環境公共推進技術実践事業 現地研修会 参考資料 環境にやさしい土壌硬化剤を開発――農業工学研究所 農業工学研究所(茨城県つくば市)は、水田のあぜの漏水防止に利用可能な土壌硬 化剤(マグホワイト)を開発した。これは、セメントや石灰でも固めることが難しか った有機質土壌や高含水土壌も固めることができるのが最大の特徴だ。 この土壌硬化剤は、軽焼マグネシアとリン酸肥料を主原料とするもの。中国の万里 の長城のレンガの目地部分に使われている成分に着目し、リン酸肥料と苦土石灰を同 時にまくと土壌が固まることをヒントに開発した。土壌と混ざると土壌中の水分と結 合し水酸化マグネシウムとなり、初期硬化が始まりゲル状となり、その後空気中の炭 酸ガスと反応して炭酸マグネシウムとなり、さらにリン酸と反応して硬度の高いリン 酸マグネシウムとなる。常温では約 30 分で凝固が始まり 2 時間程度で固化する。 硬化した土はPH8 程度の弱アルカリで土そのものと同じ色であり、動植物や作物 に悪影響はない。また、固化した土は粉砕すれば再度土に戻すこともできるほかリン 酸肥料として使用することもできる。 使用法は、土にマグホワイトを 10%程度混ぜ合わせ自然硬化させるだけ。硬化土の 強度はマグホワイトの添加量によって自由に調整できる。固化すれば水路に使っても 3 か月程度で藻が生えてくる。 あぜの漏水防止に使う場合は、あぜ土の表面 5 センチ程度とマグホワイトを混ぜ合 わせ成型すればOKだ。漏水防止に大変優れた効果を発揮するだけでなく、雑草の繁 茂も抑制することができる。さらに、これを用いて転圧成型や加圧成型を行えば様々 なブロックや構造物を製造することもできる。 なお、マグホワイトをあぜの漏水防止に利用する場合には、土壌条件に応じた添加 量や土壌水分量を事前に検討する必要がある。 1 マグホワイトの概要 (農村工学研究所 と 東武化学㈱ が共同開発) マグネシウム系硬化材は、古くは万里の長城に煉瓦の目地材として使われ、2000 年以上 の風雪に耐えてきたことで知られている。 これをヒントに現代の新技術でセメントと石灰の間に位置しながら、速硬性でかつ高強度 を発揮する硬化剤が誕生した。 マグホワイトは、酸化マグネシウムを主体とし、スラグ、クエン酸などと組み合わせた無 焼成固化剤です。肥料や食物添加剤と同じ成分であり、しかも動植物に安全な中性pH領 域の環境に優しい固化剤である。中性で固化し、従来の石膏系で困難であった耐水性を改 善した固化材は世界で初めてである。 【万里の長城】 【マグホワイト】 マグホワイトの特徴 1. セメントと同様、水硬性の固化剤です。しかし含水量は多くても硬化します。 2. 有機物があっても固化します。ウッドチップとの相性はそれを物語っています。草やプラス チック、ゴム、タイヤなど利用できます。ピートなどの有機質土、関東ロームなど火山灰質 粘性土、底汚などに適用できます。 3. 肥料と同じ成分であり、動植物、土壌、水質など環境に無害な固化剤です。 4. 植物ホルモンに作用して発芽抑制効果があります。 5. 粉体であり、取り扱いはセメントと同じです。 6. pHは弱アルカリ~中性域で生物の生育を妨げません。 7. 顔料効果が高く、固化後は母材の材料色が表現されます。 8. 破砕すれば土に戻して利用することが可能です。 9. クロムを含まないので、溶出もありません。 10. 水中や土中において重金属を封止する効果があります。 11. 配合によって凝結硬化速度を調節できます。 2 マグホワイトの用途 舗装材(土系舗装・ウッドチップ舗装) 浅層安定処理、深層安定処理、流動化処理工法 高含水土、有機質土の固化 抑草・防草・斜面の土砂流出防止・侵食防止 湖沼などの低泥固化処理 農業土木(水田基盤改良) 重金属汚染土壌処理 農業の応用例について 畦畔の抑草と侵食補強 漏水水田の耕盤整備 ビニルハウス内の床面舗装 農道舗装 畑などの抑草 重金属汚染農業用地の処理 など あぜ塗り機の前に下の泥取り部にマグホワイトを撒いておき、自動的に混合して斜面部に塗られる。 泥拭き機によるあぜの浸食補強と抑草 3
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