染し、疾患、例えば肝炎、肝硬変、慢 性肝疾患および肝細胞癌腫を引き起こす恐れがある。 【0057】 「抗癌剤」という用語は、癌の進行を予防または阻害することができる化合物または薬 物を指す。こうした薬剤の例として、シス−プラチン、アクチノマイシンD、ドキソルビ シン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、アムサクリン、ミトキサントロン 、テニポシド、タキソール、コルヒチン、シクロスポリンA、フェノチアジンまたはチオ キサンテンが挙げられる。 【0058】 50 (25) JP 2011-510927 A 2011.4.7 「抗真菌剤」という用語は、本発明による3−AP、3−AMPまたは3−APおよび 3−AMPのプロドラッグ以外の、真菌感染を治療するのに使用することができる化合物 を記載するのに使用される。本発明による抗真菌剤として、例えば、テルビナフィン、フ ルコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、クロトリマゾール、グリセオフルビ ン、ナイスタチン、トルナフテート、カスポファンギン、アンフォテリシンB、リポソー ムアンフォテリシンBおよびアンフォテリシンB脂質複合体が挙げられる。 【0059】 「抗菌剤」という用語は、他の微生物の成長を抑制する、微生物によって産生される自 然発生抗生物質、ならびに殺菌性活性または静菌性活性のいずれかを有する、実験室にて 合成または修飾される薬剤の両方、例えばβ−ラクタム抗菌剤、糖ペプチド、マクロライ 10 ド、キノロン、テトラサイクリンおよびアミノグリコシドを指す。一般に、抗菌剤が静菌 性であれば、該薬剤は本質的に細菌細胞の成長を止める(が、細菌を死滅させない)こと を意味し、該薬剤が殺菌性であれば、該薬剤は細菌細胞を死滅させる(および細菌を死滅 させる前に成長を止めることもある)ことを意味する。 【0060】 「免疫調節因子」という用語は、対象の体液性または細胞性の免疫系の働きを変化させ ることを意味する任意の物質を指す。こうした免疫調節因子として、肥満細胞媒介炎症の 阻害剤、インターフェロン、インターロイキン、プロスタグランジン、ステロイド、副腎 皮質ステロイド、コロニー刺激因子、走化性因子などが挙げられる。 【0061】 20 「C1−C6アルキル」または「C1−C8アルキル」という用語は、本明細書で使用 される場合、1個から6個の間、または1個から8個の間の炭素原子をそれぞれ含有する 飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。C1−C6アルキル基の例として、これらに限 定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、te rt−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ、C1−C8アルキル基の 例として、これらに限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基 、n−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、 オクチル基が挙げられる。 【0062】 「C2−C6アルケニル」または「C2−C8アルケニル」という用語は、本明細書で 30 使用される場合、炭化水素成分から誘導される基を示し、ここで該炭化水素成分は、少な くとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、2個から6個、または2個から8個の炭素原子 をそれぞれ含有する。アルケニル基として、これらに限定されないが、例えばエテニル、 プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、ヘプテニルおよびオクテニ ルなどが挙げられる。 【0063】 「C2−C6アルキニル」または「C2−C8アルキニル」という用語は、本明細書で 使用される場合、炭化水素成分から誘導される基を示し、ここで該炭化水素成分は、少な くとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、2個から6個、または2個から8個の炭素原子 をそれぞれ含有する。代表的なアルキニル基として、これらに限定されないが、例えばエ 40 チニル、1−プロピニル、1−ブチニル、ヘプチニルおよびオクチニルなどが挙げられる 。 【0064】 「C3−C8−シクロアルキル」または「C3−C12−シクロアルキル」という用語 は、本明細書で使用される場合、単環式または多環式の飽和炭素環化合物から誘導される 基を示し、ここで該飽和炭素環化合物は、3個から8個、または3個から12個の環原子 をそれぞれ有する。C3−C8−シクロアルキルの例として、これらに限定されないが、 シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよ びシクロオクチルが挙げられ、C3−C12−シクロアルキルの例として、これらに限定 されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシク 50 (26) JP 2011-510927 A 2011.4.7 ロ[2.2.1]ヘプチルおよびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。 【0065】 「C3−C8−シクロアルケニル」または「C3−C12−シクロアルケニル」という 用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する単環 式または多環式の炭素環化合物から誘導される基を示し、ここで該炭素環化合物は、3個 から8個、または3個から12個の環原子をそれぞれ有する。C3−C8−シクロアルケ ニルの例として、これらに限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロ ペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどが挙げら れ、C3−C12−シクロアルケニルの例として、これらに限定されないが、シクロプロ ペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよ 10 びシクロオクテニルなどが挙げられる。 【0066】 「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、これらに限定されないが、フ ェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルおよびイデニルなどを含めて、1 個または2個の芳香環を有する一環式または二環式の炭素環系を指す。 【0067】 「アリールアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、アリール環に結合し ているC1−C3アルキル残基またはC1−C6アルキル残基を指す。例として、これら に限定されないが、ベンジルおよびフェネチルなどが挙げられる。 【0068】 20 「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1個の環原 子がS、OおよびNから選択される5個から10個の環原子を有する一環式、二環式また は三環式芳香族基または芳香族環を指し、ここで該環内に含有されるNまたはSはいずれ も酸化されていてもよい。ヘテロアリールとして、これらに限定されないが、ピリジニル 、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキ サゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラ ニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびキ ノキサリニルなどが挙げられる。 【0069】 「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、ヘテロアリー 30 ル環に結合しているC1−C3アルキル残基またはC1−C6アルキル残基を指す。例と して、これらに限定されないが、ピリジニルメチルおよびピリミジニルエチルなどが挙げ られる。 【0070】 「置換される」という用語は、本明細書で使用される場合、これらに限定されないが、 −F、−Cl、−Br、−I、−OH、保護ヒドロキシ、−NO2、−CN、−NH2、 N3、保護アミノ、アルコキシ、チオアルキル、オキソ、−ハロ−C1−C12−アルキ ル、−ハロ−C2−C12−アルケニル、−ハロ−C2−C12−アルキニル、−ハロ− C3−C12−シクロアルキル、−NH−C1−C12−アルキル、−NH−C2−C1 2−アルケニル、−NH−C2−C12−アルキニル、−NH−C3−C12−シクロア 40 ルキル、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクロアルキル、 −ジアルキルアミノ、−ジアリールアミノ、−ジヘテロアリールアミノ、−O−C1−C 12−アルキル、−O−C2−C12−アルケニル、−O−C2−C12−アルキニル、 −O−C3−C12−シクロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O− ヘテロシクロアルキル、−C(O)−C1−C12−アルキル、−C(O)−C2−C1 2−アルケニル、−C(O)−C2−C12−アルキニル、−C(O)−C3−C12− シクロアルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、−C(O)−ヘ テロシクロアルキル、−CONH2、−CONH−C1−C12−アルキル、−CONH −C2−C12−アルケニル、−CONH−C2−C12−アルキニル、−CONH−C 3−C12−シクロアルキル、−CONH−アリール、−CONH−ヘテロアリール、− 50 (27) JP 2011-510927 A 2011.4.7 CONH−ヘテロシクロアルキル、−OCO2−C1−C12−アルキル、−OCO2− C2−C12−アルケニル、−OCO2−C2−C12−アルキニル、−OCO2−C3 −C12−シクロアルキル、−OCO2−アリール、−OCO2−ヘテロアリール、−O CO2−ヘテロシクロアルキル、−OCONH2、−OCONH−C1−C12−アルキ ル、−OCONH−C2−C12−アルケニル、−OCONH−C2−C12−アルキニ ル、−OCONH−C3−C12−シクロアルキル、−OCONH−アリール、−OCO NH−ヘテロアリール、−OCONH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)−C1− C12−アルキル、−NHC(O)−C2−C12−アルケニル、−NHC(O)−C2 −C12−アルキニル、−NHC(O)−C3−C12−シクロアルキル、−NHC(O )−アリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロシクロアルキ 10 ル、−NHCO2−C1−C12−アルキル、−NHCO2−C2−C12−アルケニル 、−NHCO2−C2−C12−アルキニル、−NHCO2−C3−C12−シクロアル キル、−NHCO2−アリール、−NHCO2−ヘテロアリール、−NHCO2−ヘテロ シクロアルキル、−NHC(O)NH2、−NHC(O)NH−C1−C12−アルキル 、−NHC(O)NH−C2−C12−アルケニル、−NHC(O)NH−C2−C12 −アルキニル、−NHC(O)NH−C3−C12−シクロアルキル、−NHC(O)N H−アリール、−NHC(O)NH−ヘテロアリール、−NHC(O)NH−ヘテロシク ロアルキル、NHC(S)NH2、−NHC(S)NH−C1−C12−アルキル、−N HC(S)NH−C2−C12−アルケニル、−NHC(S)NH−C2−C12−アル キニル、−NHC(S)NH−C3−C12−シクロアルキル、−NHC(S)NH−ア 20 リール、−NHC(S)NH−ヘテロアリール、−NHC(S)NH−ヘテロシクロアル キル、−NHC(NH)NH2、−NHC(NH)NH−C1−C12−アルキル、−N HC(NH)NH−C2−C12−アルケニル、−NHC(NH)NH−C2−C12− アルキニル、−NHC(NH)NH−C3−C12−シクロアルキル、−NHC(NH) NH−アリール、−NHC(NH)NH−ヘテロアリール、−NHC(NH)NH−ヘテ ロシクロアルキル、−NHC(NH)−C1−C12−アルキル、−NHC(NH)−C 2−C12−アルケニル、−NHC(NH)−C2−C12−アルキニル、−NHC(N H)−C3−C12−シクロアルキル、−NHC(NH)−アリール、−NHC(NH) −ヘテロアリール、−NHC(NH)−ヘテロシクロアルキル、−C(NH)NH−C1 −C12−アルキル、−C(NH)NH−C2−C12−アルケニル、−C(NH)NH 30 −C2−C12−アルキニル、−C(NH)NH−C3−C12−シクロアルキル、−C (NH)NH−アリール、−C(NH)NH−ヘテロアリール、−C(NH)NH−ヘテ ロシクロアルキル、−S(O)−C1−C12−アルキル、−S(O)−C2−C12− アルケニル、−S(O)−C2−C12−アルキニル、−S(O)−C3−C12−シク ロアルキル、−S(O)−アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロ シクロアルキル−SO2NH2、−SO2NH−C1−C12−アルキル、−SO2NH −C2−C12−アルケニル、−SO2NH−C2−C12−アルキニル、−SO2NH −C3−C12−シクロアルキル、−SO2NH−アリール、−SO2NH−ヘテロアリ ール、−SO2NH−ヘテロシクロアルキル、−NHSO2−C1−C12−アルキル、 −NHSO2−C2−C12−アルケニル、−NHSO2−C2−C12−アルキニル、 40 −NHSO2−C3−C12−シクロアルキル、−NHSO2−アリール、−NHSO2 −ヘテロアリール、−NHSO2−ヘテロシクロアルキル、−CH2NH2、−CH2S O2CH3、−アリール、−アリールアルキル、−ヘテロアリール、−ヘテロアリールア ルキル、−ヘテロシクロアルキル、−C3−C12−シクロアルキル、ポリアルコキシア ルキル、ポリアルコキシ、−メトキシメトキシ、−メトキシエトキシ、−SH、−S−C 1−C12−アルキル、−S−C2−C12−アルケニル、−S−C2−C12−アルキ ニル、−S−C3−C12−シクロアルキル、−S−アリール、−S−ヘテロアリール、 −S−ヘテロシクロアルキル、メチルチオメチルまたは−L’−R’(式中、L’は、C 1−C6アルキレン、C2−C6アルケニレンまたはC2−C6アルキニレンであり、R ’は、アリール、ヘテロアリール、複素環、C3−C12シクロアルキルまたはC3−C 50 (28) JP 2011-510927 A 2011.4.7 12シクロアルケニルである。)を含めた置換基によって、1個、2個もしくは3個以上 の水素原子が独立して置き換えられていることを指す。アリール、ヘテロアリールおよび アルキルなどは、さらに置換されていてよいと理解される。一部の例において、置換され ている成分における各置換基は、追加として1つ以上の基で置換されていてもよく、各基 は、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−NO2、−CNまたは−NH2から独立し て選択される。 【0071】 本発明によると、本明細書に記載されているアリール、置換アリール、ヘテロアリール および置換ヘテロアリールのいずれもが、任意の芳香族基であってよい。芳香族基は置換 または非置換であってよい。 10 【0072】 本明細書に記載されている任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル およびシクロアルケニル成分は、脂肪族基、脂環式基または複素環式基であってもよいと 理解される。「脂肪族基」は、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素または他 の原子の任意の組合せを含有してよく、1つ以上の単位の不飽和結合、例えば二重および /または三重結合を含有してよい非芳香族成分である。脂肪族基は、直鎖、分枝または環 式であってよく、約1個から約24個の間の炭素原子、より通常には約1個から約12個 の間の炭素原子を含有するのが好ましい。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基として、 例えばポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなどの例えばポリアルコ キシアルキルが挙げられる。こうした脂肪族基は、さらに置換されていてよい。脂肪族基 20 は、本明細書に記載されているアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基 、アルケニレン基およびアルキニレン基の代わりに使用することができると理解される。 【0073】 「脂環式」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式または多環式の飽和炭素 環化合物から誘導される基を示す。例として、これらに限定されないが、シクロプロピル 、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、 およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。こうした脂環式基は、さらに置換 されていてよい。 【0074】 「ヘテロシクロアルキル」および「複素環」という用語は、互いに交換して使用するこ 30 とができ、非芳香族の3−、4−、5−、6−もしくは7員環またはビ−もしくはトリ− 環式基の縮合系を指し、ここで、(i)各環は、酸素、硫黄および窒素から独立して選択 される1個から3個の間のヘテロ原子を含有し、(ii)各5員環は0から1つの二重結 合を有し、各6員環は0から2つの二重結合を有し、(iii)窒素ヘテロ原子および硫 黄ヘテロ原子は、酸化していてもよく、(iv)窒素ヘテロ原子は、4級化されていてよ く、(iv)上記環のいずれもが、ベンゼン環に縮合することができ、(v)残りの環原 子は、オキソ置換されていてもよい炭素原子である。代表的なヘテロシクロアルキル基と して、これらに限定されないが、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル 、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、 オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾ 40 リジニル、キノキサリニル、ピリダジノニルおよびテトラヒドロフリルが挙げられる。こ うした複素環式基は、さらに置換されて置換複素環であってよい。 【0075】 本発明の各種実施形態において、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキ ニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールアルキル、ヘテ ロアリールアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、一価または2価であると意図される のは明らかである。したがって、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基、 シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、シクロアルキニレン基、アリールアルキレ ン基、ヘテロアリールアルキレン基およびヘテロシクロアルキレン基は、上記定義に含ま れるべきであり、本発明の式に適切な価を与えるために適用され得る。 50 (29) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【0076】 「ヒドロキシ活性化基」という用語は、本明細書で使用される場合、置換反応または除 去反応などにおける合成手順中に離脱するようにヒドロキシ基を活性化するための、当技 術分野において知られている不安定な化学成分を指す。ヒドロキシ活性化基の例として、 これらに限定されないが、メシレート、トシレート、トリフレート、p−ニトロベンゾエ ートおよびホスホネートなどが挙げられる。 【0077】 「活性化ヒドロキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、例えばメシレート基 、トシレート基、トリフレート基、p−ニトロベンゾエート基、ホスホネート基を含めて 、上記で定義されている通りのヒドロキシ活性化基で活性化されたヒドロキシ基を指す。 10 【0078】 「保護ヒドロキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、ベンゾイル基、アセチ ル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、メトキシメチル基を含めて、上記で定 義されている通りのヒドロキシ保護基で保護されたヒドロキシ基を指す。 【0079】 「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素 、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。 【0080】 本明細書に記載されている化合物は、1つ以上の不斉中心を含有し、したがって、エナ ンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の観点から、(R)−もしくは(S 20 )−として、またはアミノ酸に関して(D)−もしくは(L)−として定義することがで きる他の立体異性体の形態を生じさせる。本発明は、全てのこうした可能な異性体、なら びにこれらのラセミ形態および光学的に純粋な形態を含めることが意味される。光学異性 体は、上述されている手順によって、またはラセミ混合物を分割することによって、これ らのそれぞれの光学活性な前駆体から調製することができる。該分割は、分割剤の存在下 で、当業者に知られているクロマトグラフィーもしくは反復結晶化またはこれらの技術の 組合せによって実行することができる。分割に関するさらなる詳細は、Jacquesら 、Enantiomers、Racemates、and Resolutions(J ohn Wiley & Sons、1981年)で見ることができる。本明細書に記載 されている化合物は、オレフィン性二重結合または幾何学的非対称の他の中心を含有し、 30 特に記載のない限り、該化合物はEおよびZ幾何異性体の両方を含めることが意図される 。同様に、全ての互変異性型が含まれることも意図される。本発明に現れる任意の炭素− 炭素二重結合の配置は利便性だけで選択され、本文に記載のない限り、特定の配置を設計 することを意図するものではなく、したがって、トランスとして本明細書において適宜示 される炭素−炭素二重結合は、シス、トランス、または任意の割合における該2つの混合 物であってよい。 【0081】 「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、哺乳動物を指す。対象は、したが って、例えばイヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタおよびモルモットなどを指す。好ましくは 、対象はヒトである。対象がヒトである場合、該対象は本明細書において患者と称するこ 40 とがある。 【0082】 本明細書で使用される場合、「医薬として許容できる塩」という用語は、健全な医学的 判断の範囲内で、過度の毒性、刺激およびアレルギー応答などがないヒトおよび下等動物 の組織と接触させて使用するのに適切であり、妥当な効果/リスク比に見合う、本発明の 方法によって形成される化合物の塩を指す。医薬として許容できる塩は当技術分野におい てよく知られている。 【0083】 「ヒドロキシ保護基」という用語は、本明細書で使用される場合、合成手順中の望まし くない反応に対してヒドロキシ基を保護するための、当技術分野において知られている不 50 (30) JP 2011-510927 A 2011.4.7 安定な化学成分を指す。前記合成手順(単数または複数)の後、本明細書に記載されてい る通りのヒドロキシ保護基は、選択的に除去することができる。当技術分野において知ら れているヒドロキシ保護基は、T.H.Greene and P.G.、S.M.Wu ts、Protective Groups in Organic Synthesi s、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年)に 概ね記載されている。ヒドロキシ保護基の例として、ベンジルオキシカルボニル、4−ニ トロベンジルオキシカルボニル、4−ブロモベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベ ンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、イソプ ロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシ カルボニル、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2−フルフリルオキシカル 10 ボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロ アセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t−ブチル、 2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、1,1−ジメチル−2− プロペニル、3−メチル−3−ブテニル、アリル、ベンジル、パラメトキシベンジルジフ ェニルメチル、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロフリル、メトキシメチル 、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、 2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、メタンスルホニル、パラ−トルエンスルホニ ル、トリメチルシリル、トリエチルシリルおよびトリイソプロピルシリルなどが挙げられ る。本発明のための好ましいヒドロキシ保護基は、アセチル(Acまたは−C(O)CH 3)、ベンゾイル(Bzまたは−C(O)C6H5)およびトリメチルシリル(TMSま 20 たは−Si(CH3)3)である。Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences、66巻:1−19頁(1977年)において、医薬として許容でき る塩を詳細に記載している。該塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で 調製する、または遊離塩基官能基を適当な有機酸と反応させることによって別々に調製す ることができる。医薬として許容できる塩の例として、これらに限定されないが、無毒性 酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または 酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸を用いて 、またはイオン交換など、当技術分野において使用されている他の方法を使用することに よって形成されるアミノ基の塩が挙げられる。他の医薬として許容できる塩として、これ らに限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸 30 塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸、 ショウノウスルホン酸、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、 ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリ セロリン酸塩、グルコン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩 、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラ ウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフ タレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸 塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピク リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸 塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩および吉草酸塩などが 40 挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リ チウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムなどが挙げられる。さらなる医薬とし て許容できる塩として、適当な場合、無毒性アンモニウム、第4級アンモニウム、ならび にハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1個から6個の 炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを 使用して形成されるアミンのカチオンが挙げられる。 【0084】 「アミノ保護基」という用語は、本明細書で使用される場合、合成手順中の望ましくな い反応に対してアミノ基を保護するための、当技術分野において知られている不安定な化 学成分を指す。前記合成手順(単数または複数)の後、本明細書に記載されている通りの 50 (31) JP 2011-510927 A 2011.4.7 アミノ保護基は、選択的に除去することができる。当技術分野において知られているアミ ノ保護基は、T.H.Greene and P.G.M.Wuts、Protecti ve Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年)に概ね記載されている。ア ミノ保護基の例として、これらに限定されないが、t−ブトキシカルボニル、9−フルオ レニルメトキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。 【0085】 本明細書で使用される場合、「医薬として許容できるエステル」という用語は、インビ ボで加水分解する、本発明の方法によって形成される化合物を指し、人体中で容易に分解 して親化合物またはこの塩から脱離するものを含める。適当なエステル基として、例えば 10 医薬として許容できる脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン 酸およびアルカン二酸から誘導されるものが挙げられ、ここで各アルキルまたはアルケニ ル成分は、6個以下の炭素原子を有するのが有利である。特定のエステルの例として、こ れらに限定されないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エス テル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられる。 【0086】 「医薬として許容できるプロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、健 全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激およびアレルギー応答などがあるヒトおよ び下等動物の組織に接触する使用に適切であり、妥当な効果/リスク比に見合い、これら の使用目的に有効であり、ならびに可能な場合本発明の化合物の両性イオン型である、本 20 発明の方法によって形成される化合物のプロドラッグを指す。「プロドラッグ」は、本明 細書で使用される場合、本発明の式によって表されている任意の化合物を得るために代謝 手段によって(例えば加水分解によって)インビボで変換可能である化合物を意味する。 例えば、Bundgaard(編集)、Design of Prodrugs、Els evier(1985年);Widderら(編集)、Methods in Enzy mology、第4巻、Academic Press(1985年);Krogsga ard−Larsenら(編集)「Design and Application o f Prodrugs、Textbook of Drug Design and D evelopment」、第5章、113−191頁(1991年);Bundgaar dら、Journal of Drug Deliver Reviews、8巻:1− 30 38頁(1992年);Bundgaard、J.of Pharmaceutical Sciences、77巻:285頁以下参照(1988年);Higuchi an d Stella(編集)Prodrugs as Novel Drug Deliv ery Systems、American Chemical Society(19 75年);およびBernard Testa & Joachim Mayer、「H ydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism :Chemistry、Biochemistry And Enzymology」、 John Wiley and Sons、Ltd.(2002年)において考察されて いる通り、プロドラッグの様々な形態が当技術分野において知られている。 【0087】 40 「アシル」という用語は、これらに限定されないが、カルボン酸、カルバミン酸、炭酸 、スルホン酸および亜リン酸を含めた酸から誘導される残基を含める。例として、脂肪族 カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフ ィニル、芳香族ホスフェートおよび脂肪族ホスフェートが挙げられる。脂肪族カルボニル の例として、これらに限定されないが、アセチル、プロピオニル、2−フルオロアセチル 、ブチリルおよび2−ヒドロキシアセチルなどが挙げられる。 【0088】 「非プロトン性溶媒」という用語は、本明細書で使用される場合、プロトン活性に対し て比較的不活性、すなわち、プロトン供与体として作用しない溶媒を指す。例として、こ れらに限定されないが、ヘキサンおよびトルエンなどの炭化水素、例えば塩化メチレン、 50 (32) JP 2011-510927 A 2011.4.7 塩化エチレンおよびクロロホルム等などの例えばハロゲン化炭化水素、例えばテトラヒド ロフランおよびN−メチルピロリジノンなどの複素環化合物、ならびにジエチルエーテル 、ビス−メトキシメチルエーテルなどのエーテルが挙げられる。こうした溶媒は当業者に よく知られており、個々の溶媒またはこれらの混合物は、例えば試薬の溶解性、試薬の反 応性および好ましい温度範囲などの要因に依存して、特定の化合物および反応条件にとっ て好ましいものであってよい。非プロトン性溶媒のさらなる考察は、有機化学教科書また は専門研究書、例えば、Organic Solvents Physical Pro perties and Methods of Purification、第4版、 John A.Riddickらにより編集、第II巻、the Techniques of Chemistry Series、John Wiley & Sons、N 10 Y、1986年において見ることができる。 【0089】 「プロトン性有機溶媒」または「プロトン性溶媒」という用語は、本明細書で使用され る場合、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール およびt−ブタノールなどのアルコールなど、プロトンを供給する傾向がある溶媒を指す 。こうした溶媒は当業者によく知られており、個々の溶媒またはこれらの混合物は、例え ば試薬の溶解性、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの要因に依存して、特定の化 合物および反応条件にとって好ましいものであってよい。プロトン性溶媒のさらなる考察 は、有機化学教科書または専門研究書、例えば、Organic Solvents P hysical Properties and Methods of Purifi 20 cation、第4版、John A.Riddickらにより編集、第II巻、the Techniques of Chemistry Series、John Wil ey & Sons、NY、1986年において見ることができる。 【0090】 本発明によって想定される置換基および可変物の組合せは、安定な化合物の形成をもた らすものだけである。「安定な」という用語は、本明細書で使用される場合、製造を可能 にするのに十分な安定性を有し、十分な期間において化合物の完全性を維持して本明細書 に詳述されている目的(例えば、対象への治療または予防的な投与)に有用である化合物 を指す。 【0091】 30 合成化合物は反応混合物から分離し、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグ ラフィーまたは再結晶などの方法によってさらに精製することができる。さらに、様々な 合成ステップを代替の順序または順番で行って所望の化合物を得ることができる。本明細 書に表されている溶媒、温度、反応時間などは例示の目的に過ぎず、反応条件の変更によ り、本発明の所望の架橋大環状生成物を生成することができる。本明細書に記載されてい る化合物を合成する際に有用な合成化学変形および保護基方法論(保護および脱保護)は 、例えば、R.Larock、Comprehensive Organic Tran sformations、VCH Publishers(1989年);T.W.Gr eene and P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、John Wiley and So 40 ns(1991年);L.Fieser and M.Fieser、Fieser a nd Fieser’s Reagents for Organic Synthes is、John Wiley and Sons(1994年);およびL.Paque tte編集、Encyclopedia of Reagents for Organ ic Synthesis、John Wiley and Sons(1995年)に 記載されているものが挙げられる。 【0092】 本発明の化合物は、本明細書に表されている合成手段を介して様々な官能基を付加させ ることによって改質し、選択的な生物学的特性を増強することができる。こうした改質と して、所定の生物系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加さ 50 (33) JP 2011-510927 A 2011.4.7 せ、経口利用可能性を増加し、溶解性を増加して注射による投与を可能にし、代謝を変化 させ、排出速度を変化させることが挙げられる。 【0093】 医薬組成物 本発明の医薬組成物は、1つ以上の医薬として許容できる担体と一緒に処方される治療 有効量の本発明の化合物を含む。本明細書で使用される場合、「医薬として許容できる担 体」という用語は、無毒性不活性な固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、封入材料 または任意の種類の製剤助剤を意味する。医薬として許容できる担体として働くことがで きる物質の一部の例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;コーンス ターチおよびバレイショデンプンなどのデンプン;カルボキシルメチルセルロースナトリ 10 ウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースならびにこの誘導体;粉 末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオ脂および座薬ワックスなどの賦形剤; 落花生油、綿実油などの油;ベニバナ油;ゴマ油;オリーブ油;コーン油および大豆油; プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど のエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギ ン酸;ピロゲンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリ ン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの 他の無毒性の適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香料お よび香料剤であり、保存料および抗酸化剤も、処方者の判断に従って組成物に存在するこ とができる。本発明の医薬組成物は、ヒトおよび他の動物に対して、経口投与、直腸投与 20 、非経口投与、大槽内投与、膣内投与、腹腔投与、局所投与(粉末、軟膏剤または点滴剤 による)、口腔投与、または経口もしくは経鼻スプレーとして投与することができる。 【0094】 本発明の医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入スプレーによる投与、局所投与、 直腸投与、経鼻投与、口腔投与、経膣的投与、または埋め込みリザーバーを介して投与す ることができ、経口投与または注射による投与が好ましい。本発明の医薬組成物は、任意 の従来の無毒性の医薬として許容できる担体、アジュバントまたはビヒクルを含有するこ とができる。一部の例において、処方物のpHは、処方化合物またはこの送達形態の安定 性を増強するために、医薬として許容できる酸、塩基または緩衝剤で調節することができ る。非経口という用語は、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関 30 節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技 術を含める。 【0095】 経口投与のための液体剤形として、医薬として許容できる乳濁液、マイクロエマルジョ ン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体 剤形は、例えば、水または他の溶媒など当技術分野において一般に使用されている不活性 希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジ ルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール 、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリ ーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、 40 ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤 、ならびにこれらの混合物を含有することができる。不活性希釈剤の他に、該経口組成物 は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香料、ならびに香料剤などのアジュバントも 含むことができる。 【0096】 注射用製剤、例えば、滅菌注射可能な水性または油の懸濁液は、適当な分散剤または湿 潤剤および懸濁剤を使用する既知技術に従って処方することができる。滅菌注射可能製剤 は、例えば1,3−ブタンジオール中溶液として、無毒性の非経口に許容できる希釈剤ま たは溶媒中における滅菌注射可能な溶液、懸濁液または乳濁液であってもよい。用いても よい許容できるビヒクルおよび溶媒の中に、水、リンゲル溶液、U.S.P.および等張 50 (34) JP 2011-510927 A 2011.4.7 塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は、溶媒媒体または懸濁媒体として従来 から用いられている。この目的のため、合成のモノまたはジグリセリドを含めた任意の無 刺激性固定油が用いられ得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射可能物の調製に使 用される。 【0097】 該注射可能な処方物は、例えば、細菌保持フィルターを通る濾過によって、または使用 の前に滅菌水もしくは他の滅菌注射可能媒体中に溶解または分散することができる滅菌固 体組成物の形態に滅菌剤を組み入れることによって滅菌することができる。 【0098】 薬物の効果を延長させるため、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くする 10 ことがしばしば望ましい。これは、難水溶性である結晶質または非晶質の物質の液体懸濁 液の使用によって達成することができる。該薬物の吸収速度は、次いで、この溶解速度に 依存し、これは順じて結晶サイズおよび結晶形に依存することがある。あるいは、非経口 投与薬物形態の遅延吸収は、該薬物を油性媒体中に溶解または懸濁することによって達成 される。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマ ー中に該薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造される。ポリ マーに対する薬物の割合および特定の使用ポリマーの性質に依存して、薬物放出速度を制 御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)および ポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能処方物は、体組織と適合性のあるリポソー ムまたはマイクロエマルジョン中に該薬物を封入することによって調製することもできる 20 。 【0099】 直腸投与または膣内投与のための組成物は、周囲温度では固体であるが体温では液体で あり、したがって直腸または膣腔中で融解し、活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエ チレングリコールまたは座薬ワックスなどの適当な非刺激性賦形剤または担体と本発明の 化合物を混合することによって調製することができる坐剤が好ましい。 【0100】 経口投与のための固体剤形として、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒が挙げられ る。こうした固体剤形において、該活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸 カルシウムおよび/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニ 30 トールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース 、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなど のバインダー、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ またはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの 崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促 進剤、g)例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、 h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸 カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナ トリウムおよびこれらの混合物などの潤滑剤など、少なくとも1種の不活性な医薬として 許容できる賦形剤または担体と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、該剤形は 40 緩衝剤も含むことができる。 【0101】 同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポ リエチレングリコールなどを使用する軟および硬充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤とし て用いることもできる。 【0102】 該活性化合物は、上記で言及されている通りの1種以上の賦形剤とともにマイクロカプ セル化形態であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒の固体剤形は、医 薬品製剤技術においてよく知られている腸溶コーティング剤、放出制御コーティング剤お よび他のコーティング剤などのコーティング剤ならびに外殻で調製することができる。こ 50 (35) JP 2011-510927 A 2011.4.7 うした固体剤形において、該活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなど の少なくとも1種の不活性希釈剤と添加混合することができる。こうした剤形は、通常の 慣行通り、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微 結晶セルロースなどの錠剤化潤滑剤および他の錠剤化補助剤も含むことができる。カプセ ル、錠剤および丸薬の場合、該剤形は緩衝剤も含むことができる。これらは乳白剤を含有 することができ、これらが活性成分(単数または複数)だけを放出する、または腸管の特 定部分に、遅延方法で優先的に放出する組成物であってもよい。使用することができる包 埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。 【0103】 本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形として、軟膏剤、ペースト剤、 10 クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー剤、吸入剤またはパッチが挙げられ る。該活性成分は、医薬として許容できる担体および任意の必要な保存料または必要とさ れ得る緩衝剤と、滅菌条件下で添加混合される。眼科用製剤、点耳薬、眼軟膏、粉末およ び溶液も本発明の範囲内であると考えられる。 【0104】 軟膏剤、ペースト剤、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性お よび植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導 体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜 鉛、またはこれらの混合物などの賦形剤を含有することができる。 【0105】 20 粉末およびスプレー剤は、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水 酸化アルミニウム、カルシウムシリケートおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の 混合物などの賦形剤を含有することができる。スプレー剤は、クロロフルオロ炭化水素な どの慣例の噴霧剤を追加として含有することができる。 【0106】 経皮パッチは、身体への化合物の制御送達を可能にするという付加された利点を有する 。こうした剤形は適切な媒体中に該化合物を溶解または分注することによって製造するこ とができる。吸収増強剤は皮膚中に化合物の流出を増加するのに使用することもできる。 該速度は速度制御膜を供給することによって、または該化合物をポリマーマトリックスま たはゲル中に分散することのいずれかによって制御することができる。 30 【0107】 抗ウイルス活性 本発明の化合物の阻害量または用量は、約0.01mg/Kgから約500mg/Kg 、あるいは約1から約50mg/Kgの範囲であってよい。阻害量または用量は、投与経 路ならびに他の薬剤との共使用の可能性に依存して変動する。 【0108】 本発明の治療方法に従って、ウイルス感染は、ヒトまたは下等哺乳動物などの対象にお いて、所望の結果を達成するのに必要である量および期間、抗C型肝炎ウイルス有効量ま たは阻害量の本発明の化合物を対象に投与することによって治療または予防される。本発 明の追加の方法は、所望の結果を達成するのに必要である量および時間、阻害量の本発明 40 の組成物の化合物を用いる生物学的試料の治療である。 【0109】 本発明の化合物の「抗C型肝炎ウイルス有効量」という用語は、本明細書で使用される 場合、生物学的試料または対象におけるウイルス負荷を減少する(例えば、少なくとも1 0%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、および最も好ま しくは少なくとも90%または95%のウイルス負荷における低減をもたらす)のに十分 な量の化合物を意味する。医療技術においてよく理解されている通り、抗C型肝炎ウイル ス有効量の本発明の化合物は、任意の医学的治療に適用可能な妥当な効果/リスク比であ る。 【0110】 50 (36) JP 2011-510927 A 2011.4.7 本発明の化合物の「阻害量」という用語は、生物学的試料または対象におけるC型肝炎 ウイルス負荷を減少する(例えば、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、よ り好ましくは少なくとも80%、および最も好ましくは少なくとも90%または95%の ウイルス負荷における低減をもたらす)のに十分な量を意味する。前記阻害量の本発明の 化合物が対象に投与される場合、これは医師によって決定される通りの任意の医学的治療 に適用可能な妥当な効果/リスク比であると理解される。「生物学的試料(単数または複 数)」という用語は、本明細書で使用される場合、対象への投与を意図される生物由来の 物質を意味する。生物学的試料の例として、これらに限定されないが、血液、ならびに血 漿、血小板および血液細胞の亜集団等などこの成分;腎臓、肝臓、心臓および肺等などの 器官;精子および卵子;骨髄およびこの成分;または幹細胞が挙げられる。したがって、 10 本発明の別の実施形態は、前記生物学的試料を阻害量の本発明の化合物または医薬組成物 と接触させることによって生物学的試料を治療する方法である。 【0111】 対象の状態の改善に、必要であれば、維持量の本発明の化合物、組成物または組合せが 投与され得る。その後、投与量もしくは投与頻度または両方は、症状が所望のレベルまで 軽減された場合、症状の関数として改善された状態が保持されるレベルまで低減すること ができ、治療は終わるはずである。該対象はしかし、疾患症状の任意の再発に対して長期 ベースの間欠的治療を必要とすることがある。 【0112】 しかし、本発明の化合物および組成物の総1日量は、健全な医学的判断の範囲内で主治 20 医によって決定されることは理解されよう。任意の特定の患者の具体的な阻害用量は、治 療される障害および障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組 成物;患者の年齢、体重、全般的な健康、性別および食事療法;用いられる特定の化合物 の投与時間、投与経路および排出速度;治療の持続期間;および用いられる特定の化合物 と組み合わせて、または同時に使用される薬物;などの医療技術においてよく知られてい る要因を含めた様々な要因に依存する。 【0113】 単回用量または分割用量で対象に投与される本発明の化合物の総1日阻害用量は、例え ば、0.01から50mg/kg体重、またはより通常には0.1から25mg/kg体 重の量であってよい。単回用量組成物は、日用量を構成するこうした量またはこれらの約 30 数量を含有することができる。一般に、本発明による治療計画は、こうした治療を必要と する患者に対し、単数回または複数回の用量において1日当たり約10mgから約100 0mgの本発明の化合物(単数または複数)の投与を含む。 【0114】 特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、 当業者に通常知られている意味と一致している。本明細書に記述されている全ての出版物 、特許、公表された特許出願および他の参考文献を、これらの全てを参照により本明細書 に組み込む。 【0115】 略語 40 スキームおよびそれに続く実施例の記載において使用されている略語は以下の通りであ る。 ACNはアセトニトリル、 BMEは2−メルカプトエタノール、 BOPはベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、 CODはシクロオクタジエン、 DASTは三フッ化ジエチルアミノ硫黄、 DABCYLは6−(N−4’−カルボキシ−4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン)− アミノヘキシル−1−O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホ 50 (37) JP 2011-510927 A 2011.4.7 ラミダイト、 DCMはジクロロメタン、 DIADはジイソプロピルアゾジカルボキシレート、 DIBAL−Hは水素化ジイソブチルアルミニウム、 DIEAはジイソプロピルエチルアミン、 DMAPはN,N−ジメチルアミノピリジン、 DMEはエチレングリコールジメチルエーテル、 DMEMはダルベッコ変法イーグル培地、 DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、 DMSOはジメチルスルホキシド、 10 DUPHOSは 【0116】 【化5】 20 EDANSは5−(2−アミノ−エチルアミノ)−ナフタレン−1−スルホン酸、 EDCIまたはEDCは、1−(3−ジエチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイ ミドヒドロクロリド、 EtOAcは酢酸エチル、 HATUはO(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラ メチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、 Hoveyda’s Cat.はジクロロ(ο−イソプロポキシフェニルメチレン)(ト リシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、 KHMDSはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドであり、 30 Msはメシル、 NMMはN−4−メチルモルホリン、 PyBrOPはブロモ−トリ−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、 Phはフェニル、 RCMは閉環メタセシス、 RTは逆転写、 RT−PCRは逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応、 TEAはトリエチルアミン、 TFAはトリフルオロ酢酸、 THFはテトラヒドロフラン、 40 TLCは薄層クロマトグラフィー、 TPPまたはPPh3は、トリフェニルホスフィン、 tBOCまたはBocは、tert−ブチルオキシカルボニル、および キサントホスは4,5−ビス−ジフェニルホスファニル−9,9−ジメチル−9H−キサ ンテンである。 【0117】 合成方法 本発明の化合物および方法は、本発明の化合物が調製され得る方法を例示する以下の合 成スキームとの関連においてさらによく理解されようが、これらは例示を意図しているに 過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。開示されている実施形態に対する様々な 50 (38) JP 2011-510927 A 2011.4.7 変更および修正は当業者に明らかであり、本発明の化学構造、置換基、誘導体および/ま たは方法に関連するものを制限なく含めたこうした変更および修正は、本発明の趣旨およ び添付の特許請求の範囲から逸脱せずに行うことができる。 【0118】 【化6】 10 20 本発明の化合物の一般的合成戦略をスキーム1に示す。ジフルオロメチルP1アミノ酸 化合物1−1をP2−P3中間体1−2とカップリングしてエステル1−3を生成し、こ れを加水分解してカルボン酸1−4を生成した。スルホンイミド化合物1−5への酸1− 4の変換を、CDIおよびスルホンアミドRSO2NH2を使用して達成した。最終化合 物1−5も、ジフルオロメチルP1スルホンイミド化合物1−6とのP2−P3中間体1 −2の直接カップリングを介して調製した。ジフルオロメチルP1誘導体およびP2−P 3中間体の合成は以下のスキームに記載されている。 【0119】 【化7】 30 40 ジフルオロメチルP1(1−1)の合成をスキーム2に概略する。モノBocアミノ酸 エステルをビスBocアミノ酸エステル2−2としてさらに保護した。化合物2−2の酸 化的切断によりアルデヒド2−3になり、これを次いで、ジエチルアミノ硫黄トリフルオ 50 (39) JP 2011-510927 A 2011.4.7 リド(DAST)などのアミノ硫黄トリフルオリド誘導体を使用してジフルオロメチル化 合物2−4に変換した。HClを使用する2−4の脱保護により、所望のジフルオロメチ ルP1化合物1−1を得た。 【0120】 【化8】 10 20 ジフルオロメチルP1スルホンイミド誘導体1−6をスキーム3に示されている通りに 調製した。化合物2−4の加水分解により酸3−1を生成し、これを、CDI/RSO2 NH2/DBUまたはHATU/DIPEA/RSO2NH2を使用して3−2に変換し た。3−2の脱保護により所望の中間体1−6を得た。 【0121】 【化9】 30 40 中間体1−2を調製するための一般的方法をスキーム4に例示する。環状ジペプチド前 駆体4−3を、Boc−L−tert−ロイシン4−1およびシス−L−ヒドロキシプロ リンメチルエステル4−2から合成した。光延条件下における求核性Wとの化合物4−3 のカップリングにより、化合物4−5を生成した。光延反応のさらなる詳細は、O.Mi 50 (40) JP 2011-510927 A 2011.4.7 tsunobu、Synthesis 1981年、1−28頁;D.L.Hughes 、Org.React.29巻、1−162頁(1983年);D.L.Hughes、 Organic Preparations and Procedures Int. 28巻、127−164頁(1996年);およびJ.A.Dodge、S.A.Jon es、Recent Res.Dev.Org.Chem.1巻、273−283頁(1 997年)を参照されたい。あるいは、(トリエチルアミンなどの)塩基の存在下におけ るMsClとの化合物4−3の反応により、化合物4−4を生成した。(Cs2CO3な どの)塩基の存在下における求核性WによるMsO基の置換により、化合物4−5を得た 。それに続く化合物4−5からの酸保護基の除去により、式1−2の化合物を得た。 【0122】 【化10】 10 20 30 中間体1−2を調製するための別の一般的方法をスキーム5に例示する。環状ジペプチ ド前駆体5−2を、Boc−L−tert−ロイシン4−1およびトランス−L−ヒドロ キシプロリンメチルエステル5−1から合成した。塩基の存在下、化合物5−2を(SN 2置換で)Q’と反応させ化合物4−5を生成した。それに続く化合物4−5からの酸保 護基の除去により、式1−2の化合物を得た。 【0123】 印刷、電子、コンピューター可読の記憶媒体または他の形態であっても、本明細書にお いて引用されている全ての文献は、これらに限定されないが抄録、記事、学術誌、文献、 教科書、論文、インターネットウェブサイト、データベース、特許および特許公報を含め て、これらの内容を参照により全て組み込む。 40 【実施例】 【0124】 本発明の化合物および方法は、以下の実施例との関連においてさらによく理解されよう 。これらは例示を意図しているに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。開示さ れている実施形態に対する様々な変更および修正は当業者に明らかであり、本発明の化学 構造、置換基、誘導体、処方物および/または方法に関連するものを制限なく含めたこう した変更および修正は、本発明の趣旨および添付の特許請求の範囲から逸脱せずに行うこ とができる。 【0125】 実施例1.式VIの化合物(式中、A= 50 (41) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【0126】 【化11】 L= 【0127】 【化12】 10 Q= 【0128】 【化13】 およびG= 【0129】 【化14】 20 ) 【0130】 工程1A 【0131】 【化15】 30 Boc−L−tert−ロイシン(4.544g、19.65ミリモル)、シス−L− ヒドロキシプロリンメチルエステル(19.65ミリモル)およびDIPEA(10.3 ml、59.1ミリモル)のDMF(80ml)中溶液に、0℃において、HATU(7 .84g、20.6ミリモル)は分割添加された。混合物は、室温において18時間撹拌 され、EtOAcで希釈され、半飽和水性NaClで4回洗浄された。有機相は、無水M gSO4で乾燥され、濾過され、次いで、真空において濃縮された。残留物は、シリカゲ ルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=1:1から1:2)によって精製され、 化合物1a(7.8g)が得られた。MS(ESI):m/e 359.24(M+H) 。 【0132】 工程1B 【0133】 40 (42) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化16】 10 上記1a(1.363g、3.803ミリモル)、3−(チオフェン−2−イル)−1 H−キノキサリン−2−オン(0.868g、3.803ミリモル)およびトリフェニル ホスフィン(2.0g、7.6ミリモル)のTHF中混合物へ、0℃において、DIAD (1.5ml、7.6ミリモル)は滴状添加された。得られた混合物は、室温まで温める 前に、0℃において、15分間保持された。18時間後に、混合物は、真空下で濃縮され 、残留物は、クロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=9:1から7:3)によって 精製され、1b(1.8g)が得られた。MS(ESI):m/e 569.27(M+ H)。 【0134】 20 工程1C 【0135】 【化17】 30 化合物1b(1.77g、3.11ミリモル)のTHF/MeOH/H2O(36ml −18ml−18ml)中溶液に、水酸化リチウム1水和物(0.783g、18.6ミ リモル)は添加された。混合物は、室温において20時間撹拌された。殆どの有機溶媒は 、真空において蒸発され、得られた残留物は、水で希釈され、pH5から6まで酸性化さ れた。混合物は、EtOAcで3回抽出された。合わせた有機抽出物は、乾燥され(Mg SO4)、濾過され、真空において濃縮され、1c(95%)が得られた。MS(ESI ):m/e 555.26(M+H)。 【0136】 工程1D 【0137】 40 (43) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化18】 化合物1d−1(6.6g、25.85ミリモル)のTHF(115ml)中溶液に、 10 −78℃において、NaHMDS(THF中1.0M、28.5ml、28.5ミリモル )はゆっくりと添加された。混合物は、−78℃において1時間撹拌された後、THF( 15ml)中のBoc2O(6.8g、1.2当量)は添加された。得られた混合物は、 撹拌され、温度は、一晩掛けて室温まで徐々に上昇させた。反応混合物は、EtOAcで 希釈され、ブラインで洗浄され(2×)、乾燥され(MgSO4)、真空において濃縮さ れた。残留物は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=1:0から8 5:15)によって精製され、1d(8.05g)が得られた。 【0138】 工程1E 【0139】 【化19】 20 化合物1d(0.5g、1.4ミリモル)のイソプロパノール(5ml)中溶液に、N 30 aIO4(0.9g、4.2ミリモル)は添加され、次いで、水(5ml)が添加された 。この激しく撹拌した混合物へ、OsO4(0.4%水溶液、0.22m、2.5%当量 )は添加された。得られた混合物は、室温において4時間撹拌され、EtOAcで希釈さ れ、水性NaHCO3、水性Na2S2O3、ブラインで洗浄され、乾燥され(MgSO 4)、真空において濃縮された。残留物は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/ EtOAc=1:0から85:15)によって精製され、1e(0.37g)が得られた 。 【0140】 工程1F 【0141】 【化20】 40 化合物1e(2.9g、8.1ミリモル)のジクロロメタン(25ml)中溶液に、− 50 (44) JP 2011-510927 A 2011.4.7 78℃において、ジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)(2.7ml、 20.25ミリモル)は添加された。得られた混合物は、−78℃において1時間撹拌さ れ、次いで、温度は、6時間掛けて室温まで徐々に上昇され、EtOAcで希釈され、水 性NaHCO3(2×)、ブラインで洗浄され、乾燥され(MgSO4)、真空において 濃縮された。残留物は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=1:0 から85:15)によって精製され、1f(1.49g)が得られた。出発物質1f(1 .2g)が回収された。 【0142】 工程1G 【0143】 【化21】 10 化合物1f(381mg、1.41ミリモル)のTHF/MeOH(24ml−12m 20 l)中溶液に、水性水酸化リチウム水和物(1.0M、12ml、12ミリモル)は添加 された。混合物は、室温において2日間撹拌された。殆どの有機溶媒は、真空において蒸 発され、得られた残留物は、水で希釈され、pH5から6まで酸性化された。混合物は、 EtOAcで3回抽出された。合わせた有機抽出物は、乾燥され(MgSO4)、濾過さ れ、真空において濃縮され、化合物1g(約100%)が得られ、次工程で直接使用され た。 【0144】 工程1H 【0145】 【化22】 30 化合物1g(1.33ミリモル)およびカルボニルジイミダゾール(323mg、2ミ リモル)は、5mlの無水DMFに溶解され、得られた溶液は、40℃において1時間撹 拌された。シクロプロピルスルホンアミド(483mg、4ミリモル)は、反応混合物へ 添加され、次いで、DBU(0.26ml、1.7ミリモル)が添加された。反応混合物 は、40℃において18時間撹拌された。反応混合物は、酢酸エチルで希釈され、半飽和 水性NaCl溶液で4回洗浄された。有機層は、無水(MgSO4)で乾燥され、真空に おいて濃縮され、化合物1hが得られ、これは、次工程で直接使用された。 【0146】 工程1I 【0147】 40 (45) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化23】 10 上記化合物1hのジクロロメタン(1ml)中溶液は、1,4−ジオキサン(4ml、 16ミリモル)中の4N HClで処理された。混合物は、室温において1時間撹拌され 、濃縮乾固され、1iが得られ、次工程で直接使用された。 【0148】 工程1J 【0149】 【化24】 20 化合物1c(0.075ミリモル)、1i(1当量)およびDIPEA(0.78ml 、0.448ミリモル)のDMF(3ml)中溶液に、0℃において、HATU(37m 30 g、0.097ミリモル)は添加された。混合物は、室温において18時間撹拌され、E tOAcで希釈され、半飽和水性NaClで4回洗浄された。有機相は、無水MgSO4 で乾燥され、濾過され、次いで、真空において濃縮された。残留物は、分取HPLCによ って精製され、標題化合物(10mg)が得られた。MS(ESI);m/z 791. 36(M+H)。 【0150】 実施例2.式VIの化合物(式中、A=H、 L= 【0151】 【化25】 40 Q= 【0152】 【化26】 およびG= 50 (46) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【0153】 【化27】 ) 【0154】 【化28】 10 化合物実施例1(7mg)のジクロロメタン(0.5ml)中溶液は、1,4−ジオキ 20 サン(1ml、4ミリモル)中の4N HClで処理された。混合物は、室温において1 時間撹拌され、濃縮乾固され、標題化合物(HCl塩)が得られた。MS(ESI):6 91.29(M+H)。 【0155】 実施例3.式VIの化合物(式中、A= 【0156】 【化29】 30 L= 【0157】 【化30】 Q= 【0158】 【化31】 40 およびG= 【0159】 【化32】 ) 【0160】 50 (47) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化33】 10 化合物実施例2(0.002ミリモル)およびトリエチルアミン(0.04ml、35 当量)のDMF(1ml)中溶液に、0℃において、シクロペンチルクロロホルメート( トルエン中1.5M、0.02ml、0.03ミリモル)は添加された。次いで、得られ た混合物は、室温において0.5から2時間撹拌され、EtOAcで希釈され、ブライン で洗浄され(2×)、乾燥され(MgSO4)、真空において濃縮された。残留物は、分 取HPLCによって精製され、標題化合物(2mg)が得られた。MS(ESI);m/ z 803.36(M+H)。 【0161】 20 実施例4.式IIIの化合物(式中、A= 【0162】 【化34】 L= 【0163】 【化35】 30 Q= 【0164】 【化36】 およびG= 【0165】 【化37】 ) 【0166】 40 (48) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化38】 10 化合物4−1(2mg、0.009ミリモル)、化合物実施例2(0.004ミリモル )およびDIPEA(0.02ml、0.12ミリモル)のDMF(1ml)中溶液に、 0℃において、HATU(4mg、0.01ミリモル)は添加された。混合物は、室温に おいて18時間撹拌され、EtOAcで希釈され、半飽和水性NaClで4回洗浄された 。有機相は、無水MgSO4で乾燥され、濾過され、次いで、真空において濃縮された。 残留物は、分取HPLCによって精製され、標題化合物(2mg)が得られた。MS(E SI);m/z 888.44(M+H)。 20 【0167】 実施例5から29:表1における式VIの化合物は、実施例1から4および「合成方法 」の項に記載の手順に従って作製される。 【0168】 本発明の化合物は、HCVN S3プロテアーゼに対する強力な阻害特性を呈する。以 下の実施例により、本発明の化合物の抗HCV効果を試験することができるアッセイにつ いて説明する。 【0169】 実施例30.NS3/NS4aプロテアーゼ酵素アッセイ HCVプロテアーゼの活性および阻害を、内部クエンチした蛍光発生基質を使用してア 30 ッセイする。DABCYL基およびEDANS基を短ペプチドの反対端に結合する。DA BCYL基によるEDANS蛍光のクエンチは、タンパク分解切断で軽減される。355 nmの励起波長および485nmの発光波長を使用するMolecular Devic es Fluoromax(または同等物)で蛍光を測定する。 【0170】 該アッセイは、Corningの白いハーフエリア96ウェルプレート(VWR294 44−312[Corning3693])中にて、NS4A補助因子(最終酵素濃度1 から15nM)を繋留した全長のNS3 HCVプロテアーゼ1bを用いて行う。該アッ セイ緩衝液を、10μMのNS4A補助因子Pep4A(アナスペック25336または 自家製、MW1424.8)で補完する。RET S1(Ac−Asp−Glu−Asp 40 (EDANS)−Glu−Glu−Abu−[COO]Ala−Ser−Lys−(DA BCYL)−NH2(SEQ ID NO:4)、アナスペック22991、MW154 8.6)を蛍光発生ペプチド基質として使用する。該アッセイ緩衝液は、pH7.5で5 0mMのHepes、30mMのNaClおよび10mMのBMEを含有する。酵素反応 を、30分の時間経過にわたり室温にて阻害剤の非存在下および存在下で追跡する。 【0171】 ペプチド阻害剤HCV Inh1(アナスペック25345、MW796.8)Ac− Asp−Glu−Met−Glu−Glu−Cys−OH、(SEQ ID NO:5) [−20℃]およびHCV Inh2(アナスペック25346、MW913.1)Ac −Asp−Glu−Dif−Cha−Cys−OH、(SEQ ID NO.6)を、対 50 (49) JP 2011-510927 A 2011.4.7 照化合物として使用する。 【0172】 IC50値は、等式205:y=A+((B−A)/(l+((C/x)^D)))を 使用するActivityBase(IDBS)のXLフィットを使用して算出する。 【0173】 実施例31−細胞ベースレプリコンアッセイ HCVレプリコンRNA(HCV細胞ベースアッセイ)の定量化は、Huh11−7細 胞株(Lohmannら、Science285巻:110−113頁、1999年)を 使用して達成する。細胞を4×103細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種し、DM EM(高グルコース)、10%ウシ胎児血清、ペニシリン−ストレプトマイシンおよび非 10 必須アミノ酸を含有する培地を与える。細胞を7.5%CO2のインキュベーターにて3 7℃でインキュベートする。インキュベーション期間の終わりに、Ambion RNA queous96Kit(カタログNo.AM1812)を使用し、細胞から全RNAを 抽出および精製する。十分な物質をHCV特異的プローブ(下記)によって検出すること ができるようにHCV RNAを増幅するため、HCVに特異的なプライマー(下記)は 、TaqMan One−Step RT−PCR Master Mix Kit(ア プライドバイオシステムズのカタログNo.4309169)を使用するポリメラーゼ連 鎖反応(PCR)によるHCV RNAの逆転写およびcDNAの増幅の両方に介在する 。HCVゲノムのNS5B領域に位置するRT−PCRプライマーのヌクレオチド配列は 以下の通りである。 20 HCVフォワードプライマー「RBNS5bfor」 5’GCTGCGGCCTGTCGAGCT(SEQ ID NO:1): HCVリバースプライマー「RBNS5Brev」 5’CAAGGTCGTCTCCGCATAC(SEQ ID NO2)。 【0174】 RT−PCR生成物の検出を、蛍光レポーター色素および消光剤色素で標識化されてい るプローブがPCR反応中に分解すると発光する蛍光を検出するアプライドバイオシステ ムズ(ABI)Prism 7500 Sequence Detection Sys tem(SDS)を使用して達成する。蛍光量の増加をPCRの各サイクル中に測定し、 RT−PCR生成物が増加する量を反映させる。特に、定量化は、増幅プロットが定めら 30 れた蛍光閾値を越える閾値サイクルに基づく。試料の閾値サイクルを既知の標準品と比較 することにより、異なる試料(ABI User Bulletin#2、1997年1 2月11日)における相対的鋳型濃度の高感度が測定される。該データを、ABI SD Sプログラムバージョン1.7を使用して分析する。該相対的鋳型濃度は、既知のコピー 数(ABI User Bulletin#2、1997年12月11日)を持つHCV RNA標準の標準曲線を用いることによってRNAのコピー数に変換することができる 。 【0175】 RT−PCR生成物を、以下の標識化プローブを使用して検出した。 5’FAM−CGAAGCTCCAGGACTGCACGATGCT−TAMRA(SE 40 Q ID NO:3) FAM=蛍光レポーター色素。 TAMRA:=消光剤色素。 【0176】 RT反応を48℃で30分間行い、続いてPCRを行う。ABI Prism 750 0 Sequence Detection SystemでのPCR反応に使用される 熱サイクルパラメータは、95℃で10分間の1サイクル、続いてそれぞれのサイクルが 95℃で15秒間の第1回インキュベーションおよび60℃で1分間の第2回インキュベ ーションを含める40サイクルである。 【0177】 50 (50) JP 2011-510927 A 2011.4.7 該データを細胞RNA内の内部対照分子に規格化するため、RT−PCRを細胞メッセ ンジャーRNAグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH) で行う。GAPDHのコピー数は、使用された細胞株中で非常に安定である。GAPDH のRT−PCRを、HCVのコピー数が決定されるのと同じRNA試料で行った。GAP DHのプライマーおよびプローブは、ABI Pre−Developed TaqMa n Assay Kit(カタログNo.4310884E)に含有されている。HCV /GAPDHのRNA比を使用して、HCV RNAの複製の阻害を評価される化合物の 活性を算出する。 【0178】 Huh−7細胞株を含有するレプリコンにおけるHCV複製(細胞ベースアッセイ)の阻 10 害剤としての化合物活性 Huh−11−7細胞中のHCVレプリコンRNAレベルにおける特異的抗ウイルス化 合物の効果は、化合物曝露細胞対DMSOビヒクル(陰性対照)曝露細胞における、GA PDHに規格化されたHCV RNAの量(例えばHCV/GAPDH比)を比較するこ とによって決定する。具体的には、細胞を4×103細胞/ウェルで96ウェルプレート 中に播種し、1)1%DMSO(0%阻害対照)を含有する培地、または2)所定濃度の 化合物を含有する培地/1%DMSOのいずれかでインキュベートする。上記した通りの 96ウェルプレートを次いで、37℃で4日間インキュベートする(EC50決定)。パ ーセント阻害率を以下の通りに定義する。 %阻害=100−100*S/Cl 20 ここで S=試料におけるHCV RNAコピー数/GAPDH RNAコピー数比、 Cl=0%阻害対照(培地/1%DMSO)におけるHCV RNAコピー数/GAPD H RNAコピー数比。 【0179】 該阻害剤の用量反応曲線を、特定の化合物の最高濃度1.5uMで出発し、最低濃度0 .23nMで終わるウェルに、3対数を超える3倍の希釈度で順に化合物を添加すること によって作成する。EC50値の位置が該曲線上で明確に示されない場合、さらなる希釈 系列(例えば、500nMから0.08nM)を行う。EC50を、4パラメータの非線 形回帰フィット(4.2.1バージョンのモデル#205、16型)を使用するIDBS Activity Baseプログラム「XL Fit」で決定する。 【配列表】 2011510927000001.app 【手続補正書】 【提出日】平成22年9月27日(2010.9.27) 【手続補正1】 【補正対象書類名】特許請求の範囲 【補正対象項目名】全文 【補正方法】変更 【補正の内容】 【特許請求の範囲】 【請求項1】 式(I) 30 (51) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【化1】 の化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロドラッグ[式中、 Aは、H、R1、−(C=O)−O−R1、−(C=O)−R2、−(C=O)−NR 4R5または−S(O)2−R1、−S(O)2NR4R5からなる群から選択され、 Bは、HまたはCH3であり、 各R1は、 (i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原 子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アル キニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を 含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2− C8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキ ル;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 各R2は、 (i)水素、 (ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iv)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキル ;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 各R4およびR5は、 (i)水素、 (ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iv)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキル ;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 あるいは、R4およびR5は、これらが結合している窒素と一緒になって、複素環また は置換複素環を形成することができ、 (52) JP 2011-510927 A 2011.4.7 Gは、−OR2、−NR4R5、−NH−C(O)−R2、−NH−S(O)2−R6 、−NH−S(O)2NR4R5からなる群から選択され、 各R6は、 (i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール、 (ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル、 (iii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原 子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アル キニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を 含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2− C8アルキニル;−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルキ ル;−C3−C12シクロアルケニルまたは置換−C3−C12シクロアルケニル からなる群から独立して選択され、 Lは、 (i)水素、 (ii)アリール、 (iii)置換アリール、 (iv)ヘテロアリール、 (v)置換ヘテロアリール、 (vi)複素環、 (vii)置換複素環、 (viii)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ 原子を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8ア ルキニル、 (ix)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2 −C8アルキニル、 (x)−C3−C12シクロアルキルまたは−C3−C12シクロアルケニル、 (xi)置換−C3−C12シクロアルキルまたは置換−C3−C12シクロアルケニ ル からなる群から選択され、 Z1およびZ2は、ハロゲン;好ましくはF、ClおよびBrから独立して選択され、 XおよびYは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、アリール、置換アリー ル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールから選択される環式部分を形成し、 Wは存在しない、または−O−、−S−、−NH−、−N(Me)−、−C(O)NH −もしくは−C(O)N(Me)−;−O−、−S−、−N(R5)−、−C(O)−、 −C(O)N(R5)−、−C(O)O−、−N(R5)C(O)−、−NH(CO)N H−、−N(R5)SO2−、アルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケ ニレン、アルキニレン、置換アルキニレンから選択され、 Zは、 (i)水素、 (ii)ヒドロキシ、 (iii)−CN、 (iv)−N3、 (v)ハロゲン、 (vi)−NH−N=CH(R2)(R2は、すでに上記で定義した通りである。)、 (vii)アリール、置換アリール、 (viii)ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、 (ix)−C3−C12シクロアルキル、置換−C3−C12シクロアルキル、ヘテロ シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、 (x)複素環、置換複素環、 (53) JP 2011-510927 A 2011.4.7 (xi)それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子 を含有する、−C1−C8アルキル、−C2−C8アルケニルまたは−C2−C8アルキ ニル;それぞれがO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含 有する、置換−C1−C8アルキル、置換−C2−C8アルケニルまたは置換−C2−C 8アルキニル からなる群から選択され、 mは、0、1、2または3であり、 m’は、0、1、2または3であり、 nは、0、1または2であり、ならびに sは、1、2、3または4である。]。 【請求項2】 式II 【化2】 を有する、請求項1の化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプ ロドラッグ(式中、A、L、X、Y、W、G、Z、Z1およびZ2は、請求項1において 前に定義されている通りである。)。 【請求項3】 式III 【化3】 を有する、請求項1の化合物、または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプ ロドラッグ[式中、 各R71、R72、R73およびR74は、 (i)水素、 (ii)ハロゲン、 (iii)−NO2、 (iv)−CN、 (v)−M−R4(Mは存在しない、またはO、S、NH、N(R5)である。)、 (vi)アリール、 (vii)置換アリール、 (54) JP 2011-510927 A 2011.4.7 (viii)ヘテロアリール、 (ix)置換ヘテロアリール、 (x)ヘテロシクロアルキル、および (xi)置換ヘテロシクロアルキル からなる群から独立して選択され、 A、L、G、W、Z、Z1、Z2、R4およびR5は、請求項1において前に定義され ている通りである。]。 【請求項4】 式IV 【化4】 の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物(式中、A、L、QおよびGは、表1 に表されており、A、L、QおよびGは、表1における各例に表されている。)。 【表1】 (55) JP 2011-510927 A 2011.4.7 (56) JP 2011-510927 A 2011.4.7 (57) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【請求項5】 医薬として許容できる担体または賦形剤と組み合わせて、阻害量の請求項1に記載の化 合物または医薬として許容できるこの塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成 物。 【請求項6】 対象におけるウイルス感染を治療するための、請求項5の医薬組成物。 【請求項7】 ウイルス感染がC型肝炎ウイルスである、請求項6に記載の医薬組成物。 【請求項8】 医薬として許容できる担体または賦形剤と組み合わせて、C型肝炎ウイルスNS3プロ テアーゼ阻害量の請求項1の化合物または医薬として許容できるこの塩、エステルもしく はプロドラッグを含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害するための医薬組成物。 【請求項9】 追加の抗C型肝炎ウイルス剤をさらに含む、請求項6の医薬組成物。 【請求項10】 前記追加の抗C型肝炎ウイルス剤が、αインターフェロン、βインターフェロン、リバ バリンおよびアダマンチンからなる群から選択される、請求項9の医薬組成物。 【請求項11】 前記追加の抗C型肝炎ウイルス剤が、C型肝炎ウイルスヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メ タロプロテアーゼまたはIRESの阻害剤である、請求項9の医薬組成物。 【請求項12】 別の抗HCV剤をさらに含む、請求項5の医薬組成物。 【請求項13】 インターフェロン、リバビリン、アマンタジン、別のHCVプロテアーゼ阻害剤、HC Vポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤または配列内リボソーム進入部位阻害剤 から選択される薬剤をさらに含む、請求項5の医薬組成物。 【請求項14】 ペグ化インターフェロンをさらに含む、請求項5の医薬組成物。 【請求項15】 別の抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤もしくは抗癌剤、または免疫調節因子をさらに含 む、請求項5の医薬組成物。 【請求項16】 シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤または医薬として許容できるこの塩をさ らに含む、請求項5の組成物。 【請求項17】 シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤がリトナビルである、請求項16の組成 物。 (58) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【請求項18】 シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤または医薬として許容できるこの塩、お よび式Iの化合物または医薬として許容できるこの塩を含む、抗C型肝炎ウイルス治療の ための医薬組成物。 (59) JP 2011-510927 A 2011.4.7 【国際調査報告】 10 20 30 40 (60) JP 2011-510927 A 2011.4.7 フロントページの続き (51)Int.Cl. FI テーマコード(参考) A61P 31/14 (2006.01) A61P 31/14 A61P 43/00 (2006.01) A61P 43/00 123 A61K 38/21 (2006.01) A61P 43/00 111 A61K 31/13 (2006.01) A61K 37/66 G A61K 31/427 (2006.01) A61K 31/13 C07K 5/087 (2006.01) A61K 31/427 C07K 5/097 (2006.01) A61P 43/00 121 C12N 9/99 (2006.01) C07K 5/087 C07K 5/097 C12N 9/99 10 (81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM), EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,S K,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW, BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL ,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 20 (72)発明者 オア,ヤツト・スン アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・02472、ウオータータウン、フアイエツト・ストリート ・169 (72)発明者 ワン,ジヤー アメリカ合衆国、デラウエア・19707、ホツケシン、ウエストウツズ・ブールバード・67 Fターム(参考) 4C084 AA01 AA02 AA07 AA19 AA23 AA24 BA01 BA15 BA32 BA44 CA59 DA21 DA22 DA23 DC32 MA02 NA14 NA15 ZB331 ZC201 ZC751 4C086 AA01 AA02 AA03 BC82 GA10 MA01 MA02 MA03 MA04 NA14 NA15 ZB33 ZC20 ZC75 4C206 AA01 AA02 AA03 FA29 MA01 MA02 MA03 MA04 NA14 NA15 ZB33 ZC20 ZC75 4H045 AA10 AA30 BA12 BA51 CA02 DA55 EA29 FA10 30
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