ひそかに進行しつつある自然破壊と人間の性(サガ)

事業部企画ボランティア活動ツアー報告
「気仙沼・南三陸をめぐる旅余聞」
ひそかに進行しつつある自然破壊と人間の性(サガ)
児玉利恒 (シ 12
事業部事務局)
平成 23 年3月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震が未曾有の災害が起こして 1000 日。さまざまな復旧の手当て
が進みつつあるがその中の一つに中央政庁の後押しもあって推進している巨大防潮堤の建設計画がある。
気仙沼小泉地区(中島海岸)の事例では防潮堤の
高さは 14.7m。台形型でコンクリート被覆。
防潮堤の厚み(底辺幅)は約 90m、建設費約 200
億円。管理者は県。
これで人間を守れるのだろうか、その必要がある
のだろうか?
これら巨大堤防建設は、宮城県では次のように説明
している。
(河川課 HP より要約)
県内の河川・海岸では,地震動に起因する堤防の
沈下や津波による堤防の決壊,堆積土砂やがれきに
よる河道閉塞,河川防潮水門の損壊等が生じた。これにより洪水や波浪,高潮による浸水リスクが高くなるとともに地
震による広域地盤沈下で堤防の高さが不足したため,安全度が著しく低下している。そこで次のような対策を計画して
いる
海岸域 過去に発生した津波の実績津波高さ(痕跡高調査や歴史記録・文献等の活用)を整理し, 一定頻度「数十年
から百数十年に一度程度」で発生すると想定される津波の集合を選定設定後,海岸堤防によるせり上がりを考慮して,
設計津波の水位を設定した。(貞観地震,慶長三陸地震,昭和三陸地震,チリ地震 等)
ただし,十分なデータが得られない場合は,シミュレーションを実施しデータを補完しています。(明治三陸地震,昭
和三陸地震,想定宮城県沖地震)
河川域 震災以前、水門方式による津波対策を多く実施してきたが、今度の津波では県内 17 の河川防潮水門のうち
16 水門が被災、再開門に時間を要し内外排除の支障になった。
(中略)
、津波対策として「堤防方式」を採用する(後略)
。
確かに今回の地震では岩手県下閉郡普代村高さ15.5mの水門、防潮堤、九戸郡洋野町12mの防潮堤が決壊せず
に集落人命を守った。一方、宮古市の世界最大規模の全長2.4km高さ10mの防潮堤「万里の長城」は跡形もなく
破壊され、未曾有の被害をもたらした(1960 年チリ津波には無傷)
。釜石市の 1200 億円をかけて建設した巨大湾口防波
堤、海岸防潮堤は、20mの津波を8mに抑え、市街地への到着を6分間遅らせたと聞いている。
人間の力のなんとむなしいことか。自然を破壊してまでも何かを守ろうとしている人間の性(サガ)
。
「森は海の恋人」
事務局の畠山信さんは、なにかもっといい知恵はないかと訴えている。
舞根湾の気象 2013-12-16 12:00:00 現在
気温
(℃)
6.8
湿度
(%)
気圧
(hPa)
61
1012
風向
平均風速
(m/s)
西北西
最高風速
(m/s)
5.4
11.6
日射量
2
(W/m )
503
雨量
(mm)
0
これは 12 月 16 日出稿時の舞根湾の天候です。世界の有数漁場に恵まれた金華山沖を目の前にした東北三陸
海岸、神戸大阪より温暖な天候が訪れることもあるんです。北陸生まれの筆者が想像していたより気候条件、
自然環境に恵まれているのかもしれません。長く自然と人間が共生できる環境であってほしいものです。
(完)
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