指導案例 【注】 指導案例はあくまで一例であり、クラスの人数や、本人や保護者 の意向によって内容は変わってきます。実際の指導は、難聴学級担任と 聾学校の職員が相談しながら行っています。 難聴体験学習 指導案(例) A 市立 B 小学校 難聴学級 1 ねらい ・(交流学年児童)聞こえにくい体験を通して、C さんや難聴の人たちの気持ちを考える。 ・ (難聴学級児童)聞こえにくいことについて友だちと一緒に考え、友だちの感じ方を知る。 2 指導計画(難聴学級 5 時間/交流学年 3 時間) 難聴学級における指導時数 交流学年における指導時数 事前指導 2 時間 各 1 時間 難聴体験学習 1 時間(本時) 事後指導 2 時間 各 1 時間 3 学習過程(45 分) ※Cさんの情報保障は聴覚障害教育支援部の職員が行う。 学習活動の流れ 教師側の投げかけ、発問、支援 1.Cさんの願い「私の気持 「みんなの仲間のCさんは耳が聞こえにくいです。ある時 ちを知ってほしい」を確認す Cさんがこんなことを言っていました。」 る。 【2 分】 『みんなが私のことを分かってくれると嬉しい。 』 ※難聴学級担任が進める。 「どんなことを分かってくれると嬉しいの?と聞いたら次 の 3 つだと教えてくれました。」 『①耳のこと、②聞こえにくいこと、③私の気持ち』 「Cさんは、耳のことや聞こえにくいことはみんなに話し たことがあるけど、③の自分の気持ちは話したことがない そうです。だから、今日はCさんの気持ちをみんなで考え てみましょう。 」 2.本時のめあてを確認する。 「聞こえにくい人の気持ちを考えるために、今日は一人ひ 「聞こえにくい人の気持ちを とりが聞こえにくい人になります。そして、その時どんな 考えよう。」 【2 分】 気持ちになるのかを、自分の心と体で感じてみましょう。 」 3.難聴擬似体験を行う。 【25 分】 ※聴覚障害教育支援部の職員 が進める。 体験の概要〕 ・3 ~ 4 人のグループに分 かれ、全員が交替で体験。 ・ノイズの流れるヘッドホ ンを装用して体験する。 ・全員が体験できるよう 2 ~ 3 回実施する。 ・担任や難聴学級担任は、体験中の子どもの様子を見取り、 必要に応じて個別に対応する。(聴覚過敏、不安そうな 児童など) ・児童のつぶやきを丁寧に記録する。 ・子ども同士のかかわり合いにも注目し、記録する。 (例)大きな声で話す、身振り手振りを交えて伝えようと する、話し手を指さす、体に触れて気付かせる、自 分の動きを真似させる、など。 ・会話に加われない寂しさや、お互いに伝わらないもどか しさ、分からない焦りや苛立ちなど子ども達の表情の変 化を観察、記録する。 4.体験を振り返り、感想を 「聞こえにくいってどんなことなのか、体と心とでたくさ -1- 書く。 (シートに記入) 【5 分】 ん感じることができましたか?どんな気持になりました ※以降、難聴学級担任が進め か?その時の気持ちをシートに書きましょう。 」 る。 〔予想される児童の気持ち〕 ・分からなかった。 ・難しい。大変。困った。つらい。 ・みんなと一緒に話したいのに…。 ・誰か教えてほしい。 ・どうしたらいいの? ・心配になる。寂しい。悲しい。 ・独りぼっちになったみたい。 ・仲間はずれにされたみたい。 ・ついていけない。 (イラスト例) ・イライラした。 ・・ 5.感想を交流する。【9 分】 ・自分の気持ちを吹き出しに書くだけでなく、そんな気持 ちの表情も簡単に絵に描かせる。 「体験をしている時、どんな気持になりましたか?シート を読んでもいいし、書いていなくても、自分の感じたこと を自由に話していいですよ。 」 ・発言を吹き出しに書いて貼る。 ・挙手しない子どものつぶやきも拾う。 ・子どもの発言をそのまま受け止める。共感する。 (例)「一緒に話し合いをしたいのに、話が分からなく て、仲間はずれにされているみたいな気がしたんだね。 寂しくなったんだね。 」など。 6.学習のまとめをする。 「みんなが描いてくれた絵は、悲しそうな顔、寂しそうな 【2 分】 顔、困った顔…このままでいいのかな?どうなったらいい と思う?…これからの生活の中で一緒に考えていきましょ うね。 」 ・難聴学級児童にも投げかける。 「Cさんは、みんなの感想を聞いてどう思ったかな?後で 教えてね。 」 4 配置図(3 ~ 4 人のグループになるような配置) ※割愛 5 交流学年児童への事前指導の概要 (1)昨年度学習したこと、今年度学習する内容を確認する。 (2)聾学校の先生と「聞こえにくい体験」をすることを伝える。 (3)学習の流れを説明する。 ・ヘッドホンを着ける。ノイズが聞こえる。 ・聾学校の先生がいろんなことをする。 その時に聞こえにくいとどんな感じがするのか。 ・感じたことをシートに書いたり、発表したりする。 (4)聞こえにくい体験が成功するための約束を確認する。 ~ヘッドホンに触らない、合図があるまで外さない、等。 (5)グルーピングと体験の順番を決める。 (6)体験で使用する機器を伝え、いつもと違う環境になることを確認する。 ~ヘッドホン、MP3、パソコン(情報保障用) 、ビデオカメラ、等。 -2-
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