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日本語同時通訳付き講演
1、セッション105 3月30日 木曜日午後 2:00- 5:00 pm ---------- P.3
Dr.James L. Gutmann : 現代の根管充填法:適応と評
2、セッション 202 3月31日 金曜日午前 8:30- 11:30am---- P.4
Dr.John West : 難しい症例の根管の清掃、形成、充填
(終診:特殊歯内治療の真髄)
3、セッション 209 3月31日 金曜日 午後 1:00- 4:00pm---- P.5
Dr.Noah
Chiviam,Dr.Mahmoud Torabinejad : MTA の臨床応用の拡大
4、セッション 302 4月 1日 土曜日午前 8:30- 11:30am ----- P.6
Dr.Char1es F.Cox, Dr.Harold R. Stanely : 直接覆髄法と歯髄生物学の進歩
セッション 107 3 月 30 日 木曜日午後 2:00-5:00p.m. ------------------------------- P.7
Dr.Syngcuk Kim, Dr.須田英明 :
LAS18(Meeting Room 314) 4 月 1 日 土曜日 午前 8:30−9:15 a.m.
Dr.松本光吉:歯内療法とレーザー:臨床応用と評価 ------------------------- P.8
LAS19(Meeting Room 314) 4 月 1 日 土曜日
午前 9:15−10:00 a.m.
Dr.小林千尋:トライオート ZX と顕微鏡を用いた歯内療法 ----------------- P.9
LAS20(Meeting Room 314) 4 月 1 日 土曜日
午前 10:00−10:45 a.m.
Dr.山崎宗与, Dr.辻本恭久:活性酸素と歯内療法 ―薬物の作用― ------ P.10
LAS21(Meeting Room 314) 4 月 1 日 土曜日
午前 10:45−11:30 a.m.
Dr.松尾敬志 :不可逆性歯髄炎の診断とその病因 -------------------------- P.11
Poster Research Presentation(Exhibit Halls 2 and 3)
3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
昭和大学
Dr.松岡英美, 他:Er:YAG レーザー照射による根管拡大形成に関する研究P.12
東京医科歯科大学
Dr.村島裕子, 他:カルシウムサルフェートによる骨再生-------------------- P.13
Dr.吉岡隆知, 他:拡大視野下での根管口の探索 ------------------------------- P.14
Dr.片岡博樹, 他:新しいレジン系根管シーラーに関する研究 -------------- P.15
東京歯科大学
Dr.中川寛一、他:根管内での加温が歯周組織に及ぼす影響に
関する実験病理学的研究--------- P.16
1
愛知学院大学
Dr.山崎雅弘,他:免疫抑制状態のラットでの歯髄および
根尖部歯周組織の炎症 --------- P.17
Dr.中村好樹,他:実験的根尖病変に対する MTX と G−CSF の効果 -------- P.18
鶴見歯科大学
Dr.小澤寿子,他:根管拡大時の術者の前腕部筋活動について---------------- P.19
Dr.山崎泰志,他:根管内観察時のファイバ一スコープと
マイクロスコープの比較------------ P.20
日本歯科大学
Dr.勝海一郎:長方形の断面の辺の比率を連続的に変化させた
Kファイルのしなやかさ ------------ P.21
Dr.前田宗宏,他:根管口部の拡大が根管全体の拡大形成に
及ぼす影響 -------------- P.22
Dr.北村和夫,他:各種ファイルによる削片のCLSMと
SEMによる観察 -------------- P.23
Table Clinic (Exhibit Halls 2 and 3)
3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m. Dr.山田邦晶:プロファイルシステムと ED 山田バーを用いたフレアー形成 P.24
2
3月30日 木曜日 午後 2:00- 5:00 pm
セッション105
現代の根管充填法 : 適応と評価
Dr.James
L. Gutmann(D.D.S.)
、ダラス
Session
105
-
2
p.m.
Contemporary
obturation
techniques:
Applications and assessment
James L. Gutmann
この発表は、現在入手可能な多くの根菅充填デクニックについて、各テクニックのパラ
メーター原理および独自性などを説明します。講演終了後には、参加者は以下のことが可
能になるはずです:
●各根管充填テクニックのパラメータを詳細に説明する。
●テクニックの原理と、討議した各方法の適用の独白性を説明する。
●各テクニックの長所と潜在的短所を特定する。
●各テクニックの利用と根管の解剖学的構造の独自性を関連づける。
James L. Gutmann : Problem Solving in Eendodontics. Mosby
James L. Gutmann : Surgical Procedure in Endodontic Practice/
Current Treatment in Dental Practice. Saunders
3
3月31日 金曜日 午前 8:30- 11:30am
セッション 202
難しい症例の根管の清掃、形成、充填 (終診:特殊歯内治療の真髄)
Dr.John West(D.D.S.,Ph.D.)ワシントン州タコマ
Session 202 - 8:30 a.m.
FINISHING: The essence of : exceptional
endodontics
John D. West
あらゆる歯内治療専門医は、すばらしい症例結果を得るつもりで治療を開始します。し
かし、全症例がすばらしい終診にはなりません。このプログラムでは、複雑な歯内治療患
者における治療と終診の指針を教えることに焦点を合わせます。Dr.West は、歯内治療
の最新の臨床的概念に関して、3 時間の対話型講座を行います。検討される重要な項目は、
展望の確立と、基本的な歯内治療の概念と最先端の技術の調和方法などです。目標は、処
置終了後の症例に一貫して国際レベルの歯内治療が施されていることです。講演了後には、
参加者は以下のことが可能になるはずです:
●歯内治療の終診に関するチェックリストを確立する。
●新しい根管用ファイノレの設計幾何学および電気モーターテクニックを学ぶ。
●各種のシ一ムレス歯根形状における加温ガッタパーチャの最大緩衝を獲得する。
●終診時の修復的、歯周的、審美的決定因子を適用する。
●国際レベルの歯内治療を一質して行うための指針をマスターする。
参考文献
1、John D. West : Pathways of the Pulp, Mosby ,1994.
Chapter 8, Cleaning and Shaping the Root Canal System.
Chapter 21, Bleaching of Vital and Pulpless Teeth.
4
3月31日 金曜日 午後 1:00- 4:00pm
セッション 209
MTA の臨床応用の拡大
Noah Chiviam(D.D.S.)、ニュージャージー州ウェストオレンジ
Mahmoud Torabinejad(D.M.D.,M.S.D.,Ph.D.)カリフォルニア州ロマリンダ
Session 209 - 1 p.m. Expanded clinical horizons on MTA
Noah Chivtan and Mahluoud Toliabinejad
この発表では、歯内療法における MTA の臨床応用について検討します。参加者は MTA
の物理的・化学的特性、MTA をいつ、そしてどのように使用するかについて理解してく
ださい。講演終了後には、参加者は以下のことが可能になるはずです:
●MTA の物理的・科学的特性を説明する。
●いつ MTA を使用すべきかを決定する。
●どのように MTA を使用すべきかを理解する。
参考文献
1、Shahrokh Shabahang, Mahmoud Torabinejad, Philip p Boyne, Hamid Abedi,
Paul McMillan : Acomparative Study of Root-End Induction Using
Osteogenic Protein-1, Calcium Hydroxide, and Mineral Trioxide Aggregate in Dogs. J of
Eendo, Vol.25 No.1 P.1-5, 1999.
2、Mahmoud Torabinejad and Noah Chiviam : Clinical Applications of Mineral
Trioxide Aggregate. J of Eendo, Vol.25 No.3 P.197-205, 1999
3、Mahmoud Torabinejad, Thomas R. Pitt Ford, Douglas J.Mckendy, Hamid R. Abedi,
Donald A. Miller, and Stalin P. Kariyawasan : Histologic Assessment of Mineral
Trioxide Aggregate as a Root-End Filling in Monkeys. J of Eendo, Vol.23 No.4
P.225-
228, 1997.
4、Mahmoud Torabinejad : PRTNCIPLES and PRACTICE of ENDODONTICS.
W.B.SAUNDERS COMPANY
5、Noah
Chiviam : Pathways of the Pulp, Mosby,1994.
Chapter 17, Root Resorption.
6、Noah
Chiviam : Principles and Practice of Endodontics/Sounders
Chapter 24, Surgical Endodontics − A Conservative Approach
5
4月 1日 土曜日午前 8:30- 11:30am
セッション 302
直接覆髄法と歯髄生物学の進歩
Char1es F.Cox(D.M.D.)アラバマ州バーミンガム
Harold R. Stanely(D.D.S.,M.S.)フロリダ州オーモンドバイザシー
Session
302
-
8:30
am.
Vital
pulp
therapy:
Microleakage/microbiology and toxicity
Charles F Cox and Harold R. Stanley
参加者は、生活歯髄覆髄(VPC)治療における成功および失敗が、生物学的適合性(毒
性およびその組織病理学的患部の範囲)の程度と、間題を悪化させる微生物の寄与の程度
の複合によることを認識してください。各種の生物学的材料について、その歯髄反応を長
期微小漏洩および再発齲触の結果と共に検討します。講演終了後には、参加者は以下のこ
とが可能になるはずです:
●VPC で成功および失敗が発生する理由を理解する。各種の水酸化カ/レシウム製剤
および接着システムが歯髄組織に与える影響を理解する。
●象牙質に侵入する齲触微生物の速度および深度を認識し、どの時点で顕著な歯髄病変
が発生するかを認識する。
●微小漏洩が存在する場合の微生物と正常歯髄の高いパーセンテージ維持との関係を理
解する。
●残存する歯髄組織の容積を減少させないで、覆髄剤自体をブリッジにする象牙質
ブリッジ形成という新概念を理解する。
●可逆性および非可逆性の歯髄病理の診断鑑別およびその後の歯髄治療(間接/直接歯
髄覆髄、歯髄切断法、あるいはバイオメカニカル・インスツルメンテーション)につ
いて討議する。
1、Chales F.Cox : PRINCIPLES
AND PRACTICE OF ENDODONTICS/
Chapter 21−Preventive Endodontics Protecting the Pulp
2、Cox,C.F. and Bergenholtz G.
:Healing sequence in capped inflamed dental pulp of
Rhesusmonkeys (Macaca mulatta). Int.End .J.
,19:13∼120,1986.
3、Martin Brannstrom : DENTIN AND PULP in Restorative Dentistry. WOLFE,1982.
6
3 月 30 日 木曜日午後 2:00−5:00p.m
セッション107
Syngcuk Kim(D.D.S.,Ph.D.) ペンシルバニア大学
須田英明(D.D.S.,Ph.D.) 東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第三講座
歯髄の病的状態における感覚神経と微小循環の相互作用は、炎症のメカニズムを細胞レ
ベルで考察する上で、またとない貴重な研究材料といえる。そこには、一酸化窒素(NO)
、
cGMP、あるいは神経ペプチドなどの内因性生理活性が関与している。例えば、感覚神
経終末から放出される神経ペプチドは、神経原性炎症を惹起することが知られている。
象牙質知覚過敏症のメカニズムに関しては、単に象牙細管の開口のみならず、最近では
歯髄神経の過敏化や増生の役割が重視されている。さらに、象牙質知覚過敏症に関与する
中枢神経系内の可塑性も注目を浴びている。
本講演では、まず Kim 教授が炎症一般について概要を述べ、微小循環と感覚神経の関
連性について判りやすく紹介する。次いで、生理活性物質としてのNO、神経ペプチドで
あるP物質(SP)とカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、およびcGMPの
役割を説明する。次いで須田は、歯髄内神経線維の役割と、炎症時におけるそれらの変化
動態を中心に解説する。すなわち、歯髄神経の機能的分類、炎症時の神経変化と増生、レ
−ザ−照射に対する歯髄神経の応答の様相、さらに象牙質知覚過敏症と歯髄神経との関係、
などについて述べる。
最後に両演者から、上述の事項がどのように臨床に直結するかについて追加発言を行う。
すなわち、象牙質知覚過敏症の機序に関する最新情報と処置方法、温度診の意義、歯髄へ
のレ−ザ−照射の安全性などについて両名の考え方を提示する。
一般の臨床家の方々にとって判りやすい話にしますので、多くの方々の御来場を
お待ちしております。
参考文献
1、須田英明:歯の慢性の痛み.日本歯科医師会雑誌;46(6)17∼25 1993.
2、山本 寛、須田英明:歯と口腔領域の痛み.日歯内誌;16(2)175∼190 1995.
3、Hideharu Ikedda,Hideaki Suda:Subjectie Sensation and Objective Neural Discharges Recorded
from Clinically Nonvital and Intact Teeth. J of Endodon;
24(8) 552-556 1998
7
4 月 1 日 土曜日 午前 8:30−9:15 a.m.
LAS18(Limited Attendance Session) Meeting Room 314
歯内療法とレーザー:臨床応用と評価
松本光吉
昭和大学歯学部第一保存学教室
Lasers in endodontics : Clinical application and assessment
Koukichi Matsumoto,D.D.S.,Ph.D. Tokyo Japan
レーザー技術の急速な発展により、医科同様、歯科においてもレーザー治療が実用化さ
れてきました。今回の発表は、現在、歯科で入手可能ないくつかのレ一ザーシステムを用
いた臨床経験に基づくものです。レーザーを利用した、歯髄炎の診断法、象牙質知覚過敏
症の疼痛軽減、および抜髄法や感染根管治療法への応用などを報告します。講演終了後に
は、参加者は以下のことが理解できるようになるであろう。
1、レーザーによる間接および直接歯髄覆髄、生活歯髄切断、歯根破折、などへの適用
およびテクニックについて。
2、アピカルシート部に残存するデブリーのレーザーによる除去法。また、レーザーと
組み合わせた 1 回治療法は、通常の方法に比べ術後の疼痛が少ない理由について。
3、フッ化ジアミン銀とレーザーを組み合わせた根管壁の滅菌および強化の可能性につ
いて。
4、根管内のガッタパーチャおよび破折器具の除去、およびレーザーによる根管 充填
の可能性について。
5、持続性打診痛および三叉神経痛などのレーザーによるペイン・コントロニルの可能
性について。
6、レーザーによる根尖膿瘍からのドレナージの可能性をについて。
参考文献
1、松本光吉 編著:歯科用レーザー最前線.デンタルダイヤモンド,1999.
2、松本光吉、庄司茂、斎藤祐一 編著:最新歯科用レーザー.クインテッセンス, 1997.
3、松本光吉、ローホンサイ 編著:レーザー臨床上下:医歯薬出版,1994. 1995.
4、松本光吉 著:歯科用レーザー臨床症例集.デンタルホラム,1994.
5、松本光吉 著:レーザーに強くなる本.クインテッセンス, 1993.
8
4 月 1 日 土曜日
午前 9:15−10:00 a.m.
LAS19(Limited Attendance Session) Meeting Room 314
トライオート ZX と顕微鏡を用いた歯内療法
小林千尋
東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第三講座
TriAuto ZX and microendodontics
Chihiro Kobayashi,D.D.S.,Ph.D. Tokyo Japan
近年改良され広く普及してきたエンジン用ニツケルチタンファイルを演者の開発した
トライオート ZX に装着し、安全かつ迅速に根管形成する方法について供覧する。
ニッケルチタンファイルとしては、GT rotary, Orifice Shaper,ProFi1e などを用いる。術式
はクラウンダウン法で、トライオート ZX はトルクを強くした設定で用いる。
術中の様子を microscope につけた video camera で記録したものも供覧する。 Maicroscope
は、 髄腔開拡の確認、根管口の発見、根管内清掃状態の確認などに非常に有効である。
ニツケルチタンファイル、トライオート ZX、microscope により歯内療法が確実・迅速・
正確なものになった。
参考文献
1、小林千尋:―オートリバースハンドピースを用いたー
ニッケルチタンファイル根管形成法 ,医歯薬出版, 1999-12.
2、小林千尋:エンジとニケルチタンファイルによる根管形成 雑感(1)
日歯内療誌:18 巻 2 号,P.139∼144.1997.
3、斎藤達哉、他:トライオート ZX を用いた根管形成の評価,日歯保存誌:41巻4号
P.655∼669. 1998.
4、橋本幸扶、その他:ライトスピードによる根管形成 −湾曲度の異なった透明模型に
ついて,日歯保存誌:41巻6号 P.1165∼1170.1998.
5、林千尋:Orifice Shaper と ProFile によるクラウンダウン法,デンタルマガジン
94: 42∼46,1998.
6、Chihiro Kobayashi, Takatomo Yoshioka, Hideaki Suda : A New Engine-Driven Canal
Preparation System with Electronic Canal Measuring Capability.
J of Eendo, Vol.23 No.12 P.751-754, 1997.
9
4 月 1 日 土曜日
午前 10:00−10:45 a.m. LAS20(Limited Attendance Session) Meeting Room 314
活性酸素と歯内療法 ―薬物の作用―
山崎宗与
辻本恭久
日本大学松戸歯学部歯内療法学講座
Active Oxygen and Endodontic Treatment: Action of Medicaments
Muneyoshi Yamazaki D.D.S. Ph.D.
Yasuhisa Tsujimoto
D.D.S. Ph.D.
Department of Endodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo
歯内療法において各種の薬剤が使用されている.特に,NaClO と H2O2 は根管洗浄剤と
し て 通 常 使 用 さ れ て い る . こ れ ら の 反 応 に つ い て は , こ れ ま で NaClO+H 2O2 →
NaCl+H2O+2O であると考えられてきた.2O は酸素原子でこれは変化して酸素分子の O2
となる.しかし,詳細な反応メカニズムについては明らかとなっていなかった.
そこで,われわれの研究室では,磁気共鳴(ESR) spin−trapping 法を用いて NaClO と H2O2
の混合液の特徴について研究を行なった.この方法は,フリーラジカルや活性酸素種の研
究にとって効果的な機器である.活性酸素のスーパーオキサイドアニオンラジカル(O2−・),
ヒドロキシラジカル(・OH)そして H2O2 は,それらの殺菌効果や,炎症,放射線ダメー
ジ,老化,突然変異等のアブノーマルな生物学的現象を引き起こすことで注目を浴びてい
る.われわれは,これまでに NaClO と H2O2 の混合液において,O2−・と・OHの 2 種の活
性酸素を検出した.また,O2−・と・OHの発生にはpHが影響していること,O2−・は H2O2
から発生していることを解明した.さらに,われわれは活性酸素による殺菌効果,DNA
破壊効果,歯の漂白効果等の研究をしており,それらの結果をLASにおいて発表する予
定である.
参考文献
1)
Atsushi Shiozawa: Characterization of reactive oxygen species generated from the mixture of NaClO and H2O2
used as root canal irrigants, J Endodon, 26, 11-15, 2000.
2)
辻本恭久他:NaClO と H2O2 混合液のスメアー層除去効果について,日歯内療誌,18,19−24,1997.
3)
Hajime Yamamoto: Bactericidal effect of active oxygen species on streptococcus mutans and their influence on
genomic DNA, Nihon Univ J Oral Sci, 24, 29~37, 1998.
10
4 月 1 日 土曜日
午前 10:45−11:30 a.m.
LAS21(Limited Attendance Session) Meeting Room 314
不可逆性歯髄炎の診断とその病因
松尾敬志
徳島大学歯学部歯科保存学第一講座
Diagnosis of irreversible pulpitis and its pathogenesis
Takashi Matsuo,D.D.S.,Ph.D. Tokushima Japan
歯髄炎が可逆性か不可逆性かを診断することは、その治療方針を決定する上で重要であ
る。しかし、その診断は現在においても極めて難しい。歯髄炎はその初期のステージにお
いて可逆性歯髄炎から不可逆性歯髄炎へと移行すると考えられおり、歯髄に細菌感染が起
こった場合は不可逆性歯髄炎と考えられてきた。しかし齲蝕による露髄でも覆髄処置が成
功することも報告されており、その詳細は不明である。そこで我々は齲蝕除去中に露髄し
た歯に直接覆髄を施し、その成功率および覆髄の可否を決める臨床指標を検討した。その
結果、齲蝕で露髄した場合においても直接覆髄は禁忌ではなく・症例を選ぶことにより
80%以上の高い成功率が望めること、また露髄時の出血の多寡が覆髄処置の予後の指標に
なることが明らかとなった。さらに、歯髄血液中の好中球エラスターゼ濃度が可逆性の歯
髄炎に比べ、不可逆性の歯髄炎では有意に高いことが示された。好中球の集簇による膿瘍
形成は歯髄炎の不可逆性化の原因と推察されている。そこで歯髄炎の不可逆性化における
好中球の役割について in vitro 系で検討した。その結果、好中球は細胞外マトリックスを
破壊することにより歯髄細胞の剥離を引き起こし、不可逆的な歯髄組織破壊を惹起するこ
とが示され、歯髄炎の不可逆性化に好中球が重要な働きをすることが明らかとなった。
参考文献
1、Takashi Matsuo,Tadashi Nakanishi,Hirotoshi Shimizu,Shigeyuki Ebisu:
A Clinical Study of Direct Pulp Capping Applied to Carious-Exposed Pulps.
J Eendodon., Vol.22 No.10, P.551-556, 1996.
2 、 Tadashi Nakanishi, Takashi Matsuo, Shigeyuki Ebisu : Quantitative Analysis of
Immunoglobulins and Inflammatory Factors in Human Pulpal Blood from Exposed Pulps.
J Eendodon., Vol.21 No. 3, P.131-136, 1995.
1、中西正、松尾敬志、多川知里、白神俊之、恵比須繁之:歯髄血液を用いた客観的歯髄
診断の開発に関する研究 ―微量歯髄血液の採取法についてー.日歯保誌 36
(5) 1404∼409, 1993
11
3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
Poster Research Presentation Exhibit Halls 2 and 3
Er:YAG レーザー照射による根管拡大形成に関する研究
○松岡英美、代永一雄、木下潤一朗、木村裕一、松本光吉
昭和大学歯学部第一保存学教
Root canaI preparation by Er:YAG Iaser irradiation
Emi Matsuoka,D.D.S.,Ph.D., et al.
Tokyo Japan
本研究の目的は Er:YAG レーザー照射による根管拡大形成の効果を評価することである。
観察試料として弯曲のない単根ヒト抜去歯 40 本を用いた。通法に従って天蓋除去後、被
験歯を 20 本づつ二群に分けた。レーザー照射は二つの条件で 3 種類のファイバーチップ
を用いて行った。ファイバーチップは直径の細いタイプから順に使用した。レーザー照射
後、被験歯を縦に割断し、実体顕微鏡、走査型電子顕微鏡にて観察した。根管拡大の程度
は残存組織の有無、アピカルシートの形成状態、パーホレーションの有無についてのクラ
イテリアに従って評価した。二群において拡大に要した時問は One−way ANOVA にて統
計学的処理を行った。レーザー照射により 1 群(2Hz、136∼184mJ)では 70%以上、2 群
(2Hz,170∼230mJ)では 80%以上において根管拡大が認められた。1群では残存歯髄
組織が観察された被験歯もあったが、2 群では観察されなかった。拡大に要した時問を統
計学的に処理したところ、危険率 1%で 2 群において有意に良い結果を得た。これらの結
果より適切な照射条件を設定すれば、Er:YAG レーザーは根管拡大に有効であることが示
唆された。
参考文献
1、 Levy,G. : Cleaning and shaping the root canal with a Nd:YAG laser beam a
comparative study., J. Endodon. 18, 123-127, 1992.
2、Cohen B.I. ,et al. : Effect of power setting on temperature change at the root
surface when using a holomium YAG laser in enlarging the root canal.,
J.Endodon. 22, 596-599, 1996.
3、Matsuoka E., et al : Studies on removal of deburis near the apical seats by
Er:YAG laser and assessment with a fiberscope., J.Clin. Laser Med. Surg.
16, 255-251, 1998.
12
3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
Poster Research Presentation Exhibit Halls 2 and 3
カルシウムサルフェートによる骨再生
○村島裕子、吉川剛正、和達礼子、澤田則宏、須田英明
東京医科歯科大学歯科保存学第三講座
本研究の目的は根尖切除術後の骨欠損に対するカルシウムサルフェートの効果を検索
することである.
ビーグル成犬の下顎第三および第四前臼歯を通法に従い根管治療並びに根尖切除術を
行った後,以下の三種類の骨欠損を両側下顎骨に作製した:I 型 -第三前臼歯近心根
周囲の歯周ポケットと交通した骨欠損,II 型- 第三前臼歯遠心根と第四前臼歯近心
根を含む二歯にわたる大きな骨欠損,III 型 -第四前臼歯遠心根を含むいわゆるス
ルーアンドスルーの骨欠損.実験側骨欠損には医療用カルシウムサルフェート
(Class Implant)を充填した.反対側骨欠損は何も充填せず縫合し,対照群とし
た. 8 週もしくは 16 週間飼育後薬殺し,非脱灰研磨標本を作製し,組織形態学的に検
索した.
I 型の骨欠損では,術後 16 週においても頬側根面の骨は再生されなかった.しかし,
II 型,III 型の骨欠損では,実験側において骨の再生が 8 週で対照側に比べ促進してお
り,16 週においては新生皮質骨が認められた.これらの結果より,根尖切除術後の骨
欠損における骨再生はカルシウムサルフェート充填により促進される可能性が示唆さ
れた.
参考文献
1、井澤常康、澤田則宏、井須田英明:エンドサージェリーの最近の話題から、
99 別冊 the Quintessence 現代の根管治療の診断科学,77∼80,1999.
13
3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
Poster Research Presentation Exhibit Halls 2 and 3
拡大視野下での根管口の探索
○吉岡隆知、小林千尋、須田英明、
東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第三講座
本研究の目的は、拡大視野下での根管口の発見率を肉眼での場合と比較することで
ある。実験には、水道水中に保存されたヒト抜去歯を用いた。上顎は中切歯、第一小
臼歯、第一大臼歯および第二大臼歯を各 30 歯、下顎は中切歯、側切歯、第一小臼歯お
よび第二大臼歯を各 30 歯、第一大臼歯を 20 歯、合計 260 歯を用いた。
髄腔開拡後、根管口を肉眼、歯科用ルーペ(Surgitel、General Seientific、USA、
3.3 倍)および実体顕微鏡(Opmi99、Zeiss、Germany、12.2 倍)で観察した。実際の根管
口の数は根管内にインディアンインクを注入した透明標本上で確認した。各方法にお
ける根管口の発見率は、透明標本上で確認できた根管数に対する割合で求めた。
上顎第一大臼歯では口蓋根は、すべての被験歯において肉眼により確認できた。近
心および遠心頬側根では、ルーペ、実体顕微鏡の順に根管口の発見率が上昇すること
が確認できた。特に近心頬側根では肉眼による発見率は 49%と低いものの、実体顕微
鏡を使用すると発見率は 82%と著しく向上した。しかし、残りの 18%は確認することが
できず、全ての根管が発見できるということではなかった。全根管を合計すると、根
管口の探索方法には有意差が認められた(_2 検定、p<0.05)。特に実体顕微鏡の使用
は根管口の発見に有効であった。
明るい視野が高倍率で得られるために肉眼と比較して実体顕微鏡下での根管口の発
見率の方が高くなった。ルーペは実体顕微鏡ほどの著しい効果は認められなかった。
参考文献
1、井澤常康、S.Kim、:歯内療法における外科用実体顕微鏡の使用.日本科評論, (678):171∼178,1999.
2、井澤常康、S.Kim、井須田英明:Microscopic Endodontic Surgery の実際と今後の
展望. The Quintessence,15 : 2043∼2052, 1996.
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午前 8:30−11:00 a.m.
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新しいレジン系根管シーラーに関する研究
○片岡博樹、吉岡隆知、須田英明
東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第三講座
本研究の目的は、新しく開発したレジン系根管シーラーの根管壁象牙質に対する接着シ
ステムを確立し、その根管封鎖性と細胞毒性を 2 種類の既存のシーラーである Kerr 社製
Pulp Canal Sealer EWT および Sealapex をコントロールとして比較検討することである。
試作シーラーの組成は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、メタ
クリル酸メチル、ジルコニア、キャタリストの TBB である。象牙質接着性における前処
理剤およびプライマーの影響を引張り接着試験および走査電子顕微鏡による観察で評価し
た。根管充填後 1、4、12 週での根尖側および歯冠側の漏洩をメチレンブーを用いた色素
浸透試験で評価した。3 種類の根管シーラーの細胞毒性試験は新生マウス頭蓋冠由来
MC3T3-E1 細胞を用いて行った。トリチウムチミジンの細胞への取り込み量を細胞毒性
の指標として測定した。実験結果は一元配置分散分析を用いて統計学的に解析した。各群
間の平均値の比較をシェフェのテストを用いて危険率 5%で行った。試作シーラーは象牙
質を EDTA 処理後グルタルアルデヒド含有 HEMA プライマーで前処理することにより有
意に高い接着強さが得られた。試作シーラーはコントロールシーラーと比較して 12 週で
有意に高い歯冠側での根管封鎖性が得られた。SEM 観察の結果、レジンシーラーと根管
象牙質との界面にはほとんど間隙がないことがわかった。レジンシーラーの細胞毒性はコ
ントロールシーラーと比較して低いことがわかった。
本研究の結果、新しいレジンシーラーは象牙質接着性、良好な根管封鎖性、低毒性とい
った多くの利点をもつ根管シーラーであることがわかった。
参考文献
1、片岡博樹,その他:4−META/MMA−TBBレジン象牙質接着に及ぼす
次亜塩素酸ナトリュウムの影響.日歯保存誌:42 巻1号 P.241∼247,1999.
2,逸見浩史、その他:4−META/MMA−TBBレジンを基材とする試作根管
シーラーの基礎的研究.日歯保存誌:41巻5号,P.946∼951,1998.
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根管内での加温が歯周組織に及ぼす影響に関する実験病理学的研究
○中川寛一、土倉 康、浅井康宏、
東京歯科大学歯科保存学第一講座
この研究の目的は、根管内に発生した熱の伝導を受けた時の歯周組織反応を、病理組織
学的に検索することである。ブキャナンのヒートプラガーで根管内に発生した熱を歯根表
面でも測定した。
この研究には6匹の健康な雑種成犬を使用した。全身麻酔下に通常の局所麻酔を施して
ブローチにて抜髄し、根管長は主根管下端の盲端を基準として設定した。口腔前庭にフラ
ップを設け、皮質骨を通して実験の歯根表面の根端部と根側部に熱電対を設置した。シス
テムBの熱源上に置いたブキャナンのヒートキャリアーを根管の作業長まで挿入して、5
秒間作動した。温度変化の測定後、根管をガッタパーチャとシーラーでにて根管充填した。
実験動物は実験後1、2、4週間で薬殺し、顎骨をホルマリン・スクノール水溶液にて固
定した。歯と周辺組織は石灰、脱水後シオジリンに包埋切片とし、ヘマトキシリン・エオ
シンで染色を施した。標本は病理組織学的に検索した。
根管内の熱伝導中に根管に生じた歯根の表面温度の平均値は、根側部で 9.8±4.9℃から
根端部で 2.5±0.9℃までの範囲になった。
病理組織学的では、根側部の標本に充血と歯根膜線維の乱れが観察された。4週間の標
本では、骨性癒着が見られた。根端部の標本は根側部の標本と同様であるが、根側部の方
が根端部のものより病理組織変化は著名であった。コトロールグループでは、歯根膜線維
の乱れや癒着は明らかでなかった。根管形成後の歯根の残存厚さと温度変化との間に関連
はない。
この研究は、根管内処置のための熱発生操作が明らかに歯根膜組織に損傷を与えること
を示している。
参考文献
1、 土倉 康:根管内での加温が歯周組織に及ぼす影響に関する実験病理学的研究;
日歯保誌 41(4)749∼765,1999
2、 土倉 康、他:根管内の温度上昇が当該歯牙の歯周組織に及ぼす影響に関する研究;
日口腔インプラント誌,11,272,1998
3、 中川寛一、他:根管の三次元的充填法に関する研究(第一報)ヒートキャリアーに
よる歯根表面への熱伝導について;日歯保誌 40,1014∼1019,1997.
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免疫抑制状態のラットでの歯髄および根尖部歯周組織の炎症
○山崎雅弘、岩間彰宏、西垣慶之、中村好樹、今泉一郎、前川佳徳、中村洋
愛知学院大学歯学部口腔治療学講座
今回の実験の目的は、免疫抑制状態のラットと通常のラットを比較して、その歯髄およ
び根尖部歯周組織の炎症状態の差を診査することである。そこで我々は、免疫抑制剤であ
る FK506 が歯髄の露出後の歯髄および根尖部歯周組織におよぼす影響を観察した。FK506
はリンフォカイン、特にインターロイキン 2(IL-2)の遊離を抑制し、ヘルパー丁細胞の
増殖を阻害することは良く知られている。本実験には、24 匹の雄性ラットを用いた、す
べての動物で、下顎第一臼歯の歯髄を露出し、そのまま放置した。実験群の動物では、FK506
を体重 1g当たり 0.32mg を筋肉内注射で投与した。しかし、対照群の動物では、何も投
与しなかった。両群の動物は共に、露髄後 14,28 日で屠殺された。我々は、レントゲン
写真上での根尖病変の大きさ、並びに、歯髄および根尖部歯周組織の組織所見を評価した。
さらに、免疫学的に、組織中の IL-2,IL-2 レセプターおよび CD4 の発現を検出した。
レントゲン写真上で、実験群の根尖病変の大きさは、14 および 28 日で、対照群のもの
に比べて、統計学的に有意(P<O.O1)に大きかった。組織学的所見では、実験群の、歯
髄の壊死、根尖部の炎症および歯槽骨の吸収は、対照群のものより強かった。実験群の根
尖部での、IL−2 の発現および IL−2 レセプターおよび CD4 の発現した細胞は、対照群
のものに比較して、有意(P<0.01)に少なかった。これらの結果から、免疫抑制状態の
ラットでの、歯髄および根尖部歯周組織の炎症は、正常のラットのものよりも悪化した。
さらに、FK506 の投与が口腔内での防御的な免疫反応を抑制し、歯髄の露出後の歯髄お
よび根尖部歯周組織の組織破壊を促進することが示唆された。
参考文献
1、堀場直樹、中村 洋:根管内の病的因子について.日歯内療誌;16(2)191∼200,1995.
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実験的根尖病変に対する MTX と G−CSF の効果
○中村好樹、岩間彰宏、山崎雅弘、中村洋
愛知学院大学歯学部口腔治療学講座
この研究の目的は、好中球を減少させる Methotrexate(MTX)と好中球を増加させる
G-CSF を根尖病変のあるラットに投与して、根尖病変ヘの影響を観察することである。
最初にラットに根尖病変を作成後、それぞれの薬剤を投与して、根尖病変を病理組織学
的、組織形態計測学的に検索した。その結果、好中球を減少させる MTX を投与したラッ
トでは根尖病変が大きくなり、根尖病変が進展することが示唆された。すなわち、血中の
好中球が減少すると根尖病変が大きくなることが判明した、しかし、好中球を増加させる
G-CSF を投与したラットについては、根尖病変の大きさには変化がなかった。
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午前 8:30−11:00 a.m.
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根管拡大時の術者の前腕部筋活動について
○小澤寿子、中野雅子、杉村博行、庫山寛也、田畑幸樹、中村治郎、塩澤光一*
鶴見大学歯学部第二歯科保存学教室、生理学教室*
根管拡大用器具のハンドル径や、術看の手首の角度が、根管拡大時の労力に影響を与え
るか否かについて、筋電図を用いて検討を行った。2 種頬のハンドル径(3,5 ,5,0mm)
の円柱状ハンドル径を持つ 45 号Kファイルを試作した。 各ファイルを使用して 7 人の
歯科医師が被験者となり、作業長 5,0mm、内径 0,5mmのアクリル樹脂型根管模型の穿通
をリーミングにより行った。手首の角度は、ストレート、掌側屈曲、背側屈曲の 3 種類と
した。筋電図測定部位としては、拇指―示指ピンチ動作時に筋活動を容易に触知できた 3
筋、短拇指屈筋、橈側手骨屈筋、腕橈骨筋の筋腹を選択し、双曲の表面電極を用いて・各
筋の筋電図を導出した。筋電図および積分処理した積分筋電図はペンレコーダーで記録し
た。穿通に要した時間と各筋の積分筋電図面積および最大筋活動量を測定し、統計学的検
討を行った。
その結果、ハンドル径 5,0mmのファイル使用時の方が径 3,5mmの時よりも、穿通時間、
各筋の筋活動量が有意に小さかった。
また、手首の角度については、橈側手骨屈筋の短栂指屈筋の筋活動量が手首がストレー
トな時と比較して有意に大きかった。
以上により、器具のハンドル径および術者の手首の角度は、根管拡大時間や術者の筋活
動に影響を与えることが示唆された。
参考文献
1 . Ahlgran J & Owall B: Musclar activity and chewing force; a polygraphic study of human
mandlbular movements. Archives of Oral Biology 15, 271 -280, 1970.
2.
Chandler NP, Shaw JR, Treble SJ : Eftect of endodontic instrument handle diametor on
operator performance. J of Endodon. 22, 110-111 , 1996.
3. Kawamura Y & Majima T : Temporomandibular-joint's sensory mechanisms controlling
activities of the Jaw muscles. Joumal of Dental Research 43, 150,1964.
4. Ozawa T, Nagumo S, Klkuchl K, Yarnazaki Y, Nakamura J : A Survey of the symptoms in
dentists' hands and foreams during or after dental practice. Tsurumi University Dental Joumal
25, 35-41 ,1998.
5, Treblo SJ, Chandler NP, Shaw JR : Tactile sensitivity of three endodontic instrument handles,
Endodontic Dental Traumatology 9, 77-78,1993.
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午前 8:30−11:00 a.m.
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根管内観察時のファイバ一スコープとマイクロスコープの比較
○山崎泰志、小澤寿子、土田眞美、新井高、中村治郎
鶴見大学歯学部第二歯科保存学教室
マイクロスコープ(MS)やファイバ一スコーブ(FS)による根管内の観察に、根管の
テーパーおよびサイズが及ぼす影響を診断精度を求めることにより比較検討を行った。3
種類のテーパー(02,04,06)と 2 種類のサイズ(#50、#70)の条件下で 6 群の模型(長
さ 16mm)を作製した。各模型内面に観察目標とするマ一クを付与し、MS(タカギセイ
コー社製、16. 3 倍)および FS(メディカルサイエンス社製、直径 0.5mm、画素数 3,000)
で各群 20 例づつ観察を行い、診断精度を計算し比較を行った。MS の診断精度は根管の
テーパーおよびサイズが増加することによって増した。一方、FS では根管のテーパーお
よびサイズに関わらず、観寮することが可能であった。MS と FS の観察結果に統計学
的有意差が認められた。(χ2検定およびフィッシャーの直接確率計算法、p<0.05)以
上の結果から、MS による根管壁の観察にはより大きなテーパーおよびサイズが必要であ
り、FS においてはテーパーおよびサイズに影轡されないことが示された。
参考文献
1、田真美、小澤寿子、山崎泰志、新井 高、中村治郎、他:試作レーザー用チャンネル
内臓型ファイバースコープの歯内および歯周病変への応用.日歯保誌:40,
643∼650,1997
2、Lynne A.Baldassari-Cruz, Lisa R.Wilcox : Effectiveness of Gutta-Percha Removal Without the
Microscope. J of Eendodo. 25,(9) 1999
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3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
Poster Research Presentation Exhibit Halls 2 and 3
長方形の断面の辺の比率を連続的に変化させたKファイルのしなやかさ
Flexibility of rectangular K-type file with side ratio continuously changed.
勝海一郎
日本歯科大学歯学部歯科保存学教室第1講座
ステンレススチール製Kファイルの刃部の断面を長方形にすることにより,刃部のす
くい角が増加するため切削効率が増大し,断面積が減少するためしなやかさが向上する。
今回,ファイル先端における仮想の長方形断面の辺比を 1:2.5,先端から 16mm の部位の
辺比を 1:4 とし,辺の比率を先端から柄側まで連続的に変化させたKファイルを考案,試
作し,曲げ試験によりその柔軟さを調べた。
その結果,試作Kファイルは先端部では根管の穿通に必要な靭性さを維持し,柄側で
は強いしなやかさを有しており,湾曲の度合いの大きい根管にも十分に適合し良好な拡大
形成が期待できることがわかった。本ファイルは,ニッケルチタン合金製ファイルに匹敵
する柔軟さを有しているが,ステンレススチール製のため強度が強く,またプレカーブの
付与が可能なため無理のない切削操作が可能である。
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3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
Poster Research Presentation Exhibit Halls 2 and 3
根管口部の拡大が根管全体の拡大形成に及ぼす影響
Effect of enlarging root canal orifice on apical canal preparation.
○前田宗宏,北村和夫,山崎孝子,都築民幸,勝海一郎
日本歯科大学歯学部歯科保存学教室第1講座
根管口部の拡大が,以後の根管の拡大形成に及ぼす影響を調べることを目的に検討を行
った。ピーソーリーマーを用い,各種条件により透明樹脂製根管模型の根管口部を拡げた
のち,Kファイルにより根管の拡大形成を行い,根管の各部位における切削量をコンピュ
ーターデジタイザーにより測定した。
その結果,直線根管では根管口部を大きく拡げても,先端方向の根管にテーパーを付
与することが困難なことが認められた。また湾曲根管では,直線根管と同様に根管先端方
向でのテーパー付与は困難であったが,根管の外湾壁の過剰な切削による器具の逸脱を防
ぐためには有効であることがわかった。
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3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
Poster Research Presentation Exhibit Halls 2 and 3
各種ファイルによる削片のCLSMとSEMによる観察
CLSM and SEM evaluation of cutting chips produced by files.
○北村和夫,前田宗宏,山崎孝子,都築民幸,勝海一郎
日本歯科大学歯学部歯科保存学教室第1講座
共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)と走査電子顕微鏡(SEM)を用い,各種ファイ
ルにより切削された根管壁象牙質の削片の観察を行った。
その結果,CLSMでは,削片の長さや幅の他に厚さの測定ができ,微小な削片を立
体的に観察することが可能であった。またSEMとCLSMによる観察により,削片はフ
ァイルの種類により形状が異なり,切削の効率性をうかがい知ることができた。すなわち,
断面が正方形と正三角形のKファイルでは,100∼ 300μmほどの細長い削片の他に,多
数の微細な粉末状の削片が観察された。これに対し,断面が長方形のKファイルとHファ
イルでは,線条の切削痕を有するカンナ屑状の形態をした削片が多く認められ,両ファイ
ルの切削性が良好なことがうかがわれた。
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3月31日 金曜日
午前 8:30−11:00 a.m.
Table Clinic Exhibit Halls 2 and 3
プロファイルシステムと ED 山田バーを用いたフレアー形成
山田邦晶 京都
"Flare preparation with profile system and ED Yamada burs"
Kuniaki Yamada,D.D.S.
Kyoto Japan
我々は、根管処置において良好な予後と予知性を高めるべく色々な工夫を行っている。
その中の 1 つに根管内壁を連続したテーパー状に形成するフレアー形成がある。Dr.シル
ダーはその 5 原則の中に連続したテーパー状形成の必要性と重要性を示している。実際、
臨床上根管形成や充填に影響を与えると考えている。従来からのファイル、つまり、I.S.O.
規格のファイルはテーパー度が 02 テーパーと小さく、テーパー度を強くする形成には多
くの労カと熟練を要する。そこで私はグレイトテーパータイプのファイル、プロファイル
システムを利用して行っている。そのシステムは Dr.ブキヤナンや Dr.ベンジョンソンの
ものが中心で GT ロータリーファイル、プロファイル 06 テーパーといったファイルを特
に好んで使用している。また、これらはニツケルチタニウムの材質を使用しており、弯曲
根管への対応もテーパー状形成と同時に行えるため、非常に効率がよい。しかし、ニッケ
ルチタニウム製のファィルの利点である“しなり”が根管内壁に存在する Fin(髄角の張
り出し)の除去や、根管口から歯根中央部での修正形成に適さない症例に遭遇する。私は
このような症例に対し、1983 年より手がけ開発したダイヤモンドバーにて解決をしてい
る。このバーはエンドドンテイツクスダイヤモンドバーヤマダ、通称“ED Yamada burs”
と呼び、以下の特徴を持っている。
1、テーパー状の形態である
2、尖端はセーフエンデイツドタイプである
3、10000∼20000rpm で十分な効果的形成が行える
4、FG と CA の 2 タイプがある
5、 形状は 3 タイプである
6、最終的フレアーリングを効果的に行うことが可能である
今回“プロファイルシステム”と“EDYamada burs”を組み合わせた Flare canal preparation
を中心に,提示する全症例の根充法“Opian Carier Method”についても少し触れてみる予定
である。
参考文献
1、山田邦晶:フレアー形成とクアンテックファイルを応用した 1 例.日歯内療誌、
19 巻 2 号,P.177∼182,1998.
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3月31日 午前 ポスター発表
“歯冠内漂白剤の歯根膜細胞に対する毒性”
○木ノ本喜史,DL カーンズ,恵比須繁之
大阪大学歯学部
University of Texas Health Science Center San Antonio
漂白は歯を白くする有効な方法であるが、漂白剤としては歯周組織に損傷を与える可能
性のある危険な化学物質が使用される。歯周組織に生じた損傷は象牙質の知覚過敏症や歯
頚部の歯根吸収を引き起こすと報告されている。そこで今回の研究の目的は、各種の歯冠
内に用いる漂白剤のヒト歯根膜(PDL)由来細胞への毒性を in vitro で調べることである。
30%過酸化水素(H2O2)、2.0 g/ml 過ホウ酸ナトリウム(SP)溶液、2.0 g/ml の SP in
H2O2 の3種類の漂白剤を用いた。PDL 細胞はヒト抜去歯より調整して、4回継体培養し
たものを使用した。PDL 細胞を 10-3 から 10-7 まで Eagle's MEM で段階希釈した漂白剤 200
μl に接触させ、24 または 72 時間培養した。細胞毒性は lactate dehydrogenase (LDH)
kit(Sigma,St. Louis, MO)を用いて吸光度を測定して評価した。接触後の細胞内に維持され
た活性をコントロールの細胞の活性で割り毒性を計算した。各々の漂白剤の LD50 (lethal
dose)を濃度-反応曲線より求めた。各漂白剤の差の検定には 95%信頼区間を用いた。3種
の漂白剤の LD50 値の順位は接触時間により異なっていた。24時間では、SP in H2O2(最
も毒性が高い)>H2O2>SP 溶液であり、72時間では、SP in H2O2(最も毒性が高い)>
SP 溶液>H2O2 であった。以上より、in vitro において、今回調べた漂白剤の中では過ホウ
酸ナトリウムと過酸化水素の混合物が PDL に対して最も強い毒性を有していると結論で
きた。
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