名古屋市立稲西小学校 第 11 号 稲 西 だ よ り 学 校 通 信 平成23年6月9日 自分で自分の身を守る 昨日、本校運動場において「交通安全指導」を実施しました。 この指導は、子どもたちが信号のある交差点や横断歩道の正しい渡り方を身につけて、 安全な生活ができるようにするためのものです。1年生は4月に実施したので、今回は2 年生以上の子どもたちが対象です。 指導に際して、中村警察署・交通課の近藤さん、堤さん、本校の交通指導員西田さんと 稲葉地小の交通指導員大矢さんにも協力をしていただきました。 2年生の「交通安全指導」を始める前に、つぎのような話をしました。 人間の赤ちゃんは自分で自分の身を守ることができません。赤ちゃんの安全を守る大人 が周りにいないと、赤ちゃんは生きていけません。 皆さんは赤ちゃんとは違って、判断力と行動力があります。その判断力と行動力を使って 自分で自分の身を守ることができます。 これから始まる「交通安全指導」は、自分で自分の身を守るための練習です。警察署の 方や交通指導員さんも来てくれました。ここで学んだことを実際のくらしで生かしてください。 町を歩いていると交通のルールを守っていても事故に遭うことがあります。しばらく前にも、 登校する子どもたちの列に自動車が突っ込むという事故(※)がありました。自分がルールを 守っているから安全だということはありません。 青信号で横断歩道を渡っていても、信号を無視した自動車が突っ込んでくるかもしれな いのです。そんなときには、とにかく突っ込んでくる自動車を避けなければいけません。 その判断力と行動力を皆さんは身に付けてください。そして、何としてもこの世の中を生き 抜いてほしいと思います。 ※ 2011年4月18日、栃木県鹿沼市の国道293号で登校中の小学生の列にクレーン車が突っ込み6人が死亡。 2011年5月10日、広島県福山市の県道で登校中の小学生の列に軽乗用車が突っ込み4人が負傷。 中村警察の近藤さんの話によると、子どもの交通事故は自転車の飛び出し事故よりも、 同乗している自動車が事故に巻き込まれることが多いとのことでした。子どもたち自身が 自分の身を守る力をつけるとともに、私たち大人が気をつけなければ子どもたちの命は守 れないのだと思いました。 言葉の力 自分の思いを他の人に伝えることは難しいことです。そのことを私たちはよく知ってい るので、自分の思いが他者に伝わったと感じたときに嬉しくなります。他者の思いが自分 の心に届いたときも同様です。そんなエピソードを紹介します。 人間としてだいじなこと 池田かおり 碧南・鷲塚小PTA(平成二十年) 何をしたいのかわからず、ただなんとなく毎日を過ごしていたあのころ。学校の合宿で、 わたしの人生の転機になる「親からの手紙」を読むことになる。 「ねえ、どっちが書いてもいいから、わたしあてに手紙書いといて。学校からの宿題だか ら。」 そう親に頼んでから、何日か過ぎ、 「父さんが書いといたで。」 そっけなく渡されたその手紙を学校に提出し、合宿の日を迎えた。 ( 中 略 ) 手紙は、わたしが想像していたものとはまったく違う内容だった。手紙を読んでいるうち に、込み上げてくる気持ちを抑えきれなくなり、泣いた。わたしはこんなにも親に思われてい たのか。こんなにも愛されていたのか。知らなかった……。手紙を渡すときの父のそっけな い態度は、精いっぱいのてれ隠しだったに違いない。 その手紙には、まるでわたしに語りかけるように、わたしが生まれるときのこと、わたしが幼 いときのこと、そして、以下の言葉がつづられていた。 「かおり、おまえは誕生日などにプレゼントをくれる、やさしい子だね。……かおり、人のた めに何かをしてあげるってことは、人間としてとてもだいじなことだよ。それは、何かをあげる ということではなく、気持ち、そういう気持ちを大切にすれば、きっとりっぱな人間になれる よ。」 父がわたしのために贈ってくれた言葉。勉強すれば自分のためになるからがんばりなさ い、なんてひと言も書いてないその手紙には、わたしのこれから人生の道しるべともなる言 葉がつづられていたのであった。 「人間としてだいじなこと、か……。」 この手紙を読んでから、わたしの生き方が変化したと思う。いろんな場面に遭遇するた び、父がわたしに贈ってくれたあの言葉を思い出す。( 以下略 ) 『親と子のこころの風景 ① 』(愛知県教育振興会刊)から抜粋 (文責:校長 小原一臣)
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