法律図書館連絡会第53回総会議事録 法律図書館連絡会幹事会 1 日時 平成22年10月15日(金)10時∼17時 2 場所 上智大学図書館L−921会議室 3 参加者 36機関64名(うち8名が賛助員) 4 次第 (1) 記念講演 講演者 滝 演 「法律図書の特徴」 題 澤 正 氏 (上智大学図書館長 法科大学院教授) (2) 法律関係企業展示会及び上智大学図書館見学 (3) 総会及び中級講座 ア 議長選出 イ 報告事項 1.幹事会報告 2.会計報告及び監査報告 3.入退会報告 4.各委員会報告 ウ 「法図連通信」等編集委員会 安部さちこ委員長 定例研究会運営委員会 藤井康子委員長 ビデオ制作委員会 鈴木敦委員長 協議事項 1.規約の改正について 2.幹事館の交代及び欠員補充について 3.次回総会開催館(西日本)について 4.その他 エ 総会報告拡大版 「法図連ホームページの開設について−経緯と内容の説明−」 オ 冨田耕平 中級講座 国立国会図書館の法律関係データベースについて 1.「日本法令索引」データベース 国立国会図書館議会官庁資料課立法情報係長 2.「国会会議録検索システム」 福井 千衣 氏 幹事 国立国会図書館議会官庁資料課議会・政治資料係長 山崎 美和 氏 (4) 交流会 5 議事内容 等雄一郎常任幹事(国立国会図書館),佐藤哲彦上智大学国際学術情報局長(開催館) の開会挨拶後,以下のとおり議事が進められた。(司会は後藤暁子上智大学図書館事務 長) (1) 記念講演 上智大学図書館長・法科大学院教授滝澤正氏による「法律図書の特徴」と題した記 念講演が行われた。 講演では,まず,「法学の学問的性格」について様々な切り口から説明があり,例 えば経済学と対比すると,経済学の論文は,人間の行動様式を世界共通の数式で分析 しなければならず,論文そのものも世界共通の英語で書かれるが,法学の論文は,日 本の実定法を解釈することが中心であり,日本法を外国に紹介するという格別の目的 を持つ場合以外日本語で書かれるため,法学は極めでドメスティックな学問という面 もあるとの話があった。 次に,「法律図書の特徴」に関して,日本の図書館が外国の図書・雑誌や過去の法 律図書を大事にしていることについて,慣習の違いなどにより法の存在形態が多様で あり,その中から望ましい法のあり方を選択する際には,手がかりとして過去の歴史 や外国のあり方を参照することが必要であること,また,大宝律令が中国の律令を参 考としていることや,明治維新後における明治政府の西洋法への傾注等,歴史的に日 本法は外国法を参照して作られていることから,日本法を解釈して適用するに当たっ ては外国法を参照することが有効となるなどの話があった。 さらに,「外国法律書を取り扱う際の留意事項」について,法源のあり方,法観念 の観点から説明があり,最後に,法学を勉強しようとする人が法律図書館を利用する 場合,文献の取り扱いにはかなり難しい面もあり,とりわけ,外国法律図書を参照す る場合には,安易にアナロジー(類比)で説明してしまうと非常に危険であることを 理解してほしいとの話があった。 (2) 総会及びディスカッション ア 議長として林美春氏(千葉大学法経学部法学科資料室)が選出され,法図連規約 第8条第2項により36機関,委任状23通,合わせて59機関の参加を得て,会 員数の過半数を超えたことにより,総会の成立が確認された。 イ 報告事項 (ア) 幹事会報告 等常任幹事から以下のとおり報告があった。 2010年度の幹事会は,計4回開催された。 第1回(2009年12月11日 於国立国会図書館)は,第52回総会の総 括,2009年度の活動評価と2010年度活動方針等を議題とした。前回総会 の総括として,会場館の負担を最低限とする総会運営ができたか否かを検証した 結果,最低限で済んだとの結論に至り,昨年度の総会の運営をマニュアル化して, 今後の幹事会に引き継いでいくこととした。 また,2010年の活動方針として,ホームページの開設を目標に掲げ,立命 館大学の冨田幹事に担当していただくこととした。作成作業のための学生のアル バイト費用は法図連が負担することとし,また,ホームページの管理規定を定め ることを決定した。 第2回(2010年5月28日 於立命館大学会議室)は,第53回総会の準 備及びホームページの開設準備が中心となった。 前者については,①総会の際の各幹事の役割分担(規約上は交代時期であった 国學院大学の渡辺幹事については,会計上の変革の途上において安定的運用に至 っていない実情を考え,引き続き会計を担当していただくこととし,会場館であ る上智大学との連絡は専修大学の千田幹事にお願いすることとした。),②プロ グラム内容(記念講演の内容等),③協議事項等について検討,決定し,後者に 関しては,この幹事会で提出されたホームページ管理規定(案)を承認した。 また,東日本地区の幹事館が欠員状態にあることについて,常任幹事を中心に 候補の館に当たっていく方針を決定した。 第3回(2010年9月10日 於上智大学図書館会議室)は,第53回総会 の準備,ホームページ開設についての検討が中心となった。特に,ホームページ の開設に当たっては様々なことが考えられるため,冨田幹事から,第2回幹事会 以降修正を重ねた最終案を提出していただき,1ページづつ検討を加えた。 また,東日本地区の幹事館の欠員について,アジア経済研究所を候補館とする ことを承認した。 本日開催した第4回幹事会では,総会の議事進行等について最終的な確認を行 った。 (イ) 会計報告及び監査報告 渡辺礼子幹事(国學院大学)から,「2009年度法律図書館連絡会収支決算 報告書」に沿って,会計報告がされた。併せて,2009年度から,年度単位で 1年分の報告が可能となった旨の説明があった。 次に,丸本操氏(東京経済大学)から監査報告が行われ,諸帳簿等を検査した 結果,会計処理は適切に行われているとの報告があった。 (ウ) 入退会報告 等常任幹事から,経済産業省図書館が新規に加盟し,宍戸伴久氏が新たに賛助 会員となられた旨報告があり,それぞれ加入の挨拶があった。 (エ) 各委員会報告 ・「法図連通信」等編集委員会 安部委員長から,4月期の人事異動により委員長が交代した旨報告があり, 当日配布された第42号の内容が紹介された。 また,ホームページ開設に伴い,将来的に「法図連通信」をホームページに 掲載する予定であるとの説明があった。 ・定例研究会運営委員会 藤井委員長から,「平成22年度 定例研究会運営委員会報告書」に沿って, 委員交代,運営委員会の実施状況,基礎講座の開催状況について報告があり, 今後の活動としては,12月10日に法廷傍聴を行う予定であるとの説明があ った。 また,ビデオ作成委員会が作成したDVD「わかりやすい法情報の調べ方」 を使用した研修の講師となる図書館員のための講習会を,来年3月上旬か中旬 に開催するとの報告があった。 ・ビデオ制作委員会 鈴木委員長より,本年度は,DVD「わかりやすい法情報の調べ方」に関す るアンケートの集計,分析及び報告書の作成を主眼に活動し,報告書は,本日 総会資料として配付しているとの報告があった。 アンケート回答の中には,DVDを購入した館から,活用のための研修会を 行ってほしいという要望があったが,定例研究会運営委員会とも相談しながら 対応していく旨の説明があった。 ウ 協議事項 (ア) 規約の改正について 笠学常任幹事(大阪大学)から,規約第13条(4)「連絡会の監査担当者は 2名とし,幹事館以外の加盟館より選出する。」を,内容を明確にするため「連 絡会の監査担当者は2名とし,幹事館以外の加盟館より総会において選出す る。」と改正することが提案され,挙手による採決の結果,賛成多数で承認され た。 (イ) 幹事館の交代および欠員補充について 笠常任幹事から,欠員となっている「東日本地区 国公大等」枠について,日 本貿易振興機構アジア経済研究所図書館が就任すること及び「西日本地区 私立 大学」枠について,立命館大学図書館から龍谷大学図書館へ交代することが提案 され,挙手による採決の結果,賛成多数で承認された。その後,新幹事館から挨 拶があった。 (ウ) 次回総会開催館(西日本)について 笠常任幹事から,現段階で未定であるため本総会で立候補を募りたい旨説明が あり,出席館に対して立候補,意見を募ったが発言がなかった。 このため,本件については幹事会に一任することを提案した結果,賛成多数で 承認された。 (エ) その他 ・50年誌編集委員会解散の提案について 笠常任幹事から,50年誌編集委員会は「法律図書館連絡会50年史」を発 刊して現在活動を停止しており,また,同委員会が提案したダイレクトリーの 作成については,時期を逸したため作成する場合には改めて企画されるべきで あることから,同委員会は所期の目的を達したとして解散することの提案があ り,挙手による採決の結果,賛成多数で承認された。 ・ホームページ委員会の解散について 笠常任幹事から,ホームページ委員会はコンテンツの検討や国立情報学研究 所のサーバー使用手続きを行うなど成果をおさめ現在活動を停止しており,ま た,今後のホームページの管理運営は幹事会が行う予定であることから,同委 員会は初期の目的を達したとして解散することの提案があり,挙手による採決 の結果,賛成多数で承認された。 エ 総会報告拡大版 冨田耕平幹事(立命館大学)から,「法図連ホームページの開設について−経緯 の内容と説明−」に沿って,ビデオ制作委員会,ホームページ委員会,幹事会にお けるホームページに関する検討内容等,ホームページ開設までの経緯等について報 告があった。 次に,実際にホームページの画面を示しながら,ホームページの概要,使い方等 について解説を行い,サーバーの容量の関係上,掲載する情報量に制限があるため, 今後,その枠内でコンテンツを形成していくことが課題となるとの提言があった。 最後に,「法律図書館連絡会ホームページ管理規程」中,ポイントなる部分につ いての説明があった。 ウ 中級講座 「国立国会図書館の法律関係データベースついて」 (ア) 「日本法令索引」データベース 国立国会図書館議会官庁資料課立法情報係長福井千衣氏から,配布資料及び 「法図連通信」第42号P4∼P5に沿って,日本法令索引データベースについ ての説明があった。 福井氏からは,日本法令索引がインターネットにより提供されるまでの経緯, データベースの概要と使用方法,さらに,平成22年のニューリアルにより,制 定時の法令と現行法令が一覧できるようになったことや明治時代の太政官布告の 中で,それを廃止する明確な法令がなく,現在でも効力を有すると考えられてい るものについても日本法令検索ではヒットすることなどについて,実際にパソコ ンの画面を示しながら話があった。 また,参加者から,法令全書へのリンク要望,新聞の採録に関する質問があり, 前者についてはデジタルデータ作成中の大正期以降のものについて各種問題があ って困難であり,後者については,朝日新聞を中心に採録を行っている旨の回答 があった。 (イ) 「国会会議録検索シスステム」 国立国会図書館議会官庁資料課議会・政治資料係長山崎美和氏から,配布資料 に沿って,国会会議録検索システムについての説明があった。 山崎氏からは,まず,本会議,各委員会における会議録の種類,会議録の記載 事項について説明があり,国会会議録の根拠は憲法第57条の規程であることや 参議院にのみ設置される調査会の記録も委員会の会議録と同様に収録されること などについて話があった。引き続き,国会会議録検索システムの成り立ち,概要 について話があり,その後,システムの使い方等について,実際にパソコンの画 面を示しながら例題を用いて詳しい説明があった。 また,本年6月に公開を開始した,帝国議会会議録検索システムの概要等につ いて話があり,最後に,法案審議経過の探し方等について,実際にパソコンの画 面を示しながら例題を用いて説明があった。 6 交流会 総会会場である上智大学の11号館第一会議室において交流会が行われ,盛況のうち に終了した。
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