捺染用生産機としてオートスクリーン代替機へ進出

ミヤコシ 世界最速のインクジェットプリンター開発
捺染用生産機としてオートスクリーン代替機へ進出
解像度 600dpi × 1,200dpi で 400m²/時
ビジネスフォーム印刷機で国内シェア No.1 の実績を誇る㈱ミヤコシは、主力のオンデマンド印刷機(イン
クジェットプリンター)の新製品として、解像度 600dpi×1,200dpi の高精細で世界最速の 400m²/時を実現し
たシリアルプリンター「TXP18A」を開発し、繊維分野に初めて進出した。
同社では、昨年、ビジネスフォーム用のオンデマンドプリンターの新機種として、染料・顔料インクを採用
したフルカラープリンター「MJP600」を開発し、高い品質安定性と生産性で大手銀行や電話会社の請求書
発行など、大量印刷用のバリアブルプリント分野に拡販している。オンデマンドプリンターでは最高域とな
る毎分 150m、A4 面フルカラーで約 6 万ページ/時の高速印刷は世界でも群を抜き、昨年 12 月にはドイツ
OCE 社と OEM 契約し、海外市場への展開もスタートさせている。
今回発表の「TXP18A」は、「MJP600」で開発したピエゾ式オンデマンドプリントヘッドなどの基本技術を継
承し、メディア対象をテキスタイルとし、ヘッドが固定でなく布帛の進行に対し左右にトラバースするシリア
ルプリンターの開発に成功したもの。最大プリント幅は 1,860mm のワイドフォーマット仕様となっている。
装置自体は非常にコンパクトに設計されており、高速安定性を実現するため、恒温恒湿室でプリントする。
一連の動作は、染料インクに対応した前処理済みの布帛を布目矯正後、回転ベルトに地張り―インクジェ
ットプリント―乾燥・固着―巻き取りまたは振り落ちまで、1 台の連続処理で完結する。
染料インクは現在、反応染料インクで試験を終えているが、今後は酸性・分散・顔料など各種インクでの
吐出試験を行っていき、メディア素材の領域を拡げていく予定。販売対象はオートスクリーンなど衣料用プ
リントの本生産機分野を主軸に、壁紙、ふすま、産業資材、さらには建材やボードなど、多岐の産業分野
にも展開していく。
テキスタイル用インクジェットプリンターについては、すでに国内 3 社が先行しており、装置とインクの両
面から改良を重ね、世界最高水準のプリンターとして高く評価されていた。パーソナルオーダーの多品種
少量短納期を実現する 21 世紀の染色・プリント方式として期待されているが、速度面でオートスクリーンな
どの生産機とのギャップが大きく、小ロットあるいは本機の見本取りに使用されているのが現状である。
従来のインクジェットプリントの概念を一挙に飛び越えた「TXP18A」の登場により、捺染業界にセンセー
ションを巻き起こすことは必至で、今後、同機による本生産のなりゆきが注目される。
1 号機は 3 月初旬に同社がテクニカルセンターに新しく開設した各種インクジェットプリンターを展示した
「OPEN HOUSE」に据え付けられ、ユーザーに公開された。
(2008 年 3 月号 加工技術 掲載)