新しいリーダーの 誕生

BUSINESS
新しいリーダーの
誕生
ETASの新CEO、将来のビジョンを語る
2005年7月1日付でETASの新しいCEOにDr.マティアス・クラウダが任命されました。同氏はETASが将来進む
べき方向性について、本誌RealTimesとのインタビューで次のように語っています。
D
r.クラウダ、前職ではカリフォルニア
州パロアルトに拠点を置くBosch Research and Technology Centerで
Managing Directorを務められていまし
2つ目は言うまでもありませんが、適切な地
域で活動を展開するという実績あるアプロー
す。私自身Bosch入社後1年目のことでし
チを踏襲していくことです。そこでは蓄積
されたノウハウと資源を投入し、つねに顧
たが、これまでの経歴を簡単にお教えくだ
た。ETAS GmbHの土台作りにかける強い
決意と、多彩な業種から集まった技術者達
さい
に人間的な成長と専門技術向上のための魅
ことが大事です。こうした手法はあらゆる
私は、独エルランゲン-ニュルンベルクのフ
力的な場を提供しようという意気込みが伝
状況で合理性を発揮するものです。
リードリヒ-アレクサンダー大学と米国の
わってきたことを覚えています。新しい領域
客の付加価値を創造するという視点に立つ
コーネル大学で物理学の博士号を取得後、
を開拓する意識が想像以上に高いことにも
ETASグループは自社の開発・診断ツール
Robert Bosch GmbHに入社しResearch
Development and Project Management部門に従事しました。その後 Bosch
Telecom GmbHのProduct Engineering
部門、Robert Bosch GmbHのResearch
and Advanced Engineering部門で様々な
キャリアを積み、2003年よりBosch Research and Technology Centerで最高管
魅了されました。この社風は今日も変わっ
を駆使してECUのライフサイクル全体をサ
ていません。また顧客と製品に対し誠実か
ポートするAutomotive LifeCycle Solutionsの提供に取組んでいますが、顧客
理職の任に当たっていました。
つ真剣に取り組んでいる姿も刺激的でした。
のメリットは?
グローバリゼーションについてどのようにお
現在自動車の電子制御システムは複雑化・
考えですか
高度化の一途をたどっており、顧客の要望
私はグローバリゼーションのテーマを主に2
も高まる一方です。ETASでは基本的にこう
つの局面で捉えています。1つはグローバル
した独自のアプローチを強力に進めていく
な市場において現地のニーズに応じた付加
ことで、顧客の多様な要望により良く対応
価値を創造しながら活動
していけるものと考えて
今回新しい職務へチャレンジしようと思わ
基盤を築くことです。
れた動機についてお聞かせください
ETAS の製品とサービス
います。 Automotive
LifeCycle Solutionsと
顧客に最高のサポートを
提供することが
私達の役割です。
ETASは、若さと実行力にあふれるオープン
にとって需要とチャンス
で魅力的な企業です。ECUのライフサイク
が見込める市場であれば、
ル全体をカバーする開発ツールと診断ツー
そこへ進出し顧客が必要
ルを一社で提供可能なプロバイダであり、訴
とするサポートを提供し
進めていきます。短期・
求力のある包括的なソリューションに取組
ていく所存です。ただし
中期的に見れば、このソ
んでいます。車両のライフサイクル全体を
その実現のために、必ず
通じて顧客をサポートするというやりがい
しも現地法人の設立にこだわる必要はあり
彩なツールによる包括的なサポートを通じ
ある仕事に出会え、非常に幸運なことと受
ません。最適なパートナーシップを結ぶと
て、ECUの開発・診断において同じデータ
け止めています。この新しい職務は顧客に
いうあり方にも強い関心を持っています。
構造が利用可能になることを意味していま
大きな利益をもたらすことを確信し、迷わ
ずお引き受けしました。
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RT J 2 . 2 0 0 5
ETASとの出会いについてお聞かせください
それはETASが設立された1994年に遡りま
いう新しい戦略は膨大な
可能性を秘めており、今
後さらに体系的な活動を
リューションは弊社の多
す。
BUSINESS
Dr.マティアス・クラウダ
1965年独エルランゲンの生まれ。エルランゲン-ニュルンベルク大学で物理学を専攻し、
1990年Diploma Engineer(M.Sc.)の学位を取得して卒業後、同大学および米国
コーネル大学にて博士課程を修め、1993年12月博士号を取得。1994年Robert Bosch
GmbHに入社しR&D and Project Management部門に従事。その後Bosch Telecom GmbHのProduct Engineering部門、Robert Bosch GmbHのResearch
and Advance Engineering部門で様々なキャリアを積み、Bosch Research and
Technology Center(米カリフォルニア州パロアルト)の最高管理職に任命。2005
年7月にETASグループCEOに就任。
当社の開発・診断ツール同士が「共通の言
とを目指しています。ECUのソフトウェア
て成長を見守っていきたいと考えています。
語」で対話できれば、異常を示すECUパラ
とハードウェアを開発するためのツールを一
健全な森には適切な下生えが必要で、それ
メータと動作状況について、技術者がより
社で提供しているプロバイダはもはやETAS
がやがて大きな木々へと育っていくのです。
的確かつ早期に識別できるようになります。
だけではありません。顧客の利益という観
こうした「発展途上」のイノベーションを
中期的には、異常の早期発見につながる
点に立てば、この状況は適正かつ公平なも
戦力としていくには、企業間の連携に留ま
データを、サービス部門や開発部門とでき
のです。私達は堂々と熱意を持って競争に
らず、大学や研究機関との共同プロジェク
るだけ共有するという観点に立ち、車両を
立ち向かっていきます。
トにも積極的に参加していく必要がありま
現場で体系的に診断可能にすることを目指
す。従来は各社が独力でアイデアを出しそ
しています。そのためにはテレマティクスの
ETASパートナープログラムの主な目的は?
の成果に頼るといった考えが支配的でした
活用も1つの選択肢です。
このプログラムは、自動車業界の優れたパー
が、現実はもはやそうではありません。
長期的には、さらに進化した故障診断シス
トナーが互いに協力可能な機会を提供し合
テムの開発を視野に入れています。これに
うもので、顧客の付加価値を高めることが
顧客に向けてメッセージを頂けますか
より開発と診断が一体化され、製品の品質
第1の目的です。ETASのパートナー企業と
ETASは信頼できる強力でプロフェッショナル
と顧客の利益の双方に寄与する新しい機会
なるまでのプロセスは、その企業がどのよう
なパートナーです。私達は自動車業界に特化
が生まれることでしょう。
な強みを持っているかに
よってさまざまです。基本
しており、顧客のニーズ
当社の
開発/診断ツールが
同じ言語で
対話することで、
技術者はECUの
不具合を
開発早期に識別
できるようになります
を敏感に受けとめていま
ETASの製品ラインやサービス手法はさらに
方針は、ETASと各パート
拡大していく方針ですか
ナー企業がこのプログラ
ETASでは継続的にラインナップの強化を
ムを通じて製品群の強化
図っています。私達が自社のコアセグメン
を図り、より優れたノウ
トで主導的な地位を維持している限り、自
ハウやサービスを顧客に
動車メーカにおける適合やテストといった
提供していくことであり、
分野で、さらに能力を発揮していくと捉え
これは顧客満足度の向上
ています。先ほどAutomotive LifeCycle
Solutionsに触れましたが、製品ラインの拡
に欠かせない要素です。
大に関しても多くのチャンスがあります。こ
社内の研究開発の現状と今後の方向性につ
かく対応することを目指しています。
の点、最近立ち上げたETASパートナープロ
いてお聞かせください
私共は幅広い専門性と豊富な知識に基づい
グラムの活動は、一つの大きな役割を担う
私見ですが、研究開発を効果的に進めてい
て、お客様のニーズを満たす革新的なソ
ことになるでしょう。
くには、現状維持にとどまらず常に強化を
リューション、つまりお客様に真の付加価
弊社はこのパートナーシップの展開を通じ
図っていくことが何より重要と捉えていま
値をお届けします。
て、顧客の要望に応えていくという私共の
す。社員に対してはイノベーションに集中
最重要目標をより効果的に達成していくこ
できる余裕を確保し、彼らのアイデアを育
す。現在私は品質に対
して大きな責任を負う
立場にあり、全力で責
務の全うに取組んでい
く所存です。ETASの社
員は常に積極的に物事
に取組み、献身的な努
力を惜しまずに、お客様
の疑問や課題にきめ細
私は挑戦と協調を同時に目指していきます。
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