小学校カリキュラム・マネジメントに関する研究

神奈川県立総合教育センター長期研修員研究報告 4:5∼8.2006
小学校カリキュラム・マネジメントに関する研究
−言葉による表現力を伸ばすためのマネジメントモデルの作成−
関
野 栄 子1
本研究では小学校でカリキュラム・マネジメントを実施する際の適切な手順や留意点を定めた具体的なパタ
ーンをまとめ、それに沿って、マネジメントモデルを作成した。「言葉による表現力を伸ばす」という目標を
設定した小学校を想定し、カリキュラム・マネジメントの具体的な方法を明らかにした。
はじめに
(1) 義務教育改革の視点から
現行の学習指導要領は「創意工夫を生かし特色
ある教育活動を展開すること」を求めていること
や、「総合的な学習の時間」の新設に見られるよ
うに、弾力化、大綱化していることが大きな特色
である。そのためこれを実施するとき、学校のカ
リキュラムについて学年や学校全体で話し合って
決める必要が生じ、実践後は自分たちの工夫した
発展的な学習の内容や「総合的な学習の時間」の
内容が、どのような効果を上げているのか見直す
ことが必要となった。ここにカリキュラム・マネ
ジメントの実施が求められる。
(2) 職員の意識の変容の視点から
多忙な毎日の中で、個々の教員はともすれば自
分の学級経営や自分の分掌に取り組むだけで精一
杯になり、学校全体の使命や方向性にまで意識を
向けられなくなることもある。そのような職員の
意識を、カリキュラム・マネジメントの導入によ
って、変容させることが期待できる。それは一人
ひとりの仕事が、共通の大きな目標に向かってな
されるようになり、学校の教育活動全体の中での
意義や目的が明確になるためである。職員が共通
の目標に向かって協働する学校になる契機として
もカリキュラム・マネジメントは求められている。
義務教育を改革することが国家的に求められている
現在、職員が一丸となって自分たちの学校改善を図る
時期に来ている。中央教育審議会は平成17年10月26日
の答申「新しい時代の義務教育を創造する」の中で教
育国家戦略として掲げた4項目のうちの一つに「地
方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める」と
いうことをあげ、各学校に主体性を発揮し創意工夫の
ある教育活動を展開することを求めている。その際、
カリキュラム・マネジメントの実施が必要であると言
われている。しかし、学校の現状を見るとカリキュラ
ム・マネジメントは個々の教員にまでは理解されてお
らず、その必要性や具体的な方法の普及が待たれると
ころである。そこで本研究では、具体的なマネジメン
トパターンを作成し、それを活用したカリキュラム・
マネジメントモデルを作成した。
研究の内容
1 カリキュラム・マネジメントとは
カリキュラムとは「一般に『教育課程』と訳され、
教育目標に即して児童生徒の学習を指導するために、
学校が文化遺産の中から選択して計画的・組織的に
編成して課する教育内容の全体計画を意味する。」
(新教育学大事典2)カリキュラム・マネジメント
については中留武昭らが「各学校が教育目標の達成
のために、児童・生徒の発達に即した教育内容を諸
条件とのかかわりにおいてとらえ直し、これを組織
化し、動態化することによって一定の教育効果を生
み出す経営活動である。」(中留・田村 2004)と
述べている。
本研究ではカリキュラム・マネジメントについて、
中留らの定義をもとに研究を進めることとする。
2 カリキュラム・マネジメントが必要とされる理由
1 伊勢原市立大田小学校
研修分野(カリキュラム・マネジメント)
3 具体的パターン作成
組織化と動態化を軸にカリキュラム・マネジメン
トの具体的パターンを作成した。
(1) 「組織化」について
定義に述べている、教育内容を組織化するとは
体系化することと同意義であると考える。教育内
容の組織化とともに、それを実践する職員の組織
化にも取り組まなければならない。職員の組織に
ついて、全体会議、企画会議、グループ(学年・
教科・分掌)を設けた。企画会議はグループごと
の目標や活動を結び付ける働きをするとともに、
全体会議への原案を作成し、カリキュラム・マネ
ジメントを推進する役割を果たす。
(2) 「動態化」について
- 5 -
第1表
カリキュラム・マネジメントの具体的パターン
手順と留意点
1 重点目標の設定
次のことから考えて、5つ程度の目標を立てる
・学校の教育目標 ・地域・学校・児童の実態把握
・前年度学校評価結果・国の基準や教育委員会の方針
2 「目標を具現化した児童の姿」「具体的な手だて」
「評価の観点」の設定
・重点目標をそれぞれのグループで具体化する
P ・企画会議で各グループから出た「具体的な手だて」
と「評価の観点」をまとめ調整する
3 年間計画の作成
・具体的な手だてを生かすよう、全てのグループで年
間計画を立てる
・教科等や他学年との関連を生かせるように、年間計
画を工夫する
・連携の調整を企画会議が行う
D 4 重点目標達成のため、年間計画の遂行
5 「具体的な手だて」について評価
・具体的な手だての達成状況と課題、改善の方向性に
ついて記述する
C ・児童のアンケートなども活用する
6 校内改善案の作成
・グループ評価を企画会議がまとめる
・全体会議で協議し、職員が共通理解したものにする
A 7 校内改善案に沿って改善
担当の記号 全:全体会議
企:企画会議
グ:グループ
空欄は全校での取組
担
当
全
企
企
グ
企
グ
カリキュラムの計画〔P〕
重点目標設定・年間計画作成
カリキュラムの実行〔D〕
1学期間の活動
指導計画(P)
教
育
目
標
実 行(D)
1日・1週間の学習・生活
P
D
C
A
活動の評価(C)
カ
リ
キ
ュ
カリキュラム・マネジメントでいう動態化とは
PDCAサイクルを取り入れて、カリキュラムを
計画(P)、実行(D)し、それを評価(C)して改善
(A)したことを次の計画に生かすという一連の段
階を経ながら、カリキュラムを継続的に改善して
いくことである。教員が共通理解しながらカリキ
ュラムを評価、改善していくことで、教科内や学
級内にとどまらないカリキュラムの改善や開発が
可能になり、年度を越えて継続させていくことが
できる。それを繰り返すことで、その学校の特色
あるカリキュラムができていくことになる。
動態化のためにどのような手順が必要か、「カ
リキュラムマネジメントが学校を変える」(中
留・田村 2004)「小学校学習指導要領解説総則
編」(文部科学省 2004)「学校評価を進めるた
めに(手引き)」(神奈川県教育庁教育部義務教
育課 2004)の3種類の文献から、PDCAサイク
ルの手順や配慮事項を調べた。
(3) カリキュラム・マネジメントの具体的パターン
(1)(2)から、カリキュラム・マネジメントの具
体的パターンを第1表のように作成した。
ラ
ム
活動の改善(A)
カリキュラムの評価〔C〕
カリキュラムの改善〔A〕
第1図
カリキュラム・マネジメントの年間の取組
(1) 重点目標の設定
企画会議において重点目標の原案を作る。その
ための視点としては学校の教育目標、地域・学
校・児童の実態、前年度学校評価の結果、国の基
準や教育委員会の方針等がある。
A小学校の児童は、活動に対して意欲的であり、
特に生活科や「総合的な学習の時間」は、教員の
熱心な取組により、成果を上げている。企画会議
では児童の「コミュニケーション能力の向上」に
着目した。授業の中でもっと言葉による表現力を
高めたい、話し合い活動を活発にしたいという議
論がなされた。そこで「言葉による表現力を伸ば
す」という目標が原案としてあげられた。
これはA小学校の教育目標(よく考える子、思
いやりのある子、たくましい子)を具現化する目
グ
全
企
標ともなり、文部科学省の言う「確かな学力」の
考え方とも一致するので、全体会議において、重
点目標の一つとして設定した。
(2) 「目標を具現化した児童の姿」
「具体的な手だ
て」
「評価の観点」の設定
重点目標「言葉による表現力を伸ばす」を具現
化した児童の姿を低中高学年別グループで話し合
った。高学年では「目的にふさわしい言葉で話す
1年間の流れを見ると第1図のようになる。
ことができる・自分の考えを相手に分かるように
話すことができる」と設定した。
次に教科、分掌のグループで「具体的な手だ
て」と「評価の観点」を設定した(第2表)。 そ
れに先立って、企画会議において国語と図画工作
4 カリキュラム・マネジメントモデル
前章で作成した具体的パターンに沿ってカリキュ
ラム・マネジメントを進めていくと、どのような取
組となるか、架空のA小学校を想定してカリキュラ
ム・マネジメントのシミュレーションを行い、マネ
ジメントモデルを作成する。
を重点教科にすることとし、予備時数から配当し
- 6 -
て予定時数を標準時数より増やすことを決める。
第2表
国語
社会
算数
理科
音楽
体育
道徳
・国語の授業の中で「話す・聞
く」領域に重点を置き、話す・
聞く活動の時間を増やす。
・話し方・聞き方スキルを培う
単元を特設する。
・朝のモジュールを読書活動
にあてる。
・学校図書館を計画的に活用
する。
・その子なりの 発想や創造性
を大切にし、表現することの
喜びを味わわせ、自己表現を
認め合う活動を取り入れる。
重点教科の評
価の観点
評価
の観
・領域別時間数
・特設単元の設
定の有無
・朝の学習時間
の実施状況
・図書館活用状
況
点
総合的な
学習の時間
・自己表現を認
め合 う活 動 の
時数
・創造的な表現
活動の有無
・「思考・判断」の活動において、社会的事象を適
切に表現する時間を増やす。
・筋道を立てて考える能力を育成することに重点
を置き、説明したり教え合ったりする活動を取り
入れる。
・自然事象に対して、実験や観察を通して主体的
な問題解決活動に取り組む機会を増やす。
・その子なりの発想や創造性を大切にし、表現す
ることの喜びを味わわせ、自己表現を認め合う活
動を取り入れる。
・日常生活に必要な知識や技能を、家庭での実
践的活動に生かし、家族との交流を深めることを
目的とした活動を取り入れる。
・友だちと学び合う活動に重点を置き、説明した
り、励まし合ったりする時間を取り入れる。
・道徳的価値の自覚を深めるようにし、それを表
現する活動を工夫する。
・自分の追究した課題について発表することに重
点を置き、発表の仕方を学ぶ時間を取り入れる。
・課題追究の場面において、専門家や地域の人
などと交流する機会を増やす。
第3表
5月
めざせ、 そうだね そうだね
聞き方名 ゲーム
ゲーム
人!
7月
9月
特別
活動
11月
図書館
・図書館学習年間
計画の有無
・司書教諭による
ようにした。さらに国語は話す・聞く能力を主な
活動にしている単元の時間数を昨年度より増やし
た。図画工作は標準時数より5時間多く計上し、
自分たちの作品について語る時間を設けた。
次に、教科別年間計画を作成する。この年間計
画には教科の評価規準、重点目標、目標を具現化
した児童の姿、具体的取組とその評価の観点を記
入しておくようにした。各単元については評価規
準、評価の方法も定めておくこととし、他教科等
や学校図書館との関連の欄も設けた。
4
年
5
年
6
年
「
3
つの
話し方」
「
3
つの
話し方を
試してみ
よう
」
元気の出 元気の出 「
さわや
る聴き方 る聴き方 かさんで
聞いてみ
よう
」
「
さわや
かさんで
聞いてみ
よう
」
「
ここにい 「
本につ
「
これ君
るよ」
いて語り のだよ」
ましょう
」
「
前かな
後ろか
な」
「
前かな
後ろか
な」
「
俳句で
遊ぼう
」
さいころ
トーク
さいころ
トーク
さいころ
トーク
さいころ
トーク
やさしい
頼み方
「
私のお
願い」
上手な断
り方「
ご
めんね。
でも
・・・
」
さいころ
トーク
さいころ
トーク
友だち
友だちと いっしょ おしえて 仲間の入 「
に遊ぼう ください り方
増やそう
さらに
仲
「
いーれ
大作戦」
良くなれ ゲーム
て」
る話し方
を身につ
けよう
!
季節を見 秋を見つ 秋を見つ 俳句を作 俳句を作 俳句を作 俳句を作
つけて、 けたよ
けたよ
ろう
ろう
ろう
ろう
発表しよ
う
!
本を仲立 「
本から
ちにして 逃げまし
たくさん た」
話そう
!
「
この人
「
クイズ
「
クイズ
いたかな 大作戦」 大作戦」
いなかっ
たかな」
「
なんて
たくさん
のものが
あるんで
しょう
」
「
なんて
たくさん
のものが
あるんで
しょう
」
「
無人島
SOS」
「
ピペット 「
わたし
ディス
のまちの
カッショ お店やさ
ン」
ん」
1月
友達のい 「
ありがと「
ぱちぱ
「
がんば
いところ う
カード
」 ちカード
」 り賞あげ
を発表し
よっと
」
よう
!
「
あなた
の○○が
好きで
す」
「
あたた
「
別れの
かい言葉 花束」
シャ
ワー」
2月
方・聞き方スキルを培うための特設単元を「お話
タイム」と名付け、予備時数から国語に配当した
10 時間の時数をあて、ほぼ毎月1時間学習する
3
年
質問ジャ インタ
ンケン
ビュー
ゲーム
必要なこ 「
本につ
「
本から
「
わいわ
とを分か いて語り 逃げまし いブロッ
りやすく ましょう
」 た」
ク」
話そう
!
網掛け部分は次章に関連する項目
まず「具体的手だて」を反映させた単元配列表
を学年ごとに作成し、教科、単元ごとの時間数の
調整を行う。「具体的手だて」で設定した話し
本を仲立
ちにして
たくさん
話そう
!
メモなし
でスピー
チしてみ
よう
!
あいさつ 友だち増
リレー
やそう
12月
授業実践の状況
(3) 年間計画の作成
2
年
4
月
10月
・学校図書館を計画的に活用する。
1年
新しい友
だちと
話
そう
!
6月
・望ましい人間関係づくりに重点を置き、自己表
現の場面のあるゲームや遊びを取り入れる。
・司書教諭による授業を実施する。
特設単元「お話タイム」年間計画
各月の共
通テー
マ・
目標
・
定期的な授業自己評価
家庭
具体的な手だて
・
公開授業における保護者による授業評価
図画
工作
教科等における「具体的な手だて」「評価の観点」
・
児童の授業評価
教科
等
また各分掌グループの年間計画を作成する。特
に図書館教育については、各教科の年間計画から
出された関連を盛り込み、司書教諭が各学級で毎
月1時間は指導ができるように計画した。
(4) 特設単元「お話タイム」の年間計画
特設単元「お話タイム」は、話し方聞き方の技
術の向上を目的として、ゲーム的な要素を取り入
れて楽しく音声表現活動に取り組めるように計画
した(第3表)。のびのびと恥ずかしがらずに練習
してこそ、話し方・聞き方の力は身に付くと考え
るからである。内容は、ソーシャルスキルトレー
ニング、アサーションワーク、構成的グループエ
ンカウンター、読書のアニマシオンなどのプログ
ラムを参考にし、友だちのことを知って仲良くな
れる題材や、本や季節感のあるものを話題とした。
スピーチやグループ討議、ロールプレイなどの活
動を取り入れ、自然に話す場面を多く設定した。
自分のこ 「
自分へ 「
自分へ
とを友達 の手紙」 の手紙」
に話そ
う
!
「
自分が
「
十年後
したいこ のわた
とベスト
1 し」
0
」
「
自分に 「
自分に
ほめ言葉 ほめ言葉
のプレゼ のプレゼ
ント
をしよ ント
をしよ
う
」
う
」
時間数は全て1単元1時間 網掛け部分は次章に関連する項目
特設単元「お話タイム」の学年ごとの年間計画
を、5年生を例に次ページ第4表に示す。
5 特設単元の授業実践
カリキュラム・マネジメントの中での授業の実践
として、5年生の特設単元の授業を実施した。「な
んてたくさんのものがあるんでしょう」は読書への
アニマシオンを取り入れている。「たこをあげるひ
とまねこざる」(文M.レイ・絵H.レイ・訳光吉
夏弥 岩波書店)の中に出てきたさまざまな事物が
物語の中でどんな役目を果たしているかを話し合う
内容である。実際には「∼はこのお話の中に出てき
ましたか。」という質問に答える形で発表する。一
人ひとりに違った質問をするので、どの児童も質問
- 7 -
第4表
月
4
との関係がより緊密なものになる。そのため授業を
構想する視点や評価の観点も明確になり、さらに学
習指導に関する職員の共通理解が図れる。
5年生特設単元「お話タイム」年間計画
5
6
7
単元名
学習内容
「3つの話し方」
「おどおどさん」「いばりやさん」「さわやかさん」)の教材文
(シナリオ)を読んで、感じのいい話し方について話し合う。
「さわやかさんで
話をよく聞くためのこつを考え、意見を出し合う。クラスでま
聞いてみよう」
とめた、よく聞くためのこつをロールプレイで試して体験す
る。
「前 か な 後 ろか
読んだ物語「いじわる夫婦が消えちゃった」について、その
な」
物語の出来事の順番について振り返り、話し合って物語を
再構成する。
さいころトーク
あらかじめ6種類決めておいたスピーチのテーマの中から、
振ったさいころによってその場で自分のテーマを決め、グル
研究のまとめ
汎用性のあるカリキュラム・マネジメントの具体的
パターンができたと考えている。さらに地域との連携
を考える作業手順を確立させたい。
A小学校のマネジメントモデルは、具体的な手だて
と同時に設定しておいた評価の観点に沿って、取組を
評価し改善する段階となる。ここまでのマネジメント
モデルでは、例えば、国語の特設単元の設定や、図書
館教育年間計画の作成についてはよい評価になるだろ
う。さらに一人ひとりの教員が各教科でどのような実
践をし、自己評価しているかをまとめる作業が必要で
ある。そこから次年度への改善案を作成する。それに
ついては今後の研究課題としたい。
ープの友だちに分かりやすく話す。
9
10
11
12
や さしい 頼 み 方
頼み事をする言い方を考え学級でまとめる。それを使って
「私のお願い」
グループの中で頼む練習をする。
俳句を作ろう
身のまわりの自然で気づいたことを発表し合い、それをもと
に俳句を作る。
1
2
「なんてたくさんの
ものがあるんでし
「たこをあげるひとまねこざる」を読んで、登場人物や出てく
る物が物語に果たす役割を考え発表し、それをもとに 話し
ょう」
合う。
「ピペットディスカ
ッション」
宇宙船から脱出する際に必要なものというテーマで意見を
出し合い、グループの中で意見をまとめる。
「あたたかい言葉
あたたかい言葉と冷たい言葉を分け、同じグループの友だ
シャワー」
ちに贈るあたたかい言葉を考え、声をかけ合う。
「自分にほめ言葉
自分のいいところをワークシートに記入し、それをもとにグ
の プレゼントをし
よう」
ループの友だちに発表する。
単元目標、評価規準、評価方法は紙数の都合で省略
おわりに
網掛けは授業実践の単元
に真剣に答えられる。また発表の形式もある程度決
まっているので、発表の苦手な児童も安心して話す
ことができるが、発表の内容は読みとりの深さが表
れるので、深い読み取りをすれば級友から賞賛を得
られることになり、どの児童も自分が発言したこと
に満足できるだろう。
単元名:なんてたくさんのものがあるんでしょう
本時の目標:自分の考えをはっきりと述べたり、
友だちの意見に付け加えたりすることができる。
評価規準:①物語の内容について気がついたことを
進んで表現しようとしている。(国語への関心・
意欲・態度)②自分の考えをはっきりともち、友
だちにわかるように話している。友だちの意見に
対して賛成したり考えを付け加えたりしている。
(話す・聞く能力)
授業後は児童・授業者ともに自己評価した。この
授業は教育目標を具体化した「言葉による表現力を
伸ばす」という重点目標実現のために設定した手だ
ての一つとして実践したものであるので、いっそう
授業の目標が授業者にとって明確になった。したが
って授業の改善点も明確になった。授業では児童の
進んで表現しようという態度が十分見られ、発言の
仕方も向上してきたことがうかがわれた。たださら
に友だちの発言に対して賛成したり、付け加えたり
して理解を深め合う話し方の練習を重ねさせること
の必要を強く感じた。この授業実践を通して職員と
の活発な討議により共通理解を得ることができた。
カリキュラム・マネジメントの体系の中での授業
は、そうでない場合に比べて、本時目標と教育目標
カリキュラム・マネジメントを実施していくことは、
個々の教員の資質を向上させることにつながると実感
した。それは学校全体の教育活動を広い視野で見るこ
とや、教科等の学習においてさまざまな連携を探るこ
とを、同僚とともに体験することになるからである。
カリキュラム・マネジメントは児童・教員ともに活力
をもたらすものであり、その推進に尽力していきたい。
引用文献
中央教育審議会 2005「新しい時代の義務教育を創造
する(答申)」
中央教育審議会 1996「21 世紀を展望した我が国の
教育の在り方について(答申)」
今野善清他 1990『新教育学大事典2』P.40 第一法規
中留武昭・田村知子 2004『カリキュラムマネジメン
トが学校を変える』P.11 学事出版
参考文献
文部科学省 2004『小学校学習指導要領解説 総則編
東洋館出版
神奈川県教育庁教育部義務教育課 2004「学校評価を進
めるために(手引き)」
神奈川県立青年の家 1998『体験学習の手引き』
國分康孝 岡田弘 1996『エンカウンターで学級が変わ
る小学校編』図書文化
國分康孝 小林正幸 相川充 1999『ソーシャルスキル
教育で子どもが変わる 小学校』図書文化
園田雅代 中釜洋子 2000『子どものためのアサーショ
ン(自己表現)グループワーク』金子書房
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