NEW PRODUCTS 5 2.0mmピッチメトリックコネクタ 村 上 精 一 ★ はじめに 子密度の関係を図1に示します。2.54mm タがスルーホールへのはんだ接続,BWB 電話交換機や伝送装置などの電気通 ピッチカードエッジコネクタから,2mmピッ コネクタが無はんだによるプレスイン接続 信装置のバックボード接続に最適なボー チメトリックコネクタまで,およそ20年間で を採用しています。図2に24芯タイプの外 ド・ツー・ボード (基板対基板用) コネクタと 約3倍の端子密度になりました (図1参照) 。 観を示します。 して, 高密度実装, 高速伝送, 接続信頼性 などの点で優れた特性を持つメトリックコ メトリックコネクタ構造 ネクタ (FBシリーズ) を開発しました。 1. メトリックコネクタの外観 本コネクタはIEC60107-4-104規格に準拠 メトリックコネクタはドーターボードに実装 コネクタの高密度化により, BWBコネクタ し, 端子構成はメートル法を採用した2mm するPKG(パッケージ) コネクタとマザー の端子と接続するばねの構成スペースが ピッチ, 4列のハードメトリックタイプです。 ボードに実装するBWB (バックボード) コネ 減少します。そのため,所定の接触力を確 クタの2種類から構成されます。 保するためには, ばね構造が複雑化する コネクタは4列×6行の24芯を基本単位と 傾向があります。 メトリックコネクタの設計に 交換機や伝送装置用のコネクタの技術 して, 24, 48, 96, 192芯の4種類の端子バリ あたっては,両面2点接触構造を採用し, 技術動向 2. PKGコネクタ (1) ばね構造 動向は, コネクタを実装する基板の単位長 エーションを用意しました。各コネクタは密 有限要素法解析により, ばね形状を決めま (mm) あたりの端子密度を高密度化の指 接させた状態で基板実装が可能で, コネ した。 また,接点部には厚さ0.8μm以上の 針として, 小型化の動向を見ることができま クタの分割により実装密度を損なうことがあ 金めっき表面処理を行い, 高接続信頼性を す。 コネクタの開発および製品化年度と端 りません。 また, 基板への実装はPKGコネク 得ました。 端子密度(端子数/mm) 2.5 2.0 1.5 (2) リード端子構造 2.54×1.27mmピッチ コネクタ(6列) 2.54×2.54mmピッチ コネクタ(4列) 装置の高速化にともない, コネクタで伝 2×2mmピッチ メトリックコネクタ (4列) 送される信号スピードも高速化していま す。高速信号伝送時にコネクタに要求され る特性のひとつに,特性インピーダンスの 1.0 整合があります。 メトリックコネクタは特性値 0.5 0.0 1975 50Ωに整合するため, 設計段階でリード端 2.54mmピッチカードエッジ コネクタ(2列) 1980 1985 1990 1995 2000 子の形状を伝送線路シミュレーターを用 2005 い, 実験結果と照合しながら効率的に決め 年度 ました。立ち上がり時間300psの条件で, 図1 端子密度 ★ エレクトロメカニカル・デバイス事業部 応用技術部 スルーホール接続端子 ハウジング リード端子 プレスインコンタクト ハウジング コンタクト PKGコネクタ BWBコネクタ 写真1 メトリックコネクタの外観 図2 メトリックコネクタの外観 レスインコンタクトを基板のスルーホールに 表1に,192芯タイプの外観を写真1に示し また, リード端子の表面は環境問題を考 圧入すると, プレスインコンタクトおよびス ます。 慮して金めっき表面仕上げを行い,鉛フ ルーホールの銅めっき部が塑性変形する リー化しています。 ため, プレスインコンタクトの形状設計にあ メトリックコネクタの信頼性 たっては有限要素法により解析を行いまし フィールドでの信頼性を想定した各種信 た。モデリングは変形体どうしの接触解析 頼性評価を実施しました。その結果を表2 コネクタハウジングの裏面側に, モール とし, 塑性領域での挙動も含めた解析を行 に示します。いずれにおいても,良好な結 ド一体成形したプレスインペグを付けまし いました。応力状態, プレスインコンタクトと 果が得られました。 た。あらかじめ基板の対応する位置に設け スルーホールとの接触力およびスルーホー 54−64Ωの特性が得られました。 (3)基板固定構造 た穴に, このプレスインペグを圧入すれば, ルダメージの解析結果を評価し, モデルへ まとめ コネクタをネジ止めやリベットで簡単に固 のフィードバックを行いながら形状を決めま 以上述べましたように,高密度実装,高 定することができます。 もちろん, リード端子 した。 速伝送,接続信頼性などの点で優れた特 部のフローはんだ接続にもそのまま供与で きます。 3. BWBコネクタ 性を持つメトリックコネクタ (FBシリーズ) を メトリックコネクタのおもな仕様 開発しました。今後の電話交換機,伝送 メトリックコネクタは,IEC60107-4-104規 装置用コネクタとして広く普及するものと期 格に準拠した仕様となります。おもな仕様を 待されます。 (1)端子構造 PKGコネクタとの接続端子は異なる3種 表1 メトリックコネクタの仕様および特性 項 目 仕様/特性 類の長さを設定しました。ハウジングの所 定格電流 1A 定の穴にコンタクトを圧入する際には, 異な 使用温度範囲 −40∼70℃ る長さのコンタクトを自由に選択してコネク 挿抜回数 50cycs タを組み立てることができます。そのため, 接続抵抗 45mΩ以下 コネクタ結合時のシステムの回路保護のた 絶縁抵抗 5000MΩ以上 めの接続順位 (接続する順番にグランド用 耐電圧 AC1000Vr.m.s(1分間) 端子,バッテリー用端子,信号用端子)構 成ができます。 表2 メトリックコネクタの信頼性 項 目 試験条件 結果 振動試験 ベルコア規格(TR-NWT-001217) OK 衝撃試験 ベルコア規格(TR-NWT-001217) OK 高温放置試験 85℃,1500時間 OK 熱衝撃試験 −55∼125℃,200cycles OK レスイン (無はんだ接続) コンタクトを採用 温湿度サイクル試験 −10∼65℃,80∼98%RH 40cycles OK し, 2種類の基板厚 (1.6mm, 2.4mm) および 塩水噴霧試験 MIL-STD-202F-101D OK 薄めっきスルーホールに実装できます。 プ 4種混合ガス試験 ベルコア規格(TR-NWT-001217) OK (2) プレスイン接続部構造 BWBコネクタの基板への実装部にはプ
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