本文(前半) - 安芸地区医師会

安芸地区医師会長 菅 田 巌
きれいねと知らぬ人とのさくらかな 相生葉留実
平成24年度の年度初めの役員・地区代表幹事合同会議にご出席いただき有難うございま
す。新しく役員及び地区代表幹事になられた先生,どうぞよろしくお願い致します。
今年はことのほか寒い冬だったせいかやっと冬を乗り越えて桜を目にすることが出来,
将に春爛漫である。4月6日府中町の小学校の入学式があり,学校医として府中北小学校の
入学式に参列した。桜も7~8分咲きで天候も良く,新一年生にふさわしい輝かしい入学式
であった。また,この日曜日,桜が9分咲きとなった広島城では,神前結婚式を終えたば
かりの打掛の花嫁,紋付羽織・袴の花婿のカップル,子供の剣道大会,お堀端のお花見客
で賑わっていた。
【第106回県医師会定例代議員会】
3月11日に第106回県医師会定例代議員会・第52回医師共済会総代会・第76回定例総会が
開催され,会長選挙では碓井静照先生が当選された。当医師会から常任理事に津丸周三先
生(福祉・共済担当),裁定委員に福永泰州先生そして日医の予備代議員に私が入った。
資産運用そして県医師会の移転を含む高精度放射線治療センターの建設・運営に関する案
件もあり,AIJ 問題ではないが,今後債権の問題が新会館問題や共済会運営に波及しない
ことを願う。
【日本医師会会長】
4月1日に行われた日本医師会役員選挙は決選投票となり,現職日医副会長の横倉義武氏
が,現職会長の原中勝征氏との決選投票の結果,28票差を付けて当選した。横倉新会長は
原中氏の方向性で支持できるところは継承し,改革すべき点としてよりスピードを持って
各種施策を実施,そしてあるべき医療を提示すると述べている。また常任理事に広島の高
杉敬久氏が当選された。
【診療報酬改定】
診療報酬・介護報酬同時改定が行われ,ネットでそれぞれ0.004%,1.2%のプラス改定
となり,診療報酬では本体改定率は+1.379%で,薬価・材料価格を1.375%引き下げるこ
とで捻出した約5,500億円を財源に充てた。各科改定率医科+1.55%の約4,700億円を,
①病院診療所の機能分化と連携
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②医療従事者の負担軽減・処遇改善
③救急,がん,認知証など重点分野への評価拡充
④患者の視点に立った医療の実現の4項目に重点配分し,その内容は,病院初診で初診
料の自由診療料など上乗せの導入,即ち紹介状なしの大病院受診患者の負担増,在宅療養
支援拠点の往診に対して往診料の引き上げ,在宅での終末期医療に対し加算の増加で医療
提供体制の強化が図られている。しかし医師会が強く求めている再診料回復,再診料の引
き上げはなかった。かかりつけ医にとっては前回不評であった地域医療貢献加算を細分化
し,時間外対応加算としてⅠ.5点,Ⅱ.3点,Ⅲ.1点,と分けられ,算定要件が明確化され
た。また,2点であるが,一般名処方加算による後発品の使用促進が挙げられている。特
に在宅医療が重点的に評価され,診療機能を強化し,24時間対応可能な体制を整えた在宅
療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)に対して評価している。
4月5日平成24年度診療報酬のポイントと題して説明会を開催した。今後,国が進める社
会保障と税の一体改革素案が目指す医療・介護機能の再編,そして機能連携が強化されて
いく。団塊の世代が後期高齢者になる2025年「2025年モデル」に向けて,改定内容から浮
かび上がる「必要とされる医療機関像」のトレンドをつかむことが大切であろう。
4月12日に新医師会館の竣工式を執り行った。時代にあった機能的な会館となっている
のでご利用頂きたい。
当医師会の当面の課題である ①新公益法人制度への対応 公益事業と定款の見直し ②
125年史の発刊 ③医師会事業について,皆様の英知を結集し,今後も会員の総意を大切に
し,サスティナビリティそしてサバイバビリティのある医師会運営を今年度も行うのでど
うぞよろしくお願いしたい。
(平成24年4月12日)
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看 護 師 無 料 紹 介
安芸地区医師会では厚生労働省から正式な許可を受け,“無料”で看護師等の紹介
を行っております。お気軽に来会又は電話でご相談ください。
個人の情報については,個人情報保護法と安芸地区医師会個人情報保護規定を厳
守します。
事業所名
社団法人安芸地区医師会 看護師無料職業紹介所
(許可番号: 34-ム-140001)
電話番号:(082)823-4931 担当者:事務局 山木戸,三宅
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トピックス
消費税10%時に抜本解決を
― 今村副会長 ―
消費税率が10%になった際も医療の非課税を継続するとの見解を厚生労働省が中医協総
会で示したことについて,今村聡副会長は4月13日,メディファクスの取材に「われわれ
が理解していた解釈とはまったく違っている」と述べた。「今の時点で非課税という結論
を出した上で議論するのはおかしい」とも述べ,「10%に引き上げる時に,課税の仕組み
が導入されるよう求める主張は変わらない」と強調した。厚労省が新たに設置する分科会
で主張していくとした。
厚労省の見解に対しては,消費税法改正案が可決されていない段階で,方向性を示した
ことに疑問を示した。
「法案が通った上での解釈論として言っているものだと思う。われわ
れは,おかしいと思えば法案そのものを変えるように働き掛けをする」と苦言を呈した。
●「10%も非課税」容認できない 四病協
厚生労働省が4月11日の中医協総会で,消費税率が10%になった際も非課税を踏襲する
との解釈を明示したことに対しては,病院団体の幹部からも「厚労省の真意を測りかね
る」との声が上がった。四病院団体協議会「医業経営・税制委員会」の伊藤伸一委員長
(日本医療法人協会副会長)は12日,メディファクスに対して「税率10%についても8%と
同様に非課税と読み込む厚労省の解釈に驚いている」と述べ,厚労省の見解は受け入れら
れないとの考えを示した。
伊藤委員長は「四病協としては,今後設置される分科会での5%までの検証結果を踏ま
え,10%に向けて医療の消費税課税の在り方について抜本的見直しを行う方針に揺るぎは
ない」と強調。「消費税問題は日本医師会と協調しながら進めてきた。方針を変更する考
えはない」とした。
控除対象外消費税が大きな経営負担になっている大規模病院を多く抱える日本病院会の
堺常雄会長もメディファクスの取材に対して「分科会で5%までの診療報酬による対応を
検証した結果として,どう対応するのか,中医協の議論からは見えない。10%になっても
診療報酬で対応することになっては,病院経営は成り立たない」とした。
【メディファクス】
平成24年4月17日 日医FAXニュースより転載
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誤嚥を体験してみましょう
日 時 平成24年3月29日
講 師 県立広島病院小児感覚器科
益 田 慎 先生
はじめに
図1は厚生労働省で公開されている統計情報
から作成したグラフです。死因が「不慮の窒
息」となっているデータを抽出し死亡率を年齢
別にみたものです。このグラフから読み取れる
ことは,60歳後半あたりから高齢になるにした
がって急速に「不慮の窒息」による死亡率が上
昇するということです。さらに男性は女性の2
倍のリスクを抱えているということもわかりま
図1
す。別の統計データからは,「不慮の窒息」でのどにつまらせたものの半数以上は食物で
あることもわかっています。
日常の診療においては高齢者の中から誤嚥や嚥下障害がある人を捜し出すよりは「高齢
者をみたら嚥下障害と思う」という態度で望んだ方が良いと考えます。
講演ではミネラルウォーターをいくつかの条件で飲んでいただき誤嚥を体験していただき
ました。重要なことは嚥下機能が正常な人でも条件を整えれば誤嚥をしてしまうことです。
口をあけたまま水を飲む
口を開けたまま水を飲んでみます。多くの人は水を飲むことができません。飲めてもむ
せてしまいます。ここでむせれば良いのですが,喉頭や気管に水が入ってもむせない人も
おり,それが誤嚥となります。
口をあけたままで水を飲んでいるかどうかなど日常ではあまり意識をしませんが,流涎
がある方は口が大なり小なり開いたまま食事をして飲み込もうとしています。その方たち
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に食事をさせるということは飲み込めるはずもないのに,飲み込ませていることになり,
場合によっては食事介助をすることで誤嚥を作っている可能性もあります。
舌を口から出したまま水を飲む
舌を口から出して水を飲んでみます(図2)。
舌を使って水をのどに送り込むことが難しくな
るので多くの方が顔を上に向けて飲もうとしま
すが,それで水を飲むとむせて(誤嚥しかけ
て)しまいます。実は舌を口から出したまま飲
もうとした場合には顔を下に向け,あごを引い
て飲んだ方がむせにくくなります。
舌が萎縮した高齢者ではまったく同じことが
図2
おきます。喉頭蓋が翻転して喉頭を閉鎖するためには嚥下中に舌根が喉頭蓋を後方に押し
つぶさないといけません。ところが舌が萎縮していると(舌を前に出したままだと)舌根
で喉頭蓋を押しつぶすことができなくなり喉頭閉鎖ができず誤嚥してしまいます。そのよ
うな場合にあご引き嚥下が有効となります。
ところで鼾がある人にはまず減量を勧めます。これは減量をすることで舌のボリューム
が少なくなり気道が広がるからです。でも前述の話からすると舌のボリュームが減ると嚥
下には不利になるようです。実験的に確かめてみましたが,健常者が減量することで喉頭
侵入(嚥下時に声門レベルまでは食塊が入り込むがその後吐き出せた場合,誤嚥とは区別
して「喉頭侵入」と言います)は増えていました。
舌が萎縮すると嚥下機能が落ちるので摂食量が減り,体重が減ってしまい,そのことで舌
がさらに萎縮して,さらに嚥下機能が低下する,という悪循環に陥りやすくなります。さま
ざまなご意見はありますが,私自身は嚥下障害のある人には経管栄養を用いてでもまずは太っ
ていただかないと,嚥下障害を治療するための
土俵にすら上れないと考えています。
のけぞって水を飲む
椅子にのけぞって座って,そのまま水を飲ん
でみます(図3)。何はともあれ,非常に飲みに
くいです。溺れるような感覚にさえなります。
のけぞって座って,頭が後方に落ちるような
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5
図3
体位をとると,下顎と頸椎の距離が近づいてしまいます。下顎には舌と喉頭があります
が,それらが頸椎に押し付けられるような格好になってしまいます。
下咽頭は本来漏斗状の構造ですが,喉頭という固い軟骨の筒があるために,前壁が押し
つぶされて梨状陥凹という独特の形状を呈しています。食塊が下咽頭を通過するさいには
下咽頭は元の漏斗に戻らなくてはなりませんが,そのために喉頭が前上方に移動しておく
必要があります。
喉頭が後方の頸椎に押し付けられているのけぞった体位では,下咽頭は漏斗の形状にも
どることができず,送り込まれた食塊を食道に送り込むができません。送り込めなかった
食塊(水)は行き場を失い喉頭に侵入しようとします。それで溺れかけるのです。
高齢者の体位で亀背はよく問題になります。腹圧があがりやすく胃食道逆流に伴う誤嚥
で肺炎になることもあります。これにたいして背筋をピンと伸ばした高齢者もよくみかけ
ます。一見,矍鑠とした印象があり,
問題がないようにも思うのですが,食
事をさせると椅子の上でのけぞった時
の体位とよく似た状態になることがあ
ります。
これは背筋と腹筋のバランスによっ
ておきますので,仰臥位になっても体
位はかわらず下咽頭が狭いままです
(図4)。このような場合理学療法等で
体幹と頸部の位置関係を補正すること
で,初めて嚥下障害の軽減をはかるこ
図4
とができます。
気管切開後のカニューレは嚥下の邪魔
気管切開後にカフ付きのカニューレを挿管し,
これを紐で結わえておくことは嚥下の妨げにな
ります(図5)
。全身状態や局所の状態が許せば,
カフがなく,フランジがよく動くスピーチカ
ニューレを挿管することが,嚥下障害にたいす
るアプローチの第一歩となります。
特にカフについては,カフに目一杯空気を注
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図5
入して膨らませることで誤嚥物が気管に落ちないようにできると誤解されることが多いの
ですが,カフを膨らませることで食道を圧排し,咳ができなくなり嚥下にとって不利な条
件が増えていきます。すでに医療裁判の判例にもカフが誤嚥の防止には意味を持たないこ
とが記載されていますのでご注意ください。
その一方で,嚥下改善を目指してスピーチカニューレに変更したためにおきた事故も後
を絶ちません。事故のパターンには二つあり,一つはスピーチカニューレの使い方を誤っ
たために起きた窒息であり,もう一つはスピーチカニューレにある側孔に肉芽がはまり込
んで窒息するパターンです。スピーチカニューレの操作ミスによる窒息は人為的にそうな
らないように工夫されたカニューレがすでに市販されていますので,そのようなカニュー
レを選択してください。肉芽についてはカニューレ内をファイバーで観察すればわかるこ
とですので,耳鼻咽喉科医をご活用ください。
おわりに
嚥下障害は容易に作ることができるということを実習を通してお知らせいたしました。
そしてそれはちょっとした気づきと工夫で予防することができたり,軽減できるというこ
とを特に強調しておきたいと思います。
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第 28 回 安 芸 医 学 会
会長賞受賞演題
「高齢者虐待の実態:地域包括支援センターの
関わりについて」
広島市瀬野川東地域包括支援センター 山根 映子,潟沼 真純,高田 初恵
石川 梓,宮本 浩司 はたのリハビリ整形外科 畑野 栄治
平成18年に高齢者虐待の防止・高齢者の養護者に対する支援等に関する法律の施行と,
同時期にスタートした地域包括支援センター(以下 包括とする)であるが,5年が経過
し高齢者虐待対応からみえてきた現状と,相談支援機関としての包括の取り組みについて
報告する。
高齢化が進む中,全国的にも虐待の早期発見・予防,また養護者への対応に理解が進ん
でいない状況であることが指摘されていた。
平成22年度,広島市全体での虐待件数は212件,安芸区においては40件もある。このう
ち男性は7件,女性は33件。広島市8区の中で安芸区の虐待件数が多いのは,平成20年度に
虐待への取り組みを重点的に行い,安芸区内の包括の意識が高まり,疑わしいものも積極
的に虐待事例として取り組む姿勢ができたためと思われる。
ケース別にみると 身体的虐待46%,心理的虐待29%,介護放棄17%,そして経済的虐
待は8%。相談経路としては,ケアマネージャーからが一番多く52%,家族からが8%,本
人からの相談は5%であった。虐待者としては息子が52%,配偶者(夫)が20%。被虐待
者の65%が75歳以上で,平均年齢は81.7歳。また被虐待者のうち80%が認知症を患ってい
る。
そこで,認知症に関する知識・理解をすすめていくため啓発活動が必要であることがわ
かり,広島市の取り組みで認知症サポーターの養成をすすめている。当包括も地域に積極
的に出向いてサポーター養成事業を開催しており,平成19年度から23年度において担当圏
域内ではサポーターの延べ人数は467人になった。
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写真1は,老人クラブの健康大学の1コマの様子である。このときは,包括職員で認知症
の方への対応の寸劇を行った。
写真2は,国際学院大学で開いた認知症サポーター養成講座である。今年度は若い世代
の人たちにも認知症のことを知ってもらおうと,圏域内の大学の授業の一環として講座を
開催した。受講した学生の感想は,認知症について理解ができ,有意義な時間を持つこと
ができたとのことであった。今後は特に若い世代にも認知症を理解してもらう取り組みを
行っていこうと思っている。
また,当包括では積極的に研修会に参加して職員の専門性の強化にも取り組んでいる。
今後も相談支援機関としての包括の認知度を高めるとともに,啓発活動の取り組み,ケ
アマネージャー,医療機関,民生委員など高齢者の身近な相談相手となる方々とのネット
ワークを構築していきたい。このような取り組みが困難を抱える高齢者とその家族を早期
に発見し,適切に支援することにつながると考えている。
平成22年度 高齢者虐待の実態
項 目
安芸区
広島市
件 数
40件
212件
男
7件
42件
女
33件
170件
写真 1
写真 2
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医 師 会 活 動
瀬野川 加 藤 晶 子
安芸地区医師会より推薦頂き中四国代表として参加していた“医師会将来ビジョン委員
会”の2年の任期を終え,3月27日に無事答申書を提出することが出来ました。昨年の1月
20日第1回の委員会で「将来の医師会活動及び医療制度のあり方」について諮問を受け,
今年の2月4日まで計6回の委員会に於いて議論を重ね答申書を完成させました。本委員会
は30~40代の若手医師16名により構成され,私を含めて医師会活動の経験が浅い委員が半
数を占めていましたので,経験豊富な先生方にはピントのずれた記述もあるかもしれませ
ん。また,少し力が入りすぎて7章まであるかなりの大作となりました。第1章,医師会活
動についての部分では以前から言われていたことも含んでいますが,最後に思い切った意
見を述べています。次の,医療制度に関する章の各論では,パートを担当した委員が,医
療経済に関する参考文献を十数冊読破して臨んだ部分があり,読み応えがあります。ス
ペースの関係でかなりコンパクトになってしまいましたが,原文は一編の論文と言っても
よい力作でした。最近話題となることが多く,医師の立場からは若干の違和感を伴う終末
期医療についても検討しており,医師会主導で “医師による見取り教育”の必要性を提
言しています。終章では,今回の答申が実現された未来を小説風に想像してみました。ま
た,メンバーによる無記名のアンケート調査を行いましたが,終末期医療に関して興味深
い結果が出ています。手前味噌ですが,最後まで大変面白い内容です。ぜひ,多くの先生
方に読んで頂けたらと思います。(答申書は3月28日定例記者会見で報告されました。答申
PDF は日本医師会ホームページでご覧いただけます。)
今回の経験を通して,医師会について多くのことを学び,また考える良い機会となりま
した。現在のように医療に関する問題が山積する中,国民皆保険を堅持するには全国の医
師が医師会を通して一致団結して対応していく必要があると思います。本委員会の半数は
40歳前後の若い勤務医で,働く地域も,立場も違うメンバーでした。若い先生や勤務医は
医師会活動には興味を持ちにくい,医師はそれぞれ働く環境や立場が違うため医師会がま
とまる事は難しい等とよく耳にしてきましたが,今回の委員達は突然の招集にもかかわら
ず皆でまとまりとても熱心に医師会について考えていました。各地に心強い仲間がいるこ
とを知り,これからも医師会が日本の医療を守っていくことが出来ると安心しました。
最後に,このような機会を与えてくださった安芸地区医師会の先生方に改めて感謝を申
し上げます。
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済生会広島病院 内科(循環器科)
済生会広島病院 内科(循環器科) 曽 我 潤 子
平成24年4月1日より済生会広島病院 内科(循環器科)に勤務しています。平成15年か
ら17年まで後期研修の頃にも勤務しており,安芸地区の先生方には大変お世話になってお
りました。まだまだ,若輩者ではございますが,今後ともよろしくお願いいたします。
現在,超高齢化社会を迎え,慢性心不全の患者さんが増えています。安芸地区でも同様
で,高齢者の心不全入院が増えてきています。当科では,慢性心不全の急性増悪期の治療
をはじめ,慢性期の管理,また基礎疾患の虚血性心疾患,弁膜症,不整脈,心不全,高血
圧症など循環器疾患の診療をしています。毎日,2~3名の循環器医が外来に配置され診療
にあたっています。心臓超音波検査,ホルター心電図,トレッドミル運動負荷心電図,冠
動脈 CT などは外来で検査が可能です。心臓カテーテル検査・治療は,入院で火曜日と木
曜日の午後に行っています。右手首(橈骨動脈)から行っており,検査の直後から歩行可
能で患者さんにとって苦痛の少ない検査・治療を心がけています。その他,永久ペース
メーカー植え込み術,閉塞性動脈硬化症に対する経皮的血管形成術などの治療も行ってい
ます。
私自身としては,広島大学循環器内科学在籍中に,血管内皮機能についての研究を行っ
てきました。血管内皮機能異常は動脈硬化の第一段階であり,適切な介入により改善効果
が期待されます。動脈硬化の予防・治療に取り組んでいきたいと思います。
安芸地区の先生方で,胸痛,動悸,息切れなど循環器疾患でお困りの症例がございまし
たら,ご紹介いただければと思います。
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音 戸 町 医 師 会
黒澤波多見診療所 黒 澤 逸 郎
一年前に,地区だよりで,新音戸大橋の事を書きましたが,来年開通の予定です。町内
で変わった事といえば,大河ドラマの,清盛ブームのせいか,毎日音戸の瀬戸に,観光バ
スが乗り入れ,宮島―音戸港間で定期船が,運行されるようになり,少しにぎやかになっ
た事でしょうか。
音戸地区医師会では,昨年10月に,河野診療所,河野 明先生がお亡くなりになりまし
た。御子息の正二郎先生に診療を,バトンタッチされており,数年前より,地区医師会の
会合にも出席されていませんでしたが,改めて,心よりご冥福を,お祈り申し上げます。
音戸地区医師会の会合は,毎月第4火曜日に開かれ,安芸地区医師会よりの連絡事項の
報告や勉強会の場となっています。
又,医師会旅行が年1回,忘年会が,博多と京都で交互にあり,新年会は,地元の料理
屋で開かれ,友愛と和の精神で,会員相互の親睦が計られています。
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広島県の最低賃金が変わりました !
(平成23年10月1日から)
☆ 時間額 710 円
※業種によっては,産業別最低賃金が適用される場合があります。
〈お問合せ先〉
広島労働局労働基準部賃金室
(TEL 082−221−9244) 広島中央労働基準監督署
(TEL 082−221−2460) 呉労働基準監督署
(TEL 0823−22−0005) 詳しい内容は,広島労働局ホームページでご覧になれます。
URL http://www.hiroroudoukyoku.go.jp
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総合介護センターだより
第 31 回 安 芸 地 区 在 宅 緩 和 ケ ア
事例検討会報告書
訪問看護ステーションやすらぎ 西 田 明 子
平成24年2月28日,安芸市民病院にて第31回安芸地区在宅緩和ケア事例検討会が開催さ
れた。
オブザーバーに,広島県緩和ケア支援センター長(兼)広島県立病院緩和ケア科主任部
長,本家 好文先生,広島県立病院緩和ケア科部長,岡崎 正典先生,YMCA 訪問看護ス
テーション・ピース,濱本 千春先生。臨床心理士の西巻先生を迎え,医師7名,看護師25
名,薬剤師3名,ケアマネージャー4名,ヘルパー1名,その他2名の計46名で活発なグルー
プ討論が行われた。
今回は安芸地区医師会江田島訪問看護ステーションから「告知を受けていない肝内胆管
癌患者の在宅療養に関わって」と題して事例が提供され,告知の是非について,また告知
の行われていない患者,その家族のケアについて活発な意見交換が行われた。
【症 例】70歳代 男性 肝内胆管癌(閉塞性黄疸にてステント留置)
【病状経過】X 年8月 全身黄疸,発熱,食欲不振の為,近医より点滴施行目的で訪問依頼
あり。A 病院に精査目的で入院し,閉塞性黄疸,管内胆管癌と診断され,ステ
ント留置。主治医から家族には病名の説明があるが,本人がすぐに落ち込みや
すい性格なので,妻や娘の希望にて本人には肝臓が悪くなっていると説明。
X 年12月退院し,在宅療養再開し,週1回訪問看護も再開となるが,9月病状
悪化にて A 病院へ再入院し,約1ヶ月の入院にて死去される。
【介護状況】妻と二人暮らし(妻は身体障害者,膝の屈曲困難,上半身が右斜傾)
子供達は,日曜日など帰省していた。
各グループで,事例について疑問に思ったこと,気づき,感想などの意見交換が行わ
れ,その後テーマに沿って発表が行われた。
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今回の事例では家族の希望から告知が行われず,関わった医師,訪問看護師は本人・家
族のニーズに沿ったケアが行ったが,もし告知をしていたらどうだったのかという意見が
多く聞かれた。家族が告知を嫌がる理由をもっと聞きだす機会はなかったのか。本人が癌
の薬かと尋ねた時に,告知についてもう一度話しあうことができなかったのか。本人は気
づいていたが,家族に遠慮して聞けなかったのではないか。告知をしなかった事で本当に
やりたかった事ができたのか,やり残した事があったのではないか。積極的に告知する事
も大切な事ではないかとの意見が聞かれた。
オブザーバーから
濱本 千春先生(YMCA 訪問看護ステーション・ピース)
本人の言動と身体状況はほぼ一致している。十分現状を受け止められたのではないかと
思う。障害のある妻をこれまでどのように支えてきたのか。家族の中で一番強かったのは
ご本人ではなかったのか。妻の方が不安が強く現れており,違う方向の選択肢もあったの
ではないかと思われる。
また,全身倦怠感をとる治療は難しかった。ナースの関わりは重要であったといえる。
本家 好文先生(広島県緩和ケア支援センター長(兼)広島県立病院緩和ケア科主任部長)
家族は気持ちが揺らぐことはなく,ケアにもジレンマがなかったといえる。家族関係も
良かったといえるが,大事な情報を共有できてないのが後々苦悩する事になるのではない
か。本人は気づいていたが家族の事を思って言わなかったのではないか。
最初から告知はしないと決めていたが,医師がどういう言葉を使ってどう伝えるか家族
と話していたら1年あったのでどこかで告知できたのではないか。
岡崎 正典先生(広島県立病院緩和ケア部長)
ご家族は本人が亡くなられた後,後悔したり,負担ではなかったか。
最初は告知しないと意見が固まってしまっていたが途中で見直す機会があったのではな
いか。本人が癌の薬と聞いた時に,どうして癌の薬と思ったのかなど聞き返し,患者の思
いを医師にフィードバックしたら,方向を見直せたかもしれない。
西巻先生(独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 心理療法士)
選択に違和感を感じる時はメリット,デメリットを考えてみる。
本人が癌の薬かと聞いた時に,どうしてそう思ったのか,本人が自分の体をどのように
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捉えているかを聞いて,家族にも本人が気づいているかもという情報を伝える。
また本人はカラオケが好きであるが,演歌は人生のこもごもが入っており,人生観など
を引き出せるきっかけになったのではないか。病気を離れて話せるきっかけにもなる。
今回の検討会に参加させていただき,大事な情報を共有し関わらせて頂く者として,そ
の方の人生観,死生観,思いを知る姿勢を持つことの大切さを再確認することができた。
またご家族にとっても,つらい決断となり,側で支える者は思いを表出できる場となれる
様に,しっかりとより沿っていきたいと感じた。
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6月行事予定表
6月1日㈮ 広島県医師会広報委員会
(19:30 広島医師会館)
(19:00 広島市役所)
ドンキーズ杯打合会
3日㈰ 安芸薬剤師会第17回総会
18日㈪ 広島市感染症対策協議会
(11:00 サンピア・アキ)
(19:00)
5日㈫ 125年史発刊準備委員会
6日㈬広島県地域保健医療推進機
新公益法人対策特別委員会
構 評 議 員 会(14:00 広 島
管理職員等連絡会
県健康福祉センター)
(18:00 ホテルセンチュリー
広報委員会
21日㈭ 常任理事会
21広島)
7日㈭ 常任理事会
従業員定期健康診断
23日㈯ 監査会
26日㈫安芸地区在宅緩和ケア事例
広島県医師会学校医部会
検討会(済生会広島病院)
海田地対協「総会」
27日㈬ 健康診査会
(16:00 サンピア・アキ)
28日㈭ 第2回理事会
病診連携連絡協議会
臨時総会
(マツダ病院)
学術講演会
(18:30 マツダふれあい会館)
産業保健相談窓口
8日㈮ 画像カンファレンス
29日㈮広島市医師会保育園におけ
12日㈫ 学術委員会
るアレルギー対応の意見書
14日㈭ 理事・地区代表幹事合同会議
等に関する合同検討会
安芸区医師会総会(15:30)
(19:00)
安芸地区歯科衛生連絡協議会
地域歯科保健専門委員会
(14:00 安芸区民文化セン
ター)
学校歯科保健専門委員会
(15:00 安芸区民文化セン
ター)
15日㈮安芸区地対協 「 地域リハビ
リ専門委員会 」
広島県医師会広報委員会
(19:30 広島医師会館)
16日㈯ 隣接医師会連絡協議会
(16:00 リーガロイヤルホ
テル広島)
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社会保険診療報酬改定説明会を終えて
担当理事 向 井 皇
2年に一度の社会保険診療報酬改定説明会を4月5日(木)安芸地区医師会社会保障委員
会と株式会社アステム主催で開催した。アステム コンサルティング室 医業経営コンサル
タントの住吉為芳先生を講師に,参加者は,医師会員30名関係者60名であった。
国が声高に叫んでいる「社会保障・税の一体改革」に伴う病院・診療所・老健・特養な
どの医療・介護の方向性が2025年まで今回示された。2025年は団塊世代が後期高齢者にな
る年である。
(以後の資料*数字は4月5日に配布した平成24年度診療報酬改定のポイント資料のスラ
イドナンバーを示す)
10月5日中医協 鈴木医療課長の資料より*3社会保障・税一体改革素案が目指す医療・
介護機能再編(将来像)及び11月25日中医協総会資料*5から,7:1病床開始前の厚労省
の予測8万床のつもりが,蓋をあけると大病院の努力により次々と7:1の看護体制をクリ
アし約33万床となり,これによりワイングラス型の病床アンバランス?となっている。
2025年のイメージのように高度急性期病床の絞込みやトータルでの病床を増やさず(実質
約40万床が足らなくなる),かと言ってその受け入れ先である老健・特養を増やすことも
認めないつもりであり,これらの実質的受け入れ先は,居住系サービスや住宅サービスと
いう在宅への移動を目指している。今回の改定は三段跳びのホップにあたり,完全にでき
るかできないかは別として*4のようにステップ・ジャンプと国はこの方向へ確実に進め
ていくのは間違いないところである。
診療所関係の改定では,*11の地域貢献加算から時間外対応加算への変更がある。今ま
で地域貢献加算を算定していれば,そのまま時間外対応加算2へとなるが,在総診の算定
をしているなら電話等の24時間対応をしているはずで,これは時間外対応加算1の算定条
件をクリアしており,変更届を提出すべきと思われる。また,もう一つの大きな変更であ
る*22~26在支診・在支病における機能強化型がある。これの算定条件を満たせば加算の
大幅な増額を認めているが,複数の医療機関が連携するタイプでの1ヶ月1回のカンファレ
ンスや連携医が看取りだけした時や死亡確認をしたときなどの取り扱いが不明で,機能強
化型への移行はしばらく様子見となるだろう。
最後に介護保険関係で居宅療養管理指導料に関し*36この資料の数字の一部に間違いが
あるが,ケアマネージャーへの書類による情報提供がない場合には,この指導料が算定で
きなくなっていることに注意したい。
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