母と娘の絆から生まれる新たな消費とは?

∼母系新3世代型消費の第二章が始まる
Introduction
年前も
﹁ハハコ
︵母
﹁ハハコ世代﹂から
﹁親孝行消費﹂へ?
年前は母が 歳前後、娘も 代前半
と潑剌とした母娘なので、姉妹のような
団塊母娘そのまま、新聞などでは夫の退
職金でちゃっかり海外旅行を楽しむ母娘
といったイメージで語られていた。
リビングくらし HOW 研究所「親の老後について」調査 2011 年 9 月実施
加価値の土俵に上がれることの 点があ
して価格ではなく質や気遣いといった付
親孝行という切り口の長所は、団塊母
娘のみならず全世代に通用すること、そ
当たった。
れ、
﹁親孝行﹂という視点にスポットが
こともあって、より精神的な絆が見直さ
い盛り。さらに東日本大震災を経験した
母と娘の絆から生まれる新たな消費とは?
の財布のヒモは、そう簡単には緩まない
もフロー所得は年金だけでプアなシニア
2012年、団塊世代がセカンドライ
フ に 突 入 し 始 め、 い よ い よ ボ リ ュ ー ム
ということは、前号の当マガジンで特集
費﹂
という視点。
実は
そこで同じく再び注目が集まっている
のが団塊の母娘を対象にした﹁親孝行消
したとおりだ。
ゾーンが新しい市場を作ってくれるので
はと期待が集まっている。今、 歳以上
割が
の年間消費量は個人消費支出全体の半分
近くに上り、個人資産のうち約
歳以上の所有だというから、もはや日本
娘︶世代﹂などと言われて注目されてい
年後の今は、母も 代半ば、娘はア
ラフォーで仕事に家事に子育てにと忙し
り、昨年から﹁親孝行消費﹂が様々に語
られている。
団塊シニアマーケットを考える上で
も、もちろん母娘の﹁親孝行﹂の切り口
は外せないが、その前提となる団塊 世
代の生活構造が変化していることを正し
く理解しておく必要がある。
妻 方 近 接 別 居の 増 加 によ る
﹁母系新 世代型﹂
生活構造へ
団塊シニアの生活が構造的に変化して
いる要因は、夫婦二人世帯や単身世帯が
増えていること︵グラフ ︶にある。し
歳未満の妻に
かし、子ども世帯との住まいの距離は近
孫 / 幼児∼中高生
60
26.9
2
現金、健康食品、宅配惣菜 etc
く、全国家庭動向調査で
見守り、家事代行等手助け
60 代 (n=93)
50 代 (n=221)
た。
理、健康情報などが流れ、娘からはデジ
最新機器、美容、流行情報 etc
き消費を生み出す。 代の親たちは夫婦
でセカンドライフを満喫し個人の趣味の
消 費 も 多 い が、 娘 世 帯 の た め に﹁ 実 家 ﹂
としての器も守らねばならない。特に育
児 と 食 生 活 の 支 援 は 同 居 同 様 に 頻 繁 だ。
外食や行事、旅行など一緒に出かけるこ
とも多く、こうした消費は従来以上だろ
う。
母 系 新 世 代 消 費 の 特 徴 が 出 る の は、
情報の流れだ。 代の母からは家事や料
タル系情報家電や美容、ファッションな
どの流行情報、便利グッズなどの先端的
な 情 報 が 流 れ る。 一 緒 に 出 か け る 場 合
の 行 き 先 な ど は 双 方 で 情 報 交 換 さ れ る。
ジャンルによって主導権は入れ替わる
が、娘が情報のハブとなって、母世代に
新しい情報が入る。母世代が 代になる
A
50
最新機器、美容、流行情報
家事手抜き、資産運用、介護系情報
40
の消費の半分は 歳以上で動いていると
︶
。当社
とさらに娘世代の役割が大きくなり、娘
が母を誘ったり、教えたり、心配したり
するようになる。
家事、健康情報 etc
30
1.1
いってもいい。が、ストックはリッチで
調査した結果では、 時間以内で行き来
% に 及 ん で い る︵ グ ラ フ
できる近距離居住が増え2008年で実
に
が娘側に親との居住距離を聞いた調査で
も、 代、 代で7割近くが近居派だっ
た︵グラフ ︶
。
資産は持っていても情報は遅くなる母
世代、進化した商品やサービスを知らせ
るには母娘の情報流通にうまく乗せれば
いい。母娘でシェアしたり、一緒に買っ
世代型消費のキ
たり参加したり、ともに楽しめる工夫も
必要だ。そして母系新
「くらし HOW マガジン」2013 年 1 月発行/ ©リビングくらし HOW 研究所 ※無断転載を禁じます
3
現金、食料品 etc
■自分の親と同居 ■夫の親と同居 ■両方とも近距離 (1 ∼ 2 時間以内 ) に居住 ■自分の親が近距離 (1 ∼ 2 時間以内 ) に居住 ■夫の親が近距離 (1 ∼ 2 時間以内 ) に居住
■自分の親が遠距離に居住 ■夫の親が遠距離に居住 ■両方とも遠距離に居住 ■親はいない
モは、母娘それぞれの自立精神は尊重さ
母が 70 代になると…情報は主に娘から母へ、娘が見守る立場となり主導権も主に娘
30代、40代は 6割が自分の親と近距離居住
れつつ互いの役に立てる幸せを感じられ
10
7.1
60
代わりにネットショッピングしてあげる
40 代 (n=438)
4.3
3.2
4.5
5.9
4.5
8.0
5.7
5
外食、旅行など一緒におでかけ
10.89.7
7.5 8.6
16.7
15.4
13.. 13.
16.7
15..1 15.8
13.9
10.
15
12.5
10.7
PC 等最新機器、美容、流行情報 etc
30 代 (n=56)
孫 / 乳幼児
30 ∼ 40 代
2008 年
ることなのだと思う。
20
近居派
68%
近居派
68%
100 (%)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
4
18.3 19.
21.4
19..6
17.9
25
家事、料理、健康情報 etc
29.528.8
30
孫の世話など手助け
0
60 代親(夫婦二人暮し)
■敷地内別居 ■ 60 分未満 ■ 60 分以上
5
5
44.6
5
国立社会保障・人口問題研究所
第 3 回・第 4 回全国家庭動向調査 50 代未満の妻に調査
60
33.5
35
現金、食料品、孫の節句用品や洋服 etc
2006 年
3
45
団塊母娘は…対等な情報交流、ジャンルによって主導権は入れ替わる
グラフ C
60
(%) 50
60
双方が適度な距離感とプライバシーを
保 ち な が ら も、 必 要 な と き に 助 け 合 い、
世代
しょっちゅう一緒に食事や旅行、行事を
楽しむ。同居ではない、緩やかな
える。当然ながら、夫の親よりは自分の
型の暮らしが、団塊母娘以降の特徴と言
3
親の老後を心配する人が 割に及ぶ︵グ
ラフ ︶
。
50代未満の妻に聞いた別居親との住まいの距離
60
4
厚生労働省 国民生活基礎調査 2007 年・2011 年
B
1時間以内で行き来できる近距離居住は増える
リビングくらし HOW 研究所「親の老後について」調査 2011 年 9 月実施
60
100 (%)
90
80
70
60
50
40
30
20
3
小遣い
■単独世帯 ■夫婦のみ世帯 ■親と未婚の子のみの世帯
■ 3 世代世帯 ■その他世帯
この、同居に近い﹁妻方近接別居﹂の
増加は﹁母系新 世代型﹂とでもいうべ
9
40 ∼ 50 代
70 代親(一人暮らしも)
親の老後、あなたが心配するのは?
C 40
70
3世代同居世帯は減る一方
■自分の親 ■夫の親 ■自分の兄弟親 ■夫の兄弟親 ■その他
10
0
3
3
グラフ A
グラフ D
グラフ B
60 代 (n=93)
3.6 2.7
50 代 (n=221)
7.1 5.4 3.6
11.6 3.6
2.3
40 代 (n=438)
30 代 (n=56)
0
30.1
40
11.8 9.710.8
11.6
20
68.8
49.1
71.4
2007年
49.1
60
2011 年
81.7
91.1
(%)100
0
81.7
80
1
65歳以上がいる世帯の構成割合
9割が自分の親を心配、夫の親より
自分の親の面倒を見る「母系3世代」
75
30
D