2001 年 6 月 28 日 各 位 米国 aaiPharma 社とのDDS技術を介した協業について 田辺製薬株式会社(社長:田中登志於)は、田辺製薬が有するDDS(Drug Delivery System:薬物送達)技術を、aaiPharma 社(米国、社長:フレデリック・D・サンシリオ博 士)に使用許諾しました。aaiPharma 社はこのDDS技術を利用し、PLCMS(Product Life Cycle Management Service)事業を世界的に展開いたします。 本使用許諾の対象技術は、 「マイクロスフェア技術(徐放性注射剤技術) 」 、 「大腸デリバ リー技術」及び「口腔内速崩壊錠技術」の 3 つで、今後両社は、これらの技術を用いて顧 客製薬企業の製品開発のサポートを進める予定です。 田辺製薬は、自社の新薬開発にこれらのDDS技術を活用するだけでなく、海外企業へ の導出を模索していました。一方、aaiPharma 社は、1998 年より開始したPLCMS事業 を本格的に拡大するため、優れたDDS技術を探索してきました。この度、DDS技術の 有効活用を模索する田辺製薬と、PLCMS事業を拡大したい aaiPharma 社の間で、6 月 19 日に契約に至りました。 aaiPharma 社は米国の大手CRO(研究受託機関)としてサービスを全世界的に展開して おり、CROサービスを通じて構築された世界中の顧客製薬企業とのネットワークは、P LCMS事業にも生かされるものです。 田辺製薬は、自社が持つDDS技術でビジネスチャンスが広がり、新たな事業機会の創 生につながるものと考えています。 以 上 添 付:参考資料 参考資料 1.田辺製薬と aaiPharma 社との協業内容 ① 田辺製薬 研究 aaiPharma 社 開発/生産/マーケティング ② ③ PLCMS事業 ③ 顧客企業 ①DDS技術の使用許諾、新技術の開発 ②DDS技術の実施に対して aaiPharma 社が顧客企業より受領するマイルストーン(一時 金を含む)およびロイヤリティーの一部支払い。 ③PLCMS事業を世界的に展開する。CRO事業で得た顧客企業情報をもとに、各社医 薬品へのDDS技術の適用をはかり、DDS技術の使用によるロイヤリティーの受領、 製品の生産受託を目指す。 2.PLCMS事業 PLCMSとは、特許切れを迎える医薬品にDDS技術等を適用し、高付加価値かつ有 用な商品とすることにより、ジェネリック品との競合による収益の低下を防ぐサービス。 現在、世界各国で上市されている医薬品のうち、大型商品を含め、約 80 品目が 2015 年 までに特許期間の終了を迎えます。今後、DDS技術を活用したPLCMSは、競争優 位を保ちたいと考える先発メーカーの間で需要が高まり、数兆円規模の市場が創生され るものと考えられています。 3.マイクロスフェア製剤 マイクロスフェア( micro:微小の、sphere:球体)とは、直径数十μm の微粒子性製剤で、 通常、皮下または筋肉内に注射剤として投与されます。体に入ったマイクロスフェアは薬 物を体内に送り込みながらゆっくりと分解し、投与部位より消失します。この消失時間を 調節すると、1 回の投与で 1∼6 ヶ月にわたって薬物を供給できることから、毎日注射する 必要のあるホルモン代替療法や慢性疾患の治療等に適しています。 田辺製薬のマイクロスフェア技術は「固溶体法」と呼ばれる独自性の高い技術で、本来 マイクロスフェア中に均質に溶解し得ない薬物を、均一かつ安定に保持するマイクロスフ ェア製剤に調製できます。 【マイクロスフェアの電子顕微鏡写真】 4.放出制御型微粒子/口腔内速崩壊性錠 口腔内速崩壊性錠は、口腔内で速やかに崩壊し、水無しでも服用できることから、嚥下 が困難な高齢者や小児患者でも服用しやすいという利点があります。 田辺製薬の技術は、この服用性改善に加え、薬物の放出制御を同時に実現できるもので、 錠剤中に種々の放出制御機能を有するコーティングを施した直径 100-200μm の球形微粒子 を含んでいます。この粒子は微小かつ滑らかな表面であるため、口腔内でざらつき感や違 和感を生じないという特長があります。 薬物を含む核 【放出制御型微粒子】 放出制御膜 【口腔内速崩壊性錠】 5.大腸ターゲティング製剤 大腸ターゲティング製剤は、経口で服用したとき、薬物を直接大腸に送りこむ機能を持 っており、潰瘍性大腸炎やクローン病のような大腸性炎症疾患の局所治療や、ペプチドや 蛋白など胃や小腸で分解されやすい薬物を大腸から吸収させることができることで注目を 集めています。 田辺製薬の技術は、pH によって溶け方が変わる性質(pH 依存性)と一定の時間がたつ と溶け出す性質(時限放出性)の組み合わせにより薬物を大腸に到達させるもので、ヒト 消化管の生理的・物理的環境を巧みに利用して考案しています。製剤技術としては多層コ ーティング法を用いており、従来技術の延長にあることから実用性は極めて高いものです。 既に、錠剤、カプセル型、顆粒型および微粒子型など様々な種類の大腸ターゲティング製 剤化技術を完成しています。 【大腸ターゲティング製剤の溶出パターン】 薬 物 100 80 放 大 腸 出 40 % 【ヒトでの大腸ターゲティング効果】 20 0 0 2 4 6 8 10 時間 以 上
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