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分野
エネルギー
研究室紹介ページフォーマット
足利工業大学 工学部
荻原研究室
URL:http://www2.ashitech.ac.jp/elec/ogiwara/index.html
研究テーマ
・ 電磁誘導加熱用高周波インバータの特性評価と産業応用
・ *******
キーワード
電磁誘導加熱
高周波インバータ
パワー半導体デバイス
SiC-SIT
産業界の相談に対応できる技術分野
電磁誘導加熱全般
荻原弘之教授
インバータ技術
主な設備
電磁誘導加熱用高周波インバータ(100kHz、200kHz、300kHz)
高出力直流電源(450V/40A)
連絡先
足利工業大学工学部電気電子工学科 荻原弘之 TEL 0284-22-5651 FAX 0284-62-4633
e-mail
研究概要
地球環境問題に貢献する電磁誘導加熱技術
[email protected]
このように、家電・民生業界、産業分野での電
磁誘導加熱への期待は大きく、時代のニーズに応
えて新展開を遂げ、今後更なる異業種への拡大・
◆
発展が見込まれます。
現在、「もの作り」を支える各種産業界では、
発生するCO2などの排出量を大幅に削減する必
要に迫られています。そこで、負荷(利用者)側で
CO2の排出量が少なく安全な熱エネルギー源と
して、電力周波数の有効利用の一分野である高周
波電磁誘導加熱(Induction Heating:IH)技術が
注目され、脚光を浴びています。
時代のニーズに応えて新展開を遂げる電磁
誘導加熱技術
図 1 電磁誘導加熱用高周波インバータの構成
電磁誘導加熱技術の構成
電磁誘導加熱技術は、その特長を活かして金属
◆◆
に新たに強い生命力を与え、鉄鋼機械部品の高品
図1に電磁誘導加熱技術の構成の概略を示し
質化・高付加価値化に貢献し、基盤産業として我
ます。構成の中で最も中心的な位置を占めるのが
が国の高度成長を支えました。電磁誘導加熱が
高周波インバータであり、これは「パワー半導体
「IH」として一般に知れ渡ったのは最近であり、 デバイス技術」、
「高効率回路技術」
、「回路を構成
これは家電製品で普及した「電磁調理器」、
「電磁
する部品の高性能化技術」で支えられています。
炊飯器」等の性能の良さ・安全性が認識された結
特に1980年初頭から急速に発展したパワー
果と考えます。
半導体デバイス製造技術の存在は大きく、応用分
野も多種にわたり、各種工業製品の製造のみなら
ず食品、医療、化学等の分野にも及び、今後更な
る展開が期待できます。
電磁誘導加熱の特長
(1)被加熱物自身が発熱する直接加熱であり、
燃焼による間接加熱よりも高効率でエネルギー
密度を高くすることができ、急速加熱も可能です。
また、高い省エネルギー性が発揮でき、安全なエ
ネルギー源です。
(2)地球環境の面で優れた技術でありCO2、N
ステンレススチール
カーボンセラミックス
図 3 過熱蒸気発生の負荷部(カーボンセラミッ
ク製、ステンレススチール製)
OX、SOXなどの排出ガスの低減ができ、被加熱
この電磁流体加熱の画期的な応用例として、飽
物周辺の雰囲気が燃焼熱源に比べて低く、作業環
和蒸気などの気体を更に加熱し、常圧で高温過熱
境・安全性が改善されます。
蒸気を発生させるシステムへの応用があげられ
(3)制御性に優れています。難しい加熱条件の
ます。過熱蒸気の主な特長は、加熱空気に比べ熱
設定、運転状況の把握、診断・警報機能、インタ
容量が五倍程大きいため被加熱物の急速加熱が
ーネット接続による遠隔操作等が比較的容易に
可能、次に伝熱作用が対流、放射、凝縮によるた
行え、また人件費の削減による優れた経済性も実
め高速昇温が可能であり、更に飽和蒸気に比べ単
現できます。
位体積当たりの水分量が少なく、湿熱と乾熱の性
質を合わせ持つため、乾燥速度が速いことがあげ
られます。そのため、食品の乾燥・調理・殺菌、
機械部品の洗浄・脱油、金属の表面処理、有機物
の炭化、緑茶・コーヒー・ナッツ類等の焙煎、高
級サウナなどの食品加工分野、工業分野、レジャ
-分野で利用され、更なる応用分野の拡大に期待
がもたれています。
今後の展開
◆◆◆
図 2 実験風景
現在、パワー半導体デバイスの材料はシリコン
(Si)が使用されていますが、その諸特性(オン
流体加熱への応用
抵抗、温度特性、高周波特性)が理論限界に近づ
いています。そのため、Si に替わる新素材の一つ
最近、電磁誘導加熱は「金属を加熱する」とい
としてシリコンカーバイト(SiC)による高性能パ
う枠を超えて、金属以外の流体や気体を加熱する
ワー半導体デバイスが注目されています。研究室
電磁誘導流体加熱システムへの応用が活況を呈
では、SiC による電磁誘導加熱用高周波インバー
しています。これは電磁誘導加熱作用の原理を利
タの研究も進めており、変換効率 98~99(%)を実
用して、パイプ容器内部の特殊な充填物を発熱さ
現し、この結果を大学院生が国内、国際会議等で
せ、そこに流体(液体、気体)を通すことで熱交換
発表しています。
作用により流体が加熱される方式です。
図 4 SiC 素子の外観(開発途上のため、非常に
高価です)
電磁誘導加熱は、地球環境問題の改善に貢献で
き、また応用分野の拡大によって従来では考えら
れなかった異分野への展開も期待できます。更に、
種々の素材の特長を活かした高付加価値の新商
品を創出するためにも、電磁誘導加熱技術の発展
は重要であると考えます。