飲酒を巡って

健 康
万歩計
健康万歩計は、西北五医師会が、皆さんが
健康で元気に過ごすための必要な情報を提供
し、ドクターからのアドバイスを紹介するコ
ーナーです。
今 月 の 山 下 優 先生
ドクター 深浦医院・院長
す こ や か
飲酒を巡って
1.
このところの本県の死亡率は都道府県別に見た場合、
男女
とも全国最悪で、県では死亡率の低下を目指し種々の対策
に進み、
最終的に肝癌を生じてきます。
脂肪肝の状態で
あれば禁酒で元に戻れるとされています。
を実施中です。
禁煙・節酒運動もそのひとつですが
「禁煙」
に
④アルコールそのものには発癌性があるとされます。日
ついては何度か広報に載せてきたところですので、今回は
本人での飲酒による癌の危険度は、男性では月に1∼
「節酒」
について述べてみたいと思います。
3日飲酒するグループと比べた場合、飲用アルコール
(=エタノール)換算で週300∼449g、450g以上
2.平成22年の本県の死因別の年齢調整死亡率は下表のとお
の飲酒グループでは各々1.4倍、1.6倍に上昇すると
りです。死亡率上位の死因のほとんどに対して飲酒が深く
され、さらに、男性の癌の12.5%が週300g以上の飲
関係するようで、節酒を推進することは重要な対策と思わ
酒に起因すると推計されています(参考:日本酒1合
れます。
のエタノール≒22g、ビール中瓶1本のエタノール≒
男性
(全国順位)
女性
(全国順位)
新生悪性物
(癌等)
215.9
(1位)
105.6
(1位)
心 疾 患
098.8(1位)
044.9(8位)
患、脳血管疾患、自殺との関係について触れてみます。
脳 血 管 疾 患
067.1(2位)
034.0(4位)
①心疾患について→日本酒換算で1日1合未満の飲酒で
肺 炎
058.6(1位)
020.2(15位)
は冠動脈疾患の発症リスクを軽減する可能性が示唆さ
自 殺
039.1(2位)
012.4(10位)
れています。お酒をたしなむ人には心強いデータかも
不 慮 の 事 故
033.0(3位)
010.9(22位)
しれませんが、たくさん飲んでも問題無しというデー
20g)。
の上位の死因との関係について触れてみます。
⑴男女とも死因第一位である癌との関係について
は心疾患に密接に関係する血圧上昇をもたらすという
明確なデータがあります。
②脳卒中について→日本酒換算で1日1合未満の飲酒で
①飲酒により食道・肝臓・大腸・乳房などの癌のリスクが
は脳梗塞のリスクがやや減少するとされますが、男性
高まることは国際的な評価において確実とされていま
では1日1合以上、女性では1日2合以上の飲酒では
す。
脳卒中、特に脳出血の発症および死亡リスクが増加す
②食道癌→特に注意が必要なのは、飲酒により吐気をも
るとされます。
よおしたり、
動悸をおぼえたり、
顔が赤くなり火照る体
③自殺について→死因としては5位です。自殺のリスク
質の人です。こういう人が飲酒を続けると食道癌にな
は飲酒量に比例して高くなることが示されています。
る危険性が89倍にまで、さらに、喫煙もしていれば最
1日1合未満の飲酒でも非飲酒者+現在禁酒者の1.7
大190倍にも高くなるとの研究報告があります。これ
倍で、さらに量が増えてくると3.3倍にまで高まるこ
は、2型アルデヒド脱水素酵素の遺伝的不足で有害な
とが示されています。
アセトアルデヒド(アルコールが体内で無害な水と二
⑶以上を踏まえての結論として、長期飲酒に関して飲酒者
酸化炭素に変えられる途中に生じる物質)が速やかに
は日本酒換算で1日1合、多くても2合未満の節酒と週
分解されないために起こるとされています。日本人の
1日以上の休肝日を設けることが重要とされておりま
40%は、
この体質者であるとされています。
す。
③肝臓癌→大量長期飲酒者では危険度が増します。飲酒
で脂肪肝を発症、そこからアルコール性肝炎や肝硬変
『訪 問看護』ってなぁに?
訪問看護とは、病気や障がいを持った人が住み慣れた地域やご家庭で、その人らしく療養生活を送れるよう
に、看護師等が生活の場へ訪問して、医師や関係機関と連携をとりながら、看護ケアを提供する、療養生活
を支援するためのサービスです。
⑵続いて、長期飲酒と本県人の死因の第二位以下の心疾
タは見当たりませんでした。なお、長期の多量の飲酒
3.
酒の害は種々ありますが、
最初に長期に渡る飲酒と本県人
ご存じですか?
『深浦町訪問看護ステーション』
次号に続く
訪 問看護ステーションのサービス内容
◆療養上のお世話
身体の清拭、洗髪、入浴介助、食事や排泄など
の介助・指導します
◆医師の指示による医療処置
かかりつけ医の指示に基づく医療処置を行いま
す
◆病状の観察
病気や障害の状態、血圧・体温・脈拍などのチ
ェックをします
◆医療機器の管理
在宅酸素、人工呼吸器などの管理をします
◆ターミナルケア
がん末期や終末期などでも、自宅で過ごせるよ
う適切なお手伝いをします
◆床ずれ予防・処置
床ずれ防止の工夫や指導、床ずれの手当てしま
す
訪 問看護チェックリスト
以下の項目でチェックが一つでもあった場合、訪問看護の利用時期かもしれません。
日常生活
医療処置
□ 食事摂取量が少なくなってきた
□ 点滴
□ 水分摂取量が少ない
□ 人工肛門
□ むせることが多い
□ 在宅酸素
□ 便秘がある
□ 疼痛管理
□ 頻回にトイレに行く
□ インスリン療法の自己注射
□ 一人での入浴が困難
□ 中心静脈栄養
□ 口腔内の清潔が困難
□ 尿路系管理(訪問看護)留置カテーテル等
□ 転倒の既往がある
その他
服 薬
□在宅療養に対するご本人、ご家族の不安がある
□決められたように内服できない
□病状が安定せず入退院を繰り返している
□薬に対して理解不十分であり自己判断で内服を
□終末期を自宅で過ごしたいと希望がある
中止している
□病気に対する理解が出来ない
深 浦町訪問看護ステーションはどこにあるの?
深浦町包括ケアセンターの中にあります。関診療所に併設されていて、
診療所と協力しあいながら訪問看護サービスの提供をしています。ご不
明な点、ご利用を希望の際は、お気軽にご相談ください。
問合せ先 深浦町訪問看護ステーション
電話 0173−76−2042(深浦町地域包括ケアセンター内)
13
■ 広報ふかうら ■■■
■■■ 広報ふかうら ■
12