カンボジアへの海外からの直接投資 - Phnom Penh Securities

Special Report
Foreign Direct Investment in Cambodia
カンボジアへの海外からの直接投資
PHNOM PENH SECURITIES
PLC.
No. 32, Monivong Bld, Phnom
Penh, Cambodia
このレポートの内容:
 エグゼクティブサマリー – Page 01
 カンボジアへの海外からの直接投資の概要 – Page 02
Tel: +855-23-426-999
 カンボジア投資の7つの理由 – Page 03
Fax: +855-23-426-495
 まとめ – Page 06
Website: http://www.pps.com.kh
エグゼクティブサマリー
日本語翻訳
Japanese translation
©WorldStock.JP
このレポートでは、なぜ、カンボジアが多くの海外からの直接投資を受け入
れているか、その7つの理由を解説していくことにする。海外からの直接投
資により、安定的資金や新たな技術、斬新な経営ノウハウ、新たな市場がカ
1-7-1Nishishinjuku
Shinjuku-Ku Tokyo
160-0023, Japan
ンボジアにもたらされ、成長と発展の重要な源になっている。海外からの投
http://www.worldstock.jp/cart/inde
x.html
アクセス、魅力的な投資奨励策、安価な労働力、電気・水道への容易なアク
資の理由としては、戦略的地域、開放経済、アセアンや世界に対する有利な
セス、健全なマクロ経済環境と安定した政治状況があるがこれに限定される
ことは無い。
プノンペン証券は、このリサーチレポートが、カンボジアへの投資を検討し
ている外国人にとってよい参考になればと思っている。
14 October 2011
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カンボジアへの海外からの直接投資の概要
海外からの直接投資(Foreign Direct Investment:FDI)は、成長と発展を
もたらす主な源として広く認知されている。なぜならば、それは、資金や技
術、経営ノウハウ、新たな市場へのアクセスをもたらすからである。さらに、
他の資金流入に比べて、長期に約束された直接投資は、受入国にとってより
安定的である。これら利点により、新たな投資家を必要とする新興国は、さ
らなる海外からの直接投資を呼び込もうとする。一方、先進国企業はまた、
安価なコストの新たな場所を探している。
この点で、カンボジアは良い例となる。なぜなら、カンボジアは投資と事業
の発展で理想的な場所だからである。カンボジアの海外からの直接投資は、
殆どなかった1980年代から1990年代後半にかけて年平均で10億ドルにまで
増加した。それは、1991年のパリ和平協定の締結からもある。2011年9月
までに、商務省とカンボジア開発評議会(CDC)は、合計1,736 件、金額に
して、385億ドルの案件を認可した。
テーブル 01: 1994 ~ 2011 年9月カンボジアへの海外直接投資
Year
1994
1995
1996
1997 1998
1999
2000
2001
2002
Number of
Projects
86
125
184
205
Capital
(US$ billion)
0.51
2.24
0.76
0.74
144
91
61
39
31
41
0.85
0.45
0.22
0.2
0.23
0.23
図01: 2009 -2010年分野別投資額
2003 2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011*
Total
52
91
86
90
121
100
102
87
1,736
0.21
0.96
3.47
1.93
11.36
5.86
2.69
5.60
38.51
図02: 2010年上位5位投資国
(US$ million)
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
(US$ million)
1,200
1,000
800
600
400
200
0
2009
2010
Agriculture
Industries
Services
Source: Council for the Development of Cambodia (CDC)
しかし、カンボジアの公式な投資認可額は他の多くの国々、特に後発発展途
上国では、認可ベースの金額である。実際の投資額は認可された額の一部で
ある可能性がある。 しかし、それでも、カンボジアは、新たな投資国を探し
ている企業にとって多くの機会を提供するため、多くの海外からの投資を受
入れている。
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カンボジア投資の7つの理由
戦略的地域
カンボジアは人口1,450万人の小規模な国であるが、ここ数十年、世界の中
でも最も躍動的な地域の中に位置している。それは、東南アジアである。カ
ンボジアは、西と北西にタイに接し、北東にラオス、東、南東にベトナム、
南にタイ湾に接している。さらに、カンボジアは、港や空港へのアクセスが
容易である。陸上貨物輸送の潜在性は高く、特に近隣諸国との鉄道輸送は有
望である。また、天然資源も豊富で、アンコールワットやプレアヴィヒア等
の世界的な遺産もある。それゆえ、カンボジアは、世界的な事業展開におい
て戦略的な場所に位置している。
開放経済
カンボジアは、1990年代初頭より開放経済に転換し、経済的自由化に向けて
年ごとに改善されてきた。2011年の経済自由度指数で、カンボジアは、57.9
ポイントで170カ国中102位、アジア太平洋では、41カ国中17位であった。
他 の 新 興 国 よ り も 順 位 は 比 較 的 高 い ( テ ー ブ ル 02) 。
テーブル 02: 2011 年経済自由度指数、カンボジアとその他諸国
Countries
Cambodia
Vietnam
Laos
Philippines
Indonesia
China
Brazil
India
Score
57.9
51.6
51.3
56.2
56.0
52.0
56.3
54.6
Ranking
102
139
141
115
116
135
113
124
Source: Economic Freedom Index 2011, compiled by Heritage Foundation in the United States
アセアンや世界に対する
1991年のパリ和平協定や開放経済政策により、カンボジアは貿易を促進する
有利なアクセス
多くの国際機関、地域機関に参加できるようになり、輸出関税無税の特権や
最恵国待遇を享受できるようになった。その機関は、ASEAN、WTO、
ASEAN-China 自由貿易地域 (ACFTA)などがある。さらに、カンボジアは、
ASEAN-China 包 括 経 済 協 力 や ASEAN-Japan 包 括 経 済 連 携 、 ASEANKorea 包括経済協力協定、米国とのGSP、欧州との武器以外の全輸入品無関
税政策等の恩恵を保持している。これらの地域統合と協定により、投資家は、
数十億人の顧客に対して優先的にアクセスできる機会を持つことになる。
魅力的な投資奨励策
カンボジアは、開放経済と外国投資の奨励を改善させる多くの法令を採用し
ている。現在、カンボジアは、東南アジアの中でも最も自由な投資制度と税
金優遇策を投資家に提供している。
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カンボジアは、「ワンストップサービス」と呼ばれる敏速な(28日間)投資
認可過程を外国人投資家に対して提供している。外国人投資家は100%出資
が許され、長期の99年の土地賃借を利用できる。さらに、財サービスの価格
は、市場価格であり、事業家は企業運営が容易で、価格戦略も柔軟にできる。
このようにして、カンボジアは、非常に自由な投資政策を採っていることが
分かる。
近年、カンボジアは、特別経済地域( Special Economic Zones :SEZs)を
導入している。一方で、カンボジアの法律は、多くの税制優遇措置を投資家
に付与している。投資家は、法人利益税の8年間免除や原材料、機械、設備
の輸入関税免除、輸出税免除、付加価値税免除を享受できる。それ以外にも
カンボジアは、外国人投資家に対して、事業運営に専門家が必要な場合に全
従業員の10%まで外国人を雇用することを許可し、永住ビザを投資家の家族
にも付与する。また、利益の本国送金は自由である。
外国直接投資の計画はカンボジア開発評議会(CDC)に登録しなければならな
い。これは、「適格投資計画(QIPs)」の承認を得るためである。それによっ
て投資家は事業優遇策を受けることができる。
安
価
な
労
働
力
労働コストは、カンボジア投資の理由の1つである。カンボジアの労働力は、
人口の61%に当たる880万人である。中間年齢は23歳である。新興市場の
国々の中では、カンボジアの労働コストは外国人投資家にとって最もコスト
有利で関心が高い部分である(テーブル03)。 カンボジアは海外企業にとって
かなりの潜在的労働力がある国である。カンボジア人は若く、勤勉で、誠実
で、この地域では最も安価な労働者である。
テーブル 03: 2011 年、月額最低賃金比較
Countries
Cambodia
Vietnam
Laos
Philippines*
Indonesia*
Thailand*
Malaysia
*
China*
Monthly Minimum Wage
(Local Currency: in
thousands)
250
1,170 - 1,550
500 - 700
7.08 - 12.12
547 - 1,020
4.53 - 6.18
0.80 - 1.64
0.39 - 1.12
Monthly Minimum Wage
(US$)
61
56 - 74
62 - 87
163 - 279
61 - 115
147 - 200
256 - 523
61 - 176
Exchange Rate Per US$1
4,103.50
20,865.00
8,024.00
43.30
8,905.00
30.83
3.14
6.38
Source: National Wages and Productivity Commission of the Philippines and Wage Indicator in 2011
*Data in 2010
電気・水道への容易な
労働コストが安価なことに加えて、カンボジアは、水道と電気に対するアク
アクセス
セスの容易さといった生産上の好条件を提供している。カンボジアで最も長
いメコン川やトンレサップ川、カンボジアで最も大きいトンレサップ湖、そ
の他多くの池からの豊富な水源より、カンボジアは、無償の水の供給がある。
さらに、水道水の価格は1㎥当たり0.07ドルと安い。
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電力については、カンボジア電力公社(Electricité Du Cambodge)が、供
給している。僻地では、ディーゼル燃料を使った発電所での供給となってい
る。さらに、電気の価格は、水力発電所の発展により向上している。水力発
電は、電力の十分で信頼できるものとなっており、2024年には国内需要の
3,045 MW を大きく上回る、10,000 MW以上の発電が可能とされている。こ
の点で、カンボジアの電力料金は、現在の価格0.20ドル/kwhよりも確実に安
くなり、周辺諸国に比べても安くなると見込まれている。
図03: 2009年12月の電力料金 (US$/kwh)
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
Phnom Penh Sihanoukville
Siem Reap
Banteay
Meanchey
Others*
Average
Source: EAC – 2010 and PPS staff estimates
健全なマクロ経済環境と
安定した政治状況
2000-07年のカンボジアの実質GDP成長率は、平均で9% でアジアの低所得
国の中では最も高い。また、世界でも成長率の高い国の1つである。一方で、
インフレは周辺国と比較して管理可能な低い値である。加えて、ドル化した
経済で、現地通貨のKhmer Rielは安定的幅でドルと連動している(テーブル
04)。カンボジアは、柔軟な管理通貨政策を採用しているために、1USD =
4,000KHR +/- 5%で変動している。これは、為替レートが+/- 5%の枠を超え
て変動した場合に(3,800 KHR未満または4,200 KHR超)、カンボジア国立銀
行が介入することを意味している。
全ての分野の成長の条件となるインフラの改善により、カンボジアのGDP
は、向こう5年間は平均6.6% の成長となると見られている(テーブル05)。加
えて、カンボジアは、政治的安定や法制度の改善により海外投資家の信頼を
受けている。例えば、汚職防止法の制定等がある。一方で、次の 2013年の
総選挙では、以前よりも良い状況で平穏に静かに行われると見られる。なぜ
ならば、現在の与党(カンボジア人民党:CPP) は、強い支持の下でその座を
保持すると見られるからである。例えば、2008年の選挙ではCPP は既に123
議席のうち90 議席(73%)を獲得していたのである。新たな政府では、
50%+1 の過半数で充分である。
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テーブル 04: 為替レート Khmer Riel Vs US Dollar
テーブル 05: カンボジアの GDP 成長見込み
(End – Period)
Type
Dec-07
Dec-08
Dec-09
Dec-10
10/09
Indicators
2011
2012
2013
2014
2015
Average
Official
4,003
4,081
4,169
4,051
-2.83%
GDP Growth
6.8%
6.5%
6.5%
6.6%
6.8%
6.6%
Market
4,004
4,121
4,186
4,053
-3.18%
Inflation
5.0%
4.5%
3.4%
3.0%
3.0%
3.8%
Source: National Bank of Cambodia
Source: IMF, World Bank, and PPS staff estimates
まとめ
上記のような機会により、カンボジアは海外からの直接投資をさらに呼込む
と見られている。そして、それは、国の経済成長に寄与することになり、相
互に恩恵がある。それゆえ、カンボジアは向こう数年は、更なる海外からの
直接投資を呼込む と見られる。欧米の経済不況にも関わらず、この8月は直
接投資は250%増となった (テーブル01参照)。
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