1 04 - Deutsch-Japanischer

DEUTSCH-JAPANISCHER WIRTSCHAFTSKREIS
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季刊誌
04
2004 年
D JW ニ ュ ー ス
テーマ 1「移転価格
移転価格と
価格と追徴税」
追徴税」
ドイツでは 2003 年から移転価格を文書によって裏付け
る規則が施行されている。この規則は国境を越えて近隣
の企業と取引を行うすべての企業に当てはまり、ドイツ
に拠点を置く日本企業もその例外ではない。文書による
裏付けの義務は、移転価格の実情だけでなく、他企業と
の取引に比べてそれが妥当な額であることを明らかにす
ることまで要求しており、故に移転価格設定およびその
妥当性の 2 点を示す詳細な記録文書の作成が義務づけら
れている。
納税義務を負う企業が公課法(Abgabenordnung)第 90
条第 3 項(§ 90 Abs. 3 AO)に基づくこの記録義務を怠っ
た場合、国は一定の枠内で、その企業にとって不利な評
価に基づいた税を課すことができ (§ 162 Abs. 3 AO)、ま
た 2004 年 1 月から高額の追徴税が課されるようになった
(§ 162 Abs. 4 AO; 記録提示の遅延に対して最大 100 万ユ
ーロの追徴税が課され、さらに移転価格修正額の 5-10%
が加わる)。
この法的処分、特に追徴税は、移転価格の記録をまったく取
らなかった場合、あるいは記録をとっても無効なものであっ
た場合に(あるいは記録提示が遅すぎた場合にも)発動とな
る。書類提出の期限および、遅延に対する罰則は法で規定さ
れているが、目下ドイツの税務署は、移転価格の記録義務を
実施するに当たっての行政上の内部調整をしているところで
ある。
ドイツに拠点のある日本企業の特別な利益状況を考えた場
合、これまでの経験からして、すべての必要事項を記載した
有効な移転価格記録を早急に整えることが殊に推奨される。
これらの記録文書作成のためのシステムも用意されている。
移転価格のコンサルタントであるフーゲレ・パートナーは、
2 月中旬に、デュッセルドルフで、日独産業協力推進委員会
(DJW)の協力の下に、日本企業を対象としたセミナーを開
き、簡単で素早く、正確でかつ安価に記録文書を作成する方
法 を 紹 介 し た 。 こ の 件 に 関 す る 詳 し い 情 報 は 、 E-Mail:
[email protected] 、 又 は Website: www.voegelepartner.comで入手可能である。
テーマ 2「
「環境問題に
環境問題に対する取
する取り組みとその問題点
みとその問題点」
問題点」
今日、環境保全が益々望まれている。 しかし、環境問題対
策推進には、経済的障壁が立ちはだかる。 環境保全と効率
的経済活動は残念ながら、現在、相容れないものになってい
る為、環境保全に取り組むことは短期的競争力を失うことにな
りかねない。 また環境基準の国際的不一致も大きなリスクと
なっている。
日独の環境に対する取り組みには様々な差異が見られる。
例えば、中古製品のリサイクルについて、日本政府は、家電
製品を中心に回収を消費者に義務付け、一応の効果を挙げ
ている。 これに比べてより野心的なドイツの政策は、回収費
用をメーカーの負担とし、これにより、リサイクル負担の少ない
製品の開発をメーカーに促している。 しかし、これは 1-2%の
価格上昇につながり、競争力を失うことを心配する日系企業
にとって、ドイツでの販売リスクとなっている。
大気汚染とそれに伴う地球温暖化も重要な課題である。 国
際世論の高まりから、1997 年に京都議定書が採択され、各
先進国には温室効果ガス削減目標(日本は基準年から 6%削
減、ドイツは 21%削減が目標)が課せられた。 数字を見ると
ドイツに比べて日本の目標は小さく見えるが、これは、オイル
ショック以後、日本は省エネ技術に注力してきたため、この技
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日独産業協力推進委員会
術力が高く、更なる温室効果ガス削減が難しいといわれているた
めである。しかし、産業に負担となるこの協定をブッシュ政権が拒
否。 発動にはロシアの批准が必要となるが、この点も不透明で
ある。
車からの排出が大半を占める温室効果ガスの削減に対処する
ため、排ガスの少ないエンジンの開発がすすんでいる。 燃料電
池の実用化に時間がかかると考えた日系企業はハイブリッドカ
ーの開発に励み、1997 年に販売を開始した。 しかし、先駆者で
あるトヨタグループ単体での販売台数は未だ世界で通算 13 万
台にすぎず、開発への投資も回収が難しい状況だ。 米国、及
び、日本では、順調に売上拡大しているが、コスト安のディーゼ
ル・カー(二酸化炭素はガソリンよりも若干少なめだが、その他発
がん性物質を排出する。 ただし環境負担が軽い新世代ディー
ゼルが開発中である)が定着している欧州では、全く浸透してい
ない。 厳しい市場状況に対し、欧米(特に欧州)の自動車メーカ
ーは参入に消極的姿勢をとり、トヨタに次いだホンダも開発を鈍
化させ、 日産は、トヨタに委託という状況である。 市場拡大阻
害の一番の原因はそのコストである。 欧州の消費者は、価格に
対し厳しい目を持っている。 環境意識が高いドイツ人だが、お
金には勝てないということだろうか。
ドイツにおける
ドイツにおける温泉
における温泉 - バート・ラッペナウ
南ドイツに数多くある保養地を知っていますか。今回
は、その中でも屈指の温泉保養地として古くから知られ
ているバート・ラッペナウを紹介しよう。
古城街道をハイデルベルクからネッカー渓谷を 55 キロほ
どさかのぼったとことに位置するバート・ラッペナウ。
鉱泉保養地としての歴史は、1834 年に、当時の保護者、
バーデン大公妃の名に由来するソフィー温泉
(Sophienbad)開業と共に始まる。その後、小児温泉療
養所、温泉サナトリウム、それに付随するホテル等が
次々に建てられ、今日では7つの最新設備を誇るクリニ
ックを含む温泉関連設備が整然と並んでいる。特に、こ
の地のハイライトである塩泉プール(屋内 30-34 度、屋
外 30 度)の塩分は、死海のミネラルよりも湯治効果があ
るといわれ、背中の痛み、喘息、アレルギー、リュウマ
チや血行障害等の治療に適している。
最近では、ウェルネスブームに乗じ、仕事で多忙な人向け
に、週末などを利用した短期療養プログラムも取り入れて好
評を博している。ウェルネスの内容も、おなじみのマッサー
ジやファンゴ(温泉泥)パックの他に、インドの伝統医学ア
ユーヴェーダも取り入れるなど、多種多様。また、ゴルフ場
もあり、ストレス解消を望む方に、行楽を兼ねた家族ぐるみ
での保養を是非お勧めしたい。
尚、バード・ラッペナウ市は指圧や鍼治療などの東洋医学療
法施設の設立を考えており、特に日本からの東洋医療の専門
家及び、支援者を求めている。フィットネス・美容・ウェル
ネスやその他医療関係に従事する日本人の方々、広大な温泉
公園を望む素晴らしい施設、由緒ある建物、数多く訪れる療
養者、安価な施設賃借り料など、魅力のある条件がそろって
いるバート・ラッペナウでの開業はいかが。
日独イベント
日独イベント情報
イベント情報
Making Money in Japan
外国でビジネスを成功させるのは容易ではありません。
今回、日本で成功したドイツ企業および、日本政策投資
銀行を招き、日本で成功するための条件、秘訣について
御紹介します。 実体験に基づいたケーススタディ、研
究報告は、在独日系企業の経営活動にとっても貴重なヒ
ントになるのではないでしょうか。
経済シンポジウム
経済シンポジウム
毎年行われる日本デーにあわせて行われる日独関連としては
最大規模の経済シンポジウム。 本年度のテーマは「デザイ
ン、マーケティング、そしてイメージ構築」です。 数多く
の講演やケーススタディが行われる本シンポジウムは、日独
ビジネスの情報収集・交換に最適な場所と言っていいでしょ
う。 皆様の積極的な参加、討論をお待ちしています。
日時: 3 月 11 日(木) 10:00-13:00
場所: ベルリン Abgeordnetenhaus (Raum 304),
Niederkirchnerstr. 5, 10117 Berlin
主催: ジェトロ、在日ドイツ商工会議所、日本政策投資銀行、
ベルリンビジネスディベロップメント、OAV、DJW
その他: セミナーはドイツ語で行われます。 参加費用 30 ユ
ーロ。要申込(ウェブエントリーで www.djw.de、又はメールで
[email protected] まで)。
日時: 6 月 7 日(木) 14:00-18:00
場所: デュッセルドルフ (開催地未定)
主催: ノルトラインヴェストファーレン州経済労働省、同経済振
興公社、同日本デー運営委員会、デュッセルドルフ市
後援: デュッセルドルフ商工会議所、ジェトロ、DJW
その他: シンポジウムは日独の同時通訳。 参加無料。要申込
(ウェブエントリーで www.djw.de、又はメールで [email protected] ま
で)。
注目トピックス
注目トピックス -2003年
2003年を顧みて
日独産業協力推進委員会は、1986 年に設立から今日に至
るまで非営利団体として日独経済関係の向上を目的とし
て幅広く活動している。2003 年、日独産業協力推進委員
会(DJW)主催ないし共催による講演会・シンポジウムの
数は 20 以上、北はブレーメンから南はミュンヘンまで、
東はドレスデンから西はアーヘンまで、ドイツ全国にま
たがって行われた。多いときでは 300 人ほどが会場を満
たし、バイオテクノロジーやオートメーション化、デー
タ保護法等、専門的な分野のテーマを扱った講演会
発行: 日独産業協力推進委員会(DJW)
編集: 福井崇泰,レンツェル佳子
発行責任者: DJW, Stockumer Kirchstraße 61,
40474 Düsseldorf, Germany
Tel./ Fax: +49(0)211-4560-8385 / -8511
DJW ニュースは DJW 援助会員である GfW, Messe
Düsseldorf, デュッセルドルフ市のサポートによって
発行されています。
にも約 50 名の参加があった。その他の活動として、日本エ
キスパートの斡旋を中心とした求人・求職サービス、日独経
済に関する問合せ 250 件に対する個別回答、セミナー開催
7件、当ニュースレターや他の刊行物出版などが挙げられ
る。2002 年に会員制を取り入れてから、会員数は、2003 年
度で、400 人を超えた。また、ジェトロ、日本商工会議所、
日本商工会議所は、DJW の活動を公式に援助している。2004
年 2 月現在会員数は約 500 名。
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日独産業協力推進委員会