WEST osaka 縁創建工房国産材をふんだんに使い、職人の手仕事でコツコツ仕上げる家。住むほどに味の増す21 世紀の民家をつくる。 P RO F I L E 日本の風土に合う軒の深いデザイン。外壁は自然素材のシラス壁で仕上げ、玄関周りに木の外壁材を張って街並みに木の温もりを提供している開放感と素材の優しさに子どもの笑顔がはじける大阪・枚方市　S さんの家家族構成／夫 40 歳　妻 37 歳　長女 6歳　次女 4 歳本体工事費／ 1900万円大工の社長が立ち上げた、木の家づくりにこだわる工務店。構造にも内装にも国産の檜や杉をふんだんに使い、職人の技を生かした家は、包まれるだけで懐かしさを感じ、住むほどに味わいを深めるまさに「21世紀の民家」だ。羊毛の断熱材や炭の防蟻剤など、見えない部分まで自然素材を採用しながら、コストを徹底的に見直し、「長持ちする健康住宅を手の届く価格で」との姿勢を貫いている。 DATA 社名／縁　創建工房代表／松藤慎二郎住所／〒572-0052　大阪府寝屋川市上神田1-26-22 ☎ 072・801・1036 70120・118・769 年間建築棟数／ 6 棟社員数／？名平均坪単価／？万円建築地域／大阪府、京都府一部地域、奈良県一部地域設立／ 2006 年11月アフターメンテナンスの対応・半年、1年、2 年、3 年、5 年、10 年代表のコメント家づくりで大切なのは建主とつくり手の人間関係。思いを一つにして二人三脚でつくることだと思います。「家族の思いを詰め込むからこそ、心のこもった自分たちだけの家なんだ」と思ってくださる方との出会いを楽しみにしています。松藤慎二郎 1973 年生まれ。中学卒業後、大工修行へ。2000 年「創建工房」として独立する。'07年に新築事業部「縁　創建工房」を設立。「大阪に 21世紀の民家をつくる」との理念を掲げ、木の家づくりに邁進する。 □ CHECK! 大黒柱八寸角のヒノキが家族を見守る吹き抜けを貫く大黒柱は、八寸（約 24㎝）角で長さ 6m の檜。木の香りあふれるリビングでひときわ存在感を放ち、構造への信頼も感じさせる。「子どもたちは大黒柱の周りをくるくる回って遊んだり、抱きついたり、頬っぺをすりすりしたりしてます」と S さん。お子さんたちの感性を育むのにも一役買っているようだ。木の香りと手づくりの温もりがあふれる事務所。ナラの一枚板の座卓で行う打ち合わせも心地よい。2匹の看板犬と会うのを楽しみに訪れる建主も多いそうすね﹂と満足。気になった暖房効率も、断熱をしっかりするから大ので、体に優しい自然素材の家に﹁子どもも私もアレルギー体質な造作した収納でスッキリ片付き、スタイルに。使い勝手に合わせて母が一緒に作業しやすいオープンキッチンも子どもや遊びに来た丈夫との説明に納得したそうだ。したかったんです﹂と語るＳさん。ＤＩＹで壁塗りにも挑戦家族で楽しんだ家づくり住んでいた築年の家を建て替え参加。木の香りに圧倒されたそう。った縁創建工房の構造見学会に的に使用。外壁や和室はシラス壁奈良の吉野産など、国産材を徹底見産、床の檜や造作に使った杉は柱の檜と梁の杉は和歌山の周参杉の扉は温もり感も十分だ。断熱材や防蟻剤まで自然素材を使るにあたり、インターネットで知うこだわりの深さにも感銘を受け、産の漆喰を塗った。リビングとトで仕上げ、その他の部屋はスイスイレの漆喰塗りは左官職人に教え依頼を決められた。るＳさんは、開放的で・階が子どもとの暮らしを大切に考え日間かかって大変だったけど、楽てもらってＳさん一家が施工。﹁しかったですよ﹂。職人の手仕事にになったＳさん宅である。が少なく、ダイナミックな吹き抜るし、木組が見えて気持ちいいで帰宅した子どもと顔を合わせられるように、リビング内に設けた階段。壁にはステンドグラスをはめ込んだけを設けたプランが提案された。つながるプランを希望。間仕切り 2 ＤＩＹを加え、より愛着深まる家 3 1 ﹁どこにいても子どもの気配がわか SUMAI no SEKKEI NOV./DEC.2010 147 40 □ CHECK! 土間夏の暑さ、冬の寒さを緩和昔ながらの日本家屋のよさを感じさせる土間。南面に配して夏の強い日差しが家の中に差し込むのを防ぎ、冬は外気の寒さが伝わるのを緩和する。 WE S T O S AKA 子どもたちは自由に土間から出入りし、ときには遊び場にも。アウトドア用品や外遊びグッズの収納場所としても重宝する。縁創建工房 □ CHECK! 収納使い勝手や動線を考えてキッチンの壁面収納は、置くものや使い勝手をじっくり考えてプラン。食品や食器を収納することを考え、内部まで国産の杉材を使用している。洗面所やトイレにも十分な収納スペースを造作。また 1 階のウォークインクローゼット（右下）は 2方に出入り口があり、帰宅して着替えて洗面所へ、という動線もスムーズだ。 □ CHECK! 動線内と外のあいまいな空間単なる玄関ではなく、外部とつながる作業空間であり、子どもの遊び場であり、ちょっとした社交の場でもある。そんな昔の田舎家の v にふさわしいアイテムだ。これはダミーテキストです。ダミーです NOV./DEC.2010 SUMAI no SEKKEI 148 右／ 2階ホールにデスクと本棚を造り付け、家族みんなの勉強スペースに。ベンチは S さん（夫）が大工と一緒に手づくりした　中／勉強スペースは吹き抜けで 1階のリビングとつながる。手すりは S さん（妻）の希望でアイアンで製作左／将来の同居も見越して設けた和室は、お母さまの希望でつけた丸窓がモダンな印象。壁は風合いのある薩摩中霧島壁で仕上げた □ CHECK! アンティーク木の家に似合う味わい左／子ども部屋は将来仕切ることも考えてドアを 2 つ設け、上にアンティークのステンドグラスを設置。右／寝室から吹き抜けを見下ろす小窓には、古民家の解体現場で譲り受けた味のある型ガラスを。 2F 吹抜吹抜 1F DATA M y F a v o rit E したSさん一家。子どもたちは漆喰を植木鉢に塗り、ビーズなどを飾ってかわいい鉢を手づくりした。窓辺に飾ればインテリアとしてもおしゃれで、家づくりの INSTRUMENTS 思いでもいつまでもよみがキッチン／クリナップ窓・サッシ／トステム LD の照明器具／コイズミ照明えりそうだ。撮影／松井ヒロシ取材・文／佐々木由紀 149 SUMAI no SEKKEI NOV./DEC.2010 0 和室玄関壁の漆喰塗り作業に参加敷地面積／ 190.60 ㎡（57.76 坪）延床面積／ 122.31㎡（37.06 坪） 1階／ 68.85 ㎡（20.86 坪） 2 階／ 53.46 ㎡（16.20 坪）用途地域／第1種中高層住居専用地域建ぺい率／ 60％容積率／ 200％構造／木造軸組工法本体工事費／ 1900 万円竣工／ 2010 年 6月 90 180 270