学業継続支援保険制度導入き っ か け ― 保護者リスクとメリット - 本 制 度 の 生 れ た き っ か け は 、 2011 年 3 月 11 日 の 東 日 本 大 震 災 か ら 1 年 後 に 被 災 地 に 伺 い 、 大 学 の 後 輩 の 死 ( 2015 年 1 月 現 在 行 方 不 明 ) や 1 年 後 で も 悲 惨 な現状を見ました。 ・親族である親、子、兄弟姉妹、祖父、祖母を亡くした人々・・・ ・建物の残骸や瓦礫の山・・・ ・仮設住宅で厳しい寒さに耐える日々・・・ ・父、母とも亡くしている子供達・・・ を見てきました。生命保険に入っていれば、今後の生活はできるでしょう。 しかし、保護者がケガや病気によって寝たきりなど仕事ができない状態となって しまっていたら・・・ すべてはここから始まりました。 東 京 都 生 活 文 化 局 か ら 平 成 15 年 11 月 に 出 て い る 「 私 立 高 等 学 校 等 に お け る 教 育 に 関 す る 都 民 の 意 識 調 査 報 告 書 」 の 中 で 、 特 に 年 収 1,200 万 円 以 上 の 世 帯 の 場 合 に 3/ 4が 私 立 に 就 学 し て い ま す が 、 現 実 に は 私 立 就 学 者 保 護 者 の 85%が 教 育 費 (学 費 )を 負 担 に 感 じ て い る、と報告されておりました。 保護者にとっても、私立学校に子供を就学させる保護者を取り巻く環境がますます今後厳 しくなっていくことが予想されます。また、 ・保護者が亡くなってしまった。 ・保護者が失職してしまった。 ・保護者が離婚してしまった。 ・保護者の転勤で家族ごと地方(海外)へ移住。 ・保護者が家族の介護をすることで失職してしまった。 ・保護者が怪我や病気によって仕事ができない状態となってしまった。 ・保護者が病気再発後、失職してしまった。 といった家族の内部環境によって変化していくことも考えられます。 例えば、保護者の年齢が高くなれば、がん・脳卒中・急性心筋梗塞や糖尿病・メンタル ヘルスといった疾病リスクも高まってくる中、その闘病により、治療と職業生活の両立に 困難を抱えている生産者人口(保護者世代)が多く存在しているとの報告(我が国の医療 と就労問題)がされています。 厚 生 労 働 省 に よ る 「 治 療 と 職 業 生 活 の 両 立 等 の 支 援 に 関 す る 検 討 会 」 が 平 成 24 年 8 月 8 日に行われた中で、 近年の医療技術の進歩によってこれまでは治らないとされていた 疾病が治るようになり、 また、労働環境の変化等により、精神疾患等の作業関連疾患が 増加していることから、 職場復帰を目指して治療を受ける労働者や 治療を受けながら就労する労働者が増加している。 (厚労省「治療と職業生活の料率等の支援」より) と出ておりますが、疾病全般を対象として、治療と職業生活の両立について検討して おらず、またがんや肝炎など、その他の疾病については、治療と職業生活の両立等の ための取り組みの多くは不十分のようです。 現状として、治療と職業生活の両立に困難を抱えている労働者が多く存在すると考 えられる疾病(がん、糖尿病、メンタルヘルス)についての報告がなされています。 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl-att/2r9852000002ecj9.pdf 以上のことを考えると、無事に入学した後に、保護者の不慮の事故や突然の病気によって 就業不能となった状況においても卒業まで安心して学校生活をおくれるシステムを構築 し、危機管理を考えておく必要があるために新たに開発されました。 ま た 、 24 年 度 の 東 京 都 私 立 高 等 学 校 ( 全 日 制 ) 生 徒 退 学 者 の 状 況 で は 1486 名 の 退 学 者 が あ り 、 実 際 に 200 名 の 入 学 者 で 3 名 退 学 者 が 出 る こ と に な り ま す 。 そ の 原 因 の 中 に お い て、保護者が亡くなってしまった場合には、生命保険や傷害保険といった死亡保障に加入 していれば、その保険金によって学校生活を継続することは可能といえますが、その他の 状況に関しては、カバーすることが不可能な状況が多いようです。 しかし、以上の中で一つ対策を講じられるものがあります。それは、最後の 「保護者が怪我や病気によって仕事ができない状態となってしまった」 時です。 それでは、実際に働く保護者世代と病気の関係はどうなっているのでしょうか? 1 長期療養の発生率 一方、就業障害保険(所得補償保険)専門会社の長期療養による就業障害保険金の支払 データから長期療養の発生割合を算出してみると 死 亡 率 と 長 期 療 養 発 生 人 数 ( 人 口 10 万 人 あ た り ) は 、 ・ 死 亡 率 : 厚 生 労 働 省 「 人 口 動 態 統 計 (確 定 数 )の 概 況 」 平 成 23 年 ・ 長 期 療 養 発 生 率 : 保 険 会 社 保 険 金 支 払 デ ー タ よ り (1999 年 ~ 2012 年 ) 死亡と長期療養は、ほぼ同様の発生数 であり、これを先程の東京都私立中学高等学校の学校数で考えてみます。 中 学 校 で は 3 校 に 2 校 ( 60% 強 ) の 割 合 と な っ て お り ま す が 、 高等学校では各学校において1 名以上の保護者が亡くなるか長期療養が発生 していることがわかります。 次 に 、 期 間 別 の 長 期 療 養 発 生 率 ( 人 口 10 万 人 あ た り ) で は ・ 死 亡 率 : 厚 生 労 働 省 「 人 口 動 態 統 計 (確 定 数 ) の 概 況 」 平 成 23 年 ・ 長 期 療 養 発 生 率 : 保 険 会 社 保 険 金 支 払 デ ー タ よ り (1999 年 ~ 2012 年 ) というデータが出ております。 この長期療養発生(1年以上 3年未満)を先程の東京都私立中学高等学校の学校数で考 えてみると、長期療養発生において 中 学 校 で は 3 年 以 上 の 長 期 療 養 発 生 は 1 2 %と 1 0 人 に 1 人 と な っ て お り ま す が 、 高等学校では各学校において5名中1人以上が3年以上の長期療養が発生 していることになります。 このように保護者の年齢が高くなることで長期療養発生リスクは高くなってきます。 人 口 動 態 統 計 で は 、 第 1 子 出 生 時 の 母 の 平 均 年 齢 は 、 平 成 23 年 に 初 め て 30 歳 を 超 え て ( 30.1 歳 ) 以 降 、 平 成 25 年 は 30.4 歳 と 、 引 き 続 き 上 昇 傾 向 と な っ て お り 、 ち な み に 約 30 年 前 に あ た る 昭 和 60 年 ( 1985 年 ) 当 時 は 26.7 歳 で あ り 、 晩 婚 化 ⇒ 晩 産 化 が 進 ん で お り 、 あ る 学 校 で は 、 平 均 年 齢 が 10 歳 近 く も 高 い 傾 向 があるそうです。 では、次に具体的な疾患を考えてみます。 2 長期療養疾患内容と実態 長期療養の具体的な疾患としては、 がん・メンタルヘルスだけでなく脳・心臓疾患 による労災請求件数・支給決定件数も増加傾向にあります。メンタルヘルス不調について みると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合が 約 6 割 に 達 し て い ま す 。( 平 成 1 9 年 労 働 者 健 康 状 況 調 査 結 果 よ り ) 財 団 法 人 労 務 行 政 研 究 所 の 行 っ た 企 業 調 査 ( 平 成 20 年 ) に よ る と 、 メ ン タ ル ヘ ル ス 不 調 に よ り 、 1ヶ 月 以 上 休 職 し て い る 社 員 は 、 1 社 平 均 9.5 人 、 全 従 業 員 に 対 す る 比 率 は 平 均 0.5% など、労働者の健康を取り巻く状況は、厳しい状況にあります。 しかしながらそういう状況にありながらも就労者は職場に知られたくないと頑張りすぎ るため早期の治療受けずに重病化してしまうことも多くあるのです。 さらに、日本の死因 の第1位であるがんについてみると、生涯のうちに2人に1人が罹患し、確率は男性 54.9 % 、 女 性 41 .6 % ( 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー が ん 対 策 情 報 セ ン タ ー 調 べ ( 平 成 18 年 ) ) そのうち3人に1人は就労可能年齢で罹患する が ん 罹 患 者 数 : 693,784 人 、 20- 64 歳 : 233, 374 人 ( 33. 6% ) ( 国 立 が ん 研 究 セ ン タ ー が ん 対 策 情 報 セ ン タ ー 調 べ ( 平 成 18 年 ) ) そんな中、診断・治療技術の進歩により、早期発見・早期治療が可能となり、 が ん の 5 年 生 存 率 は 50% を 超 え る よ う に な っ て い ま す 。 また、女性の労働市場への参加が進む中、女性特有のがん(乳がん、子宮頸がん)につ いては、罹患数が多く、女性労働者の職業生活上の大きなリスクとなっているが、診断・ 治 療 技 術 の 進 歩 等 に よ り 、 5 年 生 存 率 が 70% を 超 え て い ま す 。 ま た 、 2012 年 度 の 20~ 49 歳 ま で の 保 険 加 入 者 傷 病 別 デ ー タ は 3 Cの 悪 性 新 生 物 (が ん )と そ の 他 で 全 疾 患 の 約 1/2を 占 め て お り ま す 。 そ の 他 の ほ と ん ど は 精神疾患(うつ病)であり、厚労省の治療と職業生活の両立に困難を抱えている労働者が 多く存在すると考えられる疾病と同じ状況であることがわかります。 このように、労働環境の変化による脳・心臓疾患や精神疾患等の作業関連疾患の増加に 加え、今までは効果的な治療法がなく、予後不良であった疾病が、 近年の医療技術の進歩によって、生存率が向上していることなどを背景に 治療を受けながら就労する労働者が無視できない割合で存在 しており、このうちで 学費が支払いたくとも支払えない状況に陥る保護者 が出てくることも将来的に考えられます。 医 療 の 現 状 -何 故 入 院 は 短 く な っ た ( 在 宅 医 療 へ ) 今まで日本では、検査や投薬などをすればするほど儲かる仕組み となっている出来高払い方式の欠点・弊害を防止するため、医療機関等がその額以上の検 査・治療を行っても保険からは支払われないという定額支払い制度が導入されました。し たがって、検査・治療を過剰に行えば、赤字になることもあります。そのため「すぐ退院さ せられた」といった話がよく聞かれるようになったのです。 そうした状況の下、厚労省は在宅医療を推進しているのです。 私立の中学校、高等学校の学費 東京都の私立中学高等学校の初年度納付金総額は、 平 均 で は 、 中 学 校 は 928,984 円 、 高 等 学 校 で は 888,665 円 また、保護者は最終的に卒業までの3年間合計で 平 均 で は 、 中 学 校 で は 2,267,772 円 、 高 等 学 校 で は 2,152,961 円 を、納付しなければなりません。 事前に郵便局や民間の学資保険等に加入している場合でも入学金支払い時のためのケー スがほとんどであり、入学以降の学資費用では不足することが考えられます。 実際のデータからもわかるように、就業不能リスクの多様化と長期化してきている状 況、つまり 「保護者が怪我や病気によって仕事ができない状態となってしまった時」 に補償する環境を整えることが重要となってきます。 4 実際には、給与所得者は各企業における健康保険組合において傷病手当金制度(最大 180ヶ 月 : 給 与 の 2/3) が あ り ま す が 、 個人事業主の方々が加入している国民健康保険には傷病手当金制度がない しかしながら個人事業主の場合だけでなく、給与所得者の場合も、 公的保障制度だけでは、生活費と医療費で困窮状態 となり、こどもの教育費を賄うことはできず、貯蓄の取り崩しが必要となることが予想さ れます。 現実的には、親が死亡の時は生命保険に加入していれば生活や学費もカバーすることは できますが、データにあるように生命は取り留めても就労出来ずに生活が苦しくなり、学 費まで用意できないケースが今後増えることが予想されます。 また、晩婚化が進み親の年齢も上がってきていることや私学における中高一貫教育が進 んできている今、生活環境や社会情勢を考えるとますます厳しくなってくるでしょう。 そして、その最大の被害者は、頑張って希望の学校に入学した子供 です。 このように、子供の就学維持による親子の安心のためにも、この学費保証保険の加入を ご検討いただきたいと存じます。 5
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